有価証券届出書(新規公開時)

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2022/11/11 15:00
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153項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
当社のリスク管理体制につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ③企業統治に関するその他の事項 b.リスク管理体制の整備の状況」に記 載のとおりであります
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
各リスクについて、顕在化可能性、影響度、発生時期については、下表のとおりです。
分類リスク顕在化可能性影響度発生時期
(1) 事業環境に関するリスク① 新型コロナウイルス等の感染症について短期
② 産業の成長性について長期
③ 競合について中期
④ 法規制について長期
⑤ 卸売市場の動向について長期
⑥ 市況変動等について中期
⑦ 自然災害等について長期
(2) 事業に関するリスク① 食品の安全について中期
② システムトラブルについて中期
③ 業績の季節性について中期
④ 個人情報の取り扱いについて短期
⑤ 新規出店計画について短期
⑥ 許認可について長期
⑦ 外食市場について長期
⑧ 特定の仕入先への依存について中期
⑨ 企業買収、戦略的提携について中期
⑩ 配送コスト・物流網について中期
⑪ インターネット等による風評被害について中期
⑫ 知的財産権について長期
(3) 経営・組織に関するリスク① 優秀な人材確保・育成について中期
② 内部管理体制の構築について中期
③ 継続的な投資と赤字計上について中期
④ 繰越欠損金について中期
⑤ 有利子負債依存度について中期
⑥ 特定の経営者への依存について長期
⑦ 配当政策について長期
(4) その他① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について中期
② 資金使途について中期

各リスクの具体的な内容は下記のとおりです。
(1) 事業環境に関するリスク
① 新型コロナウイルス等の感染症について(顕在化可能性:中、影響度:大、発生時期:短期)
新型コロナウイルス感染症については、終息に向かっていくものと想定しておりますが、現時点ではその終息時期が不透明な状況にあり、緊急事態宣言の発出に伴う活動自粛要請などにより、BtoBコマースサービスやHRサービスの取引先である飲食店に対する制限、BtoCコマースサービスの小売店舗に対する直接的な制限が長引く場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 産業の成長性について(顕在化可能性:中、影響度:大、発生時期:長期)
当社グループの主力サービスであるBtoBコマースサービスは、スマートフォンの普及やEコマース市場の拡大等を背景として、売上、アクティブユーザー数及びARPU等の事業指標は順調に拡大を続けております。経済産業省の「令和3年度 電子商取引に関する市場調査」によると、食品分野のEコマース化率は3.8%となっておりますが、他産業と比べると、例えば生活家電等のEコマース化率は2021年で38.1%と30%を超える大きな開きがあることから、今後も食品Eコマース市場はEコマース化率の継続的な上昇を背景に、成長を続けるものと考えております。しかしながら、上記の予測通りに国内食品Eコマース市場が拡大しなかった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 競合について(顕在化可能性:低、影響度:中、発生時期:中期)
現在、国内で食品Eコマース事業を展開する競合企業が複数存在しており、一定の競争環境があるものと認識しております。当社グループは、主力としている水産品カテゴリーの更なる強化に加え、青果や精肉等の商品ラインナップの拡充を進めるとともに、積極的なマーケティング活動やカスタマーサポートの充実、ウェブサイトの利便性向上、自社配送網の拡充等に取り組んでおり、卸売市場において優位性を構築し、競争力を向上させてまいりました。今後も顧客ニーズへの対応を図り、サービスの充実に結び付けていく方針ではありますが、これらの取り組みが予測通りの成果を上げられない場合や、より魅力的なサービスや競争力のある条件でサービスを提供する競合他社の出現により競争が激化した場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 法規制について(顕在化可能性:低、影響度:中、発生時期:長期)
当社グループは、食品の仕入・加工・販売を行うにあたり、「食品衛生法」、「食品表示法」、「卸売市場法」等、Eコマース販売を行うにあたり、「景品表示法」、「特定商取引法」等の法令による規制を受けております。また、当社グループが運営するHRサービスは「職業安定法」の対象となっており、「有料職業紹介事業」の登録を受け、厚生労働省の許可の下、事業を営んでおります。
