パスコ(9232)の有報資料
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- 2023/04/10 15:07
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財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項
代表取締役社長島村秀樹及び取締役グループ経営、経理、広報、IR担当日根清は、当社の財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して財務報告に係る内部統制を整備及び運用しております。
なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見できない可能性があります。
なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見できない可能性があります。
評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項
(1)評価基準日
当事業年度の末日である2020年3月31日を基準日として行っております。
(2)評価の基準
企業会計審議会が公表した基準などの一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しております。
(3)評価手続の概要
連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価を行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを合理的に選定しております。当該業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価しました。
(4)評価の範囲
会社並びに連結子会社及び持分法適用会社について、金額的及び質的重要性を考慮し、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から次の範囲を決定しました。
①全社的な内部統制の評価範囲
会社及び連結子会社2社であります。
連結子会社10社及び持分法適用関連会社1社については、金額的及び質的重要性の観点から僅少であると判断し、評価範囲に含めておりません。
②業務プロセスに係る内部統制の評価範囲
イ 企業の事業目的に大きく関わる勘定科目に至る業務プロセス
重要な事業拠点は、当連結会計年度を含む過去3年平均の売上高(連結会社間取引消去後)の金額が高い事業拠点から合算していき、概ね2/3に達している1事業拠点を選定しました。
この事業拠点において、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目として売上高、売掛金及び仕掛品に至る業務プロセスを評価の対象としました。
ロ その他の重要性の大きい業務プロセス
全社的な内部統制の評価範囲について、財務報告への影響を勘案して、リスクが大きい取引を行っている事業又は業務に係る業務プロセス、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセス等を評価の対象としました。
当事業年度の末日である2020年3月31日を基準日として行っております。
(2)評価の基準
企業会計審議会が公表した基準などの一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しております。
(3)評価手続の概要
連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価を行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを合理的に選定しております。当該業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価しました。
(4)評価の範囲
会社並びに連結子会社及び持分法適用会社について、金額的及び質的重要性を考慮し、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から次の範囲を決定しました。
①全社的な内部統制の評価範囲
会社及び連結子会社2社であります。
連結子会社10社及び持分法適用関連会社1社については、金額的及び質的重要性の観点から僅少であると判断し、評価範囲に含めておりません。
②業務プロセスに係る内部統制の評価範囲
