有価証券届出書(新規公開時)
有報資料
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「日本の価値を上げる」をミッションに掲げ、潜在的な魅力を有する地域を発掘し、世界で活躍する建築家・クリエイターとの共創及びテクノロジーの活用を通じて、国内外の人々を惹きつける目的地と体験を創出することを目指しております。
当社グループは、見慣れたものに新たな視点を加え、従来の方法にとらわれない選択肢をつくるという「NOT A」の考え方を、否定ではなく進化と捉え、企業グループ「NOTA」として事業を推進しております。中核事業にあたる「NOT A HOTEL」を起点に、建築、クリエイティビティ及びテクノロジーに関する知見を活用し、その発想をホテル・別荘から、住まい、移動、街づくりその他の生活領域へ段階的に展開することを基本方針としております。
MISSION:日本の価値を上げる
NOTAが手がけるのは、日本が持つ価値に根ざしたプロジェクトです。建築家やクリエイターの方々の視点を通して地域の魅力を再発見し、日本中、そして世界中へと発信していく試み。「日本の価値を上げる」をミッションに掲げ、今後もパートナー、クリエイターのみなさまと一緒に歩みを進めます。
VISION:世界をもっと楽しく
世の中が効率的になるなかで、NOTAは一人ひとりの人生を「楽しく」する会社でありたいと考えています。NOT A HOTELは「家はひとつ」という常識を超えて住まいを自由に選べるようにし、まるで自分の家が世界中にあるような世界を目指してきました。私たちが手掛ける事業を通じて、世界をもっと楽しくすることが私たちのビジョンです。
VALUE:すべての常識を"超えて"いく
NOTAが大切にするのは、すべての常識を超えて挑み続ける姿勢です。固定観念にとらわれず、挑戦する「超ワクワク」。困難を楽しみ、考え抜く「超クリエイティブ」。自ら考え、行動する「超自律」。この3つの姿勢を一人ひとりが体現し、常識のその先へと挑み続けます。
①超ワクワク
固定概念にとらわれず、挑戦する人
②超クリエイティブ
困難を楽しみ、考え抜く人
③超自律
自ら考え、行動する人
(2) 経営環境、経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 経営環境
業界を取り巻く経営環境におきましては、近年、働き方の多様化やリモートワークの普及等によるライフスタイルの変容、余暇の過ごし方に対する消費者の価値観が大きく変化していることを背景として、国内におけるセカンドハウス・リゾート会員権市場は拡大傾向にあります。会員制リゾートクラブの市場規模は、新型コロナウイルス感染症の影響により2021年には2,750億円まで縮小したものの、2022年以降は回復基調に転じ、2024年には4,290億円と、コロナ禍前の2019年(3,820億円)を上回る水準となっております(注1)。また、株式会社野村総合研究所の推計によれば、純金融資産1億円以上を保有する国内の富裕層・超富裕層は、2019年の合計132.7万世帯(純金融資産総額333兆円)から2023年には合計165.3万世帯(同469兆円)へと増加しており、当社グループの主要な顧客層の裾野は拡大傾向にあります(注2)。特に、大都市圏に居住する生活者を中心に、テレワークの定着を背景とした「ワーケーション」や、都市部と地方を行き来する「二拠点生活」といった新しいライフスタイルが浸透しつつあり、従来のような夏期・冬期の休暇利用にとどまらない日常的な利用ニーズが拡大しております。こうした状況を踏まえ、旅館・ホテルとは異なるプライベート性の高い滞在や、従来型の別荘所有に代わる柔軟な利用モデルとして、必要な時に必要な分だけ利用可能な会員制リゾート施設及びシェア型セカンドハウスへの関心が高まっていると認識しております。
(注) 1.出所:公益財団法人日本生産性本部『レジャー白書2025』(2025年10月28日公表)
2.出所:株式会社野村総合研究所「日本の富裕層・超富裕層推計」(2025年2月13日公表)
② 経営戦略
当社グループは、世界的な建築家・クリエイターとの共創、インハウスの企画・設計・プロジェクトマネジメント、直販、運営及び二次流通を一貫して行う体制を競争力の基盤と位置付けております。企画段階から販売及び運営で得られた顧客情報を反映し、意匠性、事業性、工期、コスト及び開業後の運営品質を統合的に管理することで、多品種・小ロットの希少性を維持しながら拠点展開を進めてまいります。また、これらの能力及びオーナー基盤を新たな事業領域でも活用することにより、「NOT A HOTEL」の拠点拡大と、住まい・移動・街づくりへの事業領域の拡張を進めてまいります。
a.オーナーシップ価値の持続的向上
当社グループは、顧客に提供するオーナーシップの価値を持続的に向上させることを事業戦略の重要な柱として位置付けております。2020年の事業開始から2026年9月末までの累計契約高は939億円(内24.3億円はNOT A GARAGE事業)、累計オーナー数は1,357名へと拡大しております。さらに、新規契約件数(2026年4月から9月まで)に占める既存オーナーによる買い増し(29.1%)及び既存オーナーからの紹介(14.6%)による成約件数の比率は、合計43.7%となっております。これらは当社の販売管理システムに基づく社内集計値であります。
当社グループは、各拠点における継続的な追加開発やサービスの拡充を通じて、オーナーの体験価値の向上に取り組んでおります。これにより、既存オーナーの満足度を高め、買い増しや紹介による新たな成約につなげる好循環の形成を目指しております(拠点網の拡大を通じた価値向上への取組みについては、後記「b.拠点の拡大による競争力の強化」に記載しております)。
また、拠点ネットワーク及び利用可能な体験の拡大が既存オーナーの利便性及び満足度を高め、その結果として買い増し、紹介及び二次流通への参加が促進され、新たなオーナーの獲得と顧客基盤の拡大につながる循環の構築を目指しております。物件販売後も、管理、ホテル運営、付帯サービス及び二次流通を通じて顧客接点を維持し、オーナー一人当たりの継続的な収益機会を拡大してまいります。
b.拠点の拡大による競争力の強化
当社グループが事業を展開するセカンドハウス・リゾート会員権市場においては、物件立地や利用可能エリアの多様性が、競争力を左右する重要な要素となっております。このような市場環境を踏まえ、当社グループでは、拠点の拡大を中核的な成長戦略の一つとして位置付けており、事業成長を牽引する開発パイプライン(開発見込み案件)は、特定の地域に偏ることなく、全国各地の魅力的なエリアへ拡大しております。
