有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/06/26 15:00
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【項目】
153項目

事業等のリスク

当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があるリスク要因として考えられる主な事項には、以下のものがあります。必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しています。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1) 景気動向及び業界動向の変動による影響について
企業を取り巻く環境や企業経営の効率化などの動きにより、デジタル・クリエイティブスタジオ事業は、関連市場が今後急速に拡大すると予測されるものの、経済情勢の変化に伴い、企業のIT投資、DX投資及び人材に対する投資が抑制される等、事業環境が悪化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 海外での事業展開について
当社グループは、日本国内のほか、ベトナムに連結子会社Sun Asterisk Vietnam Co.,Ltd.を設置し、事業を展開しています。同社は1,225(242)名(2020年5月31日現在)(注)の従業員を擁しており、当社グループとの連携・協働により主に日本の顧客のためにソフトウェア開発等を行っています。さらに、当社グループは、ベトナムのトップ大学との産学連携プロジェクトを通じてIT人材を育成しており、日本での就職を希望する学生に対し卒業後の日本のIT企業への就職支援を行っています。ベトナムの政治・経済・社会情勢の変化に伴い、事業環境の悪化や従業員の流出等が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、政治的・経済的要因により、予期できない投資規制、移転価格税制を含む税制や法的規制の変更等が行われた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、ベトナム子会社は税制優遇を受けており、ソフトウェア開発に関わる収益に対する税率は2025年までは5%、その後2027年までは10%となっています。2028年以降は通常の20%が適用される予定です。
当社グループは、今後、ベトナム以外の東南アジア展開や欧米展開等の可能性も視野に入れています。海外での事業は、グローバル経済や為替などの動向、法的規制、商習慣の相違、労使関係、外交関係など、様々な要因の影響下にあり、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、連結財務諸表を作成するにあたっては現地通貨を円換算する必要があり、換算時に使用する為替レートによっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、為替相場の変動は中長期的には平準化されるものと考え、為替予約等は行っていません。
(注)従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は()内に外書で記載しています。
(3) システム開発プロジェクトに関する採算性等について
当社グループは、システム開発の受注活動の準備段階において、予め、顧客の要求する仕様・機能その他の顧客のニーズに応えるために必要な延べ作業時間(作業工数)の見積もりを出し、その見積もりに基づいて契約しています。しかしながら、特に請負契約においては、その開発作業の過程において、仕様の変更や何らかのトラブル等が発生し、予め見積もっていた作業時間を超える作業が発生した場合には、その超えた分の費用を当社グループが負担しなければならない場合があり、また、開発したシステムの検収完了後に不具合が発生した場合においても、その解消を当社グループの費用負担で行わなければならない場合があります。したがって、これらの事象が発生した場合には、予め見積もった費用のうち超える費用を当社グループが負担し、システム開発案件の採算性が悪化することとなります。
また、請負契約においては、顧客の検収に基づき売上を計上しています。当社グループは、プロジェクト毎に進捗管理を行い、計画通りに検収が行われるよう努めています。しかし、プロジェクトの進捗状況如何により、顧客の検収時期が当初計画と乖離した場合は、当社グループの各四半期あるいは連結会計年度の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループとしてはこのようなリスクを考慮し、できる限り準委任契約を優先していますが、請負の契約の割合が高まり、かつ、上述のような事態が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 競合状況及び競争政策(価格競争)について
当社グループは、大手企業からスタートアップに至るまでの数多くの企業との取引関係の実績を積み上げ、また、国内外でのブランドを向上し、ノウハウを蓄積することにより、競合他社との差別化を図っていますが、当社グループを取り巻く市場の競争環境が激化し、コスト面や技術力等で競合他社に対し、競争優位性を確保することが困難となる場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 売掛債権等の貸倒れについて
当社グループは、受注時には信用リスクの回避のために与信枠を設定し、かつ貸倒れリスクに対して適正な会計処理を行っていますが、景気の悪化等により当社グループが計上している貸倒引当金を上回る予想し得ない貸倒れリスクが顕在化し、追加的な損失や引当の計上が必要となる場合には、当社グループの今後の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 外注先について
