臨時報告書

【提出】
2024/01/19 13:47
【資料】
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提出理由

当社は、2024年1月18日開催の取締役会において、当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)8,389,250株を1株に併合する株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を目的とする2024年2月19日開催予定の当社の臨時株主総会を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。

株式の併合を目的とする株主総会の招集の決定

1.本株式併合の目的
当社が2023年10月30日に公表した「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」(当社が2023年10月31日に公表した「(訂正)「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」の一部訂正について」による追加を含みます。以下「本意見表明プレスリリース」といいます。)に記載のとおり、株式会社KMM(以下「公開買付者」といいます。)は、2023年10月30日、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場している当社株式の全て(当社が所有する自己株式及び本公開買付けに応募しないことを合意した株式(以下「本不応募株式」といいます。)(所有株式数の合計:1,368,621株、所有割合の合計(注):5.40%)を除きます。)及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社株式を非公開化することを目的とする一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、当社株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)を実施することを決定しております。
(注)「所有割合」とは、当社が2023年10月30日に公表した「2024年3月期 第2四半期決算短信[日本基準](連結)」(以下「当社第2四半期決算短信」といいます。)に記載された2023年9月30日現在の発行済株式総数(26,687,955株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(1,356,201株)を控除した株式数(25,331,754株)に対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の記載について同じとします。
そして、当社が2023年12月14日に公表した「株式会社KMMによる当社株式に対する公開買付けの結果並びに親会社、主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社並びに主要株主の異動に関するお知らせ」に記載のとおり、公開買付者は、2023年10月31日から同年12月13日まで本公開買付けを実施した結果、2023年12月20日(本公開買付けの決済の開始日)をもって、当社株式16,778,500株(所有割合:66.24%)を保有するに至りました。なお、以下に記載のうち公開買付者に関する記述は、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
公開買付者は、当社株式を取得及び所有することを主たる目的として、当社の代表取締役会長かつ第5位株主であった寺岡敬之郎氏により2023年9月29日付けで設立された株式会社であるとのことです。公開買付者の発行済株式は、公開買付者の唯一の代表取締役を務める寺岡敬之郎氏が全て所有しているとのことです。
本意見表明プレスリリースに記載のとおり、当社は、2022年12月9日、伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」といいます。)から紹介を受けたプライベート・エクイティ・ファンド(以下「先行提案者」といいます。)から、当社株式の全ての取得に係る提案を含む提案書を受領いたしました(先行提案者からの提案を、以下「先行提案」といいます。)。先行提案を踏まえ、当社は、先行提案に係る取引に関する当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2022年12月20日、当社の社外取締役である八田圭子氏、古市克典氏及び社外監査役である境晴繁氏の3名によって構成される、先行提案者、伊藤忠商事及び当社のいずれからも独立した特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置し(本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容については、下記「3.会社法第234条の規定により一に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)、同日付けで、先行提案者、伊藤忠商事及び当社のいずれからも独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を、2023年1月31日付けで、ファイナンシャル・アドバイザーとしてりそな総合研究所株式会社(以下「りそな総合研究所」といいます。)を、2023年2月9日付けで、第三者算定機関として山田コンサルティンググループ株式会社(以下「山田コンサル」といいます。)を選任しております。なお、りそな総合研究所は、公開買付者への買付資金等に係る融資を予定している株式会社りそな銀行(以下「りそな銀行」といいます。)及び公開買付者への出資を予定しているりそなグロース4号投資事業組合の運営管理業務を行うりそなキャピタル株式会社(以下「りそなキャピタル」といいます。)と同じ金融グループ(以下「りそなグループ」といいます。)に所属していますが、りそなグループにおいては利益相反管理体制が構築され、情報遮断も含め実施されているため、りそな総合研究所は、りそな銀行並びにりそなキャピタルの貸付人及び出資者の地位とは独立した立場で、当社のファイナンシャル・アドバイザリー業務を行っていることを確認しております。また、当社は、下記「3.会社法第234条の規定により一に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役の承認及び監査役の異議がない旨の意見」に記載のとおり、先行提案者、伊藤忠商事及び当社から独立した立場で、先行提案に係る取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制(先行提案に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築し、検討を進めてまいりました。
その後、当社は、本特別委員会の意見も踏まえて、先行提案に係る取引に関する検討を進めてまいりましたが、より当社の企業価値を高めつつ、当社の株主の皆様にとって有利な取引条件の提案の可能性を追求すべく、対抗的な買収提案の機会の確保(マーケット・チェック)を行う一環として、2023年3月上旬、当社の中長期的な企業価値の向上を企図する潜在的な買収者の有無を調査・検討することを決定いたしました。そして、潜在的な買収者の有無の調査・検討の結果、当社は、1か月にわたりプライベート・エクイティ・ファンド等も含め潜在的な買収者となり得る複数の第三者に対して提案の募集を行い、2023年3月下旬、その内の1つの提案者から初期的な提案を受けたため、当該提案者に対するヒアリングや、当該提案者によるデュー・ディリジェンスへの対応等を2023年4月中旬から2023年7月中旬までの間に行ってまいりましたが、2023年7月中旬、当該候補者より検討を見送る旨の連絡を受けました。その後、2023年8月2日、寺岡敬之郎氏から、当社株式の全ての取得に係る提案を含む提案書を受領しました。そこで、当社は、2023年8月3日付けの当社取締役会決議に基づき、本特別委員会が寺岡敬之郎氏との関係においても独立性が認められることを確認した上で、本特別委員会において、本公開買付けを含む本取引との関係で本諮問事項(下記「3.会社法第234条の規定により一に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に定義します。)を諮問しました。なお、本特別委員会は、下記「3.会社法第234条の規定により一に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」及び「④ 本特別委員会における独立した法律事務所からの助言」に記載のとおり、2023年9月4日、本特別委員会独自のリーガル・アドバイザーとして阿部・井窪・片山法律事務所を選任する旨を決定しております。
当社は、本特別委員会により事前に確認された当社の交渉方針並びに交渉経緯や交渉上重要な局面における意見、指示、要請等に基づいた上で、TMI総合法律事務所、りそな総合研究所及び山田コンサルの助言を受けながら、各提案者からの提案に係る取引の実行の是非に関して各提案者との間で複数回に亘る協議・交渉を行いました。
