有価証券報告書-第22期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

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2022/06/28 15:30
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140項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、リスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1) 当社グループの事業の特長等について
①認証・セキュリティサービスについて
当社グループが提供するSSL/TLS証明書は、2019年9月にDigiCert社のルート認証局を用いたサーバー証明書事業に関わる契約を終了し、自社ルート認証局を用いたサーバー証明書事業を推進する方針に転換しております。
一方、ルート認証局の普及には数年を要するため、それまでの間、セコムトラストシステムズ社とパブリックCA署名サービス契約を締結し、一時的にセコムトラストシステムズ社のルート認証局を用いてサーバー証明書事業を展開しております。
当社はセコムトラストシステムズ社との同契約に基づいて、今後も良好な関係を維持してまいりますが、同社との関係に大きな変化が生じるなどして、該当期間内に同社からのサービス提供が損なわれた場合には、経営成績及び財政状態に一定の影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。
②Linux/OSSサービスについて
現在、当社グループは、OSSサービスを主とする製品・サービスの開発及び運用にあたり、当社以外の第三者がその著作権等を有するオープンソースソフトウエア(OSS)を利用しております。当社グループでは、外部ライセンス取扱いの担当チームにより利用パテントのチェック作業などを実施し、製品・サービスにOSSを組み込む場合、各OSSライセンスに則って組み込んでおります。また、OSSコミュニティなどの社外交流を行いOSS環境の動向を注視しております。しかしながら、当該ライセンス内容が大幅に変更された場合やかかるOSSが第三者の権利を侵害するものであることが発見された場合などは、当該プログラム製品の交換・修正・かかる第三者との対応などにより、提供・販売・流通などに影響した結果、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありこのようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。
③「Cybertrust」ブランド及び電子認証局ソフトウエアの使用について
当社グループは、日本国内において、企業及び製品名称の一部にVerizon Australia Pty Limitedが保有する「Cybertrust」ブランドを利用し、また同社より電子認証局ソフトウエアUniCERTのライセンスを受けております。同社とは長年に亘り、緊密かつ良好な関係にあり、今後もこれまでの取引関係を維持してまいりますが、同社との関係に大きな変化が生じるなどしてこれらのブランドや当該ソフトウエアが使用できなくなった場合は、例えば新社名と現ブランドでの実績とが同一であることを理解頂くことに想定していない工数が掛かることや当該ソフトウエアを使用できなくなることでその代替品を開発するために新たな投資が必要となる等経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。
④当社グループのサービスに係る特有の制約条件等について
当社グループが提供している認証サービスでは、グローバル・スタンダードなセキュリティ監査である「WebTrust」に毎年合格し、堅牢な運用を行っております。また、当社はWebTrust監査に対応する事務局を認証局内に設置し自主監査も行っております。しかしながら、信頼性が重要な要素である電子証明書市場では、独立した監査によりWebTrust指針もしくはそれと同等の認定の一部を満たした電子認証局のみがEV証明書の発行を許されており、万が一、監査機関より、当社の情報システムや電子商取引の信頼性等について、WebTrust及びWebTrust EVプログラムに適合の保証が受けられない場合には、電子証明書発行業務に制約を受け、当社グループの経営成績その他に重大な影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。
(「WebTrust」とは、主にインターネットビジネスにおける利用者保護のために、米国公認会計士協会とカナダ勅許会計士協会により策定されたプログラム)
⑤業界規制について
当社グループが提供しているサーバー証明書については、様々な団体やブラウザベンダによる自主規制ルール等による規制を受けております。当社グループはこれらのルール等の策定または改定等に対しては早期の情報収集と、規制に適合したサービスの速やかな提供に努めております。しかしながら、規制により当社グループのサービス提供に大きな制約や変更を余儀なくされた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクが中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。
⑥システム開発について
