訂正有価証券届出書(新規公開時)
有報資料
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「決済から、きのうの不可能を可能にする。」をミッションとして掲げるとともに、その先で実現したい未来を「あしたの世界に、いくつもの自由を。」というビジョンに込めております。あらゆる産業・事業者のフィンテック・パートナーとして、全ての商流に関わる決済を起点にシームレスな社会を実現し、これまで不可能であったビジネスの実現を支援するとともに、様々なサービスと金融機能を繋ぐことで、より豊かで利便性の高い、スマートで持続可能な社会の実現に貢献することを目指しております。
これらの経営方針に基づき、経営戦略及び諸施策を推進することで、当社グループの中長期的な株主価値及び企業価値の最大化に努めております。
(2)経営環境
当社グループを取り巻く事業環境は、近年、当社グループを含めたフィンテック関連の事業者が台頭し、ITを活用することで、既存の金融機関が提供し得ない革新的な金融サービスを世の中に提供する動きが活発化しております。また、コロナ禍に端を発した社会構造の変革や、デジタル化及びキャッシュレス化の潮流によって、これまで以上に手軽で利便性の高いサービスを求めるエンドユーザーのニーズが急速に高まっており、金融機関や事業会社は、多様化・複雑化が進む社会のニーズに迅速かつ柔軟に適合することが求められております。
決済・金融領域の法整備に目を向けると、欧米を中心に、政府主導でフィンテック事業者に対し金融機関の基幹システムへのアクセスを開放する動きが加速しております。日本でも2017年5月成立の改正銀行法により、銀行が外部事業者との安全なデータ連携のためにAPIを公開することが努力義務化されたほか、ユーザーからの委託で金融機関のシステムに接続できる業者を「電子決済等代行業者」として金融庁に登録する制度が制定されました。加えて、2022年1月に改正電子帳簿保存法、2023年10月にインボイス制度が施行されたほか、2026年には手形・小切手の全面的な電子化の方針が示されるなど、政府主導による金融領域のデジタル化が急速に進んでおり、企業のバックオフィスは業務プロセス自体のデジタル化に対応した決済手段の整備が急務となっております。
① 消費者向け(BtoC)決済市場
およそ330兆円(注1)とされるBtoC決済市場では、2018年4月公表の「キャッシュレス・ビジョン」にて示された政府目標であるキャッシュレス比率40%が1年前倒しで達成されるなど(注2)、日本におけるキャッシュレスの普及は新たなステージへと突入しております。しかしながら、主要諸外国と比較しその比率は依然として低く(注3)、将来的な政府目標である80%(注4)への到達に向けては、引き続き官民が一体となり日本のキャッシュレス社会実現に向けた環境整備が推し進められるものと認識しております。
また、日本国民一人あたりが保有するキャッシュレス決済手段の数は、主要諸外国と比べて突出して多いことが特徴として挙げられており(注3)、多様な決済手段を選好する国民性にあわせた事業者の対応も急速に進むことが見込まれます。
② 事業者間(BtoB)決済市場
当社グループが成長領域として軸足を置くBtoB決済市場において、2023年の市場規模は1,163兆円(注5)とされておりますが、依然として銀行振込による支払いが中心であり、日本国内の法人カード利用率は米国の7%(注6)に対し10分の1程度(注7)と広大な拡大余地が見込まれる市場であると捉えております。
昨今、大企業においては、会計ソフトや経費精算システムと連携させることで業務効率化が実現されるコーポレートカードの導入が進んでいるほか(注7)、当社プロダクト導入企業のサービス利用者であり国内法人数の99.7%を占めるといわれる中小企業(注8)では、支払いサイトが最大60日程度延長できることにより毎月の資金繰り改善に繋がるパーチェシングカード(注9)の利用が増加しております(注7)。これらの利便性の向上から事業者間におけるクレジットカード払いが急速に普及することに伴い、当社グループのプロダクトに対する需要は今後も継続的に高まるものと考えております。
③ クレジットカード業界の構造
クレジットカードは、現代のキャッシュレス社会において欠かせない決済手段であり、消費者と企業の双方にとって利便性の高い経済インフラとなっております。その一方で、業界の構造には様々な課題が内在しており、これらは業界全体の持続的な成長やユーザー体験の向上を阻害する要因となっております。クレジットカード取引は主に下記の主体によって成り立っております。
<クレジットカード業界の構造(5パーティーモデル)>
加盟店は、カード決済金額に応じた一定の手数料をアクワイアラに支払いますが、この手数料の多くはイシュアへ分配される仕組みとなっており、加盟店にとっては大きな負担となっていることが経済産業省により指摘されております(注10)。また、イシュアはカード利用を促進するため、ポイント還元やキャッシュバックなどのインセンティブ施策を強化しており、これにより消費者(カード会員)の利用意欲は高まりますが、そのコストは最終的に加盟店が負担する手数料に含まれております。
現在、決済業界ではデジタル化やリアルタイム決済、バイオメトリクス認証など新技術の導入が進んでおりますが、それぞれが独自のシステムを維持していることにより、システムの相互運用性が低く、全体最適なサービス開発が難しい状況となっていると考えられます。特に、伝統的なイシュアやアクワイアラは、旧来技術によるシステムを用いているケースが多く、コスト上の問題に加え、新たなサービスとの競争において後れを取る例も見られます。