当社グループは、自然・景観価値や都市圏からのアクセス性、地域資源との親和性等を総合的に考慮した拠点展開を行うことで、都市部からリゾートエリアに至るまで、多様なロケーションにおける体験価値の提供を可能としております。これにより、利用シーンやライフスタイルの異なる顧客ニーズに対応するとともに、拠点間の相互利用ネットワークの拡充による利便性向上を図っております。また、モビリティによる移動サービスと組み合わせることで、空港や都市圏からのアクセスを補い、景観等に魅力を有する地域における拠点の選択肢を広げることを目指しております。
また、拠点数の拡大は、新規顧客の獲得にとどまらず、オーナーが利用できる選択肢の増加を通じて、既存オーナーの利用頻度や満足度の向上、ひいてはオーナーシップの価値向上にも寄与するものと考えております。当社グループは、各拠点において建築デザインや体験価値の差別化を図りながら、段階的かつ計画的に拠点展開を進めることで、単一拠点への依存を回避し、競争環境の激化に対する持続的な優位性の確立を目指してまいります。
c.オーナー層の拡大
当社グループは、年間10泊分の所有権について2,000万円前後の価格帯から、超富裕層の別荘の代替となる年間30泊で10億円台の価格帯まで、幅広いレンジの商品を揃えております。
当社のオーナーは、50歳未満の層が60.0%を占めております。また、購入時のアンケートによると、購入動機は投資目的ではなく、主に建築デザインやライフスタイルへの共感が中心となっております。このことから、実需に基づく顧客基盤が形成されているものと考えております。
また、日本のインバウンド消費額は2013年の1.42兆円から2025年の9.45兆円へと約12年で6倍超に拡大しております(注1)。こうした訪日需要の拡大等を踏まえ、海外の潜在顧客への販売機会が拡大する事業環境にあると認識しております。当社グループは2025年3月期から海外販売を開始しており、契約高は2025年3月期34億円、2026年3月期21億円となりました。2027年3月期より海外販売網の強化を進め、今後の販売比率の増加を目指してまいります。
上記のとおり、若い世代や海外の富裕層の需要を取り込み、従来のリゾート会員権市場には現れない幅広い需要に対応することで成長を目指してまいります。
(注) 1.出所:観光庁「インバウンド消費動向調査(旧 訪日外国人消費動向調査)2025年暦年(確報)」(2026年3月31日公表)
d.セカンダリー市場の整備
当社グループは、2024年6月から二次流通の取扱いを開始し、2025年10月にはNOT A HOTELアプリケーション内にセカンダリーマーケットプレイス「MARKETPLACE」機能を実装いたしました。オーナーはNOT A HOTELアプリケーションに表示される「今すぐ売却」のボタンから売却を申し込むことができます。また、希望価格を設定した売却申込みや、購入希望者がセカンダリー物件を取得できる仕組みを整えております。これにより、オーナーのライフスタイルの変化に応じた売却機会を提供し、流動性の確保を図っております。
e.「NOT A HOTEL」ブランドを利用したアセットクラス・サービス領域の拡大
当社グループは、顧客に提供するオーナーシップの価値を持続的に向上させるため、「NOT A HOTEL」の拠点ネットワークを拡大するとともに、同事業で培ったブランド、顧客基盤及び開発・運営能力を活用し、滞在に加えて、陸・海・空の移動、飲食、文化その他の体験、住まい及び街づくりへと提供領域を重ねていく方針であります。また、海外顧客への販売及び現地パートナーとの提携を通じて、事業機会の拡大を目指してまいります。
具体的には、「NOT A GARAGE」を移動と滞在をつなぐ体験、「NOT A HOUSE」を高いデザイン性及び品質を再現可能な形で提供する住宅プロダクトとして展開する方針であります。また、「NOT A CITY」については、「NOT A HOTEL」を中核とする各事業で培った企画、建築、クリエイティビティ及び運営に関する知見を活用し、建物の完成に先立って食、音楽、アート、リテール及びコミュニティ等を通じて人が集まる理由と地域の個性をつくり、地域又は都市の価値向上につなげる街づくりを目指しております。これらの事業は、提供中、検証中、商品開発中又は開業準備中等、それぞれの進捗段階に応じて展開してまいります。
また、NOT A HOTEL2nd株式会社が担う二次流通を含め、各プロダクトを横断して予約、決済、顧客管理その他の取引機能を整備することにより、販売後もオーナーとの接点を継続し、オーナーシップの価値及び顧客一人当たりの収益機会を高めることを目指しております。
移動体験への拡張:
「NOT A HOTEL」で培った顧客基盤及び運営に関する知見を活用し、移動と滞在をつなぐ体験を提供する「NOT A GARAGE」を展開しております。クルーザー、ヘリコプターやジェット機等の共同所有型商品に加え、対象となる複数のモビリティを利用できるサブスクリプションサービス「NOT A GARAGE CLUB」の申込みの受付を開始し、サービス提供に向けた準備を進めております。所有と利用の異なるニーズに対応することで、顧客との接点を滞在先への移動や現地での過ごし方へと広げ、体験の充実及び顧客との継続的な関係の強化を図ってまいります。また、共同所有型商品の販売に加え、同サービスの初期費用、月額費及び利用時に受領する対価等を通じた継続的な収益機会の拡大を目指しております。プロダクトラインナップとしまして、2026年9月よりACH130(ヘリコプター)の運航を開始しており、本書提出日現在、SUNREEF(クルーザー)及びNIGO JET(ジェット機)の販売を行っております。
住まい・街づくりへの拡張:
さらに今後の展開として、三菱地所株式会社等と協業し東京・有楽町エリアにおいて2027年の開業を予定する体験型複合施設「JAPA VALLEY TOKYO」や、「NOT A HOTEL」で培った建築、テクノロジー及びサービスの知見を活用した住宅プロダクト「POD」を提供する「NOT A HOUSE」といったプロジェクトを通じ、非日常の滞在・移動体験で培った当社の高いデザイン性及び体験価値を、顧客の日常的な暮らしやライフスタイルの領域へと拡張していく計画であります。住宅プロダクトについては、規格化による合理性と建築デザイン及び居住体験の質の両立を図り、顧客のライフスタイルの変化に応じて住まいを選び直すことのできる選択肢の提供を目指しております。
これらの展開により、単なるリゾート施設の提供にとどまらず、顧客の人生における多様なシーンで独自の価値を提供する総合的なライフスタイルブランドへの進化を目指しております。
