有価証券報告書-第36期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/23 10:26
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有報資料

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営の基本方針
当社グループを取り巻く環境は社会・経済・環境・技術において大きな変化が起きています。こうした環境の変化に柔軟に対応し、社会価値を提供し続けていかなければ、企業グループとしての成長はないと考え、2019年4月に新しい「ブランドメッセージ」と「理念」を制定しております。
この「ブランドメッセージ」と「理念」は、私たちが社会インフラとして担ってきた核となる「貨物鉄道輸送」の強化と同時に、物流企画から物流施設関連サービス、物流周辺事業に至るトータルな物流ソリューションを提案・提供可能な「総合物流企業グループ」への進化を追求していくこと、IoTやAI等の先端技術を活用することで、提供サービスや労働環境の飛躍的向上を実現すること、安全はすべての事業活動の根幹を成すものであり、そのための仕組みづくりや基盤強化、技術導入等の投資は積極的に行っていくこと、に果敢に挑戦し、企業グループとして変革し続けていくことを意味します。
JR貨物グループ理念
a ブランドメッセージ
Challenge and Change 挑戦、そして変革
b 理念
(a)全国に広がる鉄道貨物輸送網とグループの経営資源を活かし、新技術を積極的に導入し、産業と暮らしを支える総合物流サービスを提供します。
(b)お客様の課題を解決する新たなサービスを創出し、社会に必要とされる存在であり続けます。
(c)安全をすべての基盤とします。
(2)今後の経営環境の変化
わが国においては、少子高齢化・人口減少による労働力不足・トラックドライバー不足が見込まれるとともに、環境問題の深刻化や激甚災害の増加が懸念されます。また、直近では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、社会経済活動が停滞する一方、テレワークの普及やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展など、ニューノーマルの急速な拡大により、事業を取り巻く環境は速度を上げ変化しています。物流業界においては、宅配便等Eコマースの需要が大きく伸びる等の変化が見られます。
そのような中、国の「総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)」で、「簡素で滑らかな物流の実現」、「担い手にやさしい物流の実現」、「強くてしなやかな物流の実現」の3本柱が示されるなど、物流DXの推進によるシームレスな物流、レジリエンスを備えた強靭な物流ネットワークの構築が求められています。また、2020年10月に2050年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」が政府の政策目標として掲げられ、グリーン社会・持続可能な社会の実現に向け、各企業においてSDGsやESGの考え方に立った事業活動を進める事が求められるようになっており、他の輸送モードに比べ環境特性や労働生産性に優れた貨物鉄道が果たす役割への社会からの期待はますます高まっていくものと思われます。
物流・人流を支える社会インフラである交通インフラの脱炭素化、強靭化、シームレス化を図るため、既存のモードやインフラに新しい技術を積極的に取り入れ、それぞれのモードの特性を活かし、既存の枠にとらわれることのない未来に向けての交通インフラの最適解を求めるという、「モーダルコンビネーション」の考え方に立ち、大きなデザインを描き、その姿に向かっていかなければならないと考えています。
(3)経営戦略等
当社グループは2021年1月に、「JR貨物グループ 長期ビジョン2030」を策定しました。この長期ビジョンは、 2019年に策定した「JR貨物グループ 中期経営計画2023」に取り組む中で、社会構造の変化や技術革新、さらに政府が宣言した「2050年カーボンニュートラル」などの持続可能な社会の実現に向けた取組みの進展を受け、当社グループが総合物流企業グループとして社会に提供する価値を改めて定義するとともに、今後目指していく姿を長期的視点に立って展望し、そこへ向かうための取組み方針等について具体的に示したものです。
■中期経営計画「JR貨物グループ 中期経営計画2023」
当社グループは、労働力不足と環境問題を背景とした、貨物鉄道輸送に対する期待の高まり、貨物鉄道輸送だけに留まらない総合物流サービスへのニーズの高まり、鉄道強靭化と長期寸断時における対応強化の必要性が増したことを受け、2019年度から2023年度までの5か年の「JR貨物グループ 中期経営計画2023」を策定しました。これは安全の確立、安定輸送の確保を最優先に、以下の重点戦略を経営戦略の方向性として位置付けたものであり、同経営計画に沿い、重点戦略を実現する各施策に取り組んでいます。
① 総合物流企業への進化
当社グループの物流機能の総合力を活かして、お客様に対し鉄道輸送サービスの提供にとどまらず、物流を効率化するための課題・ニーズに対応し、様々なサービスを組み合わせ、最適なサービスをワンストップで提案することに取り組んでいます。
