有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2023/05/19 15:00
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【項目】
131項目

事業等のリスク

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、業績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家の皆様に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
当社では、「リスクマネジメント・コンプライアンス規程」を定め、経営会議において、リスクマネジメント・コンプライアンス事項について協議・決定を行う体制を整備しております。また実際にリスクが発生した場合は、速やかに代表取締役への報告を行い、代表取締役の指示の下、当該リスクへの対応を行うこととしております。
なお、文中の将来に関する事項は本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。
(1) 経済状況及び不動産市況の影響について[顕在可能性:中、影響度:大]
当社のフレキシブルワークプレイス事業については、景気の後退、金利の上昇、消費税増税等の税制改正などが、当社の業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が運営する物件の主要なテナントはスタートアップ企業やベンチャー企業等の中小企業であるため、その需要は景気の動向に影響を受けやすい傾向にあります。こうした現状を踏まえ、当社はその時々においてスピード感をもってプロジェクトを進行し、経済状況及び不動産市況に応じた不動産の運用形態を柔軟に選択することができるよう努めておりますが、景気の後退やオフィス空間の供給過剰等により不動産市況が下落し、物件稼働率が著しく低下する場合には、マスターリース物件において、テナントより収受する賃料がオーナーへの支払賃料を下回るなど、当社の業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 競合について[顕在可能性:中、影響度:中]
当社は、主に遊休不動産を再生しオフィス空間として提供するフレキシブルワークプレイス事業を展開しておりますが、企画・設計・デザイン、建設、リーシング、運営までワンストップで対応する体制を採用しております。そのため、事業計画の策定からエンドユーザーとなるテナントに対する提案まで迅速に行うことが可能であると考えております。当社のように東京都心部のコンパクトな築古ビルを対象に抜本的な不動産価値の向上を行う競合他社はないものと認識しております。しかし、昨今の時代背景から、大手不動産デベロッパーや不動産再生会社等によるオフィス事業等への参入が増えてきており、それによる競争の激化や、当社の優位性の確保が難しくなった場合、当社の業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 物件の確保について[顕在可能性:中、影響度:中]
当社は、物件の情報を不動産業者、大手鉄道会社及び金融機関等のルートから入手しており、それら不動産業者等との信頼関係の構築及び維持に努めております。しかしながら、当不動産業界が共有する問題である不動産市況の変化あるいは物件の取得競争の激化等により、不動産業者等からの優良な情報が減少した場合、又は優良な物件を仕入れることが困難となった場合等には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 災害等の発生及び地域の偏在について[顕在可能性:中、影響度:大]
地震、暴風雨、洪水等の自然災害、戦争、暴動、テロ、火災等の人災が発生した場合、当社が所有する不動産の価値が著しく下落する可能性があり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が保有する不動産は、経済規模や入居テナントのニーズを考慮に入れ、東京都心部を中心としており、当該地域における地震その他の災害、首都圏経済の悪化等により、業績に影響を及ぼす可能性がありますが、当社は、自然災害等の発生に備え、人的被害の回避を最優先としつつ事業継続を図るため、災害発生時マニュアルの整備及び訓練等によって、リスク回避と被害最小化に努めております。
(5) 新型コロナウイルス感染拡大に伴う影響について[顕在可能性:中、影響度:小]
当社の主要なテナントは、スタートアップ企業やベンチャー企業の中小企業であり、新型コロナウイルス感染拡大に伴いこれらのテナントの業績が悪化した場合、解約や滞納等が発生し収益確保が困難になることが考えられ、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の従業員に新型コロナウイルス等の感染が拡大した場合にも、一時的に事業を停止するなど、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社ではこれらのリスクに対応するため、予防や拡大防止に対して適切な管理体制を構築しておりますが、2023年3月末現在、新型コロナウイルス感染による社会の混乱自体が収束に向かっており、影響は限定的と考えております。