当社グループのシステム開発を伴う案件においては、開発したシステムの不具合の発生や、顧客の仕様変更などによって開発が長期化し、利益率が悪化するリスクがあります。当社グループでは、適切なプロジェクトマネジメントの実行による工程管理、品質向上や、顧客都合による仕様変更に対しては適切な対価の交渉等に努めております。しかしながら、当社グループのプロジェクトマネジメントが十分でない場合、交渉しても十分な結果が得られない場合、利益率が悪化し当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。
⑦業績の季節変動性について
当社グループが提供するサービスの一部は、企業システムの業務処理やネットワークなどに関するシステムのコンサルティング、設計・構築及び保守・運用などを支援する総合的なサービスの提供であり、主として顧客企業による情報関連投資及び設備投資が対象になります。取引先企業の多くは決算期が3月であることから、当該サービスの売上高及び利益は、期末(3月)にかけて集中する傾向があるため、当社グループでは案件管理や納期管理を徹底しております。しかしながら、経済環境の変化等による失注や、顧客の都合等により検収時期が遅延し、計画通りに売上計上ができない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。
⑧不安定な半導体調達状況が継続することによるIoTサービスへの影響について
IoTサービスにおいてはリカーリングサービスであるEMLinux、SIOTP導入に向けた組込受託開発案件の獲得、遂行に注力しておりますが、IoTサービスの顧客である製造業において半導体調達が引き続き不安定であり、また国際情勢と合わせて今後の新製品開発、技術開発への投資復調への見通しが不透明であることからIoTサービスの案件獲得に影響が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に一定の影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクが短中期的に顕在化する可能性があると認識しております。
これに対して当社グループでは、組込受託開発案件と同様に、IoTサービスのリカーリングサービス導入の足掛かりとなる国際安全基準に関するセキュリティコンサルティング案件の獲得と、国際競争力があり比較的回復が早いと見込まれる産業機器やIoTサービスの事業者の商流拡大に注力することで当社グループの経営成績及び財政状態への影響を回避、低減する方策を採っております。
(2) 情報セキュリティ対策について
当社グループは、セキュリティマネジメントシステムの国際標準規格である「ISO/IEC 27001」及び国内規格である「JIS Q 27001」の認証を取得し、従業員研修を繰り返し実施する等、これらの情報管理には万全な方策を講じております。また、機密情報を含むデータベースへのアクセス可能者を限定し、アクセス履歴を記録するセキュリティシステムの導入などにより防衛策を講じるとともに、従業員のモラル教育を徹底し、当社グループ従業員による情報漏洩への関与を未然に防ぐ措置を講じております。また、電子証明書サービスを提供する事業者として厳重な情報セキュリティ管理体制において自社内の機密情報を管理するとともに、監査機関より、当社の情報システムや電子商取引の信頼性等について、WebTrust 及び WebTrust EV プログラムに適合している保証を受けています。このような対策にもかかわらず、当社グループが情報を漏洩又は誤用した場合には、損害賠償責任を負う可能性があるほか、当社グループが企業としての社会的信用を喪失し、当社グループの事業及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。
(3) 技術革新への対応について
当社グループが属する情報サービス業界は技術革新が激しいことから、当社グループが現在保有する技術・ノウハウなどが陳腐化する可能性があります。当社グループは技術革新のスピードに対処するために、2022年4月には研究開発部門を立ち上げ、プラットフォームの変化に対応する、量子コンピュータ時代の暗号技術、ブロックチェーンなど当社事業に関わる先行技術に関する調査や新製品・サービスの開発に向け研究開発基盤の強化を行っております。また、常に新しい技術・ノウハウを組織的に習得し、従業員全体の能力を高め、事業の推進に必要な人材を適切に確保・育成し活用することにより、顧客のニーズに対して的確に対応していく能力を備えるなどの方針を採っております。
今後、これらの技術革新や顧客ニーズの変化に対し、当社グループが適切かつ迅速に対応できなかった場合には、業務の継続関係や業務委託に関する契約が変更又は解消されることなどにより、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。
(4) 人材の育成・確保について
当社グループが、今後更なる事業拡大に対応するためには、継続して優秀な人材の確保・育成が重要な課題となります。現在も採用による人材の獲得に加え、入社後の社内における研修、各種勉強会の開催、福利厚生の充実など、社員の育成及び人材の流出に対応した各種施策を推進し、状況に応じて外部への業務委託も実施しております。しかし、新規の採用や社内における人材の育成が計画どおりに進まず、適正な人員配置が困難になった場合には、当社の事業及び業績に一定の影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクが中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。
