有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/03/18 15:00
【資料】
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【項目】
142項目

事業等のリスク

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及びその他投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を以下のとおり記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に取り組む方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、本項記載のうち将来に関する事項は、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではなく、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営環境の変化について
当社グループは、インテグレーションサービス及びクラウドサービスの提供を行っております。それぞれ顧客企業のDXの積極的な取り組みを背景として事業を拡大していく方針でありますが、今後、国内外の経済情勢や景気動向等の理由により顧客企業の取り組みが減退するような場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
現在のところIT投資は引き続き堅調に推移しており、DXも進展している状況であるため顕在化する可能性は大きくないと想定しております。対策として当社は比較的景気変動に影響を受けづらい社会インフラ関連企業(ロジスティクス、情報/通信、医療/福祉、金融等)をターゲットとしていく予定です。
(2)インターネット広告市場について
株式会社電通が2020年3月11日に発表した「2019年(令和1年)日本の広告費」によると、2019年の日本の総広告費は6兆9,381億円(前年比106.2%)となり、8年連続のプラス成長となりました。
媒体別では、マスコミ四媒体広告費(新聞広告費、雑誌広告費、ラジオ広告費、テレビメディア広告費)は前年比96.6%と連続して前年を下回った一方で、インターネット広告費は2兆1,048億円(前年比119.7%)と6年連続の二桁成長となり初めて2兆円を超えました。
当社グループのサービスの1つであるクラウドサービスが提供するインターネット広告市場は依然として拡大を継続する見通しですが、インターネット広告市場の環境整備や新たな法的規制の導入後、何らかの要因によってインターネット広告市場の発展が阻害される場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルスの影響により社会生活のオンライン化が進展しており、インターネット広告市場の発展が阻害される可能性は大きくないと想定しております。法的規制等により何らかの制限が導入された場合の対策として当社は新たな技術による代替方法を対応を進めていく予定です。
(3)特定取引先への依存について
当社はヤマトシステム開発株式会社と準委任契約を締結しており、同社への売上割合は2019年3月期において32.1%、2020年3月期においては25.0%となっております。同社は小口貨物輸送サービス事業を中核とするヤマトホールディングスの情報システム子会社であり、同グループの情報システムを中心に担っています。デジタル社会において物流インフラはますます重要になることも鑑み、同社とは今後も取引を継続する方針でありますが、相対的に同社の販売比率を下げるため、同社以外の販売先との取引を増やしてまいります。
本書提出日現在において、同社とは良好な関係を継続しておりますが、同社の経営方針変更又は何らかの事由により、同社からの受注が大幅に減少した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は同社との取引は約20年に渡っており、事業/業務の中核の一部も担っているため大きな変動が発生する可能性は大きくないと想定しております。同社グループに対してより中核的な支援を提供できるよう対応を進めていく予定です。
(4)特定役員への依存について
当社の代表取締役社長である大内慎は、当社の創業者であり、当社グループの最高経営責任者であります。当社グループの事業展開において事業戦略の策定や、営業活動、開発活動における方針決定及び重大な判断に深く関与をしております。また、各業務執行取締役は各管掌範囲において他の社員に比して豊富な経験と優れた知見を有しており、当社グループにおいて代えがたい役割を果たしております。当社グループでは、これら役員への過度な依存を回避すべく、会議体における意思決定、経営管理体制の強化、経営幹部の育成等を図っておりますが、現時点において当該役員に対する依存度は高い状況にあるといえます。そのため、何らかの理由により当該役員が当社グループ業務を遂行することが困難な状態となり、後任となる経営幹部の育成が進捗していなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)人材の確保・育成について
当社グループが提供する製品・サービスは、エンジニアの技術力に拠るところが大きく、優秀なエンジニアを安定的に確保することが重要であると認識しております。当社グループは継続的にエンジニアの採用及び育成を行っておりますが、エンジニアの採用及び育成が計画通りに進まないような場合や人材流出が進むような場合には、製品・サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
