有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/02/25 15:00
【資料】
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【項目】
135項目

事業等のリスク

以下では、当社の事業の状況及び経理の状況に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 当社の事業環境、事業内容及び法令規制に関するリスクについて
① 市場環境と競合企業について
当社が属するCPAマーケティング業界は、着実に成長を続けており、同市場が引き続き拡大することが、成長のための基本的な前提として考えております。また、同市場においては、複数の競合企業が存在し、厳しい競争環境にありますが、当社は豊富なノウハウに加え、テクノロジーを駆使することにより、差別化を図ることで、市場での認知を得ております。しかしながら、同市場における新たな規制の導入や何らかの予期せぬ要因により、市場規模が想定したほど拡大しない場合、もしくは豊富な資金力を有する企業が新規に参入し、競争が激化した場合には、当社の事業展開及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 市場動向やクライアントニーズの変化について
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、CPAマーケティング事業においては、メディアのあり方が多様化しているため、市場動向やクライアントニーズを的確に把握できずに、対応が遅れた場合には、収益性が低下し、利益を圧迫する可能性があります。そのため、当社では、効率的な管理、新規プロダクトの開発、及び既存プロダクトの改善を継続し、収益性の向上に取り組んでおりますが、それらの取り組みが想定通りに進展しなかった場合には、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定のクライアントへの依存について
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、一部のクライアントに対する売上高が大きくなっております。今後、新規クライアントの開拓及び提供サービスの差別化を図ることにより、売上高の維持拡大に努めてまいりますが、競合企業が付加価値のあるサービス提供を行う等によって、新規クライアント開拓が思うように進まなかった場合には、特定クライアントへの依存は軽減されず、取引先の業績及び取引先との取引条件等により、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、2019年4月期の当社の主要な取引先上位3社は、株式会社三井住友フィナンシャルグループ(SMBCコンシューマーファイナンス株式会社)、株式会社ランクアップ、SBIホールディングス株式会社グループ(株式会社SBI証券、株式会社SBIネオモバイル証券)であり、総取引実績に占める割合は各社15.0%、10.2%、8.2%と、各社を合計すると全体の30%を超過している状況です。また、2020年4月期第2四半期累計期間の当社の主要な取引先上位3社は、SBIホールディングス株式会社グループ(株式会社SBI証券、株式会社SBIネオモバイル証券)、株式会社クオラス、株式会社三井住友フィナンシャルグループ(SMBCコンシューマーファイナンス株式会社、株式会社三井住友銀行)であり、総取引実績に占める割合は各社28.5%、12.3%、11.4%と、各社を合計すると全体の50%を超過している状況です。そのため、上記リスクが顕在化した場合においては、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、SBIホールディングス株式会社グループとの取引は、一部直接取引を行っている他、株式会社大広等の代理店取引により行っております。
④ メディアとのパートナーシップの継続について
広告のメディア出稿において、一部の有力メディアとの取引が大きな割合を占めております。今後も有力メディア各社と良好な関係を構築してまいりますが、メディアの方針変更や、当社のサービスの陳腐化に起因し競合企業に対する競争力が低下すること等により、メディアとの関係性が変化する場合には、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 新しい広告手法の出現について
CPAマーケティングにおいて、その効果が把握し易く、費用対効果も高いことから、これまで高い成長率を維持してまいりました。しかしながら、新しい広告モデルが開拓され、それが市場に受け入れられ、当社の対応が遅れた場合には、当社の事業展開及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 個人情報保護について
インターネットを規制する国内の法令として「個人情報の保護に関する法律」があり、当社では、Cookie(クッキー)技術を利用し、当社と提携するWebサイトを閲覧したユーザーの行動履歴(アクセスしたURL、コンテンツ、参照順等)等を取得する可能性があります。現在のところ、当社の事業の阻害要因になっておりませんが、今後、インターネット広告に関するサービスを提供する上で新たな法令の制定や既存の法令が改正されたり、自主規制が求められたりした場合には、サービスの提供に制約を受け、当社の事業展開及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 法的規制について
当社の事業においては景品表示法、薬機法、医療広告ガイドライン等の法令規則及び諸規制の適用を受けております。今後、適用を受けている法令の改正や新たな法令の制定等が行われ、又は既存の法令等の解釈に変化が生じたり、もしくは、法令等に準ずる効力を持つ業界内の自主規制ルールが制定されその遵守を求められたりするような状況が生じた場合には、当社の事業展開に影響を与える可能性があります。
⑧ システムトラブルについて
当社のサービスは、Amazon Web Services(AWS)等他のクラウド・サービスのサーバー等を利用し、インターネット上での広告配信、成果の管理等をシステム化して行っておりますが、使用するハードウエア、ソフトウエア、通信回線等の不具合、人為的なミス、さらにはコンピュータウイルス、停電、自然災害等によってサービスが中断し、当社側の対応が適切に行われなかった場合には、信用低下や損害賠償請求等により、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 知的財産権について
