有価証券報告書-第88期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)
(重要な後発事象)
(株式交換契約の締結)
当社と当社上場親会社である株式会社カネカ(以下「カネカ」といいます。)は、2022年5月12日開催の両社の取締役会において、カネカを株式交換完全親会社とし、当社を株式交換完全子会社とする株式交換を行うことを決議するとともに同日付けで株式交換契約(以下「本株式交換契約」といいます。)を締結いたしました。
また、本株式交換契約は、2022年6月15日開催の当社定時株主総会において、承認可決されております。
1.本株式交換の目的
カネカは、1949年に創業した後、同年10月31日に東京証券取引所市場第一部、株式会社大阪証券取引所(以下「大阪証券取引所」といいます。なお、2015年7月に東京証券取引所と大阪証券取引所の現物市場が統合され、これに伴い、東京証券取引所市場第一部に指定されております。)市場第一部に上場しました。2022年3月31日現在、カネカグループ(カネカ、カネカの連結子会社90社、非連結子会社22社及び関連会社16社(うち、持分法適用関連会社3社。)で構成される企業グループをいいます。以下同じです。)は、「Material Solutions Unit(塩化ビニル樹脂、モディファイヤー、変成シリコーンポリマー等)」、「Quality of Life Solutions Unit(スチレン系発泡樹脂・成型品、ポリイミドフィルム、太陽電池、アクリル系合成繊維等)」、「Health Care Solutions Unit(医療機器、低分子医薬品原料、API、バイオ医薬品等)」、「Nutrition Solutions Unit(機能性食品素材、マーガリン、香辛料、乳製品等)」を有し、幅広い分野でグローバルに事業を展開しております。
カネカグループでは、2009年9月の創立60周年を機に策定した長期経営ビジョン「KANEKA UNITED宣言」で定める「企業理念」、「目指す企業像」、「ESG憲章」から成る経営理念に基づき、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現することを経営の最重要課題としております。また、「KANEKA UNITED宣言」の実現に向けて、現中期経営計画において「環境・エネルギー」、「健康」、「情報通信」、「食料生産支援」の4つの成長分野へ経営資源を重点配分し、事業活動を通じて社会へ貢献することを目指しております。
一方、当社は、1923年に創業し、1968年には東京証券取引所市場第二部に上場し、提出日現在、当社グループ(当社、当社の連結子会社8社及び持分法適用関連会社2社で構成される企業グループをいいます。以下同じです。)は、接着剤、シーリング材の専業メーカーとしての基盤を確立しており、その品質や技術力の高さは国内外に広く知られております。また、当社グループは、「より良い製品をより多くの人に提供することにより社会貢献する」という企業理念のもと、1923年11月に製造販売を開始した溶液型接着剤である「セメダインA」(1931年に「セメダイン」を商標登録)をはじめとし、1938年3月に完成した日本初の家庭用合成接着剤で無色透明で耐水性・耐熱性・速乾性に優れた「セメダインC」により、模型飛行機ブーム、教育支援活動等を経て全国的に広く普及しその名称が接着剤の代名詞と言われるほど今日でも広く使用されております。その後も耐久性に優れ、建物内外装の広範囲な用途に適するシーリング材「セメダインPOSシール」、粘着接着が可能な無溶剤型の弾性接着剤「セメダインスーパーX」等、数多くの画期的製品を市場に送り出しております。開発力の高さでも定評があり、近年には海外展開にも積極的に取り組み、1977年の台湾子会社「台湾施敏打硬股份有限公司」の設立を皮切りとして、1981年にタイ、2012年に中国、フィリピン、2013年に米国へと海外展開を推進し、『「つけるが、価値。」つけることを通じて、新しい価値を生み出し、世の中の課題に答えを出す。』をミッションとして、グループ全体の事業基盤を強化・拡大するための施策を実行中であります。
カネカグループは、製造する変成シリコーンポリマー等を当社グループへ製品原料として供給しており、両社グループの協力関係形成に向け、カネカは、段階的に当社株式を取得しております。カネカは、1990年4月に第三者割当増資により資本参加して以降、2015年12月に実施した公開買付けを含む市場内外における取引を通じて当社株式を追加取得し、提出日時点で当社株式を8,218,700株(2022年3月31日現在の発行済株式総数(自己株式数を除く)に占める割合にして54.76%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、保有割合の計算において同じです。))所有しております。
