有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/11/15 15:00
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169項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には下記のようなものがあります。なお、これらは、当社グループが事業を遂行する上で発生しうるすべてのリスクを網羅しているものではありません。また、文中における将来に関する事項につきましては別段の記載のない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境にかかわるリスク
① 参入市場について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期)
当社グループが事業を展開しているEC市場、インフルエンサーマーケティング市場、デジタルマーケティング市場、オンライン動画市場では、スマートフォン市場の成長やブロードバンドの普及、新しいテクノロジーの活用により拡大傾向にあります。当社グループはこの成長は継続するものと見込んでおり、現在展開市場を軸に多角的に事業を展開する計画であります。しかしながら、今後国内外の経済情勢や景気動向等の理由により市場成長が鈍化、若しくは市場環境が変化するような場合には、当社グループ財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 技術革新等について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期)
当社グループが事業を展開しているEC市場、インフルエンサーマーケティング市場、デジタルマーケティング市場、オンライン動画市場では、技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に早く、事業者はその変化に柔軟に対応する必要があります。当社グループにおいても、最新の技術や市場環境の変化を迅速に対応できるよう努めております。しかしながら、当社グループが技術革新や顧客ニーズの変化に対応できない場合、また変化の対応のためのシステムや人件費に多くの投資を要する場合、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 他社との競合について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期)
当社グループが事業を展開しているEC市場、インフルエンサーマーケティング市場、デジタルマーケティング市場、オンライン動画市場においては、多くの企業が事業展開しております。当社グループは展開領域において技術力や事業展開力を活かして高付加価値のサービスを提供することで市場における優位性を確立し、競争力を向上させてまいりました。今後もクライアント目線に立ってサービスをより充実させていくとともに、知名度向上に向けた取り組みも行ってまいりますが、他に優れたビジネスモデルの競合他社が現れた場合、既存事業者や新規参入事業者も含めた各市場での競争の激化により、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ システムトラブルについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期)
当社グループの事業は、すべてインターネットを活用して行われており、そのサービス基盤はインターネットに接続する通信ネットワークに依存しております。安定的なサービス運営を行うために、サーバー設備等の体制強化を継続的に行っておりますが、地震等の自然災害や事故等により予期せぬトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが構築しているコンピュータ・システムは、適切なセキュリティや保護手段を講じておりますが、自然災害や不正アクセス等による通信ネットワークの切断や障害が発生した場合、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ マーケティング市場の季節変動性について(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:短期)
当社グループが事業を展開しているインフルエンサーマーケティング市場、デジタルマーケティング市場、オンライン動画市場は、広告主の広告予算により構成されるため、広告主の予算の月ごとの配分の影響を受けます。特に年度末に多めに予算の配分を行う広告主が多く、年度末(日本国内及びインドにおいては主に3月、その他海外においては12月が中心となります。)に売上収益が集中する傾向があります。したがって、安定的に月次業績が推移する業種に比し売上収益及び利益の変動が起こりやすいほか、繁忙時に業務が継続するよう人員を確保しておく必要があるため、変動が大きく下振れ幅が顕著な場合には当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 新型コロナウイルス感染症長期化に関するリスク(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期)
2020年から全世界的に新型コロナウイルス感染症の拡大が起こり、当社グループも国内外でその影響を受けてまいりました。断続的に緊急事態宣言が発出されるなど、新型コロナウイルス感染症拡大は、完全な終息時期がいまだ不透明な状況にあります。新型コロナウイルス感染症の拡大に対して、時差出勤や在宅勤務(テレワーク)の実施に加え、Web会議の開催や不要不急の出張を制限する等の慎重な対応を行う等の対策を講じております。今後、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、経済活動が停滞した場合、当社グループの提供するサービスへの需要の減少を招く事態となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業体制にかかわるリスク
① 特定人物への依存について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期)
当社の代表取締役である十河宏輔は当社グループが事業運営を行う全ての市場において豊富な知識と経験を有すると認識しており、経営戦略の構築等について重要な役割を担っております。当社は、特定の人物に依存しない体制を構築すべく、組織体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏の当社グループにおける業務執行が困難になった場合、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 社歴が浅いことについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期)
当社グループは2016年4月に創業されており社歴が浅いため、期間業績比較を行うために十分な期間の財務情報を得られず、過年度の業績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。
③ 優秀な人材の獲得・育成について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期)
当社グループは今後の企業規模の拡大に伴い、当社グループのミッションや事業に対して共感した優秀な人材を継続的に採用し、強固な組織を構築していくことが重要であると考えております。今後、積極的な採用活動を行っていく予定でありますが、当社グループの求める人材が十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 内部管理体制の構築について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期)
当社グループの継続的な成長のためには、コーポレート・ガバナンスが適切に機能することが必要不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規定及び法令遵守を徹底してまいりますが、事業が急速に成長することによりコーポレート・ガバナンスが適切に機能しなかった場合には、業務運用体制に問題が生じ、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ Googleグループとの契約について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期)
当社グループはパートナーグロース領域において、Googleグループとの契約に基づき、同社との取引を行っております。クリエイターグロースプラットフォームにおいては、当社グループが管理する動画コンテンツの利用許諾を同社に対して行い、当該コンテンツから生じる広告収益の一定料率分を報酬として受領しております。パブリッシャーグロースプラットフォームにおいては、当社グループが管理するメディア広告在庫を同社ネットワークを通じて販売することでその販売代金を同社より受領しております。当該契約が解除された場合、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ リコール発生などの品質問題に関するリスクについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期)
