訂正有価証券届出書(新規公開時)

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2020/03/17 11:00
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事業内容

当社グループは、当社(アディッシュ株式会社)と連結子会社2社(アディッシュプラス株式会社、adish International Corporation)により構成されており、ソーシャルメディア(注1)やコミュニケーションサービス(注2)等を介して、人と人がつながるからこそ起きる課題を解決し、利用者にとって健全で心地よい“居場所”をつくることを目的とした「カスタマーリレーション事業」を提供しております。
現在、インターネット関連産業では、SNSやブログ等のソーシャルメディア、ソーシャルアプリ(注3)やスマートフォンアプリに加え、シェアリングエコノミー(注4)、Fintech(注5)、MaaS(注6)といった領域が急成長しております。これらの領域に属するサービスが発展することにより、スマートフォン等の端末を通して人と人がつながり、インターネット上でコミュニケーションを図ることが容易になっている一方で、社会通念上不適切と思われる書き込みや行為による被害が急増しています。
当社グループは、インターネットの発展に伴って拡大するこれらの課題を解決する事業を展開しており、人と人のつながりあるいは人と企業等のつながりを支援し、インターネットを通じた社会が、健全で心地よいものとなるよう貢献していきたいと考えております。
「カスタマーリレーション事業」は以下の4つのサービスに区分しております。なお、当社グループは「カスタマーリレーション事業」の単一セグメントとなります。
1:ソーシャルアプリサポート
利用者からのお問い合わせを、顧客企業に代わって対応するカスタマーサポートサービスであります。主な顧客企業は、アプリあるいはサイトの運営企業であります。電話、メール及びチャットを利用したカスタマーサポートに対応しております。海外市場に向けてサービス展開をしている顧客企業にも幅広くサポートするために、当社は10ヵ国語以上の言語に対応しております。
当社は、ソーシャルゲーム、シェアリングエコノミー、Fintech、MaaSといった業界に特化したカスタマーサポートを得意としております。この業界の特徴は、非常に早い速度で開発がなされ、毎週のようにサービスがアップデートされることです。又、利用者間でコミュニケーションが取れたり、サービスを提供し合ったりすることが可能であり、従来のあらかじめ定めた回答を行うという方法では、利用者の不明点や不満を即時解決することが難しいという課題が起きております。
当社では、このような業界が抱えるカスタマーサポートの課題に応えていくため、システムを独自に開発し、顧客企業に提供しております。当社だけでは判断ができないお問い合わせについては、顧客企業と連携して協議や判断を仰ぐ必要があり、当社のシステムを介して効率的に運用できるようにしております。様々なお問い合わせを整理し、顧客企業及び当社内での情報共有を確実かつ迅速に行うことで対応の質とスピードを両立させております。
なお、第5期連結会計年度におけるソーシャルアプリサポートの売上高比率は、47.9%であります。
2:インターネットモニタリング
利用者の行う投稿を24時間365日体制でモニタリングし、不適切なものが発見された場合に、注意、報告、警告、非表示化等の対応を行うサービスであります。
インターネットモニタリングには2種類が存在します。1つは利用者による投稿機能のあるオウンドメディア(注7)を対象としたモニタリングであります。主な顧客企業は当該オウンドメディアの運営企業であり、当該オウンドメディアが利用者にとって健全で心地よい場となる支援を行います。顧客企業は適切なコミュニケーションが行われることを求めておりますが、一方で、違法行為、誹謗中傷、自殺幇助、出会い目当て、個人情報の流布、残虐・暴力的、卑猥・猥雑等、一部の利用者により、不適切な内容にあたる投稿がされることがあります。このような投稿はオウンドメディアの利用者に不快感を与え、利用者による継続的なコミュニケーション及び当該オウンドメディアの健全な成長を阻害します。そこで当社グループでは、そのような投稿に対するモニタリングを実施し、注意、報告、警告、非表示化等の対応を行っております。単に投稿のモニタリングを実施するのではなく、利用者が継続してコミュニケーションできる場に導くために、監視基準の設計専門担当者により顧客企業ごとの基準設計を行い、顧客企業が理想とする体制の実現をサポートしております。さらに、当該オウンドメディアと当社モニタリングシステムをAPI連携(注8)させ、システム連携を図ることで、複数のオウンドメディアの投稿モニタリング業務を同一のシステム上で行うことが可能なことから、効率的なモニタリングを実施することができます。
オウンドメディアを対象としたモニタリングの他に、利用者に提供されるサービス形態の多様化に伴い、リアルタイムにコメントが投稿されるライブ配信動画に対するモニタリング、決済サービス提供事業者・決済サービス導入事業者向け不正決済対策業務、利用者が本人であるかどうか登録情報を照合する本人確認業務、キュレーションメディア等の情報配信サイトの運営者を対象に記事校正・校閲を代行する記事審査業務、顧客企業が保有するテキストや画像等のデータに対して分類及びラベル付けをするアノテーション業務等を提供しております。
