有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/04/22 15:00
【資料】
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【項目】
152項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「テクノロジーに想像力を載せる」という経営理念の下、人にやさしいICTサービスの提供を目指し、当社グループ独自のテクノロジーで新たな時代への橋渡しとなるイノベーションを追求しております。
(2) 経営戦略
経営基盤の安定を担うSI部門と成長を加速させるAIZE部門のシナジー効果を最大限に発揮させ、既存IT企業とITベンチャー企業の優位性を併せ持つ独自の企業として市場にポジションを確立していきます。
現状、当社グループが位置するIT市場には二つの課題が顕在化しております。ひとつはDXで「2025年の崖」といわれレガシーなITシステムを原因として業務刷新が遅れていること、さらにひとつはAI化でひところのブームによって進んだ、新たなシステムのデモンストレーションを兼ねた試験工程であるPoC(概念実証)も結果としてサービス実装に至らないことです。当社グループは、このふたつの課題をSI部門とAIZE部門の両輪で解決し、顧客企業のニーズに応えていきます。現在、AIサービスを謳うベンチャーは多くある中で、ディープラーニングをはじめとする先端テクノロジーの研究開発から、実際にサービス実装を担える企業は限られております。また同時に、既存IT企業はイノベーションのジレンマに陥っており先端テクノロジーへの進出が思うように進んでいません。当社グループは既存のレガシーなシステムの運用や改修を行いながら、先端テクノロジーのサービス実装を実現しております。
中期的には、上記の課題から発生するニーズをキャッチアップして受注増加を図るべく、SI部門、AIZE部門ともに営業活動を協働で行うパートナー企業の開拓を進めております。AIZEプロダクトを新規顧客との接触点となる商品として、SI部門によるシステム開発受注などのAIソリューション事業を拡充します。同時に、ストック型ビジネスであるAIZEの導入を進め、課金ポイントとなるID数増加を企図します。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標等
当社グループは、主な成長性・収益性の指標として、売上高成長率を重視しております。また、当社グループのAIソリューション事業のうちAIZE部門では、顧客ニーズに合わせてAIZE Research、AIZE BIZなどのサービス提供を行っておりますが、提供形態にかかわらず共通で拠点ID数に基づき収益計上を行っており、拠点ID数を経営指標としております。SI部門では、SES(システムエンジニアリングサービス)については派遣単価及び派遣人数を経営指標としております。また、研修事業については研修の請負金額を経営指標としております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①優秀人材の確保
現在の我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の流行により急速に悪化した企業業績の影響を受けており、また世界経済につきましても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が起因となり、大恐慌以来の景気後退に陥るとの見通しがIMF(国際通貨基金)より示されました。
当社グループでも、新型コロナウイルス感染症の流行がもたらしたニューノーマル時代における社会ニーズに応えることが急務です。そのため、成長の源泉であるエンジニア陣の技術力の底上げ、個々の意欲、能力向上にも注力し、急変する現代にふさわしい人材の育成を進めることが最大の課題として挙げられます。人材育成は、先端テクノロジー研究開発のキャッチアップ、市場開拓といった課題を解決する糸口ともなります。AIエンジニアといった専門人材の採用と優秀人材の育成は、AIサービスに関する問い合わせが増加する当社グループにとって急務です。他社との開発競争が激化するなかでも、人材の確保は重要な意味をもっております。教育機関との連携や採用活動を活性化しております。採用・育成にかかる資金は欠かせざるコストとなっております。
②営業マーケティングの効率化
流動性の高いIT市場を的確に分析し顧客ニーズにマッチしたサービス提供を図るため、営業マーケティングの仕組み化を急いでおります。受注までのパイプラインをフロー化、標準化するために、各種のマーケティングツールの導入も必要となっており、これもまた欠かせざるコストです。
③財務の健全化
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきまして、当社グループでは事業の維持拡大に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安全性維持を資金調達の基本方針としております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、各種サービス提供にかかわる原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主にAIZEの開発にかかわる投資費用であります。これらの資金需要につきましては、運転資金は営業キャッシュ・フロー及び借入金で賄い、投資資金は主に株式発行による資金調達で賄うことを基本とする方針です。
④当社の流通株式比率について
当社の流通株式比率は本書提出日現在において20.7%であり、東京証券取引所グロースへの上場に際しては、公募増資540,000株を実施することにより、同市場における形式基準である流通株式比率25%以上を満たし、当社株式の流動性を確保するように努めております。
今後は当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の観点から、経営戦略の着実な遂行やIR活動の促進・強化を図るとともに、必要に応じて当社株式を保有している取引先や主要株主へ一部売出しに向けて協議を進めるなど流動性の確保に努めて参ります。 なお、上記の株主の当社株式所有割合等については、「第四部 株式公開情報 第3 株主の状況」に記載しております。