イ 企業の事業目的に大きく関わる勘定科目に至る業務プロセス
重要な事業拠点は、当連結会計年度を含む過去3年平均の売上高(連結会社間取引消去後)の金額が高い事業拠点から合算していき、概ね2/3に達している1事業拠点を選定しました。
この事業拠点において、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目として売上高、売掛金及び仕掛品に至る業務プロセスを評価の対象としました。
ロ その他の重要性の大きい業務プロセス
全社的な内部統制の評価範囲について、財務報告への影響を勘案して、リスクが大きい取引を行っている事業又は業務に係る業務プロセス、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセス等を評価の対象としました。
評価結果に関する事項
下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。
記
1.今回発生した事案を発見に至った経緯と委員会の立ち上げ
当社の東日本事業部において、当社社員から、請負契約に関する利益を本来計上すべき事業年度から翌事業年度に不適切に先送りしていることに関する情報が寄せられ、社内調査を実施いたしました結果、2021年3月期および2022年3月期において、請負契約に係る作業が事業年度末までに完了していた案件について利益の一部を翌事業年度に先送りするという、不適切な会計処理が行われていたことが確認されました。
これを受けて、当社は、調査の独立性を確保し専門的かつ客観的な見地からの調査および再発防止策の立案を行うため、2023年2月10日開催の取締役会において、当社との間に特段の利害関係のない社外の弁護士および公認会計士から構成される特別調査委員会の設置を決議し、同日より特別調査委員会による調査が開始されました。
特別調査委員会による調査の結果、2019年3月期から2022年3月期までの期間、東日本事業部を含む複数の事業部において、作業が完了したにもかかわらず、計画値を上回った利益の一部を翌事業年度に繰り越すという不適切な会計処理が行われていたことが確認されました。
具体的には、当社は契約案件ごとにWBSという管理番号を付与し、いわゆる工事進行基準(「収益認識に関する会計基準」における、一定の期間にわたり充足する履行義務に係る収益認識と概ね同義である。)を採用しております。しかし、今回発見された不適切会計では、予定していた金額よりも少ない発生原価で完了した案件において、作業完了時点で売上未計上であった金額について、本来、売上処理を行うべきところ、新たな枝番を発番したうえでその金額を翌事業年度に繰り越し、あたかも業務が進行中であるかのように見せかけ、売上および利益の先送りを行っていたというものです。
この調査結果を受けて、当社は、影響を受ける過年度の決算を訂正するとともに、2019年3月期から2022年3月期の有価証券報告書および2021年3月期第1四半期から2023年3月期第2四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。
2.今回の事案の発生原因
2.1.不適切会計を行う動機
当社では2016年8月、衛星事業部において原価を付け替えて資産計上する等の方法により利益を水増しする不適切会計が発覚いたしました。この背景には、事業部の実態に即さない形で策定された翌事業年度の目標計画数値の達成を強いるプレッシャーが当時の経営陣からありました。これを受けて、2017年度以降、翌事業年度の受注、売上、利益の目標数値は、各事業部が積み上げた数字を基に、本社管理部門で精査を行い、事業部と協議のうえで決定するようになりました。しかし、経営陣の了承のもと、申告に上乗せされた事業計画が本社管理部門から指示されていたこと、および別途の指示として期初の閑散期に労務費を計上するための案件の受注促進が求められていたことから、方針変更の意図が正しく伝わらず、また、経営陣が現場の状況を十分に理解していなかったため浸透が徹底されないまま、各事業部が、従前と同じような考え方で運営にあたっていたことが判明いたしました。
さらに、各事業部では、比較的受注が少ない第1四半期において、受注案件に直接紐づかない間接労務費の発生が多くなると、本社管理部門から事業部運営の効率性が問われ、自部署の人員削減や部署縮小に繋げられるという警戒心が存在したため、事業年度末までに完了した案件を翌事業年度に繰り越そうとするという要因もありました。
2.2.各事業部において不正を行うことができた機会