もう1つの形態は、ソーシャルメディアを対象としたモニタリングです。顧客企業の社名、商品名、サービス名、ブランド名等のキーワードで検索し、抽出された投稿について、顧客企業の課題に沿う形で分類、レポートにまとめ報告するソーシャルリスニング業務であります。ソーシャルメディア上では、利用者によって商品やサービスについての様々な投稿が行われております。それらの情報を確認し、製品開発やマーケティングに活かしていきたい企業が顧客となります。また、炎上対策を目的とする顧客企業もあります。
なお、第5期連結会計年度におけるインターネットモニタリングの売上高比率は、35.7%であります。
3:スクールガーディアン
学校生活上の課題となり得るネットいじめの可能性がある書き込みやインターネットでの個人情報流出をモニタリングして生徒指導に活かしていくコンサルティングサービスであります。
主な顧客は、各都道府県等教育委員会又は公立学校、私立学校法人です。当該学校に関連すると思われる書き込みを目視でモニタリングを実施、当社の定めるリスクレベル別に分類し、問題のある内容が発見された場合に、レポートにまとめて報告しております。又、「スクールサイン」というサービス名称にて、各学校及び自治体用に匿名で通報ができるウェブサービスを提供し、いじめに関する通報や相談を受けております。生徒指導に活かせる可能性のある書き込みが発見された場合は、学校関係者、教育委員会関係者、状況によっては警察とも連携し、それら関係者の方を通じて、生徒への指導等を行うことで、学校生活上の課題解決を支援しております。
その他、ソーシャルメディアやコミュニケーションサービスを健全かつ有効に活用できるよう、子どもはもちろん、教員や保護者等周囲の大人の意識向上を促す啓発講演活動も継続的に実施し、子どもが健全にソーシャルメディアを活用できる環境づくりを目指しております。
4:フロントサポート
企業がソーシャルメディアを活用して利用者に能動的に働きかけることで、利用者とのつながりを維持、向上させ、ファンコミュニティ(注9)を形成していくためのサービスであります。
昨今、企業がソーシャルメディアの公式アカウントを作成し、情報を発信したり、利用者と直接コメント等を交わしたりすることで、利用者との関係性の強化を図っております。具体的には、顧客企業が抱える課題あるいは求める目的に対して、公式アカウントの戦略設計を行い、情報発信する記事の企画、作成、配信及びコメント返信対応を行っております。加えて、インターネットモニタリングで培った技術を活かし、企業名、商品名、サービス名及びブランド名等のキーワードを用いてソーシャルメディアの投稿を検索し、利用者に対して能動的にコメントを行う等、ファンコミュニティの形成を支援しております。
又、企業と利用者との関係性の強化をするために、自社のウェブサイト等にチャット(注10)やチャットボット(注11)を設置し、利用者が抱える課題の即時解決を図ろうとする企業が増えており、このような新しい動きに応えるために、インターネットモニタリング、カスタマーサポートの技術及び知見を活かしたチャットボットサービスである「hitobo」を提供しております。顧客企業は、よくある質問とその回答を「hitobo」にアップロードするだけで、手軽に自社のウェブサイト等にチャットボットを設置することが可能であります。従来であれば、カスタマーサポート体制を敷く必要がありましたが、チャットボットを設置することで、利用者が抱える課題の即時解決を図り、利用者の満足度の向上を支援しております。
(注)1.「ソーシャルメディア」とは、インターネット上で不特定多数の人が双方向でコミュニケーションをとることで、情報共有及び情報の拡散が発生するメディアのことであります。
2.「コミュニケーションサービス」とは、インターネット上で利用者が投稿する文章、画像、映像、音声等の様々なコンテンツを通してコミュニケーションを取ることができるサービスのことであります。
3.「ソーシャルアプリ」とは、SNS等のソーシャルメディア上で利用できる、利用者同士の繋がりや交流関係を機能に活かしたWebアプリケーションのことであります。
4.「シェアリングエコノミー」とは、主にインターネット上のプラットフォームを介して、遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しや利用をするサービスにより構成される経済圏を指します。
5.「Fintech」とは、金融を意味する「Finance」と、技術を意味する「Technology」を組み合わせた造語であります。ICTを駆使した革新的、あるいは破壊的な金融商品・サービス自体及びその潮流を意味しております。
6.「MaaS」とは、Mobility as a Serviceの略称で、マイカー以外のすべての交通手段による移動をひとつのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ、新たな移動の概念であります。
7.「オウンドメディア」とは、自社で発行の広報誌やパンフレット、インターネットの自社ウェブサイト・ブログ等、企業や組織自らが管理・運営し、情報を発信するメディアのことであります。
8.「API連携」とは、Application Programming Interfaceの略称で、プログラムからソフトウェアを操作するためのインターフェースのことであります。
9.「ファンコミュニティ」とは、特定のサービスや製品等に対して熱狂的な愛好者が形成するコミュニケーションネットワークの総称と定義しております。
10.「チャット」とは、リアルタイムに複数の人が文字を入力してテキストを通して会話を交わすことができるシステムを意味しております。
11.「チャットボット」とは、テキストや音声を通じて会話を自動的に行うプログラムのことであります。
[事業系統図]
当社の事業の系統図は以下のとおりであります。
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