有価証券報告書-第17期(2024/11/01-2025/10/31)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「医療現場に、感性を。」というミッションの下、その質感・着心地・機能性を追求した素材の開発、厳しい縫製品質の確保などを通じて、デザイン・素材・縫製の全てにこだわり抜いた商品を世に送り出していると考えております。
MISSION
「医療現場に、感性を。」
袖を通した瞬間の、気持ちの高まり。
背筋を伸ばして歩める、誇りと自信。
私たちは、メディカルアパレルを起点としながら、世界中の医療現場に、まだ見ぬ感性を注ぎ込んでいきます。
過酷な環境の中でも、全力で目の前の患者と向きあっている。
そんな医療従事者たちの、心の温度を上げるために。
そして、その先にいるひとりひとりにまで、高揚が広がる景色をつくるために。
私たちは、感動と革新を生み出しつづけます。
また、当社は、このミッションを実現するために、3つの行動指針としてバリューを明示しています。そして、ミッション及びバリューを軸とした採用活動や人材育成を実施することで、全社員がミッション実現に貢献できる体制を構築しています。
VALUE
「顧客から、はじめよう。」
「自分が、つくろう。」
「チームで、こえよう。」
(2) 経営環境
当社の経営に影響を与える大きな要因としては、市場動向、経済情勢等に加え、当社の取り扱う商品であるメディカルアパレル市場の市場動向があります。
日本ユニフォーム協議会の調査(「ユニフォーム年鑑 2025年版」)によれば、日本国内におけるメディカルアパレル市場について、2024年度は直近5年間の年平均成長率-0.3%と微減した575億円と推計されています。一方で、将来的な需要の成長ドライバーは、高齢化による医療・介護需要に伴う人口動態変化により医療従事者数の増加、新型コロナウイルス感染症を契機とした院内感染防止意識の向上により一人当たりの購入数の増加、ファッショナブルな医療用アパレルの需要とECでの個人購入の増加によるものと考えております。
また、メディカルアパレルのグローバルにおける市場規模は、およそ590億USDと推計されており、日本国内の成長要因に加え、新興国の医療インフラの整備に伴う、医療従事者人口の増加とともにメディカルアパレルの需要が増加することが想定されており、広大な成長市場が広がっていると考えております。
患者衣における市場規模は、現在の主要なターゲットである、入院セットを利用する入院患者のみならず、その汎用性から、今後は介護施設入居者等をはじめとする医療周辺領域にも拡大し、対象領域は拡大し需要が成長していくと考えられます。
当社は創業以来培ってきた商品開発力及びマーケティングノウハウを活用し、ECチャネル、新規直営店舗、卸販売及び海外展開を通じて更なる成長を目指してまいります。