そして、当社は、本特別委員会の意見も踏まえて、各提案者からの提案を比較検討する観点から、2023年8月下旬に、2023年9月22日を期限として、最終候補者の選定プロセスとして最終意向表明書の提出を要請したところ、2023年9月22日付けで、先行提案者及び寺岡敬之郎氏から最終意向表明書の提出を受けました。当社は、当社のリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所、当社のファイナンシャル・アドバイザーであるりそな総合研究所、及び当社の第三者算定機関である山田コンサルからの助言等を踏まえて、また、本特別委員会の意見も踏まえた上で、寺岡敬之郎氏の提示した当社株式1株当たりの公開買付価格が最も高い金額であったことに加えて、各提案者からの提案に係る取引の目的、当該取引後の当社の経営方針や事業戦略の方向性、当社とのシナジー効果及び従業員の処遇、当該時点における当該取引に係る資金調達の確度等について慎重に検討及び協議の上、これらの要素を総合的に判断して、2023年9月26日、最終候補者の選定プロセスの結果として、寺岡敬之郎氏を最終候補者として選定することを決定いたしました。
その上で、当社は2023年10月30日に、山田コンサルから2023年10月27日付けで取得した株式価値算定書(以下「当社株式価値算定書」といいます。)の内容、リーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から受けた本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出を受けた2023年10月27日付けの答申書(以下「本答申書」といいます。)の内容を最大限に尊重しながら(本答申書の概要については、下記「3.会社法第234条の規定により一に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)、本取引について、企業価値向上を図ることができるか、本取引に関する諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議及び検討を行いました。
その結果、以下の観点から本取引は、当社の企業価値の向上に資するものであると判断しております。
(a) 粘着テープ事業の抜本的立て直しと寺岡敬之郎氏主導による販売代理店との関係再構築
当社の強みは、粘着テープ専業メーカーとして、100年に及ぶ歩みの中で培ってきたテープの設計技術と製造技術です。設計技術とは、粘着剤や基材などの材料を調整することで顧客が求める特性を実現する技術であり、製造技術とは、設計したテープを高品質に安定して生産するための技術です。これまで顧客やその他企業、外部組織との協業を積極的に推進しつつ、魅力的な高付加価値製品を生み出すとともに、新製品の開発や顧客に寄り添った技術サポートを行ってまいりましたが、近年は採算重視の観点から小ロットの注文を断るケースがあり、結果的に顧客離れが生じておりました。
粘着テープ事業の抜本的な立て直しの重要施策として、小回りを利かせた開発営業という原点に回帰することで、販売代理店の信頼回復と、状況に応じて取引条件を柔軟に変えつつも将来的な大型受注機会の創出や顧客からのファーストコールを受けられる関係性を再構築することにあると認識しております。
他方で、販売代理店及び顧客との間の関係性の再構築は一朝一夕に達成できるものではありません。そのため、上記施策と並行して、創業家が販売代理店との間で長年にわたり築き上げた強固な信頼関係を背景に、寺岡敬之郎氏の求心力を最大限に活用して関係再構築に努めることは、当社にとってメリットがあると判断いたしました。
本取引により、粘着テープ事業の立て直しに向けて、足元の業績や株価にとらわれることなく、長期にわたり柔軟かつ着実に進めていくことが可能となり、業績の回復・伸長が図れるものと考えています。
(b) PTIの立て直し
インドネシア子会社(PT. Teraoka Seisakusho Indonesia(以下「PTI」といいます。))は、ASEAN地域をはじめ旺盛な需要を呈する新興市場の開拓、当時1USドル=80円台の水準にあった円高リスクの回避を目的とした、当社グループ(当社及び当社連結子会社5社を総称していいます。以下同じです。)初の本格的な一貫生産体制を擁する海外工場としてコストを抑えた製品の製造及び中国や東南アジアマーケットへの販売拡大を目的に2011年に設立、2012年より稼働を開始しました。しかしながら、近年においては急激な円安の進行や、日系電機メーカーが世界シェアに占める割合の低下等、さまざまな外部環境の変化により、設立当初の目的を達成することが困難と判断し、2023年3月期には多額の減損損失を計上しました。PTIは当社グループ内において唯一かつ重要性の高い海外生産拠点として、戦略的に活用していく所存ではありますが、為替リスクに左右されない海外販売網の確保が課題となっております。
このような状況にあるところ、本取引により、寺岡敬之郎氏と長年の付き合いのある販売代理店との関係性を再構築することで、当該販売代理店が持つASEAN地域へのネットワークを活用し、現地ニーズに沿った開発営業・販売を行うこと、またインドネシア国内の日系メーカーへの販売拡大を目指すという施策によってPTIの立て直しを図ることは、長期的な視点で当社企業価値の向上に資すると考えています。
(c) 車載電池関連領域への注力
今後ますますEV市場の拡大が予測され、EVに搭載される車載用電池に使用されるテープの販売量も大幅な増加が見込まれます。実際に、当社製品のエンドユーザーである車載電池メーカーの生産拡大が予定されており、また、他のメーカーからの大型受注も有望となっております。
今後急拡大が見込まれる車載電池関連領域に注力する施策は、当社企業価値の向上に資するものと考えておりますが、新規設備投資等による一時的な収益性の低下やキャッシュフローの悪化を招くことも想定されます。本取引による効果として、迅速かつ柔軟な経営判断や機動的な経営資源の配分が可能となることが見込まれるため、車載用電池関連領域への適時適切なタイミングでの投資判断や大胆な実行が可能となると考えています。
(d) 工場における原価低減への取り組み
当社は技術的な強みを生かし、エンドユーザーとの取引を深めてまいりましたが、顧客の価格引き下げに対する志向はますます強まっております。当社としては価格競争力をつけるために従前から工場における原価低減を進めておりますが、期待する水準には達しておらず、大きな課題となっておりました。
本取引後、製造部門と経営企画管理部が協働して全社的な観点からプロダクトミックスの組み直し・ラインの最適化に取り込む施策だけでなく、当社の課題となっている原価低減力を強化する上でも製造業に強い外部コンサルタントが有するノウハウを活用することは当社の企業価値向上に資すると考えています。
また、工場における製造設備の一部において老朽化が進んでいることから、更新投資を含む設備投資によって、収益性の低下やキャッシュフローの悪化を招くことも想定されますが、本取引の実現により、大胆かつ機動的な投資が可能となることによって、長期的な成長が期待されます。
(e) 経営体制・人員配置の見直し
当社業績の回復に向けて、ガバナンス体制の強化、つまり経営の監督機能と業務執行機能の分化を推進することにより、執行部門において迅速な意思決定が可能となる権限を有することになる一方で、執行部門の責任を明確化させるメリットがあると認識しております。また、コロナ過を経て昨今の労働力不足が極めて深刻な状況になりつつあり、当社においても中長期的な成長のためには、優秀な人材の採用や従業員のエンゲージメントの向上が必須であると認識しております。
本取引後の経営体制や人員配置の見直しにより、外部経営人材の登用や、経営監督と執行部門を分化させることで執行部門の権限及び責任の明確化を図るとともに処遇のメリハリを強化することは、当社業績の立て直しや長期的な成長に資するものであります。また、営業部門、製造部門の強化については、当社の収益力向上に資するものと考えています。
かかる施策の実現は、中長期的に見れば当社の大きな成長及び収益の拡大につながるものの、他方で、各施策の推進段階において、短期的な収益に直結しない可能性があり、上場会社の施策としては資本市場から十分な評価が得られない場合には、当社の株価の下落を招き、当社既存株主の期待に沿えないおそれがあります。したがって、当社が上場を維持したままでこれらの施策を迅速に実施することは困難であると考えております。
当社株式の非公開化を行った際には、資本市場からの資金調達、及び上場会社として当社が享受してきた社会的な信用力や知名度向上による優れた人材の獲得等に影響を及ぼす可能性が考えられます。しかし、当社の足元の財務状況等に鑑みると、少なくとも今後数年間においては、エクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は見込まれません。加えて、当社の社会的な信用力や知名度向上による優れた人材の獲得等は、今後の事業活動を通じた獲得が見込まれる部分もあり、当社が創業以来培ってきたブランド力や知名度を勘案すると、非公開化による影響は大きくないものと考えられます。さらに、当社の経営陣及び従業員が一丸となって、事業戦略の推進を目指すことに加えて、当社を率いる現代表取締役の寺岡敬之郎氏が非公開化後も継続的に指揮を執ることは、2025年度を最終年度とする5年間(2021年4月~2026年3月)に亘る第三次中期経営計画(以下「本中期経営計画」といいます。)の早期達成に向けた高いコミットメントを意味し、かかるコミットメントは、当社グループの役職員、取引先その他のステークホルダーとの関係性の維持・発展等の観点から、本取引成立後の当社の企業価値向上に資すると考えられること等から、非公開化のデメリットは限定的であると考えられます。以上を踏まえ、当社取締役会は、当社株式の非公開化のメリットは、そのデメリットを上回り、本公開買付けを含む本取引により当社株式を非公開化することが、当社の企業価値の向上に資するものと判断いたしました。
