有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/02/09 15:00
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【項目】
143項目

事業等のリスク

当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある主要なリスクは以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力をしてまいります。また、当社グループとして必ずしも重要な事業上のリスクに該当しないと考える事項につきましても、投資者の判断上、あるいは当社グループの事業活動を理解するうえで重要であると考えられるものについては、投資者に対する積極開示の観点から記載しております。当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)自然災害等によるリスク
当社グループは、地震、台風、火災、洪水等の災害、地球温暖化等の気候変動の進行による影響を受けた場合、戦争、テロ行為、コンピュータウイルスによる攻撃等が起こった場合や、それにより情報システム及び通信ネットワークの停止または誤作動が発生した場合、また、強力な新型インフルエンザ等の感染症が流行した場合等には、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループの事業活動が制限され、業績に影響を与える可能性があります。
(2)法的規制等に関するリスク
当社グループは、主力であるシステムソリューションサービス事業では労働者派遣法など、様々な法令の規制を受けております。社会情勢の変化に応じてこれらの法制度の改正、強化、解釈の変更などが想定されます。当社グループは、諸法令に対し、遵法を旨として経営にあたっておりますが、その対応により新たな負担の発生や事業展開の変更を求められることも予測され、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループが提供するサービスの内、システムソリューションサービス事業は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(労働者派遣法)に基づいた一般労働者派遣事業として厚生労働大臣の許可を受けて行っております。労働者派遣法では、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、当社が一般労働者派遣事業主としての欠格事由(労働者派遣法第6条)、及び、当該事業許可の取消事由(同法第14条)に該当した場合には、厚生労働大臣が事業許可の取消、業務の停止を命じることができる旨を定めております。現時点において認識している限りでは、当社グループにおいてはこれらの法令に定める欠格事由及び取消事由に該当する事実はありません。しかしながら将来、何らかの理由により許可の取消等が発生した場合には、当社グループの主要な事業活動に支障をきたすとともに、事業遂行に支障が生じ、業績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。
また、2012年10月1日に施行された労働者派遣法改正法が当社グループの業績に与える影響は限定的でありましたが、今後の動向によっては、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループは前述の労働者派遣法の他、職業安定法、労働基準法等の労働関連法令等により、規制を受けております。法令の変更、新法令の制定、又は解釈の変更等が生じた場合、当社グループの事業が制約されることが考えられます。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、そのような事象が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
リスクへの対応策として当社管理本部にて顧問弁護士と連携し、法的規制の動向については常に注視し、臨機応変に対応できる体制を取っております。
(許認可等の状況)
許認可等の名称有効期限許認可等
の番号
規制法令所轄官庁等取消事由等
株式会社ブレーン
ナレッジシステムズ
労働者派遣事業許可
2019年4月1日~
2022年3月31日
派13-313966労働者派遣法厚生労働省労働者派遣法第6条に定められている条項に抵触した場合
株式会社
シー・エル・エス
労働者派遣事業許可
2018年3月1日~
2021年2月28日
(更新手続中)
派13-309737労働者派遣法厚生労働省労働者派遣法第6条に定められている条項に抵触した場合
株式会社アセット
コンサルティングフォース
労働者派遣事業許可
2019年10月1日~
2022年9月30日
派13-314334労働者派遣法厚生労働省労働者派遣法第6条に定められている条項に抵触した場合
株式会社セイリング
労働者派遣事業許可
2021年1月1日~
2025年12月31日
派13-300401労働者派遣法厚生労働省労働者派遣法第6条に定められている条項に抵触した場合

(3)企業の買収等に関するリスク
当社グループでは、通常の営業活動によるシェア拡大に加え、事業拡大への経営資源を取得するために、企業の買収等も積極的に推進しておりますが、それらを実施する場合には、対象となる企業の財務内容や事業についてデューデリジェンスを行い、事前にリスクを把握するとともに、収益性や投資回収の可能性について検討しています。
しかしながら、国内外の経済環境の変化等の理由から、当社グループが企業の買収等を行った後の経営、事業、資産等に対して、十分なコントロールを行えない可能性があります。また、買収等した企業の顧客基盤や人財が流出する可能性もあり、当初に期待したシナジーを得られない可能性もあります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、これらの場合、当社グループが既に投資した投資額を十分に回収できないリスクが存在し、当初の期待どおりに事業を展開できない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
さらに、当社グループが、ビジネスパートナーと合弁会社の設立や事業提携を行う場合において、当社グループが投資先を実質的に支配することや、重要な意思決定を行うことが難しい場合があるというリスクが存在し、当初の期待どおりに事業を展開できない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