③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
a.品質及びブランドイメージの維持・向上
当社グループは、著名な建築家やクリエイターとの協業による高いデザイン性と、相互利用可能なネットワークにより独自のブランド価値を提供しております。しかし、品質不良、顧客からの苦情、その他事故の発生等によりブランド価値が毀損されるリスクを認識しております。また、販売物件に係る契約不適合が発生した場合、損害賠償請求や追加の補修工事費用が生じる可能性があります。
オーナーシップ価値の持続的向上及び拠点ネットワークの拡大を進めるうえで、開発・運営の品質を維持し、オーナーの信頼と満足度を確保することを重要な課題と認識しております。
高品質な物件開発体制を維持し、建築基準法等の関連法令遵守を徹底いたします。オペレーション事業においては、子会社のNOT A HOTEL MANAGEMENT株式会社がホテル・レストラン運営、相互利用サービスの管理を担い、サービス品質の標準化と向上に努め、顧客からのフィードバックを迅速に吸い上げ改善に繋げる体制を強化いたします。また、当社グループのブランドコンセプトや価値観を共有し、協力会社・パートナー企業との連携を通じて、一貫性のあるブランド表現及び顧客体験の提供に努めることで、ブランドイメージの維持・向上を図ってまいります。
b.競争環境の激化への対応
セカンドハウス・リゾート会員権市場においては参入企業が増加し企業間の競争が激しさを増しており、利用者のニーズに合わせたサービスの展開の重要性が増している状況にあります。
オーナー層の拡大に向けては、拠点間の相互利用や販売後の継続的なサービスを通じた差別化により、新規顧客の獲得と既存オーナーによる買い増し・紹介につなげることが課題であると認識しております。
当社グループでは、他社にはないブランド力と提供価値を継続的に高めるため、常に新たな魅力的なロケーションやデザインの物件を企画・開発し、サービス内容の拡充を図ります。また、顧客コミュニティの活性化を促進し、ブランドロイヤルティを一層強化することで、差別化を推進いたします。
c.人材の確保と育成
当社グループは、独自のプロダクトを企画・開発し、販売後も継続して質の高い体験を提供するため、人材の確保及び育成を持続的成長に向けた重要な経営課題と位置付けております。建築・設計及びプロジェクトマネジメントを担う人材に加え、テクノロジー、販売及びホテル運営等の各領域の専門人材が連携することが、開発の推進と顧客体験の品質を支えるものと考えております。事業計画に応じた採用及び人材育成を進めるとともに、専門性を発揮できる環境の整備に取り組んでまいります。拠点の拡大及びアセットクラス・サービス領域の拡大に対応するため、企画・開発、販売及び運営を担う人材の確保と育成を進め、事業の成長に見合う実行体制を整えることが課題であると認識しております。
「人材」を競争力の源泉と位置付け、多様な人材が意欲をもって活躍できる環境整備を推進します。具体的には、経験豊富な中途人材の採用を中心に積極的に行いつつ新卒採用も徐々に増やしており、研修プログラムの充実を通じて、組織運営能力を高め、海外人材や女性の活躍推進や、多様な知見・経験を持つ人材の登用など、ダイバーシティを尊重した組織文化を醸成いたします。また、生成AIを活用した定型業務の効率化を進め、これにより生まれる余力を、設計・施工管理及びオーナーへのサービス提供等に振り向けることで、生産性の向上と顧客体験の質を支える人員体制の拡充の両立を図ってまいります。
d.原材料及び仕入価格の変動による収益性への影響
当社グループのメンバーシップ事業においては、「NOT A HOTEL」の提供に係るセカンドハウスの建設や、「NOT A GARAGE」を通じたモビリティの販売に関連して、車体・機体等の仕入れを行っており、これらの価格が高騰した場合、原価や調達コストの増加を通じて収益性が悪化する可能性があります。
特に、モビリティの提供においては、車、船舶、ジェット機、ヘリコプター等の多様な商材を取り扱っていることから、品質・性能・安全性の観点で代替性の乏しい原材料や部材が多く、市況や価格変動の影響を受けやすい場合があります。
拠点及びモビリティの展開を進めるに当たり、品質と提供価値を維持しながら、開発・調達コストを管理し、各プロジェクトの採算性を確保することが課題であると認識しております。
当社グループは、メンバーシップ事業全体を通じて、主要な原材料や部材の市場動向、市況の特徴、調達価格の変動を継続的に把握するとともに、取引先との関係構築や調達方法の工夫を通じて、事業特性に応じた適切な調達戦略の検討に努めてまいります。
e.経営管理体制の強化
当社グループは、迅速な意思決定と業務執行、法令遵守を確保するため、経営管理体制の継続的な強化を課題としております。特に、事業領域及び関係会社の増加に対応し、プロジェクト管理、品質及び安全管理、法務・許認可対応並びに収益管理体制を強化するとともに、海外パートナーとの役割・責任の明確化、ブランド及び知的財産の管理並びに決済・二次流通等に係る規制及び情報セキュリティへの対応を進めてまいります。
「NOT A HOTEL」を中核に周辺領域及び海外へ事業機会を広げる方針の下、各事業・関係会社の進捗とリスクを把握し、事業の拡大に対応したグループ管理体制を整備することが課題であると認識しております。
当社は代表取締役の直属の機関として内部監査室を設置し、年間の監査計画に従い内部監査を実施しております。内部監査は、当社グループの組織、制度、業務が経営方針及び諸規程に準拠し、適正かつ効率的に運用されているかを検証、評価し、問題点を発見・指摘するとともに、改善方法の提言等を行います。また、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、当社グループ全体においてコンプライアンスに関する体制整備及び問題発生時の対応、並びにリスク管理の体制整備及びリスク発生の未然防止と対処を行います。関係会社に対しては、取締役・監査役の派遣、主管部署による報告・協議、重要事項の承認、内部監査室による監査等を通じて、グループとしての健全性と業務適正性を確保します。財務報告の信頼性確保のための内部統制システムの整備も経営上の最重要事項の一つとして推進します。不測の事態が発生した場合には、代表取締役がリスク対応体制を発動し、必要に応じて弁護士等の外部専門機関とともに迅速かつ的確な対応を行い、損失の拡大を防止いたします。
f.開発リスクのコントロールと財務基盤の強化
当社グループは、継続的な成長と安定した経営・財務基盤が極めて重要であると認識しております。特にメンバーシップ事業におけるセカンドハウスやモビリティの開発には多額の資金が必要となることや在庫のリスクが存在するため、当社では以下の取組みを通じたリスク低減に努めます。