また、当社は、本公開買付けにおける対象者株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)について、(ⅰ)下記「3.会社法第234条の規定により一に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されている山田コンサルによる当社株式価値算定書における当社株式の株式価値算定結果によれば、市場株価法及び類似会社比較法の上限値を上回り、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく1株当たり株式価値レンジに収まる水準となっていること、(ⅱ)本公開買付価格が、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2023年10月27日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日の終値359円に対して57.10%、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値339円(小数点以下を四捨五入しております。以下、終値単純平均値の計算において同じとします。)に対して66.37%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値336円に対して67.86%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値331円に対して70.39%のプレミアムが加算されたものであり、本公開買付価格には近時の同様の事案と比較して、いずれの期間を基準にしても大きく上回るプレミアムが付されていると考えられること、(ⅲ)下記「3.会社法第234条の規定により一に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られたうえで決定された価格であること等を踏まえ、本公開買付価格は妥当性を有し、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
なお、本公開買付価格は、当社の2023年9月30日現在の簿価純資産額である26,400百万円を自己株式控除後の発行済株式総数(25,331,754株)で割ることにより算出した1株当たり純資産額である1,042円(本公開買付価格は当該金額との比較で54.1%のディスカウント)を下回っているものの、仮に当社が清算する場合においても、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、化学製品を原材料とする当社製品の製造工場における土壌汚染の調査・除染費用等の清算に伴う追加コストの発生、また、製造工場は汎用性が乏しく、本社及び営業所の各建屋等は建築後相当程度の年月が経過し老朽化していることを踏まえると簿価により売却することが困難と見込まれるため、更地での売却が必要であり、建屋の取り壊しにも費用を要すること、製造工程の仕掛品や製品、原材料の廃棄等を考慮すると、相当程度の毀損が見込まれます(具体的には、当社の貸借対照表(2023年9月30日現在)上、商品製品1,731百万円、仕掛品1,498百万円、原材料・貯蔵品1,148百万円、土地・建物・構築物8,253百万円、機械装置・車両運搬具2,839百万円、建設仮勘定883百万円合計16,352百万円(総資産に占める割合50.3%)に対し、金額を明確に算出しているわけではありませんが相当程度の毀損が見込まれます。)。
そのため、当社は、1株当たり簿価純資産額が当社株式の公正価値の最低価格となるという考え方は採用し難いと考え(なお、当社においては、清算を前提とする見積書の取得までは行っておらず、また、本公開買付価格が、具体的な検討を経て概算された想定清算コスト等を勘案して算出される、想定の清算価値を上回っていることの確認までは行っていません。)、また、純資産額は将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である当社の企業価値の算定において重視することは合理的ではないと考えています。
以上より、当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、2023年10月30日開催の取締役会において当社の意見として、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
上記取締役会決議の詳細は、下記「3.会社法第234条の規定により一に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役の承認及び監査役の異議がない旨の意見」をご参照ください。
そして、上記のとおり、本公開買付けが成立いたしましたが、公開買付者は、本公開買付けにより当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募株式を除きます。)を取得することができなかったことから、当社は、公開買付者による要請を受け、当社の株主を公開買付者のみとするため、本株式併合を実施することを決議いたしました。
なお、本株式併合により、公開買付者以外の株主の皆様の保有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
2.本株式併合の割合
当社株式について、8,389,250株を1株に併合いたします。
3.会社法第234条の規定により一に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
(1)会社法第234条の規定により一に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法
上記「1.株式併合の目的」に記載のとおり、本株式併合により、公開買付者以外の株主の皆様が保有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
本株式併合の結果生じる1株未満の端数については、その合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。)に相当する数の株式を売却し、その端数に応じて、その売却により得られた代金を株主の皆様に交付します。
当該売却について、当社は、当社株式が2024年3月11日をもって上場廃止となる予定であり、市場価格のない株式となることから、競売によって買受人が現れる可能性はほとんど期待できないこと、本株式併合が、当社の株主を公開買付者のみとし、当社株式を非公開化するために行われるものであり、かかる目的との関係では公開買付者が端数相当株式の買受人となるのが整合的であること、及び当社において自己株式を増加させる必要も存しないことなどを踏まえて、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所の許可を得て公開買付者に売却することを予定しております。
(2)当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
本株式併合においては、株主の皆様が保有する当社株式の数に、本公開買付価格と同額である564円を乗じた金額に相当する金銭を、株主の皆様に交付することを予定しております。
また、本公開買付価格(564円)が、(a)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されている山田コンサルによる当社株式価値算定書における当社株式の株式価値算定結果によれば、市場株価法及び類似会社比較法の上限値を上回り、DCF法に基づく1株当たり株式価値レンジに収まる水準となっていること、(ⅱ)本公開買付価格が、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2023年10月27日を基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日の終値359円に対して57.10%、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値339円に対して66.37%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値336円に対して67.86%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値331円に対して70.39%のプレミアムが加算されたものであり、本公開買付価格には近時の同様の事案と比較して、いずれの期間を基準にしても大きく上回るプレミアムが付されていると考えられること、(ⅲ)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られたうえで決定された価格であること等を踏まえ、本公開買付価格は妥当性を有し、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