当社グループでは、このような主要なプレーヤーが複雑に連携しながら機能するクレジットカード業界の構造的な課題を打破し、決済をシームレスに繋げるプラットフォームの提供に取り組んでおります。
(注1)内閣府「国民経済計算」民間最終支出(2024年度)
(注2)経済産業省「2024年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(2025年3月)
(注3)一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ2024」
(注4)経済産業省「キャッシュレス・ビジョン(平成30年4月)」
(注5)経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」より、「BtoB-EC市場規模の業種別内訳」における2023年 EC市場規模合計額を、同年の合計(その他を除く)EC化率にて除して算出
(注6)Insider Intelligence | eMarketer (Forecast, Aug 2023)
(注7)矢野経済研究所「国内キャッシュレス決済市場の実態と将来予測(2024年版)」
(注8)総務省・経済産業省「令和3年経済センサス-活動調査」
(注9)パーチェシングカード
企業における固定費や企業間の購買活動の決済に特化したカード
(注10)経済産業省「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」とりまとめ
(3)経営戦略等
当社グループは次のような事業上の優位性を有しており、これらの優位性を踏まえて、中長期的な経営戦略を策定しております。
① イネーブラー型のビジネスモデル
キャッシュレス化の急速な進展により、国内ではカードやウォレット、コード決済など、様々な決済サービスを提供する事業者が勃興しておりますが、当社グループは、そのような事業者を含め決済に関わるあらゆる企業に最先端の決済基盤や技術を提供するイネーブラーとしてのポジションを築いております。産業の垣根を超えて、あらゆる事業者や金融機関へ広く当社グループのプロダクトを提供することができるビジネスモデルにより、BtoC・BtoB双方の決済市場すべてが事業領域としてリーチできることから、決済市場全体の成長が当社グループの成長に繋がる特徴がございます。
② 決済全域を一気通貫でカバーする決済プラットフォーム
前述のクレジットカード業界の構造で例示したとおり、日本における決済の仕組みは役割が細分化された複雑な業界構造となっております。当社グループは、カード発行をはじめとしたイシュイング(注11)の領域から、加盟店管理や決済代行といったアクワイアリング(注12)の領域まで、決済に関わるすべての機能を一気通貫で提供しております。決済全域をカバーするオープンプラットフォームにより、様々な事業者が介在する従来の決済システムに比べて高い価格優位性を有するほか、これまでの分断されたシステム構造では実現し得なかった一元的なデータ蓄積が可能となる為、導入企業は、マーケティング活動に必要なデータを適切に活用いただくことができます。
③ フルクラウド・APIベースのオープンプラットフォーム
従来の決済システムは、決済手段ごとに縦割りで設計・開発されていたことにより、システムの維持管理や機能拡張に係る費用は莫大な金額となっておりました。当社グループが提供するオープンプラットフォームは、フルクラウドかつAPIベースで構築していることから、導入事業者が必要な機能を、低コストかつ短納期で実装することができるほか、追加の機能実装やアップデートも容易に実施できる拡張性を有しております。これにより大手金融機関であっても低コストかつスピーディーな商品拡張が可能となり利用者の利便性を向上することができます。加えて、これまでシステム開発等に要する費用の観点で、決済・金融事業への参入は資本力を持つ大手金融機関や大企業に限られておりましたが、当社グループが提供するオープンプラットフォームにより、新興企業や中堅中小事業者の決済・金融事業への参入障壁を大きく低下することができる為、キャッシュレス決済市場の活性化に繋がっております。
④ コンサルティングとプロダクトとの両輪による顧客基盤の拡大
「キャッシュレス」「フィンテック」といった言葉が生まれる以前の2006年から、当社グループは決済・金融領域に特化したコンサルティングサービスを提供し、金融機関や大手企業の課題解決に取り組んでまいりました。コンサルティングサービスを通じて培った知見や深い専門性は、現在では当社グループのコアコンピタンスとしてプロダクト開発にも強く活かされております。
決済・金融領域のコンサルティング・ファームとして長年積み上げた実績により、コンサルティングサービスを起点として決済システムの導入や事業参入に関するご相談をいただくことが多々ありますが、そのなかで当社グループのプロダクト導入に至るケースが多くあるほか、プロダクト導入後に、コンサルティング側に更なるご要望をいただき、そのフィードバックによりプロダクトの継続的な改善・進化に繋げる好循環を実現しております。このように、コンサルティングとプロダクトが連動することで、広告宣伝費を低い水準で維持しながらも、持続的に顧客基盤を拡大し、着実に信頼と取引拡大を実現する成長モデルを確立しております。
以上の優位性を踏まえた当社グループの経営戦略は以下のとおりです。
① 全方位アプローチによる顧客基盤の拡大
現在、当社グループの決済プラットフォームは、新たに決済・金融領域に参入しようとする会計システムや経費精算システムをはじめとしたSaaS企業を中心に導入が進んでおります。加えて、すでに膨大な顧客基盤を有する大手企業や従来の金融システムを運用する金融機関においても、柔軟で拡張性が高い当社グループのプラットフォーム導入が進んでおり、いずれも今後の成長ドライバーになると見込んでおります。
