有価証券報告書-第160期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
当社グループは、経営指針「Our Vision」の下、中期経営計画「2030 Vision: Shift the Phase」に沿って、持続的成長による企業価値の向上を目指しています。一方で、当社グループを取り巻く事業環境はますます複雑でダイナミックな変化を見せています。当社グループは、このような事業目標の達成に影響を及ぼす内部、外部の要因による不確実性をリスクと捉えています。そのマイナスの影響を最小化し、成果を最大化するため、重要なリスクについて識別、評価し確実に管理するリスクマネジメントは重要な経営基盤の一つと位置付けられます。
当社グループのリスクマネジメントは、会社法やコーポレートガバナンス・コードの原則に基づき、取締役会で決議された「内部統制システム等に関する基本方針」に準じています。また、企業活動上発生するリスクへの具体的な対処については社内規程「リスクマネジメントに関するグループポリシー」に定めています。
当社グループのリスクマネジメント体制は、日々の業務のなかに十分に活かされ、「3線モデル」として機能します。第1線は、それぞれの事業部門や間接部門(ファンクション部門)そのものの中に存在し、日々の業務として当社グループの全ての業務内に存在するリスクを識別、評価、管理することで、当該リスクを統制し、軽減します。第2線は、ファンクション部門や経営陣によって担われ、業務やリスクマネジメントの方針や基準を定めるだけでなく、効果的なリスク統制活動をモニターします。第3線は、内部監査部門によって担われ、独立して統制の有効性やリスクマネジメントプロセスを評価します。

全社的リスクマネジメント体制の中心として(主として第2線)、当社グループは、トップダウンアプローチである戦略的リスク委員会(SRC)とボトムアップアプローチである全社的リスクマネジメントチーム(ERMT)を組み合わせたハイブリッド型の二層式リスクマネジメント体制を採用しています。いずれも経営会議の監督の下で運営され、その運営状況は取締役会に報告されます。
SRCストラクチャーとその目的 – トップダウンリスクレビュー
SRCの議長は、最高リスク責任者(CRO)が務め、SRCは、CEOをはじめとする執行役及び他の関連幹部社員によって構成されます。
SRCは、当社グループ全般にわたるリスク管理ポリシーや枠組みを決定し、その枠組みに従ってグループの戦略的リスクを特定のうえ、各戦略的リスクにつきリスクオーナーを定め、リスク軽減策の進捗等を含めモニターします。
ERMTストラクチャーとその目的 – ボトムアップリスクレビュー
ERMTの議長は、最高財務責任者(CFO)が務め、ERMTは各事業部門や関連ファンクション部門の長やリスクチャンピオン(各部門のリスク担当者)等から構成されます。毎年それぞれの業務の遂行に付随する重要なリスクについて識別、評価、優先順位付けを行い、必要なリスク軽減策を講じることでリスクマネジメントの実効性の向上を図っています。これらのリスクやその軽減策については、状況に応じて都度見直され、とりわけ重要なリスクについては、SRCによってモニターされます。ERMTは、定期的に又は必要に応じて開催され、SRCに報告します。

上記の枠組みにより、当社グループでは、各連結会計年度末時点における事業活動の状況及び財政状態に照らして、主要な財務上及び事業運営上のリスク要因につき、定期的な見直しを行っています。当連結会計年度末時点において、当社グループが認識している主要な財務上及び事業運営上のリスクは、以下に記載の通りです。但し、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見しがたいリスク又は重要とみなされていないリスクが顕在化した場合には、これらの影響を将来的に受ける可能性があります。
なお、文中における将来事項に関する記述は、当連結会計年度末時点における、当社グループの合理的な判断に基づくものです。
外部環境リスク
(1)経済状況、地政学上の影響、事業環境
当社グループは、日本を含むアジア、欧州、米州等、世界各国・地域で事業展開しています。このため、通貨インフレやエネルギー価格の上昇といった世界経済の変化、世界各国における顧客の事業環境の変化、グローバルにつながるサプライチェーンの断絶や米中貿易戦争、米国政府等による関税施策、ロシアによるウクライナ侵攻、イラン等の中東における紛争、台湾を巡る緊張など世界各地における地政学上の問題が、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。 また、南米等の新興市場については長期的には先進国・地域の市場を上回るペースで成長するものと考えていますが、当社グループが事業を展開している先進国・地域の市場に比べてより大きな潜在的リスクがあると考えています。
(2)為替及び金利の変動