当社グループでは、これらの法令等を遵守するための管理体制及び従業員教育を徹底し、コンプライアンス体制の整備に努めております。しかしながら、今後これらの法令等に抵触した場合や、新たな法令の制定や既存法令の強化等が行われ、当社グループが運営するサービスが規制対象となる等制約を受ける場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 卸売市場の動向について(顕在化可能性:低、影響度:中、発生時期:長期)
当社グループは、中央卸売市場である大田市場へ仲卸として参入しており、豊洲市場も含め商品の調達や物流機能の大部分について卸売市場に依存しております。市場内のルールを遵守し、市場関係者及び関係各所との良好な関係を保つことで、卸売市場を活用してのビジネスが円滑になるよう努めておりますが、卸売市場関連法令の新設・改正や市場内環境の変化、大企業の新規参入等、卸売市場を取り巻く状況が変化した場合、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 市況変動等について(顕在化可能性:低、影響度:小、発生時期:中期)
当社グループは、水産物を始めとした生鮮食材・加工食材を購入し、販売を行っております。仕入商品、仕入ルートの多様化にも取り組んでおりますが、天候不順・海流等自然条件による漁獲量の変動や漁獲資源に対する漁獲制限・輸出入制限等や為替相場の変動により市況が大きく悪化し食材の仕入価格が高騰した場合、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 自然災害等について(顕在化可能性:低、影響度:中、発生時期:長期)
大地震、台風等の自然災害及び事故、火災等により、物流網の分断・混乱や事業・物流拠点の損壊・消滅、電力供給の制限等の不測の事態が発生した場合には、当社グループによるサービス提供に支障が生じる可能性があり、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業に関するリスク
① 食品の安全について(顕在化可能性:低、影響度:大、発生時期:中期)
当社グループは、食品を取り扱っている会社として、食品の安全性確保を経営上の最重要課題として認識し、食品を取り扱う施設においては「HACCP(注1)の考え方を取り入れた衛生管理」に対応すると共に、食品表示法及び計量法に基づき、商品を販売するにあたって原産地、食品添加物、アレルギー、保存方法、消費期限、内容量などの表示の義務を順守し、品質保証体制の構築並びに強化に取り組んでおります。しかし、予期せぬ品質事故により大規模な回収や製造物責任賠償等が発生した場合には、多額のコスト負担や当社グループの信用に重大な影響を与え、ひいては当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(注1)HACCP(ハサップ)とは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法のことをいいます。
② システムトラブルについて(顕在化可能性:低、影響度:大、発生時期:中期)
当社グループの事業は、その多くがインターネットを介して行われており、そのサービス基盤はインターネットに接続するための通信ネットワークに依存しております。安定的なサービス運営を行うために、サーバー設備等の強化や社内体制の構築を行っておりますが、アクセスの急激な増加等による負荷の拡大、コンピュータウィルスや外部からの不正な手段によるコンピュータへの侵入、自然災害、事故等、当社グループの予測不可能な要因によってシステムがダウンした場合、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 業績の季節性について(顕在化可能性:中、影響度:中、発生時期:中期)
当社グループの四半期における業績は、第3四半期(10月~12月)及び第4四半期(1月~3月)において、売上高及び営業利益が偏重する傾向にあります。これは、当社グループの売上高の過半を占めるBtoBコマースサービスの主要顧客である飲食店において忘年会や送別会等の宴会需要、年末年始のイベント需要、鍋料理等魚介類を使った料理への需要等が集中することによるものであります。一方、当社グループの第2四半期(7月~9月)は、年末年始等に比べ宴会やイベントが少なく魚介類への需要が減ること等の理由から、他の四半期と比較して売上が減少する傾向があります。したがって、当社の上半期又は四半期別の業績のみを基に、当社グループの通期の業績を見通すことは困難であることに留意する必要があります。
当社グループは、当該季節的要因を踏まえた予算を策定し、売上高及び利益の確保に努めておりますが、何らかの事情により計画通りに需要が伸びなかった場合等には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループの直近2年間の四半期ごとの売上高、年間売上高に占める割合及び営業利益又は営業損失は以下の通りであります。
第8期連結会計年度(2021年3月期)第9期連結会計年度(2022年3月期)