当社グループは、自社の人材の確保及び育成に注力していますが、一方でプロジェクトを成功させるためには、プロジェクトの各局面に応じてタイムリーに適切な外注先を確保することも必要と考えています。そのため、パートナー・外注先との関係を強化し、柔軟に事業規模の拡大が図れるような仕組み作りに取り組んでいます。しかしながら、プロジェクトに対するパートナー・外注先の関与割合が高まった場合には、顧客が要求する品質水準に達するまでに、契約時点では予見不能な追加コストが発生する可能性や、当社グループの品質水準を満たすパートナー・外注先を選定できない場合やパートナー・外注先の経営不振等によりプロジェクトが遅延する可能性があります。これらの場合、プロジェクト業績の採算の低下等により、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7) 事業の許認可について
当社グループが行うタレントプラットフォームサービスは、職業安定法第32条の4に基づく有料職業紹介事業許可、及び労働者派遣法第8条に基づく労働者派遣事業許可を受けて展開をしています。職業安定法では、人材紹介事業を行う者(法人である場合には、その役員を含む。)が有料職業紹介事業者としての欠格事由(職業安定法 第32条)及び当該許可の取消事由(同 第32条の9)に該当した場合、労働者派遣法では、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、派遣事業を行う者(法人である場合には、その役員を含む)が派遣元事業主としての欠格事由(労働者派遣法 第6条)及び当該許可の取消事由(同 第14条)に該当した場合には、それぞれ、事業の許可を取り消し、または、期間を定めて当該事業の全部若しくは一部の停止を命じることができる旨を定めています。現時点において、上記に抵触する事実はないと認識していますが、今後何らかの理由により上記に抵触した場合、許可が取り消され、または、業務の全部若しくは一部の停止が命ぜられることにより、事業活動に支障をきたすとともに、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの許認可の状況
当社グループ会社許認可の名称
許可番号
監督官庁取得年月日有効期限
株式会社Sun Asterisk有料職業紹介
13-ユ-306246
厚生労働省2013年12月1日2021年11月30日
Sun Asterisk Vietnam Co.,Ltd.職業紹介事業活動
06/SLDTBXH-GP
労働傷病
社会局
2012年10月29日2021年11月29日
グルーヴ・ギア株式会社有料職業紹介
13-ユ-306144
厚生労働省2013年10月1日2021年9月30日
グルーヴ・ギア株式会社労働者派遣事業
派13-305384
厚生労働省2013年10月1日2021年9月30日

(8) 技術革新への対応について
当社グループが主力事業として展開するクリエイティブ&エンジニアリングサービスにおいては、技術革新のスピードが速く、新言語・新技術によるサービスの導入が加速しています。このような状況の中、当社グループではこうした技術革新に対応するために研究開発活動を推進しています。しかしながら、技術革新への対応が遅れた場合、あるいは想定を上回る速度での技術革新や新技術が出現し普及した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 自然災害等について
当社グループは、日本国内のほかベトナムにおいて事業を展開しており、地震・台風等の自然災害の影響を受ける可能性があります。日本及びベトナムにおいて大規模災害が発生し、当社グループが人的及び物的被害を受けた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 感染症により想定されるリスクについて
新型コロナウイルスなどの感染症等の感染拡大によるリスクについて、当社グループは、グローバルチームでリモートワーク環境下においてもサービス提供できる体制・ノウハウを構築しており、サービス提供への影響の最小化を図っています。特にタレントプラットフォームサービスおいては、より高い経験値を持つIT人材へのニーズが高まるなど顧客ニーズの変化は出始めており、当該顧客ニーズに合わせた対応を実施しています。今後も、感染の状況等を注視しながら事業運営を行っていきますが、感染拡大の長期化により経済活動が停滞した場合には、システム開発案件の減少及びIT人材の紹介・派遣ニーズの減退を招き、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 代表取締役への依存
当社代表取締役小林泰平は、当社グループの経営戦略の立案・決定や業務上の提携先及び取引先との交渉において中心的な役割を担うほか、実務レベルでの事業運営の推進においても重要な役割を果たしています。当社グループは、同氏に対して過度に依存しない経営体制の構築を目指し、人材の育成・強化に注力していますが、依然として同氏の経営判断、行動力及び営業力等に一定程度依存している傾向にあるため、同氏が何らかの理由により業務執行できない事態となった場合、当社グループの今後の事業展開及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(12) 情報セキュリティについて(個人情報・機密情報の流出)
当社グループでは、事業遂行にあたり、顧客の企業情報や顧客が保有する個人情報等、様々な機密情報に接する機会があります。当該機密情報の外部漏洩のないよう従業員等と秘密保持契約を締結するとともに、それらの情報管理やセキュリティ管理に対しては個人情報保護規程や情報セキュリティ管理規程を整備するとともに、日本ではプライバシーマーク、ベトナムでは情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)認証を取得し、情報の適正な取扱いと厳格な管理を的確に行っていますが、万が一、これらの情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの信用低下や損害賠償責任の負担等を通じて、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) コンピュータウイルス等について