(6) 法的規制について[顕在可能性:小、影響度:中]
当社は、事業を行う上で、宅地建物取引業法、建築基準法、建築士法及び消防法等の法令の他、関連する条例等多岐に渡る規制の適用を受けております。法改正等の改廃については法務部門にて定期的に情報収集を行い、適宜所管部署と連係を図っておりますが、これらの法規制が改廃された場合又は新たな規制が導入された場合は対応に要するコストの増加や受注できない業務の発生などにより当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 免許登録について[顕在可能性:小、影響度:大]
当社は、宅地建物取引業法をはじめ、建築基準法、都市計画法、建設業法、建築士法等による法的規制を受けております。当社では、これらの許認可等を受けるための諸条件及び関連法令の遵守に努めており、現状において当該許認可等が取消となる事由は発生しておりません。今後、これらの関連法令が改廃された場合や新たな法的規制が設けられた場合、又はこれらの法令等の規制について遵守できなかった場合や新たな有資格者等の設置義務が発生する場合には、当社の業績及び事業の展開に影響を及ぼす可能性があります。
免許・登録等の別番号有効期間取消条項
宅地建物取引業免許東京都知事
(3)90947
2019年9月19日から
2024年9月18日まで
宅地建物取引業法
第66条
一級建築士事務所登録東京都知事登録
第62066号
2022年11月25日から
2027年11月24日まで
建築士法
第26条
特定建設業許可東京都知事許可
(特-1)第151421号
2020年2月20日から
2025年2月19日まで
建設業法
第29条
特定建設業許可東京都知事許可
(特-4)第151421号
2023年3月20日から
2028年3月19日まで
建設業法
第29条

(8) 知的財産権について[顕在可能性:小、影響度:中]
当社は、会社名や運営するサイト及び運営物件の名称等について商標登録を行っており、今後新たなサービスの展開を行っていくに際しても関連する名称の商標登録を行っていく方針です。 一方、他社の著作権や肖像権を侵害しないようサイト等に掲載する画像等については十分な監視・管理を行っており、現在、当社は第三者の知的財産権を侵害していないものと認識しております。しかしながら、今後も当社に対して知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起されないという保証はなく、そのような事態が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 訴訟の可能性について[顕在可能性:小、影響度:大]
当社が企画又は管理運営している不動産については、入居トラブル等によって取引先又は顧客等による訴訟その他の請求が発生する可能性があります。クレーム対応マニュアルの策定や人材育成を通じてトラブルの発生を防止するとともに、顧問弁護士等と連係をとれる体制を整備することでリスク軽減に努めておりますが、これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社の業績と財務内容に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 建設廃棄物の排出事業者責任について[顕在可能性:小、影響度:大]
当社は元請業者として、廃棄物処理法において排出事業者の責務を負っております。排出事業者責任の明確化のために、排出事業者が他社に処理を委託する場合には、当該産業廃棄物について、発生から最終処分が終了するまでの一連の処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるよう努めなければなりません。産業廃棄物処理が適正に行われるために、電子マニフェストを導入することで常時モニタリングを実施する他、建設マネジメント部内で産業廃棄物処理の手続きが適正に進められているかどうかを定期的に確認する体制をとっています。現在、万が一、当社が排出事業者として責任を負う建設廃棄物について、適切に処理委託等されず不法投棄されていた事実が発覚した場合、その処分費用が発生する可能性があります。現在まで、これらの違反について行政処分や係争、紛争はございませんが、その応対等により、当社の風評、事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(11) 協力会社への外注について[顕在可能性:中、影響度:中]
当社は、工事・施工を協力会社に外注しております。協力会社の管理を徹底するよう努めておりますが、万が一協力会社の管理が徹底できないことによる施工品質の低下や現場における事故、廃棄物処理法の違反等の協力会社による不正行為が発生した場合、当社の信用度の低下及び損害賠償責任の負担等により、当社の業績に影響を与える可能性があります。また、外注費の高騰及び工期の延長等が発生した場合、価格転嫁リスクの負担及び利益率の低下により、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(12) 設計・施工について[顕在可能性:中、影響度:中]