1.成長と財務健全性のバランス
拠点の拡大を継続するためには、個別プロジェクトの販売・開発の進捗に応じた資金需要に対応し、成長投資と財務健全性を両立させることが課題であると認識しております。
資本配分に当たっては、資本コストを上回るリターンの確保を意識し、開発パイプラインの拡充及び新規事業への成長投資を優先するとともに、人材及びテクノロジー等の事業基盤の強化を進めてまいります。また、必要な手元資金を確保しながら、投資機会及び財務の健全性を総合的に勘案して資金を配分する方針であります。
金利の上昇は、当社グループの借入金に係る利息負担の増加に加え、顧客の購入資金の調達負担及び購買意欲を通じて、販売活動にも影響を及ぼす可能性があります。このため、販売状況を踏まえた開発の実行及び資金繰り管理に加え、資金調達手段の多様化並びに金融機関との連携による購入者向けの金融サポートの拡充を検討してまいります。
2.資本効率の高いビジネスモデル(キャッシュ・エフィシェントモデル)
各プロジェクトの売上総利益率は30%を目安に設計しております。建築開始前に販売を開始する「先行販売」を採用し、販売状況に応じて着工を判断するとともに、販売開始後に受領する前受金及び金融機関からの借入等を活用し、収入側と支出側の資金収支の時期を可能な限り対応させることで、先行投資負担の軽減を図っております。なお、必要な資金負担及び資金回収の時期は、個別プロジェクトの販売状況、契約条件及び開発の進捗等により異なります。
3.パートナー企業の開拓による開発リスクの分散
当社グループは、「NOT A HOTEL」の開発において自社での開発を原則としながらも、他社との共同開発を行っております。共同開発はジョイントベンチャーでの開発が主なものとなります。ジョイントベンチャーでの開発では、NOT A HOTEL SETOUCHIにおいて、前田建設工業株式会社とSPCを設立した実績があります。また他社自身が事業主としてリスクを負担し、開発するケースもあります。例えば、NOT A HOTEL MINAKAMIにおいて株式会社オープンハウス・ディベロップメントが事業主となった実績があります。
これにより、自社開発に比べて当社の開発リスクや開発資金負担を低減することとなり、同時により多くの開発を行うことが可能となることで、相互利用先を早期に増やしてネットワーク効果を強めることとなります。
今後は、国内においては共同開発をセカンドハウスに限らずホテルやレジデンス等のアセットクラスにも拡げることを目指しております。また、海外においては、「NOT A HOTEL」で培った企画、デザイン及びテクノロジー等を海外パートナー企業にライセンス提供し、現地パートナーとの役割分担を通じて、開発に係る資金負担及びリスクを抑えた展開を目指しております。現地の法規制、市場特性及びパートナーの能力等を確認しながら、提携及び事業化の検討を進めてまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するため、契約高、累計オーナー数、開業拠点数、開業ハウス数、ホテル稼働率、契約済み未実現売上高及び営業利益率を客観的な指標としております。
契約高は、対象期間に締結した「NOT A HOTEL」及び「NOT A GARAGE」の販売契約金額(償却保証金及び二次流通を除く)の合計額であり、開業又は引渡しに先行する需要及び販売活動の成果を把握するために用いております。ライセンス売上高は契約締結後のオーナー登録完了時に、アセット売上高は開業又は引渡し時に収益を認識しております。当社グループ以外が事業主となる物件の販売契約も含むため、連結売上高とは計上時期及び集計範囲が異なります。
契約済み未実現売上高は、期末又は四半期末時点の締結済み契約のうち、開業又は引渡しが未了のため未計上となっているアセット売上高の見込額であります。開業等の時期により変動する各期の売上高を補足し、投資家が将来の売上計上につながる契約の蓄積状況を把握するための先行指標として用いております。契約高が期間中の販売成果を示すのに対し、当該指標は期末時点の残高を示します。両指標は当社グループ独自の経営指標であり、会計上の売上高、利益又はキャッシュ・フローを示すものではありません。また、契約済み未実現売上高は、入金済額や貸借対照表上の契約負債を示すものではありません。開業等の遅延、契約の変更又は解約等により変動し、将来の売上高又は利益の実現及びその時期を保証するものではありません。
累計オーナー数は同一契約者を重複計上しない顧客基盤の規模を、開業拠点数はクラブハウス等を含む施設ネットワークの規模を、開業ハウス数は宿泊可能な客室の規模を把握するために用いております。ホテル稼働率はオーナー及び一般ゲストによる施設の利用状況を、営業利益率は売上高に対する本業の収益性を把握するために用いております。なお、オーナー数や拠点数等の増加は、同じ期間の売上高又は利益の増加を直接示すものではありません。
各指標の算出方法及び集計対象は、以下のとおりであります。
(客観的な指標の推移)
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「日本の価値を上げる」をミッションに掲げ、潜在的な魅力を有する地域を発掘し、世界で活躍する建築家・クリエイターとの共創及びテクノロジーの活用を通じて、国内外の人々を惹きつける目的地と体験を創出することを目指しております。
当社グループは、見慣れたものに新たな視点を加え、従来の方法にとらわれない選択肢をつくるという「NOT A」の考え方を、否定ではなく進化と捉え、企業グループ「NOTA」として事業を推進しております。中核事業にあたる「NOT A HOTEL」を起点に、建築、クリエイティビティ及びテクノロジーに関する知見を活用し、その発想をホテル・別荘から、住まい、移動、街づくりその他の生活領域へ段階的に展開することを基本方針としております。
MISSION:日本の価値を上げる
NOTAが手がけるのは、日本が持つ価値に根ざしたプロジェクトです。建築家やクリエイターの方々の視点を通して地域の魅力を再発見し、日本中、そして世界中へと発信していく試み。「日本の価値を上げる」をミッションに掲げ、今後もパートナー、クリエイターのみなさまと一緒に歩みを進めます。
VISION:世界をもっと楽しく
世の中が効率的になるなかで、NOTAは一人ひとりの人生を「楽しく」する会社でありたいと考えています。NOT A HOTELは「家はひとつ」という常識を超えて住まいを自由に選べるようにし、まるで自分の家が世界中にあるような世界を目指してきました。私たちが手掛ける事業を通じて、世界をもっと楽しくすることが私たちのビジョンです。
