有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/08/25 15:00
【資料】
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【項目】
148項目

研究開発活動

当社グループの研究開発活動は、すべてAsReader事業に属しております。
当社グループの研究開発の大部分を当社が行っており、一部ハードウエア及びソフトウエアの開発を中国の子会社(大連明日星科技有限公司)が担っております。顧客企業がIoT活用やDXなどを推進することができるようなAsReader製品の開発を進めています。
第14期連結会計年度(自 2019年9月1日 至 2020年8月31日)
より多くの顧客企業にご利用いただけるようAndroidに対応した製品を開発、またAsReaderの新規格となるAsLockの対応製品など開発を進めてきました。AsLockは、スマートフォンの業務利用をより容易にする新規格として開発しました。既存の製品群はスマートフォンとリーダーを接続してからケースを被せて固定する方式でしたが、AsLockではスマートフォン側にAsLockアダプタを取り付けることによって、リーダー機器とスマートフォンの通信的な接続と物理的な固定を同時かつ容易に行うことを実現しました。合わせてこのAsLockに対応する製品群の開発も行い、リリースしております。
また自動認識の分野では目に見えるものを識別する画像認識技術と、目に見えないものを識別するRFID技術を2つの柱とし、それぞれの新製品に繋がる基礎技術の研究を行っております。主な研究開発の成果は以下のとおりであり、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は13,773千円となりました。
(1)画像認識技術に対する成果
人検出・動体追跡、画像合成、画像追跡などの技術開発を実施しました。この技術は、例えば店舗において、店員が商品読み取りの後、顧客が複数の精算機から任意の精算機を選択して精算する場合に、顧客を動体追跡することで顧客と精算機を紐づけて適切な精算が可能になるなど、セミセルフレジへの応用が見込まれます。当社独自のAIを、当社プログラム内のディープラーニングにて進化させることでより高精度のオペレーションを可能にします。
(2)バーコード画像認識技術としての成果
バーコード画像認識技術の研究開発により、AsReader カメラタイプの性能向上を実現しました。スマートフォンのカメラを利用しても、30回/秒読み取り速度を実現させております。またバーコードに対応する製品としては、指に装着して使用するAsReader フィンガータイプや10m以上先のバーコードを読み取りできるGUNタイプの長距離バーコードリーダーを開発してリリースしています。
(3)ハードウエアとしての成果
スマートフォンの業務利用をより容易にする新規格「AsLock」を開発、スマートフォンとリーダー機器の簡単な着脱と確実な接続方法を確立しました。合わせてこのAsLockに対応する製品群の開発も行い、リリースしています。また、日本のスマートフォン市場でシェアを伸ばしているAndroid対応の製品群の開発も行っております。iOS(iPhone、iPod touch、iPad等) 対応製品として従来より取り扱っているバーコードやRFIDのリーダー製品と同等のAndroid対応製品をリリースしています。
(4)RFIDに対する成果
①AsLock対応のRFID製品の第一弾として長距離読み取り型のGUNタイプの開発を行っております。RFID技術の研究開発により、1,000回/秒の読み取り速度を実現しました。この結果、棚卸し業務などの効率化をより推進することを可能としました。
②AsReaderとして新たなRFIDの周波数帯であるLF帯に対応した製品も開発を行っております。LF帯は牛などの家畜管理に用いられており、特に北米市場でニーズの高いものでありますが、AsLockに対応したことで、同じく開発を進めているUHF帯の製品と簡単に付け替えて使用することが可能な製品となります。
③POSレジ等への対応機種の研究開発も継続して行っております。多くの店舗で利用されているiPadに対応したWiredBOXタイプを開発、iPadでの運用の課題であった通信の安定性や充電制御を可能としました。またレジでのRFIDの読み取りを簡単にするReading Tubを接続することでRFID対応のセルフレジの構築を簡易に行うことが可能となりました。
④RFID活用の上で合わせて必要となるセンサー技術の研究も行っております。RFIDを活用した入出庫の管理で必須となるRFID読み取り用ゲートを開発、センサーを活用して読み取り対象のRFIDの搬送を制御し、読み取り精度の向上を可能としました。
(5)IrDAに対する成果
自動販売機の販売情報等を赤外線通信で読み取るリーダー市場にて、既に展開しているiPhone用の製品に加えてAndroid対応製品を開発しました。スマートフォンに有線接続して利用できる唯一のIrDAに対応した赤外線通信リーダーとして本市場に本格展開を行っております。
第15期第3四半期連結累計期間(自 2020年9月1日 至 2021年5月31日)
当社グループの研究開発活動は、すべてAsReader事業に属しております。当第3四半期連結累計期間における主な研究開発の成果は以下のとおりであり、当社グループ全体の研究開発費は、14,411千円であります。
(1)画像認識技術(モノ認識、人追跡)に対する成果
前期から引き続き人検出・動体追跡、画像合成、画像追跡などの技術開発を実施しました。研究内容としては仮想エリアを設定し、その指定エリアに人や人体の一部(指定した部位)が侵入したことを検出する技術、その検出を高速化させるために2020年11月に当社が展示会やホームページで発表した「画像認識による人検出と動体追跡技術」をベースに、姿勢推定(Human Pose Estimation。人物の骨格データを検出する技術。)に基づく人追跡・動体予測などの研究を行いました。
この研究開発結果より製品単体で人監視して通知できる新製品「AsWatcher」を開発し、特許の出願と合わせて2021年7月の展示会で製品発表しています。
(2)RFIDリーダーの読み取り部分とスマートフォンの間を伸縮させる方法の成果
2020年8月に発表したRFIDリーダーのエクステンドタイプは倉庫の高所など離れたところにあるタグを読み取りできるよう、RFIDの読み取り部が伸縮しますが、この読み取り部と手元にあるスマートフォンの間は有線で接続しています。この接続で通信と電力の供給を行いますが、製品として安定した動作を行うための、回路設計やケーブルの研究を行いました。
結果として伸縮されるために2m以上の長さを有線接続で安定させることは困難と判断し、有線は電源だけとし通信は無線での方式に変更して製品のコンセプトを変更し研究開発を継続しています。
(3)RFIDリーダーの拡張ワイヤレス機能の成果
AsReaderのGUNタイプ 2種にワイヤレス通信の機能を追加できるアダプタを開発しましたが、このアダプタだけでAsReaderを動作させる方法の研究を行いました。またこのアダプタは単にワイヤレス通信できるだけではなく、一時的にアダプタ内部に読み取りデータを取り込みすることができます。この取り込み方式と取り込みデータを外部に受け渡す方法の研究を行いました。
この研究開発結果より新製品「AsBridge」を開発、現在、営業用サンプルの準備中です。
(4)複数のバッテリーを重ねて充電する方法の研究開発の成果
スーパーマーケットなどの買い物カゴにカメラをつけて、お客様が商品を買い物カゴに入れるタイミングで商品を読み取りするシステムを製品として検討しておりますが、買い物カゴにつけるカメラを動かすためにはバッテリーが必要となります。このバッテリーを充電するために、買い物カゴを重ねて置いている時に、上に積まれているカゴから順番に充電するシステムの研究を行いました。
この研究開発についてはまだ継続して課題事項の対応や仕様の検討を続けています。