有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2023/05/11 15:00
【資料】
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【項目】
126項目

事業内容

当社は、「個人の可能性を最大化する」という企業理念のもと、「学習量×効率を最大化する」ことをミッションとしてAI学習プラットフォームの企画・開発・運営を行っております。
なお、当社の事業は教育サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
■ 英語学習におけるAI学習プラットフォーム
当社は主に、スマートフォン向けアプリ及びウェブ上で利用できるAI英語教材「abceed(エービーシード)」の企画・開発・運営を行っております。当社の提供するサービスは、教育主要4分野と呼ばれる「学習ツール」、「教材」、「テスト」、「スクール」をデジタル化し、融合させた英語学習におけるAI学習プラットフォームを構築しております。単語学習、問題演習、シャドーイング(英語を聞きながら発音する練習法)、ディクテーション(英語を聞きながら書き取りする練習法)、辞書など様々な学習機能、蓄積された学習データに基づくAIレコメンド、学習管理者向けの管理機能など学習者及び利用者にとって最適なユーザビリティを追求した「学習ツール」に、700タイトル以上(注1)の幅広いジャンルの学習教材を豊富に取り揃えた「教材」のプラットフォームを形成し、オンライン模試といった「テスト」の機能も搭載しております。加えて、厳選されたプロのコーチ(注2)による解説動画など、「スクール」の要素を「abceed」に融合したコンテンツも利用することができ、さらに「abceed」を活用して、AIが個人の具体的な弱点を可視化するとともに、「いま必要な、本当に有効な学習」を抽出し、問題を作成することができるような、個別最適化されたカリキュラムで行うTOEIC®対策のコーチングサービスである「ABCEED ENGLISH」も提供しております。
■ サービスライン・顧客・収益形態
「abceed」は有料プラン(サブスクリプション)である「Proプラン」が中心(売上高全体に占めるサブスクリプション売上比率は2022年5月期で約90%)(注3)となっており、音声再生、自動採点マークシート、学習時間計測機能などの基本的な機能に加え、問題レコメンド、予測スコア機能など多種多様な学習機能を利用することができます。「Proプラン」では、200タイトル以上の人気教材、ニュース(英字新聞)、解説・講義動画などが使い放題(一部対象外の教材有)で、TOEIC®・英検®のオンライン模試も利用することができます。
一部コンテンツの単品での販売も行っております。また、法人向けには、学習管理者に月額制の管理画面の機能も提供しており、学習状況の管理や課題の配信などに対応しております。さらに、プロのコーチのサポートが付いた英語スクールである「ABCEED ENGLISH」も提供しており、さらなるサポートを得て学習したいユーザーにご利用いただいております。
対象となる顧客については、「abceed」の有料プランと管理画面「abceed for school」を中心に、一般ユーザー(個人)と法人(企業・大学等及び学校)に提供しております。学校向けには「Proプラン」に加え、検定教科書に対応したプランを展開しております。売上高に占める一般ユーザー(個人)と法人の内訳につきましては、2023年5月期第3四半期累計期間で一般ユーザー(個人)が約90%(注4)となっております。
顧客属性別売上構成比率(注4)
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サービス概要及び主な料金プラン
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(注1)2023年4月末時点
(注2)採用率は0.78%(2021年3月12日~2022年9月21日の間で英語コーチポジションに応募のあった候補者のうち採用に至った比率を算出しております。)
(注3)サブスクリプション売上比率は、2022年5月期における販売促進費控除前の売上高のうち、一般ユーザー(個人)及び法人(企業、大学、高校、中学校等)のサブスクリプション会員の売上の比率
(注4)toC売上は一般ユーザー(個人)からの売上高、toB売上は法人(企業、大学、高校、中学校等)からの売上高を集計し、比率を算出
■ 当社の競合優位性
当社は次の3つの要素により、「英語学習に特化したAI学習プラットフォーム」という競合優位性を堅持し、独自のポジショニングを確立していると考えております。
①教材コンテンツプラットフォーム
②英語特化によるユーザビリティの追求
③AIの活用
①教材コンテンツプラットフォーム
人気の教材コンテンツを豊富に揃えているため、幅広い学習者から認知されやすく、自然流入でのユーザー獲得が実現できていると考えております。
創業初期から地道に出版社との関係を構築した結果として、当社は多くの教材のライセンス(注1)提供を受けることにより、それらの教材コンテンツを「abceed」に対応できており、豊富な人気教材を使って学習することができます。また、教科書にも対応しており、学校現場への展開も可能となっております。
