有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/11/25 15:01
【資料】
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【項目】
125項目

事業内容

当社が営むM&Aアドバイザリー事業は、企業が買収や合併を行う際に譲渡希望者と買収希望者の仲介(以下「仲介形式」という)、またはいずれか一方のフィナンシャルアドバイザーとして助言(以下「FA形式」という)を行うものであり、国内中小企業が当事者となる市場を主たる事業領域としております。
なお、当社はM&Aアドバイザリー事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの情報は記載しておりません。
当社は「企業の成長と変革の触媒となり、道徳ある経済的価値を創出する。」ことを企業理念と考えております。M&Aは単なるマッチングではなく、その本質的な意義は2社以上の会社が1つのグループを形成し、企業の成長を実現させていくための手段であり、これを実現させるために当社が提供するアドバイザリー業務はM&Aというプロジェクトの最適な推進を実現する「プロジェクト・マネジメント業務」と認識しております。M&Aの対象となる事業をそのビジネスモデルから深く理解し、自らが当事者の視点をもって業務にあたることで、M&Aの成約そのものは当然のこと、M&A後の事業の成功を見据えた利害関係者の調整や、各種論点の整理、課題への対応案の検討等を適切に行い、M&Aのプロフェッショナルとして、提供するサポート品質を高く維持・向上させること、即ち高品質なアドバイザリーサービスの提供を徹底しております。
当社のM&Aアドバイザリー事業は仲介形式とFA形式のいずれかで行われますが、売上の大部分を占める仲介形式の業務の流れは下記の通りです。なお、FA形式の場合は、下記の譲渡企業または買収企業の一方に対して、下記の図の記載のうち、その検討サイド(SELL SIDE又はBUY SIDE)に該当する工程を中心としたサービスの提供が行われることとなります。

(1) ソーシング・案件化フェーズ
当社は、譲渡希望者と秘密保持契約を締結し、入手した譲渡対象企業(一部の事業の譲渡の場合を含む)の情報からビジネスモデルの分析及び譲渡希望者のニーズを把握します。希望条件による譲渡を合理的に実現するための課題や論点を整理し、企業価値評価や最適ストラクチャ・譲渡スキームの検討を通して、M&Aの実現可能性を検討します。実現可能性があると当社が判断した場合には、当社内での受託承認プロセスを経て、譲渡希望者と提携仲介契約を締結します。
譲渡希望者との提携仲介契約締結を受けて、買収候補者への提案のため、譲渡対象企業の事業内容、事業特性、財務内容、譲渡条件等を取り纏め、企業概要書等のM&A検討用資料を作成します。
(2) マッチングフェーズ
譲渡希望者の希望条件、譲渡対象企業の事業内容をもとに、当社の社内データベースに蓄積された数十万の企業情報データや買収希望ニーズデータの検索、或いは当社の業務提携先企業への匿名情報(ノンネーム・シート)の共有等を通じて買収候補者を探索し、譲渡希望者の希望に沿い、かつ対象企業の企業価値を最大化しうると思われる買収候補者を選定し、匿名情報の範囲で関心の有無を打診します。
買収候補者が詳細情報の開示を希望する場合、当社は買収候補者と秘密保持契約を締結し、M&A検討用資料を提出します。買収候補者は、M&A検討用資料を精査したうえで、本格的な買収検討に進む場合には、当社内での承認プロセスを経て、譲渡対象企業の詳細に亘る情報資料集(インフォメーション・パッケージ)を提供し、当社の支援・調整のもと、譲渡対象企業の買収を検討するうえで必要なQ&Aを実施します。加えて、実際に譲渡対象企業の事業所や工場を視察いただくとともに、譲渡対象企業のオーナー経営者と面談を実施するなどして譲渡対象企業への理解を深めてもらい、買収の是非及びその基本条件等を検討いただきます。
買収候補者が買収に係る初期的な意思決定に至った場合、当社支援のもと、買収条件等を記載した「買収意向表明書」を作成いただき、譲渡希望者に対して提示します。
譲渡希望者は、買収候補者からの「買収意向表明書」を受領し、その受け容れ可否を検討します。複数の買収候補者から「買収意向表明書」が提出された場合は、受け容れ可否を検討すると共に、独占的に交渉を進める買収候補者を1社に絞り込みます。
(3) エグゼキューションフェーズ
独占的に交渉を進める1社が選定されれば、当社は買収候補者と提携仲介契約を締結し、当社の調整のもと譲渡希望者と買収候補者との間で、「買収意向表明書」に記載された条件を基に、基本的な譲渡条件について調整を行います。
基本的な譲渡条件がまとまった段階で譲渡希望者と買収候補者との間で基本合意契約を締結していただきます。その後、買収候補者が譲渡対象企業に対してデューデリジェンスを実施し、譲渡対象企業のビジネスリスク、法務リスク、財務リスク等を調査し、その調査結果を踏まえて、譲渡希望者と買収候補者で最終的な条件交渉を行いますが、当社では買収候補者がスムーズなデューデリジェンスを実施できるよう環境を整備するとともに、客観的合理的見地から、最終的な条件調整を支援いたします。また、必要に応じてスキーム提案を行うなどして、双方の要望を満たす枠組みを提供し、M&Aが円滑に実現できるよう、プロフェッショナルとしての助言を行います。
最終的な譲渡条件が決定した段階で、当社が最終契約書(譲渡スキームが株式譲渡であれば株式譲渡契約書)及び付随して必要となる各種の関連ドキュメントの作成を行います。また、並行して利害関係者との調整や、譲渡後の新経営体制の発足に必要となる各種の準備等、経営権の移転に伴い必要となる様々な課題について、その抽出と対応を当社が支援します。最終契約書の内容が確定しましたら、譲渡希望者と買収候補者との間でこれを締結します。最終契約書に規定される各種のクロージング・コンディション(実行の前提条件)の整備を支援し、これらが整えば、クロージング(譲渡の実行、対価の支払等)が行われ、M&Aにかかる一連の取引が完了します。これらの業務の完了に伴い、譲渡側と買収側の双方より成約報酬を受領いたします。
なお、当社は公的機関や金融機関、各種専門家等など多様なネットワークからの紹介を通じて案件を受託しており、当社に譲渡希望者や買収希望者を紹介された結果、当社が成約報酬を受領することとなった場合には、当社は紹介者に対し、原則として紹介料を支払うこととなります。
[事業系統図]
当社の事業系統図は以下の通りであります。