昨今、両社を取り巻く事業環境は大きく変化しております。カネカにおいては、当社を連結子会社とした後、想定していた①構造用接着剤(注1)や熱伝導性接着剤(注2)等の大きな成長が期待される分野での新規開発、②欧米、アジアにおけるグローバル事業拡大、③カネカが有する人材、知見等も活用したコスト競争力強化、安全・安定操業確保策の実施等のシナジー効果の実現に向け注力して参りました。具体的には、先端分野における両社での研究開発及び中国・米国等での建築分野や自動車分野における市場開発、事業展開において、緊密に協働して参りました。その結果として、相応の効果発現は達成できたものの、カネカと当社がともに上場会社として独立した事業運営を行っている現状では、両社の共同事業運営、経営資源の相互活用に関して、当社の少数株主の利益を考慮した慎重な検討を要する等、カネカグループ全体として最適な意思決定を迅速かつ柔軟に行うことが十分にできていない点があり、海外事業の更なる拡大や新規事業開発、技術開発をスピーディに実行するための課題となっていると考えております。加えて、カネカは、2019年に経済産業省が策定した「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」や、2020年の東京証券取引所における「従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会」の設置をはじめとする上場会社の独立性に関する昨今の議論も踏まえ、当社との資本関係の在り方について検討を続けて参りましたが、本株式交換の実行により当社をカネカの完全子会社とすることは、更なるカネカグループ全体の意思決定スピードの向上に寄与し、新規事業開発、海外事業展開等の重要課題に対して両社の経営資源を適時適切に投入・活用することを可能とし、カネカ及び当社両社にとって企業価値向上の観点から最適な選択であると考えるに至り、2021年12月下旬にカネカから当社に対して本株式交換の提案を行いました。
(注1) 「構造用接着剤」とは、主に自動車、船舶、航空機等において長時間、大きな荷重に耐えることが可能な信頼性の高い接着剤です。近年、自動車軽量化のための異材接合、走行快適性等において注目が高まるとともに接着剤も多様化しております。
(注2) 「熱伝導性接着剤」とは、熱伝導性が高く熱放散性に優れる接着剤であり、電装品等の高温にさらされる部品の接着をはじめとした用途に使用されます。
カネカは本株式交換により当社がカネカの完全子会社となることで、当社が享受できるメリットとして、当社によるカネカの有するグローバル事業基盤、顧客ネットワーク、技術、ノウハウ、人材等の経営資源の活用が迅速かつ柔軟に行えることにより、当社のブランド・事業価値を更に向上させ、より存在感のある企業になることが可能になると考えております。
具体的には、接着剤の原料樹脂に関するカネカのポリマー合成技術と当社の配合・評価技術の組み合わせを深化させることで当社における構造用接着剤や熱伝導性接着剤等の新規開発を更に加速するとともに、カネカのグローバルな経営資産の活用により、スピーディかつ効率的に事業を拡大することが可能と考えます。構造用接着剤については、自動車のボディの接合用途において更なる性能向上とグローバル展開により採用を拡大していくことが可能と考えます。また、建築分野においても、構造用接着剤を従来のボルトや溶接ではない新たな接合方法として提案しており、カネカが有する断熱材、PV(注3)等の事業でのゼネコン、ハウスメーカー、工務店等との関係性をより一層有効活用することで、当社の事業拡大が可能と考えます。熱伝導性接着剤については、電機・通信分野において両社が保有する熱対策についてのニーズ情報、技術、製品、及び顧客アクセス等を活用することによる当社製品の開発の加速と、今後、大きな成長が期待できるEV(電気自動車)用電装品の放熱用途における、カネカのグローバルネットワークを活用した欧米での展開加速により、事業を拡大することが可能と考えます。
(注3) 「PV」とは、「photovoltaic(フォトボルタイク)」の略で、カネカにおいては太陽電池の製造・販売事業を指します。