当社グループは、世界の多くの国々や地域で事業活動を展開しており、こうした国々や地域において為替レートの変動及び金利の変動のリスクを有しています。また、海外子会社の現地通貨で表示される資産・負債等については、連結財務諸表の作成のために円換算される過程において、為替レートの変動によるリスクも有しています。更に金利の変動は、支払利息や受取利息、あるいは金融資産や金融負債の金額に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは為替予約契約や金利スワップ取引等によりこれらのリスクのヘッジに努めていますが、為替レート及び金利の変動は、当社グループの事業、業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
経営戦略リスク
(3)事業戦略
当社グループの事業戦略は、経済、法制環境、原料価格、為替レート、新技術や新製品の開発や提供、現在締結されている又は将来締結される契約の条件等の様々な要因により影響を受けます。そのため、当社グループの事業戦略が成功し、想定した成果を収めることができるという保証はありません。更に当社グループの事業計画の遂行が想定した効果を生まない、あるいは期待された効果を実現できない可能性があります。
当社グループは、競争優位を維持するため、利益率の低い製品から高付加価値製品へのシフトを目的に新技術や新製品の開発に努め、投資を行っています。しかしながら、当社グループが、競合他社に先駆けてより高度な技術の開発やその事業化に成功し、又は結果的に競合他社よりも高い競争力を維持できるという保証はありません。
1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記述の通り、当社グループは、中期経営計画「2030 Vision: Shift the Phase」の下、企業としてのフェーズを変え、持続可能な社会の発展に不可欠な存在を目指していますが、以下記載の背景等から、2026年3月24日に、アポロ・ファンドによる支援を受けながら資本の再構成を通じた持続的な成長の実現に向けた抜本的施策(「本取引といいます。」)の実施を目指すことを公表しました。
当社グループにおいては、長年にわたる高水準の借入れによる金利負担や限定的な流動性、及び欧州景気の減退局面等では英国子会社の借入れにおける配当制限等のコベナンツがグループ内資金活用の制限要因となること等が資金繰りの安定化や十分な成長・維持投資の実施におけるマイナス要因になり得る状況となっており、中長期的な競争力の維持に向けた抜本的施策の実施が喫緊の課題となっています。特に近年において、主力市場である欧州経済の停滞、原材料価格上昇等に伴うコスト増、米国関税等によるサプライチェーンへの影響等により、事業環境はさらに厳しさを増しており、その結果として過去5年間で累積約284億円の最終赤字を計上している他、直近で総額5,000億円を超える負債を背景に、企業価値のうち高い割合をネット有利子負債が占める状況にあります。当社において収益及び財務体質の再構築が長年の課題である中、自助努力の一環としてA種種類株式の発行による資本性資金の調達、人員体制の見直し、欧州のフロート窯閉鎖等様々な施策を実施していますが、残念ながら現状では復配の見通しが立たず、また、自助努力の範疇では収益及び財務体質の再構築には長期間を要するものと考えられ、今後も脆弱な収益・財務体質のまま、より一層厳しく、変化の見通しにくい経営環境に直面することが想定されます。
2025年3月期に大幅な最終赤字を計上したこと、及び2026年3月期においても業績回復が想定より遅れていることから、2026年3月末までに返済期限を迎える1,000億円超の借入金について、本取引を前提としない場合、現状の資本構成下において借り換えを含め返済を行うことが容易ではない状況となっていました。また、本取引を実施せず、自助努力により借入れを継続できた場合でも、引き続き高水準の借入金残高が維持されることとなり、当社の財務体質の再構築には長期間を要するものと考えられました。
そのため、当社としては、上記の状況を改善するために、外部資本の取入れその他の方法を含め、既存の財務構造面の課題を抜本的かつ早急に解決する必要があると考えておりました。
このような状況の下、2026年3月24日付け公表のとおり、当社は、Apollo Global Management, Inc.及びその子会社の関係会社が投資助言を行う投資ファンド(「アポロ・ファンド」といいます。)が保有する特別目的会社であるLumina Japan Acquisition株式会社(「割当予定先」といいます。)を割当先とする払込金額の総額約1,650億円の第三者割当による当社普通株式の発行(「本第三者割当」といいます。)を実施すること、並びにそのための発行可能株式総数増加に係る定款の一部変更に係る議案及び当社の株主を割当予定先のみとするための株式併合に係る議案等を2026年6月下旬開催予定の当社定時株主総会(「本定時株主総会」といいます。)に付議することを、同日付の取締役会において決議しました。