リスクへの対応策として、対象企業の峻別に努めております。又、当該対象企業については外部機関を活用した十分な調査の実施、買収メリット等を総合的に勘案し検討しております。買収後はDay100プラン※作成・実行など十分なPMIを行い、速やかなリスク低減に努めております。
※買収した企業のクロージング後約3か月間(100日間)の統合基本計画
(4)人財の確保に関するリスク
当社グループの事業は、意欲と技術的専門性を有した技術者により支えられており、優秀な人財の確保と育成、また定着率が最も重要な命題となります。人財の確保については、少子高齢化による労働人口の減少、理系離れ等による専門教育を受けた新規学卒者数の減少により、中長期的には人財の確保が困難になることが予測され、またネットへの悪意ある書き込みといった風評被害等が起こった場合、採用に影響を与える懸念があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、採用において計画どおり必要とする人財を確保できない場合や離職により技術社員が大幅に減少した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
リスクへの対応策として、成果ではなく成果を生み出す行動を重視した人事制度の策定・改善や管理監督者を対象としたマネジメント研修の継続実施、24時間・場所を選ばずスキマ時間での学習が可能な当社グループオリジナルの階層別eラーニングカリキュラムや対話を重視した研究会・勉強会の補助等、社内教育プログラムの拡充等が順調に進捗していると考えられるため、こうした取り組みを今後も継続して参ります。
(5)技術者派遣事業を取り巻く環境に関するリスク
当社グループの主要事業であるシステムソリューションサービス事業は、派遣先となる大手製造業やIT関連企業の業績動向に大きく影響を受けます。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、長期にわたる景気低迷や経済環境の変化等により、取引先企業業績の悪化に伴う設備投資の抑制や研究開発の削減が長期に続いた場合、大規模な自然災害や事故等で事業活動の停止もしくは事業継続に支障をきたす事態が発生した場合、また取引先企業の開発拠点につき海外移転等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
リスクへの対応策として、取引先は特定の業種に偏ることなく多岐に渡るため、リスクの低減は一定程度図られているものと考えておりますが、取引先の分散をより進めることで更なる低減に取り組んでまいります。
(6)同業他社との競合に関するリスク
当社グループの主要事業であるシステムソリューションサービス事業は、市場に多数の事業者が存在しますが、将来、社会情勢の変化などにより労働者派遣法及び関係諸法令の変化に伴って業界再編が予測されます。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、このような環境下において、景気後退、同業他社間における価格競争の結果として取引単価が低迷した場合、また多くの待機状況が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7)経済の影響によるリスク
当社グループの事業は、国内外の経済、景気動向及び主要顧客である大手システム開発企業各社の需要の動向に影響を受ける可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、国内外の景気の大幅な落ち込みによる大手システム開発企業各社からの受注の減少などが起きた場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(8)のれんに関するリスク
当社グループは、のれんを計上しております。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、のれんの対象会社における経営成績悪化等により減損の兆候が生じ、回収可能価額がのれんの帳簿価額を下回る場合には、のれんの減損処理を行う必要が生じる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(9)有利子負債に関するリスク
当社グループは、事業基盤と収益力の拡充による中長期的な企業価値の向上のため、企業の買収等を中心とした投資を実施しております。当連結会計年度末における当社グループ連結総資産額に占める有利子負債残高(社債、借入金等)の割合は19.4%の水準であります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、今後、企業買収等により借入金等が増加した場合、有利子負債残高が増加し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(10)資金調達に関するリスク
当社グループは、必要な事業資金の一部は、金融機関からの借入等により調達しております。
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、今後、当社グループの経営成績、財政状態の悪化や金融情勢の変化等により、思うように必要な資金調達ができない場合、当社グループの事業展開及び財政状態等に影響を与える可能性があります。
(11)訴訟等に関するリスク
当社グループは、法令その他諸規則等を遵守すべく、コンプライアンス体制及び内部統制システムの強化を経営上の重要課題のひとつとして位置付け、当社及びグループ各社の役員及び従業員等に対して適切な指示、指導を実施し、反社会的勢力との関係遮断や不正行為の防止・発見のために必要な予防策を講じています。
しかしながら、当社グループ及び役員、従業員等の法令違反等の有無にかかわらず、取引先、従業員その他第三者との予期せぬトラブルないし訴訟等が発生する可能性があります。また、特許権等の知的財産権についても訴訟のリスクがあるものと考えております。
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、係る訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、多大な訴訟対応費用の発生やブランドイメージの悪化等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(12)情報システムに関するリスク