※1 グローバル市場規模はFortune Business Insightsの市場レポート”Global Medical Scrubs and Lab Coats Market”より、2025年の市場規模を抜粋。
※2 国内の市場規模は、一般社団法人日本ユニフォーム協議会発行、「ユニフォーム年鑑 2025年版」より抜粋。
※3 入院セット潜在需要施設数は、株式会社エラン2025年度12月期 第3四半期 決算説明資料より「開拓率の年度推移」に記載の施設数を合計して算出。市場規模は、株式会社エラン 統合報告書2023より、2022年のCSセットによる売上高362億円を株式会社エランの導入施設数1,589施設で除して算出した、1施設当たり売上高に対して、入院セット潜在需要施設数を掛け合わせることで推定。
※4 入院セット導入済み施設:株式会社エランのCSセット契約施設数と他社契約施設数の合計(出典:株式会社エラン「2023統合報告書」及び決算説明資料)
※5 グローバル病院数はDiscover ABA, “85 Hospital Statistics & Facts”より抜粋。市場規模は、※3で算出した1施設当たり売上高に対して、グローバル病院数を掛け合わせることで推定。
※6 メディカルアパレル市場における当社の国内市場シェアは、当社の2025年10月期売上高のうち、国内における売上高(患者衣lifteの売上高を除く)20.6億円を国内の市場規模である575億円で除して算出しております。また、患者衣市場における当社の国内市場シェアは、株式会社エラン2025年度12月期 第3四半期 決算説明資料に記載のlifte導入施設数425施設を国内入院セット導入済み施設数5,355施設で除して算出しております。
(3) 経営戦略
当社は、耐久性、着心地、機能性、そして美しさを高次元で兼ね備えたメディカルアパレル商品や日本国内を中心に創り上げてきたブランド力を武器に、それをより強固なものとしていきます。
具体的には、ブランディングの一層の追求と売上・利益拡大の両立を実現すべく、①国内成長戦略、②海外成長戦略、③利益率向上戦略を実現してまいります。
① 国内成長戦略
a エントリーモデル「PACKシリーズ」の戦略在庫投資
当社の定番ブランド「Classico」は同業他社比較においても高価格帯の位置付けです。その中で「PACKシリーズ」は、軽量性、伸縮性、吸水速乾性といった高い機能性、アイロン不要の利便性、そして当社の高い品位品質の基準を維持しつつ、競合商品と同水準の手に取りやすい価格を実現したエントリーモデルです。
従来は財務及び生産上の制約から機会損失が生じておりましたが、今後は戦略的な在庫投資を実施し、全販売チャネルへ安定的に商品を供給することにより、売上の最大化を目指します。
エントリーモデルとその在庫基盤を基に、PACKシリーズを積極的に展開し、ブランドへの心理的・価格的な障壁を下げるとともに、これまでアプローチできなかった新規顧客層の獲得を加速させてまいります。これらのアプローチが、イノベーター理論における「キャズム」を越え、当社のブランド全体をメインストリーム市場へと導くための戦略となります。その上で、顧客との継続的なコミュニケーションを通じ、51.0%(注1)のリピート率を背景に、追加購入や高価格帯商品へのステップアップを促す施策へと繋げてまいります。

b lifteの展開加速と医療周辺領域へのアプローチ
2020年3月に資本業務提携を締結した株式会社エランと共同開発をした患者衣lifteについては、本格的な展開を実施し始めており、市場ニーズを捉えて全国で導入病院数が急増しています。加えて、異なる顧客層を持つ当社と株式会社エランの顧客接点を共有し、両社の新規アプローチを加速させ、相互成長を実現してまいります。また、患者衣lifteの開発を事例として、医療周辺領域へのアプローチを加速させ、当社のTAMの拡大を図ってまいります。

c データ活用によるLTV(注2)最大化
当社はECチャネルや店舗販売を通して顧客データや購買データを蓄積してきております。
それらを分析することで、効率的な事業運営を行うことができると考えており、需給予測や顧客ごとに最適化したパーソナライズド・コミュニケーションや、オンラインとオフラインを融合したOMO(Online Merges with Offline)施策の強化を行ってまいります。
具体的には、顧客属性に応じたSNSマーケティングやプロモーション施策により顧客体験を向上させ、顧客のロイヤリティ向上(リピーター化)を促進することや顧客同士の交流や商品開発への参加などのイベントを開催し、ブランドへの愛着を高める取り組みも進めています。
これらの施策により、新規顧客の獲得と既存顧客のエンゲージメント強化を両立し、顧客のLTV最大化の実現と当社の持続的な売上成長と利益率向上を目指します。