さらに、本株式併合の効力発生日に、株式会社三井住友銀行、株式会社日本政策投資銀行、株式会社みずほ銀行、三井住友信託銀行株式会社(総称して「本主要金融機関」といいます。)が出資先組合及び割当予定先を通じて当社に1,400億円の金銭を払い込み、当社が同日に割当予定先から払込みを受ける当該資金を用いて本主要金融機関からの借入債務のうち当該払込金額に相当する金額を弁済すること(「本擬似DES」といいます。)を予定しています。本擬似DESについては、当社の債務の株式化に伴う資本の再構成を通じて将来の成長に繋げることを意図して行われるものであり、アポロ・ファンド及び本主要金融機関との間で、当該取引に関する契約が締結されたことを確認しています。
2026年3月末を返済期限とする1,000億円超の借入金については、上記施策を前提として本主要金融機関をはじめとする国内の金融機関との間で合意しリファイナンスを実施しています。
なお、本第三者割当の実行に必要となる国内外の競争法、国内外の対内直接投資に係る法令等及びForeign Subsidies Regulationに基づく必要な手続及び対応(「本許認可等」といいます。)に一定期間を要することから、当社及び割当予定先との間で締結した株式引受契約に基づき、上記の定時株主総会付議議案の全てが本定時株主総会において承認可決されることに加え、本許認可等が完了していること等が本第三者割当の実行の条件とされています。
そして、当該株式併合の効力発生は、本第三者割当が実行されることが条件となります。
A種種類株式の保有者であったジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第弐号投資事業有限責任組合(「JISファンド」といいます。)、UDSコーポレート・メザニン3号投資事業有限責任組合及びUDSコーポレート・メザニン4号投資事業有限責任組合(総称して「UDSファンド」といいます。)は、2026年3月24日付開示のとおり、その保有していたA種種類株式の全てについて普通株式を対価とする取得請求権を行使し、当社との間で、それぞれJISファンド、UDSファンドが本定時株主総会において本第三者割当関連議案及び株式併合議案に賛成の議決権を行使する旨を含む覚書を締結しています。また、同合意に沿ってそれぞれ転換請求がされ、本定時株主総会の基準日(2026年3月31日)において、普通株主として当社の株主名簿に記載・記録されています。さらに、普通株主に対して当社の考え方をご説明する資料を本定時株主総会の招集通知に同封して送付し、同株主総会においても十分な説明を行う予定です。
本許認可等についても、各国当局への申請関連書類の提出を行うなど、クリアランス手続は開始しており、一部の国では既に手続が終了するなど、プロセスも着実に進展しています。
以上を考慮すれば、当社としては、上記施策の実現可能性は高いと判断しております。そして、この施策の実行により、英国子会社における既存借入金の返済を含む財務体質の大幅な改善、及び手元流動性の確保がなされると考えております。
以上より、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断し、それらに関する連結財務諸表等への注記は記載していません。
(4)特定の産業・分野への依存
当社グループの売上高の90%以上が、建築用ガラス事業及び自動車用ガラス事業におけるものであり、当連結会計年度では、それぞれ外部顧客への売上高の43%及び52%を占めています。また、当社グループの外部顧客への売上高は、主に建設、住宅産業及び自動車産業の顧客に対するものです。これらの業界では、これまでも消費者マインドの周期的な動きに連動して需要が変動してきました。需要の変動のみならず、顧客のサプライチェーンが、今後当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、相対的に利益率が高く、将来市場の大きな成長が見込まれる高付加価値製品の売上の増大に努めています。これらの製品は、一般的な製品に比べて価格の変動は通常小さいと考えられ、経済状況が悪化した場合の影響を受けにくいと考えられています。しかしながら、これらの製品が高い利益率を維持し続ける、又はこれらの製品の市場が製品全体の平均を上回るペースで成長し続けるという保証はありません。更に、他のガラスメーカーが技術的な優位を有する製品を市場に投入する結果、当社グループの製品との競合が高まり、高付加価値製品であるにもかかわらず利益率が低下する可能性があります。
また顧客が当社グループに不利な形に戦略を見直す可能性があります。その場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があり、特定の顧客向けの高付加価値製品では影響がより大きい可能性があります。なお、自動車用ガラス事業では、自動車産業における企業間の合従連衡の結果、当社グループの顧客である自動車メーカーの購買力の上昇や販売先上位のメーカーへの顧客ベースの集中が生じる可能性があります。また、自動車産業においては、CASE(コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)の進展など歴史的な産業構造の変化が起こっており、サプライチェーンにも重大な変化をもたらす可能性があります。当社グループは、これらの変化に対応するため、更なる生産性の向上、コスト低減、リソース配分の選択と集中を進めていますが、こうした対応が功を奏さず、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)競争