導入先であるSaaS企業を中心とした当社プラットフォームの決済処理金額(BtoB GTV)は、2023年3月期から2025年3月期にかけての年平均成長率が150%以上と急速に増加しているほか、ペイメントプラットフォーム利用企業数も2023年3月末から2025年3月末にかけて2.5倍以上に増加するなど高成長を実現しております。当社グループでは、今後も提供するサービス領域や機能の拡張に継続的に取り組むことにより、これまで取り込めていなかった事業者の需要も満たし導入企業の拡大を進めるとともに、導入先であるSaaS企業自体の高い成長をドライバーに当社グループの成長に繋げてまいります。
大手企業や金融機関においては、エンドユーザーによる便利な決済・金融サービスを受けたいというニーズが高まる一方、従来のシステムでは柔軟性の欠如や大規模開発の必要性から、ニーズへの対応が困難になっているという課題が顕在化しており、当社プロダクトの導入に関する相談が増加しております。この要望に対し、大手企業特有のニーズである導入時におけるプロジェクトマネジメント、品質管理、リソース配分などを担うインテグレーション機能を強化し、顧客における当社プロダクトの組み込みを支援するとともに、既存システムと当社プロダクトの連携を実現する懸け橋となることで、大手企業や金融機関への導入を進めてまいります。
② サービス・機能の領域拡張によるプラットフォーム付加価値の向上
クレジットカードを発行する場合、カード発行ライセンスの取得や、カード発行・決済に関するミッションクリティカルなシステムプロセシング、その他残高管理、明細照会等、必要となる業務が多岐にわたります。当社グループの主力プロダクトの一つであるXardでは、SaaS企業や金融機関など、クレジットカードの発行ニーズがある事業者に対して、国際ブランドカードの発行を実現するプラットフォームを提供しており、Xardが提供する様々なAPI機能を導入企業のサービスに組み込むことにより、クレジットカード発行に関連する業務やコストを大きく低減させることが可能となります。
現状では、プロセシング基盤、金融機能、オペレーション領域におけるコアとなる機能を提供しておりますが、一方で、イシュア固有の金融業務や、AIを活用した業務等、更なる高機能化及び領域拡張の余地があると考えております。また、足もとではAIによる付加機能として、クレジットカード決済における不正利用の検知、与信の付与及び審査などの機能追加、並びにクレジットカードに関連するオペレーションの自動化及び効率化などにAI技術の活用を進めており、これらの早期実装に向けて取り組んでおります。
こうした新たな価値創造を通じてイシュイング領域の機能をワンストップで提供することにより、付加価値を通じた収益性の向上と新たな顧客層の獲得を実現するとともに、進化し続けるカード基盤による顧客満足とエンゲージメントの向上を目指してまいります。
③ SMBCグループとの共同事業推進
当社グループは2024年にSMBCグループとの資本業務提携を行い、BtoB決済・BtoC決済領域における共同事業を開始、2025年4月には法人向けプラットフォーム「Trunk」を共同で発表し、中小企業を対象に、法人口座、カード、請求書発行、ファクタリング、経理業務の効率化等を統合したサービスを開始しております。
当社グループは「Trunk」の中核的機能を担うとともに、Xard、Winvoiceといったプロダクトを「Trunk」上で提供していく予定であり、今後は「Trunk」の拡大が当社グループの成長に大きく寄与するものと見込んでおります。SMBCグループは「Trunk」の目標として、リリースから3年間で30万口座、預金3兆円の獲得を掲げており、当社グループにおいてもその達成に向けて強固なアライアンス関係を構築し、SMBCグループとの事業共創を実現してまいります。
(注11)イシュイング
ユーザーに対するクレジットカードの発行のほか、カードの引き落とし情報及び利用状況の管理、利用明細の発行、請求などを行う業務
(注12)アクワイアリング
キャッシュレス決済における取引処理のほか、加盟店の審査及び管理、支払取次ぎなどを行う業務
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
重要な対処すべき課題として以下の事項に取り組んでまいります。
① ストック収入の積み上げによる収益基盤の強化
当社グループは、長期的な企業価値の向上には安定した収益基盤の強化が不可欠であると認識しており、システム開発及びプロダクト導入時の対価であるフロー収入を確保しつつ、当社グループのプロダクトが継続的に利用されることで将来にわたるストック収入が積み上がる収益構造を構築しております。
2025年3月期現在における連結売上高のうちフロー収入が5割程度を占めておりますが、ペイメントプラットフォーム事業におけるプロダクトを中心とした決済処理金額の積み上げに注力することにより、従量型で得られるストック収入の拡大を図るとともに、各プロダクトにおける機能拡張やサービス領域の拡大による付加価値の向上に取り組み、売上の高成長の実現と収益性の向上を目指してまいります。
② 優秀な人材の確保
当社グループでは、これまでにない新たなサービスを社会に提供するため、優秀な人材を採用し育成していくことが重要な課題であると認識しており、採用力の強化と従業員のモチベーション向上に向けた体制整備、仕組み作りを続けております。今後も継続的に人材採用と育成に対する投資を継続し、強固な事業基盤を確立することを目指してまいります。