契約案件ごとに付与された管理番号(WBS)上は、予定していた金額よりも少ない発生原価で完了した案件について、本来作業完了時点で売上未計上であった金額に対して売上処理を行うべきところ、新たな枝番を発番したうえでその金額を翌事業年度に繰り越し、あたかも業務が進行中であるかのように、システム上も見せかけることが当該案件に係る技術者であれば、上長の承認を得ることなく可能になっておりました。
当社では、3月納期の案件が多く、一部の契約案件においては納品後に成果品の差し替えや顧客の追加要望が発生する等、契約納期を越えて作業が発生する案件が少なからずあります。各事業部では、そのような案件については、正しい処理として、契約納期を越えた後も完了とせず、翌事業年度に繰り越しております。本社管理部門では、これまでの不適切会計を教訓に適切な原価計上、実行予算の適宜見直しを繰り返し各事業部に通達しており、適切な会計処理が行われているものと考えておりました。
また、2016年度から2018年度頃にかけて、当社は収益性が悪かった背景もあり、利益の前倒し計上による不適切会計の懸念が高かったため、原価率に特異値が見られる案件のモニタリング、各事業部における工程会議の強化等、その対策に注力してまいりました。一方で、繰り越しを承認するための正式な手続が整備されていなかったこと等から各事業部の一部案件では、契約納期を越えて作業が発生しない案件を繰り越すこと等が行われておりました。
2.3.事業部側の不正の正当化理由
当社では、2012年度頃から2016年度にかけて、本社管理部門から事業部に対して、利益目標数値の平準化や目標達成に向けた売上の促進が過度に要求されておりました。一方で、当社は主力業務が官公庁からの受注に依存しているため、比較的受注の少ない第1四半期には売上に貢献するための業務自体が少なく、本社管理部門の要求が依然として続いていると考えている各事業部にとっては、難しい課題となっておりました。
このため各事業部では、「1.今回発生した事案を発見に至った経緯と委員会の立ち上げ」で示した手法によって、事業年度末までに完了した業務の利益の一部を翌事業年度に繰り越し、第1四半期の売上の確保、翌事業年度の利益の確保を行っていた事例が確認されました。また、東日本事業部等の部署では上長が不適切な繰り越しを指示していた事例も確認されました。
各事業部では、利益目標数値を実績数値が大きく上回った場合、翌事業年度の利益目標数値は目標達成が困難な数値を要求されることを恐れ、利益目標数値は達成するものの大きく達成することは避けたいという心理が存在しました。このことも実際の利益を過少申告し、翌事業年度に繰り越すというコンプライアンス意識の低下を招いたものと考えます。
また、長年同一部署で勤務し、固定化した上司と部下の関係が長く続くことでコンプライアンス意識が薄まる環境が醸成されていたことも判明いたしました。
3.開示すべき重要な不備
当社では2016年8月、衛星事業部において原価を付け替えて資産計上する等の方法により利益を水増しする不適切会計が発覚いたしました。このため、不当な利益計上に対する対策、監視に注視し、内部通報制度の運用見直し、社員コンプライアンス教育の拡充等、対策を講じてまいりましたが、結果としてその対策が不十分であったことが発覚いたしました。
今回の事案は、内部統制の評価範囲の中から生じたものであり、財務報告に重要な影響を及ぼすもののため、開示すべき重要な不備と認識いたしました。
3.1.案件の予算管理および売上計上に係る業務プロセスにおける不備
これまで内部統制の評価手続を行う中で、案件の予算管理プロセスにおいては、作業実態に見合わない予算が登録されていないか、また、売上計上プロセスにおいては、売上完了計画日から遅延していないかモニタリングを行っておりました。しかしながら、上述のとおり、利益の繰り越しの処理を利用した不正が行われるリスクを過少に評価していたため、繰り越しの是非、承認方法、繰越し金額やそれに伴う証跡に関する基準等のルールが定められておりませんでした。結果、評価範囲は妥当であったと考えられるものの、今回の事案については、内部統制が一部適切に整備および運用されておりませんでした。
3.2.全社的な内部統制上の不備
経営陣は、過去に発生した不適切会計は、衛星事業部など公共部門以外の事業部で起きたできごとの意識があり、公共部門ではこのようなことが起こらないと考えておりました。
このため、全社的な内部統制において、経営陣の不正の撲滅、新たな不適切会計の発生を防ぐことや早期発見への意識の欠如(統制環境)、不正に関するリスクを検討する際に不適切な案件の繰り越しに関する検討の不足(リスクの評価と対応)、本社管理部門から各事業部に対して発信したメッセージの意図が正しく伝わらなかったこと(情報と伝達)等、これらに関する内部統制の整備状況及び運用状況が有効ではありませんでした。