当社の業績拡大のためには新規物件の獲得は必須となっておりますが、獲得した建物はその大半が老朽化が進んだ築古ビルであるため、安全性や遵法性を保ち、かつ当社のブランドイメージに沿う空間へと作り変え、資産価値を向上する必要があります。物件の契約前には十分な事前調査を実施しておりますが、工事を進めていく段階で建物に構造上や耐震上の問題等が発生するケースがあります。この場合、再度調査し別途工事を実施する必要があるため、工事費用の増大や竣工スケジュールに遅れが生じ、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 修繕について[顕在可能性:中、影響度:大]
当社は、高いデザイン性を実現しつつも、高い安全性と品質にこだわった設計・施工を心掛けております。しかしながら、当社が設計・施工した物件に不具合や老朽化による修繕の必要性が生じる可能性は否定できず、その際の手直しに要する追加の施工費、重大な瑕疵による損害賠償等は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、人身や施工物等に係る重大な事故の発生も損害賠償金の支払い等により当社の信用が著しく毀損した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 敷金及び差入保証金について[顕在可能性:小、影響度:中]
当社は、初期投資を当社が負担するケース、あるいは、ビルオーナーが負担するケースがあり、各々の物件により、対応は異なっております。このため必要に応じて、一部の不動産オーナーに対して、当社が敷金及び保証金を差し入れるケースがあります。この場合、契約終了に伴って、契約条項に基づき、敷金及び保証金の返還を受けることとなります。当社では、敷金及び保証金を差し入れている不動産オーナーに対して信用調査を定期的に行っております。しかしながら、倒産等不測の事態により、不動産オーナーから敷金及び保証金を回収できなくなる場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 資金調達について[顕在可能性:中、影響度:中]
物件の取得資金や建築費等の資金調達においては、特定の金融機関に依存することなく、案件毎に金融機関に対して融資を打診し、融資実行を受けた後に各プロジェクトを進行させております。今後、新たに計画した資金調達が不調に終わった場合には、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。また、一部の金融機関との契約には財務制限条項が付されており、財務制限条項に抵触し、一括返済が必要となった場合には、当社の財政状態、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 有利子負債への依存について[顕在可能性:中、影響度:中]
当社は、事業の運営資金を主に金融機関からの借入金及び社債の発行によって調達しております。当社は特定の金融機関に依存することなく借入金の調達を行っておりますが、金融情勢や経済情勢等により金利水準や金融環境等に変動があった場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 固定資産の減損について[顕在可能性:中、影響度:大]
当社は、「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」を適用しております。当社では、遊休不動産への設備投資等により、有形固定資産が増加傾向にあります。今後資産の利用状況及び資産から得られるキャッシュ・フローの状況等が悪化し、減損処理が必要となった場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(18) 物件売却に係る売上計上時期のずれについて[顕在可能性:中、影響度:大]
当社は、物件売却の際には、当該売上高及び売上原価は物件の引渡時に計上されます。また、一取引当たりの金額は、他のストック型収入に比較して高額となっており、単発の物件売却取引の有無によって各期の業績は変動します。したがって、物件売却の有無、予定していた物件の引渡及び売却金額が想定どおりに行われなかった場合等、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(19) 工事請負契約に係る売上計上時期のずれについて[顕在可能性:中、影響度:中]
当社は、工事請負契約について、取引開始から完全に履行義務を充足すると見込まれる時点までの期間がごく短い場合には、完全に履行義務を充足した時点で収益を認識しております。そのため、当社に起因しない何らかの事情により、工事遅延等が発生した場合、当初予定の売上計上時期がずれ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(20) 決算期変更について[顕在可能性:小、影響度:小]