当社グループは、日本及び海外のガラスメーカーと競合関係にあります。また、プラスチックや金属をはじめ、建築分野、自動車分野及び情報電子分野等で使用される各種素材メーカーとも競合関係にあります。当社グループでは、独自技術や独自製品の市場への提供により競争力の確保に努めていますが、市場ニーズの変化、製品を低コストで提供するメーカーの台頭、あるいは強固な顧客基盤や高い知名度を有するメーカーの参入等によって、当社グループの競争優位を維持できない場合、又は当社グループが獲得できないような政府による助成制度を競合他社が受けている場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。
(6)製品の開発及び技術革新
当社グループは、既存の事業分野における独自技術や独自製品の開発に注力するとともに、既存分野以外の新しい分野における新製品の開発に注力しています。近年の急速で大きな技術の変化にタイムリーかつ適切に対応することは、製品、サービス、更にはデジタライゼーションやオートメーションといった製造プロセスにおける当社グループの技術優位性を高め、維持するために必要です。そのためには、顧客ニーズを把握するとともに、気候変動等の環境問題対応にかかる技術を含め、関連マーケットや製造業界における技術変化を先読みし、当社グループが強みを持つ技術領域に選択的・重点的にリソースを投入することで、技術開発、商品化、事業化を効果的に実現することが重要となります。しかしながら、新製品や新技術の開発プロセスは相当な時間と支出を要する可能性があり、また新製品の販売による収益や新技術の貢献が得られるまでに、多くの投資が必要となる可能性があります。
また、競合他社が当社グループより先んじて技術開発を行い、特許権等の知的財産を確保し、商品化、事業化を成功させ、早く市場に製品を送り出した場合や、代替技術や代替製品が市場に受け入れられた場合には、当社グループによる製品開発のための投資は、当初想定した利益をもたらさない可能性があります。更に当社グループが技術革新を予測できない場合や、これに迅速に対応できない場合、あるいは顧客のニーズに適応した新製品の開発に成功しなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。
(7)知的財産権
特許権等の知的財産権は、当社グループの事業において競争力をもたらす重要な要素です。当社グループは、「グループ知的財産ポリシー」に基づき、保有する知的財産価値を最大化するため、知的財産権の保護や管理に努めています。しかしながら、当社グループが有する知的財産権を常に保護できるという保証はなく、当該知的財産権の競争優位性が失われる可能性もあります。また、当社グループは世界各国・地域で事業を行っているため、知的財産権に関する第三者との紛争のリスクも高まっています。このような知的財産権に関する侵害や紛争が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。
(8)海外における事業
当社グループは、日本、アジア、欧州、北米、南米等、世界各国・地域に生産設備及び販売拠点を有しています。更に当社グループは、南米、中国等の新興国・地域において、子会社、ジョイント・ベンチャー、出資、提携といった様々な形態により事業運営を行っており、これらは当該国・地域における当社グループの生産、販売能力を維持するうえで重要な役割を担っています。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、当社グループは、2022年3月以降、ロシア企業とのすべての通商取引を停止し、保有していたロシアの事業会社を既に売却しています。
また、欧州地域のガラス市場の需給状況を勘案し、2025年3月期において、ドイツで建築用ガラスのフロート窯2基の早期生産停止を実施いたしました。当連結会計年度では、ドイツやイタリアを中心に自動車用ガラスの生産体制見直しを行っています。
これらの国・地域の市場環境が更に悪化する場合には、将来において追加の減損損失が発生する可能性もあります。また、ジョイント・ベンチャーのパートナー等との間での事業運営等の方針の相違により、事業の継続が困難になるような場合やその他の要因によっては、投資に対する想定外の損失が発生する可能性があります。
(9)人材の確保
当社グループの変革と将来の成長は有能な人材の確保と育成に大きく依存します。当社グループでは、人材確保・育成・リテンションのための各種施策に取り組んでいますが、技術者を中心とする人材獲得競争は更に激化しており、適切なタイミングで優秀な人材が計画通り確保できない、確保した人材の育成が計画通り上手くいかない、又は育成した優秀な人材を維持できず社外流出が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。人的資本に関する取り組みについては、[2「サステナビリティに関する考え方及び取組」3.人的資本及び多様性]をご参照ください。