VALUE:すべての常識を"超えて"いく
NOTAが大切にするのは、すべての常識を超えて挑み続ける姿勢です。固定観念にとらわれず、挑戦する「超ワクワク」。困難を楽しみ、考え抜く「超クリエイティブ」。自ら考え、行動する「超自律」。この3つの姿勢を一人ひとりが体現し、常識のその先へと挑み続けます。
①超ワクワク
固定概念にとらわれず、挑戦する人
②超クリエイティブ
困難を楽しみ、考え抜く人
③超自律
自ら考え、行動する人
(2) 経営環境、経営戦略及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 経営環境
業界を取り巻く経営環境におきましては、近年、働き方の多様化やリモートワークの普及等によるライフスタイルの変容、余暇の過ごし方に対する消費者の価値観が大きく変化していることを背景として、国内におけるセカンドハウス・リゾート会員権市場は拡大傾向にあります。会員制リゾートクラブの市場規模は、新型コロナウイルス感染症の影響により2021年には2,750億円まで縮小したものの、2022年以降は回復基調に転じ、2024年には4,290億円と、コロナ禍前の2019年(3,820億円)を上回る水準となっております(注1)。また、株式会社野村総合研究所の推計によれば、純金融資産1億円以上を保有する国内の富裕層・超富裕層は、2019年の合計132.7万世帯(純金融資産総額333兆円)から2023年には合計165.3万世帯(同469兆円)へと増加しており、当社グループの主要な顧客層の裾野は拡大傾向にあります(注2)。特に、大都市圏に居住する生活者を中心に、テレワークの定着を背景とした「ワーケーション」や、都市部と地方を行き来する「二拠点生活」といった新しいライフスタイルが浸透しつつあり、従来のような夏期・冬期の休暇利用にとどまらない日常的な利用ニーズが拡大しております。こうした状況を踏まえ、旅館・ホテルとは異なるプライベート性の高い滞在や、従来型の別荘所有に代わる柔軟な利用モデルとして、必要な時に必要な分だけ利用可能な会員制リゾート施設及びシェア型セカンドハウスへの関心が高まっていると認識しております。
(注) 1.出所:公益財団法人日本生産性本部『レジャー白書2025』(2025年10月28日公表)
2.出所:株式会社野村総合研究所「日本の富裕層・超富裕層推計」(2025年2月13日公表)
② 経営戦略
当社グループは、世界的な建築家・クリエイターとの共創、インハウスの企画・設計・プロジェクトマネジメント、直販、運営及び二次流通を一貫して行う体制を競争力の基盤と位置付けております。企画段階から販売及び運営で得られた顧客情報を反映し、意匠性、事業性、工期、コスト及び開業後の運営品質を統合的に管理することで、多品種・小ロットの希少性を維持しながら拠点展開を進めてまいります。また、これらの能力及びオーナー基盤を新たな事業領域でも活用することにより、「NOT A HOTEL」の拠点拡大と、住まい・移動・街づくりへの事業領域の拡張を進めてまいります。
a.オーナーシップ価値の持続的向上
当社グループは、顧客に提供するオーナーシップの価値を持続的に向上させることを事業戦略の重要な柱として位置付けております。2020年の事業開始から2026年9月末までの累計契約高は939億円(内24.3億円はNOT A GARAGE事業)、累計オーナー数は1,357名へと拡大しております。さらに、新規契約件数(2026年4月から9月まで)に占める既存オーナーによる買い増し(29.1%)及び既存オーナーからの紹介(14.6%)による成約件数の比率は、合計43.7%となっております。これらは当社の販売管理システムに基づく社内集計値であります。
当社グループは、各拠点における継続的な追加開発やサービスの拡充を通じて、オーナーの体験価値の向上に取り組んでおります。これにより、既存オーナーの満足度を高め、買い増しや紹介による新たな成約につなげる好循環の形成を目指しております(拠点網の拡大を通じた価値向上への取組みについては、後記「b.拠点の拡大による競争力の強化」に記載しております)。
また、拠点ネットワーク及び利用可能な体験の拡大が既存オーナーの利便性及び満足度を高め、その結果として買い増し、紹介及び二次流通への参加が促進され、新たなオーナーの獲得と顧客基盤の拡大につながる循環の構築を目指しております。物件販売後も、管理、ホテル運営、付帯サービス及び二次流通を通じて顧客接点を維持し、オーナー一人当たりの継続的な収益機会を拡大してまいります。
b.拠点の拡大による競争力の強化
当社グループが事業を展開するセカンドハウス・リゾート会員権市場においては、物件立地や利用可能エリアの多様性が、競争力を左右する重要な要素となっております。このような市場環境を踏まえ、当社グループでは、拠点の拡大を中核的な成長戦略の一つとして位置付けており、事業成長を牽引する開発パイプライン(開発見込み案件)は、特定の地域に偏ることなく、全国各地の魅力的なエリアへ拡大しております。
当社グループは、自然・景観価値や都市圏からのアクセス性、地域資源との親和性等を総合的に考慮した拠点展開を行うことで、都市部からリゾートエリアに至るまで、多様なロケーションにおける体験価値の提供を可能としております。これにより、利用シーンやライフスタイルの異なる顧客ニーズに対応するとともに、拠点間の相互利用ネットワークの拡充による利便性向上を図っております。また、モビリティによる移動サービスと組み合わせることで、空港や都市圏からのアクセスを補い、景観等に魅力を有する地域における拠点の選択肢を広げることを目指しております。
また、拠点数の拡大は、新規顧客の獲得にとどまらず、オーナーが利用できる選択肢の増加を通じて、既存オーナーの利用頻度や満足度の向上、ひいてはオーナーシップの価値向上にも寄与するものと考えております。当社グループは、各拠点において建築デザインや体験価値の差別化を図りながら、段階的かつ計画的に拠点展開を進めることで、単一拠点への依存を回避し、競争環境の激化に対する持続的な優位性の確立を目指してまいります。
c.オーナー層の拡大
当社グループは、年間10泊分の所有権について2,000万円前後の価格帯から、超富裕層の別荘の代替となる年間30泊で10億円台の価格帯まで、幅広いレンジの商品を揃えております。
当社のオーナーは、50歳未満の層が60.0%を占めております。また、購入時のアンケートによると、購入動機は投資目的ではなく、主に建築デザインやライフスタイルへの共感が中心となっております。このことから、実需に基づく顧客基盤が形成されているものと考えております。
