有価証券報告書-第7期(2025/06/01-2026/05/31)

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2026/08/26 16:47
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有報資料

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは「Space within Your Reach」というビジョンのもと、小型衛星技術のパイオニアとして、宇宙ビジネスの先頭に立ち続けることで、従来の宇宙利用の常識を打ち破り、地球上のあらゆる人々が当たり前のように宇宙を使う社会を目指しております。
(2) 経営戦略等
1.事業セグメントのシナジーと中期で目指す姿
当社グループでは、顧客のミッション機器(ペイロード)を搭載する小型衛星の開発・製造・打上げ・運用をサービスとして提供するアップストリーム(注1)側のAxelLiner事業、及び自社で開発した衛星を保有し、それらの衛星から得られる地球観測データに必要に応じて解析等による付加価値を加え、ソリューションとしてエンドユーザーに提供するダウンストリーム(注2)側のAxelGlobe事業を推進しております。アップストリーム側の事業とダウンストリーム側の事業の両者を推進している企業は世界的にも非常に珍しく、小型衛星においてはほとんど例のないものとなります。当社グループは、上記の経営方針に基づき、これらのAxelLiner事業とAxelGlobe事業を両輪として事業を拡大してまいります。
両事業を展開することで、AxelGlobe事業のコンステレーション構築に、AxelLiner事業における量産効果を得られることに加え、同事業で獲得した開発ノウハウや開発キャパシティを活用することができるようになり、また、「GRUS」を活用したAxelGlobe事業からのフィードバックで得たエンドユーザーのニーズを衛星ハードウエアだけでなく、衛星コンステレーションのアーキテクチャレベルまで落とし、AxelLiner事業の研究開発に活用することができるようになります。その結果、両事業の競争優位性が高まるものと考えております。
これらの事業基盤を支える小型衛星の開発・製造・運用技術に関しては、今後も継続的に研究開発を進めてまいります。AxelLiner事業においては、これまでも政府系の開発案件を複数受注しており、これらのプロジェクトを通じて、政府の宇宙開発の目標達成に貢献しながら小型衛星開発の知見を培っております。
両事業のさらなる強化とシナジーの発揮のために、中期で目指す姿として2031年5月期末までに目指す4つの目標を掲げています。
衛星コンステレーションの増強による
事業基盤の強化
AxelGlobe事業において2031年5月期末までに地球観測衛星コンステレーションを30機体制へ拡大し、観測能力の向上とサービス提供力の強化を図ります。
軌道上実証サービスの事業基盤確立AxelLiner事業において2030年5月期までに軌道上実証サービスを年4回の定期運航体制とし、安定的にサービスを提供できる事業基盤の確立を目指します。
衛星生産能力の向上及び量産効果の創出事業成長を支えるため、衛星の生産能力を向上させ、多様な案件や需要の変動にも柔軟に対応できる量産体制の構築を進めます。
衛星の性能向上のための研究開発衛星の性能向上に向けた研究開発を引き続き積極的に進めることで、既存衛星の性能向上に加え、新たなミッションに対応する技術開発を推進していきます。

(注) 1.アップストリーム:宇宙空間へ宇宙機(人工衛星やロケットなど)を送るまでの地上での経済活動と宇宙空間における地上用途でない経済活動のこと。主たる事業内容としては、宇宙機の製造・打上げ、宇宙港や地上局を含む地上インフラ運営などが含まれる。
2.ダウンストリーム:アップストリームで打上げられた衛星を地上用途で活用したサービスに関連する経済活動のこと。衛星運用、衛星通信・放送、衛星データ販売、衛星データを活用したソリューション販売などが含まれる。
2.AxelLiner事業
AxelLiner事業では本格的な収益化に向けて、2030年5月期までに軌道上実証サービスを年4回の定期運航体制とし、安定的にサービスを提供できる事業基盤の確立を目指します。定期運航体制の実現において多様なミッションに対応可能な汎用バスシステムの確立並びに衛星開発プロジェクトの短縮化・省力化に向けたソフトウエアの完成等の研究開発活動を推進し、世界的に官民双方で急速に高まる小型衛星利用ニーズに応えてまいります。
