有価証券報告書-第171期(2023/04/01-2024/03/31)
(2)気候変動への対応
当社は01年、業界に先駆けて「環境憲章」を制定し、「環境先進企業となるべく、全社をあげて環境改善に努める」と宣言した。報道や「朝日地球会議」などのシンポジウムを通じて気候変動の危機的状況に警鐘を鳴らす一方、当社自らも毎年度、「環境行動計画」を策定し、環境負荷の低減に努めている。外部ネットワークとの連携も積極的に行い、企業・団体やNGOでつくるネットワーク「気候変動イニシアティブ」や、国連広報センターがメディアと共同で推進する気候キャンペーン「1.5℃の約束-いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」に参加。23年4月には産官学のネットワーク「GXリーグ」に参画した。23年11月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明するとともに、提言で推奨されているフレームワークに沿って、当社ウェブサイト(https://www.asahi.com/corporate/csr/12940413)にて情報を開示した。主な内容は次のとおりである。
①ガバナンス
サステナビリティ委員会が、グループ全体の気候変動対応の推進役を担う。年2回、定期開催するほか、必要に応じて随時開催する。取締役会は、CO2排出量の削減へ向けた各種取り組みの進捗状況などについて、サステナビリティ委員会から報告を受け、監督する。リスクの程度に応じ、経営会議、危機管理委員会と連携して対応する。また、東京本社と大阪本社には各本社代表を座長とする部門横断型の「環境管理者会」があり、環境対策を推進している。各本支社には「環境行動計画」があり、毎年度見直しながら実行。全社共通の行動計画については、サステナビリティ委員会担当の役員が経営会議及び取締役会に報告し、了承・承認を得ている。
②リスク管理
気候変動関連リスクの管理は、ほかのリスク同様、基本的にはグループ全体のリスク管理体制の中で対応する。気候関連リスクの評価・識別などについては、サステナビリティ委員会事務局を務めるコーポレート本部が担う。炭素税やカーボンクレジットの価格、水害の発生率などのデータをもとに、気候関連リスクを定期的にモニタリング。結果はサステナビリティ委員会から取締役会に報告する。
③戦略
気候変動が経営に与える影響について、低炭素社会への移行が進み、産業革命前から今世紀末までの気温上昇を1.5℃に抑えるシナリオと、温暖化対策が進まず産業革命前から今世紀末までに気温が4℃上昇し、自然災害が激甚化するシナリオの二つを想定して分析した。対象は「メディア・コンテンツ事業」と「不動産事業」。それぞれの事業のリスクと機会をシナリオごとに特定し、2030年(中期)と2050年(長期)における影響を定量的に評価して、対応策を検討した。その結果、いずれのシナリオにおいても、当社グループの事業は継続可能であり、一定のレジリエンスを有していることを確認した。分析の結果は次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
1.5℃シナリオにおいては、炭素税、排出量取引といったカーボンプライシング(炭素課金)政策が本格的に導入されると、自社のCO2排出に対する課税やカーボンクレジット購入に伴うコスト負担が増すほか、新聞用紙など原材料への価格転嫁が進むことが、リスクとして想定される。対策として、再生可能エネルギーの導入や省エネの推進、環境負荷の低い印刷技術の開発などによりCO2排出量を削減し、影響を抑える。一方、気候変動に対する社会の関心が高まり、関連する情報やサービスへのニーズが高まることが、機会として想定される。これまで報道やイベントを通して温暖化対策の必要性を呼びかけてきたが、こうした取り組みを一層強化し、培ってきたブランド力を新規ビジネスの創出につなげる。