売上高
(千円)
構成比(%)営業利益又は
営業損失(△)
(千円)
売上高
(千円)
構成比(%)営業利益又は
営業損失(△)
(千円)
第1四半期544,85218.4△52,660723,38720.1△40,365
第2四半期726,87124.6△34,014725,43520.2△70,926
第3四半期974,16233.029,7341,241,18634.670,402
第4四半期709,78424.0△25,732902,20125.1△2,948

(注)第8期連結会計年度及び第9期連結会計年度における四半期連結会計期間の売上高及び営業利益又は営業損失は金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくEY新日本有限責任監査法人による四半期レビューは受けておりません。
④ 個人情報の取り扱いについて(顕在化可能性:低、影響度:中、発生時期:短期)
当社グループは、HRサービスにおける求職者の登録情報を始めとする個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。これらの個人情報については、社内規程である「個人情報保護基本規程」に基づき適切に管理するとともに、プライバシーマークを取得し社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。しかしながら、何らかの理由でこれらの個人情報が外部に流出し、悪用されるといった事態が発生した場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 新規出店計画について(顕在化可能性:低、影響度:中、発生時期:短期)
当社グループは、事業の拡大のため、BtoCコマースサービスにおいて新規出店を推進しております。新規出店機会を逃さないよう常に情報収集に努めております。また、新規出店にあたっては、各種調査を実施し、十分な検討時間を設けて様々な角度から事業計画及び採算性等を十分に検討した上で実施しております。
しかしながら、希望する立地に物件を確保できない場合や、事業計画と実績に大幅な乖離が生じた場合は、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 許認可について(顕在化可能性:低、影響度:大、発生時期:長期)
当社の子会社である株式会社フーディソン大田は、大田市場の仲卸業者としての許可を東京都から受けております。株式会社フーディソン大田が有している仲卸業者の許可の取消については、東京都中央卸売市場条例第六十四条に定められております。現時点において認識している限りでは、法令に定める許可取消事由に該当する事実を有しておりません。しかしながら、将来何らかの理由により許可の取消等が発生した場合には、当社グループの事業運営に大きな支障をきたすとともに、当社グループの財政状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。また、当該法規の改正等により法的規制が強化された場合には、当社グループの事業に制限が加わる可能性があります。
株式会社フーディソン大田が保有している仲卸業務許可の許可番号及びその取得年月日等は次のとおりであります。
所轄官庁等取得者名許可番号取得年月日
東京都株式会社フーディソン大田27中大業第1096号2016年2月1日

また、当社グループは、HRサービスを行うため、有料職業紹介事業者としての許可を厚生労働大臣から受けております。HRサービスは当社グループの売上に占める割合は9.4%(2022年3月期)であるものの、2022年3月期において、当社グループのサービスの中で、営業損益に対して重要な影響を与えるサービスとなっています。当社グループが有している有料職業紹介事業者の許可の取消については、職業安定法第32条の9に欠格事項が定められております。現時点において認識している限りでは、当社グループは法令に定める欠格事由に該当する事実を有しておりません。しかしながら将来、何らかの理由により許可の取消等が発生した場合には、当社グループの事業運営に大きな支障をきたすとともに、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を与える可能性があります。また、当該法規の改正等により法的規制が強化された場合には、当社グループの事業に制限が加わる可能性があります。
当社グループが保有している有料職業紹介事業許可の許可番号及びその取得年月日等は次のとおりであります。
所轄官庁等取得者名許可番号取得年月有効期限
厚生労働省株式会社フーディソン13-ユ-3082342017年1月1日2024年12月31日

⑦ 外食市場について(顕在化可能性:中、影響度:中、発生時期:長期)
当社グループの主要な顧客は飲食店であり、BtoBコマースサービスにおける2022年3月期の連結売上高に対する割合は66.3%となっております。外食市場は国内景気動向に影響を受けやすい市場でもあり、政治情勢の変化、自然災害の発生、感染症の流行等、何らかの要因により景気が後退し、当社顧客の業績が悪化した場合には、客単価が減少することで、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 特定の仕入先への依存について(顕在化可能性:低、影響度:中、発生時期:中期)