[1]多様なミッションに対応可能な汎用バスシステムの確立
AxelLiner事業においては、宇宙関連企業や政府系機関等の顧客が調達又は開発するミッション機器を搭載する専用人工衛星の開発・製造・運用が中心となります。従来であれば設計開始から打上げまで最低2~3年は必要となっていた新規衛星開発案件について、これまでの専用衛星開発の過程で培ってきた技術をベースに、バス部分には独自の汎用バスシステムの使用を目指し、最短1年での打上げの実現を目指しております。汎用バスシステムは、2024年3月に打上げた「PYXIS」で初めて搭載し、その後2025年6月に打上げた性能検証機「GRUS-3α」でも宇宙空間での実証実験を進めております。また、2026年7月に打上げた「GRUS-3」にも搭載し、これらの運用で得られた成果を、今後当社が開発する人工衛星に反映してまいります。
[2]衛星開発プロジェクトの短縮化・省力化に向けたソフトウエアの完成
AxelLiner事業では顧客価値実現のために、事業設計から仕様決定、製造状況把握、軌道上運用に至るまでのプロジェクトのすべてのフェーズにおいて、顧客との窓口となるソフトウエアである「AxelLiner Terminal」の提供を目指しております。
従来、特に事業設計から仕様決定のフェーズにおいては検討のために大量の人的・時間的リソースを投入する必要がありました。
宇宙事業、特にコンステレーションを用いた事業展開を考える際に、顧客が自身のミッションを通じて提供したいサービス(品質、展開地域、コスト等)を成立させる構成(衛星性能、機数、投入軌道等)を検討することは一般に容易ではありませんが、この「AxelLiner Terminal」は顧客がシンプルな項目を入力するだけでミッション(地球観測や通信など宇宙で行いたいこと)の検討に関する作業をデジタル化・省力化することを目指します。
これらの研究開発によって獲得した技術を活用し、宇宙空間でのコンポーネント実証ニーズを有する顧客に向けた「AxelLiner Laboratory」 (以下「AL Lab」という。)、実施したいミッションを有する顧客に対し、複数機のコンステレーションも含むそのニーズ実現を目的とした衛星及びその運用までを提供する「AxelLiner Professional」(以下「AL Pro」という。)という2種類のサービスを準備しています。

AL Lab
宇宙で使用するコンポーネントを軌道上で実証したいと考える顧客に向けたサービスです。
宇宙用コンポーネント開発事業者が顧客(衛星メーカー等)に製品を販売するには軌道上での動作実績を求められることが多く、これが当該事業者にとって大きなハードルとなっています。このため、国内においてはJAXAを中心とする政府系機関により宇宙用コンポーネントの軌道上実証機会が提供されてきましたが、実証頻度が2~3年に一度と低いため、製品の性能を素早く検証し、タイムリーに市場に出すことが難しいという課題がありました。当社グループでは宇宙産業向けのコンポーネントを開発したい企業、宇宙空間の特性を活用した実験をしたい企業などを対象にサービスを提供します。当社グループが開発中の汎用バスシステムをベースに、ミッション機器が搭載可能なスペースを分割して提供し、相乗りで打上げることで、1スペースあたりの提供価格の低減を実現します。また、大型のミッション機器の実証を目指す顧客に対しては、衛星自体を提供することも可能です。これらの実証機会を提供する衛星を定期的に打上げることにより柔軟な実証時期の選択・変更を可能にするほか、衛星オペレータとして実証対象コンポーネントに対し、中立的な立場での軌道上評価ができる第三者的な認証を提供するなど、独自性の高い軌道上実証サービスの構築を目指しております。本書提出日現在、シナノケンシ株式会社、株式会社Pale Blue、JAXAと軌道上実証契約を締結し、サービス提供を進めております。
AL Pro
実現したいミッションを有する顧客に対し、当該顧客が開発又は調達するミッション機器を搭載した専用の小型衛星を開発し、打上げ、その後の運用までを当社グループがトータルに提供するサービスです。当社グループが開発中の汎用バスシステムを使用することによりカスタム要素を最小化することで、コストや開発期間を従来より大幅に抑えることができると考えています。