また、日本のインバウンド消費額は2013年の1.42兆円から2025年の9.45兆円へと約12年で6倍超に拡大しております(注1)。こうした訪日需要の拡大等を踏まえ、海外の潜在顧客への販売機会が拡大する事業環境にあると認識しております。当社グループは2025年3月期から海外販売を開始しており、契約高は2025年3月期34億円、2026年3月期21億円となりました。2027年3月期より海外販売網の強化を進め、今後の販売比率の増加を目指してまいります。
上記のとおり、若い世代や海外の富裕層の需要を取り込み、従来のリゾート会員権市場には現れない幅広い需要に対応することで成長を目指してまいります。
(注) 1.出所:観光庁「インバウンド消費動向調査(旧 訪日外国人消費動向調査)2025年暦年(確報)」(2026年3月31日公表)
d.セカンダリー市場の整備
当社グループは、2024年6月から二次流通の取扱いを開始し、2025年10月にはNOT A HOTELアプリケーション内にセカンダリーマーケットプレイス「MARKETPLACE」機能を実装いたしました。オーナーはNOT A HOTELアプリケーションに表示される「今すぐ売却」のボタンから売却を申し込むことができます。また、希望価格を設定した売却申込みや、購入希望者がセカンダリー物件を取得できる仕組みを整えております。これにより、オーナーのライフスタイルの変化に応じた売却機会を提供し、流動性の確保を図っております。
e.「NOT A HOTEL」ブランドを利用したアセットクラス・サービス領域の拡大
当社グループは、顧客に提供するオーナーシップの価値を持続的に向上させるため、「NOT A HOTEL」の拠点ネットワークを拡大するとともに、同事業で培ったブランド、顧客基盤及び開発・運営能力を活用し、滞在に加えて、陸・海・空の移動、飲食、文化その他の体験、住まい及び街づくりへと提供領域を重ねていく方針であります。また、海外顧客への販売及び現地パートナーとの提携を通じて、事業機会の拡大を目指してまいります。
具体的には、「NOT A GARAGE」を移動と滞在をつなぐ体験、「NOT A HOUSE」を高いデザイン性及び品質を再現可能な形で提供する住宅プロダクトとして展開する方針であります。また、「NOT A CITY」については、「NOT A HOTEL」を中核とする各事業で培った企画、建築、クリエイティビティ及び運営に関する知見を活用し、建物の完成に先立って食、音楽、アート、リテール及びコミュニティ等を通じて人が集まる理由と地域の個性をつくり、地域又は都市の価値向上につなげる街づくりを目指しております。これらの事業は、提供中、検証中、商品開発中又は開業準備中等、それぞれの進捗段階に応じて展開してまいります。
また、NOT A HOTEL2nd株式会社が担う二次流通を含め、各プロダクトを横断して予約、決済、顧客管理その他の取引機能を整備することにより、販売後もオーナーとの接点を継続し、オーナーシップの価値及び顧客一人当たりの収益機会を高めることを目指しております。
移動体験への拡張:
「NOT A HOTEL」で培った顧客基盤及び運営に関する知見を活用し、移動と滞在をつなぐ体験を提供する「NOT A GARAGE」を展開しております。クルーザー、ヘリコプターやジェット機等の共同所有型商品に加え、対象となる複数のモビリティを利用できるサブスクリプションサービス「NOT A GARAGE CLUB」の申込みの受付を開始し、サービス提供に向けた準備を進めております。所有と利用の異なるニーズに対応することで、顧客との接点を滞在先への移動や現地での過ごし方へと広げ、体験の充実及び顧客との継続的な関係の強化を図ってまいります。また、共同所有型商品の販売に加え、同サービスの初期費用、月額費及び利用時に受領する対価等を通じた継続的な収益機会の拡大を目指しております。プロダクトラインナップとしまして、2026年9月よりACH130(ヘリコプター)の運航を開始しており、本書提出日現在、SUNREEF(クルーザー)及びNIGO JET(ジェット機)の販売を行っております。
住まい・街づくりへの拡張:
さらに今後の展開として、三菱地所株式会社等と協業し東京・有楽町エリアにおいて2027年の開業を予定する体験型複合施設「JAPA VALLEY TOKYO」や、「NOT A HOTEL」で培った建築、テクノロジー及びサービスの知見を活用した住宅プロダクト「POD」を提供する「NOT A HOUSE」といったプロジェクトを通じ、非日常の滞在・移動体験で培った当社の高いデザイン性及び体験価値を、顧客の日常的な暮らしやライフスタイルの領域へと拡張していく計画であります。住宅プロダクトについては、規格化による合理性と建築デザイン及び居住体験の質の両立を図り、顧客のライフスタイルの変化に応じて住まいを選び直すことのできる選択肢の提供を目指しております。
これらの展開により、単なるリゾート施設の提供にとどまらず、顧客の人生における多様なシーンで独自の価値を提供する総合的なライフスタイルブランドへの進化を目指しております。
③ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
a.品質及びブランドイメージの維持・向上
当社グループは、著名な建築家やクリエイターとの協業による高いデザイン性と、相互利用可能なネットワークにより独自のブランド価値を提供しております。しかし、品質不良、顧客からの苦情、その他事故の発生等によりブランド価値が毀損されるリスクを認識しております。また、販売物件に係る契約不適合が発生した場合、損害賠償請求や追加の補修工事費用が生じる可能性があります。
オーナーシップ価値の持続的向上及び拠点ネットワークの拡大を進めるうえで、開発・運営の品質を維持し、オーナーの信頼と満足度を確保することを重要な課題と認識しております。
高品質な物件開発体制を維持し、建築基準法等の関連法令遵守を徹底いたします。オペレーション事業においては、子会社のNOT A HOTEL MANAGEMENT株式会社がホテル・レストラン運営、相互利用サービスの管理を担い、サービス品質の標準化と向上に努め、顧客からのフィードバックを迅速に吸い上げ改善に繋げる体制を強化いたします。また、当社グループのブランドコンセプトや価値観を共有し、協力会社・パートナー企業との連携を通じて、一貫性のあるブランド表現及び顧客体験の提供に努めることで、ブランドイメージの維持・向上を図ってまいります。
b.競争環境の激化への対応
セカンドハウス・リゾート会員権市場においては参入企業が増加し企業間の競争が激しさを増しており、利用者のニーズに合わせたサービスの展開の重要性が増している状況にあります。
