有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/03/08 15:00
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【項目】
158項目

事業等のリスク

以下では、当社グループの事業の状況及び経理の状況に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクを記載しております。併せて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資者の判断に重要な影響を及ぼすと当社グループが考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。
当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境の変化に関するリスク
① 原材料の市況と業績との関係について
当社グループの商品の主原料は、国内外から調達するスケソウダラのすり身をはじめとした水産資源であります。当社グループにおいては、安定的な原材料確保に努め、これらを複数のルートから調達しております。しかしながら、水産資源の減少や漁獲規制による水揚げ数量の減少、あるいは国際的な水産資源の需要変化に伴う供給減等により、原材料の価格が上昇する可能性があります。
さらに、海外での原油等の需給逼迫が起きた場合には、包装資材、容器類等の価格も上昇する可能性があります。
当社グループでは、原料調達国の多様化及び包装資材の見直し等を進め、原材料の調達価格の安定化を図っておりますが、こうした施策が奏功せず又は想定を超えて原材料市況が高騰した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 天候の変化と売上の影響について
当社グループの食品事業部門は、主力商品が水産練り製品であるため、季節に応じて需要の変動が生じます。特に、寒冷な時期に需要が増加する商品が多く、気温は当社グループの事業に影響を及ぼす要因となります。よって、夏季の長期化や暖冬といった温暖な天候の継続が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループではこれに対して、温暖な時期の需要を取り込むための新商品開発や販売促進活動の強化等、業績への影響を最小限に抑えるための対策を講じておりますが、秋冬期に想定以上の温暖な天候、特に暖冬傾向が続く場合は、おでん種を中心に売上が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 価格競争について
当社グループは、主力商品である水産練り製品の市場環境が厳しいなかで、競合他社に対する差別化等の競争力の確保を図っておりますが、今後競争がさらに激化した場合には、販売数量の減少又は販売促進費用の増加等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 海外事業について
当社グループは、海外においても製造及び販売活動を行っております。事業を展開する各国における政治、経済、社会の変化等、予期せぬ事象により当該事業の活動に問題が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)当社グループの事業活動に関わるリスク
① 食品の安全性について
近年、食品業界におきましては、食品の安全性に対する関心が一層高まっております。
当社グループでは、顧客に安全な食品を提供するために当社商品衛生管理室及び㈱紀文安全食品センターを設置、また当社グループの工場には品質管理課を設けて品質衛生基準に基づき日々管理しております。
商品の製造ではHACCP(注)の考え方に則った衛生管理をしており、これを確実にするために、主要な工場では食品安全マネジメントシステムの認証取得を推進し、製造委託先及び仕入先についても品質衛生基準に基づく管理を行っております。
さらに㈱紀文安全食品センター及び当社グループ工場の品質管理課では微生物検査、理化学検査を実施し、食品の安全を保証する活動に努めております。
しかし万が一、提供する商品に問題が発生した場合には、社会的信用の低下等により商品の販売が悪化したり、商品の回収や損害賠償等にかかる費用が発生する等して、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また当社グループの枠組みを超えて、食品の安全を脅かすような事象や、社会全般にわたる重大な問題が発生した場合には、食品一般にかかる風評が波及して、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(注)HACCPとは、健康危害を及ぼす恐れがある危害要因をあらかじめ把握(Hazard Analysis)した上で、原材料の入荷から製品出荷までの全工程の中で、危害要因を除去及び低減させるために特に重要な工程(Critical Control Point)を管理し、製品の安全性を確保する衛生管理手法です。
② 業績の季節変動について
当社グループの主力製商品である水産練り製品・惣菜は10月~12月の第3四半期連結会計期間に需要が集中します。当社グループでは、国内において春夏商品のプロモーション展開、海外において通年での販売拡大に取組んでおりますが、第3四半期連結会計期間の売上高及び利益が他の四半期連結会計期間に比べ高くなる傾向があります。
従いまして、おでん・鍋物等の冬季需要とおせち料理等の正月商戦期間に当たる当該四半期連結会計期間の販売状況によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
連結業績(2020年3月期連結会計年度)
売 上 高営業利益又は
営業損失(△)
金額(百万円)百分比(%)金額(百万円)
当連結会計年度の第1四半期連結会計期間(4月~6月)21,22120.8△324
当連結会計年度の第2四半期連結会計期間(7月~9月)23,19922.7△242
当連結会計年度の第3四半期連結会計期間(10月~12月)32,84332.12,655
当連結会計年度の第4四半期連結会計期間(1月~3月)24,98724.4665
合 計102,252100.02,754