(注) 1.リピート率:当社の新規顧客数に対し、2回目の購入を行う顧客数の累計の割合(累計ベースF2転換率)、2025年10月末現在。
2.LTV:顧客生涯価値とも呼ばれ、ある顧客が当社の商品を初めて利用してから、関係が終了するまでにトータルで得られる利益。
② 海外成長戦略
当社は、国内の医療従事者をはじめとして、耐久性、着心地、機能性、そして美しさを高次元で兼ね備えたメディカルアパレル商品を中心として国内医療従事者からのブランド認知やリピート率を獲得しております。その中で、白衣・スクラブなどの商品特性は世界共通であることから、今後は海外展開を加速し日本発のグローバルブランドを目指してまいります。当社が海外展開に当たり重要と認識している点は以下の通りです。
a メディカルアパレルの世界共通性
世界各国の医療現場においても、白衣・スクラブは同一の形状のものが着用されています。一般的なアパレルと比較し、地域による嗜好性の違いも少ないユニフォーム特性を踏まえると、メディカルアパレルのグローバル展開余地は大きいと捉えています。
b グローバルでのTAMの大きさ及び構造的な成長市場
メディカルアパレルの世界市場(注)は、年平均成長率9.2%で、2030年には890億USDの規模と推定されております。その市場の成長ドライバーは、①人口動態変化による医療・介護需要増に伴う医療人口の増加、②新興国における医療インフラの急速な発展と医療従事者の増加、③医療従事者の感染症予防に伴う医療用アパレルの需要枚数の増加、④製品の多様化・ファッショナブルな医療用アパレルの需要の拡大等が言及されており、構造的な市場成長が見込まれています。

c Japan Qualityの優位性
当社が日本の市場で培ってきた、商慣習上で求められる高い洗濯耐久性基準をベースとした耐久性、機能性及び高いデザイン性は、Japan Qualityとしてグローバル市場においても稀有な存在となると考えております。
d 素材開発力
世界規模で高く評価される、日本の繊維メーカーの技術力・開発力は、当社がメディカルアパレルにおいて追求する要素を実現する上で極めて重要となります。日本の繊維メーカーを中心に、織物/編物や染色加工などの各メーカーと緊密に連携し、糸一本からの開発にこだわり抜き実現した素材は、既に海外の顧客からも評価されています。
e 台湾における「toC/toBmix」モデルの他国での展開
当社では、過年度より台湾において越境ECでの直接販売(toC)展開を行い、緩やかに成長しておりました。近年では、越境ECでの展開に加え、現地の代理店開拓によりBtoBの販路を獲得し、病院単位での導入に成功し、売上高が増加いたしました。この展開モデルを事例として、2024年11月には香港及び東南アジア4か国向けのECサイトをオープンし、同時にBtoBでの販路も拡大する戦略を実施しています。今後さらに新たな国・地域に進出する際に、この「toC/toBmix」による展開モデルを推進することにより、グローバル展開を拡大していきます。

これらの当社の強みを踏まえ、主にアジア地域を中心にエントリーモデル「PACKシリーズ」の展開や、日本発のグローバルIPとのコレクションライン等の商材による市場参入・拡大機会を創出します。また、台湾における事業展開の際に培ったノウハウである越境ECと代理店販売を組み合わせた「toC/toBmix」による展開モデルを推進することで、グローバル展開を加速させていきます。
(注) 市場規模はFortune Business Insightsの市場レポート”Global Medical Scrubs and Lab Coats Market”より
③ 利益率向上戦略
2025年10月期の売上総利益率は52.6%であり、収益性の更なる向上を図るためには、継続的に売上原価率を低減していくことが重要と考えます。品番絞り込みによるロット数アップや計画生産・早期発注を行い、原価低減や販売価格への転換を行っていきます。
また、2025年1月に資本業務提携を開始したMNインターファッション株式会社との戦略的なパートナーシップにより、海外検品へのシフト、海外現地倉庫への納品・保管へのシフト、仕入先工場の集約によるスケールメリットと計画生産、第三国での生産拡大、計画生産や早期発注の推進、価格転嫁や値引・返品改善を実施していき、原価低減による売上総利益の最大化を目指します。

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、持続的な成長と企業価値向上を示す指標として、売上高、売上高成長率、売上総利益率及びグローバル会員数(注1)を重要な経営指標と位置付け、各経営課題に取り組んでおります。
売上高は、市場や顧客からの評価を直接的に示す重要な指標であり、売上高成長率はその売上がどれだけ増えたかを示す重要な指標であると考えます。また、売上総利益率は顧客への付加価値を示す重要な指標であり、売上総利益の最大化を追求していき、利益を投資へと回し中長期的に売上総利益を最大化していくことで、企業価値の最大化を追求していく所存です。
また、当社の企業価値の源泉は当社商品への信頼性、Classicoブランドの認知度やロイヤリティといった顧客との関係性にあると考えており、特に重視している経営指標は、海外も含めたGlobal会員数であります。なお、2025年10月期においては11.1万人となっております。なお、グローバル会員数の推移は以下の通りです。