③ 社会基盤に資する安定したサービスの提供
当社グループの提供するサービスは、社会インフラとしての重要性が増しており、システム障害発生などによるサービスの停止、遅延が様々な利用者に影響を与える可能性があります。当社グループはその役割の重要性に鑑み、システムの安定運用を重要課題と捉え、更なるサービス向上及び基盤強化を念頭にビジネスを遂行してまいります。
④ 情報管理の更なる強化
クレジットカードの不正使用、オンラインアカウントの乗っ取りなどが年々増加しており、キャッシュレス決済に関するセキュリティ問題への注目が集まっております。当社グループは、当該不正アクセスを防止することがサービス提供の重要課題と位置づけ、エンドユーザーの利便性を維持しながら万全なセキュリティを確保すべく、様々な手段及び対策の検討を行っております。情報漏洩をはじめとした情報セキュリティリスクを低減するため、リスク管理態勢の強化を目的に、必要とされる事業領域において、ISO/IEC 27001:2013(国内規格 JIS Q 27001:2014)への適合認証を取得し、情報セキュリティマネジメントシステムの適正な運用を行っております。更に、国際クレジットカードブランド5社が共同で策定したPCIDSS(Payment Card Industry Data Security Standard)基準にも、必要とされる事業領域において認証を取得しております。今後もセキュリティ強化に重点的に取り組んでまいります。
⑤ コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、企業価値を高めるため、株式会社インフキュリオンを中核として経営戦略を立案し、グループ内でのシナジー効果の追求、事業運営の効率化、子会社に対する管理・監督機能を適正かつ有効に発揮すべく、今後もグループの業務や組織運営、事業ポートフォリオの最適化に取り組んでまいります。そして企業の社会的責任の高まりに継続的にこたえ、意思決定の透明性・公正性確保と企業経営の効率性向上に注力していくために、コンプライアンス体制の強化と内部統制システムの充実を図ってまいります。
⑥ 財務基盤の強化
当社グループは2025年3月期に単年度黒字化し、今後も継続的な利益成長を見込んでおりますが、事業成長を更に加速させる上では、既存プロダクトの機能拡張や新規事業開発などの成長投資のほか、事業基盤を支える人材の採用、事業拡大に伴う運転資金など、一定の資金需要が生じることが考えられます。当社グループでは、収益性の向上を重視したキャピタルアロケーションを実施するとともに、最適な資本構成を踏まえた外部調達も検討し、財務基盤の強化を進めてまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高、売上総利益における成長率に加え、EBITDAを経営上の重要な指標として位置付けております。当社グループの中長期的な企業価値を牽引する各プロダクトは、立ち上げのフェーズから、事業として軌道に乗り成長フェーズへと移行しておりますが、今後のより高い成長の実現に向けては更なる機能拡張及び利便性の向上等を企図した継続的なシステム開発が必要不可欠であると考えております。今後、このような成長投資に伴う減価償却費の増加が見込まれることから、当社グループの収益性及び現金創出力をより適切に把握することを目的として、減価償却費による影響を除いた指標であるEBITDAを経営判断に用いております。
また、当社グループでは、目標の達成状況を判断するための客観的な指標として「BtoB GTV」及び「ペイメントプラットフォーム利用企業数」を設定しております。「BtoB GTV」は、Xard及びWinvoiceにおいて取り扱う決済処理金額で構成されております。当社グループの中長期的な成長を牽引するペイメントプラットフォーム事業において、今後の業績成長の中核となる従量型ストック収入の算出基礎であり、その成長性を的確に示すことから、重要な指標として位置付けております。「ペイメントプラットフォーム利用企業数」は、当社グループが提供する決済プラットフォームを、導入先企業のサービスを通じて利用いただくユーザーの事業者数を示しており、BtoB GTVの拡大に不可欠な要素として積み上げに取り組んでおります。
(単位:百万円)
(注)1.EBITDA=営業利益(又は営業損失)+減価償却費
2.ペイメントプラットフォーム利用企業数は、Xard及びWinvoiceの各導入先企業におけるサービス利用事業者数の単純合算であり、重複してサービスを利用する事業者につきましては相殺しておりません。
・中期的な成長目標
当社グループでは、経営戦略等の遂行を通して目指す中期的な成長目線として下記の数値目標を掲げ、事業拡大に取り組んでおります。
(1)経営方針
当社グループは、「決済から、きのうの不可能を可能にする。」をミッションとして掲げるとともに、その先で実現したい未来を「あしたの世界に、いくつもの自由を。」というビジョンに込めております。あらゆる産業・事業者のフィンテック・パートナーとして、全ての商流に関わる決済を起点にシームレスな社会を実現し、これまで不可能であったビジネスの実現を支援するとともに、様々なサービスと金融機能を繋ぐことで、より豊かで利便性の高い、スマートで持続可能な社会の実現に貢献することを目指しております。
これらの経営方針に基づき、経営戦略及び諸施策を推進することで、当社グループの中長期的な株主価値及び企業価値の最大化に努めております。
(2)経営環境