オーナー層の拡大に向けては、拠点間の相互利用や販売後の継続的なサービスを通じた差別化により、新規顧客の獲得と既存オーナーによる買い増し・紹介につなげることが課題であると認識しております。
当社グループでは、他社にはないブランド力と提供価値を継続的に高めるため、常に新たな魅力的なロケーションやデザインの物件を企画・開発し、サービス内容の拡充を図ります。また、顧客コミュニティの活性化を促進し、ブランドロイヤルティを一層強化することで、差別化を推進いたします。
c.人材の確保と育成
当社グループは、独自のプロダクトを企画・開発し、販売後も継続して質の高い体験を提供するため、人材の確保及び育成を持続的成長に向けた重要な経営課題と位置付けております。建築・設計及びプロジェクトマネジメントを担う人材に加え、テクノロジー、販売及びホテル運営等の各領域の専門人材が連携することが、開発の推進と顧客体験の品質を支えるものと考えております。事業計画に応じた採用及び人材育成を進めるとともに、専門性を発揮できる環境の整備に取り組んでまいります。拠点の拡大及びアセットクラス・サービス領域の拡大に対応するため、企画・開発、販売及び運営を担う人材の確保と育成を進め、事業の成長に見合う実行体制を整えることが課題であると認識しております。
「人材」を競争力の源泉と位置付け、多様な人材が意欲をもって活躍できる環境整備を推進します。具体的には、経験豊富な中途人材の採用を中心に積極的に行いつつ新卒採用も徐々に増やしており、研修プログラムの充実を通じて、組織運営能力を高め、海外人材や女性の活躍推進や、多様な知見・経験を持つ人材の登用など、ダイバーシティを尊重した組織文化を醸成いたします。また、生成AIを活用した定型業務の効率化を進め、これにより生まれる余力を、設計・施工管理及びオーナーへのサービス提供等に振り向けることで、生産性の向上と顧客体験の質を支える人員体制の拡充の両立を図ってまいります。
d.原材料及び仕入価格の変動による収益性への影響
当社グループのメンバーシップ事業においては、「NOT A HOTEL」の提供に係るセカンドハウスの建設や、「NOT A GARAGE」を通じたモビリティの販売に関連して、車体・機体等の仕入れを行っており、これらの価格が高騰した場合、原価や調達コストの増加を通じて収益性が悪化する可能性があります。
特に、モビリティの提供においては、車、船舶、ジェット機、ヘリコプター等の多様な商材を取り扱っていることから、品質・性能・安全性の観点で代替性の乏しい原材料や部材が多く、市況や価格変動の影響を受けやすい場合があります。
拠点及びモビリティの展開を進めるに当たり、品質と提供価値を維持しながら、開発・調達コストを管理し、各プロジェクトの採算性を確保することが課題であると認識しております。
当社グループは、メンバーシップ事業全体を通じて、主要な原材料や部材の市場動向、市況の特徴、調達価格の変動を継続的に把握するとともに、取引先との関係構築や調達方法の工夫を通じて、事業特性に応じた適切な調達戦略の検討に努めてまいります。
e.経営管理体制の強化
当社グループは、迅速な意思決定と業務執行、法令遵守を確保するため、経営管理体制の継続的な強化を課題としております。特に、事業領域及び関係会社の増加に対応し、プロジェクト管理、品質及び安全管理、法務・許認可対応並びに収益管理体制を強化するとともに、海外パートナーとの役割・責任の明確化、ブランド及び知的財産の管理並びに決済・二次流通等に係る規制及び情報セキュリティへの対応を進めてまいります。
「NOT A HOTEL」を中核に周辺領域及び海外へ事業機会を広げる方針の下、各事業・関係会社の進捗とリスクを把握し、事業の拡大に対応したグループ管理体制を整備することが課題であると認識しております。
当社は代表取締役の直属の機関として内部監査室を設置し、年間の監査計画に従い内部監査を実施しております。内部監査は、当社グループの組織、制度、業務が経営方針及び諸規程に準拠し、適正かつ効率的に運用されているかを検証、評価し、問題点を発見・指摘するとともに、改善方法の提言等を行います。また、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、当社グループ全体においてコンプライアンスに関する体制整備及び問題発生時の対応、並びにリスク管理の体制整備及びリスク発生の未然防止と対処を行います。関係会社に対しては、取締役・監査役の派遣、主管部署による報告・協議、重要事項の承認、内部監査室による監査等を通じて、グループとしての健全性と業務適正性を確保します。財務報告の信頼性確保のための内部統制システムの整備も経営上の最重要事項の一つとして推進します。不測の事態が発生した場合には、代表取締役がリスク対応体制を発動し、必要に応じて弁護士等の外部専門機関とともに迅速かつ的確な対応を行い、損失の拡大を防止いたします。
f.開発リスクのコントロールと財務基盤の強化
当社グループは、継続的な成長と安定した経営・財務基盤が極めて重要であると認識しております。特にメンバーシップ事業におけるセカンドハウスやモビリティの開発には多額の資金が必要となることや在庫のリスクが存在するため、当社では以下の取組みを通じたリスク低減に努めます。
1.成長と財務健全性のバランス
拠点の拡大を継続するためには、個別プロジェクトの販売・開発の進捗に応じた資金需要に対応し、成長投資と財務健全性を両立させることが課題であると認識しております。
資本配分に当たっては、資本コストを上回るリターンの確保を意識し、開発パイプラインの拡充及び新規事業への成長投資を優先するとともに、人材及びテクノロジー等の事業基盤の強化を進めてまいります。また、必要な手元資金を確保しながら、投資機会及び財務の健全性を総合的に勘案して資金を配分する方針であります。
金利の上昇は、当社グループの借入金に係る利息負担の増加に加え、顧客の購入資金の調達負担及び購買意欲を通じて、販売活動にも影響を及ぼす可能性があります。このため、販売状況を踏まえた開発の実行及び資金繰り管理に加え、資金調達手段の多様化並びに金融機関との連携による購入者向けの金融サポートの拡充を検討してまいります。
2.資本効率の高いビジネスモデル(キャッシュ・エフィシェントモデル)
各プロジェクトの売上総利益率は30%を目安に設計しております。建築開始前に販売を開始する「先行販売」を採用し、販売状況に応じて着工を判断するとともに、販売開始後に受領する前受金及び金融機関からの借入等を活用し、収入側と支出側の資金収支の時期を可能な限り対応させることで、先行投資負担の軽減を図っております。なお、必要な資金負担及び資金回収の時期は、個別プロジェクトの販売状況、契約条件及び開発の進捗等により異なります。