※1 グローバル会員数:国内向け公式オンラインストアの会員数+海外向け公式オンラインストアの会員数。(中国向けECモール(Tmall)は除く。)
※2 リピート率:当社の新規顧客数に対し、2回目の購入を行う顧客数の累計の割合(累計ベースF2転換率)、2025年10月末現在。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が優先的に対処すべきと考える事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
① 継続的な新商品開発
当社は、「医療現場に、感性を。」をミッションとして掲げ、創業よりデザイン性と着心地にこだわった白衣やスクラブ等の医療用アパレルの提供を行っており、持続的な企業価値の向上を実現するためには、医療従事者や市場ニーズを捉えた新商品を継続的に市場へと展開していくことが重要であります。そのため、日本の繊維メーカーを中心に、織物、編物や染色加工などの各メーカーと緊密に連携し、糸一本からの開発にこだわり抜き商品開発力の向上に努めてまいります。
② 収益性の改善
当社が取り扱う商品の一部は原価率が高く、また、より原価率の低い商品が競合他社から市場に供給されるリスクもあり、収益性の改善を重要な課題と位置付けております。為替の影響による仕入高の高騰を踏まえて販売価格の値上げを実施することやMNインターファッション株式会社との戦略的なパートナーシップによる生産・物流における原価低減施策の実施により、売上総利益の最大化を図ってまいります。
③ 海外展開の加速
世界各国の医療現場においても、白衣・スクラブは同一の形状のものが着用されており、一般的なアパレルと比較し、地域による嗜好性の違いも少ないユニフォーム特性を踏まえると、メディカルアパレルのグローバル展開余地は大きいと捉えています。そのため、越境ECでの展開に加え、現地の代理店開拓によりtoBの販路を獲得し、両販路の売上を拡大させていく「toC/toBmix」による展開モデルを推進することにより、グローバル展開を拡大していきます。
④ 在庫管理
当社が取り扱うスクラブ及び白衣は顧客がユニフォームとして購入する商品であることから、一般的なアパレル商品とは異なり、ファッショントレンドや市況の変化の影響を受けづらい商品となっております。また、当社は業務管理システム及び外部倉庫を活用した的確な顧客ニーズの把握や適正な在庫管理に努めております。
しかしながら、顧客ニーズの変化や商品投入タイミングの誤りなどにより販売数量予測に相違が生じ、長期の滞留在庫が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、販売計画と生産計画の連動を強化し在庫消化を計画的に実施してまいります。
⑤ 優秀な人材の確保・教育
当社が取り扱う高品質な商品の開発、生産、効率的な営業及びブランド力の強化等については、これらを担う高度な人材が不可欠であり、人材採用や人材育成を重要な課題と位置付けております。人材採用においては経営ミッションへの共感性を重視した採用方針やリファラル採用の積極活用を行っております。また、多様な職種や人材を考慮した専門職向けの人事評価制度を新設するなど人材の育成を促進するための各種体制整備を進めてまいります。
⑥ 内部管理体制の強化
当社は、法令遵守を重視した事業活動を行っておりますが、役職員による不祥事が発生した場合、レピュテーションが著しく低下する可能性があります。それにより、当社の経営成績及び社会的信用に悪影響を与える可能性があるため、より一層の内部管理体制の強化を図る必要があると認識しております。今後も事業の拡大ペースに応じて人材の確保や育成を行い、管理体制を充実させていく方針であります。
⑦ 財務基盤の強化
当社は、2024年10月期及び2025年10月期において、営業利益・経常利益ともに黒字を計上しており、現状において財務健全性に係る特筆すべき課題は認識しておりません。しかしながら、季節性の売上変動により生じる収支ずれや売上規模の拡大に伴う一時的な運転資金が発生する可能性があるため、これらに備えた資金調達及び財務基盤の強化に努めてまいります。
(1) 経営方針
当社は、「医療現場に、感性を。」というミッションの下、その質感・着心地・機能性を追求した素材の開発、厳しい縫製品質の確保などを通じて、デザイン・素材・縫製の全てにこだわり抜いた商品を世に送り出していると考えております。
MISSION
「医療現場に、感性を。」
袖を通した瞬間の、気持ちの高まり。
背筋を伸ばして歩める、誇りと自信。
私たちは、メディカルアパレルを起点としながら、世界中の医療現場に、まだ見ぬ感性を注ぎ込んでいきます。
過酷な環境の中でも、全力で目の前の患者と向きあっている。
そんな医療従事者たちの、心の温度を上げるために。
そして、その先にいるひとりひとりにまで、高揚が広がる景色をつくるために。
私たちは、感動と革新を生み出しつづけます。
また、当社は、このミッションを実現するために、3つの行動指針としてバリューを明示しています。そして、ミッション及びバリューを軸とした採用活動や人材育成を実施することで、全社員がミッション実現に貢献できる体制を構築しています。
VALUE
「顧客から、はじめよう。」
「自分が、つくろう。」
「チームで、こえよう。」
(2) 経営環境
当社の経営に影響を与える大きな要因としては、市場動向、経済情勢等に加え、当社の取り扱う商品であるメディカルアパレル市場の市場動向があります。
日本ユニフォーム協議会の調査(「ユニフォーム年鑑 2025年版」)によれば、日本国内におけるメディカルアパレル市場について、2024年度は直近5年間の年平均成長率-0.3%と微減した575億円と推計されています。一方で、将来的な需要の成長ドライバーは、高齢化による医療・介護需要に伴う人口動態変化により医療従事者数の増加、新型コロナウイルス感染症を契機とした院内感染防止意識の向上により一人当たりの購入数の増加、ファッショナブルな医療用アパレルの需要とECでの個人購入の増加によるものと考えております。
また、メディカルアパレルのグローバルにおける市場規模は、およそ590億USDと推計されており、日本国内の成長要因に加え、新興国の医療インフラの整備に伴う、医療従事者人口の増加とともにメディカルアパレルの需要が増加することが想定されており、広大な成長市場が広がっていると考えております。
患者衣における市場規模は、現在の主要なターゲットである、入院セットを利用する入院患者のみならず、その汎用性から、今後は介護施設入居者等をはじめとする医療周辺領域にも拡大し、対象領域は拡大し需要が成長していくと考えられます。
当社は創業以来培ってきた商品開発力及びマーケティングノウハウを活用し、ECチャネル、新規直営店舗、卸販売及び海外展開を通じて更なる成長を目指してまいります。

