有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2022/09/06 15:00
【資料】
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【項目】
141項目

研究開発活動

「第8期連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)」
当社グループのビジネスモデルである「ソリューションSoC」は、自社のサービス/製品の差別化を求める顧客に、先端テクノロジを用いて、顧客に最適な先端SoCを提供するものです。そのため、最先端技術に対して積極的に投資を行っており、それにより当社グループ独自のビジネスモデルをより強化し、継続的な成長の実現に繋げていきます。
また、当社グループは、経営理念のもと、進化する半導体のエコシステムにおいてプロセス技術、パッケージ技術、テスト技術をはじめIP、EDAツール、ソフトウエアに至るまで最新の技術を提供するサプライヤーとも密に連携を行い、開発活動を実施しております。現在も半導体のエコシステムは進化拡大しており、先端技術を使った様々な選択肢の中から最適な技術を組み合わせたSoCを開発することの難易度が上昇しています。そのため、当社グループは、技術の組み合わせとその実証にも積極的な投資を行っています。
当連結会計年度における研究開発費は43,177百万円で、前連結会計年度比で3,960百万円の増加となりました。当社の研究開発活動は主に、注力分野における商談獲得に繋げるための先行開発投資と、獲得した商談に関する製品開発からなります。当社グループは、注力する事業領域において、先行開発した要素技術を元に新たな商談を獲得し、獲得した個々の製品開発を行う中での顧客との技術議論や実際の製品開発で明らかになった技術課題から、今後必要とされる要素技術を明らかにし、次の先行開発投資を企画・実施していく、そうした好循環を目指します。
また、個々の製品開発を行う場合には、顧客と開発受託契約を締結した上で設計開発を経て、顧客に対して試作品を提供しております。当該開発受託契約に基づき当社グループが行う研究開発の成果物に係る知的財産は、当社グループに帰属することが定められていることから、個々の顧客の製品開発にかかる費用は研究開発費(販売費及び一般管理費)に含めております。
なお、当社グループは、ソリューションSoC事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載をしておりません。
<先行開発>「ソリューションSoC」では様々な機能の実装が求められ、従来その解決策としては、プロセステクノロジの微細化による回路規模の拡大によって対応するという方法が一般的でした。一方、超最先端のプロセステクノロジの使用に関しては、費用、開発期間の問題や量産工場の供給能力の問題もあり、必ずしもそれだけが最適解とはならないケースが増えつつあります。当社グループでは、そうした環境のもと、プロセステクノロジの微細化(5nm、3nm)への対応はもちろんのこと、先端パッケージング/高密度実装(2.5D-IC、3D-IC)技術への対応及び新たな設計技術/手法の導入等、各サプライヤーの最先端技術を実際のSоC開発に適用するための先行開発を積極的に実施しております。当連結会計年度の先行開発の成果の例は以下のとおりです。
先端かつ高密度実装(2.5D-IC)による超大規模SoCの実現
SоCをメモリ等の他チップと一緒にワンパッケージ化するための高密度実装(2.5D-IC、3D-IC)に関する各種要素技術の開発が進んでおりますが、それを大規模かつ高性能なSоCに適用するには、テストチップや特定製品向けにおいて実証された要素技術を大規模かつ高性能なカスタムSоCに適用可能とするための技術の汎用化が必要です。当社グループでは顧客のニーズを先取りするために、現在開発の主流となっている先端プロセステクノロジで25mmを超える大型の高性能なSоCを汎用的に高密度実装(2.5D-IC)するための技術開発を行いました。すでに実商談においてその技術を適用し製品開発を進めております。
また、更なる先端プロセステクノロジ(3nm)において高密度実装を実現するため「スケーラブルな大規模先端SoC設計技術の研究開発」にも取組んでおり、このような先行開発の成果は、今後の製品開発に順次適用していく予定です。
⦅製品開発⦆
2020年3月期以降、オートモーティブ、ネットワーク/データセンター、スマートデバイス等の注力分野で、商談獲得が進み、自動運転等今までにない新たなサービス/製品に向けた、7nm、5nmプロセスを使用する開発案件が増加しました。当連結会計年度の製品開発の一例は以下のとおりです。
特定顧客向けの車載用(先端テクノロジの活用/大規模/高信頼)カスタムSoCの開発
自動車は急速なコンピューティング化と自動運転を代表とする高性能、高機能化が必須となってきており、そのため、独自のSoCを使用した自動車システムの製品開発競争が激化しています。当社グループでは、顧客の信頼性と高性能、高機能を実現するニーズを実現するためにバランスのよい先端プロセステクノロジと性能を最適化するためのアーキテクチャを選択し、さらに自動車のEV化での走行距離への影響と冷却装置等システムのサイズダウンのため当社グループ独自の低消費電力化技術も組合せ、大規模な車載向けSoCを開発しました。
「第9期第1四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年6月30日)」
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、10,571百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。