以上より、当社は、端数処理により当社の株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額については相当であると判断しております。
(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
公開買付者及び当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の措置を実施しました。
なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
(ⅰ)算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係
当社は、先行提案者、寺岡敬之郎氏、公開買付者、伊藤忠商事及び当社のいずれからも独立した第三者算定機関として、山田コンサルに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2023年10月27日に、当社株式価値算定書を取得いたしました。なお、山田コンサルは、先行提案者、寺岡敬之郎氏、公開買付者、伊藤忠商事及び当社のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、当社は、本取引に際して実施されている他の本公開買付価格の公正性を担保するための措置並びに利益相反を回避するための措置(具体的な内容については、本「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」をご参照ください。)を踏まえると、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考え、山田コンサルから本公開買付けの価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。また、本取引に係る山田コンサルに対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれておりせん。
(ⅰⅰ)算定の概要
山田コンサルは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の株式価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、比較可能な類似上場会社が複数存在し、類似上場会社の市場価値との比較において株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映するためDCF法を用いて、当社株式の1株当たりの株式価値算定を行っております。
山田コンサルが上記の手法に基づいて算定した当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法 : 331円から359円
類似会社比較法 : 342円から391円
DCF法 : 399円から632円
市場株価法では、算定基準日を2023年10月27日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値359円、直近1ヶ月間の終値単純平均値339円、直近3ヶ月間の終値単純平均値336円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値331円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を331円から359円と算定しております。
類似会社比較法では、当社と比較的類似する事業を営む類似上場企業としてリンテック株式会社、ニチバン株式会社及び綜研化学株式会社を選定した上で、事業価値に対するEBITDAマルチプルを用いて、当社株式の1株当たりの価値の範囲を342円から391円までと算定しております。
DCF法では、当社が作成した2024年3月期から2028年3月期までの事業計画における収益予測及び投資計画を前提として、当社が2024年3月期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値及び株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を399円から632円と算定しております。なお、割引率は加重平均資本コストを採用した、5.72%から6.99%を採用しており、継続価値の算定にあたっては永久成長法及びEV/EBITDA倍率によるエグジット・マルチプル法を採用し、永久成長率を-0.50%から0.50%、エグジット・マルチプルを2.94倍から3.94倍として算定しております。
山田コンサルがDCF法の算定の前提とした当社作成の事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。なお、DCF法による算定に用いた2024年3月期から2028年3月期までの当社の事業計画(連結)には大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれます。具体的には、2024年3月期は販売主要マーケットのひとつである中国市場の需要の回復、自動車や電子部品の生産量の回復、輸出向けの包装用テープの需要の回復及びオフィス系通販・建築・土木向けポリエチレンクロステープの拡販の寄与により、売上高210億円(前期比プラス8.7%)・営業利益2億48百万円が見込まれております。また、2025年3月期及び2026年3月期は共に、電池用テープの拡販及び派生新事業の販売開始により、2025年3月期は売上高226億19百万円(前期比プラス7.7%)・営業利益3億96百万円(前期比プラス59.6%)、2026年3月期は売上高249億34百万円(前期比プラス10.2%)・営業利益8億47百万円(前期比プラス113.9%)が見込まれております。また、当社の2024年3月期から2028年3月期までの事業計画期間において、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増減が見込まれておりますが、これは、当社が見込んでいる売上高等の増加に伴う運転資本の増加額や設備投資額が毎期変動することによるものです。具体的には、2025年3月期は主に基幹システムの更新投資による設備投資額の増加、2026年3月期は新規設備投資に伴う支出が前年度比で減少、2028年3月期は工場の生産性向上のため機械設備への投資額の増加が見込まれております。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であるため、反映しておりません。
(単位:百万円)
項目2024年
3月期
(9ヶ月)
2025年
3月期
2026年
3月期
2027年
3月期
2028年
3月期
売上高21,00022,61924,93425,38926,479
営業利益2483968479601,207
EBITDA1,2541,5862,1812,2322,446
フリー・キャッシュ・フロー1,451△4226681,072392

山田コンサルは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて、当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。
② 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
当社は、先行提案に係る取引に関する当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2022年12月20日に、八田圭子氏(当社社外取締役)、古市克典氏(当社社外取締役)及び境晴繁氏(当社社外監査役)の3名から構成される先行提案者、伊藤忠商事及び当社のいずれからも独立した本特別委員会を設置いたしました(なお、本特別委員会の委員の報酬については、固定額となっており、成功報酬は採用しておりません。また、当社は、本特別委員会の委員として設置当初からこの3名を選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。)。また、当社は、寺岡敬之郎氏から、2023年8月2日、当社の株式を非公開化することを含む本取引の実施に向けた検討及び協議を開始したい旨の通知を受領後、本特別委員会が寺岡敬之郎氏との関係においても独立性が認められることを確認しております。
当社取締役会は、2022年12月20日、本特別委員会設置の決定に際し、本特別委員会に対し、(ⅰ)先行提案に係る取引の目的の合理性(先行提案に係る取引が当社企業価値の向上に資するかを含みます。)に関する事項、(ⅱ)先行提案に係る取引の取引条件の妥当性(先行提案に係る取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含みます。)に関する事項、(ⅲ)先行提案に係る取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含みます。)に関する事項、(ⅳ)上記(ⅰ)乃至(ⅲ)及びその他の事項を踏まえ、当社取締役会が先行提案に係る取引の実施(先行提案に係る公開買付けに関する意見表明を含みます。)を決定することが少数株主に不利益か否か(以下「先行提案諮問事項」と総称します。)について諮問いたしました。さらに、当社取締役会は、2022年12月20日、本取引に関する決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が先行提案に係る取引の条件等について妥当でないと判断した場合には、先行提案に係る取引を実行する旨の意思決定(先行提案に係る公開買付けに対する当社の賛同及び応募推奨を内容とする意見表明を含みます。)を行わないことを併せて決議しております。