当社では、知的財産権の保護のため、原則的には、すべての知的財産権の取得を目指す方針でおりますが、当社の知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間及び費用がかかるなど、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社による第三者の知的財産権の侵害については、顧問弁護士又は弁理士等と連携をとって、可能な範囲で調査を行い対応しております。しかしながら、当社の事業領域における第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、当社が認識せずに他社の特許を侵害してしまう可能性は否定できず、この場合には当社に対する損害賠償請求や、ロイヤリティの支払要求等が行われること等により、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 当社の事業体制に関するリスクについて
① 広告商材並びに広告表示の管理体制について
当社は、広告商材や広告表示に関して、「広告表示チェックリスト」等の運用ルールを設けており、その徹底した運用を図ることで法令遵守、公序良俗の維持に努めております。一例として、アダルト関連やギャンブル関連、霊感商法・悪徳商法とみなされるもの、風紀を乱し犯罪を誘発する恐れのある商材の取り扱いはいたしません。また、優良誤認や有利誤認、誇大表示が見受けられるような表示についても、チェックリストにより排除いたしております。しかしながら、当社の運用が徹底されず、これに違反するような広告の取り扱いが行われた場合には、レピュテーション等の影響も含めて、当社の事業展開及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 人材の確保・育成について
当社の事業は、業務の拡大に応じて、各分野における専門スキルを持った優秀な人材を確保し、維持する必要があります。しかし、適切な人材を十分に確保できず、あるいは従業員の流出が生じた場合には、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 小規模組織であることについて
当社は、テクノロジーを活用したマーケティングを軸に、クライアントの売上を伸ばすためのコンサルティングを提供しており、本書提出日現在、従業員数48名と少数精鋭で事業を展開しております。クライアントのニーズに適時に対応できる柔軟な規模でありますが、一方で、技術者の退職、長期病欠等の予期せぬ事態が起こった場合には、当社の事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 内部管理体制について
当社は、現在の事業規模に応じた内部管理体制を整備・運用しており、今後は事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も強化させていく方針であります。しかしながら、事業規模の拡大及び人員の増加に合わせ、適時に内部管理体制の強化ができなかった場合、適切な事業運営が行えず、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 個人情報の管理について
当社は、業務上クライアント等の情報を入手しているため、「情報システム管理運用規程」を定め、業務又はセキュリティ上必要なアクセス権限を設けて管理しております。また、個人情報保護法に対応するため、個人情報の適正な取扱と厳格な管理を的確に行っております。しかし、何らかの事情で顧客情報が漏洩した場合には、当社の信頼失墜又は損害賠償による損失が生じ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他
① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、取締役及び従業員に対して、業績向上に対する貢献意欲及び士気を高めるため、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権の権利が行使された場合には、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権の割合が希薄化する可能性があります。本書提出日現在、これらの新株予約権による潜在株式数は280,500株であり、発行済株式総数2,640,000株の10.6%であります。
② 配当政策について
当社は、株主還元と同時に、財務体質の強化や事業拡大及び競争力の確保を経営の重要課題として位置付けており、株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題と認識しつつ、業績の推移、財務状況、事業計画に基づく資金需要等を総合的に勘案し、内部留保とのバランスを取りながら、経営成績に合わせた利益配分を基本方針としております。現時点では、いっそうの事業拡大を目指すことが株主に対する利益還元につながると考えており、当面の間は内部留保の充実を図る方針であり、配当実施の可能性及び実施時期等につきましては未定であります。
③ 資金調達の使途について
当社の公募増資による調達資金の使途については、更なる成長に向けた開発投資や広告宣伝活動、社内リソースの獲得のための人員の増員及び採用関連費用、金融機関から運転資金を目的とした借入金の返済の一部に充当する予定であります。しかしながら、当社の遂行する業務においては急速に事業環境が変化することも考えられ、環境変化に柔軟に対応することを優先し、現時点における資金計画以外の使途へ充当する可能性があります。また、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定した投資効果が得られない可能性があります。
④ 大株主について
当社の代表取締役である小嶋雄介及び取締役松本将和(同氏の資産管理会社であるMG合同会社を含む)の所有株式数は、本書提出日現在で発行済株式総数の97.0%を所有しております。
本売出しによって所有株式の一部を売却する予定ではありますが、引き続き大株主となる見込みです。
両氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。当社といたしましても、両氏は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である両氏の持分比率が低下した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。