加えて当社グループでは過去の豊富な打上げロケットや地上局、保険の手配経験や周波数獲得、政府の許認可取得経験を生かし、顧客にサービスを提供することにより、顧客は煩雑な各種手配を自身で行う必要がありません。顧客は宇宙で稼働させるミッション機器の選定・手配又は開発を行い、当社グループは顧客から受領したミッション機器を衛星として組み込み、打上げや運用の実施を行い、得られたデータを顧客に送付することでサービスが完結します。
将来的には、上記のAL Lab、AL Proのプロジェクトの遂行において前述の「AxelLiner Terminal」を活用することで、プロジェクト期間短縮と省力化を図ってまいります。以上のように、AxelLiner事業においては、進展スピードの速い人工衛星関連技術の研究開発を汎用バスシステムの確立後も継続的に行っていくことが、当社グループの技術力の維持発展及び安定的な事業運営を達成する上での重要な鍵になると考えており、今後も継続的な研究開発投資を行ってまいります。
3.AxelGlobe事業
AxelGlobe事業においては2031年5月期末までに地球観測衛星コンステレーションを30機体制へ拡大し、観測能力の向上とサービス提供力の強化を図ります。体制拡大及びサービス提供力強化のために、衛星機数増加による撮影能力の増強、高分解能衛星の投入、データ利用を加速させるための特定産業向けのソリューションの強化の3つの軸で成長を目指してまいります。
[1]中分解能衛星「GRUS」の撮影能力の増強
AxelGlobe事業のサービス強化については、2026年7月に中分解能衛星「GRUS-3」の7機打上げに成功し、2026年中の商用運用開始に向けて本書提出日現在、初期運用中です。商用運用開始後は、同一地点をほぼ同一時刻に毎日撮影可能なコンステレーションの構築・運用を計画しております。「GRUS-3」は地上分解能2.2mの画像の撮影が可能で、1機あたりの観測幅は28.3km、最長観測距離は1,356km、7機合わせて1日に最大230万km²を撮影する能力を有します。また、人の目が捉えることができる色彩のほか、植物の生育状況や沿岸域の藻場や地形などを観測できるセンサーを搭載しています。この撮影能力の増強により、特定のエリアを指定して撮影する当社のタスキング技術と組み合わせ、現在の4機体制では撮影し切れないような広い面積を短期間で観測したいといったニーズに応えるサービスの提供を可能にします。

「GRUS-3」フライトモデル(左)と
ロケットに搭載された「GRUS-3」を含むペイロード(右) ©SpaceX

2026年7月7日(日本時間)に「GRUS-3」を搭載して打上げられたFalcon 9 (左)と
搭載された「GRUS-3」がロケットから宇宙空間に切り離される様子(右) ©SpaceX

「GRUS-3」の提供価値とミッションパッチ
[2]高分解能衛星の投入
2028年5月期以降、高分解能衛星による画像サービスをAxelGlobe事業のサービスラインナップに加えることを計画しております。この高分解能画像は、将来的には地上分解能50cm以下の実現を目指しており、現在商用で手に入る衛星画像の中でも大型衛星に比肩する高い分解能を持つことになります。高分解能画像サービスは官公庁を中心に様々な用途での利用が見込まれます。加えて、これら中分解能衛星と高分解能衛星を組み合わせて運用し、広域・高頻度の観測データから関心地点を特定・抽出し、高分解能の観測データからその地点の詳細な観測を行う協調運用(Tips&Cue)の実現を目指します。
現在このような協調運用を同一のプラットフォームで展開している事業者は存在しておらず、異なる種類のデータを組み合わせたシナジーを効かせたサービスを提供することで、地球観測プラットフォームとして高い競争優位性を持つと考えております。
[3]データ利用を加速させるための特定産業向けのソリューションの強化
衛星データを提供する事業者の数は増えており、衛星データ販売事業への参入障壁は下がってきておりますが、衛星データは地理空間情報データ(GISデータ)の一部であり、GISデータの取扱い経験が求められます。また近年ではコンピュータビジョンといった画像情報のソフトウエア等の取扱い経験も求められます。このため衛星データを届けるのではなく、解析等を実施し、その結果をサービスとして提供する、又は衛星データを含む複数のデータソースを組み合わせて解析した結果をサービスとして提供するような事業者が現れています。現時点ではこのようなデータ解析の企業については、個々の案件に応じたコンサルティング性が高いものと考えております。
