有価証券届出書(新規公開時)

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2022/08/18 15:00
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139項目

事業等のリスク

以下につきましては、当社の将来的な事業展開その他に関し、リスク要因の可能性があると考えられている主な事項を記載しております。当社はこれらのリスク発生の可能性を確認した上で、発生の回避及び発生した場合の早期対応に努める方針であります。具体的には、当該リスクを把握し、管理する体制・枠組みとして当社内にリスクマネジメント委員会を設置し対応いたします。詳しくは「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ②会社の機関の内容 eリスクマネジメント委員会」をご参照ください。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
Ⅰ.事業環境に由来するリスク
①法的規制・自主規制について (顕在化可能性:小 / 影響度:大)
当社は、生命保険及び損害保険代理店として「保険業法」に基づく登録を行っており、同法及びその関係法令並びにそれに基づく関係当局の監督等による規制、さらには一般社団法人生命保険協会及び一般社団法人日本損害保険協会の定める各種ガイドラインに則った保険会社の指導等を受けて、サービス活動及び保険募集を行っております。保険業法に基づく保険代理店及び保険募集人としての登録の有効期限は特に定められておりませんが、同法第306条(業務改善命令)、及び第307条(登録の取消等)に該当した場合、内閣総理大臣は代理店登録の取り消し、業務の全部又は一部の停止、業務改善命令の発令等の行政処分を行うことができると定められております。
仮に当社が上記行政処分を受けた場合には保険販売事業における営業活動が困難となり、当社の財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
特に代理店登録の取り消しに至った場合においては、当該事業による収益を失うこととなり、事業活動に重大な影響を及ぼす可能性が有ります。
その他、保険募集に際しては、「金融サービスの提供に関する法律」(金融サービス提供法)、「消費者契約法」、「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(犯罪収益移転防止法)、「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)等の関係法令を遵守する必要があります。
しかしながら、保険契約者、関係当局その他の第三者から、当社のサービス活動及び保険募集の方法等が、「保険業法」、「金融サービス提供法」、「消費者契約法」又はその他の関係法令等に抵触すると判断された場合には、保険契約者による保険契約の申し込みの撤回、保険契約の取消し若しくは解約等による保険契約数の減少や保険契約者その他の第三者からの損害賠償請求等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また今後、保険業法等の関係法令、関係当局の解釈、自主規制等の制定、改廃等があった場合には、サービス活動及び保険募集の際に遵守すべきルール、保険契約者の権利等が明確化され、サービス活動及び保険募集のための環境が整備されますが、当社のサービス活動及び保険募集の方法等が制限を受ける可能性があります。
従来のサービス活動及び保険募集の方法等に制限が課され、又は保険料率が変更されること等により、新規保険契約数の減少、利益率の減少等を招来し、当社の財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
これらのリスクが顕在化する可能性は低いと考えており、当社では、本書提出日現在において当該登録の取消事由に該当する事象及び行政処分の対象となる事象はないものと認識しております。
また、2016年5月29日に施行となった改正保険業法により、保険募集人に対して情報提供義務、意向把握義務及び体制整備義務等が課されることとなったため、当社では保険募集の方法等に関する社内管理体制の整備を既に終えており、リスクの軽減化が図れております。
今後、関係法令等の変更が有った場合においても、当社はその都度、適合する形でのサービス活動及び保険募集を行うことで対応できると考えております。
なお、当社の事業等に影響を与える可能性がある法規制等は以下の通りです。
法令等名監督官庁法的規制の内容
保険業法金融庁保険業全般に関する基本的な法律。保険業を行う者及び保険募集人の健全で適切な運営や、保険募集に関する規制その他公正な保険募集を確保する措置等について定めたもの。
保険業法施行令金融庁保険業法における「政令で定める場合」の事項を定めたもの。
保険業法施行規則金融庁保険業法における「内閣府令で定める場合」の事項を定めたもの。
保険会社向けの
総合的な監督指針
金融庁金融庁の保険会社に対する監督事務に関し、基本的な考え方、評価項目、事務処理上の留意点等を整理したもの。
保険会社に係る
検査マニュアル
