有価証券報告書-第50期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、2020年度に向けた中期経営計画を策定し、目指す企業像を「先端診断分野で存在感のあるグローバルニッチ企業として価値を創出する」として目標に向けた施策を推進しています。
これまで当社グループは、2つの柱となる臨床検査薬と基礎研究用試薬の事業を有していました。
臨床検査薬事業は、バイオテクノロジー基幹技術(抗体作製技術、分子生物学的技術、免疫学的及び遺伝子検出技術)を駆使した自己免疫疾患、がん等を対象とした特殊検査薬の研究開発から高品質な製品の開発、製造と品質管理、国内での許認可、学術、販売力が強みです。今日まで自己免疫疾患やがん領域の免疫・血清学検査試薬、及び遺伝子検査試薬でユニークな製品群を上市してきました。これまで成長させてきた臨床検査薬事業をさらに発展させ、特徴ある製品開発、新規な事業あるいはサービスを提供していきます。
基礎研究用試薬事業は、ライフサイエンス・トランスレーショナルリサーチ(Life Science Translational Research:LSTR)事業へ再編して、疾病と関連した研究用試薬を上市し、その先に臨床検査薬として開発、製造、認可、販売できる体制に再構築しました。今後、LSTR事業からは、将来の臨床検査薬として製品化できる可能性の高い製品群を上市する方針とし、臨床検査薬事業に選択と集中する事業戦略としています。
今後も、先端臨床検査薬及び関連サービスの提供にチャレンジする企業として、存在感あるグローバルニッチ企業を目指していきます。LSTR製品パイプラインから将来の先端診断薬へ向けた当社グループの取り組みに対して、魅力や成長性を実感していただける企業集団にしていきたいと思います。
企業は人なり、当社グループは人財の尊重・育成と雇用環境の提供を継承していく方針は従来と変わりありません。
(2) 経営環境及び目標とする経営指標
当期の連結業績は営業利益、経常利益とも黒字の結果となりました。3期連続の赤字から脱却し、3期連続で営業利益を出せる体制になってきましたが、V字回復へ向けて一層の経営努力が必要です。全社レベルの生産性向上と経営資源の効率的な利用に努めながら、将来の事業拡大に向けた設備や事業の芽への積極的な投資も継続していきます。
当社グループは、先端診断分野で存在感のあるグローバルニッチ企業として価値を創出するため、先端診断分野や新規事業への挑戦を続けます。
中期経営計画に基づいた中期及び長期施策(「(3) 中長期的な会社の経営戦略」をご参照ください。)のバランスを取りながら、持続的な企業成長のため、利益体質を強化してまいります。2020年度には売上高90億円以上、売上高営業利益率(ROS)10%以上を目指します。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2020年度に向けて先端診断分野で存在感のあるグローバルニッチ企業として価値を創出できるライフサイエンス企業を目指しています。LSTR事業を通じた知見を基に、疾患の発症、早期診断、及び薬剤選択、有効性・有害事象の評価、治療の予後モニターなど治療と関連したバイオマーカー、更にはコンパニオン診断薬などの先端領域に注力した研究開発を推進します。
医療技術の進歩を的確にとらえていち早く先端診断分野で製品を上市していくためには、自前主義だけでは、その達成が困難になってきています。アカデミアとの共同研究による製品開発シーズへのアクセスだけでなく、異業種企業との提携による当社技術とシナジーのある新規事業・サービス、オープン・イノベーションへの参画など、社外との戦略的連携が必要と認識しています。
中期的な事業戦略に関しては国内市場堅持と中国事業強化、長期的には新規事業創出を掲げています(図.中長期的事業戦略をご参照ください。)。
図.中長期的事業戦略
① 中期施策
a.国内市場の堅持
国内では、自己免疫疾患やがん領域の臨床検査薬に引き続き注力していきます。自己免疫疾患やがん領域において自己抗体や抗原を検出する免疫・血清学検査試薬(MESACUPシリーズ、ステイシアMEBLuxシリーズ)を柱として企業成長を遂げてきました。国内では長年にわたり製品の品質や信頼によって競合製品群から市場を堅守してきましたが、競合他社との価格競争が厳しくなっております。
