有価証券届出書(新規公開時)

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2020/01/27 15:00
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事業等のリスク

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。なお、当社グループでは、これらリスクの発生可能性を認識した上で、当該リスクの発生に伴う影響を極力回避するための努力を継続してまいります。当社株式に関する投資判断は、本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日時点において当社グループが判断したものであり、当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。
(1)基幹事業の経営環境に係わるもの
① 事業の運営について
当社グループは、2018年3月31日付でカーブス事業のグローバルフランチャイザーであるCurves International Holdings, Inc.他の株式を取得し、Curves International, Inc. (以下、「CI」という。)を存続会社とする吸収合併を実施したことにより、同事業を世界60カ国(2019年11月末現在)で展開しております。また、株式会社カーブスジャパンはCIとの間でマスターフランチャイズ契約を締結し、日本国内においてカーブス事業の運営を行っております。また、2019年7月1日付で、西ヨーロッパのフランチャイズ事業本部であるCFW International Management B.V.(現・Curves Europe B.V.)を買収し、同地区でのカーブス事業の展開を今後強化してまいります。
(ⅰ) 日本国内においてはフランチャイズ加盟事業者に対して経営指導、事業運営において必要なシステムの導入及びノウハウ、機材、商品、印刷物等の提供、販売を行うとともに、当社グループの事業拡大のため、フランチャイズ加盟店の出店を継続的に進めておりますが、これらの実現のために、加盟事業者による協力や資金負担等が必要で、予め理解を得ておく必要があります。従って、加盟事業者とのトラブルの発生、フランチャイズ加盟契約の解約、加盟事業者から本部への訴訟の発生などの場合や出店立地として適切な候補物件が継続的に不足する場合など、出店が計画と乖離する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、ますます強くなる消費者保護の流れを反映し、行政やマスコミあるいは消費者団体などによる企業批判、更には様々な風評による被害を受けてしまうリスクは大きくなりつつあります。カーブス事業は会員制の事業であり、そのようなリスクを顕在化させてしまう事象が発生した場合には、会員数の維持・拡大に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(ⅱ) 海外においては、CIがグローバルフランチャイザーとして各国のマスターライセンシー(以下、「マスター」という。)に課しているロイヤルティの回収遅延が発生する場合、CIとマスターとの間のトラブルが発生する場合、マスターがマスターフランチャイズ契約を解約する場合、さらにCIを含む当社グループとの間の訴訟の発生などが生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、Curves Europe B.V.は欧州圏(スペイン、イギリス、イタリア、フランス、アイルランド、スウェーデン、スイス、ベルギー)においてフランチャイズ本部事業を運営しており、日本国内と同様に加盟事業者との連携が重要でありますが、加盟事業者とのトラブルの発生、フランチャイズ加盟契約の解約、加盟事業者から本部への訴訟の発生などの場合や出店立地として適切な候補物件が継続的に不足する場合など、出店が計画と乖離する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 単一業態(カーブス事業)であることについて
当社グループは、「女性だけの30分健康体操教室 カーブス」を展開することで、病気と介護の不安と孤独のない生きるエネルギーにあふれる社会を創ることを経営目的としております。しかしながら、景気の悪化や消費環境の大きな変化により健康に対する投資意欲が減退した場合には、単一業態であるがゆえに他業態でカバーすることが困難であるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 原材料の価格変動等によるリスクについて
当社グループの主要な販売商品であるプロテインは、その原材料を海外から輸入しており、為替が円安に変動した場合や輸入先の天候不順等により供給量が減少するなどの要因により原材料の価格高騰が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 製造委託先の生産拠点の集中について
当社グループの当連結会計年度におけるショッピング売上高は145億93百万円であり、連結売上高の52.1%(2019年8月期)を占めており、当社グループの重要な収益源となっております。