金融庁金融庁が、保険会社や募集代理店の検査を適切に実施するために使用する手引書であり、被監査者への監査内容の告知書である。
金融分野における個人情報保護に関するガイドライン金融庁個人情報保護法遵守について、金融庁管轄分野における個人情報取扱業者の適切かつ有効な取扱措置確保を図るための指針。

金融分野における個人情報保護に関するガイドラインの安全管理措置等についての実務指針金融庁金融分野における個人情報保護に関するガイドラインが定める「安全管理措置」、「従業者の監督」及び「委託先の監督」の実施に関する細則的指針。
保険募集人の体制整備に関するガイドライン生命保険協会保険業法で乗合代理店向けに規定された「保険募集人の体制整備義務」に関して、保険会社が該当する保険募集人へ適切な指導を行う際の参考として作成されたもの(内容的には損害保険でも利用可能)。
生命保険商品に関する
適正表示ガイドライン
生命保険協会生命保険商品に関する表示を行う際の参考となるように作成されたもの(「不当景品類及び不当表示防止法」対応)。
生命保険商品の募集用の資料等の審査等の体制に関するガイドライン生命保険協会生命保険商品の募集用の資料等の体制を整備する際の参考とするため作成されたもの(「不当景品類及び不当表示防止法」対応。)
消費者契約法消費者庁消費者が事業者と契約をするとき、両者の間には持っている情報の質・量や交渉力に格差がある。このような状況を踏まえて消費者の利益を守るため、平成13年4月1日に消費者契約法が施行された。同法は、消費者契約について、不当な勧誘による契約の取消しと不当な契約条項の無効等を規定している。

金融サービス提供法金融庁金融商品の販売等に係る勧誘の適正の確保のための措置について定めるとともに、金融サービス仲介業を行う者について登録制度を実施し、その業務の健全かつ適切な運営を確保することにより、金融サービスの提供を受ける顧客の保護を図り、国民経済の健全な発展に資することを目的とする。
個人情報の保護に関する法律個人情報保護委員会事業者が個人情報の適正な取扱いの確保に関して行う活動を支援すること、及び当該支援により事業者が講ずる措置が適切かつ有効に実施されることを目的として定められたもの。
金融商品取引法金融庁投資性の強い金融商品を対象とする利用者保護法制。
募集文書等の表示に係るガイドライン日本損害保険協会保険商品の販売に関わる募集文書及びマス媒体による広告の環境整備に資すること、並びに、一般消費者の保険商品に対する理解促進を図るために作成されたもの。

また、主だった許認可とその取消事由は以下のようになっております。
取得・
登録者名
取得年月・許認可等の
名称及び所管官庁等
許認可等の内容
及び有効期限
法令違反の要件及び
主な許認可取消事由
当社2010年2月5日
生命保険代理店
関東財務局
生命保険代理店
04EJHHE001316
有効期限 なし
保険業法第307条
・破産者で復権を得ないもの又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者
・禁錮以上の刑(これに相当する外国の法令による刑を含む)に処せられ、その刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から三年を経過しない者
・この法律又はこの法律に基づく内閣総理大臣の処分に違反したとき、その他保険募集に関し著しく不適当な行為をしたと認められるとき。
2013年12月25日
損害保険代理店
関東財務局
損害保険代理店
092522918
有効期限 なし
同上
2020年11月5日
金融商品仲介業
関東財務局
関東財務局長(金仲)第917号
有効期限 なし
金融商品取引法第66条の20
・法令又は法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき等
2022年2月16日
銀行代理業者許可
関東財務局
関東財務局長(銀代)第427号
有効期限 なし
銀行法 第52条の56
・法令又は法令に基づく内閣総理大臣の処分に違反したとき等


②競合及び保険業界の市場規模について (顕在化可能性:中 / 影響度:中)
当社は、訪問型乗合代理店として保険代理業を行っておりますが、保険業界には有力な競合会社が複数存在しております。訪問型乗合代理店をはじめ、来店型ショップによる保険代理業を行っている保険代理店や異業種からの新規参入も増加しており、競争が激化しております。
当社は、保険代理店設立当初から訪問型に特化した営業を行ってきた結果、この分野における経験やノウハウを蓄積してまいりました。保険だけに限らず顧客の一生涯にわたるファイナンシャルプランニングを提供することにより他社との差別化を図っていく方針でありますが、競争の激化、競合企業の躍進、加入チャネルの変化等により顧客が減少した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、人口減少等の影響により、保険業界全体の市場規模は縮小傾向にあるため、業界全体の縮小傾向が継続する場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は高くないと捉えておりますが、顕在化した場合の影響も軽微では無いため、設立当初からの訪問型に特化した営業による当分野における経験やノウハウの蓄積及び保険に限定されない顧客の一生涯にわたるファイナンシャルプランニングの提供による他社との差別化を行うことで優位性を確保できると認識しております。
