有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2023/02/16 15:00
【資料】
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【項目】
146項目

事業内容

当社は、保守サービス事業、ソリューション事業、人材サービス事業の3事業を柱に、全国60超の拠点より24時間365日エンジニアが機器の保守、導入設計、設置展開サービスを提供しております。また、親会社として株式会社ヒューマンサービスが存在しており、当社と株式会社ヒューマンサービスとの関係については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク その他 (15)株式会社ヒューマンサービスについて」に記載しております。
なお、上記3事業は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント区分と同一であります。
保守サービス事業
システムのサポート、機器の保守、コールセンター、ヘルプデスクサービスを提供しております。
全国の病院、クリニックに導入されているPHC株式会社製電子カルテシステム、レセプトコンピュータ(診療報酬明細書発行システム)を始め、調剤薬局に導入されている同じくPHC株式会社製電子薬歴システム、薬剤情報システム、自動錠剤包装機、一包化監査システム、医事コンピュータ、注射薬払出システム、適温配膳車等の保守サービスを受託しております。
全国の病院・一般診療所の数は、厚生労働省の調査によると現在約11万3千件(厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m22/is2204.html 2022年4月末時点データ)、また、調剤薬局は、全国約6万件(厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/20/dl/kekka5.pdf 2020年3月末時点データ)であります。そのうち当社では病院・一般診療所へ導入されている電子カルテシステムやレセプトコンピュータ、調剤薬局に導入されている電子薬歴システム等の機器を合わせて、約3万5千件の保守契約を締結し保守サービス業務を行っております。
電子カルテシステム及びレセプトコンピュータの保守は、顧客と直接保守契約を締結する「ハードウェア保守契約」と機器のメーカーであるPHC株式会社と顧客がハードウェア機器契約を締結した後、当社が顧客に対してサービスを提供し、PHC株式会社からハードウェア保守料を受領する「システムサポート契約」の2つのパターンがあります。現在PHC株式会社により、システムサポート契約の締結が促進されており、既存顧客は機器のリプレースのタイミングで順次ハードウェア保守契約からシステムサポート契約へ契約形態を変更しております。また、従来契約を締結しないまま障害発生の都度修理対応をしていた顧客に対しても契約締結を促す意向であることから、今後契約件数は増加していくと予測しております。
PHC株式会社によれば、同社製の電子カルテシステム、レセプトコンピュータは、クリニック(診療所)向けの機器としては高い国内シェアを維持しているとのことですが、顧客がPHC株式会社製の機器を選ぶ理由の一つとして、当社の保守サービスの品質への高い評価も存在すると当社では考えております。
また、PHC株式会社以外でも多くのベンダーから多種多様な機器の保守サービスを委託されております。修理対応サービスレベルに合わせた保守契約を各ベンダーと締結しており、緊急対応の要否、駆けつけ時間と部品在庫管理等の細かな要求に合わせ、全国60超の拠点からエンジニアがお客様の元へ駆けつけるオンサイトサービスを提供しております。
当社は、メーカーに属さない独立系の保守会社であることが強みであり、医療機器やIT機器、非IT機器を問わず様々なメーカー機器の保守対応が可能であり、24時間365日オンサイトサービスを提供しております。
保守サービス事業の多くは保守契約に基づき継続的に収益が入るストック型ビジネスであることから、経済状況の変動に左右されにくいという特長があります。新型コロナウイルス感染症が拡大し、経済が低迷し始めた2020年以降においても、安定した収益を確保できております。
また、近年需要が増えつつあるコールセンターやヘルプデスク業務、機器の稼働状況を継続的にチェックする死活監視業務についても、東京都台東区にテクニカルセンターを設置し、体制を整備しており、現在53の企業より業務を受託しております(2022年12月31日時点)。テクニカルセンターはオンサイトサービスの中枢拠点でもあり、障害発生の一次連絡を受付けています。連絡受付後、障害内容を踏まえて対応方法をジャッジし、現地対応が必要な案件については、拠点の管理者(通称ディスパッチャー)へ連絡します。ディスパッチャーはエンジニアを手配したり、訪問前準備をしたり、各種サービスの司令塔として機能し、迅速なトラブル対応を可能にしております。その他テクニカルセンターでは、ネットワークやPCの遠隔監視や診断を行っており、障害発生時にも自動的にアラートが上がる仕組みになっております。また、遠隔監視により、システムの利用が不可能となるような重度の障害を未然に防ぐ等の予防保守にもつながっております。
更に、今後の保守サービス事業の拡大を目指し、2016年に東京都、2020年には大阪府、2021年には宮城県、2022年には北海道、福岡県において医療機器修理業の許可を取得しました。医療分野における保守実績のある当社へは、現在多くのメーカーから医療機器の保守依頼や、同業他社からの協業依頼もあります。
ソリューション事業
