有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/08/23 15:00
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122項目

事業等のリスク

当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。
当社はこれらのリスクの発生可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容を慎重に判断した上で行われる必要があると考えております。なお、以下の記載事項は、本書提出日現在の事項であり、将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。また、以下の事業等のリスクは、全ての事業活動又は投資判断上のリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
① 市場動向について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社の事業領域であるインターネット広告業界における市場規模は、株式会社電通の『2020年日本の広告費』によると、2019年度で約2兆1,048億円、2020年度で約2兆2,290億円となっております。
新聞、雑誌、ラジオ、テレビというマスコミ4媒体の広告費がデジタル広告にシフトしており、2019年度にはインターネット広告費がテレビメディア広告費を初めて上回りました。自社プラットフォームを保有する媒体社も、運用型の機能拡充とその広告販売に一層注力し始めております。また、各種コンテンツメディアについては、収益基盤となる運用型広告プラットフォームの活用を進めております。さらに、Eコマースメディアにおける広告市場も急速に成長しており、今後もインターネット広告市場規模は拡大していくと見込まれております。しかしながら、インターネットに限らず、広告事業は一般的に景気動向の影響を受けやすい傾向があります。今後、景気の悪化、広告予算の減額、または市場規模が想定したほど拡大しない場合、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
② 技術革新について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社はインターネット関連技術に基づき事業展開しておりますが、インターネット関連分野は新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われており、非常に変化の激しい分野となっております。また、広告を表示するデバイス面においては、スマートフォンやタブレット等の端末の普及が急速に進んでおり、新技術に対応した新しいサービスが相次いで展開されております。このため、当社は最新の技術動向や企業ニーズ等に注視するとともに、新技術及び新サービスの開発を継続的に行うために、優秀な人材の確保及び育成に取り組んでおります。しかしながら、激しい環境変化への対応が遅れた場合には、当社の事業の陳腐化、競争力の低下が生じる可能性があります。また、環境変化への対応のために新技術及び新サービスに多大な投資が必要となった場合、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 競合について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
インターネット広告市場においては多くの企業が事業展開をしております。当社は、インターネット広告市場において当社が蓄積してきたノウハウや優秀な人材を活かして、高付加価値サービスの提供等に取り組み、競争力の向上を図っております。
しかしながら、当社と同様のサービスを展開する企業等との競合激化や優秀な人材の確保ができず十分な差別化が図られなかった場合、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 法的規制について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
現在のところ、当社の事業領域であるインターネット広告事業に関する直接的な法的規制はございませんが、インターネット広告業界の自主規制としては、1999年5月にインターネット広告推進協議会として発足し、2015年6月に日本インタラクティブ広告協会(Japan Interactive Advertising Association:以下、「JIAA」という)と改称した一般社団法人が、「インターネットを利用して行われる広告活動が、デジタルコンテンツやネットワークコミュニケーションを支える経済的基盤である、という社会的責任を認識しながら、インターネット広告ビジネス活動の環境整備、改善、向上をもって、クライアントと消費者からの社会的信頼を得て健全に発展し、その市場を拡大していくこと」を目的として活動しております。現在はこのJIAAへの加盟が、インターネット広告業界企業の健全性を示すこととして認識されているため、JIAAへの加盟及び行動憲章の遵守等が影響を与えております。当社は2018年8月にJIAAに加盟しております。
また、その一方で顧客業界への法的規制等が、当社業界に間接的な影響を与える可能性があります。たとえば、顧客企業が個人情報を扱う場合、「個人情報の保護に関する法律」の規制を受け、当該法律に違反すると、刑事罰のみならず多額の民事賠償が発生することもあり、顧客企業の経営に影響を与え、その結果取引が減少する可能性があります。同様に、2018年5月からEU諸国にて施行された「一般データ保護規則(General Data Protection Regulation:以下「GDPR」という)」は、IPアドレスやCookieのようなオンライン識別子も新たに個人情報とみなされるようになり、取得する際にはユーザーの同意が必要となりました。このGDPRに違反すると、最大で企業の全世界年間売上高の4%以下もしくは2,000万ユーロ以下のいずれか高い方が適用され、EU諸国に子会社や支店等を有している日本企業、日本からEU諸国に商品やサービスを提供している日本企業、EU諸国から個人データの処理について委託を受けている企業等の経営に大きな影響を与え、 その結果取引が減少する可能性があります。その他、クライアントから委託を受けた広告内容について、「不当景品類及び不当表示防止法」等の規制法の影響を受け、医療や食品等特定の業種に関わる広告内容の場合には、それらの業種や商品の広告に関する規制の対象となります。