また、衛星は軌道上で物理法則に従った運動をしており、いつどこに存在していたかを一意に特定することができるため、ドローン等と異なり特定の場所を特定のタイミングで撮影したという事実を証明可能です。この特性と改ざん防止技術等とを組み合わせることにより、撮影した画像について、証拠能力を持たせることが可能となる特徴もあります。これらの特徴を活かしてより多くの産業での衛星データの利用促進を図るため、ソフト面での取組みも加速してまいります。具体的には、報道、金融、環境といった産業を中心に、ニーズに合わせ画像分析・情報抽出機能を組み合わせることや、撮影権をサービスに組み込むことにより、付加価値の高いソリューションとして顧客にサービス提供できるよう、研究開発及び事業パートナーとの協業を積極的に進めてまいります。
4.製造及び研究開発
製造に関しては、当社グループでは、2023年7月に株式会社ミスミ、由紀ホールディングス株式会社、及びキャリムエンジニアリング株式会社と宇宙機製造アライアンス業務提携契約書を締結し、人工衛星製造の効率化、製造機調整も可能な並行製造の実現を目指し、従来の人工衛星製造の製造概念を変革することを目標に進めております。なお、当該契約を締結している3社に限らず、その他関連する企業とも連携を深め、プロジェクト開始から軌道上のデータ提供・運用開始までの時間短縮化・効率化を目指しております。

研究開発においては、衛星の性能向上に向けた研究開発を引き続き積極的に進めることで、既存衛星の性能向上に加え、新たなミッションに対応する技術開発を推進していきます。AxelLiner事業において実施している「光通信等の衛星コンステレーション基盤技術の開発・実証」を通じた衛星間光通信技術のほか、当社の連結子会社である株式会社アクセルスペースが代表機関として採択された宇宙戦略基金第二期の技術開発テーマである「次世代地球観測衛星に向けた観測機能高度化技術」を通じて、航空機及び地上センサなどの衛星以外の観測データを組み合わせた発生源別(時刻別・地域別)の二酸化炭素(CO2)の排出・吸収量を解析する研究開発を実施します。このように、衛星のバス部の性能向上に加え、新たなミッションに対応する技術開発を推進していきます。
(3) 経営環境
当社グループが属する経営環境には、以下のような特徴があります。
当社グループが属する宇宙利用の分野では、打上げ能力を有する伝統的な宇宙主要国のみならず、その他先進国や中東地域においても、宇宙産業への本格的な参入に向け、官民を挙げた大規模な調達や投資が盛んになっています。日本においても、10年で1兆円という大規模な支援を行う「宇宙戦略基金」がJAXAに設置され、これまでに第1期・第2期の技術開発テーマにおいて160件を超える提案(うち4件に当社グループが代表機関又は連携機関として参画)が採択されており、第3期の公募も進行しております。加えて、当社グループも参画する、防衛省「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」として約5年間で2,831億円の契約が締結され、事業が開始するなど、わが国における政府の取組みも具体化しております。このような環境の中、当社グループの手がけるAxelLiner事業及びAxelGlobe事業においても、持続的な成長を見込んでおります。
当社グループのAxelLiner事業は、多様なミッションに対応可能な小型衛星を開発・製造・運用するサービスを提供することにより社会に存在する様々な宇宙利用ニーズに応える、いわゆる宇宙産業における製造分野の一つとされています。この人工衛星の分野については宇宙利用の拡大に伴い全世界で市場規模が拡大しており、2016年から2025年の10年間で417億米ドル規模だった小型衛星市場は、2026年から2035年の10年間で1,369億米ドルに成長すると見込まれております(Novaspace社 Prospects for the Small Satellite Market, 11th edition, 2026)。この内、AxelLiner事業が含まれる小型衛星製造の市場も2014年から2023年の10年間で302億米ドル規模から、2026年から2035年の10年間で1,008億米ドルと3倍以上に成長することが見込まれております。
我が国においても2023年に改訂された宇宙基本計画において、人工衛星製造を含む宇宙産業を日本経済における成長産業とするため、2020年に4兆円となっている市場規模を2030年代の早期に2倍の8兆円に倍増させることを目標とすると謳われており、政府が率先して研究開発補助や宇宙データ利用促進施策を推進するなど、特にスタートアップ企業向けに強力な支援が行われております。
