臨時報告書

【提出】
2022/07/26 13:24
【資料】
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提出理由

当社は、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第179条第1項に規定する特別支配株主である株式会社エムズ(以下「エムズ」といいます。)から、同法第179条の3第1項の規定による株式等売渡請求(以下「本株式売渡請求」といいます。)の通知を受け、2022年7月26日開催の当社取締役会において、本株式売渡請求を承認する旨の決議をいたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の2の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。

特別支配株主から株式等売渡請求の通知がされた場合又は当該株式等売渡請求を承認するか否かが決定された場合

1.株式売渡請求の通知に関する事項
(1)当該通知がされた年月日
2022年7月26日
(2)当該特別支配株主の商号、本店の所在地及び代表者の氏名
商号株式会社エムズ
本店の所在地東京都千代田区内幸町一丁目3番3号内幸町ダイビル
代表者の氏名代表取締役 小山 潔人

(3)当該通知の内容
当社は、エムズより、2022年7月26日付で、当社の特別支配株主として、当社の株主の全員(但し、エムズ及び
当社を除きます。以下「本売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社の普通株式(以下「当社株式」
といい、本売渡株主が所有する当社株式を、以下「本売渡株式」といいます。)の全てをエムズに売り渡すこと
の請求に係る通知を受けました。当該通知の内容は、以下のとおりです。
① 特別支配株主完全子法人に対して、本株式売渡請求をしないこととするときは、その旨及び当該特別支配株
主完全子法人の名称(会社法第179条の2第1項第1号)
該当事項はありません。
② 本株式売渡請求により本売渡株主に対して本売渡株式の対価として交付する金銭の額又は算定方法及びその
割当てに関する事項(会社法第179条の2第1項第2号、第3号)
エムズは、本売渡株主に対し、本売渡株式の対価(以下「本売渡対価」といいます。)として、その所有する本売渡株式1株につき1,800円の割合をもって金銭を割当交付いたします。
③ 新株予約権売渡請求に関する事項(会社法第179条の2第1項第4号)
該当事項はありません。
④ 特別支配株主が本売渡株式を取得する日(以下「取得日」といいます。)(会社法第179条の2第1項第5号)
2022年8月31日
⑤ 本売渡対価の支払のための資金を確保する方法(会社法第179条の2第1項第6号、会社法施行規則第33条の
5第1項第1号)
エムズは、本売渡対価の全てを、エムズが保有する現預金並びにエムズ及び株式会社福岡銀行(以下「福岡銀行」といいます。)の間の2022年7月15日付金銭消費貸借契約書に基づく借入金により支払うことを予定しています。なお、エムズにおいて、本日現在、本売渡対価の支払に支障を及ぼす事象は発生しておらず、今後発生する可能性も認識しておりません。
⑥ その他の本株式売渡請求に係る取引条件(会社法第179条の2第1項第6号、会社法施行規則第33条の5第1項
第2号)
本売渡対価は、取得日後合理的な期間内に、取得日の前日における最終の当社の株主名簿に記載又は記録された本売渡株主の住所又は本売渡株主が当社に通知した場所において、当社による配当財産の交付の方法に準じて交付されるものとします。但し、当該方法による交付ができなかった場合には、当社の本店所在地にて当社が指定した方法により(本売渡対価の交付についてエムズが指定したその他の場所及び方法があるときは、当該場所及び方法により)、本売渡株主に対して本売渡対価を支払うものとします。
2.株式売渡請求を承認する旨の決定に関する事項
(1)当該通知がされた年月日
2022年7月26日
(2)当該決定がされた年月日
2022年7月26日
(3)当該決定の内容
エムズからの通知のとおり、本株式売渡請求を承認いたします。
(4)当該決定の理由及び当該決定に至った過程
本株式売渡請求は、エムズが2022年5月23日から当社株式に対して実施した公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)に関して当社が提出した意見表明報告書(以下「本意見表明報告書」といいます。)の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、エムズが当社株式の全て(エムズが所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得することにより、当社をエムズの完全子会社とすることを目的とする一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として行われるものであり、本売渡対価は、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)と同一の価格に設定されております。