現在において毎期採用で人材は獲得できており、著しく当社事業に影響を与える状況になる可能性は大きくないと想定しておりますが、採用の困難さが高まる可能性は高いと考えております。そのため当社グループは日本国内での採用はもとよりハノイ工科大学との提携によりベトナムからの採用を強化するともに、子会社であるDIMAGE SHARE VIETNAM Co.,Ltdによるオフショア開発で補完する予定です。
(6)外注先の確保について
当社グループが提供する製品・サービスの開発は、必要に応じて協力会社等に外注しております。現状では、協力会社等と安定的な取引関係を保ち、エンジニアの確保に注力しておりますが、協力会社等において技術力及び技術者数が確保できない場合及び外注コストが高騰した場合には、製品・サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
現在のところ協力会社からの引き合いは増加しており、外注コストの高騰もみられていないため必要な技術力・技術者数が確保できない可能性は大きくないと想定しております。対策として、当社は新卒採用においては比較的採用訴求ができており堅調に人材を獲得することができているため、新卒の採用と育成の強化による早期戦力化を行っております。また、フリーランスエンジニアの活用や子会社であるDIMAGE SHARE VIETNAM Co.,Ltdで補完する予定です。
(7)情報セキュリティについて
当社グループは、クラウドによるサービス提供を行う等、情報システムに依存した事業を展開しております。当社グループは、外部からの不正アクセス等に対するセキュリティ対策や社員の機密情報の取り扱いについて取り決めをしており、プライバシーマークの取得も行い積極的に対策を講じております。また、当社のクラウドサービスにおけるクラウドサーバー等は外部のクラウドサービスを活用しておりますが、その選定にあたっては情報セキュリティが十分に担保されていることを重要な判断事項の1つとしています。しかしながら、悪意による不正行為等、何らかの理由により機密情報が外部に漏洩するような場合には、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償等により当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
対策としてセキュリティソフトの導入徹底や資産管理ツールによるPCログの管理などハード面の対応を行っているほか、情報セキュリティに関する教育を定期的・継続的に実施する等のソフト面の対応も行っております。
(8)システム障害について
当社グループが提供している製品・サービスは、クラウドという特性上、インターネットを経由して行われており、インターネットに接続するための通信ネットワークやインフラストラクチャーに依存しております。当社グループはシステムトラブルを回避すべく、安全性・可用性・冗長性・堅牢性に優れた信頼される企業のクラウド上に製品・サービスを構築しております。しかしながら、自然災害及び事故等による予測しえないトラブルが発生し、システム障害が起こり、当社グループのサービスが停止するような場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が利用するクラウドプラットフォームは世界的に信頼性が認知された企業のものであり、重篤なトラブルが発生する可能性は大きくないと想定しております。それらのクラウドプラットフォームに起因した当社クラウドサービスのシステム障害・損害については当該企業の負担とする規約・契約とすることでリスク低減を図っております。
(9)製品・サービスに関する不具合について
当社グループが提供する製品・サービスは、顧客へ提供する前に、欠陥等の不具合を発生させないよう、また、不具合が生じたとしても早期に発見し是正し得るよう体制を構築しております。しかしながら、当社グループが提供した製品・サービスに予期しがたい不具合が生じ、補修等追加コストの発生や信用の失墜、損害賠償等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が提供するクラウドサービスにおいて『admage®』は10年以上の提供実績があり安定性が高いシステムであるため上記のリスクが顕在化する可能性は大きくないと想定しております。また、『caravas』はまだリリースして間もなく不具合を改善しながら品質/機能を高めてく段階であるため一定度の補修等の追加コストは織り込んだ利益計画としております。
(10)内部管理体制について
当社グループは、今後の事業拡大に対応するため、内部管理体制を更に強化する必要があると認識しており、人材採用及び育成を行うこと等により内部管理体制の強化を図っていく方針であります。しかしながら、事業拡大のペースに応じた内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)知的財産権について
当社グループは、製品等の名称につき、商標登録を行っており、計画している製品についても商標権の取得を目指す方針であります。当社の保有する知的財産権を保護するため細心の注意を払うとともに、他社の知的財産権を侵害しないように弁理士等と連携し必要な措置を講じてまいります。しかしながら、当社グループの知的財産権の侵害や当社グループの他社侵害を把握しきれずに、何らかの法的措置等が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では定期的に当社がサービス・製品等で利用する名称等の利用状況を調査し、権利侵害の発生を防止する取り組みを行っております。
(12)ストックオプションの行使による株式価値の希薄化について