また、当社グループが展開するAxelGlobe事業は、人工衛星のデータを利用・解析することにより、様々な業界で用いられる「地球観測衛星データサービス市場」の一つとされています。この「地球観測衛星データサービス市場」は全世界で市場規模が拡大しており、2024年には5,338百万米ドルだった市場が2034年には8,413百万米ドルまで拡大することが見込まれており、地球観測衛星データサービス市場の中でも光学衛星は最大規模を誇ります(Novaspace社 Earth Observation Data & Services Market 18th Edition, 2025)。
我が国においても宇宙基本計画の中で「衛星利用による宇宙ソリューションビジネスの海外展開強化や、衛星データの利用拡大、担い手の拡充等を図っていく。」(宇宙基本計画、令和5年6月13日、p.25)、「官民によるリモートセンシングデータの利用を加速していくため、政府によるリモートセンシングデータのサービス調達を、民間に率先して一層推進する。」(宇宙基本計画、令和5年6月13日、p.28)と述べられており、データ利用省庁等によって構成される「衛星リモートセンシングデータ利用タスクフォース」の活動など、日本政府の支援の下、更なる発展が見込まれております。これは世界的な動きだけでなく、激甚化する災害への対応や少子高齢化・デジタル化に伴う業務効率化の要請に後押しされているものと考えております。
衛星データの利用に関しては、「衛星リモートセンシングデータ利用タスクフォース」に出席する省庁が宇宙を所管する内閣府だけでなく、総務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省など幅広い省庁からの出席者があることからもわかるように、業界横断的な幅広いユーザーニーズが存在します。これらのニーズのうち、当社グループがサービスを提供する中分解能衛星画像及びその解析データについては、その撮影面積の広さから、幅広い国土の管理及び農林水産業について特に強みを有しており、担い手の減少・集約管理のニーズに応える形で利用シーンが拡大する余地があると考えております。加えて今後参入を行う予定としている高分解能衛星画像においても近年の国際情勢の変化に伴い国内外の政府系機関を中心にニーズが高まっており、サービスイン以降、AxelGlobe事業の売上拡大に寄与するものと考えております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループでは、AxelLiner事業の本格的な収益化に向けた多様なミッションに対応可能な汎用バスシステムの研究開発や、AxelGlobe事業の撮影能力の増強のために2026年7月に打上げた「GRUS-3」の運用技術の向上や、2028年5月期以降打上げ予定の高分解能衛星の開発、製造など、両事業における先行投資により、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローを計上している状況にあり、当連結会計年度末において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。当該事象又は状況を解消し、かつ今後、当社グループが事業拡大を遂げていくために事業上及び財務上対処すべき課題並びに対処方針は以下のとおりであります。
① 収益基盤の強化
当社グループの売上高の柱である、AxelLiner事業並びにAxelGlobe事業において、更なる収益基盤の強化は重要な経営課題と認識しております。そのためAxelLiner事業に関しては、多様なニーズに応えるべく、継続的な研究開発の実施により性能向上を図りながら、複数のプロジェクトを並行して推進できるよう、UX革新及び衛星開発プロジェクトの短縮化と省力化の鍵となるソフトウエア「AxelLiner Terminal」の開発の加速及び衛星量産体制の着実な整備を進めてまいります。併せて営業体制を強化し、本格的に営業活動を推進してまいります。
AxelGlobe事業では、国内外において衛星画像販売代理店・衛星画像解析事業者とのパートナー契約を増やし、販路拡大を推進してまいります。加えて、これまで衛星データ活用が進んでいない業界向けの新プロダクト開発を当該業界の事業パートナーと共に積極的に推進し、ソリューションとしての利用普及を図ってまいります。
② 人材の確保及び育成