当社は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、以下のとおり判断し、2022年5月20日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対しては、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。
本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け及び本取引後の経営方針」に記載のとおり、当社グループ(当社及び本意見表明報告書提出日における当社の連結子会社3社を総称していいます。以下同じです。)を取り巻く国内医薬品業界は、度重なる薬価制度改革により2011年から2020年まで既存薬価の改定率は薬剤費ベースで年平均3.1%下落している(注1)ことやジェネリック医薬品の普及率が2005年9月の32.5%から2020年9月の79.0%に上昇しており(注2)、今後医薬品関連の設備投資が見込みづらくなっていること、及び一昨年からの新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、今後の設備投資が抑制的となっていくことが予想されることから、厳しい市場環境の下に置かれております。
このような経営環境の下、当社グループは、①医薬品業界の深掘り、②国内新規マーケットの開拓、③海外への展開強化を基本路線として、国内外の設備投資に係る受注を目指し、グループ企業の総力を結集して更なる収益機会の拡大を目指してきました。具体的には、医薬品業界については、研究所等これまで手薄であった部署へのアプローチを強化し、新たに専門部署を立ち上げ、全てのメンテナンス依頼を請け負うことでアフターサービスの質と顧客満足度の向上を図るとともに、営業人員が新規受注の獲得に向けた営業活動に注力できる体制への移行を目指しております。またエンジニアリング機能を強化することで、ライン設計から機械の納入、据え付け、運転までの大型な受注に対応できる体制を整えております。さらに国内新規マーケットの開拓では、専門部署を新たに設置して、国内外での新商材の発掘及び国内における新商材・新市場に対する需要の掘り起こしを専門的に行っております。また、海外展開では中国で開催される展示会への積極的な出展を契機とした、現地企業とのタイアップ、ネットワークづくりが形となりつつあり、引き続き海外代理店や海外機械メーカーとの業務提携やM&A等様々な可能性を追求し、グローバルな営業体制を整え、業容の更なる拡大を実現していく方針です。
これらの施策を実行し、持続的な企業価値の向上を実現するためには、特に製造機能と営業機能の拡充を目指すべくマネジメント能力に長けた人材、また、従業員に関しても、技術開発や営業、メンテナンス対応において即戦力となる人材の確保が必要不可欠であるものの、こうした人材の採用や育成は容易ではないことから継続的な課題となっております。さらに、経営体制においても、当社の取締役・監査役8名の平均年齢は71.5歳と経営陣の高齢化が進んでおり、現体制のみでは上記の厳しい環境下での舵取りが困難となりつつあるとの自覚から、早急に次世代経営布陣を整備することを重大な課題と認識しております。
(注1)出典:厚生労働省 令和4年度薬価制度改革について 2022年3月4日
(注2)出典:厚生労働省 後発医薬品の使用割合の目標と推移 2021年6月18日
そのような中、今後更なる競争力の強化及び企業価値の向上を実現するためには、当社独自の経営努力に加え、外部の経営資源を活用することが有益であると考え、2020年1月上旬に当社の新たな資本パートナーの検討を開始いたしました。具体的には、2020年1月上旬から2021年9月下旬にかけて当社と取引上の関係があった大和証券株式会社(以下「大和証券」といいます。)及び株式会社三井住友銀行(以下「三井住友銀行」といいます。)と当社の新たな資本パートナーについて議論を進める中で、事業会社4社及びプライベート・エクイティ・ファンド4社の計8社の紹介を受け、当社の完全子会社化及び非公開化に関して提案を受けました。これらの提案を検討する中で、当社ではなく事業会社固有の事業の拡大及び収益性の向上が主目的である事業会社よりも、投資先の収益性の向上を通じて利益拡大を追求するプライベート・エクイティ・ファンドの方が、より当社の事業自体を中核に据えた企業価値の向上を主眼に置いて進めることができると考え、2021年11月下旬に事業会社よりもプライベート・エクイティ・ファンドの方が従業員や取引先等のステークホルダーにとって望ましい資本パートナーであると判断いたしました。その後、上記で紹介を受けたプライベート・エクイティ・ファンド4社のうち、大和証券及び三井住友銀行からの推薦があったことに加え、各社提案内容を当社で比較検討の上で、特に人材紹介面で当社にとって有益なパートナーとなり得ると判断したことから、2021年12月中旬に、株式会社マーキュリアインベストメント(以下「マーキュリアインベストメント」といいます。)を含む2社と更なる交渉を進めることといたしました。