ショッピング売上高の中でも主要な販売商品であるプロテインは、日成共益株式会社との製造委託契約に基づきOEM生産を行っており、その生産を当該委託先に依存しております。製造委託先と代替の生産拠点の確保に向けた準備を行い、リスク回避の努力を継続しておりますが、自然災害等の不可抗力及び工場内の事故等の発生により現在の工場での生産が停止した場合には、一時的に安定供給が出来なくなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 製造委託契約の解除等について
④の製造委託契約では、薬事法上問題がある場合等、一定の事由に該当した場合、ただちに当該契約及び個別契約の全部又は一部を解除できることを定めておりますが、現時点において当該事由又は契約更新の支障の発生ならびにその認識はしておりません。しかしながら、上記の解除事由に該当する事象の発生や契約更新ができない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、日成共益株式会社との製造委託契約については、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」をご参照ください。
⑥ 人材の確保・育成について
当社グループは、多店舗展開を行う接客サービス業であり、お客様にご満足のいただける接客と会員数の獲得を継続して実現させていくためには、人材の確保と育成が重要であり、計画的に募集・採用活動を行い人材の確保を行うとともに、事業毎に教育制度を設けて人材の育成に努めております。
しかしながら、採用がますます難しくなる場合あるいは退職者が増加する場合には、店舗の管理を行う店長及びマネージャーにふさわしい優秀な人材を十分に確保できなくなるおそれがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ M&A及び組織形態の変更等について
当社グループは、企業価値向上や新業態の事業展開を目的に他社からの事業の譲り受け、他社との提携、もしくは他社への出資やM&A等、あるいは子会社・関連会社の設立等により組織形態の変更を行う可能性があります。しかしながら、全ての経営施策が計画通りの成果が実現される保証はなく、市場環境等の急激な変動による想定外の損失の発生や取得した事業もしくは子会社等の業績不振等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)財政状態及び経営成績に係るもの
① 敷金・保証金の回収について
当社グループは、直営店の出店に当たっては賃貸借契約に基づく店舗出店を基本としており、店舗の賃借に際しては家主へ敷金・保証金を差し入れております。
当社グループは、賃貸借契約の締結に際しては、物件所有者の信用状況を確認する等、回収可能性について十分に検討を行い決定しております。しかしながら、物件所有者の財政状況が悪化した場合には、敷金・保証金の回収が困難となる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 減損会計の影響について
当社グループが所有する商標権、その他の固定資産並びに当社が有する子会社株式や金銭債権等につきましては、減損処理に関する会計基準及び減損処理に関する社内規程に基づいて、毎期減損の判定を行っております。これにより営業活動から生じる損益が継続的にマイナスとなる店舗に対する減損が認識された場合や店舗を閉鎖することとなった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当連結会計年度末における商標権は190億20百万円となりました。また、各子会社の業績に基づく株式価値等の評価結果による減損損失の計上により、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制について
① 消防法について
当社グループが運営する店舗は「消防法」による規制を受けており、不慮の火災等により会員の方々に被害が及ばぬように、防火対策についてはマニュアルを整備し社員教育を施し、年に2回の消防訓練を行い、法令遵守に努めております。「消防法」における問題が生じぬように、法律改正への対応及び行政上の指導については、全ての事項について必要な改善及び届出を済ませており、その後も継続運用しております。
しかしながら、不測の事態によって、当社店舗において火災による死傷事故が発生した場合には、当社グループの信用低下や損害賠償請求等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 医薬品医療機器等法等、関連法令について
当社グループが運営するカーブス事業は、その品質管理・製造、表示・広告、販売において各関係法令によって規制を受けております。
品質管理・製造においては、食品・添加物・器具容器の規格等を定める「食品衛生法」の規制を受け、表示・広告においては、主に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」「食品表示法」「健康増進法」「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」の規制を受けており、虚偽または誇大な表示・広告が禁止されております。
当社グループでは、各関係法令のチェック及び改正への対応等、体制を整備し法令遵守を図っておりますが、予期せぬ法律規制強化があった場合等には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 個人情報保護法について
