有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/03/03 15:00
【資料】
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【項目】
132項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 市場動向と主要事業、事業環境の変化について
当社の主要事業であるCLOMO事業は、サブスクリプション契約により、クラウドを利用してSaaSの形態で企業向けにEMM(MDM)サービスを提供しております。顧客企業は、自社の従業員等にCLOMOがインストールされたモバイル端末(スマートフォン/タブレット端末など)を貸与し、当該モバイル端末を通して、従業員への情報提供、従業員からの成果物の受領及び従業員の就業時間の管理などを行うことができます。
ただし、当社の事業は、国内外の経済情勢や顧客企業動向に左右されるうえ、技術進化が著しく、顧客ニーズも多様化していくことから、それらへの対応が遅れた場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 特定取引先への依存について
当社の販売チャネルとしては、携帯電話販売会社や携帯電話販売代理店を通じての取引が多く、販売先の上位5社による売上が売上高の68.6%(2019年6月期実績)を占めています。当社はこれら会社と良好な関係を築いておりますが、携帯電話販売会社の予期せぬ販売方針の変更や当社の原因となる重大な不具合の発生等により、良好な関係を毀損する事態となった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 単一事業であることのリスクについて
当社の収益は、「CLOMO事業」とその関連サービスによるライセンス販売事業の単一事業です。当社が属するモバイル端末管理市場(MDM市場)の成長が想定通り進まない場合、または、当社が事業環境の変化に適切に対応できない場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 新規事業について
当社はEMM(MDM)を主たる事業としていますが、収益源の多様化のため、当社のリスクを慎重に検討しつつ、新規事業を展開する方針です。新規事業の開発あるいは収益化が計画通りに進まない場合、減損損失の計上が必要になる等、投資を回収できなくなる場合があります。また、新事業の内容によっては、事業固有のリスクが加わる場合があります。これらの新規事業の内容あるいは進捗状況によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) エンドユーザーによるモバイル端末切り替えに伴う解約リスクについて
当社は、携帯電話販売会社や携帯電話販売代理店によるモバイル端末販売と合わせて、顧客企業であるエンドユーザーと契約を行うため、エンドユーザーと携帯電話販売会社や携帯電話販売代理店の関係が悪化等の要因により、エンドユーザーが他社の販売するモバイル端末に切り替える場合に、当社による関与が及ばない状態で、当社との契約を解約される可能性があります。予算及び経営計画において、将来の解約を見込んでおりますが、当社の想定を超える解約が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(6) 競合等について
当社の属するEMM(MDM)の業界は、新規参入や他社との競合により、価格競争が激化し、想定した単価で契約ができない場合は、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、当社はApple Inc.やGoogle LLC、Microsoft Corporation等といった、いわゆるプラットフォーマーの提供するOSやインフラを利用して、CLOMOサービスを提供しています。これらのプラットフォーマーは自社でも、EMM(MDM)サービスを提供していますが、当社に対する料金体系や利用上の制約を変更した場合、あるいは当社に対するサービス提供を停止した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(7) 情報セキュリティ及び情報漏洩に係るリスクについて
当社は、業務に関連して多数の顧客企業の情報資産を取り扱っております。当社は、情報システム管理規程を策定し、役員及び従業員に対して情報セキュリティに関する教育研修を実施するなど、情報管理の徹底に努めております。しかしながら、コンピューターウイルスの混入、外部からの不正な手段による当社コンピューター内への侵入、従業員の過失による重要データの消去や従業員による不正取得の可能性のほか、何らかの理由により重要な情報資産が外部に漏洩するような場合には、当社の社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 知的財産権について
当社は、新規技術等については、国内だけではなく、シンガポールや米国など海外の特許も出願してきました。今後も、特許の取得により当社技術を確保していく方針ですが、第三者の特許が先に成立した場合は、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) システムダウン、システム障害に係るリスクについて
当社は、Apple Inc.やGoogle LLC、Microsoft Corporation等のクラウドサービスを利用してインターネット上でサービスを提供しています。従って、自然災害や事故によるインターネット通信網の損傷や予期せぬアクセス急増に伴うにサーバーダウンに起因して、当社のサービス提供に支障が生じる場合があります。そのような事態となった場合、エンドユーザーへの補償等の追加費用が発生し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 内部管理体制及びコンプライアンスに係るリスクについて
当社は、業務の適正性、財務諸表の信頼性確保のため、内部統制システムの適切な運用を行っております。また、コンプライアンスに関する規程を整備するとともに、従業員への研修など啓蒙活動を実施し、法令遵守に取り組んでおります。しかし、故意あるいは想定せざる重大なコンプライアンス違反や法令違反があった場合、当社の社会的信用が低下し、当社の事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 小規模組織であることについて
当社は、従業員が68名(2020年1月31日現在)と小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものになっております。当社は今後の事業拡大に応じて従業員の育成、人員の採用を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、急激な社員増加に対応しきれない場合や、退職が続出するような場合には、事業計画が想定通り進捗せず、長期的な競争力の低下あるいは機会損失が発生し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 特定の人物への依存について
当社の創業者であり、代表取締役社長である佐々木勉は、会社設立以来、経営方針や戦略の立案・実行、システム開発を推進し、会社を強いリーダーシップで牽引してきました。当社の保有する知的財産権のほとんどは同氏が手がけたものです。当社は各部門のリーダーに権限委譲し、安定的な経営体制を構築しておりますが、同氏に不測の事態が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、当社役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在におけるこれらの新株予約権による潜在株式数は172,200株であり、発行済株式総数5,011,350株の3.44%に相当しております。
(14) 配当政策について
当社は、成長過程にあるため、財務体質の強化に努めるとともに、優秀な人材を確保し、競争力を強化することが重要課題であると認識しています。その為、当面の間は、事業の効率化及び拡大を目的とした投資を優先する方針です。将来的には経営成績を勘案しながら、株主への利益還元を検討していく方針でありますが、現時点において、配当実施の可能性及びその時期は未定であります。
(15) ベンチャーキャピタル等の株式所有割合に伴うリスクについて
当社の発行済株式総数に対するベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下「ベンチャーキャピタル等」という。)の当社株式の所有割合は、本書提出日現在26.61%であります。当社の株式上場後において、当社株式の株価推移によっては、ベンチャーキャピタル等が所有する株式の全部又は一部を売却する可能性が考えられ、その場合、株式市場における当社株式の需給バランスが短期的に損なわれ、当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 研究開発費について
当社は、単なる受託開発ではなく、自社で開発した技術をライセンス提供するというビジネスモデルを展開しており、その根幹を支える研究開発に多くの予算を投入していく予定であります。研究開発は、調査やレポートをもとに、利用者のニーズや競合他社の動向等を予測の上、方針を決定しておりますが、予測が大きく外れた場合や、研究開発に係る方針を転換しなければならない場合には、投下した資金を回収できず、また事業の展開が遅延することにより、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 過年度の経営成績及び税務上の繰越欠損金について
当社は、過年度において、当期純損失を計上していたため、2019年6月30日末において税務上の繰越欠損金が260,458千円存在しております。一般的には、繰越欠損金を課税所得から控除することにより、税額を減額することができます。しかし、今後の税制改正の内容によっては、納税額を減額できない可能性があります。また、繰越欠損金が解消された場合、通常の税率に基づく法人税等が発生し、当社の経営成績及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。