その後、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け及び本取引後の経営方針」に記載のとおり、当社は、マーキュリアインベストメントと、同じく当社株式の非公開化を提案していた他の候補者1社から買付予定価格の水準及び想定している経営支援の内容の提示を受け、①投資実績、②会社の安定性及び③提案価格の3点から提案内容を比較検討いたしました。その後、マーキュリアインベストメントの提案と、他の候補者1社の提案のいずれが優れているかを検討するため、マーキュリアインベストメントに対し、買付予定価格の水準の引き上げの余地がある場合には引き上げるよう打診し、マーキュリアインベストメントより、2022年1月下旬に、買付予定価格の水準を前回の提案よりも引き上げた当社株式1株当たり1,800円で改めて本公開買付けに関する提案を受けております。
これを受けて当社は、マーキュリアインベストメントの提案と他の候補者1社の提案を①投資実績、②会社の安定性及び③提案価格の3点から比較検討した結果、マーキュリアインベストメントは①16年間で合計40件以上の豊富な投資実績があることに加え、②上場企業傘下であるという安心感もあり、③提案価格についても他の候補者1社の提案を上回っていたことから、2022年2月4日にマーキュリアインベストメントに対して、マーキュリアインベストメントからの当該提案内容について前向きに検討を開始する旨の連絡をいたしました。
その後、当社及びマーキュリアインベストメントは、本取引の実施について具体的な検討を進めていくことを相互に確認し、2022年2月14日に、当社はマーキュリアインベストメントに本取引の検討に関する独占交渉権を付与いたしました。
当社は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」及び「② 当社における独立した法律事務所からの助言」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引に関する当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するため、2022年3月10日付で、本取引についての、エムズ、株式会社マーキュリアホールディングス(以下「マーキュリアホールディングス」といいます。)、マーキュリアインベストメント及び当社のいずれからも独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社KPMG FAS(以下「KPMG」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとしてシティユーワ法律事務所をそれぞれ選任するとともに、本取引に関する提案を検討するための当社の諮問機関として特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。なお、本特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置いたしました。
当社は、上記の体制を整備した後、マーキュリアインベストメントによる本取引に関する提案についての検討を行い、本特別委員会による重要な局面における意見を踏まえた上で、KPMG及びシティユーワ法律事務所の助言を受けながら、本公開買付価格その他の本取引の諸条件についてマーキュリアインベストメントと協議を重ねてまいりました。
その上で、当社は、KPMGから取得した株式価値算定書の内容、リーガル・アドバイザーであるシティユーワ法律事務所から受けた本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出された2022年5月19日付答申書(以下「本答申書」といいます。)の内容を最大限尊重しながら(本答申書の概要については、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)、本取引について、企業価値向上を図ることができるか、本取引に関する諸条件は妥当なものか、及び新たにエムズを単独株主として招くことが当社にとって適切かどうかといった観点から慎重に協議及び検討を行ってまいりました。
その結果、以下の観点から本取引は、当社の企業価値の向上に資するものであると判断しております。
(a)中長期的な経営戦略策定及び実行