当社グループを取り巻く事業環境は、近年、当社グループを含めたフィンテック関連の事業者が台頭し、ITを活用することで、既存の金融機関が提供し得ない革新的な金融サービスを世の中に提供する動きが活発化しております。また、コロナ禍に端を発した社会構造の変革や、デジタル化及びキャッシュレス化の潮流によって、これまで以上に手軽で利便性の高いサービスを求めるエンドユーザーのニーズが急速に高まっており、金融機関や事業会社は、多様化・複雑化が進む社会のニーズに迅速かつ柔軟に適合することが求められております。
決済・金融領域の法整備に目を向けると、欧米を中心に、政府主導でフィンテック事業者に対し金融機関の基幹システムへのアクセスを開放する動きが加速しております。日本でも2017年5月成立の改正銀行法により、銀行が外部事業者との安全なデータ連携のためにAPIを公開することが努力義務化されたほか、ユーザーからの委託で金融機関のシステムに接続できる業者を「電子決済等代行業者」として金融庁に登録する制度が制定されました。加えて、2022年1月に改正電子帳簿保存法、2023年10月にインボイス制度が施行されたほか、2026年には手形・小切手の全面的な電子化の方針が示されるなど、政府主導による金融領域のデジタル化が急速に進んでおり、企業のバックオフィスは業務プロセス自体のデジタル化に対応した決済手段の整備が急務となっております。
① 消費者向け(BtoC)決済市場
およそ330兆円(注1)とされるBtoC決済市場では、2018年4月公表の「キャッシュレス・ビジョン」にて示された政府目標であるキャッシュレス比率40%が1年前倒しで達成されるなど(注2)、日本におけるキャッシュレスの普及は新たなステージへと突入しております。しかしながら、主要諸外国と比較しその比率は依然として低く(注3)、将来的な政府目標である80%(注4)への到達に向けては、引き続き官民が一体となり日本のキャッシュレス社会実現に向けた環境整備が推し進められるものと認識しております。
また、日本国民一人あたりが保有するキャッシュレス決済手段の数は、主要諸外国と比べて突出して多いことが特徴として挙げられており(注3)、多様な決済手段を選好する国民性にあわせた事業者の対応も急速に進むことが見込まれます。
② 事業者間(BtoB)決済市場
当社グループが成長領域として軸足を置くBtoB決済市場において、2023年の市場規模は1,163兆円(注5)とされておりますが、依然として銀行振込による支払いが中心であり、日本国内の法人カード利用率は米国の7%(注6)に対し10分の1程度(注7)と広大な拡大余地が見込まれる市場であると捉えております。
昨今、大企業においては、会計ソフトや経費精算システムと連携させることで業務効率化が実現されるコーポレートカードの導入が進んでいるほか(注7)、当社プロダクト導入企業のサービス利用者であり国内法人数の99.7%を占めるといわれる中小企業(注8)では、支払いサイトが最大60日程度延長できることにより毎月の資金繰り改善に繋がるパーチェシングカード(注9)の利用が増加しております(注7)。これらの利便性の向上から事業者間におけるクレジットカード払いが急速に普及することに伴い、当社グループのプロダクトに対する需要は今後も継続的に高まるものと考えております。
③ クレジットカード業界の構造
クレジットカードは、現代のキャッシュレス社会において欠かせない決済手段であり、消費者と企業の双方にとって利便性の高い経済インフラとなっております。その一方で、業界の構造には様々な課題が内在しており、これらは業界全体の持続的な成長やユーザー体験の向上を阻害する要因となっております。クレジットカード取引は主に下記の主体によって成り立っております。
| 消費者(カード会員) | カードを使用して商品やサービスの支払いを行う消費者 |
| 事業者(加盟店) | カードによる支払いを受け入れる小売業者・サービス提供者 |
| イシュア | カード会員にクレジットカードを発行する金融機関・カード会社 |
| アクワイアラ | 加盟店と契約し、決済処理を行う決済代行業者や銀行 |
| 国際ブランド | Visa、Mastercard、JCBなど、決済ネットワークを提供するブランド運営会社 |
<クレジットカード業界の構造(5パーティーモデル)>
加盟店は、カード決済金額に応じた一定の手数料をアクワイアラに支払いますが、この手数料の多くはイシュアへ分配される仕組みとなっており、加盟店にとっては大きな負担となっていることが経済産業省により指摘されております(注10)。また、イシュアはカード利用を促進するため、ポイント還元やキャッシュバックなどのインセンティブ施策を強化しており、これにより消費者(カード会員)の利用意欲は高まりますが、そのコストは最終的に加盟店が負担する手数料に含まれております。現在、決済業界ではデジタル化やリアルタイム決済、バイオメトリクス認証など新技術の導入が進んでおりますが、それぞれが独自のシステムを維持していることにより、システムの相互運用性が低く、全体最適なサービス開発が難しい状況となっていると考えられます。特に、伝統的なイシュアやアクワイアラは、旧来技術によるシステムを用いているケースが多く、コスト上の問題に加え、新たなサービスとの競争において後れを取る例も見られます。
当社グループでは、このような主要なプレーヤーが複雑に連携しながら機能するクレジットカード業界の構造的な課題を打破し、決済をシームレスに繋げるプラットフォームの提供に取り組んでおります。
(注1)内閣府「国民経済計算」民間最終支出(2024年度)
(注2)経済産業省「2024年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(2025年3月)
(注3)一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・ロードマップ2024」