当社グループが運営するカーブス事業は、国内外において会員制度を採用しているため、お客様の個人情報を取得しており、日本国内だけではなく海外も含めて個人情報の保護に関連する法律を遵守する必要があります。そのため各国ガイドラインに従い、社内教育や顧客情報の保管管理等を徹底し、個人情報の流失防止を図っております。
しかしながら、不測の事態によって、個人情報の外部流出が発生した場合には、当社グループの信用低下や損害賠償請求等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)本スピンオフについて
本書提出時点において、当社の発行済株式総数の全てをコシダカホールディングスが保有しており、2019年11月27日開催の同社定時株主総会において、本スピンオフの承認が得られたことを受け、2020年2月29日時点のコシダカホールディングス株主に対してコシダカホールディングス普通株式1株につき当社普通株式1株が交付される予定です。
本スピンオフ後、当社はコシダカホールディングスと資本関係が解消され、同社グループから分離・独立することとなります。
コシダカホールディングスは、カラオケ事業やカーブス事業を始めとする各事業セグメントにおける更なる成長を今後も実現していくためには、それぞれの事業戦略を迅速かつ機動的に推進していく必要があると認識しているとのことであり、特に2018年3月にカーブス事業のグローバルフランチャイザーであるCurves International, Inc.を買収したカーブス事業においては、今後の事業展開が国内外で多面的に広がることが想定されることから、単独でのガバナンス体制を強化、構築し、規律ある経営体制を確立することが今後の更なる成長のためには極めて重要と考えていたとのことです。
当社グループとしても、コシダカホールディングスグループの一事業セグメントから分離・独立し、経営及び資本の独立を図ることにより、着実な事業戦略の遂行及び成長の加速が可能になると考えております。
① コシダカホールディングスとの関係について
当社グループは、第11期連結会計年度においてコシダカホールディングスと次の取引を行っておりましたが、本書提出時点において全ての取引を解消しております。また、2019年8月期において腰髙修氏及び朝倉一博氏が当社とコシダカホールディングスの取締役を兼任しておりましたが、本書提出時点において当該兼任は解消しております。
第11期連結会計年度における主な取引は次の通りです。
(当社)
(単位:千円)
取引先取引内容金額取引条件等の決定方法
株式会社コシダカホールディングス人事給与システム、資産管理システム、会計システム利用料2,645システム利用・保守運用コストに基づき、一般的な取引条件を勘案して決定しております。
経営指導料60,000契約に基づき、主として役員派遣等の費用をベースに計算した金額であります。
ブランド使用料171,000契約に基づき、主として売上高をベースに計算した金額であります。
費用の立替2,439一時的に発生した費用の立て替えであります。

(株式会社カーブスジャパン)
(単位:千円)
取引先取引内容金額取引条件等の決定方法
株式会社コシダカホールディングス人事給与システム、資産管理システム、会計システム利用料等4,347システム利用・保守運用コストに基づき、一般的な取引条件を勘案して決定しております。

(株式会社ハイ・スタンダード)
(単位:千円)
取引先取引内容金額取引条件等の決定方法
株式会社コシダカホールディングス人事給与システム、資産管理システム、会計システム利用料等4,078システム利用・保守運用コストに基づき、一般的な取引条件を勘案して決定しております。


② 上場日時点の株主構成について
本書提出時点の当社の株主の状況は「第四部 株式公開情報 第3 株主の状況」に記載の通りでありますが、本スピンオフの実施時点では当社の株主構成はコシダカホールディングスの株主構成と全く同じものとなります。
また、当社の新規上場に際して、新株式発行に伴う募集を行う予定であるとともに、後記③のとおり、当社取締役である増本岳氏、坂本眞樹氏及び増本陽子氏の3名は、その保有する新株予約権について、当社の上場後速やかに権利行使を行う予定であり、それによって株主構成は更に変化する見込みです。
2019年8月末時点におけるコシダカホールディングスの大株主は下記の通りです。
氏名又は名称住所所有株式数
(株)
保有比率
(%)
株式会社ヨウザン群馬県前橋市平和町1丁目4-1021,328,00025.92
腰髙 博群馬県前橋市9,240,00011.23
NOTHERN TRUST CO. (AVFC)RE FIDELITY FUNDS
(常任代理人 香港上海銀行
東京支店 カストディ業務部)
50 BANK STREET CANARY WHARF LONDON E 14 5NT,UK
(東京都中央区日本橋3丁目11-1)
4,981,6006.05
株式会社アイエムオー群馬県前橋市下大島町1055-2613,784,0004.60
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)東京都港区浜松町2丁目11番3号3,720,5004.52
腰髙 修群馬県前橋市2,216,0002.69
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口)東京都中央区晴海1丁目8-111,958,8002.38
THE CHASE MANHATTAN BANK 385036
(常任代理人 みずほ銀行
決済営業部)