上記のとおり、当社を取り巻く国内医薬品業界は、設備投資が抑制的となっており、厳しい市場環境の下に置かれていることに加えて、当社における現在の経営陣の次世代後継者の確保が課題として認識されていることから、当社の中長期的な成長のためには、当社の従業員が目標や課題を共有し、それぞれが企業価値向上に向けた具体的な方策を考え行動できるような中長期的な経営戦略や事業計画の策定及びそれらを実行する仕組みづくりが必要不可欠であると考えるところ、これまで当社は中期的な経営戦略や事業計画を策定してこなかったため、マーキュリアインベストメントがこれまで投資先の経営支援を行う中で蓄積してきた経営課題の特定と解決施策の立案及びそれらを実行する仕組みづくりに関するノウハウを活用してこれらの策定をマーキュリアインベストメントにサポートいただくことにより、当社の中長期的な成長を可能にすると考えております。
(b)人材・組織強化
上記のとおり、当社の中長期的な成長のためには、マネジメント能力に長けた人材を獲得することによる営業機能及び製造機能の拡充の促進が必要不可欠であると考えるところ、マーキュリアインベストメントやその戦略的パートナーである、マーキュリアホールディングスの主要株主である株式会社日本政策投資銀行、及び伊藤忠商事株式会社並びにマーキュリアホールディングスの株主である三井住友信託銀行株式会社等が有する幅広い人材ネットワークを活用することにより、重要な経営リソースである人材の確保を推進することが可能になると考えております。加えて、マーキュリアインベストメントがこれまで投資先の組織づくりに関する支援を行う中で蓄積してきた組織設計や会議体の設計、現場レベルのマネジメント機能向上を目的としたインセンティブの設計といったノウハウを活用することにより、当社にて新たに採用する人材と既存人材が、当社の経営方針において目標及び役割を明確に認識しつつ、相互に補完しながら事業活動を行う仕組みづくり及び組織風土を醸成することで、当社の従業員一人一人がこれまでより効果的に経営戦略を推進することが可能になると考えております。
(c)営業部門の拡充
上記のとおり、当社を取り巻く国内医薬品業界は、設備投資が抑制的となっており、厳しい市場環境の下に置かれていることから、当社の中長期的な成長のためには、専門部署を新たに設置して、自社製品の販売営業及び国内外から新商材・新市場の発掘を専門的に行い、マーケットインの考え方に基づく営業を強化することが必要と考えるところ、マーキュリアインベストメントがこれまで投資先に対してデータを活用した営業戦略の立案及び推進を支援してきたノウハウを活用し、当社の社内データの整理・活用を推進する等の営業部門のマネジメントを支援することにより、当社が更に顧客のニーズに沿った営業活動を実施し、既存顧客、医薬品業界以外の業界や海外における新規顧客も含めた顧客からの受注拡大や仕入先との取引拡大に繋げることや、競争力の高いエンジニアリング業務の強化、アフターサービスの品質向上及び規模拡大が可能になると考えております。
(d)製造部門の拡充
当社の中長期的な成長のためには、継続的かつ安定的に当社の収益に貢献する自社製品の販売が重要であるものの、現状は自社製品の開発力に課題を認識しているところ、マーキュリアインベストメントがこれまで投資先の製造企業に対して生産性向上や第三者との業務提携等の企業価値向上に関する支援を行う中で蓄積してきたノウハウを活用し、製造企業との資本提携及びM&Aの実施や協力会社との連携を強化することにより、顧客の需要へタイムリーに応えるための柔軟な製造体制の確立や、製造コストの削減、事業領域の拡大が可能になると考えております。
(e)業務効率化
当社の中長期的な成長のためには、デジタル技術の導入及びオペレーションへのスムーズな組み込みによる業務効率化が重要であると考えるところ、マーキュリアインベストメントがこれまで投資先の企業価値向上に関する支援を行う中で蓄積してきたデジタル化や管理オペレーションの改善に係るノウハウを活用することにより、当社の従業員がより働きやすい環境を整えると共に当社の業務の効率化が可能になると考えております。
(f)エムズを単独株主として招くことの影響
本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載する当社株式の非公開化を目的とした手続を経て、当社の株主はエムズのみとなりますが、当社の株主がエムズのみとなる場合に懸念される事項として、①取引関係にある既存株主や持合株式を前提とした関係がある場合は、当該前提が崩れて事業運営に支障をきたす可能性があること、②上場廃止により従前の取引関係を維持することができなくなる可能性があること、及び③役員が変更された場合に事業を維持できなくなる可能性があることが挙げられますが、①については、当社はBtoBの事業であり、現在の事業領域において業歴も長く、当社と当社の各取引先・顧客との間には長年の信頼関係が構築されており、当社の株主がエムズのみとなった場合でも、当社の経営や事業に変更はないため、事業運営に支障をきたす可能性は僅少と考えられること、②については、当社が非上場企業となっても、マーキュリアインベストメントの親会社であるマーキュリアホールディングスが東証プライム市場上場の企業である上、豊富な資金力及び経営支援実績に裏付けられた高い信用力を有しており、そのような背景を説明することで、従前の取引関係は維持されることが見込まれること、③については、エムズより、本公開買付け成立後の役員構成については、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け及び本取引後の経営方針」の「(イ)本公開買付け及び本取引実施後の経営方針等」に記載のとおり、当社との間で協議を行い、当社経営陣の意向も尊重した上で決定する方針と聞いており、事業が維持できなくなる可能性は大きくないと考えられます。