4.再発防止策
当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、今回の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備を是正するために、特別調査委員会からの提言を踏まえ、以下の再発防止策を講じて適正な内部統制の整備・運用を図ってまいります。
1.経営陣の意識改革
不適切会計が行われてきた背景として、現場に対する業績達成のプレッシャーが過去の不適切会計の原因であることを経営陣が認識していたにもかかわらず、改善のための施策を打ったもののその確認が疎かなまま、現場は変わったと考えておりました。
現場の実態を熟慮することなく現場が正しく行動できるという前提の下に施策、指示を発信したことで現場との認識に乖離が生じたことが今回の不適切会計の根本原因と考えております。経営陣は現場の実態を理解したうえで、不適切会計はどの職場でも起こりうること、次に同様のことが起これば事業存続にかかわることを認識し、その決意をまず2023年度に開催する期初の全社ミーティングにおいて社長より現場に伝えて現場との意識の乖離を解消することを再発防止策の第一歩といたします。さらに、2023年度に予定されている階層別研修において今回の不適切会計を事例とした研修を実施し、社外ステークホルダーに対する会社の責任を正しく理解する場といたします。各研修の場には取締役も参画し、職場を離れたところで事業運営に対する社員の率直な意見に耳を傾け、経営陣と現場の相互理解を高め意思疎通を図ってまいります。経営陣が現場の悩み、疑問に直接向き合うことにより実情を反映した事業運営を実現してまいります。
2.経営陣の意識が伝わるメッセージの発信
前回事案において、社内調査委員会による報告書で経営陣からの業績プレッシャーが原因として指摘されたことから、人事評価制度を改正し業績が全体評価に占める比率を低減することで現場に対する目標達成のプレッシャーを軽減する施策を進めてまいりましたが、その意図を充分に伝えきれておらず、上司の指示を絶対と捉える意識が残存しておりました。また、2018年度、本社管理部門に事業統括本部が設置され、事業計画を事業部の申告をベースとしたガイドライン扱いとし、数字の必達を求めないという方針に変更いたしましたが、経営陣の了承のもと、申告に上乗せされた事業計画が本社管理部門から指示されていたこと、および別途の指示として期初の閑散期に稼働を確保するための受注促進を求められていたことから方針変更の意図が正しく伝わらず、事業部では事業計画を達成すべき数字であるとの意識が残っていたと考えております。経営陣としては本社からの一方的な事業計画指示を出すことを取りやめ、事業部の意見に耳を傾けていたつもりでしたが、事業部の申告に加算した事業計画を示す理由を現場の納得を得るまで十分に議論できておりませんでした。現場が受け止める経営陣のメッセージを受け手の立場に立ってよく吟味し、経営陣と現場の意思疎通を円滑に行い、現場の理解が十分深まっていることを確認しながら事業運営のかじ取りを行う仕組みについて社員各層を交えて検討、整備し、2023年度下半期より開始予定といたします。
3.現場発案による再発防止策の検討
過去事案での対策は、「コンプライアンス担当役員や内部統制主管部署といった本社管理部門主導で検討し、事業部に行わせた(上から下への)再発防止の指示」という側面もありました。今回の再発防止策の検討にあたっては、現実性・実効性の観点で現場の実情と乖離しないよう、現場従業員を検討に参画させる、または意見照会を行うことといたします。現場従業員は、再発防止策を検討するために適切な職位者・規模で選任いたします。なお、実施時期は、別記の再発防止策4・5・6・7(1)・7(2)における、各々の検討時期といたします。
4.繰り越しのルールの明確化及びチェック体制の強化
売上計上プロセスにおいて売上の不適切な繰り越しを容易に行い得るものであり、かつ、不適切な繰り越しが発覚しづらいものでありました。また、繰り越しの可否や証跡に関する基準が未整備でした。これらへの対策として、繰り越すか否かの具体的な判断基準、繰り越す場合の処理プロセス、可否判断のための証跡基準等の「繰越しルール」の明確化と、上長承認および各事業部、事業統括本部および業務監査部による確認によって、繰り越しおよびその規模の妥当性をチェックする体制を、2023年度上半期に検討し、下半期からの運用を予定いたします。
