有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/11/11 15:00
【資料】
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【項目】
131項目

事業等のリスク

当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。当社は、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)事業環境に関するリスク
① 経営環境の変化について
当社のエンゲージメント経営プラットフォーム事業は企業を主要顧客としており、働き方改革やITに関する投資マインドの向上により、顧客企業を増やしてまいりましたが、顧客企業のIT投資マインドが減退するような場合には、新規契約数の減少をはじめ、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 技術革新について
当社が事業展開しているインターネット関連市場は、技術革新や新サービスの登場が頻繁に生じる業界であります。当社においても、最新の技術動向について、勉強会やセミナーなど外部有識者からの情報収集を行いつつ、新たな技術分野に明るい人材の採用や社内における教育体制の整備に努めております。しかしながら、当社が技術革新の変化に適時に対応できない場合、または、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 競合について
当社が提供する人事領域のクラウドサービスにおいては、大手・中小問わず競合企業が今も増え続けております。エンゲージメント経営プラットフォーム「TUNAG」は、「組織課題の解決」をソリューションとしており、育成、人事、労務管理、採用といった顧客側で導入されている人事領域のサービスとは直接競合せず、かつ連携※する形で導入を推進することができると当社は考えております。
※例えば、他社の組織診断結果を元にした社内制度の導入、趣味嗜好等も盛り込んだ人材データベースの構築、日報・勤怠報告の運用、リファラル採用等の協力を発信等
また、「TUNAG」はオプション機能を含めたサービスの多機能性と専任コンサルタントによるサポート体制を兼ね備えていること、及び運営ノウハウの蓄積が進むことも、優位性の確保に寄与するものと考えております。しかしながら、他社による類似サービス提供による価格競争の激化や予期しないサービスの登場などにより、当社の新規契約数や既存顧客の解約数が増加する可能性など当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 感染症や自然災害について
当社のエンゲージメント経営プラットフォーム事業は、企業の従業員が利用するサービスになるため、感染症や自然災害により、顧客及び当社従業員における勤務状況の変化や顧客企業の経営状況の悪化により、新規導入の延期や中止などに及ぶ可能性があります。また、展示会の中止や顧客への訪問制限など、営業活動に影響を及ぼす可能性があります。当事業がストック型の収益モデルであることに加え、有事の際にもサービスの提供や営業活動が行うことのできる体制整備、新規事業による収益源の多様化により、リスクの低減をすすめておりますが、想定を超える災害が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容及び当社サービスに関するリスク
① 解約について
当社サービスの契約企業に対するサブスクリプション型の売上につきまして増加傾向を続けておりますが、顧客企業の利用状況や経営環境の変化などの理由により、毎年一定の解約が発生しております。予算及び事業計画においても一定の解約数を織り込んでおりますが、想定を超える解約が発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 特定の製品への依存について
当社の売上高の大部分が、エンゲージメント経営プラットフォーム「TUNAG」により構成されております。「TUNAG」の属するHR Tech市場につきましては、今後も拡大が見込まれておりますが、上記(1)のとおり環境変化や技術革新、競合企業の新規参入などにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ システムトラブルについて
当社が顧客に提供しているアプリケーションは、クラウドという特性上、インターネットを経由して行われており、インターネットに接続するための通信ネットワークやインフラストラクチャーに依存しております。安定的なサービスの運営を行うために、サーバー環境の増強、セキュリティの強化、システム管理体制の構築等により、システム障害に対する備えをしております。しかしながら、大規模なプログラム不良や自然災害、事故、不正アクセス、その他何らかの要因によりシステム障害やネットワークの切断等予測不能なトラブルが発生した場合には、社会的信用失墜等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 重大な不具合について
当社の提供するソフトウエアはアップデートを継続的に実施しており、厳しい品質チェックを行った上で顧客への提供を行っておりますが、提供後に重大な不具合(バグ等)が生じ、信用の失墜、損害賠償責任が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 情報管理体制について