(注4)経済産業省「キャッシュレス・ビジョン(平成30年4月)」
(注5)経済産業省「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」より、「BtoB-EC市場規模の業種別内訳」における2023年 EC市場規模合計額を、同年の合計(その他を除く)EC化率にて除して算出
(注6)Insider Intelligence | eMarketer (Forecast, Aug 2023)
(注7)矢野経済研究所「国内キャッシュレス決済市場の実態と将来予測(2024年版)」
(注8)総務省・経済産業省「令和3年経済センサス-活動調査」
(注9)パーチェシングカード
企業における固定費や企業間の購買活動の決済に特化したカード
(注10)経済産業省「キャッシュレス決済の中小店舗への更なる普及促進に向けた環境整備検討会」とりまとめ
(3)経営戦略等
当社グループは次のような事業上の優位性を有しており、これらの優位性を踏まえて、中長期的な経営戦略を策定しております。
① イネーブラー型のビジネスモデル
キャッシュレス化の急速な進展により、国内ではカードやウォレット、コード決済など、様々な決済サービスを提供する事業者が勃興しておりますが、当社グループは、そのような事業者を含め決済に関わるあらゆる企業に最先端の決済基盤や技術を提供するイネーブラーとしてのポジションを築いております。産業の垣根を超えて、あらゆる事業者や金融機関へ広く当社グループのプロダクトを提供することができるビジネスモデルにより、BtoC・BtoB双方の決済市場すべてが事業領域としてリーチできることから、決済市場全体の成長が当社グループの成長に繋がる特徴がございます。
② 決済全域を一気通貫でカバーする決済プラットフォーム
前述のクレジットカード業界の構造で例示したとおり、日本における決済の仕組みは役割が細分化された複雑な業界構造となっております。当社グループは、カード発行をはじめとしたイシュイング(注11)の領域から、加盟店管理や決済代行といったアクワイアリング(注12)の領域まで、決済に関わるすべての機能を一気通貫で提供しております。決済全域をカバーするオープンプラットフォームにより、様々な事業者が介在する従来の決済システムに比べて高い価格優位性を有するほか、これまでの分断されたシステム構造では実現し得なかった一元的なデータ蓄積が可能となる為、導入企業は、マーケティング活動に必要なデータを適切に活用いただくことができます。
③ フルクラウド・APIベースのオープンプラットフォーム
従来の決済システムは、決済手段ごとに縦割りで設計・開発されていたことにより、システムの維持管理や機能拡張に係る費用は莫大な金額となっておりました。当社グループが提供するオープンプラットフォームは、フルクラウドかつAPIベースで構築していることから、導入事業者が必要な機能を、低コストかつ短納期で実装することができるほか、追加の機能実装やアップデートも容易に実施できる拡張性を有しております。これにより大手金融機関であっても低コストかつスピーディーな商品拡張が可能となり利用者の利便性を向上することができます。加えて、これまでシステム開発等に要する費用の観点で、決済・金融事業への参入は資本力を持つ大手金融機関や大企業に限られておりましたが、当社グループが提供するオープンプラットフォームにより、新興企業や中堅中小事業者の決済・金融事業への参入障壁を大きく低下することができる為、キャッシュレス決済市場の活性化に繋がっております。
④ コンサルティングとプロダクトとの両輪による顧客基盤の拡大
「キャッシュレス」「フィンテック」といった言葉が生まれる以前の2006年から、当社グループは決済・金融領域に特化したコンサルティングサービスを提供し、金融機関や大手企業の課題解決に取り組んでまいりました。コンサルティングサービスを通じて培った知見や深い専門性は、現在では当社グループのコアコンピタンスとしてプロダクト開発にも強く活かされております。
決済・金融領域のコンサルティング・ファームとして長年積み上げた実績により、コンサルティングサービスを起点として決済システムの導入や事業参入に関するご相談をいただくことが多々ありますが、そのなかで当社グループのプロダクト導入に至るケースが多くあるほか、プロダクト導入後に、コンサルティング側に更なるご要望をいただき、そのフィードバックによりプロダクトの継続的な改善・進化に繋げる好循環を実現しております。このように、コンサルティングとプロダクトが連動することで、広告宣伝費を低い水準で維持しながらも、持続的に顧客基盤を拡大し、着実に信頼と取引拡大を実現する成長モデルを確立しております。
以上の優位性を踏まえた当社グループの経営戦略は以下のとおりです。
① 全方位アプローチによる顧客基盤の拡大
現在、当社グループの決済プラットフォームは、新たに決済・金融領域に参入しようとする会計システムや経費精算システムをはじめとしたSaaS企業を中心に導入が進んでおります。加えて、すでに膨大な顧客基盤を有する大手企業や従来の金融システムを運用する金融機関においても、柔軟で拡張性が高い当社グループのプラットフォーム導入が進んでおり、いずれも今後の成長ドライバーになると見込んでおります。
導入先であるSaaS企業を中心とした当社プラットフォームの決済処理金額(BtoB GTV)は、2023年3月期から2025年3月期にかけての年平均成長率が150%以上と急速に増加しているほか、ペイメントプラットフォーム利用企業数も2023年3月末から2025年3月末にかけて2.5倍以上に増加するなど高成長を実現しております。当社グループでは、今後も提供するサービス領域や機能の拡張に継続的に取り組むことにより、これまで取り込めていなかった事業者の需要も満たし導入企業の拡大を進めるとともに、導入先であるSaaS企業自体の高い成長をドライバーに当社グループの成長に繋げてまいります。