この様な状況下、当社は、この免疫・血清学検査試薬を発展あるいは変革させ、差別化された製品の開発と上市、新規な事業あるいはサービスを創出することが重要課題と認識しています。遺伝子検査試薬は免疫・血清学検査試薬に続く第2の柱として製品群を発売してきました。既存の遺伝子検査製品に加え、がん関連及び感染症関連の新たな診断項目の開発によって製品群を充実させ、事業を成長させます。
b.中国事業の強化
中国では、当社子会社である北京博尓邁生物技術有限公司が基礎研究用試薬やJSRの企業向けマテリアルを中国市場で販売しています。中国検査薬市場での事業拡大を図るべく、中国市場のニーズに合った新製品の迅速な市場投入及び生産コスト低減の実現を目的として、2017年2月に恩碧楽(杭州)生物科技有限公司を設立しました。2018年1月から診断薬原料の商業生産を開始して、北京博尓邁生物技術有限公司を通じて中国診断薬メーカーへ販売を開始しました。今後は、最終製品の製造や許認可を取得できる体制も構築していきます。現地化によって、製造、許認可、販売まで一貫した機能を持つ診断薬メーカーとして、中国事業の拡大を図ります。
また広大な国土と急速なデジタル化が進む中国市場の特性を勘案して、デジタルマーケティングを市場ニーズの把握、学術、販売促進の有効なツールとして活用していきます。
c.選択と集中及び技術集約による臨床検査薬の開発効率向上と製品化
「先端診断分野で存在感のあるグローバルニッチ企業として価値を創出する」の方針を実現していくには、更に研究開発機能を臨床検査薬の開発に選択・集中することが必要と認識しています。そのために、研究開発費と人的な資源を臨床検査薬の研究開発にシフトしていきます。それによって、新規で差別化された製品群をタイムリーに市場に投入していきます。
d.品質マネジメントシステムの強化
高品質な先端診断薬を提供していくためには、研究開発、製造、品質管理、品質保証、マーケッティング、学術、販売に至るまで、全社レベルでの品質保証、品質マネジメント(QMS)に対する真摯な姿勢が重要であることを認識しています。2018年1月に信頼性保証部を新設し、更なるQMS体制強化に努めております。
② 長期施策
a.免疫システムを利用した創薬事業への展開:新規事業
疾患と関連した研究用試薬を上市して臨床医や疾病研究者に評価していただくことで、将来の臨床検査薬に繋げることを企図しています。特に、疾患の発症、早期診断、薬剤選択、有効性・有害事象の評価、治療の予後モニターなど治療と関連したバイオマーカー、コンパニオン診断薬などの個別化医療や精密医療に注力した製品開発を推進します。
MHCテトラマーは抗原特異的細胞傷害性T細胞の免疫機能をモニタリングする有用なLSTR製品です。国内では10年以上にわたり技術開発を続け、基礎研究分野に製品を提供してまいりました。今後、米国関連会社のMBL International Corporationと共に当該領域のグローバルトップメーカーを目指すと共に、免疫療法のバイオマーカーなどの新規用途も開拓していく計画です。
b.コンパニオン診断薬の受託開発サービス:新規事業
当社は、コンパニオン診断薬の受託開発業務を、2019年2月25日に開始しました。これまでも患者さんの治療に貢献する体外診断用医薬品を製薬企業や臨床医と連携し、上市してきました。本受託開発サービスでは、当社と共にグループ企業であるG&G サイエンス株式会社、株式会社新組織科学研究所、株式会社聖路加医学生物学研究所が培ってきた技術・ノウハウ、製品開発力、薬事申請能力を活かして新規事業を構築します。抗がん剤などでは承認申請時にコンパニオン診断薬の同時申請が望まれていることから、製薬企業やバイオベンチャーとの協業機会が増えることで、本サービスが発展することを期待しています。
c.新規事業シーズの創出
JSRが学校法人慶應義塾大学と共同で設立したJSR・慶應義塾大学医学化学イノベーションセンター(JKiC)が2017年10月に開所されました。当社はJSRグループのライフサイエンス事業の中核企業として、共同研究計画策定への参画やJKiCへの人員派遣によって、研究と事業の創造にコミットします。
③ 人財育成
体系的人事施策による人財育成を中期計画の骨子としてまいります。グローバルに活躍できる人財を育成すべく、計画的な社内ローティションやJSRとの人財交流など活発、積極的に実践してまいります。