※1 グローバル市場規模はFortune Business Insightsの市場レポート”Global Medical Scrubs and Lab Coats Market”より、2025年の市場規模を抜粋。
※2 国内の市場規模は、一般社団法人日本ユニフォーム協議会発行、「ユニフォーム年鑑 2025年版」より抜粋。
※3 入院セット潜在需要施設数は、株式会社エラン2025年度12月期 第3四半期 決算説明資料より「開拓率の年度推移」に記載の施設数を合計して算出。市場規模は、株式会社エラン 統合報告書2023より、2022年のCSセットによる売上高362億円を株式会社エランの導入施設数1,589施設で除して算出した、1施設当たり売上高に対して、入院セット潜在需要施設数を掛け合わせることで推定。
※4 入院セット導入済み施設:株式会社エランのCSセット契約施設数と他社契約施設数の合計(出典:株式会社エラン「2023統合報告書」及び決算説明資料)
※5 グローバル病院数はDiscover ABA, “85 Hospital Statistics & Facts”より抜粋。市場規模は、※3で算出した1施設当たり売上高に対して、グローバル病院数を掛け合わせることで推定。
※6 メディカルアパレル市場における当社の国内市場シェアは、当社の2025年10月期売上高のうち、国内における売上高(患者衣lifteの売上高を除く)20.6億円を国内の市場規模である575億円で除して算出しております。また、患者衣市場における当社の国内市場シェアは、株式会社エラン2025年度12月期 第3四半期 決算説明資料に記載のlifte導入施設数425施設を国内入院セット導入済み施設数5,355施設で除して算出しております。
(3) 経営戦略
当社は、耐久性、着心地、機能性、そして美しさを高次元で兼ね備えたメディカルアパレル商品や日本国内を中心に創り上げてきたブランド力を武器に、それをより強固なものとしていきます。
具体的には、ブランディングの一層の追求と売上・利益拡大の両立を実現すべく、①国内成長戦略、②海外成長戦略、③利益率向上戦略を実現してまいります。
① 国内成長戦略
a エントリーモデル「PACKシリーズ」の戦略在庫投資
当社の定番ブランド「Classico」は同業他社比較においても高価格帯の位置付けです。その中で「PACKシリーズ」は、軽量性、伸縮性、吸水速乾性といった高い機能性、アイロン不要の利便性、そして当社の高い品位品質の基準を維持しつつ、競合商品と同水準の手に取りやすい価格を実現したエントリーモデルです。
従来は財務及び生産上の制約から機会損失が生じておりましたが、今後は戦略的な在庫投資を実施し、全販売チャネルへ安定的に商品を供給することにより、売上の最大化を目指します。
エントリーモデルとその在庫基盤を基に、PACKシリーズを積極的に展開し、ブランドへの心理的・価格的な障壁を下げるとともに、これまでアプローチできなかった新規顧客層の獲得を加速させてまいります。これらのアプローチが、イノベーター理論における「キャズム」を越え、当社のブランド全体をメインストリーム市場へと導くための戦略となります。その上で、顧客との継続的なコミュニケーションを通じ、51.0%(注1)のリピート率を背景に、追加購入や高価格帯商品へのステップアップを促す施策へと繋げてまいります。