当社グループはブランドコマース領域において継続的に新規ブランド及び商品を企画しております。当社グループは、商品の品質、安全性を重視しており、商品開発や製造委託事業者の選定においても常に品質を重視しております。しかしながら、意図しない商品不良等により大規模なリコールが発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 在庫に関するリスクについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期)
当社グループは、在庫の保有状況をモニタリングしながら生産数量と発注数量の調整を毎月実施し、滞留が予測される商品について販売施策を追加で立案することで在庫リスクの最小化を図っております。しかしながら、需要動向を見誤ったことによる欠品機会損失、ないし滞留在庫が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 新規事業開発について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期)
当社グループの今後の事業展開としまして、事業規模の更なる拡大を目指して、新事業開発に引き続き積極的に取り組んでいく方針でありますが、新規事業の立ち上げは既存事業よりリスクが高いことを認識しております。市場理解や事業計画分析が十分であった場合でも、予測とは異なる状況となり計画どおりに進まない場合に投資資金の回収が困難になり、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 海外事業展開について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期)
当社グループは海外で創業がなされ創業当時より海外での事業活動が中心であり、今後も成長戦略の軸としてもグローバル展開を積極的に行うことで中長期的な成長の実現を目指してまいります。特定地域への依存を避けることでリスク低減を図っているものの、国際情勢や各国特有の政治経済、売掛金の回収リスク等の状況により当社グループの事業の運営に影響が発生し、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当該シンガポール子会社は当社の重要子会社である中間持株会社であり、当社グループの連結子会社の27社のうち、16社を傘下に置いております。シンガポールの現地法制度において、同国での会社の設立にあたってシンガポール居住者である取締役を1名以上選任すること等の定めがございますが、いずれも適切に対応しております。その他、株主総会での議決権行使や配当の実施、役員の派遣など、子会社管理に必要な会社制度における特段の規制・制約は認識しておりませんが、今後も法制度の改正等の動向に留意してまいります。
⑩ 業務提携や買収について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期)
当社グループは他社との業務提携や企業買収等が、将来の成長性、収益性等を確保するために必要不可欠な要素であると認識しております。しかしながら、当初想定した成果を得ることができず、のれんの減損や、事業再編等に伴う事業売却損、事業清算損その他これに伴う費用が発生した場合、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 配当政策について(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:短期)
当社グループは、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化及び競争力の確保を経営の重要課題と位置付けております。現時点では、当社グループは成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、事業拡大と事業の効率化のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このことから創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。将来的には各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
(3)法的規制に関するリスク
① 訴訟等について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期)
当社グループは、法令及び契約等の遵守のため、各種規定を定めて社内教育やコンプライアンス体制の充実に努めております。しかしながら、当社グループが事業活動を行う中で、顧客、取引先又はその他第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。かかる訴訟の内容及び結果によっては当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 個人情報の管理について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期)
当社グループは、クリエイターや消費者(D2Cブランドの商品購入者)等の個人情報を保有しています。個人情報漏洩による企業経営・信用への影響を十分認識し、各種規程・マニュアルの整備、社員への周知徹底など、個人情報の管理体制の整備を行っておりますが、万が一情報が漏洩した場合は、損害賠償費用の発生、社会的信用の失墜などにより、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ インターネット及び広告業界に関連する法的規制について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期)
当社グループの主要な事業領域であるマーケティング関連市場においては、当社グループの事業遂行に関連して、著作権法のほか、特定商取引に関する法律、景品表示法、個人情報の保護に関する法律、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律などを遵守する必要があります。各種規程・マニュアルの整備、社員への周知徹底などにより法令遵守の体制強化を徹底してまいりますが、現行の法令及び権利内容の解釈適用上での論点などが生じた場合、また既存法令の強化等が行われ当社グループが運営する事業が規制の対象となる等制約を受ける場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 知的財産権について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期)
当社グループは、当社グループが運営する事業に関する知的財産権の取得に努め、当社グループが使用する商標、技術・コンテンツ等についての保護を図っておりますが、当社グループの知的財産権が第三者の侵害から保護されない場合、又は知的財産権の保護のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他
① ストック・オプション行使による株式の希薄化について(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:短期)
当社グループでは、取締役、従業員等のインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は6,779,400株であり、発行済株式総数及び潜在株数の合計62,880,300株の10.8%に相当します。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。
② 為替変動の影響について(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:短期)
当社グループは13ヵ国・地域において事業を運営しており、各国においては現地通貨で資産・負債を保有しております。連結財務諸表を作成するにあたっては現地通貨を円換算する必要があり、換算時に使用する為替レートによっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、為替相場の変動は中長期的には平準化されるものと考え、為替予約等は行っていません。
③ 調達資金の使途について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期)
今回計画している公募増資による調達資金の使途につきましては、事業拡大に伴い増加する人件費に充当する予定であります。しかしながら、経営環境の急激な変化等により、上記の資金使途へ予定どおり資金を投入したとしても、想定どおりの投資効果を上げられない可能性があります。また、市場環境の変化が激しく、計画変更を迫られ調達資金を上記以外の目的で使用する可能性がありますが、その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。