(4) 会社の対処すべき課題
① 製品開発戦略・事業化戦略を立案、実行する機能
新規の製品開発や事業化においては、ライフサイエンス産業の動向(医療トレンド、知財、技術、製品化、薬事及びその他の規制対応、産業変化)を的確にとらえ、時代のニーズにマッチした迅速な製品開発やサービスの提供が重要と考えています。そのためには、製品開発戦略を立案、実行する機能が必要と認識しています。製品開発戦略における課題は、先端的な製品開発と継続的な製品上市があげられます。当社製品を単に海外市場で販売するだけではなく、JSRライフサイエンス事業に属するグループ企業各社の米国、欧州、中国拠点からの最先端の情報や、マーケティング活動から得られた情報に基づいた新製品の開発も目指しています。
2019年1月1日付で、JSRライフサイエンス事業を統括するJSR Life Sciences, LLCが米国に設立されました。今後、グループ企業各社の注力する分野のシナジー創出により、JSRグループ各社との協業を最大化して成果を出すことが喫緊の課題です。免疫システムを利用した創薬支援事業、コンパニオン診断薬の受託開発サービスなど新規事業の策定、事業化を実現してまいります。
② 中国市場への展開強化
当社の販売する臨床検査薬は、中国、米国、欧州など国・地域ごとに体外診断用医薬品として認可を受けた後に販売可能となります。日本で開発した新製品を海外でも遅延なく認可を取得して上市することが重要課題と捉えています。国・地域ごとに薬事規制当局が要求する認可要件、及び販売戦略や価格などの市場ニーズに精通した人財を育成していくことが、グローバル化の必要条件と認識しています。
当社は、中国市場において、現在の診断薬原料の供給から、将来は現地化の推進により診断薬メーカーとして事業を拡大することに注力します(図.診断薬製品のバリュー・プロセスをご参照ください。)。中国子会社の北京博尓邁生物技術有限公司(MBLB)、及び恩碧楽(杭州)生物科技有限公司(MBLH)との緊密な連携の下で、日本から中国への製造技術の移管を行うと同時に、中国薬事許認可を取得する能力を向上させて、両社を中国の診断薬メーカーに発展させていきます。
図.診断薬製品のバリュー・プロセス
③ 高品質で安全な製品の安定生産と供給
a.当社グループでは、ISO13485 品質方針として以下の3つを定めています。
ⅰ)品質マネジメントシステムの有効性の維持、継続的な改善を図り、顧客の視点に立った品質を提供すること
ⅱ)顧客からの情報に耳を傾け、丁寧且つ迅速に対応すること
ⅲ)法令・規制要求事項の遵守を最優先し、安全で安心な製品とサービスを提供すること
b.当社グループでは、患者さんの生命に関わる診断、治療方針、薬剤選択を決定する重要な臨床検査薬を製造・販売しています。更に、今後拡大するグローバル販売のためには、高品質な臨床検査薬の製造体制、及び高度な品質管理とマネージメント体制(QMS)の継続的改善が課せられた義務です。
c.臨床検査薬の製品開発においては、製品を設計し、開発、製造、基礎性能試験、臨床性能試験、体外診断用医薬品としての認可、販売から学術支援までをシームレスに実行する機能が重要と認識しています。臨床検査薬の発売後は、原料購入から安定生産まで高品質な製品の供給体制、グローバル市場に供給可能な製造体制(例、薬事対応、規制対応、ISO13485の遵守)、製品に関する問い合わせ、苦情対応の体制の完備、ならびに苦情解決能力が重要と認識しています。先端診断分野においては、市場の多様化に適応した学術情報の提供、販促活動、営業体制も重要と認識しています。
④ コンプライアンスの強化について
当社グループは、一般社団法人 日本臨床検査薬協会が定めた「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」の理念を踏まえ、「企業活動と医療機関等の関係の透明性に関する指針」を策定し、当社の「企業倫理基準」及び「企業行動規範」とともに行動指針とし、当社の企業活動が医療をはじめとするライフサイエンスの発展に寄与していること、及びその活動が高い倫理性を担保したうえで行われていることを、広く社会に示すことを目的としております。
また、策定した指針に基づき、当社と医療機関及び医療関係者等との連携活動に伴う資金提供の情報の公開を行っています。