(10)法規制、倫理・コンプライアンス等
当社及びその子会社、並びにジョイント・ベンチャー及び関連会社では、投資や輸出入に関する規制、公正な競争に関する規制、環境保護に関する規制並びにその他商取引、労働、退職年金、知的財産権、租税、通貨管理、支払い、資本、制裁等に関する所在国・地域の各種法令規則及び国際規則・条約の適用を受けています。これらの法令規則又はその運用の変更に伴い、当社グループの事業活動に対する制約の発生、法令遵守対応に関する費用の発生、あるいは法令規則違反による当社グループに対する過料の賦課、又はこれに派生する民事賠償請求等によって、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。
このような状況下において、当社グループは、当社グループの役職員が職務遂行に際し法令及び定款に適合することを確保するため、「NSGグループ倫理規範」を制定し、倫理・コンプライアンス部を設置して、懸念事項報告相談制度の整備、運用を含む倫理・コンプライアンスプログラムを実施し、継続的に倫理・コンプライアンスに関する周知・教育活動を行っています。当連結会計年度においては、AIや人権、DEI(多様性、公平性、包摂性)といった事項等を中心に、本倫理規範を改定しました。また、グループ倫理・コンプライアンス委員会を設置し、当連結会計年度では、同委員会を2回開催しました。倫理規範に基づき、各ファンクション部門は、関連グループポリシー等を制定、運用、管理し、コンプライアンスを推進しています。これらファンクション部門による管理に加え、「グループ関係会社管理ポリシー」等を制定し、関係会社ごとの管理の強化にも取り組んでいます。また、気候変動や法令遵守への対応をはじめとする当社グループのサステナビリティ(持続可能性)目標の達成に向けた行動をサプライヤーの皆様と協力して強化・加速するため、「NSGグループ サステナブル・サプライチェーン憲章」を制定するとともに、当社グループの人権尊重へのコミットメントをより明確化するために、「グループ人権ポリシー」を制定しています。しかしながら、当社グループ会社若しくはそれら役職員又は取引先等の第三者による法令又はグループポリシー等の違反が発生した場合には、当社グループの技術情報等が流出したり、当社グループやステークホルダーに直接的又は間接的な損害が発生したりするなど、当社グループの社会的評価、事業、業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。
財務リスク
(11)資金調達
当社グループは、①新製品の発売、②事業計画や研究開発計画の実行、③生産能力の拡大、④補完的な事業、技術又はサービスの取得、⑤コスト削減策やリストラクチャリング計画の実行、⑥期限を迎えた負債の返済等の目的に充当するため、将来において追加的な資金の調達が必要となる可能性があります。2025年3月期において、当社子会社である NSG UK Enterprises Limited が、米ドル建及びユーロ建普通社債を私募方式により発行いたしました。負債の借入契約に規定される財務制限条項等の条件に抵触することにより想定外のタイミングで当該負債の返済が必要となり、そのために追加の資金調達等が必要になる可能性もあります。当社グループが、借換えのための資金や新たに必要となる資金を想定する条件で調達できない又は全く調達できない場合、既存の製品及びサービスの拡充と改善や新事業開発のための投資を行うことが困難となり、その結果として競合他社よりも高い競争力を確保することが困難となる、又は資金調達コストが増加するなどにより、当社グループの事業活動、業績及び財務状況にも大きな影響が及ぶ可能性があります。
(12)貸借対照表に計上された資産の評価及び減損等
当社グループは、貸借対照表において、減損テストの実施を毎年必要とする多額の資産項目を計上しています。これらの資産には、ピルキントン社買収により発生したのれんや無形資産が含まれますが、これらに限定されるものではなく、各国・地域における税務上の繰越欠損金等に対して認識された繰延税金資産も含まれます。
当社グループは、2023年3月期において、2006年のピルキントン社買収に伴って発生した欧州における自動車用ガラス事業ののれん及び無形資産残高488億円全額について減損損失を計上しました。これは、主に減損テストで使用する割引率が大幅に上昇した結果、減損損失を認識したことによるものです。
2025年3月期においては、主に南米で事業を展開する「建築用ガラス事業 その他の地域」の資金生成単位(CGU)に係るのれんの減損損失(14億円)を認識しました。これにより当社グループは、2006年のピルキントン社買収により生じた「建築用ガラス事業 その他の地域」のCGUに係るのれん全額を減損したことになります。さらに当連結会計年度において、2006年6月のピルキントン社買収に伴って発生した北米における自動車用ガラス事業に係るのれんの減損損失(34億円)を認識しています。