大手企業や金融機関においては、エンドユーザーによる便利な決済・金融サービスを受けたいというニーズが高まる一方、従来のシステムでは柔軟性の欠如や大規模開発の必要性から、ニーズへの対応が困難になっているという課題が顕在化しており、当社プロダクトの導入に関する相談が増加しております。この要望に対し、大手企業特有のニーズである導入時におけるプロジェクトマネジメント、品質管理、リソース配分などを担うインテグレーション機能を強化し、顧客における当社プロダクトの組み込みを支援するとともに、既存システムと当社プロダクトの連携を実現する懸け橋となることで、大手企業や金融機関への導入を進めてまいります。
② サービス・機能の領域拡張によるプラットフォーム付加価値の向上
クレジットカードを発行する場合、カード発行ライセンスの取得や、カード発行・決済に関するミッションクリティカルなシステムプロセシング、その他残高管理、明細照会等、必要となる業務が多岐にわたります。当社グループの主力プロダクトの一つであるXardでは、SaaS企業や金融機関など、クレジットカードの発行ニーズがある事業者に対して、国際ブランドカードの発行を実現するプラットフォームを提供しており、Xardが提供する様々なAPI機能を導入企業のサービスに組み込むことにより、クレジットカード発行に関連する業務やコストを大きく低減させることが可能となります。
現状では、プロセシング基盤、金融機能、オペレーション領域におけるコアとなる機能を提供しておりますが、一方で、イシュア固有の金融業務や、AIを活用した業務等、更なる高機能化及び領域拡張の余地があると考えております。また、足もとではAIによる付加機能として、クレジットカード決済における不正利用の検知、与信の付与及び審査などの機能追加、並びにクレジットカードに関連するオペレーションの自動化及び効率化などにAI技術の活用を進めており、これらの早期実装に向けて取り組んでおります。
こうした新たな価値創造を通じてイシュイング領域の機能をワンストップで提供することにより、付加価値を通じた収益性の向上と新たな顧客層の獲得を実現するとともに、進化し続けるカード基盤による顧客満足とエンゲージメントの向上を目指してまいります。
③ SMBCグループとの共同事業推進
当社グループは2024年にSMBCグループとの資本業務提携を行い、BtoB決済・BtoC決済領域における共同事業を開始、2025年4月には法人向けプラットフォーム「Trunk」を共同で発表し、中小企業を対象に、法人口座、カード、請求書発行、ファクタリング、経理業務の効率化等を統合したサービスを開始しております。
当社グループは「Trunk」の中核的機能を担うとともに、Xard、Winvoiceといったプロダクトを「Trunk」上で提供していく予定であり、今後は「Trunk」の拡大が当社グループの成長に大きく寄与するものと見込んでおります。SMBCグループは「Trunk」の目標として、リリースから3年間で30万口座、預金3兆円の獲得を掲げており、当社グループにおいてもその達成に向けて強固なアライアンス関係を構築し、SMBCグループとの事業共創を実現してまいります。
(注11)イシュイング
ユーザーに対するクレジットカードの発行のほか、カードの引き落とし情報及び利用状況の管理、利用明細の発行、請求などを行う業務
(注12)アクワイアリング
キャッシュレス決済における取引処理のほか、加盟店の審査及び管理、支払取次ぎなどを行う業務
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
重要な対処すべき課題として以下の事項に取り組んでまいります。
① ストック収入の積み上げによる収益基盤の強化
当社グループは、長期的な企業価値の向上には安定した収益基盤の強化が不可欠であると認識しており、システム開発及びプロダクト導入時の対価であるフロー収入を確保しつつ、当社グループのプロダクトが継続的に利用されることで将来にわたるストック収入が積み上がる収益構造を構築しております。
2025年3月期現在における連結売上高のうちフロー収入が5割程度を占めておりますが、ペイメントプラットフォーム事業におけるプロダクトを中心とした決済処理金額の積み上げに注力することにより、従量型で得られるストック収入の拡大を図るとともに、各プロダクトにおける機能拡張やサービス領域の拡大による付加価値の向上に取り組み、売上の高成長の実現と収益性の向上を目指してまいります。
② 優秀な人材の確保
当社グループでは、これまでにない新たなサービスを社会に提供するため、優秀な人材を採用し育成していくことが重要な課題であると認識しており、採用力の強化と従業員のモチベーション向上に向けた体制整備、仕組み作りを続けております。今後も継続的に人材採用と育成に対する投資を継続し、強固な事業基盤を確立することを目指してまいります。
③ 社会基盤に資する安定したサービスの提供
当社グループの提供するサービスは、社会インフラとしての重要性が増しており、システム障害発生などによるサービスの停止、遅延が様々な利用者に影響を与える可能性があります。当社グループはその役割の重要性に鑑み、システムの安定運用を重要課題と捉え、更なるサービス向上及び基盤強化を念頭にビジネスを遂行してまいります。
④ 情報管理の更なる強化
