有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/05/07 15:00
【資料】
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【項目】
156項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)特殊なリスク
①新型コロナウイルス感染症について
新型コロナウイルス感染症拡大に対して当社グループは、顧客、従業員を含むステークホルダーの安全確保を目的に、従業員の在宅勤務を推奨するほか、テレビ会議の活用、マスク着用の徹底、不要不急のイベント開催や国内外の出張取り止めなどを積極的に実施してまいりました。各事業では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、ITソリューション事業において、IT投資抑制や大型投資抑制が続いており、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた予算を策定していたものの、2021年1月に首都圏などに対し、二度目の緊急事態宣言が発出され、顧客の予算凍結による案件の消失、延期が発生し、業績に影響が出ております。しかしながら、2021年3月以降は、延期案件の受注が再開するなど受注動向は回復傾向にあります。ビジネスプロダクト事業においては、期初にこそ展示会の中止や営業機会の損失など新型コロナウイルス感染症の影響を受けましたが、ニューノーマルに対応した営業活動(オンライン対応、Webセミナー等)や、再開した展示会等での成果が見込め業績への影響は回避できる見込みです。
今後、事態がさらに、深刻化・長期化した場合には、顧客の投資意欲減退による商談の減少や客先訪問の制限によるサービスレベルの一時的な低下が生じる等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
一方、新型コロナウイルス感染症拡大により、テレワークの導入やクラウド化の加速など新たなニーズも期待されております。
当社グループは、このリスクを特殊なリスクと位置づけ、今後もモニタリングを実施し、対策の検討・見直しを継続的に行ってまいります。
(2) 事業内容について
① 経済環境の変化に伴うIT投資動向等について
当社グループのITソリューション事業及びビジネスプロダクト事業は、IT投資動向の影響を受けます。経済環境の悪化や景気低迷により、顧客企業のIT投資意欲が減退するような場合には、受注の減少、保守・運用契約の解約等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② ゲーム市場について
当社グループのゲームコンテンツ事業が属するゲーム市場は、ゲームアプリの活況やeスポーツの台頭等により、当面市場拡大が続いていくものと見込んでおります。しかしながら、予期せぬ法的規制やソーシャルゲームプラットフォーム事業者等の動向変化により、ゲーム市場全体の成長鈍化、急激な環境変化が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新について
当社グループのITソリューション事業及びビジネスプロダクト事業が展開しているITサービス業界は、絶えず技術革新がなされ、それに伴う新サービスの提供も頻繁に行われております。当社グループでは、常に市場動向を注視し技術革新への対応を講じておりますが、何らかの理由で技術革新への対応が遅れた場合、あるいは想定していない新技術・新サービスが普及した場合、当社製品の陳腐化、競争力の低下を招くおそれがあり、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 特定タイトルにおける収益依存について
当社グループのゲームコンテンツ事業では、売上高の大部分が特定のタイトルに依存する状況にあり、当連結会計年度におけるゲームコンテンツ事業の売上高に対して、「ヴァンパイア†ブラッド」の売上高が2020年5月期で44.7%と大きな割合を占めております。当社グループとしましては、他タイトルのサービス拡大や継続的な新タイトルの開発等を推進し、タイトル別売上高の平準化に努めていく所存でありますが、同タイトルの収益が当社グループの想定を大きく下回る場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 外部委託先業者の活用について
当社グループのITソリューション事業における受託開発業務では、開発業務の一層の内製化を図る一方で、生産能力の確保、効率化向上等を目的に一部業務を外注委託先業者に委託しており、国内外で広く優良な委託先の確保に努めております。そのため、委託外注費の高騰等、何らかの理由により、当社が事業運営上必要とする業務委託量に対し、十分な外注委託先業者を確保できなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑥ 受託開発における見積違い及び納期遅延等の発生について
当社グループの受託開発業務では、案件の作業工程に基づき必要工数やコストを予測し見積を行っておりますが、すべての案件に対して正確に見積もる事は困難であり、工数の増加等により実績額が見積額を超えた場合には、低採算または採算割れとなる可能性があります。また、当社が顧客との間で予め定めた期日までに作業を完了・納品できなかった場合には遅延損害金、また最終的に作業完了・納品ができなかった場合には損害賠償責任が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 重大な不具合について
当社グループは、プロダクト開発における不具合をなくすことを重要な課題と認識し、開発段階から十分なテストを行うことはもちろん、出荷段階においてもテスト・検査を入念に実施し、品質向上に努めております。しかしながら、各ハードウエアの環境やフレームワークとの相性もあり、不具合を皆無にすることは困難であります。当社の過失によるシステム不具合が顧客に損害を与えた場合には、損害賠償責任の負担及び当社グループの社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ ゲームコンテンツ事業のゲーム内課金ビジネスについて