当社では「リスク・コンプライアンス規程」を制定し、当社の役職員が遵守すべき法的規制の周知徹底を図り、また「内部通報規程」の制定等によって速やかに法令違反行為等の情報を収集する体制を構築しております。しかしながら、上記の対策を講じているにもかかわらず、万が一何らかの理由により関係法令等の規制が遵守できなかった場合や今後インターネットの利用や関連するサービス及びインターネット広告を含むインターネット関連事業を営む事業者を規制対象とする新たな法令等の規制や既存法令等の解釈変更(例えば、Cookieの使用の制限など)がなされた場合には、当社の事業が新たな制約を受け、または既存の規制が強化された場合には、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
(2)事業内容に関するリスク
① 新規事業について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は事業規模の拡大及び収益基盤の強化のため、今後も新サービスもしくは新規事業の展開に積極的に取り組んでまいります。新サービス及び新規事業の創出にあたっては、その市場性や採算性、計画の妥当性等を検証した上で意思決定を行っておりますが、市場環境の変化や競合等により、想定外の人件費やシステム開発費等の追加的な費用が発生し、安定的な収益を生み出すには時間を要することがあります。また、新サービス、新規事業の展開が当初の計画どおりに進まない場合には、投資回収が困難となり、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
② プライバシー保護について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、個人情報及び利用者のプライバシーを尊重し、「個人情報の保護に関する法律」、「EU(欧州連合)一般データ保護規則(GDPR)」等の法令を遵守しております。特に広告事業においては、プライバシー保護に対する社会的要請の高まりを受け、生活者のデータの保全・主権に資する広告手法が求められるようになってきております。当社は従前よりインターネット広告の透明性・信頼性を高める活動を続けており、今後もこうした活動を続けることで社会の要請に応えてまいります。
しかしながら、プライバシー保護に関する各種規制が変更され、当社としての対応が遅れた場合、当社の社会的信用の失墜又は損害賠償請求の発生等により、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 知的財産権について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
本書提出日現在、当社は第三者より知的財産権の侵害に関して第三者の知的財産権を侵害した事実や損害賠償及び使用差止の請求を受けた事実はありません。今後においても、侵害を回避すべく監視及び管理を行ってまいりますが、当社の事業領域において当社の認識していない知的財産権が既に成立している可能性または新たに第三者の知的財産権が成立する可能性もあり、当該侵害のリスクを完全に排除することは極めて困難であります。万が一、当社が第三者の知的財産権等を侵害した場合には、損害賠償請求、差止請求や使用許諾料の支払請求等により、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は必要に応じて商標権等の知的財産権の申請を行っておりますが、当社の知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間や費用を要する等により、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
④ システム障害について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社はインターネット関連技術に基づき事業を展開しており、自然災害、火災等の事故、人為的ミス、通信ネットワーク機器の故障、ソフトウエアの不具合、コンピュータウィルス等により、システム障害が発生し、継続したサービス提供等に支障が生じる可能性があります。当社では、このような事態に備え、外部からの不正アクセスを防止するためのファイアウォールやセキュリティソフトの導入等といった対策をとっており、また定期的なバックアップや稼働状況の監視を行うことで、事前防止または回避に努めております。しかしながら、こうした対応にもかかわらず、システム障害が発生し、サービス提供に障害が生じた場合や復旧遅延が生じた場合、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 訴訟について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
本書提出日現在、当社は損害賠償を請求されている事実や訴訟を提起されている事実はありません。また、当社は法令違反となるような行為を防止するために各種規程を制定し内部管理体制を構築するとともに、顧客、取引先、従業員その他第三者との関係において、訴訟リスクを低減するよう努めております。しかしながら、知的財産権の侵害等の予期せぬトラブルが発生した場合、取引先等との関係に何らかの問題が生じた場合等には、これらに起因する損害賠償請求、あるいは訴訟を提起されるリスクがあります。係る損害賠償の金額、訴訟の内容及び結果によっては、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 広告業界の取引慣行について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低
当社の事業領域であるインターネット広告業界の取引慣行として、広告会社がクライアントに請求する手数料には、媒体運営会社等に支払う媒体料金等が含まれております。したがって、当社はクライアントの倒産等により、広告代金の回収が不可能となった場合でも、媒体運営会社等に支払う媒体料金等も含めて負担することとなり、クライアントの信用リスクを負担しております。当社では、当該信用リスクを極小化させるため、「与信管理規程」を制定し、一定の信用力のある優良企業と取引する等により信用リスクの低減を図っておりますが、クライアントの倒産等により、広告代金の回収が不可能となった場合、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
また、インターネット広告業界の取引慣行として、一般に、インターネット広告を含めた広告取引に係る契約について契約書その他の書面が取り交わされることは少ないといえます。これは、広告取引においては取引当事者の信頼関係を基礎として迅速かつ柔軟に契約の締結・変更に対応する必要性が高いためですが、反面、取引当事者の合意事項について齟齬が生じてクレームに発展するリスクがあります。