クレジットカードの不正使用、オンラインアカウントの乗っ取りなどが年々増加しており、キャッシュレス決済に関するセキュリティ問題への注目が集まっております。当社グループは、当該不正アクセスを防止することがサービス提供の重要課題と位置づけ、エンドユーザーの利便性を維持しながら万全なセキュリティを確保すべく、様々な手段及び対策の検討を行っております。情報漏洩をはじめとした情報セキュリティリスクを低減するため、リスク管理態勢の強化を目的に、必要とされる事業領域において、ISO/IEC 27001:2013(国内規格 JIS Q 27001:2014)への適合認証を取得し、情報セキュリティマネジメントシステムの適正な運用を行っております。更に、国際クレジットカードブランド5社が共同で策定したPCIDSS(Payment Card Industry Data Security Standard)基準にも、必要とされる事業領域において認証を取得しております。今後もセキュリティ強化に重点的に取り組んでまいります。
⑤ コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループは、企業価値を高めるため、株式会社インフキュリオンを中核として経営戦略を立案し、グループ内でのシナジー効果の追求、事業運営の効率化、子会社に対する管理・監督機能を適正かつ有効に発揮すべく、今後もグループの業務や組織運営、事業ポートフォリオの最適化に取り組んでまいります。そして企業の社会的責任の高まりに継続的にこたえ、意思決定の透明性・公正性確保と企業経営の効率性向上に注力していくために、コンプライアンス体制の強化と内部統制システムの充実を図ってまいります。
⑥ 財務基盤の強化
当社グループは2025年3月期に単年度黒字化し、今後も継続的な利益成長を見込んでおりますが、事業成長を更に加速させる上では、既存プロダクトの機能拡張や新規事業開発などの成長投資のほか、事業基盤を支える人材の採用、事業拡大に伴う運転資金など、一定の資金需要が生じることが考えられます。当社グループでは、収益性の向上を重視したキャピタルアロケーションを実施するとともに、最適な資本構成を踏まえた外部調達も検討し、財務基盤の強化を進めてまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高、売上総利益における成長率に加え、EBITDAを経営上の重要な指標として位置付けております。当社グループの中長期的な企業価値を牽引する各プロダクトは、立ち上げのフェーズから、事業として軌道に乗り成長フェーズへと移行しておりますが、今後のより高い成長の実現に向けては更なる機能拡張及び利便性の向上等を企図した継続的なシステム開発が必要不可欠であると考えております。今後、このような成長投資に伴う減価償却費の増加が見込まれることから、当社グループの収益性及び現金創出力をより適切に把握することを目的として、減価償却費による影響を除いた指標であるEBITDAを経営判断に用いております。
また、当社グループでは、目標の達成状況を判断するための客観的な指標として「BtoB GTV」及び「ペイメントプラットフォーム利用企業数」を設定しております。「BtoB GTV」は、Xard及びWinvoiceにおいて取り扱う決済処理金額で構成されております。当社グループの中長期的な成長を牽引するペイメントプラットフォーム事業において、今後の業績成長の中核となる従量型ストック収入の算出基礎であり、その成長性を的確に示すことから、重要な指標として位置付けております。「ペイメントプラットフォーム利用企業数」は、当社グループが提供する決済プラットフォームを、導入先企業のサービスを通じて利用いただくユーザーの事業者数を示しており、BtoB GTVの拡大に不可欠な要素として積み上げに取り組んでおります。
(単位:百万円)
| 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | |
| 連結売上高 | 4,902 | 5,836 | 7,174 |
| 前期比成長率 | 24.1% | 19.1% | 22.9% |
| 連結売上総利益 | 2,235 | 2,727 | 3,189 |
| 前期比成長率 | 25.8% | 22.0% | 16.9% |
| 連結EBITDA(注)1 | △676 | △481 | 188 |
| 前期比成長率 | ‐ | ‐ | ‐ |
| BtoB GTV | 331億円 | 1,012億円 | 2,182億円 |
| 前期比成長率 | 335.9% | 205.3% | 115.5% |
| ペイメントプラットフォーム 利用企業数(注)2 | 25,988社 | 45,156社 | 70,036社 |
(注)1.EBITDA=営業利益(又は営業損失)+減価償却費
2.ペイメントプラットフォーム利用企業数は、Xard及びWinvoiceの各導入先企業におけるサービス利用事業者数の単純合算であり、重複してサービスを利用する事業者につきましては相殺しておりません。
・中期的な成長目標
当社グループでは、経営戦略等の遂行を通して目指す中期的な成長目線として下記の数値目標を掲げ、事業拡大に取り組んでおります。
| 経営指標 | 目標数値 | |
| BtoB GTV 成長率 | 年平均成長率 約50% | |
| 連結売上高 | 年平均成長率 約25% | |
| セグメント売上 | ペイメントプラットフォーム事業 | 同 35%以上 |
| マーチャントプラットフォーム事業 | 同 約15% | |
| コンサルティング事業 | 同 約5% | |
| 連結売上総利益 | 年平均成長率 30%以上 | |
| 利益率 50%以上 | ||
| 連結EBITDA | 利益率 15%以上 | |