(1) 経営方針
当社グループは、2020年度に向けた中期経営計画を策定し、目指す企業像を「先端診断分野で存在感のあるグローバルニッチ企業として価値を創出する」として目標に向けた施策を推進しています。
これまで当社グループは、2つの柱となる臨床検査薬と基礎研究用試薬の事業を有していました。
臨床検査薬事業は、バイオテクノロジー基幹技術(抗体作製技術、分子生物学的技術、免疫学的及び遺伝子検出技術)を駆使した自己免疫疾患、がん等を対象とした特殊検査薬の研究開発から高品質な製品の開発、製造と品質管理、国内での許認可、学術、販売力が強みです。今日まで自己免疫疾患やがん領域の免疫・血清学検査試薬、及び遺伝子検査試薬でユニークな製品群を上市してきました。これまで成長させてきた臨床検査薬事業をさらに発展させ、特徴ある製品開発、新規な事業あるいはサービスを提供していきます。
基礎研究用試薬事業は、ライフサイエンス・トランスレーショナルリサーチ(Life Science Translational Research:LSTR)事業へ再編して、疾病と関連した研究用試薬を上市し、その先に臨床検査薬として開発、製造、認可、販売できる体制に再構築しました。今後、LSTR事業からは、将来の臨床検査薬として製品化できる可能性の高い製品群を上市する方針とし、臨床検査薬事業に選択と集中する事業戦略としています。
今後も、先端臨床検査薬及び関連サービスの提供にチャレンジする企業として、存在感あるグローバルニッチ企業を目指していきます。LSTR製品パイプラインから将来の先端診断薬へ向けた当社グループの取り組みに対して、魅力や成長性を実感していただける企業集団にしていきたいと思います。
企業は人なり、当社グループは人財の尊重・育成と雇用環境の提供を継承していく方針は従来と変わりありません。
(2) 経営環境及び目標とする経営指標
当期の連結業績は営業利益、経常利益とも黒字の結果となりました。3期連続の赤字から脱却し、3期連続で営業利益を出せる体制になってきましたが、V字回復へ向けて一層の経営努力が必要です。全社レベルの生産性向上と経営資源の効率的な利用に努めながら、将来の事業拡大に向けた設備や事業の芽への積極的な投資も継続していきます。
当社グループは、先端診断分野で存在感のあるグローバルニッチ企業として価値を創出するため、先端診断分野や新規事業への挑戦を続けます。
中期経営計画に基づいた中期及び長期施策(「(3) 中長期的な会社の経営戦略」をご参照ください。)のバランスを取りながら、持続的な企業成長のため、利益体質を強化してまいります。2020年度には売上高90億円以上、売上高営業利益率(ROS)10%以上を目指します。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2020年度に向けて先端診断分野で存在感のあるグローバルニッチ企業として価値を創出できるライフサイエンス企業を目指しています。LSTR事業を通じた知見を基に、疾患の発症、早期診断、及び薬剤選択、有効性・有害事象の評価、治療の予後モニターなど治療と関連したバイオマーカー、更にはコンパニオン診断薬などの先端領域に注力した研究開発を推進します。
医療技術の進歩を的確にとらえていち早く先端診断分野で製品を上市していくためには、自前主義だけでは、その達成が困難になってきています。アカデミアとの共同研究による製品開発シーズへのアクセスだけでなく、異業種企業との提携による当社技術とシナジーのある新規事業・サービス、オープン・イノベーションへの参画など、社外との戦略的連携が必要と認識しています。
中期的な事業戦略に関しては国内市場堅持と中国事業強化、長期的には新規事業創出を掲げています(図.中長期的事業戦略をご参照ください。)。
図.中長期的事業戦略① 中期施策
a.国内市場の堅持
国内では、自己免疫疾患やがん領域の臨床検査薬に引き続き注力していきます。自己免疫疾患やがん領域において自己抗体や抗原を検出する免疫・血清学検査試薬(MESACUPシリーズ、ステイシアMEBLuxシリーズ)を柱として企業成長を遂げてきました。国内では長年にわたり製品の品質や信頼によって競合製品群から市場を堅守してきましたが、競合他社との価格競争が厳しくなっております。