5.全ての役職員に意識や危機感を共有する研修の実施
不適切な会計処理を行う背景には、役職員が日々の業務とその結果の数字について、最終的には決算数値として株主等のステークホルダーに示す責務があるとの意識が乏しいことがあると考えております。不適切な会計処理につながる業務の逸脱が、会社の存続にかかわる重大事に直結するとの危機感を共有するための社員研修プログラムを、人事部および法務部が実施主体となり2023年度下半期以降、全社員に対して1年ごと定期的に実施いたします。
6.人事異動の促進(人事の固定化の解消)
不適切な会計処理が行われた原因の一端として、長年同一部署で勤務し上司と部下の関係も固定化された組織運営が多くの部署で常態化していることから、個人評価を気にするあまり上司の不適切な業務指示に対して部下が意見できない雰囲気が存在したと考えております。この点は従前から打破すべき課題として事業統括本部と人事部の連携のもと役職者を中心に毎年度定期人事異動をかけてまいりましたが、在籍年数の長い社員を優先的に異動候補として検討するなどの対応にとどまっておりました。一層の計画的な人事ローテーションを2023年度下半期から開始するべく、一定のガイドラインを設け人事異動の促進に向けた実行プランを策定いたします。
7.その他の再発防止策
(1) 実行予算の見直し(モニタリングの強化)
適時に実行予算の見直しがなされておらず、予定していた金額よりも少ない発生原価で完了した案件について、本来、作業完了時点で売上未計上であった金額に対して売上処理を行うべきところ、利益を調整するために不適切な繰り越しを行っておりました。また、本社管理部門は、実行予算の見直しを指示するものの、モニタリングが不十分であり、見直し実施の確認ができておりませんでした。これらへの対策として、プロセスの簡略化や策定ルール・情報システム処理プロセスの見直しにより、効率化を図るとともに、見直し状況のモニタリング方法を、2023年度上半期に検討し、下半期からの運用を予定いたします。合わせて、原価管理システムの見直しは、大規模な投資が必要となることから、中期的に検討いたします。
(2) 稟議等にかかるルールの見直し
稟議等のルールが煩雑であり、例えば追加原価が発生した場合に、改めて稟議に諮ることが必要とされているため、これら追加原価の振り替え先として不適切な繰り越しが発生しておりました。これらの対策として、事務量の軽減・簡略化を意図した稟議等にかかるルールの見直しを、2023年度上半期に検討し、下半期からの運用を予定いたします。
(3) 決算期についての検討
決算時期は、不適切な繰り越しの直接的な原因ではないものの、充分なチェックを行う時間を確保することを目的として、業務繁忙期と異なる決算期への変更の要否について、2023年度上半期に検討いたします。
以上
記
1.今回発生した事案を発見に至った経緯と委員会の立ち上げ
当社の東日本事業部において、当社社員から、請負契約に関する利益を本来計上すべき事業年度から翌事業年度に不適切に先送りしていることに関する情報が寄せられ、社内調査を実施いたしました結果、2021年3月期および2022年3月期において、請負契約に係る作業が事業年度末までに完了していた案件について利益の一部を翌事業年度に先送りするという、不適切な会計処理が行われていたことが確認されました。
これを受けて、当社は、調査の独立性を確保し専門的かつ客観的な見地からの調査および再発防止策の立案を行うため、2023年2月10日開催の取締役会において、当社との間に特段の利害関係のない社外の弁護士および公認会計士から構成される特別調査委員会の設置を決議し、同日より特別調査委員会による調査が開始されました。
特別調査委員会による調査の結果、2019年3月期から2022年3月期までの期間、東日本事業部を含む複数の事業部において、作業が完了したにもかかわらず、計画値を上回った利益の一部を翌事業年度に繰り越すという不適切な会計処理が行われていたことが確認されました。
具体的には、当社は契約案件ごとにWBSという管理番号を付与し、いわゆる工事進行基準(「収益認識に関する会計基準」における、一定の期間にわたり充足する履行義務に係る収益認識と概ね同義である。)を採用しております。しかし、今回発見された不適切会計では、予定していた金額よりも少ない発生原価で完了した案件において、作業完了時点で売上未計上であった金額について、本来、売上処理を行うべきところ、新たな枝番を発番したうえでその金額を翌事業年度に繰り越し、あたかも業務が進行中であるかのように見せかけ、売上および利益の先送りを行っていたというものです。