360 N.CRESCENT DRIVE BEVERLY HILLS.CA 90210 U.S.A.
(東京都港区港南2丁目15-1 )
1,785,5502.17
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口9)東京都中央区晴海1丁目8-111,728,3002.10
THE BANK OF NEW YORK MELLON (INTERNATIONAL)
LIMITED 131800
(常任代理人 みずほ銀行
決済営業部)
2-4. RUE EUGENE RUPPERT,L-2453 LUXEMBOURG, GRAND DUCHY OF LUXEMBOURG
(東京都港区港南2丁目15-1 )
1,294,1001.57
-52,036,85063.23

③ 当社取締役による新株予約権行使について
本スピンオフは、法人税法第2条第12号の15の3に規定された税制適格株式分配の要件を充当することを前提としており、当社の取締役のうち増本岳氏、坂本眞樹氏及び増本陽子氏からコシダカホールディングスが当社普通株式を取得し、2018年12月に当社を完全子会社化しております。詳細は「第四部 株式公開情報 第1 特別利害関係者等の株式等の移動状況」をご参照ください。
しかしながら、本スピンオフ後も継続的な当社経営へのコミットメントを確保すること及び中長期インセンティブの付与を目的として上記3名に対して、それまでの保有割合に応じた新株予約権の割当てを行っております。新株予約権に関する未行使潜在株式数は3名合計で9,144,209株であり、本書提出時点の発行済株式総数82,298,284株の11.11%に相当しております。当社の上場後速やかに権利行使を行う予定でありますが、行使により取得した当社普通株式を、上場日から2年が経過する日までの間継続して保有し、譲渡、質入れその他の一切の処分を行わない旨を当社との間で約しております。
④ 資本再構築スキームについて
本スピンオフに係る分配資産割合の算定に際して、当社の設立経緯の関係で、コシダカホールディングスが保有する当社株式の帳簿価額が低廉な状態になっていたことから、2019年11月27日に開催されたコシダカホールディングスの定時株主総会において、本スピンオフに係る議案承認がされたことを受け、現コシダカホールディングスグループ内において、資本再構築を実施しております。
これは、2008年10月に現コシダカホールディングスグループが株式会社カーブスジャパン株式を100%取得した際の取得価額が2,000百万円であったものの、当社を中間持株会社として買収を行うスキームを採ったことから、コシダカホールディングスが保有する当社株式の帳簿価額が低廉な状態となっており、算定される分配資産割合がコシダカホールディングスグループにおけるカーブス事業の取得経緯を必ずしも反映したものとならないことから、本スピンオフに際して、当社株式の税務上の帳簿価額をカーブス事業に係る本来の取得価額である2,000百万円と一致させた上で分配資産割合を算定することを企図するものです(一連の取引を以下、「本資本再構築」という。)。
本資本再構築に伴い、コシダカホールディングスからの受入金を見込む一方で、コシダカホールディングへの支出金も同時に見込むため、当社グループの業績に与える影響はありません。