以上から、当社は、エムズを単独株主として招くことのデメリットは限定的であると考えております。
その上で、当社は、本公開買付価格(当社株式1株当たり1,800円)について、(a) 本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のKPMGによる当社株式の株式価値の算定結果によれば、当社株式の1株当たり株式価値は、市場株価法によると706円から717円、類似上場会社比較法によると1,656円から1,878円、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下、「DCF法」といいます。)によると1,638円から1,890円とされているところ、本公開買付価格である1,800円は、市場株価法による算定結果のレンジの上限を上回るものであり、類似上場会社比較法による算定結果のレンジの範囲内で中央値の1,767円を上回る金額、かつDCF法による算定結果のレンジの範囲内で中央値1,748円を上回る金額であること、(b)本公開買付けの公表日前営業日である2022年5月19日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値712円に対して152.81%、2022年5月19日までの過去1ヶ月間における終値単純平均値706円に対して154.96%、過去3ヶ月間における終値単純平均値706円に対して154.96%、過去6ヶ月間における終値単純平均値717円に対して151.05%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であって、かかるプレミアムの水準は、公開買付けを利用したプライベート・エクイティ・ファンドによる完全子会社化事例(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に実施され、対象企業から当該公開買付けに関する賛同及び株主への応募推奨の意見が表明された、上場廃止を前提とし公開買付けが成立した事例16件)における、公表日前営業日の終値に対するプレミアム水準(平均値は公表日前営業日の終値に対して43.33%、公表日前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して41.95%、公表日前営業日から過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して46.07%、公表日前営業日から過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して52.03%、中央値は公表日前営業日の終値に対して40.79%、公表日前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して38.00%、公表日前営業日から過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して41.38%、公表日前営業日から過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して56.19%)を大幅に上回っており、当社株主にとって有利な水準であること、(c) 本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置が十分に講じられ、本特別委員会から取得した本答申書においても、本取引の条件(本公開買付価格(当社株式1株当たり1,800円)を含む。)には妥当性が認められると判断されていること等を踏まえ、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的なプレミアムを付した価格及び合理的な諸条件により当社株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
なお、当社は2022年5月16日に業績予想の上方修正を行っておりますが、業績予想の上方修正を行った翌日の2022年5月17日から公表日前営業日にかけての期間における終値単純平均値710円に対しても153.52%のプレミアムが付されていることから、業績予想の上方修正による株価への影響を加味しても、本公開買付価格は当社の株主の皆様に対して、合理的なプレミアムを付した価格であると判断しております。