また、人口減少等の影響については、高齢化に伴う病気やケガの増加、老後の生活に必要な資金の増加など医療、年金、介護など生前給付型の商品や資産形成商品に対するニーズは高まっているため、当社としてはその動きを確実に捉え、顧客の意向に基づいたコンサルティング営業を行うことで対応できると考えております。
③保険会社との関係について (顕在化可能性:小 / 影響度:中)
当社の保険代理業ビジネスは「保険業法」に基づく登録事業であります。取引保険会社による審査基準の強化等に伴って保険契約の成約率が低下する可能性、又は取引保険会社の営業政策の変更等の理由により代理店手数料率やその他の報酬体系が見直される可能性は否定できません。その他、取引保険会社の財政状態が悪化した場合、又は破綻し生命保険契約者保護機構の運用に則った場合には、当該保険会社に係る当社の保有保険契約が失効・解約されること等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性もあります。
当該リスクが顕在化する可能性は低いと予想しておりますが、法令等の変更に対しては、定期的な観測と情報収集を行っております。それに加えて想定の限り予防策の準備をすることによりリスクの軽減を図っております。
④税務当局による保険商品の税務取り扱いの見直しについて (顕在化可能性:高 / 影響度:小)
税務当局が特定の保険商品における税務上の取り扱いを見直す可能性があり、そのような事態が発生した場合には、顧客ニーズの変化や商品の競争力変化等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当該リスクについては過去にも同様の税務見直しがあったことから、顕在化する可能性はあると認識しております。しかしながら、税制について常に動向を確認し、顧客ニーズに最も適したソリューションの提供に努めることでこれまでも対応をしており、今後も同様の対応を行うことでリスクを軽減できると考えております。
⑤中期事業計画を策定する上での様々な前提が想定通りにならないリスク (顕在化可能性:中 / 影響度:小)
当社は、原則として中期事業計画を一年毎に更新しております。しかしながら必要な情報を全て収集できるとは限らないことや、事業環境の変化その他様々な要因等により、前提条件が想定通りにならず、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当該リスクについては常に事業環境が変化をしていることから顕在化する可能性はあると認識しておりますが、中期事業計画の策定においては、そもそも多くの不確定要素があるため、策定時において適切と考えられる情報収集及び分析等に基づき、様々な前提条件を設定しております。また、一年毎の更新としていることで柔軟な計画変更が可能なため、リスクの軽減を図ることが出来ると考えております。
⑥資金使途について (顕在化可能性:中 / 影響度:小)
当社が計画している新規株式公開に伴う公募増資による調達資金の資金使途は、(1)保有顧客向けCDP(カスタマーデータプラットフォーム)の構築による商品の販売時期・商品選択のほか、顧客の購買傾向と営業社員の専門分野を合致させる顧客向けフォローシステムの開発、(2)顧客の資産状況ごとに精緻な家計のキャッシュ・フローを算出、可視化し、必要な準備手段の検討資料を作成するファイナンシャルプランニングのためのコンサルティングツール開発、(3)ご契約者向け加入状況の確認、担当社員とのFP相談予約機能や保険・金融商品情報を提供するスマートフォン向けアプリの開発、(4)借入金返済、(5)人員拡大に伴うオフィス拡大のための自社ビルの建て替えに使用する予定です。しかしながら、外部環境の変化にともなう将来の事業計画に変更が生じ、資金使途が変更になる可能性や当初予定していた資金使途を実行した場合でも想定された効果が得られない可能性があり、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は低くないと認識しておりますが、常に事業環境の変化を確実に捉え、取締役会等の会議体の中で十分な投資効果が期待できる投資先の選別を図ることで対応してまいります。
Ⅱ.事業内容に由来するリスク
①個人情報保護について (顕在化可能性:中 / 影響度:大)
保険商品の販売において個人情報の取得は必須です。個人情報の漏洩等の事象は当社の信頼、ブランドイメージに大きな影響を及ぼし、業績、収益の低下につながる重大項目であると認識しております。しかしながら、今後、個人情報の一部が当社若しくは外部委託会社から漏洩する等、何らかの理由によって、個人情報が社外に漏出した場合には、当該取引先からの損害賠償請求若しくはブランドイメージの毀損等により、当社の財政状態及び経営成績が影響を受ける可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は、以下の取り組みを行っていることでリスクの低減が図られております。