(注)1.当該業績数値については、EY新日本有限責任監査法人のレビューを受けておりません。
2.上記金額には消費税等を含んでおりません。
③ 為替レートの変動による影響について
当社グループは、原材料を海外から調達していると共に、海外においても製造・販売の事業を営んでおります。そのため、製商品と原材料の輸出入取引において為替変動の影響を受けております。為替変動リスクをヘッジするための為替予約取引を利用しておりますが、予測の範囲を超える急激な為替レートの変動が起きた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 顧客情報管理について
顧客情報管理につきましては、「個人情報管理規程」、「情報セキュリティガイドライン」等の社内ルールを制定・運用し、特に個人情報の取扱いに細心の注意を払っておりますが、万一外部漏洩事故等が発生し訴訟等の問題に発展した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)法的規制・訴訟に関するリスク
① 法的規制について
当社グループは日本国内におきましては、食品衛生法、食品表示法等の法的規制を受けていると共に、海外においても各国の法的規制を受けております。将来において現在予期し得ない法的規制が設けられた場合、当社グループの事業活動が制限され業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 訴訟による影響について
当社グループは、厳格な品質管理体制に基づき製品の製造をしております。
現在まで業績に影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、製品のクレームや事故による訴訟を提起された場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)自然災害等に関するリスク
当社グループの国内における工場等の事業所の多くは、東京都・神奈川県・千葉県・静岡県・岡山県・北海道に立地し、首都圏、上信越、中部、関西、中四国圏を中心に日本全国のマーケットをカバーしております。当社グループでは、非常事態時の事業継続のための供給体制を整備しておりますが、消費地又は製造拠点において大規模な地震や水害等が発生した場合には、消費地の得意先店舗の休業や当社グループ工場の操業中断による売上高の減少、さらに設備の修復のための費用の発生、物流の停滞等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新種の感染症等の世界的な大流行が発生した場合には、同様の理由により国内のみならず、海外も含めた当社グループ全体の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大しており、当社グループは感染症拡大を防止するため、衛生管理の徹底や不要不急の出張自粛・内外でのリモート会議の利用・テレワーク・時差出勤等の効率的な事業運営を実施しております。新型コロナウイルス感染症が当社グループに及ぼす影響は現時点では重大なものとはなっておりませんが、さらに感染が拡大した場合、社員の感染による操業停止や世界的なサプライチェーンの停滞等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5)財務状況に関わるリスク
① 借入依存度について
当社グループの借入依存度(総資産における長期借入金、短期借入金、社債を合計した金額の割合)は、2020年3月期で54.9%であります。借入実行に際しては金利動向に応じ、適宜、変動ないし固定金利にて調達している他、金利スワップ等のデリバティブ取引を活用することで、支払利息の増加を防いでおりますが、今後予期せず金利水準が上昇した場合は、当社グループが望む条件での資金調達が十分に行えず、業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 固定資産の減損に係るリスク
当社グループでは、2017年3月期におきまして97億17百万円の固定資産の減損損失を計上いたしました。また、2018年3月期には2億92百万円、2019年3月期においては3億96百万円、2020年3月期においては1億90百万円の固定資産の減損損失を計上いたしました。
当社グループでは生産工場の土地建物等を自社保有しており、設備投資の実施にあたっては事前に収益性や投資回収の可能性について様々な観点から検討を行っております。しかしながら、将来において事業環境の急変等により業績が悪化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 退職給付会計に係る変動リスク
当社グループの退職給付に係る資産及び負債は、年金資産と退職給付債務の動向によって変動します。
退職給付費用及び退職給付債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算定されております。その前提条件が変更された場合や企業年金基金の運用成績が著しく悪化した場合には、年金資産、退職給付債務及び退職給付費用が大きく変動し、当社グループの財政状態または業績に影響を及ぼす可能性があります。