当社グループのビジョン・ミッションに共感し高い意欲を持った優秀な人材の採用、及び人材育成は重要な事業上のテーマであると認識しています。今後は、人材の獲得競争のさらなる激化が見込まれることから、グローバルな人材市場において競争力のある報酬体系を整備するとともに、中長期的な企業価値の向上に資するインセンティブを付与することが重要であると考えております。そのため、経営を推進する当社及び当社子会社の取締役・執行役員を対象とした事後交付型株式報酬制度(RSU制度)及び業績連動型株式報酬制度(PSU制度)を導入しました。中長期的な企業価値向上に向けたインセンティブを適切に付与し、また、株主の皆様と価値・リスクをより一層共有するとともに、競争力のある報酬水準により優秀な人材の確保を図っております。加えて、多様な働き方の整備、会社負担による婦人科健診の推奨・有給休暇付与の拡大・継続勤続年数に応じたボーナス休暇の付与などの福利厚生の充実、社内教育制度の充実、透明性のある評価制度の構築等、従業員が高いモチベーションをもって働くことのできる環境の整備を継続して推進してまいります。
③ ガバナンス及び内部管理体制の強化
当社グループは、持続的成長を遂げるための業務執行とガバナンスのバランス及び経営上のリスクを適切にコントロールするための内部管理体制の強化が重要であると認識しております。そのため、社外取締役等への報告体制の強化、内部監査担当、監査役及び会計監査人による実効性のある三様監査を実施するとともに、役職員向けのコンプライアンス研修の実施等を通じた個々人の知識・能力の向上や、定期的な内部監査を継続して実施してまいります。
④ 財務上の課題について
将来的に安定した事業収益化を目指す過程で、顧客基盤の拡充・人工衛星技術開発への継続的な先行投資が必要であり、そのための必要資金を機動的かつ確実に確保することが重要です。当社グループでは、現状、先行投資フェーズであり、継続的な投資を行っていることから、過去継続して営業損失かつ営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスを計上しております。
当社グループでは手元流動性確保のため、以下のとおり公募増資、金融機関からの借入等で資金調達を実施してきており、また今後も機動的な資金調達の可能性を適宜検討してまいります。
2023年6月:株式会社三井住友銀行と極度借入2,000,000千円の借入契約を締結
2024年9月:株式会社みずほ銀行と極度借入2,000,000千円の借入契約を締結
2025年3月:株式会社三井住友銀行と4,000,000千円の借入契約を締結
2025年8月:東京証券取引所グロース市場に株式を上場。公募による新株式の発行及びオーバーアロットメントによる売出しに関連した第三者割当増資により、7,935,000千円の資金調達を実施
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、以下を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として定めています。
・売上高
当社グループ全体では、企業価値の継続的向上に向けて、利益の確保が重要であるため、経営指標として売上高を重視しております。
・総収入
中期的には当社グループ全体の収入において、補助金収入が一定の比率を占めることから、売上高と補助金収入を合算した総収入を当面は重要な指標として管理することとしています。
・衛星打上げ機数(AxelLiner事業)
AxelLiner事業においては、実証衛星としての打上げ機数を重視しており、2026年5月期から2028年5月期までの間に累積6機の人工衛星の打上げを目指しております。実証衛星の打上げ機数が増加することで、衛星開発の製造過程における知見・量産化技術を蓄積し、当社グループの人工衛星製造の開発効率・製造コストの低減に繋がります。
なお、AxelLiner事業において目指す多様なミッションに対応可能な汎用バスシステムの確立並びにUX革新及び衛星開発プロジェクトの短縮化と省力化の鍵となるソフトウエアが完成し、定期的に衛星打上げが実施可能になった後は、KPIとしてはプロジェクト件数を使用することを予定しております。
・衛星運用機数(AxelGlobe事業)
AxelGlobe事業では、衛星コンステレーションの運用機数を重視しており、2028年5月期末までに14機を運用することを目指しております。運用機数が増加することで、撮影頻度・撮影範囲の増加が可能となり、当社グループの収益への貢献度が比例的に増加いたします。

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