当社グループでは、当社の取締役(社外取締役を除く)、従業員及び当社子会社の従業員に対するインセンティブを目的とし、ストックオプションを付与しており、本書提出日現在における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は3.36%となっております。これらのストックオプションが行使された場合には、当社の株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
(13)税務上の繰越欠損金について
当社は、第21期事業年度末において税務上の繰越欠損金(111,519千円)が存在しております。繰越欠損金は、一般的に将来の課税所得から控除することが可能であり、将来の税額を減額することができます。今後の税制改正の内容によっては、納税負担額を軽減できない可能性があります。
また、繰越欠損金が解消された場合、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当社の当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
当社の利益計画は繰越欠損金が解消されることを前提に策定しており、リスクが顕在化する可能性は大きくないと想定しております。
(14)資金使途について
新規株式上場時に計画している公募増資による調達資金の使途につきまして、事業拡大に伴い増加する人件費や採用費、広告宣伝費等に充当する計画になっております。しかしながら、経営環境の急激な変化等により、資金使途へ予定どおり資金を投入したとしても、想定どおりの投資効果が得られない可能性があります。また、市場環境の変化が激しく、計画の変更を迫られ調達資金が計画どおり使用されない可能性があります。
(15)配当政策について
当社では、利益処分につきましては、財政状態及び経営成績を勘案して、株主への利益配当を実現することを基本方針としております。しかしながら、当社は本書提出日現在成長過程にあり、将来の事業展開と財務体質強化のために必要な内部留保の確保を優先して、創業以来2020年3月期まで無配当としてまいりました。
現在は、内部留保の充実に努めておりますが、将来的には、財政状態及び経営成績を勘案しながら株主への利益の配当を検討する方針であります。しかしながら、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。
(16)在外子会社について
当社グループは、在外連結子会社が重要な子会社であると認識しております。このため、在外子会社での内部管理体制の維持をはじめ、管理部門の人材確保など管理体制の適切な維持が重要であると考えております。しかしながら、現地での人材不足等により管理体制等が適正に維持継続できない、または人材育成が十分に進まなかった場合は、当社グループの管理体制に支障をきたすことから、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の子会社であるDIMAGE SHARE VIETNAM Co.,Ltdのマネジメントメンバーは日本の当社で新卒から勤務を経た者であり当社の価値観や考え方を備えた人材で運営されております。また今後、当社からDIMAGE SHARE VIETNAM Co.,Ltdに移る人材も増えていく予定であり、当社同様の内部管理を維持できる体制が整えられると考えており、リスクが顕在化する可能性は大きくないと考えております。また対策の一環として管理部門の採用も現在強化しております。
(17)訴訟について
当社は、本書提出日現在において、訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、販売した製品の不具合等、予期せぬトラブルが発生した場合、それに起因した損害賠償の請求、訴訟を提起される可能性があります。その場合、損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、当社の事業活動、経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(18)カントリーリスクについて
当社グループは、海外の優秀な情報処理技術者を活用するため、ベトナムにオフショア開発拠点を有しております。現地での政治的、経済的要因の悪化、法律や規制の変更、または、伝染病の蔓延や自然災害の発生など外的要因によるカントリーリスクが当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
(19)新型コロナウイルス感染症の影響について
世界保健機構(WHO)は2020年3月11日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)についてパンデミック(世界的流行)であると宣言し、当社グループとしてもテレワークを推進しつつ状況を注視しておりますが、国内及び海外主要各国において終息に向かわず、拡大が長期間にわたり続いた場合は、深刻な経済的影響が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
現在は社会生活のオンライン化が進展し、当社が支援するロジスティクス等の社会インフラ関連企業やオンライン上で提供されるサービス/エンターテインメント等の企業の状況は上向きでありリスクが顕在化する可能性は大きくないと想定しております。当社は当該リスクへの対策の一環として引き続き比較的景気変動に影響を受けづらい社会インフラ関連企業(ロジスティクス、情報/通信、医療/福祉、金融等)をターゲットとして事業を展開していく予定です。
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