当社グループの主要な仕入先は株式会社大都魚類であり、2022年3月期の連結仕入高に対する割合は31.4%となっております。これは当社グループが大田市場の水産物の仲卸営業許可を取得している関係で、基本的には大田市場の水産物部を経由する商品については唯一の卸売業者である同社から調達する割合が高いためです。なお、同社とは水産物の仕入に関する契約を締結していることや同社が取引卸売市場法に定められる規制を受け、公共的な側面を有することから、取引関係は安定しております。当社グループは今後もこの関係を継続する方針でありますが、銀行取引停止処分等の契約解除事由の発生や、同社の政策の変更や事業の再編等により今後の取引関係が継続困難となった場合、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 企業買収、戦略的提携について(顕在化可能性:中、影響度:小、発生時期:中期)
当社グループは、既存の事業基盤を拡大するため、あるいは新たな事業への進出のため、事業戦略の一環として企業買収や資本提携を含む戦略的提携を行なう可能性があります。企業買収や戦略的提携にあたっては、十分な調査・分析検討を行ないますが、買収・提携後に偶発債務の発生や未認識債務が判明する場合などが考えられます。また、買収・提携後の事業計画が当初計画どおりに進捗しない場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 配送コスト・物流網について(顕在化可能性:中、影響度:小、発生時期:中期)
当社グループが運営するBtoBコマースサービスは、商品販売に際し即日又は数日内の商品配送をサービスとして提供しております。主要なエリアに関しては、自社の配送ドライバーによる配送を行っておりますが、遠方のエリアや顧客が少ないエリアに関しては複数の運送会社に配送業務を委託しております。今後配送料の値上げ等により配送コストが上昇した場合、またはBtoBコマースサービスの拡大に応じ適時適切に物流網を確保・構築できなかった場合等には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ インターネット等による風評被害について(顕在化可能性:中、影響度:小、発生時期:中期)
当社グループは、プレスリリース及び適時情報開示等により信頼の維持・向上を図り、リスク顕在化の未然防止に努めております。しかしながらインターネット上の掲示板への書き込みや、それらを要因とするマスコミ報道等による風評・風説の流布が発生・拡散した場合には、当社グループのブランドイメージ及び社会的信用低下によって、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 知的財産権について(顕在化可能性:低、影響度:小、発生時期:長期)
当社グループは、当社グループが運営するサービスに関する知的財産権の取得に努め、当社グループが使用する商標・技術・コンテンツ等についての保護を図っておりますが、当社グループの知的財産権が第三者の侵害から保護されない場合、又は知的財産権の保護のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが使用する技術・コンテンツについて、第三者から知的財産権の侵害を主張され、当該主張に対する防御又は紛争の解決のための費用又は損失が発生し、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 経営・組織に関するリスク
① 優秀な人材確保・育成について(顕在化可能性:中、影響度:大、発生時期:中期)
当社グループは、今後の業容拡大に伴い、当社グループの理念に共感し高い意欲を持った優秀な人材を継続的に採用・育成し、強固な組織を構築していくことが重要であると考えております。今後、積極的な採用活動を行っていく予定でありますが、当社グループの求める人材が十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 内部管理体制の構築について(顕在化可能性:低、影響度:中、発生時期:中期)
当社グループの継続的な成長のためには、コーポレート・ガバナンスが適切に機能することが必要不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規定及び法令遵守を徹底してまいりますが、事業が急速に拡大することにより、コーポレート・ガバナンスが有効に機能しなかった場合には、適切な業務運営を行うことができず、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 継続的な投資と赤字計上について(顕在化可能性:低、影響度:中、発生時期:中期)