この調査結果を受けて、当社は、影響を受ける過年度の決算を訂正するとともに、2019年3月期から2022年3月期の有価証券報告書および2021年3月期第1四半期から2023年3月期第2四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出いたしました。
2.今回の事案の発生原因
2.1.不適切会計を行う動機
当社では2016年8月、衛星事業部において原価を付け替えて資産計上する等の方法により利益を水増しする不適切会計が発覚いたしました。この背景には、事業部の実態に即さない形で策定された翌事業年度の目標計画数値の達成を強いるプレッシャーが当時の経営陣からありました。これを受けて、2017年度以降、翌事業年度の受注、売上、利益の目標数値は、各事業部が積み上げた数字を基に、本社管理部門で精査を行い、事業部と協議のうえで決定するようになりました。しかし、経営陣の了承のもと、申告に上乗せされた事業計画が本社管理部門から指示されていたこと、および別途の指示として期初の閑散期に労務費を計上するための案件の受注促進が求められていたことから、方針変更の意図が正しく伝わらず、また、経営陣が現場の状況を十分に理解していなかったため浸透が徹底されないまま、各事業部が、従前と同じような考え方で運営にあたっていたことが判明いたしました。
さらに、各事業部では、比較的受注が少ない第1四半期において、受注案件に直接紐づかない間接労務費の発生が多くなると、本社管理部門から事業部運営の効率性が問われ、自部署の人員削減や部署縮小に繋げられるという警戒心が存在したため、事業年度末までに完了した案件を翌事業年度に繰り越そうとするという要因もありました。
2.2.各事業部において不正を行うことができた機会
契約案件ごとに付与された管理番号(WBS)上は、予定していた金額よりも少ない発生原価で完了した案件について、本来作業完了時点で売上未計上であった金額に対して売上処理を行うべきところ、新たな枝番を発番したうえでその金額を翌事業年度に繰り越し、あたかも業務が進行中であるかのように、システム上も見せかけることが当該案件に係る技術者であれば、上長の承認を得ることなく可能になっておりました。
当社では、3月納期の案件が多く、一部の契約案件においては納品後に成果品の差し替えや顧客の追加要望が発生する等、契約納期を越えて作業が発生する案件が少なからずあります。各事業部では、そのような案件については、正しい処理として、契約納期を越えた後も完了とせず、翌事業年度に繰り越しております。本社管理部門では、これまでの不適切会計を教訓に適切な原価計上、実行予算の適宜見直しを繰り返し各事業部に通達しており、適切な会計処理が行われているものと考えておりました。
また、2016年度から2018年度頃にかけて、当社は収益性が悪かった背景もあり、利益の前倒し計上による不適切会計の懸念が高かったため、原価率に特異値が見られる案件のモニタリング、各事業部における工程会議の強化等、その対策に注力してまいりました。一方で、繰り越しを承認するための正式な手続が整備されていなかったこと等から各事業部の一部案件では、契約納期を越えて作業が発生しない案件を繰り越すこと等が行われておりました。
2.3.事業部側の不正の正当化理由
当社では、2012年度頃から2016年度にかけて、本社管理部門から事業部に対して、利益目標数値の平準化や目標達成に向けた売上の促進が過度に要求されておりました。一方で、当社は主力業務が官公庁からの受注に依存しているため、比較的受注の少ない第1四半期には売上に貢献するための業務自体が少なく、本社管理部門の要求が依然として続いていると考えている各事業部にとっては、難しい課題となっておりました。
このため各事業部では、「1.今回発生した事案を発見に至った経緯と委員会の立ち上げ」で示した手法によって、事業年度末までに完了した業務の利益の一部を翌事業年度に繰り越し、第1四半期の売上の確保、翌事業年度の利益の確保を行っていた事例が確認されました。また、東日本事業部等の部署では上長が不適切な繰り越しを指示していた事例も確認されました。
各事業部では、利益目標数値を実績数値が大きく上回った場合、翌事業年度の利益目標数値は目標達成が困難な数値を要求されることを恐れ、利益目標数値は達成するものの大きく達成することは避けたいという心理が存在しました。このことも実際の利益を過少申告し、翌事業年度に繰り越すというコンプライアンス意識の低下を招いたものと考えます。
また、長年同一部署で勤務し、固定化した上司と部下の関係が長く続くことでコンプライアンス意識が薄まる環境が醸成されていたことも判明いたしました。