この様な状況下、当社は、この免疫・血清学検査試薬を発展あるいは変革させ、差別化された製品の開発と上市、新規な事業あるいはサービスを創出することが重要課題と認識しています。遺伝子検査試薬は免疫・血清学検査試薬に続く第2の柱として製品群を発売してきました。既存の遺伝子検査製品に加え、がん関連及び感染症関連の新たな診断項目の開発によって製品群を充実させ、事業を成長させます。
b.中国事業の強化
中国では、当社子会社である北京博尓邁生物技術有限公司が基礎研究用試薬やJSRの企業向けマテリアルを中国市場で販売しています。中国検査薬市場での事業拡大を図るべく、中国市場のニーズに合った新製品の迅速な市場投入及び生産コスト低減の実現を目的として、2017年2月に恩碧楽(杭州)生物科技有限公司を設立しました。2018年1月から診断薬原料の商業生産を開始して、北京博尓邁生物技術有限公司を通じて中国診断薬メーカーへ販売を開始しました。今後は、最終製品の製造や許認可を取得できる体制も構築していきます。現地化によって、製造、許認可、販売まで一貫した機能を持つ診断薬メーカーとして、中国事業の拡大を図ります。
また広大な国土と急速なデジタル化が進む中国市場の特性を勘案して、デジタルマーケティングを市場ニーズの把握、学術、販売促進の有効なツールとして活用していきます。
c.選択と集中及び技術集約による臨床検査薬の開発効率向上と製品化
「先端診断分野で存在感のあるグローバルニッチ企業として価値を創出する」の方針を実現していくには、更に研究開発機能を臨床検査薬の開発に選択・集中することが必要と認識しています。そのために、研究開発費と人的な資源を臨床検査薬の研究開発にシフトしていきます。それによって、新規で差別化された製品群をタイムリーに市場に投入していきます。
d.品質マネジメントシステムの強化
高品質な先端診断薬を提供していくためには、研究開発、製造、品質管理、品質保証、マーケッティング、学術、販売に至るまで、全社レベルでの品質保証、品質マネジメント(QMS)に対する真摯な姿勢が重要であることを認識しています。2018年1月に信頼性保証部を新設し、更なるQMS体制強化に努めております。
② 長期施策
a.免疫システムを利用した創薬事業への展開:新規事業
疾患と関連した研究用試薬を上市して臨床医や疾病研究者に評価していただくことで、将来の臨床検査薬に繋げることを企図しています。特に、疾患の発症、早期診断、薬剤選択、有効性・有害事象の評価、治療の予後モニターなど治療と関連したバイオマーカー、コンパニオン診断薬などの個別化医療や精密医療に注力した製品開発を推進します。
MHCテトラマーは抗原特異的細胞傷害性T細胞の免疫機能をモニタリングする有用なLSTR製品です。国内では10年以上にわたり技術開発を続け、基礎研究分野に製品を提供してまいりました。今後、米国関連会社のMBL International Corporationと共に当該領域のグローバルトップメーカーを目指すと共に、免疫療法のバイオマーカーなどの新規用途も開拓していく計画です。
b.コンパニオン診断薬の受託開発サービス:新規事業
当社は、コンパニオン診断薬の受託開発業務を、2019年2月25日に開始しました。これまでも患者さんの治療に貢献する体外診断用医薬品を製薬企業や臨床医と連携し、上市してきました。本受託開発サービスでは、当社と共にグループ企業であるG&G サイエンス株式会社、株式会社新組織科学研究所、株式会社聖路加医学生物学研究所が培ってきた技術・ノウハウ、製品開発力、薬事申請能力を活かして新規事業を構築します。抗がん剤などでは承認申請時にコンパニオン診断薬の同時申請が望まれていることから、製薬企業やバイオベンチャーとの協業機会が増えることで、本サービスが発展することを期待しています。
c.新規事業シーズの創出
JSRが学校法人慶應義塾大学と共同で設立したJSR・慶應義塾大学医学化学イノベーションセンター(JKiC)が2017年10月に開所されました。当社はJSRグループのライフサイエンス事業の中核企業として、共同研究計画策定への参画やJKiCへの人員派遣によって、研究と事業の創造にコミットします。
③ 人財育成
体系的人事施策による人財育成を中期計画の骨子としてまいります。グローバルに活躍できる人財を育成すべく、計画的な社内ローティションやJSRとの人財交流など活発、積極的に実践してまいります。