オンラインプラットフォームゲーム市場においては、現在、利用者が基本無料でプレイできるゲームが主流となっており、当社グループのタイトルにおいてもゲーム内課金による収益が主な収益源となっております。当社グループは、利用者の求めるサービスを提供し安定的に継続した収益を得られるよう努めております。しかしながら、利用者の嗜好に合わない設計、あるいは利用者の嗜好に大きな変化があった場合、実際の課金件数、課金額が当社想定と大幅に乖離する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 事業体制について
① 人材の確保と育成について
当社グループが継続的に事業拡大していくためには、優秀な人材の確保及び継続した育成が極めて重要な課題と認識しており、人材の確保に向けた採用活動を積極的に行うと同時に研修制度及び評価制度の拡充等各種施策の推進に努めております。しかしながら、当社グループが必要とする人材を十分に確保できなかった場合、あるいは中核となる人材の流出等があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 内部管理体制について
当社グループは、経営の健全性・適切性の確保を目的に、法令及び企業倫理に沿った各種規程の制定・整備、監査役会及び内部監査室による法令・ルール等の遵守状況の確認を実施し、適切な内部管理体制の構築、維持に努めております。しかしながら、法令に抵触する事態や内部関係者による不正行為等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 法的規制について
① 労働者派遣における法的規制等について
当社グループのITソリューション事業における一部業務は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に基づく労働者派遣事業の許可(般13-301767)及び「職業安定法」に基づく有料職業紹介業の許可(13-ユ-304584)を取得し行う「労働者派遣事業」に該当します。当社グループは関係法令の遵守に努めており、当該法令に抵触する事実はないものと認識しております。しかしながら、派遣元事業主として欠格事由及び許可の取消事由に抵触し、監督官庁より業務の停止処分等を受けた場合、グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 下請代金支払遅延等防止法について
当社グループが属する情報サービス業界は、技術者不足が常態化しており、当社グループはビジネスパートナー事業者と業務委託契約を締結し、業務を委託しております。パートナーとの多くの取引が「下請代金支払遅延等防止法」(以下、下請法という)対象取引に該当します。当社グループは、委託にあたり法令遵守を徹底しておりますが、運用の不備等により、下請法に抵触し監督官庁より勧告等の処分を受けた場合には、当社グループの信用が失墜し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 重要な訴訟について
当社は、株式会社Verveに対して開発委託したソフトウエアについて、開発遅延及び動作不良を主たる理由として検収及び支払を拒絶しており、このため、同社より29,937千円の代金支払請求の訴訟を提起されております。当社としては、検収及び支払を拒絶していることに法的正当性はあるものと認識しておりますが、訴訟の推移によっては、今後の業績に影響を及ぼす可能性もあり、現時点ではその影響を予測することは困難であります。なお、本件に関しましては、2018年2月に同社に対しまして東京地方裁判所に損害賠償請求事件として反訴を行っております。
(6) その他
① 情報管理について
当社グループは、業務上入手する機密情報、個人情報等の管理を徹底することはもとより、当社グループ自体の保有する機密情報やノウハウの社外流出を防止することを経営上の重要課題の一つと位置付けております。そのため、情報管理については、代表取締役社長を最高情報セキュリティ責任者とした内部情報管理体制を整備・運用しております。また社内規程の整備、研修の実施等により、全役職員に対し、情報の取扱い方法等について徹底した教育と社内啓発を行い、情報管理意識の向上に努めております。
しかしながら、不正アクセスその他の原因により、情報漏洩が発生した場合には、損害賠償請求や謝罪金の発生、社会的な信用の失墜等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産権の侵害について
当社グループは、提供しているプロダクトやサービスの名称について商標登録をしております。また、当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないよう常に注意を払って事業展開を行っております。しかしながら、当社グループの認識の範囲外で第三者の知的財産権を侵害する可能性があり、過失により当社グループの役員あるいは、従業員が第三者の知的財産権を侵害する事態が発生した場合には、その第三者より損害賠償請求及び差止め請求等の訴訟を起こされる可能性があるほか、当社グループの社会的信用の失墜により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 自然災害、事故等について
当社グループでは、自然災害、事故等に備えサーバーの分散化、定期的なバックアップ、稼動状況の監視によりシステムトラブルの防止や回避に努めております。しかしながら、大地震、台風等の自然災害や事故等により、設備の破壊や電力供給の制限等、事業継続に支障が生じた場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 海外子会社の事業活動について
当社は、中国の子会社においてビジネスプロダクト事業を行っております。海外での事業展開には、様々な潜在的リスクが伴い、当社にとって望ましくない政治的・経済的要因により、輸出入管理・投資規制・収益の本国送金規制・移転価格税制等に関する予期できない法律・規制の変更等のリスクに直面する可能性があります。また、海外拠点での人材確保や管理運営において困難に直面する可能性があります。