他方、当社においても、親会社で支配株主であるカネカからの提案を受けて、下記「3.本株式交換に係る割当ての内容の根拠等」の「(4)公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含む)」に記載のとおり、本株式交換の公正性を担保するため、本株式交換の検討に当たり必要となる独立した検討体制の具体的な内容について検討し、当該検討体制を適切に構築した上、2022年2月中旬以降、本株式交換に係る具体的検討を開始することといたしました。具体的検討を開始するに際し、カネカからの提案に対する当社取締役会における意思決定過程の公正性、透明性及び客観性の確保並びに意思決定の恣意性の排除を目的として、2022年2月25日に支配株主であるカネカとの間で利害関係を有しない独立した委員から構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といい、詳細については、下記「3.本株式交換に係る割当ての内容の根拠等」の「(4)公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含む)」をご参照ください。)を設置し、併せて外部専門家を起用する等の具体的検討に向けた体制を整備いたしました。
当該体制のもとカネカからの提案について慎重に検討した結果、当社は、当社がカネカの完全子会社となることで、従来以上に両社グループの連携を緊密化して経営判断の迅速化を図ることが可能となり、また、両社グループの有する資産、技術、ノウハウ、海外ネットワーク等の経営資源をより一層活用することにより、両社グループの中長期的な視点に立った経営戦略を機動的に実現することが可能となるため、本株式交換は当社の企業価値向上に資するとの認識に至りました。本株式交換後の具体的な施策及びそれに基づき顕在化する事業シナジーとしては、以下のものを想定しております。
1.カネカグループが幅広い事業領域において有する、資産、技術、人材、ノウハウ、海外拠点のインフラなどの豊富な経営資源を当社が積極的に活用することで、新規事業拡大、グローバル化の推進といった事業構造改革を更に加速する。
2.当社グループが有する接着剤に関する技術、具体的には各種原料の配合技術、耐久性、接着性をはじめとした評価技術及び導電や防湿などの価値を付与する技術とカネカグループが有する原料樹脂に関するポリマー合成技術を組み合わせ、海外、特に欧米市場における工業用を中心とした新規の接着剤、シーリング材及びコーティング剤等の技術開発を推進し相互の事業基盤を更に強化する。
3.カネカグループの電装品やLED部品用の熱伝導性接着剤と当社グループの電子材料用接着剤を両社の製品ラインナップに加え、これらの幅広いラインナップを相互の販路を活用することにより拡販し、相互の業容を更に拡大する。
4.非上場会社となることで、当社において、短期的な株式市場からの評価にとらわれることなく機動的かつ迅速な意思決定が可能となることや、親子上場解消に伴う経費削減などにより経営効率を向上させること及びカネカグループが有する資金・人材など事業リソースへのアクセスを強化することで成長戦略を加速させる
このような状況下で、当社は、カネカからの申し入れについて慎重に検討した結果、自らの親会社であり、当社グループの製品の原料供給元であるカネカの完全子会社となることで、カネカとの提携関係をさらに強化し、カネカによる積極的な経営資源の投入を受けること、グループ経営のさらなる効率化を図ることが可能となり、迅速な意思決定のもと、より中長期的な視点での経営戦略を実現できる体制を構築することが可能になると考え、本株式交換によりカネカの完全子会社となることが当社の企業価値向上に資すると認識するに至りました。
両社は、完全子会社化の方法としては、本株式交換の対価としてカネカの普通株式(以下「カネカ株式」といいます。)が当社の少数株主の皆様に交付されることにより、カネカ株式の保有を通じて、本株式交換後に想定されている各種施策の実行を通じて期待されるシナジー効果や、シナジー効果の発現によるカネカの事業発展・収益拡大、その結果としてのカネカ株式の株価上昇等を享受する機会を当社の少数株主の皆様に対して提供できる一方、流動性の高いカネカ株式を市場で取引することで随時現金化することも可能であることを踏まえ、本株式交換のスキームを選択することが望ましいとの判断に至りました。
以上の点を踏まえて、両社において総合的に検討した結果、両社は本株式交換によって当社がカネカの完全子会社となることが、両社の企業価値の向上に資するものであるとの認識で一致したことから、本株式交換に係る割当比率を含む諸条件についての検討及び協議を経て合意に至り、2022年5月12日の両社の取締役会において、カネカが当社を完全子会社とすることを目的として、本株式交換を実施することを決議し、本株式交換契約を締結いたしました。両社は、本株式交換を実施し、経営の柔軟性向上、グループ戦略のより一層の強化、親子上場解消に伴う経費削減等による経営効率向上等を達成し、両社の企業価値向上を目指して参ります。