語学学習の教材市場においては、学習者に従前から長年利用されてきたベストセラーとなっている馴染みのある教材が利用され続けやすい傾向にあります。学習者にとって、今まで全く知らなかった教材やサービスによるオリジナルなコンテンツは取り掛かりにくく、長年信頼されていた人気の教材、慣れ親しんだ教材の方が始めやすいため、それらを豊富に取り揃えた教材プラットフォームとなっている「abceed」は、幅広い学習者からの認知を得ることができていると考えております。
その結果、競合他社がマーケティング及び営業コストをかける必要があると考えられる一方で、広告宣伝や営業に関するコストをあまりかけずとも、オーガニックでユーザーを獲得することができており、オーガニックユーザー獲得率は約96%(注2)となっております。
②英語特化によるユーザビリティの追求
「abceed」は、英語学習者に最適なユーザビリティを担保しております。これは多科目ではなく英語に特化することにより実現できたと考えております。
単語対策、4技能対策(リスニング、スピーキング、リーディング、ライティング)、辞書、MY単語帳など30以上(2023年2月末時点)の豊富な学習機能を搭載しておりますが、英語という1つの科目だけでも、学習者にとって最適なユーザビリティを担保するには、様々な要素を深掘りする必要があるため、これらのユーザビリティの担保は多数の科目ではなく英語に特化したことに起因しております。従来型の学習教材をオンライン化した学習ツールや既存のデジタル教材とは一線を画す、AIを活用しつつ英語に特化したユーザビリティを追求しているサービスが「abceed」であります。学習者にとって最適なユーザビリティを追求したことが、法人向けではなく一般ユーザーから先行して口コミで広がり、高い評価を受け続けていることの主な要因となったと考えております。
学習管理者向けの管理画面についても、英語学習に最適な管理ツールとして予測スコア、学習時間、課題進捗率など学習成果を一括管理することが可能であり、目標に沿った課題を配信、自主学習の習慣化を支援することができます。
③AIの活用
「abceed」は、14億件超の解答データ(注3)の蓄積をもとに、AIレコメンドによる個別最適化で高い学習効率を実現しており、リアルタイムスコア予測によりユーザーの成長を可視化します。当社では大量の教材コンテンツ、問題に対する大量の学習データやユーザーのTOEIC®公開テストなどの実績データを保有しているのが強みでありますが、それらに加えて英語学習及びTOEIC®等の対策に精通したスタッフによるノウハウも反映しており、以下の2つの特徴によるユーザーの学習成果の向上の強化を図っております。
・AIレコメンド
それぞれのユーザーにとって、「ギリギリ解けそうな問題」、「忘却曲線に沿って復習すべき問題」などを最適なタイミングで学習できるように、問題データベース(2万超)の中からAIによるレコメンドにより個別最適化して出題し、ひとりひとりに最適な「パーソナライズ教材」を作成します。「abceed」では、膨大な学習データを解析し、問題のレベル別、カテゴリ別に最適な問題を出題しますが、例えば、似ている問題に正答できていれば出題せず、間違いやすいカテゴリの問題を優先して出題する、などの工夫を施しており、学習効率の向上に繋がります。また、ユーザーにとって難易度が高すぎず、低すぎない問題を優先的に解くことができることにより、ユーザーのモチベーションの向上及び学習量の確保に繋がります。その結果として、ユーザーの学習成果やTOEIC®や英検®のスコア向上に貢献していると考えております。
・リアルタイムスコア予測
「ユーザーが各カテゴリ、各難易度の問題を何%正解できそうか」という予測に基づき、本番のTOEIC®公開テストにおけるカテゴリ別、難易度別の出題分布と組み合わせて、「abceed」での学習データから本番のTOEIC®公開テストでのスコア予測を行っております。予測スコアにより学習状況が可視化され、成長の実感やモチベーションの向上にも繋がると考えております。また、「abceed」のオンライン模試は累計受験者数が100万人(注4)を突破しており、本番同様の難易度での出題及び予測スコアにより本番に近い体験が可能です。
(注1)教材のライセンスとは、コンテンツを保有する出版社との契約により得た利用許諾を指します。
(注2)オーガニックユーザー獲得率は、全ユーザー数のうち、広告などで獲得(広告媒体の閲覧を経由して有料で会員登録に至ること)したユーザー数を除いた割合(2022年5月期末までの累計)。期別では2018年5月期から2020年5月期は100%、2021年5月期から2023年5月期第3四半期は96%で推移
(注3)2023年2月末時点、当社集計
(注4)2022年6月末時点の累計受験者数を集計(同一ユーザーによる複数受験を含む件数であり、当社にて集計)
(注5)注2及びその他で記載されているユーザーとは、アプリをダウンロードまたは会員登録した者(無料会員含む)を指し、ユーザー数はその累計数を指します。
[事業系統図]
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(注)一般ユーザー(個人)による「abceed」の有料プラン及び単品課金の利用料は、プラットフォーム事業者及び決済代行業者を通じて回収され、決済手数料等を差し引いた金額が当社へ支払われます。なお、法人顧客への「abceed」のサービス提供、法人顧客及び一般ユーザー(個人)へのAIスクール「ABCEED ENGLISH」の提供に対する料金は、プラットフォーム事業者及び決済代行業者によらず、ユーザーから当社へ支払われることがあります。