ソフト面の取組みとしては、グループ各社による顧客機能情報の共有と提案営業の展開、グループ各社の既存アセットと戦力を活用した物流関連事業の推進に取り組むほか、ハード面の取組みとしては、「東京レールゲートEAST」並びに「DPL札幌レールゲート」の建設や鉄道とトラックとの結節を高める積替施設「積替ステーション」の設置を推進しています。
② 新規事業・新技術へのチャレンジ
鉄道ロジスティクス事業・不動産事業に次ぐ第3の柱として、当社グループのブランドイメージを保ちつつ、社員のモチベーション向上にも資する社会課題解決型事業に挑戦しています。具体的な事業アイディアについては、業務創造推進プロジェクトなどを通じて、循環型社会に貢献する事業や広域ネットワークを活用した4つの事業に絞り込みを行いました。
また、技術革新が進み事業環境が急激に変化する中で、社会・経済の変化に対応しつつ業務やサービスを改革していくため、中長期的な視点に立ち、新たな技術の活用を推進しています。
例えば、労働集約型業務が多く存在する「貨物駅の作業」の見直しでは、構内トラックの無人運転やフォークリフト運転操作の遠隔化(自動化)、さらに入換機関車の遠隔操縦や次世代コンテナ貨車の開発などの検討を進めているほか、IoT、AIの活用として、機関車や貨車のIoT化、AIを使った事故関連事象の原因の推定などについて研究を進めています。
③ 貨物鉄道輸送の役割発揮とさらなる収益性の向上
輸送の旺盛な区間における商品ラインナップの充実や、より使いやすい貨物駅への進化などを通じて商品力充実によるサービスアップに取り組んでいくほか、社会情勢等を踏まえた戦略的営業の推進や鉄道強靭化と災害などによる長期寸断時の対応強化を進めています。
加えて、車両や設備の修繕・更新による事業基盤の強化とともに、安全を確保した上での車両検査周期変更などによるコスト削減を推進しています。
さらに、海外事業については、危険品の鉄道コンテナ輸送を実現するため、タイ王国に駐在員事務所を設置し現地関係事業者と事業化の検討を進めるほか、インドでは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の支援による日系運送企業と共同でのコンテナを活用した鉄道による完成車輸送事業の実施に向けた検討ならびに独立行政法人国際協力機構の鉄道安全プロジェクトを継続して実施することにより、日本の貨物鉄道輸送の技術やノウハウの提供を通じた諸外国の物流の一層の発展へ貢献してまいります。
④ 新たな成長へ向かう不動産事業の展開
全国に点在する社宅用地、未利用土地・建物を活用して新規開発を進め収入拡大を図るとともに、貨物駅・ORS(オフレールステーション)等の用地の有効活用など、新たな開発用地の生み出しに取り組んでいます。また、不動産事業の新たな柱とすべく、外部から取得した不動産物件により賃料収入を得るスキームを組み立てるとともに、不動産管理のシステム化も進め、不動産契約関係事務の効率化や物件メンテナンス関係業務の改善を進めています。
⑤ 経営基盤の強化
新人事制度を適切に運用しダイバーシティ&インクルージョンを推進するなど社員のやりがいにつながる会社・職場づくりを行うとともに、当社グループの総力を最大限に発揮するためのグループ戦略を実施していきます。また、コンプライアンス、法務機能の強化、調達コストの削減、資金調達手段の多様化、当社グループ全体の会計レベルの向上に向け取り組んでいきます。
さらに、全社横断的な業務改革に向けた積極的提言を行う業務創造推進プロジェクトを深度化し、会社風土改革の流れを当社グループ全体へ展開していきます。
■長期ビジョン「JR貨物グループ 長期ビジョン2030」
近年の物流業界は、トラックドライバー不足、環境問題の深刻化、Eコマース市場の拡大など取り巻く環境が著しく変化しております。一方、政府においてはDXや2050年カーボンニュートラルを推進しており、企業においてはSDGsやESG経営などに基づく活動が強く求められ、環境特性と労働生産性に優れた日本唯一の貨物鉄道輸送ネットワークを持つ当社グループが果たすべき役割はますます高まっています。
このような状況の中で、将来にわたって持続可能な社会の形成のため、そして国鉄改革の使命としての完全民営化の実現に向けた経営基盤を固めるため、当社グループが鉄道を基軸とした総合物流企業グループとしてどのような価値を提供し、役割を果たしていくかを10年の長期ビジョンとして示すことが必要と考え、2021年1月に「JR貨物グループ 長期ビジョン2030」(以下「長期ビジョン」)を策定しました。
長期ビジョンにおいて、当社グループは、鉄道を基軸とした総合物流企業グループとして最適なソリューションを提供し社会価値向上に貢献することを目指す姿として掲げ、次の4点を基本方針としました。
①安全を全ての基盤として、社会インフラである物流の幹線輸送を担うべく、鉄道ネットワークの強靭化を進め、確固たる事業基盤を構築
②多角的な不動産開発により資産のポテンシャルを最大限に活かした不動産事業の展開
③全国をつなぐ鉄道ネットワークを基盤に、物流結節点としての貨物駅に保管、流通加工等のサービスを付加することで最適なソリューションを提供し、物流生産性の向上に寄与
④グリーン社会の実現・持続可能な社会の形成に貢献するとともに、人々の生活や産業を支え、完全民営化を実現