4℃シナリオにおいては、豪雨や台風、大雪などの自然災害が発生し、大規模停電による機能不全、従業員や印刷工場などの生産設備が被害を受けたり、新聞用紙やインキなどの生産資材の調達難が起きたりする物理的なリスクが想定される。当社グループは、こうした災害による業務への影響を極力抑えて事業を継続し、早期復旧をはかるための事業継続計画(BCP)を策定し、訓練を毎年実施している。本社機能の代替、デジタル媒体による災害情報の発信、工場が被災した場合の代替印刷、同業他社との災害時相互援助協定に基づく緊急措置など、あらゆる対策により、必要とされる情報を読者へ届ける。
[不動産事業]
1.5℃シナリオにおいては、環境性能が高いZEB(Net Zero Energy Building)が一般的になり、炭素税の拡大に伴って資材価格や輸送費が上昇し、建築コストの高騰がリスクとして想定される。一方、テナント企業やホテル、音楽ホールなどの施設利用者による脱炭素志向も高まり、環境性能の高い物件の賃料や利用料の上昇が事業機会として期待される。効率的な建築資材の調達ルートを確保して建築コスト増の影響を抑える一方、省エネやZEB化を推進し、不動産の環境性能を高める。
4℃シナリオにおいては、洪水などの自然災害が激甚化し、リスクへの備えに応じて不動産の価値が変動することが想定される。被災状況を把握するシステムの導入や対応マニュアルの充実を通じ、災害リスクへの備えを拡充する。
④指標及び目標
当社グループは新たな温室効果ガス(GHG)排出量の削減目標を、パリ協定が求める水準と整合するSBT(Science Based Targets)水準に設定した。燃料やガスの燃焼による自社からの直接排出(Scope1)と、電気や熱、蒸気の使用に伴う間接排出(Scope2)の合計を、グループとして2030年度までに21年度比で40%削減する。2050年度にはサプライチェーン全体でカーボンニュートラル(実質ゼロ)をめざす。なお、地球温暖化が加速している状況を踏まえ、削減目標は上積みできるように見直す。
21年度の当社グループのGHG排出量は、Scope1+2がCO2換算で約7万t、Scope3が91万tだった。サプライチェーン全体では約98万tで、新聞用紙やインクなどの原材料、印刷工場から読者までの輸配送といった新聞発行に伴う排出が多い構造となっている。
当社は01年、業界に先駆けて「環境憲章」を制定し、「環境先進企業となるべく、全社をあげて環境改善に努める」と宣言した。報道や「朝日地球会議」などのシンポジウムを通じて気候変動の危機的状況に警鐘を鳴らす一方、当社自らも毎年度、「環境行動計画」を策定し、環境負荷の低減に努めている。外部ネットワークとの連携も積極的に行い、企業・団体やNGOでつくるネットワーク「気候変動イニシアティブ」や、国連広報センターがメディアと共同で推進する気候キャンペーン「1.5℃の約束-いますぐ動こう、気温上昇を止めるために。」に参加。23年4月には産官学のネットワーク「GXリーグ」に参画した。23年11月には「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明するとともに、提言で推奨されているフレームワークに沿って、当社ウェブサイト(https://www.asahi.com/corporate/csr/12940413)にて情報を開示した。主な内容は次のとおりである。
①ガバナンス
サステナビリティ委員会が、グループ全体の気候変動対応の推進役を担う。年2回、定期開催するほか、必要に応じて随時開催する。取締役会は、CO2排出量の削減へ向けた各種取り組みの進捗状況などについて、サステナビリティ委員会から報告を受け、監督する。リスクの程度に応じ、経営会議、危機管理委員会と連携して対応する。また、東京本社と大阪本社には各本社代表を座長とする部門横断型の「環境管理者会」があり、環境対策を推進している。各本支社には「環境行動計画」があり、毎年度見直しながら実行。全社共通の行動計画については、サステナビリティ委員会担当の役員が経営会議及び取締役会に報告し、了承・承認を得ている。
②リスク管理