・個人情報保護について
当社は全ての顧客の個人情報の保護を、重要な社会的責務であると認識しており、個人情報の保護に関する法律その他の規範を遵守するため、「個人情報保護取扱基本規程」を始めとする諸規程を作成して、役職員に遵守させております。
・個人情報の収集について
当社は、顧客ご本人の同意なく顧客の個人情報を第三者に提供することを禁止しております。また、個人情報については保護方針を明示し、その範囲に関して事前に顧客や取引先の書面にて承諾をとっております。
・個人情報に係るセキュリティについて
当社では、個人情報に対する不正なアクセスを防止するために三つの施策を講じております。①マネージドファイアウォール(注1)を導入し、且つ、ウィルスによる不審なアクセスの振る舞い検知(注2)による24時間監視等をしております。②VPNを導入しており社外ネットワークに対して、社内情報へのアクセスを排他的に設定し、強固なセキュリティ体制を整えております。③MDM(注3)の導入により、社外で活動する営業社員の所持するすべてのラップトップパソコンとスマートフォンの情報を遠隔操作により消去できるため、紛失・置き引き等の万が一のケースでも情報漏洩を防ぐ管理体制を整えております。
当社はプライバシーマーク(Pマーク)を取得し、更新しております。
また、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を取得し、「保険代理店業務に関わるシステム開発、保守及び運用」を認証範囲としての適用を受けております。
その他、個人情報の取扱いについては役職員に対して定期的に注意喚起を実施して、情報保護の適切な運営体制に取り組んでおります。
(注1)セキュリティ向上に資するファイアウォールの構築支援、運用管理などを一括して行うサービスです。
(注2)一般的な名称で、「不審な動きをしている」といった正常なプログラムには見られないウィルス特有の動き を見つけ出すことで、ウィルスを検知するもので、予測できないウィルスにも対応できるものを指します。
(注3)Mobile Device Managementの略。ビジネスで使用するスマートフォンやタブレット端末などのモバイルデバイスを統合的・効率的に管理できるシステムのことです。
②広告宣伝活動について (顕在化可能性:中 / 影響度:中)
当社は、『マネードクター』の事業拡大のためのブランド認知度向上を目的として、テレビCMを中心とした広告宣伝を積極的に行っており、それによる顧客獲得効果を見込んでおります。しかし、今後広告宣伝費の増加等により費用対効果が見込めない場合や、当初想定した認知度向上や顧客獲得効果が達成できない可能性は否定できません。このような場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は高くないと認識しており、広告宣伝活動の実施媒体、実施時期、実施期間、実施方法等を定期的に検討し対策を講ずることでリスクの軽減を図っております。
③新規事業に係るリスク (顕在化可能性:中 / 影響度:中)
新規事業展開の方針として、当社の本業である保険代理業を基軸とした派生分野への進出を開始しております。将来の新規事業の展開は当社ブランド価値の向上に好影響を与え、主軸事業である保険代理業の伸展につながると考えます。しかしながら、計画通りに新規事業展開ができない場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は高くないと認識しておりますが、新規事業については段階的な進出・展開を行うことで効果を測定しながら進めており、中期事業計画に則った柔軟な計画変更によりリスクの軽減が可能と考えております。
④知的財産権について (顕在化可能性:小 / 影響度:小)
当社は、2020年1月7日の『FPパートナー』の当社商号や2021年1月14日の『マネードクター』をはじめ13件の商標権を登録しました。
2021年7月12日にボードゲーム「マネー&ハピネス」の商標権を出願し、現在登録査定待ちの状況です。
第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であることから、今後知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起される可能性は否定できません。そのような事態が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えており、現段階において当社による第三者への知的財産権侵害は存在していないものと認識しております。今後についても、申請済の商標権以外にも新規事業や新サービスの提供を開始する場合には商標権等を積極的に取得することでリスクの軽減を図ってまいります。
Ⅲ.その他のリスク
①人材の確保について (顕在化可能性:中 / 影響度:大)
当社の事業は人材が重要であり、特に営業社員の確保は最も重要な経営課題のひとつであります。しかしながら、人員計画通りの採用ができず営業社員数の確保が困難になる可能性や退職者の増加により営業社員を維持することができない可能性があります。その場合、保険代理業において営業社員が不足し財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能があります。