2.本株式交換の要旨
(1)本株式交換の日程
(注1)カネカは会社法第796条第2項の規定に基づく簡易株式交換の手続により、株主総会の決議による本株式交換契約締結の承認を得ずに本株式交換を行う予定です。
(注2)上記日程は、本株式交換の手続進行上の必要性その他の事由により必要な場合は、両社が協議し合意の上、変更されることがあります。上記日程に変更が生じた場合には、速やかに公表いたします。
(2)本株式交換の方式
本株式交換は、カネカを株式交換完全親会社とし、当社を株式交換完全子会社とする株式交換です。本株式交換はカネカにおいては、会社法第796条第2項の規定に基づき、株主総会の決議による承認を必要としない簡易株式交換の手続により、また、当社においては、2022年6月15日に開催の当社の定時株主総会における本株式交換契約の承認可決により、2022年8月1日を効力発生日として行われる予定です。
(3)本株式交換に係る割当ての内容
(注1)株式の割当比率
当社株式1株に対して、カネカ株式0.282株を割当交付いたします。ただし、カネカが保有する当社株式8,218,700株(提出日現在)については、本株式交換による株式の割当ては行いません。なお、上記の本株式交換に係る割当比率(以下「本株式交換比率」といいます。)は、算定の根拠となる諸条件に重大な変更が生じた場合、両社間で協議及び合意の上、変更することがあります。
(注2)本株式交換により交付するカネカの株式数
カネカは、本株式交換に際して、本株式交換によりカネカが当社の発行済株式(ただし、カネカが保有する当社株式を除きます。)の全部を取得する時点の直前時(以下「基準時」といいます。)における当社の株主の皆様(ただし、カネカを除きます。)に対して、その所有する当社株式の株式数の合計に本株式交換比率を乗じた数のカネカ株式を割当交付する予定です。なおカネカはかかる交付にあたり、その保有する自己株式を充当する予定であり、本株式交換における割当てに際して新たに株式を発行する予定はありません。なお、当社は、本株式交換の効力発生日の前日までに開催する取締役会の決議により、基準時において保有する自己株式(本株式交換に関する会社法第785条第1項に基づく反対株主の株式買取請求に応じて取得する株式を含みます。)の全部を、基準時までに消却する予定です。本株式交換によって交付する株式数は、当社の自己株式の取得、消却等の理由により、今後修正される可能性があります。また、上記の本株式交換により交付する株式数は、当社が発行する新株予約権が本株式交換の効力発生日の前日までに全て行使されることを前提とするものであり、これらの新株予約権の一部又は全部が行使されなかった場合には、本株式交換により交付する株式数は減少することになります。
(注3)単元未満株式の取扱い
本株式交換に伴い、カネカの単元未満株式(100株未満)を保有することとなる当社の株主の皆様については、本株式交換の効力発生日以降、カネカ株式に関する以下の制度をご利用いただくことができます。なお、金融商品取引所市場においてカネカの単元未満株式を売却することはできません。
①単元未満株式の買増制度(1単元(100株)への買増し)
会社法第194条第1項及びカネカの定款第7条の定め等に基づき、単元未満株式を保有する株主の皆様が、その保有する単元未満株式の数と併せて1単元(100株)となる数のカネカ株式を売り渡すことを請求し、これをカネカから買い増すことができる制度です。
②単元未満株式の買取制度(1単元(100株)未満株式の売却)
会社法第192条第1項の規定に基づき、カネカの単元未満株式を保有する株主の皆様が、その保有する単元未満株式を買い取ることをカネカに対して請求することができる制度です。
(注4)1株に満たない端数の処理
本株式交換に伴い、カネカ株式1株に満たない端数の割当交付を受けることとなる当社の株主の皆様に対しては、会社法第234条その他の関連法令の規定に基づき、その端数の合計数(合計数に1株に満たない端数がある場合は、これを切り捨てるものとします。)に相当する数のカネカ株式を売却し、かかる売却代金をその端数に応じて当該株主の皆様に交付いたします。
(株式交換契約の締結)
当社と当社上場親会社である株式会社カネカ(以下「カネカ」といいます。)は、2022年5月12日開催の両社の取締役会において、カネカを株式交換完全親会社とし、当社を株式交換完全子会社とする株式交換を行うことを決議するとともに同日付けで株式交換契約(以下「本株式交換契約」といいます。)を締結いたしました。