これら4点の基本方針を実行することによって、当社グループは、総合物流企業グループとして、
①物流生産性の向上
②安全・安心な物流サービス
③グリーン社会の実現
④地域の活性化
という4つの価値を社会に対して提供することを目指しています。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループでは、すべての事業において安全を最優先すること大前提に事業運営を行うこととした上で、以下に
掲げる取組みを進めてまいります。
① 物流生産性の向上
「物流生産性の向上」では、全国一元的な貨物鉄道輸送サービスを提供する国内唯一の企業グループとして、お客様に最適なソリューションを提供する総合物流企業グループへと成長するための取組みを進めてまいります。具体的には、新たなブロックトレインの新設や輸送力の増強、速達化による輸送サービスの向上を目指していくとともに、コロナ回復後の潜在的物流課題(2024年のドライバーの時間外労働時間の上限規制強化、カーボンニュートラル等)をお客様と共有し、将来を見据えた貨物鉄道利用のメリットを訴求することで輸送量の拡大を図り、「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」の提言を受けて設定した2025年度目標であるKGI/KPI(コンテナ輸送量:チャレンジ目標209億トンキロ、必達目標196億トンキロ)の達成を目指します。また、総合物流企業グループへの進化に向けた取組みも引き続き継続していきます。2020年2月に竣工した「東京レールゲートWEST」、2022年5月に竣工した「DPL札幌レールゲート」に次いで、「東京レールゲートEAST」は2022年7月に竣工し、これらの物流施設とJR貨物グループ各社が持つ物流アセットと結合させることで、お客様に物流効率化のニーズに応えるサービスを提供するとともに、収益力の向上を図ります。
② 安全・安心な物流サービス
「安全・安心な物流サービス」では、2021年12月に発生した山陽線瀬野~八本松間貨物列車脱線事故の再発防止策として輪重測定装置やトラックスケールの導入や、荷主様、利用運送事業者様ら関係者が一体となって偏積を防止する仕組みの構築を実施してまいります。さらに近年頻発化・激甚化する豪雨災害等による長期寸断時の対応強化の取組みとして、EH500形式電気機関車を改造し、線路寸断時に日本海縦貫線を迂回輸送できるようにするほか、グループ会社とも連携したトラック 、定期航路(RORO/フェリー)、一般貨物船の利用拡大に向けた具体的な仕組みづくりなど、災害時のリダンダンシー確保を進めております。
また、輸送量に応じた列車設定の見直し、列車運行にかかるオペレーションコストの削減に取り組むほか、安全の確保をした上で機関車・貨車、またはその部品の検査周期延伸を行うなどコスト削減を図ってまいります。
③ グリーン社会の実現
「グリーン社会の実現」の取組みとしては、貨物駅で使用する入換用機関車やフォークリフトの取替時に従来型より燃費削減効果の高い車両の導入を進めているほか、2021年10月から越谷貨物ターミナル駅構内に配置している構内移送トラックに次世代バイオディーゼル燃料の使用を開始しました。今後も次世代バイオディーゼル燃料のさらなる使用拡大を検討してまいります。また、国の目標に合わせて、2022年7月に環境長期目標「JR貨物グループ カーボンニュートラル2050」を策定しました。数値目標として、2030年度に自社で排出するCO2量を50%削減(2013年度比)し、2050年度にはグループ全体のCO2排出量を実質ゼロとすることを掲げており、今後、目標の達成に向けてグループ全体で取組みを進めてまいります。
④ 地域の活性化
「地域の活性化」では、「社会課題解決型」の新規事業への挑戦の初めての取組みとして植物工場事業を行う合弁会社を2021年9月に設立しましたが、2023年4月から新工場が操業開始します。オペレーションを含めて商品として出荷できる製品レベルまで早期に到達するように取り組むとともに、販路拡大も行ってまいります。また、海外事業ではタイ王国に重点を置いて活動を行います。2021年9月に開設したバンコク駐在員事務所を拠点として貨物鉄道輸送事業の実施可能性及び貨物鉄道関連産業の参画可能性について調査を進めてまいります。
不動産事業では、自社用地を活用した新規開発に加え、外部から購入した不動産物件による賃貸事業を推進し、不動産事業の安定した成長軌道の確立を目指します。
⑤ 財務上の課題
「財務上の課題」として、金融危機等の発生による資金の枯渇や金利の上昇が挙げられます。当社グループは今後も継続的に長期資金・短期資金の調達が必要であることから、資金調達先や借入期間の分散化を実施するとともに、震災・大雨・噴火対応型のコミットメントラインを締結し、有事の際の資金需要にも対応できるようにしております。
次いで、格付けの低下等により、市場からの資金調達コストが上昇する、もしくは調達自体が困難になることも想定されることから、財務体質の維持・強化に努めます。
また、新型コロナウイルス感染症の流行に代表されるような、当社グループの事業継続に大きな影響を及ぼす事象が発生した際には、資金繰りを継続的に注視し、早期の資金調達を実施するなど、対策を講じてまいります。

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