3.開示すべき重要な不備
当社では2016年8月、衛星事業部において原価を付け替えて資産計上する等の方法により利益を水増しする不適切会計が発覚いたしました。このため、不当な利益計上に対する対策、監視に注視し、内部通報制度の運用見直し、社員コンプライアンス教育の拡充等、対策を講じてまいりましたが、結果としてその対策が不十分であったことが発覚いたしました。
今回の事案は、内部統制の評価範囲の中から生じたものであり、財務報告に重要な影響を及ぼすもののため、開示すべき重要な不備と認識いたしました。
3.1.案件の予算管理および売上計上に係る業務プロセスにおける不備
これまで内部統制の評価手続を行う中で、案件の予算管理プロセスにおいては、作業実態に見合わない予算が登録されていないか、また、売上計上プロセスにおいては、売上完了計画日から遅延していないかモニタリングを行っておりました。しかしながら、上述のとおり、利益の繰り越しの処理を利用した不正が行われるリスクを過少に評価していたため、繰り越しの是非、承認方法、繰越し金額やそれに伴う証跡に関する基準等のルールが定められておりませんでした。結果、評価範囲は妥当であったと考えられるものの、今回の事案については、内部統制が一部適切に整備および運用されておりませんでした。
3.2.全社的な内部統制上の不備
経営陣は、過去に発生した不適切会計は、衛星事業部など公共部門以外の事業部で起きたできごとの意識があり、公共部門ではこのようなことが起こらないと考えておりました。
このため、全社的な内部統制において、経営陣の不正の撲滅、新たな不適切会計の発生を防ぐことや早期発見への意識の欠如(統制環境)、不正に関するリスクを検討する際に不適切な案件の繰り越しに関する検討の不足(リスクの評価と対応)、本社管理部門から各事業部に対して発信したメッセージの意図が正しく伝わらなかったこと(情報と伝達)等、これらに関する内部統制の整備状況及び運用状況が有効ではありませんでした。
4.再発防止策
当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、今回の財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備を是正するために、特別調査委員会からの提言を踏まえ、以下の再発防止策を講じて適正な内部統制の整備・運用を図ってまいります。
1.経営陣の意識改革
不適切会計が行われてきた背景として、現場に対する業績達成のプレッシャーが過去の不適切会計の原因であることを経営陣が認識していたにもかかわらず、改善のための施策を打ったもののその確認が疎かなまま、現場は変わったと考えておりました。
現場の実態を熟慮することなく現場が正しく行動できるという前提の下に施策、指示を発信したことで現場との認識に乖離が生じたことが今回の不適切会計の根本原因と考えております。経営陣は現場の実態を理解したうえで、不適切会計はどの職場でも起こりうること、次に同様のことが起これば事業存続にかかわることを認識し、その決意をまず2023年度に開催する期初の全社ミーティングにおいて社長より現場に伝えて現場との意識の乖離を解消することを再発防止策の第一歩といたします。さらに、2023年度に予定されている階層別研修において今回の不適切会計を事例とした研修を実施し、社外ステークホルダーに対する会社の責任を正しく理解する場といたします。各研修の場には取締役も参画し、職場を離れたところで事業運営に対する社員の率直な意見に耳を傾け、経営陣と現場の相互理解を高め意思疎通を図ってまいります。経営陣が現場の悩み、疑問に直接向き合うことにより実情を反映した事業運営を実現してまいります。
2.経営陣の意識が伝わるメッセージの発信
前回事案において、社内調査委員会による報告書で経営陣からの業績プレッシャーが原因として指摘されたことから、人事評価制度を改正し業績が全体評価に占める比率を低減することで現場に対する目標達成のプレッシャーを軽減する施策を進めてまいりましたが、その意図を充分に伝えきれておらず、上司の指示を絶対と捉える意識が残存しておりました。また、2018年度、本社管理部門に事業統括本部が設置され、事業計画を事業部の申告をベースとしたガイドライン扱いとし、数字の必達を求めないという方針に変更いたしましたが、経営陣の了承のもと、申告に上乗せされた事業計画が本社管理部門から指示されていたこと、および別途の指示として期初の閑散期に稼働を確保するための受注促進を求められていたことから方針変更の意図が正しく伝わらず、事業部では事業計画を達成すべき数字であるとの意識が残っていたと考えております。経営陣としては本社からの一方的な事業計画指示を出すことを取りやめ、事業部の意見に耳を傾けていたつもりでしたが、事業部の申告に加算した事業計画を示す理由を現場の納得を得るまで十分に議論できておりませんでした。現場が受け止める経営陣のメッセージを受け手の立場に立ってよく吟味し、経営陣と現場の意思疎通を円滑に行い、現場の理解が十分深まっていることを確認しながら事業運営のかじ取りを行う仕組みについて社員各層を交えて検討、整備し、2023年度下半期より開始予定といたします。