また、本株式交換契約は、2022年6月15日開催の当社定時株主総会において、承認可決されております。
1.本株式交換の目的
カネカは、1949年に創業した後、同年10月31日に東京証券取引所市場第一部、株式会社大阪証券取引所(以下「大阪証券取引所」といいます。なお、2015年7月に東京証券取引所と大阪証券取引所の現物市場が統合され、これに伴い、東京証券取引所市場第一部に指定されております。)市場第一部に上場しました。2022年3月31日現在、カネカグループ(カネカ、カネカの連結子会社90社、非連結子会社22社及び関連会社16社(うち、持分法適用関連会社3社。)で構成される企業グループをいいます。以下同じです。)は、「Material Solutions Unit(塩化ビニル樹脂、モディファイヤー、変成シリコーンポリマー等)」、「Quality of Life Solutions Unit(スチレン系発泡樹脂・成型品、ポリイミドフィルム、太陽電池、アクリル系合成繊維等)」、「Health Care Solutions Unit(医療機器、低分子医薬品原料、API、バイオ医薬品等)」、「Nutrition Solutions Unit(機能性食品素材、マーガリン、香辛料、乳製品等)」を有し、幅広い分野でグローバルに事業を展開しております。
カネカグループでは、2009年9月の創立60周年を機に策定した長期経営ビジョン「KANEKA UNITED宣言」で定める「企業理念」、「目指す企業像」、「ESG憲章」から成る経営理念に基づき、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現することを経営の最重要課題としております。また、「KANEKA UNITED宣言」の実現に向けて、現中期経営計画において「環境・エネルギー」、「健康」、「情報通信」、「食料生産支援」の4つの成長分野へ経営資源を重点配分し、事業活動を通じて社会へ貢献することを目指しております。
一方、当社は、1923年に創業し、1968年には東京証券取引所市場第二部に上場し、提出日現在、当社グループ(当社、当社の連結子会社8社及び持分法適用関連会社2社で構成される企業グループをいいます。以下同じです。)は、接着剤、シーリング材の専業メーカーとしての基盤を確立しており、その品質や技術力の高さは国内外に広く知られております。また、当社グループは、「より良い製品をより多くの人に提供することにより社会貢献する」という企業理念のもと、1923年11月に製造販売を開始した溶液型接着剤である「セメダインA」(1931年に「セメダイン」を商標登録)をはじめとし、1938年3月に完成した日本初の家庭用合成接着剤で無色透明で耐水性・耐熱性・速乾性に優れた「セメダインC」により、模型飛行機ブーム、教育支援活動等を経て全国的に広く普及しその名称が接着剤の代名詞と言われるほど今日でも広く使用されております。その後も耐久性に優れ、建物内外装の広範囲な用途に適するシーリング材「セメダインPOSシール」、粘着接着が可能な無溶剤型の弾性接着剤「セメダインスーパーX」等、数多くの画期的製品を市場に送り出しております。開発力の高さでも定評があり、近年には海外展開にも積極的に取り組み、1977年の台湾子会社「台湾施敏打硬股份有限公司」の設立を皮切りとして、1981年にタイ、2012年に中国、フィリピン、2013年に米国へと海外展開を推進し、『「つけるが、価値。」つけることを通じて、新しい価値を生み出し、世の中の課題に答えを出す。』をミッションとして、グループ全体の事業基盤を強化・拡大するための施策を実行中であります。
カネカグループは、製造する変成シリコーンポリマー等を当社グループへ製品原料として供給しており、両社グループの協力関係形成に向け、カネカは、段階的に当社株式を取得しております。カネカは、1990年4月に第三者割当増資により資本参加して以降、2015年12月に実施した公開買付けを含む市場内外における取引を通じて当社株式を追加取得し、提出日時点で当社株式を8,218,700株(2022年3月31日現在の発行済株式総数(自己株式数を除く)に占める割合にして54.76%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、保有割合の計算において同じです。))所有しております。