b lifteの展開加速と医療周辺領域へのアプローチ
2020年3月に資本業務提携を締結した株式会社エランと共同開発をした患者衣lifteについては、本格的な展開を実施し始めており、市場ニーズを捉えて全国で導入病院数が急増しています。加えて、異なる顧客層を持つ当社と株式会社エランの顧客接点を共有し、両社の新規アプローチを加速させ、相互成長を実現してまいります。また、患者衣lifteの開発を事例として、医療周辺領域へのアプローチを加速させ、当社のTAMの拡大を図ってまいります。

c データ活用によるLTV(注2)最大化
当社はECチャネルや店舗販売を通して顧客データや購買データを蓄積してきております。
それらを分析することで、効率的な事業運営を行うことができると考えており、需給予測や顧客ごとに最適化したパーソナライズド・コミュニケーションや、オンラインとオフラインを融合したOMO(Online Merges with Offline)施策の強化を行ってまいります。
具体的には、顧客属性に応じたSNSマーケティングやプロモーション施策により顧客体験を向上させ、顧客のロイヤリティ向上(リピーター化)を促進することや顧客同士の交流や商品開発への参加などのイベントを開催し、ブランドへの愛着を高める取り組みも進めています。
これらの施策により、新規顧客の獲得と既存顧客のエンゲージメント強化を両立し、顧客のLTV最大化の実現と当社の持続的な売上成長と利益率向上を目指します。