加えて、当社取締役会は、2022年12月20日、本特別委員会に対し、(ⅰ)当社の費用負担の下、先行提案に係る取引に係る調査(先行提案に係る取引に関係する当社の役員若しくは従業員又は先行提案に係る取引に係る当社のアドバイザーに対し、先行提案諮問事項の検討に必要な事項について質問を行い、説明又は助言を求めることを含みます。)を行うことができる権限、(ⅱ)当社に対し、(a)本特別委員会としての提案その他の意見又は質問を先行提案者に伝達すること、及び(b)本特別委員会自ら先行提案者(先行提案に係る取引に係る先行提案者のアドバイザーを含みます。)と協議・交渉する機会の設定を求めることができ、また、本特別委員会が当該機会の設定を求めない場合であっても、当社は、先行提案者と協議・交渉を行った場合にはその内容を速やかに本特別委員会に報告し、本特別委員会は、当該内容を踏まえ、先行提案者との協議・交渉の方針について、当社に対して意見を述べ、また、必要な指示・要請を行うことができる権限、(ⅲ)必要と認めるときは、当社の費用負担の下、本特別委員会独自の弁護士、算定機関、公認会計士その他のアドバイザーを選任することができ、また、本取引に係る当社のアドバイザーに対して必要な指示を行うことができるほか、必要と認めるときはアドバイザーの変更を求めることができる権限を付与いたしました。これを受けて、本特別委員会は、当社のリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所、当社のフィナンシャル・アドバイザーであるりそな総合研究所、及び当社の第三者算定機関である山田コンサルにつき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことから、それぞれ、当社のリーガル・アドバイザー、フィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認し、また本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認いたしました。
その後、当社は複数回にわたり先行提案者との協議を行っておりましたが、より当社の企業価値を高めつつ、当社の株主の皆様にとって有利な取引条件の提案の可能性を追求すべく、対抗的な買収提案の機会の確保(マーケット・チェック)を行う一環として、潜在的な買収者の有無を調査・検討することを決定いたしました。そして、潜在的な買収者の有無の調査・検討の結果、当社は、複数の提案者から初期的な提案を受けたため、当該提案者に対するヒアリングや、当該提案者によるデュー・ディリジェンスへの対応等を行ってまいりました。その過程で、2023年8月2日、寺岡敬之郎氏から、当社株式の全ての取得に係る提案を含む提案書を受領しました。そこで、当社は、2023年8月3日付けの当社取締役会決議に基づき、本特別委員会が寺岡敬之郎氏及び公開買付者との関係においても独立性が認められることを確認した上で、本特別委員会において、本公開買付けを含む本取引との関係で(ⅰ)本取引に係る取引の目的の合理性(本取引が当社企業価値の向上に資するかを含みます。)に関する事項、(ⅱ)本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含みます。)に関する事項、(ⅲ)本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含みます。)に関する事項、(ⅳ)上記(ⅰ)乃至(ⅲ)及びその他の事項を踏まえ、当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明を含みます。)を決定することが少数株主に不利益か否か(以下「本諮問事項」と総称します。)を諮問し、これらの点についての本答申書を当社に提出することを委嘱いたしました。
本特別委員会は、TMI総合法律事務所、りそな総合研究所及び山田コンサルが、寺岡敬之郎氏との関係においても独立していることを確認し、また、本取引がいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、本取引の性質上、特に当社の取締役会と当社の一般株主との間に利益相反が生じる可能性が存在すること等を踏まえ、本取引の公正性を担保するため、2023年9月4日、寺岡敬之郎氏、先行提案者、伊藤忠商事及び当社のいずれの関連当事者にも該当しないこと、及び本取引に関して重要な利害関係を有していないことを確認した上で、独自のリーガル・アドバイザーとして阿部・井窪・片山法律事務所を選任する旨を決定しております。
本特別委員会は、2023年1月5日より2023年10月27日までの間に合計25回開催され、本諮問事項についての協議及び検討が慎重に行われました。具体的には、本特別委員会は、(ⅰ)公開買付者に対する、本取引の目的・背景、本取引の条件及び本取引後の当社の経営方針等に関する事項のヒアリング、(ⅱ)当社に対する、山田コンサルによる当社株式の株式価値算定の前提とした事業計画の内容及び策定方法、並びに公開買付者の提案内容及び本取引後の当社の経営方針等に関する事項のヒアリング、並びに(ⅲ)山田コンサルに対する、当社株式の株式価値算定に関する事項のヒアリング等を行っております。
本特別委員会は、以上の経緯で本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2023年10月27日、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、本諮問事項につき大要以下を内容とする本答申書を提出しております。
(a) 答申内容
I. 本取引は当社の企業価値向上に資することを企図するものであると認められ、本取引の目的は合理的である。
II. 本取引の実施方法や対価の種類を含む本取引の取引条件は妥当である。
III. 本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る手続は公正である。
IV. 上記Ⅰ乃至IIIを踏まえ、当社の取締役会が、(i)本公開買付けに関して、賛同の意見を表明するとともに、当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨する旨を決定すること、及び(ii)本公開買付け後に当社の株主を公開買付者及び寺岡敬之郎氏のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することを決定することは、当社の少数株主にとって不利益ではない。
(b) 答申理由
I. 本取引の目的の合理性
(ⅰ)本取引の目的等
本特別委員会は、本取引の目的及び本取引により向上することが見込まれる当社の企業価値の具体的内容等について、当社及び寺岡敬之郎氏に対して質疑を行い、当社及び寺岡敬之郎氏から回答を得た。それらの内容をまとめると、概要は以下のとおりである。
当社は、1921年2月に、創業者寺岡璋浩氏が電気絶縁用のブラックテープ及び絶縁コンパウンド類の製造・販売を行うことを目的として寺岡製作所を設立し、1937年12月に合資会社に組織変更した後、1943年5月に株式会社に組織変更を行い、現在に至っている。
現在、当社は、当社グループから構成される粘着テープの総合メーカーであり、2021年2月に創業100周年を迎えたことを機に、新たに「変化を厭わず、過程を重んじ、人と自然と技術の調和を追求した“新世紀”の価値の創造に挑戦する」という経営理念を定め、かかる経営理念に基づいて行動するための普遍的な指針として「創:創造的変革を常に起こす、挑戦する」、「考:考え、信念、誇りと自信、弛まぬ分析と反省」、「殊:普通とは違う、差別化、個性溢れる、深く掘り下げる」という3つの理念的規範を掲げ、梱包・包装用テープ、電機・電子用テープ、産業用テープ等の粘着テープ類の製造・加工・販売を主な内容とした事業内容を展開している。
当社グループは、本中期経営計画に基づき、積極的な営業・研究開発活動を展開するとともに、全社に亘る全ての業務を根本から見直すなど一層の生産性向上・改革への取り組みを継続している。具体的には、市場及び顧客ニーズを深堀りした新たな価値創造に繋がる新製品開発に注力し、加硫接着剤フィルム「ACULAH®」のような付加価値(convenience value)の高い新製品を今後ともタイムリーに製造販売するとともに、設備や知的財産権への投資等を積極的に行い、広義のDXを推進して全社生産性改革を推進することで、売上高営業利益率の抜本的向上を図るよう努めている。その他、安全健康衛生活動の浸透、コンプライアンス態勢の強化、人材育成の強化、及び外的要因に基づくリスクへの対応を実践することで、当社が国内外において存在価値・存在意義・存在感のある会社に進化・発展するよう努めている。
