有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/03/02 15:01
【資料】
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【項目】
147項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書内の本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
尚、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)顧客の属する業界について
当社グループ製品の売上は、主な得意先であるヘルスケア業界及び自動車業界の景況による影響を大きく受けるため、当該業界を取り巻く事業環境等が、当社企業グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。ヘルスケア部品及び自動車部品の生産はグローバル化が進んでおり、海外生産品の品質、価格、納期などの変化、産業の生産方針の変更及び技術革新等により、当社グループ製品・技術がそのニーズを満たさない、あるいは市場から認められない場合には、当社グループの販売戦略及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(2)特定顧客への取引依存について
当社グループにおいて、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ 生産、受注及び販売の実績 ハ.販売実績」に記載のとおり、特定顧客への取引依存度が高い状況にあります。
特に当社グループはオムロングループに対して、第37期連結会計年度において2,024,194千円(連結売上高の26.9%)の売上高が、第38期第3四半期連結累計期間においては1,770,149千円(連結売上高の27.4%)の売上高があります。また、当社グループは高力科技発展(大連)有限公司へオムロングループ向けの半製品を供給しており(第37期連結会計年度で売上高983,645千円、第38期第3四半期連結累計期間で売上高687,459千円)、当該取引を含めた合計の売上高は第37期連結会計年度において3,007,840千円(連結売上高の40.0%)、第38期第3四半期連結累計期間において2,457,609千円(連結売上高の38.1%)となります。
当社グループとしては、特定顧客への取引依存度を引き下げるべく顧客基盤の拡大に努めておりますが、売上比率が高い顧客の事業環境が大幅に悪化した場合や、当該顧客が事業から撤退した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)生産拠点の集中について
当社グループは縫製品事業の生産の大半を子会社であるMatsuya R&D(Vietnam)Co.,Ltd.にて行っております。2014年12月にMatsuya R&D(Myanmar)Co.,Ltd.を設立し、血圧計腕帯の生産工程の一部を同社で行っておりますが、未だ生産の大部分はMatsuya R&D(Vietnam)Co.,Ltd.が行っております。
政治的要因による法的規制や商慣習等の違いから予測不能な事態が生じた場合や、感染症、地震等の自然災害などにより工場の操業の中断を余儀なくされた場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)海外の事業活動について
現在、当社グループは、販売の大半を海外市場に依存しておりますが、工業用ミシンを使用する縫製産業は、労働集約型産業の典型であることから、賃金水準の低い国・地域がその主要な生産地となっており、各国の縫製産業に対する政策の違いや物流面の条件などにより、生産拠点が特定の国・地域に集中する傾向も見られます。当社グループの販売先であるこのような国々の中には政治的、地政学的、経済的に不安定な国もあり、労働争議、テロ、戦争、内戦、通貨危機、感染症、地震等の自然災害などによっては、為替取引の凍結、債務不履行、投資資産の接収などにより、事業継続や海外拠点経営が困難になる可能性があります。
更に、各国の繊維製品の輸出入に関する規制の強化、あるいは急激な規制緩和が実施されることにより、工業用ミシン市場の需給関係が崩れ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、移転価格税制等をはじめとする規制・税制等の変更のような、予測できない事態の発生により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
尚、中国湖北省武漢市を中心に発生している新型コロナウィルス感染症の影響により、当社グループ主力製品の血圧計腕帯に関して、仕入先及び販売先等に中国拠点があることから、今後の経過によっては、当社グループの事業活動及び収益確保に影響を及ぼす可能性があります。
(5)品質管理について
当社グループの主な得意先はヘルスケア業界及び自動車業界に属しており、品質については国際標準化機構(ISO)などの品質管理手法を活用するなど管理を徹底し、品質管理に万全を期しておりますが、万が一、提供した製品が顧客の要求する水準に満たない場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、下記の認証等については当社グループの主要な事業活動となる血圧計腕帯を納品しているオムロングループとの取引開始及び継続にあたっての前提となります。今後、当該認証等について、各認証機関の定める取消事由に該当する場合は当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。本書提出日現在、当該認証の継続に支障を来す要因は発生しておりませんが、当該認証の継続に支障を来す要因が発生した場合には、事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
認証等の名称会社認証機関認証番号有効期限
ISO9001株式会社松屋アールアンドディ株式会社NQA-Japan201062021年6月1日
Matsuya R&D(Vietnam)Co.,Ltd.SGS United Kingdom Ltd.VN19/004042022年12月17日
Matsuya R&D(Myanmar)Co.,Ltd.Bureau Veritas Certification(
Thailand)Ltd.
TH0108632020年11月19日
ISO14001株式会社松屋アールアンドディ株式会社NQA-JapanE10982021年6月1日
Matsuya R&D(Vietnam)Co.,Ltd.SGS United Kingdom Ltd.VN19/004052022年12月17日
Matsuya R&D(Myanmar)Co.,Ltd.Bureau Veritas Certification(
Thailand)Ltd.