当該リスクが顕在化する可能性は高くないと認識しており、営業社員数は毎年順調に増加しております。雇用情勢や市場環境の注視と併せて、従業員のエンゲージメント向上のための社内環境を整備することでリスクの軽減を図っております。
②大規模自然災害、戦争や感染症の流行について (顕在化可能性:小~大 / 影響度:小~大)
近年多発している台風・大雨による水害、風害、土砂崩れ等、地震による家屋倒壊、津波、火災等、戦争その他の動乱、感染症の流行によるもの等、あらゆる被害で顧客との面談機会が減少し当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルスやインフルエンザ等の感染症が流行した場合、顧客訪問による面談を行う機会が減少し、当社の営業活動に影響を及ばす可能性があります。当社では現在実施している「オンラインFP相談」により顧客及び営業社員の安全を確保したサービス体制を構築しておりますが、訪問面談数の減少を補うだけの効果が発揮できない場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクについては事象によって顕在化する可能性や影響度合いに差が有りますが、既に感染が拡大している新型コロナウイルスへの対応においては内勤社員のテレワーク環境の構築や「オンラインFP相談」見込顧客の開拓の推進により影響を抑えることが出来ました。これは他の事象への対応においてもリスクの低減に有効に機能すると考えております。
③ブランド価値毀損について (顕在化可能性:中 / 影響度:大)
当社では、多大なコストと時間をかけてブランド価値を確立してきました。しかしながら正確な情報に基づかないソーシャルネットワーク上の誹謗・中傷、役職員の起こす事故・事件、情報漏洩に代表されるような法令違反や不祥事は完全に予測することができず、それに起因するブランド価値毀損発生の可能性を完全に否定することはできません。そのような場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は高くないと考えておりますが、ブランド価値の毀損が起こらないよう、継続的な社員への研修や意識づけ、内部管理体制の強化などを実施しております。あわせて、企業理念の深い浸透、コンプライアンスの遵守を常に意識させるため、毎週実施している代表取締役社長による朝礼の講話、支社長会議、新入社員研修等により徹底を図っております。加えて有事の際に広報対応としてどのように対応するかを定めた「危機管理広報マニュアル」、「SNSリスク対応マニュアル」を策定いたしております。このような複合的な対策を行うことによりリスクの低減を図っております。
④役職員の不祥事に係るリスクについて (顕在化可能性:中 / 影響度:中)
当社役職員の業務全般に関しては保険業法をはじめ、関連法令等を遵守して業務に当たる姿勢が求められます。また、業務外においても適切でない商取引などに関与することの無いように注意を払う必要が有ります。しかしながら、これらに関する各人の意識欠如が役職員の不祥事等に繋がり、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性をより低減するために、業務全般に関してはコンプライアンス研修とテストを実施し法令遵守の周知徹底を図っております。また、お客様の声の報告と記録は、社内システムを使用して即時対応が可能であり、集計したお客様の声は月次で分析・社内公表し、全社員への周知とともに各支社の営業社員の研修資料として活用しております。当社はこのような体制を用いて、役職員への法令遵守体制の強化と維持をしております。また、業務外においても就業規則及び社会一般通念上の規範遵守はもちろんのこと、適切性の疑わしい事案などへの関与が無いように社内研修を通じて注意喚起し、周知しておりますので、リスクの低減は実現可能と考えております。
⑤減損等のリスクについて (顕在化可能性:小 / 影響度:小)
当社は、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。また、当社は合弁等により他社の有価証券を所有しております。当社が保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価値の下落等により、減損損失が発生し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えておりますが、固定資産の減損に係る会計基準等に従い、定期的に保有資産の将来キャッシュ・フロー等を算定し減損損失の認識・測定を行うことでリスクの軽減を図っております。
⑥特定人物への依存について (顕在化可能性:小 / 影響度:小)
当社代表取締役社長である黒木勉は、創業者として企業文化の創造、経営方針、戦略の決定等に重要な役割を果たしてまいりました。そのため、何らかの理由により同氏の業務遂行が困難になった場合、精神的支柱を失い、当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は低いと考えており、現在は経営に関する重要事項の意思決定、判断は取締役会が行っているため、顕在化した場合の影響度も低減できると考えております。