当社グループの事業を取り巻く市場環境について、国内市場環境は、資源価格の高騰や急激な円安による企業間物価の上昇もあり、製造業を中心に停滞感が強まっている。一方、世界経済に目を移すと、資源価格の上昇やサプライチェーンの目詰まり感、さらにはロシアのウクライナ侵攻による地政学リスクやエネルギーの供給不安などから、経済成長のペースが鈍化していくおそれが生じている。また、当社グループの重要販売マーケットである中国経済においても、不動産市況の悪化から、減速懸念が広がっており、引続き先行きの不安定かつ不透明な状況が継続するものと想定している。そのような市場環境の中、梱包・包装用テープは物価高による消費者の買い控え影響により、ホームセンター向けの売上げが低調に推移しており、電機・電子用テープは、中国のコロナ政策等による市況低迷や、それに伴う中国向け輸出の低迷、世界的な半導体ICチップの供給不足による自動車の生産減少に伴う在庫調整等に売上げが低調に推移しており、産業用テープについてもオフィス系通販及び建築・土木向けポリエチレンクロステープの拡販が寄与したものの売上げは減少傾向にある。
このような当社グループを取り巻く事業環境の変化及び近年の業績不振や株価の低迷を理由に、筆頭株主である伊藤忠商事からは伊藤忠商事が保有する当社株式の売却の可能性を示唆されており、当社としては、業績回復に向けてトップライン向上及び経費削減のための施策を検討していたところ、2022年11月上旬、伊藤忠商事から、プライベート・エクイティ・ファンドである先行提案者の紹介を受け、先行提案者、伊藤忠商事及び寺岡敬之郎氏の三者で当社を非公開化する旨の提案を受けた。かかる提案を受け、2022年12月上旬、先行提案者と当社との間で非公開化に向けた協議を開始し、2022年12月20日に本特別委員会を設置した。また、当社は、先行提案者との間で先行提案者による取引に関する検討を進めていたが、より当社の企業価値を高めつつ、当社の株主にとって有利な取引条件の提案の可能性を追求すべく、対抗的な買収提案の機会の確保(マーケット・チェック)を行う一環として、2023年3月上旬、当社の中長期的な企業価値の向上を企図する潜在的な買収者の有無を調査・検討することを決定し、当該マーケット・チェックの結果、2023年3月下旬より、製造業への投資実績・知見が豊富にあり長期投資を前提とする他の候補者との間でも非公開化に向けた協議を開始したが、2023年7月中旬、当該他の候補者より検討見送りの連絡を受けた。
寺岡敬之郎氏は、2022年11月上旬、伊藤忠商事から先行提案者の紹介とともに非公開化の提案を受けたことを契機として、当社の非公開化の検討を開始した。一方で、寺岡敬之郎氏は当社の大株主としての立場で先行提案者との協議を進める中で、2023年2月下旬、先行提案者の提案が短期間での経営改善や多額の借入金返済等を前提としていることが明らかになり、その実現性に疑念を抱くとともに、先行提案者が想定する期間内に当社の再上場が実現できない場合は株式を第三者に売却することもありうる可能性を懸念して、先行提案者の傘下では安定した事業運営の維持が難しくなると判断した。そして、先行提案者の傘下での経営、事業運営において何らかの混乱が生じた場合に従業員や長年取引がある販売代理店及び仕入れ業者が巻き込まれる事態に至ることは避けたいという思いを強く抱き、株式の長期保有を前提とした株主のもとで経営改善を進めていくことが望ましいという考えに至った。その手段を検討する中で、寺岡敬之郎氏自身のMBOによる非公開化という選択肢があることを認識した。一方で、2023年3月下旬より、当社は製造業への投資実績・知見が豊富にあり長期投資を前提とする別の候補者との間でも非公開化に向けた協議を開始したため、寺岡敬之郎氏としても、長期投資を前提とする候補者であれば、当社の企業価値の向上に資する機会であると考え、当該候補者との協議を優先することとした。しかしながら、2023年7月中旬に当該候補者からの検討見送りの連絡を受け、寺岡敬之郎氏は、株式の長期保有を前提としながら従業員及び取引先が一体となって当社の経営改善・再生を進めていくためには寺岡敬之郎氏自身によるMBOによって非公開化をすることが最善との考えに至り、検討を本格的に開始した。
公開買付者としては、当社グループが持続的に企業価値を向上させるためには、以下の施策を実施することが必要であると考えている。
① 小回りを利かせた開発営業による粘着テープ事業の立て直し
② PTIの立て直し
③ 成長が見込まれる車載電池関連領域への注力
④ 工場の原価低減に向けた取り組み
⑤ 経営体制の見直し
⑥ 人員最適配置
一方で、当社としても、以下の観点から、本取引は当社の企業価値の向上に資するものであると判断している。
① 粘着テープ事業の抜本的立て直しと寺岡敬之郎氏主導による販売代理店との関係再構築
② PTIの立て直し
③ 車載電池関連領域への注力
④ 工場における原価低減への取り組み
⑤ 経営体制・人員配置の見直し
当社株式の非公開化を行った際には、資本市場からの資金調達、及び上場会社として当社が享受してきた社会的な信用力や知名度向上による優れた人材の獲得等に影響を及ぼす可能性が考えられる。しかし、当社の足元の財務状況等に鑑みると、少なくとも今後数年間においては、エクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は見込まれない。加えて、上場会社としての当社の社会的な信用力や知名度向上に基づく優れた人材の獲得等は、当社が創業以来培ってきた社会的な信用力や知名度は主として事業活動を通じて獲得したものであり既に確立されており、また、採用力については従前と同様に技術開発力の向上及び働き甲斐の創出に注力するとともにそうした姿勢を真摯に説明していくことで懸念される影響を抑えることが可能であると考えられることを勘案すると、非公開化による影響は大きくないものと考えられる。さらに、当社の経営陣及び従業員が一丸となって、事業戦略の推進を目指すことに加えて、当社を率いる現代表取締役の寺岡敬之郎氏が非公開化後も継続的に指揮を執ることは、本中期経営計画の早期達成に向けた高いコミットメントを意味し、かかるコミットメントは、当社グループの役職員、取引先その他のステークホルダーとの関係性の維持・発展等の観点から、本取引成立後の当社の企業価値向上に資すると考えられること等から、非公開化のデメリットは限定的であると考えられる。
(ⅱ)検討
上記の寺岡敬之郎氏及び当社からの説明及び質疑応答の結果からすると、公開買付者は、①小回りを利かせた開発営業による粘着テープ事業の立て直し、②PTIの立て直し、③成長が見込まれる車載電池関連領域への注力、④工場の原価低減に向けた取り組み、⑤経営体制の見直し、⑥人員最適配置を実現することが、当社グループの企業価値の最大化を実現させる上で最善の方策であると認識しており、当社においても同様に、上記方策が必要であるものと認識している。しかし、近年、国内外の市場環境変化の影響により、採算重視の観点から、長年培ってきた販売代理店及び顧客との関係性が薄れ、結果的に顧客離れが生じており、公開買付者及び当社ともにその信頼回復が急務となっていると認識している。公開買付者が、強いリーダーシップで国内外の販売代理店との関係性再構築に尽力し、取引量の回復・拡大、さらには今後成長が見込まれるASEAN地域市場への事業展開や、車載電池関連領域に注力することが重要であるという認識に、不合理な点は認められない。
また、本取引の実施により、寺岡敬之郎氏及び公開買付者による当社の非公開化が実現され、創業家の寺岡敬之郎氏を中心とする所有と経営が一致した体制の下で当社の経営が行われることで、抜本的かつスピーディーな経営改革の施策の促進、柔軟かつ機動的な経営判断が可能となるとともに、上場維持コストの削減、当社の従業員のエンゲージメントの向上といった効果も併せて見込まれ、これらは当社の企業価値の向上に資するものと認められる。そして、当社の上場を維持したまま上記各施策を実施した場合には、一時的な利益水準や財務体質悪化のリスクが当社に生じ、その結果、当社株式の価値が毀損されることによって一般株主に対する悪影響が生じ得る可能性が見込まれ、そのような一般株主への悪影響を避け、かつ、中長期的な視点から、当社の抜本的な経営改革を推進するためには、当社を非公開化した上で上記各施策を実施することが望ましいものと認められる。
さらに、寺岡敬之郎氏及び公開買付者による非公開化によって(イ)寺岡敬之郎氏と協力関係にある外部コンサルタントからのノウハウ及び支援の収受、(ロ)伊藤忠商事との提携関係解消を踏まえた経営体制の見直し等の施策が実現されれば、当社の企業価値の向上が期待できると考えられ、公開買付者としても、当社グループが持続的に企業価値を向上させるためには、これらの施策を実施することが必要であると考えている旨が公開買付者からの回答によって示されている。
(ⅲ)小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引は当社の企業価値の向上に資することを企図するものであると認められ、本取引の目的は合理的であると判断するに至った。
II. 本取引の取引条件の妥当性
(ⅰ)山田コンサルによる株式価値算定書
当社が、先行提案者、公開買付者、寺岡敬之郎氏、伊藤忠商事及び当社から独立した第三者算定機関である山田コンサルから取得した当社株式価値算定書によれば、当社株式の1株当たり株式価値は、市場株価法によると331円から359円、類似会社比較法によると342円から391円、DCF法によると399円から632円、とされているところ、本公開買付価格である564円は、市場株価法及び類似会社比較法による算定結果の上限値を上回るとともに、DCF法による算定結果のレンジの中央値を大きく上回る金額である。
