有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2021/11/15 15:00
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【項目】
140項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 個人情報の保護について
当社では、在宅訪問薬局事業、ケアプラン事業において業務の特性上、患者様の病歴及び薬歴等の個人情報を取り扱っております。個人情報の保護に関しては「個人情報の保護に関する法律」により企業が本人に同意を得ずに個人情報を第三者に提供した場合には、行政処分が課され、場合によっては刑事罰の適用を受けることもあります。また、調剤薬局において個人情報を扱う当社の従業員の多くが薬剤師であり、薬剤師には刑法第134条第1項(秘密漏示)にて重い守秘義務が課せられております。
当社は、個人情報について厳重な管理を行うとともに、個人情報等の保護に関する社内規程の整備、JAPHIC(ジャフィック)マーク認証制度(注)におけるJAPHICマーク及びJAPHICマークメディカル認証取得等の情報漏洩を防止するための対策を講じております。しかしながら、万一、外部からの不正アクセスや社内管理上のミス等により個人情報の漏洩があった場合には、多額の賠償金の支払いや行政処分、それらに伴う既存顧客の信用及び社会的信用の低下等により当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(注)JAPHIC(ジャフィック)マーク認証制度・・・「個人情報の保護に関する法律」及び「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」に準拠して、個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備、運用している事業者を審査し、JAPHICマークの使用を認める制度です。法人又は事業部署についてはJAPHICマーク、医療・介護・福祉関係の事業を営む法人・店舗施設等についてはJAPHICマークメディカルを認証しております。
(2) 新型コロナウイルス感染症拡大による影響について
当社は、新型コロナウイルス感染拡大に対し、管理本部を中心に社内消毒の徹底、在宅勤務推進等の安全対策を施しております。マスクの着用、手指の消毒、薬局に戻った際のうがいと手洗いの徹底を周知し、店舗では消毒対策の他、空調機を刷新し店舗内の換気対策等を行い、患者様、及び従業員の安全確保に注力しております。また在宅訪問時には、処方内容等の説明や患者情報の聞き取りをできる限り訪問前にお電話で行い、直接お会いする場合にもソーシャルディスタンスを徹底し極力滞在時間を短くするなどの対策を行っております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症を含む新規感染症の拡大により、門前医療機関への受診控え並びに長期処方の増加によって、処方箋枚数が減少することにより当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社従業員が罹患するような事態が発生した場合には、人員減少による当社の店舗運営等が困難になり、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 固定資産の減損について
当社は、調剤薬局の店舗資産やのれん等の長期性資産を保有しております。これら資産については減損会計を適用し、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の残存価額を回収できるかどうかを検証しており、現状、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っております。しかしながら、店舗の移転や病院の閉院等により当初期待した事業の収益性を下回るなど減損計上の対象となった場合には、特別損失が計上され当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 事業展開について
在宅訪問薬局事業においては、店舗のM&A(合併・買収)を含め、今後も高い採算性の見込める案件を中心に、収益性を重視した新規出店政策を採ってまいります。M&Aにおいては、対象会社から得られる将来キャッシュ・フローにより一定の年数以内で投資額を回収できる水準でM&Aを行うことを基本方針としておりますが、出店条件に合う物件が確保できないことにより計画どおり出店できない場合、競合状況や医薬分業の進展の遅れ等の要因により出店後に計画どおり売上高が確保できなかった場合、医療機関の移転又は廃業等により店舗の売上高が減少する場合、買収後の経済状況や業界環境の変化等により事業計画と実績に乖離が生じた場合及び当初想定したシナジーが得られない場合にはのれんに係る減損損失が発生し、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 損害賠償リスクについて
当社は、医療安全対策を経営上の重点課題と位置付け、薬剤師の技術の向上、医薬品に関する知識の充実について研修会を実施するなど積極的に取り組むとともに、調剤過誤を防止すべく機械化の推進及び調剤、鑑査、投薬という行動では、人によるダブルチェックが機能するように行動がルール化され、問題があればすぐに報告・是正され、全店展開が可能な体制を築いて細心の注意を払い調剤をしております。また、万が一に備え全店舗において「賠償責任保険」に加入しておりますが、調剤過誤等が発生し、社会的信用が失墜した場合、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 薬価基準の改定、調剤報酬改定について
在宅訪問薬局事業の売上は、厚生労働省告示に定められた薬価基準に基づく薬剤収入と同省告示に定められた調剤報酬点数に基づく調剤技術に係る収入との合計額であります。
このため、毎年の改定により薬価基準が下げられ薬剤の仕入価格が同程度引き下げられなかった場合、または2年毎にある調剤報酬の改定(直近の改定は2020年4月)によって調剤報酬点数の引き下げがあった場合には、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 仕入価格の暫定処理について
調剤薬局業界では慣例的に、薬価基準の改定が実施された場合、医薬品卸業者との間で最終的な仕入価格を妥結するまでの期間は、合理的であると見積もった暫定価格での仕入計上を行い、仕入価格が未定の状態のまま納品が行われることが通例となっております。
