有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/05/21 15:00
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【項目】
139項目

研究開発活動

研究開発の基本方針
当社グループでは、今後の市場ニーズや技術動向を先取りした製品を提案し、未来に貢献する銅箔を製品化することを開発の基本方針とし、当社にて研究開発を行っております。
また、改正RoHS指令(Restriction of Hazardous Substances:電子機器における特定有害物質の使用を制限するEU(欧州連合)の指令)をはじめとする有害物質規制に適応し、顧客ニーズに対応する製品を提供します。
第4期連結会計年度(自 2019年4月1日 至 2020年3月31日)
当連結会計年度における品目別の研究開発活動の状況等は以下の通りです。
(1) 車載電池用銅箔
電動自動車の高性能化に伴い、LIBの高機能化、次世代電池の開発のため、負極集電体に用いられる電池用銅箔にも様々な特性が要求されています。各種電池の技術要求に対応するため、当社では多様な電池用銅箔の研究開発を進めております。
車載電池用銅箔においては、国内外EV関連企業と共同で、
① 高容量化を実現する先進LIBに対応する銅箔
② 全固体LIBに対応する銅箔
③ 新原理により性能を大幅に向上させた革新型蓄電池に対応する銅箔
について各々研究開発を進めました。
①の高容量化を実現する先進LIBに対応する銅箔については、充電時間の短縮(高容量・高エネルギー密度化)や航続距離・加速性能の向上等を実現するため、高強度・高密着性表面処理銅箔の研究開発に取り組み、国内電池メーカーや負極材メーカーによる評価段階に入っております。
②の全固体LIBに対応する銅箔については、安全性・信頼性の飛躍的向上、高エネルギー密度化等を実現するため、硫化銅生成反応防止表面処理の研究開発に取り組み、国内外の自動車メーカーによる評価段階に入っております。
③の新原理により性能を大幅に向上させた革新型蓄電池に対応する銅箔については、フッ化物電池、亜鉛負極電池等の革新型蓄電池に必要な銅箔の開発に着手しております。
これら車載用電池の技術シフトのイメージを図示すると以下の通りとなります。
<車載用電池の技術シフトイメージ>
(出典 : 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構ホームページ)
(2) 回路基板用銅箔
移動体通信の5G規格に代表される高周波領域に対応するため、また、HDI(高密度相互接続)基板に用いられる微細配線に対応するため、銅箔にはより低い表面粗さが要求されます。
回路基板用銅箔においては、
① 5G(高速通信)に対応する銅箔
② HDI(高密度相互接続)に対応する銅箔
について各々研究開発を進めました。
①の高速通信に対応する銅箔については、電気信号損失を最小に留める表面処理の研究開発を進めました。また②の高密度実装配線に対応する銅箔については、エッチング法シングルプロセスによる回路形成が可能な結晶構造を持つ製品の研究開発を進めました。
当連結会計年度における研究開発費の総額は110百万円です。
第5期第3四半期連結累計期間(自 2020年4月1日 至 2020年12月31日)
第5期第3四半期連結累計期間においては、車載電池用銅箔、回路基板用銅箔ともに、第4期に引き続き同じテーマでの研究開発に取り組みました。
なお回路基板用銅箔においては、①の高速通信に対応する銅箔について、通信速度の高速化を実現した製品の開発が完了し、一部で販売を開始しました。また②の高密度実装配線に対応する銅箔については、微細加工が可能な結晶構造を持つ銅箔の製品化が概ね完了しました。
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は106百万円です。