(5) 特定取引先への収益依存について
当社の親会社は、ソフトバンクグループ㈱、ソフトバンクグループジャパン㈱、ソフトバンク㈱及びSBテクノロジー㈱です。ソフトバンクグループ㈱は、「持株会社投資事業」、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」、「ソフトバ ンク事業」、「アーム事業」、「ラテンアメリカ・ファンド事業」を展開しており、そのうち「ソフトバンク事業」を営むソフトバンク㈱は、国内通信事業を展開しております。また、ソフトバンクグループジャパン㈱は中間持株会社であります。SBテクノロジー㈱は、国内の法人及び官公庁を中心にICTサービス事業を展開しております。同社は当社の議決権の58.42%(当連結会計年度末現在)を保有する筆頭株主です。当社グループは、ソフトバンクグループ㈱を中心とした企業集団において、「認証・セキュリティサービス」「Linux/OSSサービス」「IoTサービス」の3つのサービスを展開し、「ヒト」「モノ」「コト」の正当性・完全性・真正性などを証明しデジタル社会の信頼を支えるトラストサービス事業を営んでおります。
当社グループは、2022年3月期における連結売上高に占めるSBテクノロジー㈱に対する売上高の合計の割合が8.6%であり、顧客の中で上位1番目の位置づけとなっております。また、2022年3月期における連結売上高に占めるソフトバンク㈱に対する売上高の合計の割合が7.7%であり、顧客の中で上位2番目の位置づけとなっております。
両社とは現在良好な関係を維持しておりますが、何らかの事情によりこれら販売先との取引が大きく変動した場合などには当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
しかしながら両社との取引は、それぞれ連結売上高の10%未満であり、売上構造の比率として特定の取引先として偏り過ぎた構造ではないと考えております。ただし、今後も両社と現状の良好な取引関係を継続していく方針は変わりませんので、結果として取引量が多くなっていく可能性はあります。取引の内容については、「(7)親会社との関係について ⑤親会社グループとの取引関係について」に記載しているとおりです。なお、親会社との間において、販売価格、マージン、支払条件などの取引条件は、当社グループ向けのグループ仕切り又は販売パートナー向けのパートナー仕切り、又は通常の取引条件によって決定しております。
なお、関連当事者取引等の実施につきましては、その取引が当社グループの経営の健全性を損なっていないか、その取引が合理的判断に照らし合わせて有効であるか、また取引条件は、他の関連を有しない第三者との取引と比較して同等の条件であるか等に留意して、その取引の合理性(事業上の必要性)及び取引条件の妥当性を、職務権限規程に定める決裁権限者及び執行役員会議、取締役会等の会議体により検証し、意思決定しております。
(6) 事業継続性について
当社グループは、サービスの継続稼働のため、セキュリティ対策、設備投資、自然災害等を想定したデータセンター及び事業所でのシステム運用を行っております。万が一の災害などに備えて、業務継続のため、システムやインフラの災害対策強化やサービスの冗長化などの設備面での体制と、サポート業務などを遠隔拠点で冗長化する人的リソース面での体制の強化を図っております。また、迅速に適切な危機管理を実施するため、危機発生時の緊急連絡先、及び危機対策本部を設置する体制を備え、リスク管理規程に定めております。しかしながら、当社グループが提供する各種サービスは、インターネットを始めとした通信ネットワーク及びコンピュータシステムにより提供されており、想定を上回るサービスへのアクセスに伴うシステム障害や、地震・津波などの自然災害及び火災・事故・停電・感染症の拡大等の予期せぬ事象の発生、またその長期化などによりサーバーがダウンした場合などには、事業を円滑に運営できなくなる可能性があります。このようなリスクが顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。
(7) 親会社との関係について
①親会社が支配権を有することに伴うリスク
当社は、SBテクノロジー㈱(東京証券取引所プライム市場に上場)が当社発行済普通株式の過半数(当連結会計年度末現在で当社の議決権の58.42%)を所有しており、同社の子会社であります。同社は、当社の株式上場後においても、連結関係を維持するために必要となる当社株式数を継続的に所有する方針です。そのため、当社取締役の選任・解任、合併その他組織再編の承認、重要な事業の譲渡、当社定款の変更及び剰余金の配当などの基本的事項決定権又は拒否権に関して、他株主の意向にかかわらず同社が影響を与える可能性があります。また当社の経営及びその他事項のうち、同社が影響力又は支配力を有するものに関して、いわゆる利益相反取引のように、同社の利害は、当社の他株主の利害とは異なる可能性があります。これに対しては、当社は社外取締役を3名選任しており、他株主の利益保護の視点から監督の実効性を確保しております。
なお、当社が同社に対し事前承認を必要とする事項はなく、当社は独立性をもって経営の意思決定を行っております。
また、SBテクノロジー㈱との良好な関係は当社グループの事業にとって重要であり、何らかの理由により関係が悪化した場合又は悪化したと受け取られた場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②役員の兼任について