当社グループの事業活動において、情報システムの重要性が増大しております。当社グループでは、情報システムの安定的運用に努めており、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、自然災害、事故、コンピュータウイルス、不正アクセス、その他の要因により情報システムに重大な障害が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(13)情報漏洩に関するリスク
当社グループは、業務に関連して顧客の研究開発等の機密情報を知り得る可能性があります。また、技術者を含む従業員や、採用応募者の個人情報を大量に保有しております。これらの情報資産の保護や漏洩リスクを回避するため、情報セキュリティ規程を定め、関連規程を整備・運用し、教育研修等を通じて、機密情報及び個人情報の適正な取り扱いを浸透させています。
しかしながら、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、何らかの理由により機密情報及び個人情報の外部への漏洩、消失、不正利用等が発生した場合、当社グループの信用失墜、損害賠償請求の発生等により、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(14)品質や納期に関するリスク
当社グループの売上につきましては、品質管理を徹底し、きめ細かな対応を行うよう努めております。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、顧客の要望による仕様変更やトラブル等により納期が遅れた場合、売上の計上が遅れ、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(15)新株予約権の行使による株式の希薄化に関するリスク
当社は、役員及び従業員に対する長期的なインセンティブとしてストック・オプション制度を導入しております。
今後もストック・オプション制度の活用を予定しております。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合、既存の株主が有する株式価値が希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があります。
なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式は存在しておりませんが、当社は今後もストック・オプション制度を活用していく方針であります。
(16)配当政策に関するリスク
当社の利益配分につきましては、業績の推移を見据え、将来の事業の発展と経営基盤の強化のための内部留保を確保しつつ、経営成績や配当性向等を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当を継続していくことを基本方針としております。内部留保資金につきましては、存続・成長を目的とした中長期的な事業原資として利用していく予定であります。当事業年度及び前事業年度においては、将来の事業展開及び財務基盤強化のために必要な内部留保の確保を優先するために配当は実施いたしませんでしたが、上場後については連結配当性向30%を目途に継続的な配当を実施する方針です。
しかしながら、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、重要な事業投資を優先する場合やキャッシュ・フローの状況によっては、配当を実施しない、あるいは予定していた配当を減ずる可能性があります。
(17)資金使途に関するリスク
今回、当社が計画している公募増資による調達資金につきましては、主として採用費、人件費として充当する予定であります。しかしながら、急激な経営環境の変化が生じ、その変化に柔軟に対応していくため、調達資金の使途を現時点での計画以外の使途へ変更する可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、計画以外の使途へ変更が発生した場合は、速やかに開示いたします。
また、計画どおりに使用された場合でも、想定どおりの投資効果を得られない可能性があります。
(18)株式会社リサ・パートナーズとの関係
①資本関係、人的関係について
本書提出日現在において、株式会社BSH(株式会社リサ・パートナーズの運営するリサ・コーポレート・ソリューション・ファンド3号投資事業有限責任組合が当社株式の保有を目的として設立した法人)は大株主であります。また、当社の社外取締役である滝澤康之を株式会社リサ・パートナーズから招聘しております。
②今後の関係について
株式会社BSHは当社の上場において、所有する当社株式の全部を売却する予定でおりますが、一部の売却となった場合、上場後においても株式の売却を進める可能性があり、その売却規模や時期等により、当社株式の株価形成に大きな影響を与える可能性があります。
一方で、当社は、引受人に対し、売出株式のうち一定の株数を上限に、事業シナジーの創出を目的とした上場後の長期保有を前提に、当社が指定する販売先(親引け先)として株式会社リサ・パートナーズへの販売を要請する予定です。株式会社リサ・パートナーズが上限の株式数を取得した場合においても、当該売出株式の受渡期日をもって、株式会社リサ・パートナーズの保有比率は当社株式の総議決権の15%未満に留まることとなり、当社は持分法適用関連会社には該当しない見込みです。
当社は上場会社として自立した経営を維持しつつ、株式会社リサ・パートナーズからの取締役の招聘等を通じて、上場後も継続的に同社からの各種支援を享受することができ、当社の企業価値の向上を図ることができるものと考えております。
しかしながら、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、株式会社リサ・パートナーズの経営方針に変更等が生じた場合は、当社の経営成績及び株価に影響を与える可能性があります。
(19)新型コロナウイルス感染症に関するリスク
新型コロナウイルス感染症の拡大により、世界経済の減速に伴う消費活動の停滞が長期化した場合や、当社グループ従業員に感染が広がった場合ならびに取引先等が事業活動を縮小または休止される事態などが発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症等の感染症が長期間にわたり拡大・蔓延した場合、当社グループの従業員の感染リスクや人財の確保への影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、当社グループでは、これらの影響を回避又は軽減するために、取引先とも協力しながら事業所内における感染防止対策を徹底し、従業員の安全確保に務めるとともに、感染者が発生した場合の対応を検討する等、危機管理の徹底に取り組んでおります。また、在宅環境における業務・開発環境の整備を行う等、テレワークの推進にあたっております。