(4) 会社の対処すべき課題
① 製品開発戦略・事業化戦略を立案、実行する機能
新規の製品開発や事業化においては、ライフサイエンス産業の動向(医療トレンド、知財、技術、製品化、薬事及びその他の規制対応、産業変化)を的確にとらえ、時代のニーズにマッチした迅速な製品開発やサービスの提供が重要と考えています。そのためには、製品開発戦略を立案、実行する機能が必要と認識しています。製品開発戦略における課題は、先端的な製品開発と継続的な製品上市があげられます。当社製品を単に海外市場で販売するだけではなく、JSRライフサイエンス事業に属するグループ企業各社の米国、欧州、中国拠点からの最先端の情報や、マーケティング活動から得られた情報に基づいた新製品の開発も目指しています。
2019年1月1日付で、JSRライフサイエンス事業を統括するJSR Life Sciences, LLCが米国に設立されました。今後、グループ企業各社の注力する分野のシナジー創出により、JSRグループ各社との協業を最大化して成果を出すことが喫緊の課題です。免疫システムを利用した創薬支援事業、コンパニオン診断薬の受託開発サービスなど新規事業の策定、事業化を実現してまいります。
② 中国市場への展開強化
当社の販売する臨床検査薬は、中国、米国、欧州など国・地域ごとに体外診断用医薬品として認可を受けた後に販売可能となります。日本で開発した新製品を海外でも遅延なく認可を取得して上市することが重要課題と捉えています。国・地域ごとに薬事規制当局が要求する認可要件、及び販売戦略や価格などの市場ニーズに精通した人財を育成していくことが、グローバル化の必要条件と認識しています。
当社は、中国市場において、現在の診断薬原料の供給から、将来は現地化の推進により診断薬メーカーとして事業を拡大することに注力します(図.診断薬製品のバリュー・プロセスをご参照ください。)。中国子会社の北京博尓邁生物技術有限公司(MBLB)、及び恩碧楽(杭州)生物科技有限公司(MBLH)との緊密な連携の下で、日本から中国への製造技術の移管を行うと同時に、中国薬事許認可を取得する能力を向上させて、両社を中国の診断薬メーカーに発展させていきます。
図.診断薬製品のバリュー・プロセス③ 高品質で安全な製品の安定生産と供給
a.当社グループでは、ISO13485 品質方針として以下の3つを定めています。
ⅰ)品質マネジメントシステムの有効性の維持、継続的な改善を図り、顧客の視点に立った品質を提供すること
ⅱ)顧客からの情報に耳を傾け、丁寧且つ迅速に対応すること
ⅲ)法令・規制要求事項の遵守を最優先し、安全で安心な製品とサービスを提供すること
b.当社グループでは、患者さんの生命に関わる診断、治療方針、薬剤選択を決定する重要な臨床検査薬を製造・販売しています。更に、今後拡大するグローバル販売のためには、高品質な臨床検査薬の製造体制、及び高度な品質管理とマネージメント体制(QMS)の継続的改善が課せられた義務です。
c.臨床検査薬の製品開発においては、製品を設計し、開発、製造、基礎性能試験、臨床性能試験、体外診断用医薬品としての認可、販売から学術支援までをシームレスに実行する機能が重要と認識しています。臨床検査薬の発売後は、原料購入から安定生産まで高品質な製品の供給体制、グローバル市場に供給可能な製造体制(例、薬事対応、規制対応、ISO13485の遵守)、製品に関する問い合わせ、苦情対応の体制の完備、ならびに苦情解決能力が重要と認識しています。先端診断分野においては、市場の多様化に適応した学術情報の提供、販促活動、営業体制も重要と認識しています。
④ コンプライアンスの強化について
当社グループは、一般社団法人 日本臨床検査薬協会が定めた「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」の理念を踏まえ、「企業活動と医療機関等の関係の透明性に関する指針」を策定し、当社の「企業倫理基準」及び「企業行動規範」とともに行動指針とし、当社の企業活動が医療をはじめとするライフサイエンスの発展に寄与していること、及びその活動が高い倫理性を担保したうえで行われていることを、広く社会に示すことを目的としております。
また、策定した指針に基づき、当社と医療機関及び医療関係者等との連携活動に伴う資金提供の情報の公開を行っています。