当社の取締役のうち、1名がSBテクノロジー㈱からの派遣役員です。これは、経営陣を強化することを目的としています。同社の従業員1名が取締役を務めておりますが、当社取締役7名の中の1名にすぎず、当社独自の経営判断が行える状況にあると考えております。また経営の独立性を一層高める観点から、社外取締役が3名就任しております。これにより、当社の独立性は十分に確保されているものと考えております。
また、当社の監査役のうち、1名がSBテクノロジー㈱からの派遣役員です。これは、監査経験が豊富な者を監査役とすることを目的としています。
③従業員の出向及び兼任について
当社グループでは、業務の効率性、事業上の必要性、人材育成及び各職員の将来像を踏まえたキャリアパス形成の観点から、積極的な親会社との人材交流が行われており、当連結会計年度末現在で親会社から当社へ出向している社員は2名います。当社から親会社への出向については、事業上必要と判断するもののみ実施しており、その範囲において、今後も継続する予定です。
④親会社グループ内の他社との競合について
当社は、上場しているソフトバンクグループ㈱、ソフトバンク㈱及びSBテクノロジー㈱の子会社であるため親子上場というかたちとなりますが、当社がITインフラやセキュリティサービスを提供するにあたっては上場により中立性を高め、親会社グループ外の企業との連携を加速させることが当社の成長に欠かせないとの考えに基づくものであります。
一方、ソフトバンクグループ㈱グループに属することにより、IoTなどに関する最新技術情報の共有や先進的な取り組みなど、その関係性を活かすことが当社グループの成長戦略の実現可能性を高めることにつながるものと考えておりますが、当社グループの事業の展開については、当社グループ独自に決定しており、また現在ソフトバンクグループ㈱グループ内の他社との競合関係はありません。
しかし、ソフトバンクグループ㈱及びその子会社はさまざまな事業の運営に関わり、新たな事業展開の検討を日々行っていることから、将来的に、当社グループはソフトバンクグループ㈱グループ内の他社と競合する可能性があります。当社グループとしては、それらの会社と連携を検討するなど対応を行っていきますが、当社グループの事業に何らかの影響を及ぼす可能性があります。
⑤親会社グループとの取引関係について
当社グループは、ソフトバンクグループ㈱グループ各社と取引を行っています。2022年3月に終了した事業年度における主な取引は次のとおりです。なお、親会社からの債務保証は受けておりません。
取引の内容取引先取引金額(百万円)取引条件等の決定方法
製品の販売ソフトバンク㈱443当社と関連を有しない他社との取引条件を勘案して決定しております。(注)1
賃借料の支払ソフトバンク㈱180近隣の取引実勢に基づいて、交渉の上決定しております。(注)2
リース債務の返済ソフトバンク㈱17当社と関連を有しない他社との取引条件を勘案して決定しております。
支払利息ソフトバンク㈱1当社と関連を有しない他社との取引条件を勘案して決定しております。
製品の販売SBテクノロジー㈱494当社と関連を有しない他社との取引条件を勘案して決定しております。(注)1
製品の仕入高SBテクノロジー㈱18当社と関連を有しない他社との取引条件を勘案して決定しております。
出向社員給与SBテクノロジー㈱18出向に関する契約に基づき、出向者に係る人件費相当額を支払っております。
売上日本RA㈱114当社と関連を有しない他社との取引条件を勘案して決定しております。
売上SB C&S㈱103当社と関連を有しない他社との取引条件を勘案して決定しております。

(注)1.他社と同一の価格体系に沿っており、割引についても他社と同一の条件で決定しております。
(注)2.利用面積の割合に応じて決定しております。
当社グループの独立性の観点を踏まえ、関連当事者との取引については、当該取引の事業上の必要性と取引条件の妥当性など取引内容について審議し、社内規程に定められた承認を得ることとし、取引の健全性及び適正性を確保する体制を築いています。
(8) 減損に関するリスクについて
当社グループは、新規事業であるセキュアIoTプラットフォームに関するソフトウエアなど、主に収益の獲得をするためにソフトウエアの開発を継続的に行っております。また、のれんに関しては、リネオソリューションズ株式会社の子会社化の際に計上しております。
これらのソフトウエア及びのれんは、無形固定資産に計上しておりますが、これらの資産における将来キャッシュ・フロー創出能力について毎期測定し、減損の兆候の有無を把握しております。減損の兆候が認められた資産について、減損の認識の必要性に関して詳細な減損テストを実施し、かかるテストの結果、経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により十分な将来キャッシュ・フローが見込めない資産については、相当する減損損失を計上する可能性があり、その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような影響が生じる可能性を低減させるため、当社グループでは投資実施時の計画の精査をし、将来キャッシュ・フローの獲得について確かな根拠を基にした投資を引き続き行っていくとともに、投資実行後も新規事業の収益獲得計画や出資先の事業計画の検証、定期的な収益のモニタリングを継続的に実施することで計画との乖離の有無を逐次確認し、減損の兆候の可能性がある資産の早期の把握及び適切な対応の実施をするよう努めており、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いと認識しております。
(9) 会計基準等の変更について