(注) 1.リピート率:当社の新規顧客数に対し、2回目の購入を行う顧客数の累計の割合(累計ベースF2転換率)、2025年10月末現在。
2.LTV:顧客生涯価値とも呼ばれ、ある顧客が当社の商品を初めて利用してから、関係が終了するまでにトータルで得られる利益。
② 海外成長戦略
当社は、国内の医療従事者をはじめとして、耐久性、着心地、機能性、そして美しさを高次元で兼ね備えたメディカルアパレル商品を中心として国内医療従事者からのブランド認知やリピート率を獲得しております。その中で、白衣・スクラブなどの商品特性は世界共通であることから、今後は海外展開を加速し日本発のグローバルブランドを目指してまいります。当社が海外展開に当たり重要と認識している点は以下の通りです。
a メディカルアパレルの世界共通性
世界各国の医療現場においても、白衣・スクラブは同一の形状のものが着用されています。一般的なアパレルと比較し、地域による嗜好性の違いも少ないユニフォーム特性を踏まえると、メディカルアパレルのグローバル展開余地は大きいと捉えています。
b グローバルでのTAMの大きさ及び構造的な成長市場
メディカルアパレルの世界市場(注)は、年平均成長率9.2%で、2030年には890億USDの規模と推定されております。その市場の成長ドライバーは、①人口動態変化による医療・介護需要増に伴う医療人口の増加、②新興国における医療インフラの急速な発展と医療従事者の増加、③医療従事者の感染症予防に伴う医療用アパレルの需要枚数の増加、④製品の多様化・ファッショナブルな医療用アパレルの需要の拡大等が言及されており、構造的な市場成長が見込まれています。

c Japan Qualityの優位性
当社が日本の市場で培ってきた、商慣習上で求められる高い洗濯耐久性基準をベースとした耐久性、機能性及び高いデザイン性は、Japan Qualityとしてグローバル市場においても稀有な存在となると考えております。
d 素材開発力
世界規模で高く評価される、日本の繊維メーカーの技術力・開発力は、当社がメディカルアパレルにおいて追求する要素を実現する上で極めて重要となります。日本の繊維メーカーを中心に、織物/編物や染色加工などの各メーカーと緊密に連携し、糸一本からの開発にこだわり抜き実現した素材は、既に海外の顧客からも評価されています。
e 台湾における「toC/toBmix」モデルの他国での展開
当社では、過年度より台湾において越境ECでの直接販売(toC)展開を行い、緩やかに成長しておりました。近年では、越境ECでの展開に加え、現地の代理店開拓によりBtoBの販路を獲得し、病院単位での導入に成功し、売上高が増加いたしました。この展開モデルを事例として、2024年11月には香港及び東南アジア4か国向けのECサイトをオープンし、同時にBtoBでの販路も拡大する戦略を実施しています。今後さらに新たな国・地域に進出する際に、この「toC/toBmix」による展開モデルを推進することにより、グローバル展開を拡大していきます。

これらの当社の強みを踏まえ、主にアジア地域を中心にエントリーモデル「PACKシリーズ」の展開や、日本発のグローバルIPとのコレクションライン等の商材による市場参入・拡大機会を創出します。また、台湾における事業展開の際に培ったノウハウである越境ECと代理店販売を組み合わせた「toC/toBmix」による展開モデルを推進することで、グローバル展開を加速させていきます。
(注) 市場規模はFortune Business Insightsの市場レポート”Global Medical Scrubs and Lab Coats Market”より
③ 利益率向上戦略
2025年10月期の売上総利益率は52.6%であり、収益性の更なる向上を図るためには、継続的に売上原価率を低減していくことが重要と考えます。品番絞り込みによるロット数アップや計画生産・早期発注を行い、原価低減や販売価格への転換を行っていきます。
また、2025年1月に資本業務提携を開始したMNインターファッション株式会社との戦略的なパートナーシップにより、海外検品へのシフト、海外現地倉庫への納品・保管へのシフト、仕入先工場の集約によるスケールメリットと計画生産、第三国での生産拡大、計画生産や早期発注の推進、価格転嫁や値引・返品改善を実施していき、原価低減による売上総利益の最大化を目指します。

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、持続的な成長と企業価値向上を示す指標として、売上高、売上高成長率、売上総利益率及びグローバル会員数(注1)を重要な経営指標と位置付け、各経営課題に取り組んでおります。
売上高は、市場や顧客からの評価を直接的に示す重要な指標であり、売上高成長率はその売上がどれだけ増えたかを示す重要な指標であると考えます。また、売上総利益率は顧客への付加価値を示す重要な指標であり、売上総利益の最大化を追求していき、利益を投資へと回し中長期的に売上総利益を最大化していくことで、企業価値の最大化を追求していく所存です。
また、当社の企業価値の源泉は当社商品への信頼性、Classicoブランドの認知度やロイヤリティといった顧客との関係性にあると考えており、特に重視している経営指標は、海外も含めたGlobal会員数であります。なお、2025年10月期においては11.1万人となっております。なお、グローバル会員数の推移は以下の通りです。