そして、本特別委員会は、山田コンサルから株式価値評価に用いられた算定方法等について、山田コンサル及び当社から、評価手法の選択、DCF法による算定の基礎となる当社の事業計画の作成方法・作成過程及び内容、割引率の算定根拠等について説明を受けるとともに、質疑応答を行った上で検討した結果、一般的な評価実務に照らして不合理な点は認められなかった。
加えて、本公開買付価格は、当社株式の2023年10月27日の東京証券取引所スタンダード市場における終値359円に対して57.10%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値339円に対して66.37%、直近3ヶ月間の終値の単純平均値336円に対して67.86%、直近6ヶ月間の終値の単純平均値331円に対して70.39%のプレミアムをそれぞれ加えた金額であって、本公開買付価格には近時の同様の事案と比較して、いずれの期間を基準にしても大きく上回るプレミアムが付されていると考えられる。
なお、本公開買付価格は、当社の2023年9月30日現在の簿価純資産額である26,400百万円を自己株式控除後の発行済株式総数(25,331,754株)で割ることにより算出した1株当たり純資産額である1,042円(本公開買付価格は当該金額との比較で54.1%のディスカウント)を下回っているものの、仮に当社が清算する場合においても、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではなく、化学製品を原材料とする当社製品の製造工場における土壌汚染の調査・除染費用等の清算に伴う追加コストの発生、また、製造工場は汎用性が乏しく、本社及び営業所の各建屋等は建築後相当程度の年月が経過し老朽化していることを踏まえると簿価により売却することが困難と見込まれるため、更地での売却が必要であり、建屋の取り壊しにも費用を要すること、製造工程の仕掛品や製品、原材料の廃棄等を考慮すると、相当程度の毀損が見込まれる(具体的には、当社の貸借対照表(2023年9月30日現在)上、商品製品1,731百万円、仕掛品1,498百万円、原材料・貯蔵品1,148百万円、土地・建物・構築物8,253百万円、機械装置・車両運搬具2,839百万円、建設仮勘定883百万円合計16,352百万円(総資産に占める割合50.3%)に対し、金額を明確に算出しているものではないが相当程度の毀損が見込まれる。)。
そのため、当社は、1株当たり簿価純資産額が当社株式の公正価値の最低価格となるという考え方は採用し難いと考え(なお、当社においては、清算を前提とする見積書の取得までは行っておらず、また、本公開買付価格が、具体的な検討を経て概算された想定清算コスト等を勘案して算出される、想定の清算価値を上回っていることの確認までは行っていない。)、また、純資産額は将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である当社の企業価値の算定において重視することは合理的ではないと考えており、当社の純資産の内容及び実際に毀損が見込まれる金額の規模に鑑みると、かかる当社の考えに不合理な点は認められない。
(ⅱ)交渉過程の手続の公正性
下記「III.本取引の手続の公正性」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引に係る交渉過程の手続は公正であると認められるところ、本公開買付価格は、かかる交渉の結果も踏まえて決定されたものであると認められる。
(ⅲ)本公開買付け後の手続の合理性
本公開買付けに応募しなかった少数株主は、本公開買付けの後に実施される予定の本スクイーズアウト手続において、最終的に金銭が交付されることになるところ、当該手続において交付される金銭の額については、本公開買付価格に株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定される予定である旨が、プレスリリース等で明示される予定であると認められる。
(ⅳ)対価の種類
本取引の対価は金銭とされており、換価困難な財産ではなく、株主保護の観点から妥当なものであると評価することができることを踏まえると、対価の種類は妥当と認められる。
(ⅴ)小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引の取引条件は妥当であると判断するに至った。
III. 本取引の手続の公正性
(ⅰ)特別委員会の設置
当社は、2022年12月20日付けで、先行提案者から、先行提案に係る提案書を受領し、先行提案を踏まえ、当社は、先行提案に係る取引に関する当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、八田圭子(当社社外取締役)、古市克典(当社社外取締役)及び境晴繁(当社社外監査役)の3名から構成される本特別委員会を設置し、本特別委員会に対して、先行提案に係る本取引に関して本諮問事項と同様の諮問事項を諮問した。その後、当社は、2023年8月2日付けで、寺岡敬之郎氏から、本取引に係る提案書を受領し、本特別委員会に対して、本公開買付けを含む本取引との関係でも本諮問事項を諮問し、これらの点についての本答申書を当社に提出することを委嘱している。また、当社は、本取引に係る決定を行うに際しては、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引の条件について妥当でないと判断した場合には、本取引を実行する旨の意思決定を行わないこととしている。
(ⅱ)当社による検討方法
当社が本取引について検討するにあたっては、先行提案者、公開買付者、寺岡敬之郎氏、伊藤忠商事及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザーであるりそな総合研究所、第三者算定機関である山田コンサル及びリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から助言・意見等を得ながら、当社の企業価値向上及び株主共同の利益の観点から、本公開買付価格をはじめとする本公開買付けの買付条件の妥当性及び本取引の一連の手続の公正性といった点について慎重に検討及び協議を行っている。
なお、本特別委員会は、りそな総合研究所、山田コンサル及びTMI総合法律事務所の独立性及び専門性に問題がないことを確認し、当社のファイナンシャル・アドバイザー、第三者算定機関及びリーガル・アドバイザーとして承認している。
また、本特別委員会は、先行提案者、公開買付者、寺岡敬之郎氏、伊藤忠商事及び当社から独立した本特別委員会独自のリーガル・アドバイザーである阿部・井窪・片山法律事務所を選任し、専門的な助言を受けている。
(ⅲ)本取引の交渉過程及び意思決定過程における特別利害関係人の不関与
当社の取締役のうち、代表取締役会長である寺岡敬之郎氏は、公開買付者の代表取締役であり、かつ、公開買付者の株式を全て所有していること、取締役である久保達哉氏は、2020年3月まで伊藤忠商事の従業員であったこと、取締役である朝倉信司氏及び吉田昌弘氏は、伊藤忠商事の従業員を兼務していることに鑑み、取締役会における審議及び決議が本取引における構造的な利益相反の問題による影響を受けるおそれを排除し、本取引の公正性を担保する観点から、当社取締役会におけるこれまでの本取引に関する全ての議案において、その審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加していない。
以上からすれば、当社における本取引に係る協議、検討及び交渉の過程で、公開買付者その他の本取引に特別な利害関係を有する者が当社側に不当な影響を与えたことを推認させる事実は存在しない。
(ⅳ)マジョリティ・オブ・マイノリティ条件
本公開買付けにおける買付予定数の下限(15,519,300株、株券等所有割合61.26%)は、当社第2四半期決算短信に記載された2023年9月30日現在の発行済株式総数(26,687,955株)から、同日現在の当社が保有する自己株式数(1,356,201株)及び寺岡敬之郎氏(特別関係者を含む。)が保有する当社株式数(1,386,821株)を控除した株式数(23,944,933株)に係る議決権(239,449個)の過半数に相当する数(119,725個)に相当する当社株式数(11,972,500株)を上回っている。すなわち、公開買付者と利害関係を有しない当社の株主が保有する当社株式の数の過半数の賛同が得られない場合には成立せず、当社の少数株主の意思を重視した設定となっており、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」条件を満たしている。
(v)本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日に設定している。公開買付期間を法定の最短期間より長期に設定することにより、当社の株主に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式についての対抗的買収提案者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付価格の適正性を担保することを企図している。