このように仕入価格が未決定の状態で納品が行われる場合、最終的な仕入価格の妥結に至るまでは、最終的な仕入価格妥結時の四半期決算において、暫定価格と最終的な仕入価格の精算処理がなされることになります。このため暫定価格と最終的な仕入価格に重要な差異が生じた場合においては、経過した四半期と精算処理を行った四半期とで当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 消費税等の影響について
在宅訪問薬局事業において、調剤売上は消費税法により非課税売上となる一方で、医薬品等の仕入は同法により課税されております。このため、当社は消費税等の最終負担者となっており、当社が仕入先に対して支払った消費税等は、製造原価の区分に費用計上されております。過去の消費税率改定時には、消費税上昇分が薬価改定幅に考慮されておりましたが、今後消費税率が改定され、薬価基準が消費税率の変動率に連動しなかった場合には、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 医薬品医療機器等法による規制について
当社が在宅訪問薬局を開設し、運営を行うにあたっては、医薬品医療機器等法や健康保険法、介護保険法等による法的規制があります。当社は店舗ごとに必要な許可・指定・登録・免許等を受けて営業をしております。当社は、これまで店舗の営業停止または取消等の処分を受けたことはありませんが、厳重に注意し、免許切れなどの手続不備がないよう確認を行っております。しかしながら、必要とされる許可・指定・登録・免許等を受けることができない場合、更新及び登録・届出の手続きを怠った場合、関連する法令改正等に違反した場合、またはこれらの法令が改正された場合において当社の出店計画及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。
許可、指定、免許、登録、届出の別有効期間関連する法令登録交付者
薬局開設許可6年医薬品医療機器等法各都道府県知事又は所轄保険所長
医薬品販売業許可6年医薬品医療機器等法各都道府県知事又は所轄保険所長
保険薬局指定6年健康保険法各所轄厚生局長
管理医療機器販売届出無期限医薬品医療機器等法各都道府県知事
高度管理医療機器等販売業許可6年医薬品医療機器等法各都道府県知事
毒物劇物一般販売業登録6年毒物及び劇物取締法各都道府県知事又は所轄保険所長
麻薬小売業者免許3年麻薬及び向精神薬取締法各都道府県知事

(10) 資格者の確保について
調剤薬局においては、薬剤師法第19条において薬剤師以外の調剤を原則として禁止され、医薬品医療機器等法等により各店舗に薬剤師の配置のみならず、その配置人数においても厳しく規制されており、1日平均取扱処方箋40枚に対して1人の薬剤師を配置する必要があります。このため、業界全体において売り手市場の傾向が更に顕著となり、一時的な人件費の高騰に伴う収益の圧迫が想定されます。当社では、適正な人員配置を行うため、中途採用の強化、既存社員の定着率向上、新卒採用を柱に採用活動を行っております。しかしながら、採用者数の減少、退職者の増加等により、計画どおりに薬剤師を確保できず、新規出店計画や店舗運営に支障をきたした場合、当社の業績等に影響を与える可能性があります。
(11) 他社との競合について
当社は、きらりプライム加盟店に対し、当社の培ってきた在宅訪問ノウハウやそれに合わせた自社開発のシステムを提供していることを強みとしておりますが、新規参入事業者の登場により競争が激化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12) システムインフラ等への投資について
当社は、事業の拡大に応じて、システムインフラ等への投資を計画、実施しておりますが、当社の想定を超える急激なユーザー数及びアクセス数の増加、IT技術等の急速な進歩に伴い、予定していないハードウエアやソフトウエアへの投資等が必要となった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 介護保険法の改正、介護報酬の改定について
当社は、ケアプラン事業において介護保険法をはじめとする各種関連法令によって規制を受ける公的介護保険法内のサービスが中心となっております。これらのサービスは4年毎の介護保険法の改正(直近の改正は2020年4月)、3年毎の介護報酬の改定(直近の改定は2021年4月)より、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 大株主について
当社の大株主であるエムスリー株式会社(以下、「同社」という。)は、医療従事者専用サイトの運営等を行っており、同社の連結子会社等の所有する株式数を含めると、本書提出日現在で当社発行済株式総数の29.9%を所有しております。同社グループは、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。
当社と同社グループとの間に役員の招聘等の人的関係はなく、同社グループからの資金の借入、及び同社グループに対して事前承認や事前報告を要する事項等はありません。また、当社は同社グループから人材の派遣や紹介等を受けておりますが、同社グループとの取引については、他の企業の取引条件との比較等により取引条件の適正性等を確保しております。
現在、同社グループの事業領域は患者様に提供される地域包括ケアシステムにおいて支援アプローチの点で当社と相違しており、今後においても競合等が想定される事象はないものと認識しておりますが、将来において、何らかの要因により同社の経営方針や事業戦略(当社株式の保有方針も含む。)を変更した場合、当社事業、株式の流動性及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。
(15) ストック・オプション等による株式の希薄化について
当社は、取締役及び従業員に対して、経営への参画意識を高めるため、ストック・オプション等のインセンティブプランを採用しております。これらのストック・オプション等が行使されれば、既存の株主が有する保有株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は、333,300株であり、発行済株式総数の9.8%に相当しております。
(16) 風評等の影響について
当社は、多数の介護施設と顧客紹介契約を結んでおり、当社の各事業において関係のあるネットワークを通じて広く柔軟に施設を紹介するサービスを提供しておりますが、紹介先の介護施設における事故等、安全性をおびやかすような事象が発生し、当社に不利益な風評が流れた場合には、当社サービスに対して、報道等により利用者の不安心理が高まり、利用者が減少するなど、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。