昨今、両社を取り巻く事業環境は大きく変化しております。カネカにおいては、当社を連結子会社とした後、想定していた①構造用接着剤(注1)や熱伝導性接着剤(注2)等の大きな成長が期待される分野での新規開発、②欧米、アジアにおけるグローバル事業拡大、③カネカが有する人材、知見等も活用したコスト競争力強化、安全・安定操業確保策の実施等のシナジー効果の実現に向け注力して参りました。具体的には、先端分野における両社での研究開発及び中国・米国等での建築分野や自動車分野における市場開発、事業展開において、緊密に協働して参りました。その結果として、相応の効果発現は達成できたものの、カネカと当社がともに上場会社として独立した事業運営を行っている現状では、両社の共同事業運営、経営資源の相互活用に関して、当社の少数株主の利益を考慮した慎重な検討を要する等、カネカグループ全体として最適な意思決定を迅速かつ柔軟に行うことが十分にできていない点があり、海外事業の更なる拡大や新規事業開発、技術開発をスピーディに実行するための課題となっていると考えております。加えて、カネカは、2019年に経済産業省が策定した「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」や、2020年の東京証券取引所における「従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会」の設置をはじめとする上場会社の独立性に関する昨今の議論も踏まえ、当社との資本関係の在り方について検討を続けて参りましたが、本株式交換の実行により当社をカネカの完全子会社とすることは、更なるカネカグループ全体の意思決定スピードの向上に寄与し、新規事業開発、海外事業展開等の重要課題に対して両社の経営資源を適時適切に投入・活用することを可能とし、カネカ及び当社両社にとって企業価値向上の観点から最適な選択であると考えるに至り、2021年12月下旬にカネカから当社に対して本株式交換の提案を行いました。
(注1) 「構造用接着剤」とは、主に自動車、船舶、航空機等において長時間、大きな荷重に耐えることが可能な信頼性の高い接着剤です。近年、自動車軽量化のための異材接合、走行快適性等において注目が高まるとともに接着剤も多様化しております。
(注2) 「熱伝導性接着剤」とは、熱伝導性が高く熱放散性に優れる接着剤であり、電装品等の高温にさらされる部品の接着をはじめとした用途に使用されます。
カネカは本株式交換により当社がカネカの完全子会社となることで、当社が享受できるメリットとして、当社によるカネカの有するグローバル事業基盤、顧客ネットワーク、技術、ノウハウ、人材等の経営資源の活用が迅速かつ柔軟に行えることにより、当社のブランド・事業価値を更に向上させ、より存在感のある企業になることが可能になると考えております。
具体的には、接着剤の原料樹脂に関するカネカのポリマー合成技術と当社の配合・評価技術の組み合わせを深化させることで当社における構造用接着剤や熱伝導性接着剤等の新規開発を更に加速するとともに、カネカのグローバルな経営資産の活用により、スピーディかつ効率的に事業を拡大することが可能と考えます。構造用接着剤については、自動車のボディの接合用途において更なる性能向上とグローバル展開により採用を拡大していくことが可能と考えます。また、建築分野においても、構造用接着剤を従来のボルトや溶接ではない新たな接合方法として提案しており、カネカが有する断熱材、PV(注3)等の事業でのゼネコン、ハウスメーカー、工務店等との関係性をより一層有効活用することで、当社の事業拡大が可能と考えます。熱伝導性接着剤については、電機・通信分野において両社が保有する熱対策についてのニーズ情報、技術、製品、及び顧客アクセス等を活用することによる当社製品の開発の加速と、今後、大きな成長が期待できるEV(電気自動車)用電装品の放熱用途における、カネカのグローバルネットワークを活用した欧米での展開加速により、事業を拡大することが可能と考えます。
(注3) 「PV」とは、「photovoltaic(フォトボルタイク)」の略で、カネカにおいては太陽電池の製造・販売事業を指します。
他方、当社においても、親会社で支配株主であるカネカからの提案を受けて、下記「3.本株式交換に係る割当ての内容の根拠等」の「(4)公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含む)」に記載のとおり、本株式交換の公正性を担保するため、本株式交換の検討に当たり必要となる独立した検討体制の具体的な内容について検討し、当該検討体制を適切に構築した上、2022年2月中旬以降、本株式交換に係る具体的検討を開始することといたしました。具体的検討を開始するに際し、カネカからの提案に対する当社取締役会における意思決定過程の公正性、透明性及び客観性の確保並びに意思決定の恣意性の排除を目的として、2022年2月25日に支配株主であるカネカとの間で利害関係を有しない独立した委員から構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といい、詳細については、下記「3.本株式交換に係る割当ての内容の根拠等」の「(4)公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含む)」をご参照ください。)を設置し、併せて外部専門家を起用する等の具体的検討に向けた体制を整備いたしました。