医療機関、福祉施設、一般企業、官公庁向けにシステムの設計、構築、設置工事、展開管理等のICTサービスを提供、また顧客の要望に合わせた機器の提案、販売をしております。
本社におけるソリューション営業活動では、日本電気株式会社、KDDI株式会社といった大手企業との協業により、ネットワーク機器やPC関連の設定サービスを提供する他、大手総合重工業メーカー物流部門との協業による自動倉庫システムサービスの展開など、様々なサービスメニューを開発、展開しております。これらの案件は本社が全国拠点をマネジメントすることにより、全エリアにおいて同一品質のサービスを提供しております。
また、東京都八王子市には機器の設定から現地配送までを一括管理できるキッティングセンターを有しております。
こちらは、顧客からの依頼台数に合わせてキッティングエリアの拡大が可能であり、建物には電子機器、精密機器、貴重品等の盗難防止の他、機密情報の漏洩等を回避するためのセキュリティ対策が施されています。その他、東北支店、中部支店、関西支店においても支店内にキッティングスペースを設けております。
全国13支店においてもそれぞれソリューション営業の活動をしております。特に地元企業とのリレーションに力を入れ、例えば北海道支店における家畜セリシステム、中四国支店における農政局へのPC販売、設定、設置、展開作業等、地元ならではの機器に関わるソリューション案件も獲得しております。
顧客からの情報収集、営業提案、ネットワークの設計、構築、機器の設置展開、更に保守サービス事業へ引き継いでの運用管理、オンサイトサービスという一連の流れをワンストップで提供できることが当社の強みであります。
人材サービス事業
IT機器の保守、点検、修理を行うカスタマエンジニア(以下、「CE」といいます)、システムの設計や、ネットワークの設計・構築、派遣先企業のフロント営業のサポートを行うシステムエンジニア(以下、「SE」といいます)を派遣しております。
主要取引先であるNECフィールディング株式会社へはCEを、KDDIグループへはSEを派遣しております。NECフィールディング株式会社とは1967年のプリンター保守サービスの提供をきっかけに、以来長期に渡る取引の中で当社のエンジニアの技術力が評価され、現在は140名を超えるCEを派遣しております(2022年12月31日時点)。
KDDIグループからは、2005年の日本国際博覧会におけるSE派遣以来、継続して派遣の要請があり、現在は60名を超えるSEを派遣、また15名以上が準委任契約又は請負契約による業務に従事しております(2022年12月31日時点)。上記2社からは、毎年多くの増員要請を受けております。
また、その他複数の企業にもエンジニアを派遣しており、派遣を契機にソリューションや保守案件を受託するケースが増えております。
人材サービス事業全体の各期末時点における派遣人員数は、2018年3月期212名、2019年3月期214名、2020年3月期233名、2021年3月期241名、2022年3月期262名と順調に増加しております。IT人材不足という市場環境において、派遣の需要が毎年増え続けていることから、今後も機会損失が無いよう、毎年計画的に派遣人員を増員し、社内研修による資格取得推進を始め、常時エンジニアのスキルアップを図っております。
当社の保守サービス事業及び人材サービス事業は、保守契約や派遣契約に基づくストック型のビジネスが主であります。機器の保守は、新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年以降、医療機関等から一時的に保守員の立ち入りを制限されるケースがありました。しかし、診療に必要な機器を常時正常に稼働させ続けることは医療機関にとって不可欠なことであり、同様に他の企業においてもシステムを安定的に稼働させる必要があることから、結果的には保守員の出動が減少するということは殆ど見られず、また、保守契約の解約となるケースも殆ど発生しませんでした。人材サービス事業においては、派遣先の事情によりテレワークとなるケースもありましたが、ITエンジニア不足の市場の中で派遣契約が解除されることは無く、保守サービス事業同様、コロナ禍でも影響を受けにくいという傾向が見られました。
当社の社員は入社後、CEあるいはSEとしての教育を受け、必要な資格を取得した上でそれぞれ拠点へ配属されます。エンジニアは各配属先において現場経験を積むことや、資格取得講習等を受講することにより、必要なスキルを身に付けていきます。その後、人事ローテーションにより、また新たな部署で経験を積むことで、マルチな対応が可能なエンジニアへとスキルアップしていく、そのような環境が当社にはあります。
当社には現在700名を超えるエンジニアがおり(2022年12月31日時点)、その多くはCEとSEの両スキルを保有しております。特定の時間に集中していることが多い保守サービス業務の前後の時間に機器の設定や設置等作業を行うことにより、業務効率が上がり、生産性の向上につながっております。
このように、保守サービス事業、ソリューション事業、人材サービス事業全てに対応でき、各事業の知見があるエンジニアが、自身の配属先あるいは派遣先での業務に従事する中で、取引先企業の抱える課題や需要を把握し、当社の3事業の特長を生かした提案をすることで、新たなビジネスが生まれております。他にも当初機器の導入展開案件を受託した取引先から、その次のステップである運用管理まで依頼されるケースも増えてきております。このように、事業間シナジーにより新規案件を獲得できること、3事業を通じて様々な市場に参画できるといった強みがあります。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
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