気候変動関連リスクの管理は、ほかのリスク同様、基本的にはグループ全体のリスク管理体制の中で対応する。気候関連リスクの評価・識別などについては、サステナビリティ委員会事務局を務めるコーポレート本部が担う。炭素税やカーボンクレジットの価格、水害の発生率などのデータをもとに、気候関連リスクを定期的にモニタリング。結果はサステナビリティ委員会から取締役会に報告する。
③戦略
気候変動が経営に与える影響について、低炭素社会への移行が進み、産業革命前から今世紀末までの気温上昇を1.5℃に抑えるシナリオと、温暖化対策が進まず産業革命前から今世紀末までに気温が4℃上昇し、自然災害が激甚化するシナリオの二つを想定して分析した。対象は「メディア・コンテンツ事業」と「不動産事業」。それぞれの事業のリスクと機会をシナリオごとに特定し、2030年(中期)と2050年(長期)における影響を定量的に評価して、対応策を検討した。その結果、いずれのシナリオにおいても、当社グループの事業は継続可能であり、一定のレジリエンスを有していることを確認した。分析の結果は次のとおりである。
[メディア・コンテンツ事業]
1.5℃シナリオにおいては、炭素税、排出量取引といったカーボンプライシング(炭素課金)政策が本格的に導入されると、自社のCO2排出に対する課税やカーボンクレジット購入に伴うコスト負担が増すほか、新聞用紙など原材料への価格転嫁が進むことが、リスクとして想定される。対策として、再生可能エネルギーの導入や省エネの推進、環境負荷の低い印刷技術の開発などによりCO2排出量を削減し、影響を抑える。一方、気候変動に対する社会の関心が高まり、関連する情報やサービスへのニーズが高まることが、機会として想定される。これまで報道やイベントを通して温暖化対策の必要性を呼びかけてきたが、こうした取り組みを一層強化し、培ってきたブランド力を新規ビジネスの創出につなげる。
4℃シナリオにおいては、豪雨や台風、大雪などの自然災害が発生し、大規模停電による機能不全、従業員や印刷工場などの生産設備が被害を受けたり、新聞用紙やインキなどの生産資材の調達難が起きたりする物理的なリスクが想定される。当社グループは、こうした災害による業務への影響を極力抑えて事業を継続し、早期復旧をはかるための事業継続計画(BCP)を策定し、訓練を毎年実施している。本社機能の代替、デジタル媒体による災害情報の発信、工場が被災した場合の代替印刷、同業他社との災害時相互援助協定に基づく緊急措置など、あらゆる対策により、必要とされる情報を読者へ届ける。
[不動産事業]
1.5℃シナリオにおいては、環境性能が高いZEB(Net Zero Energy Building)が一般的になり、炭素税の拡大に伴って資材価格や輸送費が上昇し、建築コストの高騰がリスクとして想定される。一方、テナント企業やホテル、音楽ホールなどの施設利用者による脱炭素志向も高まり、環境性能の高い物件の賃料や利用料の上昇が事業機会として期待される。効率的な建築資材の調達ルートを確保して建築コスト増の影響を抑える一方、省エネやZEB化を推進し、不動産の環境性能を高める。
4℃シナリオにおいては、洪水などの自然災害が激甚化し、リスクへの備えに応じて不動産の価値が変動することが想定される。被災状況を把握するシステムの導入や対応マニュアルの充実を通じ、災害リスクへの備えを拡充する。
④指標及び目標
当社グループは新たな温室効果ガス(GHG)排出量の削減目標を、パリ協定が求める水準と整合するSBT(Science Based Targets)水準に設定した。燃料やガスの燃焼による自社からの直接排出(Scope1)と、電気や熱、蒸気の使用に伴う間接排出(Scope2)の合計を、グループとして2030年度までに21年度比で40%削減する。2050年度にはサプライチェーン全体でカーボンニュートラル(実質ゼロ)をめざす。なお、地球温暖化が加速している状況を踏まえ、削減目標は上積みできるように見直す。
21年度の当社グループのGHG排出量は、Scope1+2がCO2換算で約7万t、Scope3が91万tだった。サプライチェーン全体では約98万tで、新聞用紙やインクなどの原材料、印刷工場から読者までの輸配送といった新聞発行に伴う排出が多い構造となっている。