当該体制のもとカネカからの提案について慎重に検討した結果、当社は、当社がカネカの完全子会社となることで、従来以上に両社グループの連携を緊密化して経営判断の迅速化を図ることが可能となり、また、両社グループの有する資産、技術、ノウハウ、海外ネットワーク等の経営資源をより一層活用することにより、両社グループの中長期的な視点に立った経営戦略を機動的に実現することが可能となるため、本株式交換は当社の企業価値向上に資するとの認識に至りました。本株式交換後の具体的な施策及びそれに基づき顕在化する事業シナジーとしては、以下のものを想定しております。
1.カネカグループが幅広い事業領域において有する、資産、技術、人材、ノウハウ、海外拠点のインフラなどの豊富な経営資源を当社が積極的に活用することで、新規事業拡大、グローバル化の推進といった事業構造改革を更に加速する。
2.当社グループが有する接着剤に関する技術、具体的には各種原料の配合技術、耐久性、接着性をはじめとした評価技術及び導電や防湿などの価値を付与する技術とカネカグループが有する原料樹脂に関するポリマー合成技術を組み合わせ、海外、特に欧米市場における工業用を中心とした新規の接着剤、シーリング材及びコーティング剤等の技術開発を推進し相互の事業基盤を更に強化する。
3.カネカグループの電装品やLED部品用の熱伝導性接着剤と当社グループの電子材料用接着剤を両社の製品ラインナップに加え、これらの幅広いラインナップを相互の販路を活用することにより拡販し、相互の業容を更に拡大する。
4.非上場会社となることで、当社において、短期的な株式市場からの評価にとらわれることなく機動的かつ迅速な意思決定が可能となることや、親子上場解消に伴う経費削減などにより経営効率を向上させること及びカネカグループが有する資金・人材など事業リソースへのアクセスを強化することで成長戦略を加速させる
このような状況下で、当社は、カネカからの申し入れについて慎重に検討した結果、自らの親会社であり、当社グループの製品の原料供給元であるカネカの完全子会社となることで、カネカとの提携関係をさらに強化し、カネカによる積極的な経営資源の投入を受けること、グループ経営のさらなる効率化を図ることが可能となり、迅速な意思決定のもと、より中長期的な視点での経営戦略を実現できる体制を構築することが可能になると考え、本株式交換によりカネカの完全子会社となることが当社の企業価値向上に資すると認識するに至りました。
両社は、完全子会社化の方法としては、本株式交換の対価としてカネカの普通株式(以下「カネカ株式」といいます。)が当社の少数株主の皆様に交付されることにより、カネカ株式の保有を通じて、本株式交換後に想定されている各種施策の実行を通じて期待されるシナジー効果や、シナジー効果の発現によるカネカの事業発展・収益拡大、その結果としてのカネカ株式の株価上昇等を享受する機会を当社の少数株主の皆様に対して提供できる一方、流動性の高いカネカ株式を市場で取引することで随時現金化することも可能であることを踏まえ、本株式交換のスキームを選択することが望ましいとの判断に至りました。
以上の点を踏まえて、両社において総合的に検討した結果、両社は本株式交換によって当社がカネカの完全子会社となることが、両社の企業価値の向上に資するものであるとの認識で一致したことから、本株式交換に係る割当比率を含む諸条件についての検討及び協議を経て合意に至り、2022年5月12日の両社の取締役会において、カネカが当社を完全子会社とすることを目的として、本株式交換を実施することを決議し、本株式交換契約を締結いたしました。両社は、本株式交換を実施し、経営の柔軟性向上、グループ戦略のより一層の強化、親子上場解消に伴う経費削減等による経営効率向上等を達成し、両社の企業価値向上を目指して参ります。
2.本株式交換の要旨
(1)本株式交換の日程
| 本株式交換契約承認定時株主総会基準日(当社) | 2022年3月31日 |
| 本株式交換契約締結の取締役会決議日(カネカ・当社) | 2022年5月12日 |
| 本株式交換契約締結日(カネカ・当社) | 2022年5月12日 |