当社グループは、不正アクセスやコンピュータウイルスによる被害、内部不正者や外注先による情報漏洩等の脅威に備えるため、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得しています。また、定期的にチェックを行い、全ての役員・従業員に対する意識付けを組織的かつ継続的に行っています。しかしながら、万が一、不正アクセスやコンピュータウイルスによる被害等、不測の事態が生じた場合には、当社グループの信用低下等を通じて、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 知的財産権について
当社グループは、事業活動において、第三者の特許権、商標権等の知的財産権を侵害しないよう、常に注意を払うとともに、必要に応じて当社グループの知的財産権の登録を申請することで、当該リスクの回避を図っています。しかしながら、当社グループの認識していない第三者の知的財産権が既に成立している可能性や当社グループの事業分野で新たに第三者の知的財産権が成立する可能性があること等から、当社グループによる第三者の知的財産権の侵害が生じる可能性があり、その第三者より、損害賠償請求、使用差止請求及びロイヤリティの支払い要求等が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 訴訟について
当社グループでは、コンプライアンス規程を制定し法令遵守を徹底するとともに、コンプライアンス委員会を設置し、社内研修及び教育活動を通じて周知徹底を図るなど、法令違反等の発生リスクの低減に努めています。しかしながら、当社グループを構成する企業及びその役職員の法令違反等の有無に関わらず、ユーザーや取引先、第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。また、知的財産による訴訟についても前述の通り訴訟発生リスクが存在します。当社グループに対して訴訟が提起された場合には、その訴訟の内容及び結果によっては、多大な訴訟対応費用や企業ブランドイメージの悪化等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 人材の確保と育成について
当社グループの事業を推進していくためには、高度な専門知識、技能及び経験を有する人材の確保及び育成が不可欠です。当社グループは、ストック・オプション等のインセンティブの付与や、人材育成に係るプログラムの強化、人事評価の適正の確保、福利厚生制度の拡充、ワークライフバランスの実現等により、優秀な人材の確保・育成及び流出防止に努めていますが、予定していた人員の確保及び育成が計画どおり進まない場合や既存の人材の社外流出等があった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 今後の事業展開について
当社グループでは今後も引き続き、企業価値の継続的な向上を目指し、当社グループのノウハウを活かした収益力の高いサービスの創出及び協業・戦略的提携に積極的に取り組んでいきますが、事前に十分な検討をしたにもかかわらず、期待した成果があがらない場合や予想困難なリスクの発生により当初の事業計画を達成できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18) 新規事業について
当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するために、新規事業への取り組みを進めていく方針であります。新規事業が安定して収益を生み出すまでには一定の期間と投資を要することが予想され、全体の利益率を低下させる可能性があります。また、将来の事業環境の変化等により、新規事業が当初の計画どおりに推移せず、新規事業への投資に対し十分な回収を行うことができなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(19) 投融資について
当社グループでは、今後の事業展開の過程において、既存サービスの強化、グローバル展開の加速及び新たな事業領域への展開等を目的として、出資、設備投資、アライアンス、M&A等の投融資を実施する場合があります。投融資については、弁護士・税理士・公認会計士等の外部専門家の助言も得ながら投資リスクを十分に検討し、また、当社グループの財政状態等を総合的に勘案して決定していきますが、予定していた投融資が回収できない場合や、減損損失の対象となるような事象が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(20) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、当社グループの役員、従業員ならびに社外協力者に対するインセンティブを目的として、ストック・オプションによる新株予約権を付与しています。本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は3,740,000株となっており、発行済株式総数34,160,000株の10.95%に相当します。
これらの新株予約権が行使された場合、既存株主が有する株式の価値及び議決権割合が一定程度希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人材確保のために同様のインセンティブプランを継続して実施する可能性があります。
さらに、潜在株式の行使により取得した株式が市場で売却された場合は、需給バランスに変動を生じ、適正な株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新株予約権の詳細は「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。
(21) 配当政策について
当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、将来の事業拡大と財務体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定的かつ継続的配当を実施していくことを基本方針としていますが、いまだ内部留保が充実しているとはいえず、創業以来配当を行っていません。
将来的には、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針です。内部留保資金につきましては、事業拡大を目的とした中長期的な事業原資として利用していきます。