また、当社は、対抗的な買収提案の機会の確保(マーケット・チェック)を行う一環として、潜在的な買収者の有無を調査・検討し、公開買付者とは別の買収提案者による提案の提出を受けた上で、各買収提案者との間での面談を実施するとともに、厳格な入札プロセスを実施し、かかる面談の結果や、入札に参加した買収提案者による各最終提案書の内容等の比較検討を通じて、公開買付価格に係る提案において最も高い価格で当社を評価した公開買付者との間で本取引を実行することを決定したものである。このように、当社は、公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等その他の取引機会を積極的に設け、当社の企業価値を高めつつ少数株主にとってできる限り有利な取引条件で本取引が行われることを目指した合理的な努力を行っている。
さらに、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項や公開買付者に対する賛同の意見表明を撤回することができないような制約を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っていない。このように、公開買付者及び当社は、上記公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買付け等の機会を確保することにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮している。
(ⅵ)小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る手続は公正であると判断するに至った。
IV. 当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明を含む。)を決定することが少数株主に不利益か否かについて
上記Ⅰ乃至IIIまでにおいて検討した諸事項以外の点に関して、本特別委員会において、本公開買付けを含む本取引が当社の少数株主にとって不利益なものであると考える事情は特段見当たらず、したがって当社の取締役会が、本公開買付けへの賛同意見の表明及び当社の株主に対して応募推奨することを含め、本取引の実施を決定することは当社の少数株主にとって不利益ではないと判断するに至った。
③ 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するために、先行提案者、寺岡敬之郎氏、公開買付者、伊藤忠商事及び当社のいずれからも独立したリーガル・アドバイザーとして、TMI総合法律事務所を選任し、本公開買付けに関する当社取締役会の意思決定の過程、方法その他の本公開買付けに関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。
なお、TMI総合法律事務所は、先行提案者、寺岡敬之郎氏、公開買付者、伊藤忠商事及び当社のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、TMI総合法律事務所に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
④ 本特別委員会における独立した法律事務所からの助言
本特別委員会は、寺岡敬之郎氏、公開買付者、伊藤忠商事及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして阿部・井窪・片山法律事務所を選任し、本取引の手続の公正性に関して法的助言を受けております。なお、阿部・井窪・片山法律事務所は、寺岡敬之郎氏、公開買付者、伊藤忠商事及び当社のいずれの関連当事者にも該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
また、阿部・井窪・片山法律事務所に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
⑤ 当社における利害関係を有しない取締役の承認及び監査役の異議がない旨の意見
当社取締役会は、TMI総合法律事務所から受けた法的助言及び当社株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引に関して、当社の企業価値向上、本取引に関する諸条件の妥当性等の観点から慎重に協議及び検討を行いました。
その結果、上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、当社は、本公開買付けを含む本取引は当社グループの企業価値の向上に資するとともに、本公開買付価格は妥当性を有し、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2023年10月30日開催の取締役会において、本公開買付けへ賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
上記取締役会においては、当社の取締役10名のうち、寺岡敬之郎氏、久保達哉氏、朝倉信司氏及び吉田昌弘氏を除く取締役6名が審議及び決議に参加した取締役の全員一致により決議されております。また、上記取締役会には、当社の監査役4名全員が出席し、いずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べております。なお、利益相反の疑いを回避し、本取引の公正性を担保する観点から、当社の取締役のうち、代表取締役会長である寺岡敬之郎氏は、公開買付者の代表取締役であり、かつ、公開買付者の株式を全て所有していること、また、取締役である久保達哉氏は、2020年3月まで伊藤忠商事の従業員であったこと、取締役である朝倉信司氏及び吉田昌弘氏は、伊藤忠商事の従業員を兼務していることから、当該取締役会における本取引の検討に関する議題の審議及び決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切関与しておりません。なお、当社は、当社の取締役のうち、代表取締役である辻賢一氏は、伊藤忠商事の従業員であったものの、2018年3月に伊藤忠商事を退職しており、既に5年以上が経過しているため、利害関係はないものと判断しております。
⑥ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日に設定しております。公開買付期間を法定の最短期間より長期に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について公開買付者以外の者(以下「対抗的買収提案者」といいます。)にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付価格の適正性を担保することを企図しているとのことです。
また、上記「1.本株式併合の目的」に記載のとおり、当社は、対抗的な買収提案の機会の確保(マーケット・チェック)を行う一環として、潜在的な買収者の有無を調査・検討を実施し、公開買付者とは別の買収提案者による提案の提出を受け、かかる提案や各社との面談の結果等との比較を通じて、公開買付価格に係る提案において最も高い価格で当社を評価した公開買付者との間で本取引を実行することを決定しているものであり、公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等その他の取引機会を積極的に設けております。さらに、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項や公開買付者に対する賛同の意見表明を撤回することができないような制約を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておりません。このように、上記公開買付期間の設定と併せ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。
⑦ マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)を達成する買付予定数の下限の設定
本公開買付けにおいて、公開買付者は、本意見表明プレスリリースの「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、当社株式を非公開化することを目的としているため、買付予定数の下限を15,519,300株(所有割合:61.26%)に設定しており、応募株券等の総数が買付予定数の下限(15,519,300株)に満たない場合は、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。本公開買付けにおける買付予定数の下限(15,519,300株、所有割合61.26%)は、マジョリティ・オブ・マイノリティの水準(当社第2四半期決算短信に記載された2023年9月30日現在の発行済株式総数(26,687,955株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(1,356,201株)及び寺岡敬之郎氏が所有する当社株式数(1,386,821株。特別関係者を含みます。)を控除した株式数(23,944,933株)に係る議決権(239,449個)の過半数に相当する数(119,725個)に相当する当社株式数(11,972,500株)を上回っています。すなわち、公開買付者と利害関係を有しない当社の株主が所有する当社株式の数の過半数の賛同が得られない場合には成立せず、当社の少数株主の皆様の意思を重視した設定となっており、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」条件を満たしております。
4.本株式併合がその効力を生ずる日
2024年3月13日(予定)
以上