| 本株式交換契約承認定時株主総会決議日(当社) | 2022年6月15日 |
| 最終売買日(当社) | 2022年7月27日(予定) |
| 上場廃止日(当社) | 2022年7月28日(予定) |
| 本株式交換の効力発生日 | 2022年8月1日(予定) |
(注1)カネカは会社法第796条第2項の規定に基づく簡易株式交換の手続により、株主総会の決議による本株式交換契約締結の承認を得ずに本株式交換を行う予定です。
(注2)上記日程は、本株式交換の手続進行上の必要性その他の事由により必要な場合は、両社が協議し合意の上、変更されることがあります。上記日程に変更が生じた場合には、速やかに公表いたします。
(2)本株式交換の方式
本株式交換は、カネカを株式交換完全親会社とし、当社を株式交換完全子会社とする株式交換です。本株式交換はカネカにおいては、会社法第796条第2項の規定に基づき、株主総会の決議による承認を必要としない簡易株式交換の手続により、また、当社においては、2022年6月15日に開催の当社の定時株主総会における本株式交換契約の承認可決により、2022年8月1日を効力発生日として行われる予定です。
(3)本株式交換に係る割当ての内容
| カネカ (株式交換完全親会社) | 当社 (株式交換完全子会社) | |
| 本株式交換に係る割当比率 | 1 | 0.282 |
| 本株式交換により交付する株式数 | カネカの普通株式:1,950,265株(予定) | |
(注1)株式の割当比率
当社株式1株に対して、カネカ株式0.282株を割当交付いたします。ただし、カネカが保有する当社株式8,218,700株(提出日現在)については、本株式交換による株式の割当ては行いません。なお、上記の本株式交換に係る割当比率(以下「本株式交換比率」といいます。)は、算定の根拠となる諸条件に重大な変更が生じた場合、両社間で協議及び合意の上、変更することがあります。
(注2)本株式交換により交付するカネカの株式数
カネカは、本株式交換に際して、本株式交換によりカネカが当社の発行済株式(ただし、カネカが保有する当社株式を除きます。)の全部を取得する時点の直前時(以下「基準時」といいます。)における当社の株主の皆様(ただし、カネカを除きます。)に対して、その所有する当社株式の株式数の合計に本株式交換比率を乗じた数のカネカ株式を割当交付する予定です。なおカネカはかかる交付にあたり、その保有する自己株式を充当する予定であり、本株式交換における割当てに際して新たに株式を発行する予定はありません。なお、当社は、本株式交換の効力発生日の前日までに開催する取締役会の決議により、基準時において保有する自己株式(本株式交換に関する会社法第785条第1項に基づく反対株主の株式買取請求に応じて取得する株式を含みます。)の全部を、基準時までに消却する予定です。本株式交換によって交付する株式数は、当社の自己株式の取得、消却等の理由により、今後修正される可能性があります。また、上記の本株式交換により交付する株式数は、当社が発行する新株予約権が本株式交換の効力発生日の前日までに全て行使されることを前提とするものであり、これらの新株予約権の一部又は全部が行使されなかった場合には、本株式交換により交付する株式数は減少することになります。
(注3)単元未満株式の取扱い
本株式交換に伴い、カネカの単元未満株式(100株未満)を保有することとなる当社の株主の皆様については、本株式交換の効力発生日以降、カネカ株式に関する以下の制度をご利用いただくことができます。なお、金融商品取引所市場においてカネカの単元未満株式を売却することはできません。
①単元未満株式の買増制度(1単元(100株)への買増し)
会社法第194条第1項及びカネカの定款第7条の定め等に基づき、単元未満株式を保有する株主の皆様が、その保有する単元未満株式の数と併せて1単元(100株)となる数のカネカ株式を売り渡すことを請求し、これをカネカから買い増すことができる制度です。
②単元未満株式の買取制度(1単元(100株)未満株式の売却)
会社法第192条第1項の規定に基づき、カネカの単元未満株式を保有する株主の皆様が、その保有する単元未満株式を買い取ることをカネカに対して請求することができる制度です。
(注4)1株に満たない端数の処理
本株式交換に伴い、カネカ株式1株に満たない端数の割当交付を受けることとなる当社の株主の皆様に対しては、会社法第234条その他の関連法令の規定に基づき、その端数の合計数(合計数に1株に満たない端数がある場合は、これを切り捨てるものとします。)に相当する数のカネカ株式を売却し、かかる売却代金をその端数に応じて当該株主の皆様に交付いたします。