TH0136562022年5月15日

(6)顧客からの受託生産について
当社グループの縫製品事業の取引では、血圧計腕帯、カーシートカバー及びエアバッグ等の縫製を顧客から受託しております。当社グループとしては顧客とのコミュニケーションを密にし、先方からの内示に基づき生産数を管理しておりますが、予期せぬ仕様変更や顧客動向の変化により想定どおりの生産数を確保できなかった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)売上計上時期による経営成績への影響について
当社グループの縫製自動機事業の取引では、顧客との契約条件に従い主に検収基準にて売上計上を行っており、大型で高額な装置は納入後、検収までに1か月以上の期間を要する場合があります。このような案件が増加した場合には、その検収時期によって、四半期毎の経営成績が大きく変動する可能性があります。また顧客の都合による設計変更や検収時期の変更が発生した場合、売上計上時期が当初予定していた時期からずれることがあり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)個別受注案件の内容による利益率の変動について
当社グループの縫製自動機事業の取引では、受注案件毎の利益率は一定ではありません。従いまして、個別受注案件の積み上がり状況によって当社グループの四半期毎の利益率が変動する可能性があります。
また、戦略的に不採算案件を受注する場合や、案件によっては顧客への納期変更や大幅な仕様変更などにより当初の見積り以上にコストが増加する場合があります。
当社グループにおきましては案件ごとに採算性を管理しており、低採算及び採算割れが継続する場合は受注額の交渉等を行ってまいります。想定以上に不採算案件が積み重なった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
更に、当社グループが販売している国・地域・顧客は多岐にわたっているため、それらにおいて、固有の規制や規格の解釈、それらの適用に関する相違等が生じた場合にも、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)研究開発について
当社グループとしては縫製自動機事業において、研究開発部門への重点的な資源配分を実施することで、付加価値と特長ある製品を開発し、市場投入していきます。しかしながら、研究開発への資源配分及び研究開発のための人材確保の努力を継続する一方、技術革新に追い付き顧客や市場の需要を満たす魅力的な新製品を開発できなかった場合または研究開発の成果である新製品の市場投入もしくは市場浸透が遅れた場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)調達資金の使途について
当社の公募増資により調達しました資金の使途は、連結子会社への投融資として、研究開発資金、研究開発人員の人件費及び設備資金並びに当社の運転資金として人件費及び人材採用費や借入金返済への充当を計画したものであります。しかしながら、当社を取り巻く外部環境や経営環境の変化に柔軟に対応するため、上記計画以外の使途に充当する可能性があります。また、計画通りに資金を使用したとしても、期待通りの効果を上げられない可能性があります。そのような場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)為替リスクについて
当社グループは数多くの海外顧客と取引をしております。海外顧客との取引は外貨建て取引を採用しておりますが、現時点では為替リスク対策をとっていないことから急激な為替変動による為替リスクが生じる可能性があり、為替損失等が発生した場合には当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、為替予約をとることについては、引き続き検討してまいります。
(12)人材の確保・育成について
当社グループは、重要ポストへの人材登用、業務内容に応じた適切な人員配置を行っており、現時点の規模においては、適切かつ組織的な対応に十分な人員であると考えております。また、今後は事業の拡大にあわせて、人材の育成、人員の増強及び内部管理体制の一層の充実を図る予定であります。
しかしながら、何らかの事情により相当数の従業員が短期間のうちに退職する場合や、人材の確保・育成が予定どおり進まない場合には、業務運営の効率性が低下するおそれがあり、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)取引先の信用リスクについて
当社グループは、顧客に対して与信限度額を定めるとともに、回収方法として前受金の取得を取り入れることなどでリスク対策を実施しております。
しかしながら、このような管理により取引先の信用リスクを十分に回避できる保証はありません。
また、一定の前提、見積り及び評価が正しいとは限らず、経済状況が悪化する場合やその他の予期せぬ要因により悪影響を被る場合等においては、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)固定資産の減損損失について
当社グループの資産の時価が著しく下落した場合や事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により資産について減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)知的財産権について
当社グループは、他社と差別化できる技術とノウハウの蓄積に努めており、自社が保有する技術等については特許権の取得により保護を図るとともに、他社の知的財産権を侵害することのないようリスク管理に取り組んでおります。
しかしながら、当社グループが販売している製品や、今後販売する製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性を完全に排除することができず、訴訟を起こされる可能性もあります。
これらの要因が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)訴訟リスクについて
当社グループは、法令及び契約等の遵守に努めておりますが、事業活動を進めていく上で顧客等から訴訟を受ける可能性や、訴訟に至らないまでも紛争に発展して請求等を受ける可能性があります。また、それらの訴訟等で当社グループが勝訴するという保証はなく、それらの訴訟等が当社グループの将来的な事業活動に悪影響を与える可能性があることは否定できません。
そのような場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(17)情報管理について
当社グループは、顧客、個人情報及び受託業務に係る情報を厳格に管理しておりますが、万一このような情報が外部に流出した場合、当社グループの信用が失墜し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(18)法的規制等について
当社グループの事業に関する許認可等の直接的な法的規制はありませんが、当社グループは、製造分野における特許関連法規、工場運営における環境関連法規、人事労務における労務関連法規、その他の法的規制を受けております。当社グループが各種の法的規制を遵守できなかった場合、又は、各種の法的規制等の変更や新たな法的規制の制定が想定を超える範囲で実施された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(19)作業者の安全について
当社グループのうち、当社は、ISOが定める品質管理基準に基づいて縫製自動機の製造を行っており、当該設備を使用する作業者の安全面についても、配慮に努めております。しかし、機械の誤操作や誤作動等により、作業者の安全を完全には確保しきれない恐れがあり、瑕疵担保責任を追及される可能性を排除しきれません。
尚、当社は生産物賠償責任保険に加入しておりますが、事故の内容等によっては賠償額を十分に支払えない可能性があります。その結果として、製造物責任訴訟等の訴訟発生の可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(20)災害等による影響について
当社グループは、福井県大野市、ベトナム社会主義共和国ドンナイ省、ミャンマー連邦共和国ヤンゴン市、宮城県栗原市に工場を有しておりますが、同地域で想定を超える地震等の自然災害が発生し、工場の生産能力が減少もしくは無くなった場合には、当社グループの事業の推進及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。