3.パートナー企業の開拓による開発リスクの分散
当社グループは、「NOT A HOTEL」の開発において自社での開発を原則としながらも、他社との共同開発を行っております。共同開発はジョイントベンチャーでの開発が主なものとなります。ジョイントベンチャーでの開発では、NOT A HOTEL SETOUCHIにおいて、前田建設工業株式会社とSPCを設立した実績があります。また他社自身が事業主としてリスクを負担し、開発するケースもあります。例えば、NOT A HOTEL MINAKAMIにおいて株式会社オープンハウス・ディベロップメントが事業主となった実績があります。
これにより、自社開発に比べて当社の開発リスクや開発資金負担を低減することとなり、同時により多くの開発を行うことが可能となることで、相互利用先を早期に増やしてネットワーク効果を強めることとなります。
今後は、国内においては共同開発をセカンドハウスに限らずホテルやレジデンス等のアセットクラスにも拡げることを目指しております。また、海外においては、「NOT A HOTEL」で培った企画、デザイン及びテクノロジー等を海外パートナー企業にライセンス提供し、現地パートナーとの役割分担を通じて、開発に係る資金負担及びリスクを抑えた展開を目指しております。現地の法規制、市場特性及びパートナーの能力等を確認しながら、提携及び事業化の検討を進めてまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するため、契約高、累計オーナー数、開業拠点数、開業ハウス数、ホテル稼働率、契約済み未実現売上高及び営業利益率を客観的な指標としております。
契約高は、対象期間に締結した「NOT A HOTEL」及び「NOT A GARAGE」の販売契約金額(償却保証金及び二次流通を除く)の合計額であり、開業又は引渡しに先行する需要及び販売活動の成果を把握するために用いております。ライセンス売上高は契約締結後のオーナー登録完了時に、アセット売上高は開業又は引渡し時に収益を認識しております。当社グループ以外が事業主となる物件の販売契約も含むため、連結売上高とは計上時期及び集計範囲が異なります。
契約済み未実現売上高は、期末又は四半期末時点の締結済み契約のうち、開業又は引渡しが未了のため未計上となっているアセット売上高の見込額であります。開業等の時期により変動する各期の売上高を補足し、投資家が将来の売上計上につながる契約の蓄積状況を把握するための先行指標として用いております。契約高が期間中の販売成果を示すのに対し、当該指標は期末時点の残高を示します。両指標は当社グループ独自の経営指標であり、会計上の売上高、利益又はキャッシュ・フローを示すものではありません。また、契約済み未実現売上高は、入金済額や貸借対照表上の契約負債を示すものではありません。開業等の遅延、契約の変更又は解約等により変動し、将来の売上高又は利益の実現及びその時期を保証するものではありません。
累計オーナー数は同一契約者を重複計上しない顧客基盤の規模を、開業拠点数はクラブハウス等を含む施設ネットワークの規模を、開業ハウス数は宿泊可能な客室の規模を把握するために用いております。ホテル稼働率はオーナー及び一般ゲストによる施設の利用状況を、営業利益率は売上高に対する本業の収益性を把握するために用いております。なお、オーナー数や拠点数等の増加は、同じ期間の売上高又は利益の増加を直接示すものではありません。
各指標の算出方法及び集計対象は、以下のとおりであります。
| 客観的な指標 | 具体的な算出方法 |
| 契約高 | 対象期間において顧客との間で有効に締結された、「NOT A HOTEL」(二次流通は含まない)及び「NOT A GARAGE」の各種販売契約における契約金額(償却保証金を除く)の合計値。なお、当該契約高には、当社以外が事業主となる物件に係る販売契約を含みます。 |
| 累計オーナー数 | 対象期間末日時点において、顧客との間で有効に締結された、「NOT A HOTEL」(二次流通を含む)及び「NOT A GARAGE」の各種販売契約に係る契約者の数。同一の契約者が複数の契約を保有する場合、及び複数のブランドの契約を保有する場合も、1名として計上します。各契約につき契約責任者1名を計上し、共同保有者は含みません。なお、当社以外が事業主となる物件及び他社ブランドに係る契約者は含みません。 |
| 開業拠点数 | 対象期間末日時点において、当社が運営する「NOT A HOTEL」ブランドの施設が 所在する拠点の数。宿泊可能な客室を有する拠点のほか、オーナー専用の クラブハウス等の施設のみを有する拠点を含みます。なお、当社以外が事業主と なる物件及び他社ブランドに係る拠点は含みません。 |
| 開業ハウス数 | 対象期間末日時点において、当社が運営する「NOT A HOTEL」ブランドの宿泊可能な客室(ハウス)の数。オーナー専用のクラブハウス・会議室等の宿泊を伴わない施設及び運営を終了した施設は含みません。なお、当社以外が事業主となる物件及び他社ブランドに係る客室は含みません。 |
| ホテル稼働率 | 対象期間において当社の運営する「NOT A HOTEL」ブランドの客室(運営受託物件を除く)についてオーナー又はゲストによる「宿泊日数」(分子)を、「営業日数である365日」(分母)で除し、100を乗じて算出(%)。 |
| 契約済み未実現売上高 | 各期末又は四半期末時点において顧客との契約が締結済みであるものの、物件の開業又は引渡しが未了のため、会計上未計上となっているアセット売上高の見込額。 契約高から、会計上既に売上計上した金額(ライセンス売上高並びに開業又は引渡し済みのアセット売上高)を控除して算出しております。 |
| 営業利益率 | 対象期間の連結営業利益を連結売上高で除し、100を乗じて算出(%)。 |
(客観的な指標の推移)
| 重要な経営指標 | 第5期連結会計年度 (自2024年4月1日 至2025年3月31日) | 第6期連結会計年度 (自2025年4月1日 至2026年3月31日) | 第7期中間 連結会計期間 (自 2026年4月1日 至 2026年9月30日) |
| 契約高(百万円) | 23,171 | 33,044 | 19,278 |
| 累計オーナー数(名) | 787 | 1,200 | 1,357 |
| 開業拠点数(拠点) | 6 | 9 | 10 |
| 開業ハウス数(ハウス) | 25 | 33 | 44 |
| ホテル稼働率(%) | 76.5 | 74.9 | 79.1 |
| 契約済み未実現売上高 (百万円) | 17,311 | 38,021 | 37,017 |
| 営業利益率(%) | 11.2 | 8.4 | 19.9 |