当社グループは、継続的な成長のため、物流拠点の確保やオペレーション構築、店舗出店、広告宣伝等に積極的にコストを投下し、事業基盤を構築してまいりました。会社設立以降、利益確保に先行してこれら事業基盤構築を積極的に進めていることもあり、2022年3月期まで経営成績は営業赤字となっております。今後も継続して物流の最適化や顧客拡大のために積極的な投資を進めていく方針でありますが、これらの投資に見合う効果が十分に得られない場合やコスト上昇等が生じた場合、投資が想定よりも長期に及ぶことにより計画通りの収益が得られない場合等には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 繰越欠損金について(顕在化可能性:低、影響度:小、発生時期:中期)
2022年3月期末には、当社グループに税務上の繰越欠損金が存在しております。当社グループの経営成績が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合、または当社グループの業績の下振れ等により繰越期限の失効する繰越欠損金が発生した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 有利子負債依存度について(顕在化可能性:低、影響度:小、発生時期:中期)
当社グループは、主として運転資金及び新規出店・設備投資資金を金融機関からの借入金で調達しております。今後も借入金等による新規出店・設備投資等を行う予定であり、その場合、支払利息が増加する可能性があります。また、各サービスの運営によるキャッシュ・フローが十分得られない等の場合には追加借入が困難となること等により、当社グループの事業計画や業績等が影響を受ける可能性があります。さらに、金利上昇に伴う支払利息の増加は当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 特定の経営者への依存について(顕在化可能性:低、影響度:小、発生時期:長期)
当社の代表取締役CEO山本徹は、当社の創業者であり、経営方針や事業戦略等について、当社グループの経営の重要な役割を果たしております。現在、当社グループでは当該役員に過度に依存しないよう、内部管理体制の整備、人材の育成を行う等体制の整備に努めておりますが、現在の状況においては、何らかの理由により、当該役員が当社グループの業務を遂行することが困難となった場合には、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 配当政策について(顕在化可能性:低、影響度:小、発生時期:長期)
当社グループは、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化及び競争力の確保を経営の重要課題として位置付けております。本書提出日現在では、当社グループは成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、事業拡大と効率化のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このことから、創業以来配当は実施しておらす、今後の配当実施の可能性及び実施時期については未定であります。
(4) その他
① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化可能性:中、影響度:小、発生時期:中期)
当社グループは、取締役及び従業員等に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして新株予約権を付与しているほか、今後も優秀な人材確保のため新株予約権その他のエクイティ・インセンティブプランを発行する可能性があります。これらの新株予約権が権利行使された場合等には、当社株式が新たに発行又は交付されることにより、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があるとともに、かかる株式が一度に大量に市場へ流入することとなった場合等には、適切な株価形成に影響を及ぼす可能性があります。本書提出日現在でこれらの新株予約権に係る潜在株式数は423,900株であり、発行済株式総数及び潜在株式数の合計4,102,840株の10.33%に相当します。
② 資金使途について(顕在化可能性:中、影響度:小、発生時期:中期)
当社グループが今回計画している公募増資による資金調達の使途につきましては、新物流センターの開設費用やsakana baccaの新規出店費用、認知度向上及び顧客基盤拡大に係る広告宣伝費、業容拡大にともなう人材確保・育成に係る採用費・人件費、借入金の返済資金、売上拡大に伴う増加運転資金に充当する予定です。
しかしながら、当社グループの属する食産業は急速に事業環境が変化することも考えられ、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても想定した投資効果が得られない可能性があります。また、将来に亘っては資金調達の使途の前提となっている事業計画・方向性が見直され、上記計画以外の使途に充当する可能性もあります。なお、上記計画以外の使途に充当することとなった場合、直ちに開示いたします。