当社では、業務に付随して顧客企業に関する個人情報を含む多数の情報資産を取り扱うため、役員及び従業員に対して情報セキュリティに関する教育研修を実施しております。また、個人情報に関しては、プライバシーマークを取得し、個人情報の保護に関するマネジメントシステムを整備・運営しており、その他の情報資産についてもその運用を準用する等、情報管理体制の強化に努めております。しかしながら、何らかの理由により重要な情報資産が外部に漏洩するような場合には、当社の社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 海外展開について
当社はこれまで国内を中心に事業展開をしてまいりましたが、海外における事業展開も検討しており、グローバル版として、言語対応等のシステム開発を行ってまいりました。海外への事業展開については、進出する国の政治・経済・法規制などの様々なリスクについて、最小限となるよう十分な検討と対策を講じた上で進めていく方針ですが、予測困難なリスクが発生した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 新規事業について
当社はこれまで主として人事領域に事業展開をしてまいりましたが、事業規模の拡大と収益源の多様化に向けて人事以外の領域において新規事業を行っていく方針であります。新規事業につきましては、予め成長性やリスクを十分に調査・検討し実行してまいりますが、安定収益を創出するには一定の期間と投資を要することが予想され、全体の利益率を低下させる可能性があります。また、新規事業が想定していた成果を上げることができなかった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)組織体制に関するリスク
① 社歴が浅いことについて
当社は2016年1月に設立された社歴の浅い会社であるため、期間業績比較を行うために十分な期間の財務情報を得られず、過年度の業績のみでは今後の業績を判断する情報として不十分な可能性があります。
② 人材の確保や育成
当社が今後事業を拡大していくためには、人材の確保、育成が重要であると認識しております。しかしながら、当社が求める優秀な人材の採用が滞る、社内の人材の流出が進むといった場合には、新規顧客の営業活動の減少や既存顧客へのサービス水準の低下などにより、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定人物への依存について
当社の創業者であり、代表取締役社長である加藤厚史は、経営方針や事業戦略の決定など、当社の事業活動全般において重要な役割を果たしております。現在、当社では同氏に過度に依存しない経営体制の整備や、経営幹部の育成等に努めておりますが、何らかの理由により同氏による当社業務の遂行が困難となった場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 内部管理体制の構築について
当社は、今後の事業拡大及び人員増加に際して、内部管理体制をさらに強化する必要があると認識しております。しかしながら、事業の拡大ペースに応じた人員増強や育成、体制の構築に遅れが生じた場合、当社の事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)法的規制及び知的財産権等に関するリスク
① 知的財産権について
当社は、提供するサービスの名称につき商標登録を行っており、将来実施していくサービスについても同様に商標登録を行っていく方針であります。また、他社の知的財産権につきましても、侵害のないよう顧問弁護士等と連携し対応を講じております。しかしながら、当社の知的財産権の侵害や当社の他社知的財産権の侵害を把握しきれずに、何らかの法的措置等が発生した場合、当社の事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 個人情報保護について
当社は、提供するサービスに関連して個人情報を取り扱っているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務を課されております。当社は、個人情報の外部漏洩の防止はもちろん、不適切な利用、改ざん等の防止のため、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、アクセスできる社員を限定するとともに、「個人情報保護規程」等を制定し、全従業員を対象として社内教育を徹底する等、同法及び関連法令並びに当社に適用される関連ガイドラインを遵守しております。
また、当社はプライバシーマークを取得しており、個人情報の保護に関するマネジメントシステムを整備・運営しておりますが、何らかの理由により当社が保有する個人情報等に漏洩、改ざん、不正使用等が発生した場合、当社の社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ その他訴訟等について