親会社である株式会社サイバーエージェントの決算期末日が9月30日であることから、当社は、2021年9月14日開催の臨時株主総会決議において、決算期末日を10月31日から9月30日に変更しました。この変更により、第13期は2020年11月1日から2021年9月30日までの11ヶ月間の変則決算となり、第14期との適切な比較対照が困難となっております。そこで、当社は、投資情報として期間比較可能性を担保するための補足的情報を提供することを目的に、「みなし要約損益計算書(未監査)」を以下のとおり、開示しております。 「みなし要約損益計算書(未監査)」は、第14期が12ヶ月決算であるのに対して、第13期が11ヶ月決算であることから、2020年10月1日から2020年10月31日までの1か月間の損益計算書を第13期の損益計算書に合算し作成したものであります。
なお、「みなし要約損益計算書(未監査)」は法定の財務諸表ではないため、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査や、その他いかなる監査も受けていないことにご留意下さい。 「みなし要約損益計算書(未監査)」の数値を基に、第13期の主要な業績の比較を掲げると、以下のとおりとなります。
(単位:千円)
みなし要約損益計算書
(未監査)
(自 2020年10月1日
至 2021年9月30日)
第14期
(自 2021年10月1日
至 2022年9月30日)
みなし要約損益計算書
期間比
売上高4,082,1045,843,209143.1%
売上原価3,486,7965,054,530145.0%
売上総利益595,308788,679132.5%
販売費及び一般管理費319,683359,373112.4%
営業利益275,624429,306155.8%
経常利益253,949387,594152.6%


(21) 人材確保・育成について[顕在可能性:中、影響度:中]
当社は、従業員90名(2023年3月31日時点)であり、従業員一人当たりの業務領域が広汎に亘ることがあります。不動産業界の競争激化の中での事業拡大を図るためには、従業員全てが業務の各段階において当社独自の遂行方法を基本とした専門的なスキルを持つスペシャリスト性や全体を統括できるゼネラリスト性を発揮する必要があり、これらの能力を兼ね備えた人材の確保が重要であると言えます。当社には宅地建物取引士45名、一級建築士7名、1級建築施工管理技士6名(2023年3月31日時点)が在籍しておりますが、退職等によって有資格者の人数が減少することで案件受注に影響を及ぼす場合があります。そのため、人材確保のために中途採用を積極的に実施し、また教育研修を充実することにより、人材の育成に努める方針であります。しかしながら、人材の確保、育成が適切に行えなかった場合には、当社の今後の事業展開に影響を与える可能性があります。
(22) 特定の人物への依存について[顕在可能性:小、影響度:中]
当社の創業者であり、代表取締役である岩本裕は、その企画・営業力、技術力、知識ノウハウ、経営判断能力を生かして、当社の経営方針や戦略の決定及び事業推進において重要な役割を果たしております。当社は特定の人物へ過度に依存することなく、より組織的な経営体制を目指し、人材採用・育成に力を入れ、経営リスクの軽減を図る所存でありますが、何らかの要因により、取締役としての執行が困難となった場合には、当社の業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(23) 内部管理体制について[顕在可能性:中、影響度:中]
当社は、企業価値の継続的な向上のため、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底するため、内部管理体制の充実を図ってまいります。しかしながら、業務の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(24) システムに関して[顕在可能性:中、影響度:中]
自然災害、停電等様々な原因により、当社のサーバーがシステムダウンを起こし、業務ができない等の障害が発生する可能性があります。当社では、システムのバックアップを行うとともに、緊急時の対応については、システム会社等による早期の復旧を図る体制を構築しておりますが、万が一想定を超えるシステム障害が発生した場合には、業務負荷に伴い当社サービスの低下等が発生し、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(25) 情報の漏洩について[顕在可能性:中、影響度:中]
当社は、多数のお客様の個人情報をお預かりしている他、様々な経営情報を保有しております。これらの情報の管理に関しては、社内の情報管理システムを強化するとともに、従業員等に対する教育・研修等により情報管理の重要性の周知徹底を図っております。しかし、これらの対策にも関わらず重要な情報が外部に漏洩した場合には、当社の社会的信用等に影響を与え、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(26)社歴が浅いことについて[顕在可能性:小、影響度:小]
当社は、2009年8月に設立された社歴の浅い会社であります。マスターリース開始が2012年であり、また一級建築士事務所登録が2017年、特定建設業許可の取得が2020年となっており、不動産再生の総合デベロッパーとしての社歴は浅いと考えております。さらに、当社が事業を行うフレキシブルワークプレイス市場についても新興マーケットであることから、当社における経営計画の策定には不確定事象が含まれざるを得ない状況にあります。