⑦訴訟のリスクについて (顕在化可能性:中 / 影響度:小)
当社はその事業活動を遂行する過程において、当社の顧客若しくは取引先との取引上のトラブル、従業員との労働契約上のトラブルなど想定外の訴訟を受ける可能性があります。
実際に、過去の当社の賃金規定に起因した訴訟は現在までに16件の訴訟(うち2件は労働審判)が発生しましたが、全て和解解決を行っております。
2014年1月に金融庁が「保険会社向けの総合的な監督指針」等を一部改正したことにより、当社では営業社員との契約を2014年12月に業務委託契約から雇用契約に変更し、この際に新たに賃金規程を制定したことが背景にあり、業務委託契約時の内容を踏襲した賃金規程であったことと従来と同様な運用を行っていたことが訴訟発生の原因と考えられます。当時は営業社員の約2割の社員が賃金額より控除額が上回っており、この賃金規程に基づく、賃金の控除、控除に関する合意の有無、控除額が賃金額を上回った場合の請求など、賃金の計算方法が訴訟の主訴となっておりました。
当社は、こうした過去の事象を真摯に受け止め、弁護士や専門家の意見をもとに2017年12月に営業社員の賃金規程の改定を行ない、賃金の計算方法を改めました。同時に、組織体制や管理体制、営業社員への教育体制も見直し、営業社員を含めた従業員の働く環境整備にも努めてまいりました。この賃金規程改定以降は、同種同類の訴訟は発生しておりません。また、賃金規程改定以降、2年以上経過しており「賃金の消滅時効期間」を過ぎていることから訴訟の提起がなされた場合であっても請求が認められる可能性は低いと認識しております。
訴訟になった場合、状況によっては裁判が長期化することや、和解、敗訴に応じることにより、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性は高くないと考えており、営業社員のコンプライアンス研修等の推進、取引先との定例ミーティングを行うことで対外的なトラブルの防止・抑制を図っております。また、社内においても体制整備とエンゲージメントの向上を推進することでリスクの発生防止に努めております。
⑧配当政策について (顕在化可能性:小 / 影響度:小)
当社は、株主への利益還元を経営の重要課題のひとつと位置付けており、業績の推移、財務状況、今後の事業計画等を勘案し利益処分を継続的に行っていくことを基本方針としております。しかしながら、創業以来、事業の拡大に資する投資を優先してきましたので配当は実施しておらず、今後の実施時期についても未定です。
⑨ストック・オプションについて (顕在化可能性:小 / 影響度:小)
当社は、新株予約権によるストック・オプション制度を採用しております。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は700,000株であり、発行済株式総数の7.0%に相当しております。今後も、優秀な人材の獲得及び確保を主たる目的としてストック・オプションの付与を継続する方針でありますが、これらストック・オプションの行使がなされた場合、当社株式上場後の株価動向によっては需給バランスに変動が生じ、適正な株価形成に影響を与える可能性があります。
⑩支配株主との関係について (顕在化可能性:小 / 影響度:小)
当社の支配株主である黒木勉は、当社の創業者であり代表取締役であります。
黒木勉と自身の資産管理会社である合同会社FPコンサルティング及び配偶者である黒木真澄を含めると、本書提出日現在で発行済株式総数の100%を所有しております。
黒木勉及び合同会社FPコンサルティングは、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しておりますが、双方の意見が必ずしも一致するわけではないため、支配株主の利益追求により当社の少数株主利害を害される利益相反のリスクの可能性があります。
⑪当社株式の流動性について
当社の株主構成は代表取締役社長、代表取締役の配偶者、代表取締役社長の資産管理会社により議決権の過半数を所有されている会社となっており、本公募及び売出しによって当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、㈱東京証券取引所の定める流通株式比率は新規上場時において26.1%にとどまる見込みです。上場直後においても代表取締役社長、代表取締役の配偶者、代表取締役の資産管理会社の合計持ち株比率が70.0%以上となりますが、今後は段階的に売り出しを行い、3年後を目途に流動株式比率を35.0%以上とすることで更なる流動性の確保を行います。
上記株主は安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。
また、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、上記株主への一部売出しの要請、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、一層の流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。