当社グループの取引内容が変わらない場合であっても、会計制度や会計基準の改正により会計方針を変更した場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクが中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。
(10) 新型コロナウイルス感染拡大の影響について
新型コロナウイルス感染症の拡大の長期化により、顧客企業への対面営業の制限や、経済悪化懸念やサプライチェーンへの影響等から顧客企業の投資抑制等が生じた場合や、当社グループの役職員に集団感染が生じる等によりプロジェクトの遅延等が生じたには当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。同感染症の収束時期は依然として不透明であり、現在においてリスクを定量化することが困難でありますが、このようなリスクが顕在化する可能性があると認識しております。
当社グループでは、コロナ禍における営業政策としてデジタルマーケティングに注力し成果を上げております。また、テレワーク勤務を推奨しており、また出社時にも時差出勤やアルコール消毒等感染防止に向けた対策を講じております。
(11) ストックオプション行使による株式価値の希薄化に伴うリスク
当社は、当社の役職員及び業務委託契約を締結している者に対するインセンティブを目的として、有限会社SPCトラストを受託者とする信託に割当てられた発行済株式総数の10.02%(当連結会計年度末現在)に相当する新株予約権を発行しており、交付基準日に当社が指定した役職員等に交付されます。これらの新株予約権が行使された場合は、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があり、このようなリスクが中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。
(12) 配当政策について
当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つと認識しており将来的には経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への配当を目指していく方針であります。しかしながら、当社は成長拡大の過程にあるため、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保の確保を優先し、現在のところは配当を実施しておらず、今後の配当の実施及びその時期については未定であります。
(13) 旧サイバートラスト㈱の株式について
当社は2017年10月1日に、旧サイバートラスト㈱を吸収合併したところ(詳しくは、「第一部 企業情報 第1 企業の概況 2 沿革」をご参照ください)、旧サイバートラスト㈱の株式について、以下の問題になり得る事例を認識しております。
まず、旧サイバートラスト㈱の株式について、①同社元役員がその保有する同社の株式を第三者に譲渡した後、これを転得したブローカーが、1998年頃から2010年頃までの間に、同社の株式が上場予定であるとの虚偽の事実を告げて勧誘を行い、同社の株式を個人投資家に高値で譲渡した事例、及び②同社元役員が、第三者と共謀のうえ、2003年12月頃から2008年8月頃までの間に(その一部は同社元役員が同社に在籍していた時期と重なります。)、同社株式について同様の虚偽の事実を告げて同社の株式に投資する投資事業組合への出資の勧誘を行い、その結果個人投資家から金員を詐取した事例を認識しております。しかしながら、前者の事例についてはブローカーが詐欺の主体であり、後者の事例については同社が会社として関与した事実ないし知り得た事情は認められません。したがって、いずれの事例についても同社の関与は認められず、また不法行為に基づく損害賠償責任の消滅時効期間は既に経過しているため、仮に高値で同社株式を取得した個人投資家又は詐取の被害にあわれた個人投資家が、当社に損害賠償を請求したとしても、当社が損害賠償責任を負うことはなく、したがって、当社の財政状態に与える影響はないと考えております。
次に、2002年又は2003年頃から2005年にかけて、旧サイバートラスト㈱の当時の大株主であったBaltimore社は旧サイバートラスト㈱の株式を複数回に分けて譲渡し、その65%弱を特定の投資家が取得しております。もっとも、当該投資家がその株式をBaltimore社から直接取得したのか、又は第三者を経由して取得したのかが明らかではなく、結果として当該株式の譲渡に必要であった旧サイバートラスト㈱の取締役会の譲渡承認を欠いていた可能性があります。しかしながら、①当該株式譲渡の無効を主張する可能性のある者は限定されていること、②(株式譲渡の経緯と正確には一致していない可能性はあるものの)当該投資家が株式を取得すること自体についての旧サイバートラスト㈱の取締役会の承認はあること、③当該株式譲渡からは既に相当長期間(約15~17年)が経過しているにもかかわらず当該株式譲渡の無効を主張されたことはないため、仮に当該主張がなされたとしてもこれが認められる可能性は低いこと、④上記のとおり2017年10月1日に当社と旧サイバートラスト㈱との間の吸収合併が行われ、当該吸収合併に関する合併無効の訴えの提訴期間が経過していること、及びその他の諸般の事情を考慮いたしますと、上記の旧サイバートラスト㈱の取締役会の譲渡承認を欠いていた可能性がある株式譲渡について、当社の過去の株主又はその他の者から、その無効が主張されるリスク及び当該主張が認められるリスクは低いと考えており、したがって、当社の株式の帰属が争われるリスクもまた低いと考えております。