当社は本書提出日現在において、重大な訴訟を提起されている事実はございませんが、事業活動の遂行過程において、取引先及び従業員等により提起される訴訟その他の法的手続の当事者となるリスクを有しています。これらの手続は結果の予測が困難であり、多額の費用が必要となったり、事業活動に影響を及ぼしたりする可能性があります。さらに、これらの手続において当社の責任を問うような判断がなされた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社が事業活動を行う中で、顧客等から当社が提供するサービスの不備、当社が提供するアプリケーションの不具合、個人情報の漏洩等により、訴訟を受けた場合には、当社の社会的信用が毀損され、当社の事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他
① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化
当社では、当社の役員及び従業員等に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しており、本書提出日現在における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は5.6%となっております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社の株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
② 過年度の経営成績及び税務上の繰越欠損金について
当社は、第1期から第4期において、経常損失及び当期純損失を計上しております。また、2019年12月31日時点において税務上の繰越欠損金が262百万円存在しております。繰越欠損金は、一般的に将来の課税所得から控除することが可能であり、将来の税額を減額することができますが、今後の税制改正の内容によっては、納税負担額を軽減できない可能性もあります。また、繰越欠損金が解消された場合、通常の税率に基づく法人税等が発生し、当社の経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
③ 継続的な投資と赤字計上について
当社は、継続的な成長のため、認知度の拡大と契約社数の増加及び優秀な人材獲得に努めてまいりました。近年、これらの取り組みを積極的に進めていることや、当社のビジネスモデル上、継続的に当社サービスを利用する顧客を増加させることで収益を積み上げ、投資回収を図る形態のため、第4期までの経営成績は営業赤字となっております。四半期会計期間においては、2019年第3四半期以降は大型展示会等の広告宣伝費における特別な支出がなければ四半期営業黒字を計上できる水準を維持しておりますが、今後も引き続き、認知度の拡大に資する活動及び優秀な人材獲得の活動を実施していく中で、想定どおりに効果が得られない場合には、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、2018年12月期における広告宣伝費は4,230千円、人件費は145,854千円、営業損失は143,736千円であり、2019年12月期における広告宣伝費49,768千円、人件費は251,897千円、営業損失は36,426千円であります。また、2020年12月期第3四半期累計期間における広告宣伝費は67,267千円、人件費は256,712千円、営業利益は11,416千円であります。
④ 配当政策について
当社は成長過程にあるため、株主に対する利益還元と同時に、財務基盤を強化すること及び競争力を確保し、積極的に事業拡大を図っていくことが重要な経営課題であると認識しております。直近の事業年度の配当につきましては、経常損失及び当期純損失を計上したこと、及び財務体質の強化のため無配とさせていただきました。内部留保資金につきましては、人材の採用、管理体制の整備、及び収益基盤の強化のための資金として、有効に活用してまいりたいと考えておりますが、今後の配当実施の可能性、実施時期については未定であります。
⑤ 資金使途について
株式上場時の公募増資による調達資金の使途につきましては、認知度向上及び顧客基盤拡大に係る広告宣伝費、事業の拡大に伴う人材確保に係る採用教育費及びオフィス移転費用、創業時の借入金の返済、事業補強のための外注・業務委託費に充当する予定です。
しかしながら、インターネット関連市場は変化が激しく、その変化に柔軟に対応するため、上記計画以外の使途に充当する可能性もあります。なお、上記計画以外の使途に充当することとなった場合、直ちに開示いたします。また、調達した資金を計画どおりに使用したとしても、当初想定していた効果を上げられない可能性があります。また、将来にわたっては、資金調達の使途の前提となっている事業計画・方向性が見直される可能性があります。
⑥ 大株主について
当社の代表取締役社長である加藤厚史は、当社の大株主であり、自身の資産管理会社である株式会社スターフロンツの所有株式数を含めると本書提出日現在で発行済株式総数の65.5%を所有しております。本株式の募集後も、引続き大株主となる見込みであります。
同人は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。当社といたしましても、同人は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同人の株式の多くが減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。