(27) 親会社グループとの関係について[顕在可能性:中、影響度:小]
本書提出日現在において、当社の親会社である株式会社サイバーエージェントは当社発行済株式総数の91.5%を所有し、当社の経営において、親会社の承認を必要とする事項は存在しておりませんが、当社取締役の選解任、合併その他の組織再編の承認、重要な事業の譲渡、当社定款の変更及び剰余金の決定に関して、他の株主の意向に関わらず株式会社サイバーエージェントが影響を与える可能性があります。また、株式会社サイバーエージェントは、当社株式について上場後も長期保有を目的としておりますが、当社業容の変化や市場環境による影響等により当社株式売却等を行った場合には、当社の資本構成等に影響を及ぼす可能性があります。
(27-1) 親会社グループとの取引関係について
当社の親会社である株式会社サイバーエージェント及び親会社グループ会社との本書提出日現在における取引関係に該当する項目はありません。
なお、当社では、親会社及び親会社グループと取引を行う際には、取引条件の経済的合理性を保つために、市場原理に基づき、その他第三者との取引条件との比較などからその取引の是非を慎重に検討し、判断しております。
(27-2) 親会社グループとの人的関係について
当社取締役6名のうち、取締役(非常勤)である中山豪氏は、親会社である株式会社サイバーエージェントの常務取締役を兼ねております。当該兼務は、同氏が株式会社サイバーエージェントにおいて培ってきた豊富な経営経験から、当社に関する助言を得ることを目的として当社が招聘したものであります。
(28) 親会社グループにおける当社の位置付けについて[顕在可能性:小、影響度:小]
当社は親会社グループにおいて、その他事業に区分されております。同社グループにおいて、当社と同様の事業領域において事業を展開しているグループ企業はなく、グループ内における競合は生じておりません。しかしながら、将来において同社グループの事業戦略や当社の位置付け等に著しい変更が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。当社としては、築古ビルに対して耐震補強や増築、用途変更などを通じて抜本的な資産価値の向上を提供する事業を展開しており、不動産取得及び設備投資を行うための資金を必要とする事業のため、上場による資金調達力の強化、知名度や社会的信用度が向上することで、より多くの事業展開が可能になると判断し、上場を選択しております。
(29) 資金使途について[顕在可能性:中、影響度:中]
今回計画している公募増資による調達資金の使途につきましては、土地建物取得費用及び付随する改修工事費用等に充当する予定であります。しかしながら、経営環境の急激な変化等により、上記の資金使途へ予定どおり資金投入したとしても、想定どおりの投資効果を上げられない可能性があります。また、新たに取得を予定する目黒区大橋1丁目PJ(仮称)は売主と不動産売買契約を締結しておりますが、2024年3月を予定する不動産の引渡時までに何らかの契約解除条項に抵触した場合等は当該契約が破棄される可能性があります。その場合は他の新規物件取得費用及び付随する改修工事費用等に充当することとし、速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。
(30) 新株予約権による希薄化について[顕在可能性:中、影響度:中]
当社は、役職員の会社業績の向上に対する意欲や士気を高めることを目的として、ストック・オプション制度を導入しております。本書提出日現在、新株予約権の株数は269,300株であり、当社発行済株式数の2,000,000株に対する潜在株式比率は13.4%に相当しております。今後、行使がなされた場合には、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
(31)当社株式の流動性について[顕在可能性:中、影響度:中]
当社グループは、株式会社東京証券取引所への上場を予定しており、上場に際しては、公募増資によって当社株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は新規上場時において25.09%にとどまる見込みです。今後は、当社の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加、親会社他既存株主からの売出等の施策を組み合わせることで、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(32)配当政策について[顕在可能性:小、影響度:中]
当社は、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けておりますが、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元に繫がると考えております。将来的には、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び当社を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。