※1 グローバル会員数:国内向け公式オンラインストアの会員数+海外向け公式オンラインストアの会員数。(中国向けECモール(Tmall)は除く。)
※2 リピート率:当社の新規顧客数に対し、2回目の購入を行う顧客数の累計の割合(累計ベースF2転換率)、2025年10月末現在。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社が優先的に対処すべきと考える事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
① 継続的な新商品開発
当社は、「医療現場に、感性を。」をミッションとして掲げ、創業よりデザイン性と着心地にこだわった白衣やスクラブ等の医療用アパレルの提供を行っており、持続的な企業価値の向上を実現するためには、医療従事者や市場ニーズを捉えた新商品を継続的に市場へと展開していくことが重要であります。そのため、日本の繊維メーカーを中心に、織物、編物や染色加工などの各メーカーと緊密に連携し、糸一本からの開発にこだわり抜き商品開発力の向上に努めてまいります。
② 収益性の改善
当社が取り扱う商品の一部は原価率が高く、また、より原価率の低い商品が競合他社から市場に供給されるリスクもあり、収益性の改善を重要な課題と位置付けております。為替の影響による仕入高の高騰を踏まえて販売価格の値上げを実施することやMNインターファッション株式会社との戦略的なパートナーシップによる生産・物流における原価低減施策の実施により、売上総利益の最大化を図ってまいります。
③ 海外展開の加速
世界各国の医療現場においても、白衣・スクラブは同一の形状のものが着用されており、一般的なアパレルと比較し、地域による嗜好性の違いも少ないユニフォーム特性を踏まえると、メディカルアパレルのグローバル展開余地は大きいと捉えています。そのため、越境ECでの展開に加え、現地の代理店開拓によりtoBの販路を獲得し、両販路の売上を拡大させていく「toC/toBmix」による展開モデルを推進することにより、グローバル展開を拡大していきます。
④ 在庫管理
当社が取り扱うスクラブ及び白衣は顧客がユニフォームとして購入する商品であることから、一般的なアパレル商品とは異なり、ファッショントレンドや市況の変化の影響を受けづらい商品となっております。また、当社は業務管理システム及び外部倉庫を活用した的確な顧客ニーズの把握や適正な在庫管理に努めております。
しかしながら、顧客ニーズの変化や商品投入タイミングの誤りなどにより販売数量予測に相違が生じ、長期の滞留在庫が発生した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、販売計画と生産計画の連動を強化し在庫消化を計画的に実施してまいります。
⑤ 優秀な人材の確保・教育
当社が取り扱う高品質な商品の開発、生産、効率的な営業及びブランド力の強化等については、これらを担う高度な人材が不可欠であり、人材採用や人材育成を重要な課題と位置付けております。人材採用においては経営ミッションへの共感性を重視した採用方針やリファラル採用の積極活用を行っております。また、多様な職種や人材を考慮した専門職向けの人事評価制度を新設するなど人材の育成を促進するための各種体制整備を進めてまいります。
⑥ 内部管理体制の強化
当社は、法令遵守を重視した事業活動を行っておりますが、役職員による不祥事が発生した場合、レピュテーションが著しく低下する可能性があります。それにより、当社の経営成績及び社会的信用に悪影響を与える可能性があるため、より一層の内部管理体制の強化を図る必要があると認識しております。今後も事業の拡大ペースに応じて人材の確保や育成を行い、管理体制を充実させていく方針であります。
⑦ 財務基盤の強化
当社は、2024年10月期及び2025年10月期において、営業利益・経常利益ともに黒字を計上しており、現状において財務健全性に係る特筆すべき課題は認識しておりません。しかしながら、季節性の売上変動により生じる収支ずれや売上規模の拡大に伴う一時的な運転資金が発生する可能性があるため、これらに備えた資金調達及び財務基盤の強化に努めてまいります。