以上より、当社は、2022年5月20日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をいたしました。
当社取締役会の決議の詳細については、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
その後、当社は、2022年7月15日、エムズより、本公開買付けの結果について、当社株式6,112,614株の応募があり、その全てを取得することとなった旨の報告を受けました。この結果、2022年7月25日(本公開買付けの決済開始日)付で、エムズの所有する当社株式の議決権所有割合(注3)は94.74%となり、エムズは、当社の特別支配株主に該当することとなりました。
(注3)「議決権所有割合」とは、当社が2022年6月30日に提出した第78期有価証券報告書(以下「当社有価証券報告書」といいます。)に記載された2022年3月31日現在の当社の発行済株式総数(7,620,320株)から、当社有価証券報告書に記載された同日現在の当社が所有する自己株式数(1,168,558株)を控除した株式数(6,451,762株)に係る議決権の数(64,517個)に対する割合をいい、その計算において小数点以下第三位を四捨五入しております。
このような経緯を経て、当社は、エムズより、2022年7月26日付で、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本取引の一環として、本株式売渡請求をする旨の通知を受けました。
そして、当社は、かかる通知を受け、本株式売渡請求を承認するか否かについて、慎重に協議及び検討を行いました。
その結果、当社は、2022年7月26日開催の取締役会において、(i)本株式売渡請求は本取引の一環として行わ
れるものであるところ、当社は、2022年5月20日開催の取締役会において、本取引は当社の企業価値の向上に資す
ると判断しており、当該判断の基礎となった事情に予期しない変動が生じたと認めるに足りる特段の事情が見受け
られないこと、(ii)本売渡株式1株につき1,800円という本売渡対価は、本公開買付価格と同一の価格であるこ
と及び本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)買付け等の価格の
公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措
置」に記載のとおり本取引の公正性を担保するための措置が十分に講じられた上で、本意見表明報告書の「3 当
該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)買付け等の価格の公正性を担保するための措置及び利
益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における特別委員会
の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した2022年5月19日付本答申
書においても、本取引において、公正な手続きを通じた当社の株主の利益への配慮がされていると認められると判
断されていること及び本取引の条件の公正性及び妥当性が確保されていると考えられると判断されている等に鑑み
れば、本売渡株主にとって合理的な価格であると考えられること、(iii)エムズは、本売渡対価の全てを、エムズ
が保有する現預金並びにエムズ及び福岡銀行の間の2022年7月15日付金銭消費貸借契約書に基づく借入金により支
払うことを予定しており、当社としても、本売渡対価を含む本取引の支払のための資金に相当する額のエムズと福
岡銀行の間の2022年7月15日付金銭消費貸借契約書及びマーキュリア日本産業成長支援2号投資事業有限責任組合
(以下「マーキュリアファンド」といいます。)からの出資にかかるマーキュリアファンド作成の出資証明書を確
認することによりエムズによる資金確保の方法を確認していること、また、エムズによれば、本株式売渡対価の支
払に支障を及ぼす事象は発生しておらず、今後発生する可能性も認識していないとのことから、エムズによる本株
式売渡対価の支払いのための資金の準備状況・確保手段は相当であり、本売渡対価の交付の見込みはあると考えら
れること、(iv)本株式売渡対価の交付までの期間及び支払方法について不合理な点は認められないことから、本
株式売渡請求に係る取引条件は相当であると考えられること、(v)本公開買付けの開始以降2022年7月26日に至
るまで当社の企業価値に重大な変更は生じていないこと等を踏まえ、本株式売渡請求は、本売渡株主の利益に配慮
したものであり、本株式売渡請求の条件等は適正であると判断し、エムズからの通知のとおり、本株式売渡請求を
承認することを決議いたしました。
以 上