当社はこのリスクを速やかに回避するため、広告取引にあたって顧客に発注書の提出を要請する等契約内容を書面で残す努力を行っておりますが、クライアントによっては発注書の提出要請に応じない場合もあります。このため、書面化されていない広告取引に係る契約の成立または内容についてトラブルが発生し、訴訟や損害賠償請求等に発展する場合、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
なお、当社においては取引開始前における発注書等の契約書を徹底しており、契約書が存在しない取引はございません。また、過去において書面化されていない広告取引に係る契約の成立または内容について、訴訟や損害賠償請求等に発展するケースはございませんでした。
(3)経営体制に関するリスク
① 人材の確保・定着及び育成について
発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は今後のさらなる成長のために、優秀な人材の確保及び当社の成長フェーズに合った組織体制強化が重要な課題であると認識しております。人材の採用にあたっては、新卒採用の強化や各種メディアの活用等の採用方法の多様化を図り、当社の求める資質を兼ね備え、かつ当社の企業風土にあった人材の登用を進めるとともに、教育体制のさらなる整備を進め、育成による能力の底上げを行ってまいります。しかしながら、優秀な人材の確保・定着及び育成が計画どおりに進まない場合や優秀な人材の社外流出が生じた場合、競争力の低下や事業規模拡大の制約要因になる可能性があり、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
また、代表取締役である百本正博は創業以来の事業活動全般において重要な役割を果たしております。この役員が何らかの理由により業務執行が困難となるような事態が生じた場合、当社の事業及び業績に影響を与える場合があります。
② 小規模組織であることについて
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は2021年7月末現在、従業員49名と比較的小規模な組織であり、現在の人員構成にて最適と考えられる内部管理体制や業務執行体制を構築しております。当社は今後も業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用してまいりますが、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追い付かない場合、適切な業務運営が困難となり、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
③ 内部管理体制について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は企業価値の持続的な増大を図るには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であるとの認識のもと、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要であります。当社は管理部門の人員の充実を図り、内部管理体制の充実に努めておりますが、事業の急速な拡大や海外展開等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない場合、適切な業務運営が困難となり、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
④ 社歴が浅いことについて
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は2012年11月に設立された社歴の浅い会社であります。現在まで、収益について成長を継続しておりますが、インターネット広告業界を取り巻く環境はスピードが速く流動的であるため、当社における経営計画の策定には不確定事象が含まれざるを得ない状況にあります。当社では今後のIR活動等を通じて経営状態を積極的に開示してまいりますが、経営成績等の期間比較をするための情報には時間の経過が不可欠であり、現時点において今後当社が成長を継続していけるか否かを予測する客観的な判断材料として過年度の経営成績のみでは不十分な可能性があります。
(4)その他のリスク
① 親会社グループとの関係について
発生可能性:高、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低
(ⅰ)親会社グループにおける当社の位置づけ
当社は、親会社である株式会社フリークアウト・ホールディングスを中心とした企業集団に属しております。同グループの事業セグメントはDSP事業、DMP事業、投資事業、その他事業に分かれており、そのなかで当社は、DSP事業における広告運用を中心にした国内トレーディングデスクサービスにおいて中心的な役割を果たしております。トレーディングサービスを展開するグループ会社のうち、国内市場においては当社及び当社の兄弟会社である株式会社フリークアウトが存在しますが、当社と株式会社フリークアウトのビジネス形態の類似性はございません。株式会社フリークアウトは、インターネット広告の特に広告主向き(デマンドサイドプラットフォーム:DSP事業者)のインターネット広告配信システムの開発及び販売を行っており、インターネット広告配信ベンダーという役割を持っています。また、当社提供サービスについては、クロスボーダーでのサービス提供への障壁があり、国内での展開となっております。
(ⅱ) 取引関係
当社と株式会社フリークアウトとの間には、仕入取引(2020年9月期の取引金額は64百万円。当社が広告配信サービスを受注する際に、クライアント企業が株式会社フリークアウトのDSPサービス利用を希望する場合に行う取引)があります。なお、販売取引はございません。
当該取引の取引条件については、当社と関連しない会社との取引条件を参考に、交渉の上決定しております。
なお、 2020年9月期では、兄弟会社である株式会社インティメート・マージャーとの間には、販売取引(トレーディングデスク事業の広告運用受託業務 2020年9月期 8百万円)及び仕入取引(広告配信データ購入費 2020年9月期 6百万円)がございましたが、株式会社フリークアウトホールディングスが2020年11月で同社の株式を売却したため当社の兄弟会社でなくなっております。
(ⅲ) 資本関係