3.現場発案による再発防止策の検討
過去事案での対策は、「コンプライアンス担当役員や内部統制主管部署といった本社管理部門主導で検討し、事業部に行わせた(上から下への)再発防止の指示」という側面もありました。今回の再発防止策の検討にあたっては、現実性・実効性の観点で現場の実情と乖離しないよう、現場従業員を検討に参画させる、または意見照会を行うことといたします。現場従業員は、再発防止策を検討するために適切な職位者・規模で選任いたします。なお、実施時期は、別記の再発防止策4・5・6・7(1)・7(2)における、各々の検討時期といたします。
4.繰り越しのルールの明確化及びチェック体制の強化
売上計上プロセスにおいて売上の不適切な繰り越しを容易に行い得るものであり、かつ、不適切な繰り越しが発覚しづらいものでありました。また、繰り越しの可否や証跡に関する基準が未整備でした。これらへの対策として、繰り越すか否かの具体的な判断基準、繰り越す場合の処理プロセス、可否判断のための証跡基準等の「繰越しルール」の明確化と、上長承認および各事業部、事業統括本部および業務監査部による確認によって、繰り越しおよびその規模の妥当性をチェックする体制を、2023年度上半期に検討し、下半期からの運用を予定いたします。
5.全ての役職員に意識や危機感を共有する研修の実施
不適切な会計処理を行う背景には、役職員が日々の業務とその結果の数字について、最終的には決算数値として株主等のステークホルダーに示す責務があるとの意識が乏しいことがあると考えております。不適切な会計処理につながる業務の逸脱が、会社の存続にかかわる重大事に直結するとの危機感を共有するための社員研修プログラムを、人事部および法務部が実施主体となり2023年度下半期以降、全社員に対して1年ごと定期的に実施いたします。
6.人事異動の促進(人事の固定化の解消)
不適切な会計処理が行われた原因の一端として、長年同一部署で勤務し上司と部下の関係も固定化された組織運営が多くの部署で常態化していることから、個人評価を気にするあまり上司の不適切な業務指示に対して部下が意見できない雰囲気が存在したと考えております。この点は従前から打破すべき課題として事業統括本部と人事部の連携のもと役職者を中心に毎年度定期人事異動をかけてまいりましたが、在籍年数の長い社員を優先的に異動候補として検討するなどの対応にとどまっておりました。一層の計画的な人事ローテーションを2023年度下半期から開始するべく、一定のガイドラインを設け人事異動の促進に向けた実行プランを策定いたします。
7.その他の再発防止策
(1) 実行予算の見直し(モニタリングの強化)
適時に実行予算の見直しがなされておらず、予定していた金額よりも少ない発生原価で完了した案件について、本来、作業完了時点で売上未計上であった金額に対して売上処理を行うべきところ、利益を調整するために不適切な繰り越しを行っておりました。また、本社管理部門は、実行予算の見直しを指示するものの、モニタリングが不十分であり、見直し実施の確認ができておりませんでした。これらへの対策として、プロセスの簡略化や策定ルール・情報システム処理プロセスの見直しにより、効率化を図るとともに、見直し状況のモニタリング方法を、2023年度上半期に検討し、下半期からの運用を予定いたします。合わせて、原価管理システムの見直しは、大規模な投資が必要となることから、中期的に検討いたします。
(2) 稟議等にかかるルールの見直し
稟議等のルールが煩雑であり、例えば追加原価が発生した場合に、改めて稟議に諮ることが必要とされているため、これら追加原価の振り替え先として不適切な繰り越しが発生しておりました。これらの対策として、事務量の軽減・簡略化を意図した稟議等にかかるルールの見直しを、2023年度上半期に検討し、下半期からの運用を予定いたします。
(3) 決算期についての検討
決算時期は、不適切な繰り越しの直接的な原因ではないものの、充分なチェックを行う時間を確保することを目的として、業務繁忙期と異なる決算期への変更の要否について、2023年度上半期に検討いたします。
以上