当社は、フリークアウト・ホールディングスグループにおいて独立した事業経営を行っておりますが、当社の親会社である株式会社フリークアウト・ホールディングスは2021年7月現在、当社発行済株式の54.9%を保有しており、当社は同社の連結子会社であります。同社は当社の株主総会における取締役の任免等の議決権行使を通じて当社の経営判断に影響を及ぼし得る立場にあることから、議決権の行使にあたり、同社の利益が当社の他の株主の利益と一致しない可能性があります。 また、フリークアウト・ホールディングスグループ内の他社において、財務内容、信用力、業績等に関するマイナスイメージが生じた場合には、当社も同様であるとの風評が生じ、当社の業績に悪影響が生じる可能性があります。
(ⅳ) 人的関係
2021年7月現在、当社の役員7名(取締役4名、監査役3名)のうち、株式会社フリークアウト・ホールディングスの役員を兼務する者はございません。なお、当社の経営上の重要な意思決定において、株式会社フリークアウト・ホールディングスによる事前承認事項は存在しないため、同社からの独立性の確保という点で、当社の自由な事業活動が阻害される状況にはありません。
(ⅴ) フリークアウト・ホールディングスグループ内の他社との競合について
現在、当社の事業運営の方針決定及び事業展開の決定については、当社独自に決定しており、フリークアウト・ホールディングスグループ内の他社との競合関係はありません。しかし、株式会社フリークアウト・ホールディングス及びその子会社は世界中でさまざまな事業の運営に関わっており、また、新たな事業や投資の検討を日々行っていることから、今後、当社は投資機会の追求にあたりグループ内他社と競合する可能性があります。当社としては、それらの会社との連携を検討するなどの対応を行っていきますが、当社の事業に何らかの影響を及ぼす可能性があります。
② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は長期的な企業価値の向上に対する役員及び従業員等の士気を高める等を目的に、ストック・オプションを発行しており、今後もストック・オプション制度を活用していくことを検討しております。当社では新株予約権による株価に対する影響度を低くするために段階的行使可能期間を設定する等様々な行使条件を付しておりますが、現在発行し、または今後発行するストック・オプションが行使された場合、発行済株式総数が増加し、1株あたりの株式価値が希薄化する可能性があり、この株式価値の希薄化が株価形成に影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は94,900株であり、発行済株式総数の7.0%に相当します。
③ ベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合による株式売却リスクについて
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
本書提出日現在における当社の発行済株式総数は1,365,000株であり、このうち100,000株(所有割合7.3%)をベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下「ベンチャーキャピタル等」という。)が所有しております。当社の株式公開後において、当社株式の株価推移によっては、ベンチャーキャピタル等が所有する株式の全部または一部を売却する可能性が考えられ、その場合、株式市場における当社株式の需給バランスが短期的に悪化し、当社株式の株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
④ 配当政策について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しております。剰余金の配当については、内部留保とのバランスを考慮して適切な配当を実施していくことを基本方針としております。しかしながら、当社は現在、成長拡大の過程にあると認識していることから、内部留保の充実を図り、収益力強化や事業基盤整備のための投資に充当することにより、なお一層の事業拡大を目指すことが、将来において安定的かつ継続的な利益還元に繋がると考えているため、今後の配当実施の可能性及びその時期等については未定であります。
⑤ 自然災害等について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社の事業活動に必要なサーバーについては、自然災害、事故等が発生した場合に備え、外部のデータセンターの利用や定期的バックアップ、稼働状況の監視等によりシステムトラブルの事前防止または回避に努めております。万一、当社の本社所在地である東京都において大地震や台風等の自然災害の発生や事故により、設備の損壊や電力供給の制限等の事象が発生した場合、当社が提供するトレーディングデスク事業の継続に支障をきたし、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。
⑥ 新型コロナウイルス(COVID―19)感染拡大による経済的影響について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:1年以内、影響度:中
コロナウイルスの影響が国内及び海外主要各国において終息に向かわず、拡大が長期間にわたり続いた場合は、より深刻な経済的影響が生じ、広告市場の縮小や個人消費の冷え込みに繋がることが予想されます。
当社クライアントの広告予算縮小による売上高減少の可能性があり、世界経済の動向によっては当社の事業活動ならびに財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
⑦ 風評被害や不適切な業務遂行について
発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社及び当社の事業領域であるインターネット広告業界に対して、インターネット上の掲示板への書き込みや、それを起因とするマスコミ報道等によって、何らかの否定的な風評が広まった場合、その内容の正確性にかかわらず、企業イメージの毀損等により、当社の社会的信用や事業への信頼が低下する可能性があります。当社は「リスク・コンプライアンス規程」を制定しその周知徹底やコンプライアンス研修の実施により役職員のコンプライアンス意識を醸成し、リスク管理及びリスク発生の未然防止やリスク発生時の対応を行っておりますが、それにもかかわらず役職員による不正・不適切な行為が発生したり、否定的な風評が広まったりした場合、顧客離れが生じる等により、当社の事業活動ならびに財政状態及び業績に影響を与える可能性があります。