当社グループのCGUについて、将来において減損損失が全く発生しないという保証はありません。当社グループの今後の業績が以前に減損テストを実施した際の想定通りに改善しない場合には、将来において減損損失が発生する可能性があります。更に、経済状況に応じて事業の縮小・撤退を決める場合には、上述以外の資産を減損する可能性もあります。
当社グループは、年度末に回収可能性を検討し繰延税金資産を再評価しますが、繰延税金資産の算定に使用される適用税率が低下すれば、将来において繰延税金資産の評価減が発生する可能性があります。貸借対照表上の価値は、利益の減少や為替市場の変動リスクといった要素の影響を受け、連結資産価値の減少や資産の評価減、償却を伴う可能性があります。そのような要素は、更に株主資本を減少させ、資金調達や取引活動、ひいては当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)退職給付債務
当社グループでは、多数の企業年金制度や退職者向け医療給付制度を運営しています。年金資産の時価が大きく変動した場合、又は年金債務計算に使用される割引率や死亡率等が大きく変動した場合には、当社グループの退職給付制度に対する追加的な資金拠出や保全措置が必要となる可能性があります。
当社グループでは、従業員に対して適切な退職給付制度を提供する一方で、追加的な資金拠出が必要となるリスクを低減するため、退職給付債務について定期的に見直しを行っています。過去数年間にわたって、当社グループでは、各国の年金制度に応じ、年金資産の運用構成の見直し、年金受給者に関する長寿リスクのヘッジ、及び現役従業員に関する年金給付額算定のベースとなる給与額の上昇に対する上限の設定等の対応を行ってまいりました。しかしながら、こうした対応によって、将来における当社グループの年金制度に対する資金拠出増加のリスクを完全に除去できない可能性があります。
オペレーショナルリスク
(14)事故・自然災害等による生産中断等のリスク
当社グループは、生産活動の中断により生じる潜在的な影響を最小限に抑えるため、設備に対して定期的な防災点検や保守を行っています。それに加え、生産設備に対する自然災害等(地震、台風、洪水、停電及び当社グループ又は顧客の生産を停止させるその他の事象等)の影響を抑えるべく、主要拠点では事業継続計画(BCP)を策定しています。しかしながら、気候変動による自然災害リスクの増加や事故、サプライチェーンの分断、感染症の大流行などによる当社グループの生産設備等の被害や生産活動の中断等の影響を完全に予防又は低減できない可能性があります。また、当社グループの特定の設備で生産される製品を、他の設備で生産できない場合もあります。したがって、地震及びその他の事象により、当社グループのいずれかの設備において生産の中断があった場合には、特定の製品の生産能力が著しく低下する可能性があり、結果的に当社グループの業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。当連結会計年度において、当社グループはチリのコンセプシオンに所在するフロート窯での生産を近傍での山火事発生のため一時停止しました。この予期せぬ生産停止により生産設備が損傷し、原状回復のための支出と、その間の生産停止に関連して約9億円の損失を計上しています。当社グループでは、このような事態を想定して保険に加入していますが、いかなる場合でも当社グループの損害が補償されるわけではなく、保険の対象外である場合又は保険の限度額を上回る損害が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。
(15)気候変動や環境に関する法規制その他の要請への対応
上記(10)の記載にもある通り、当社グループは、気候変動対策を始めとする持続可能な社会への取り組みに注力しています。地球環境に与える負荷を低減するため、温室効果ガス排出削減、省エネ・創エネ、廃棄物削減、有害物質の不使用・除去等の環境課題に取り組み、環境に関する様々な法令規則を遵守しています。しかしながら、環境に関する法令規則やその運用に関する変更が行われた場合には、当社グループの事業活動に対する制約の発生、法令遵守対応に関する費用の発生、あるいは法令規則違反による当社グループに対する過料の賦課等によって、当社グループの社会的評価が低下したり、業績及び財務状況に大きな影響が及んだりする可能性があります。また、社会やステークホルダーから企業に対して気候変動や環境への対策及びその開示を求める要請は年々高まっており、それらについての十分な対応又は開示ができないことによって、当社グループの社会的評価が低下したり、業績及び財務状況に大きな影響が及んだりする可能性があります。気候変動に関する取り組みについては、[2「サステナビリティに関する考え方及び取組」2.気候変動]をご参照ください。
(16)原燃材料の調達及び製品供給
ガラスの製造や販売の過程においては、珪砂やソーダ灰等の原材料、重油や天然ガス、電気等のエネルギー、物流や保管、また国や地域によっては温室効果ガス排出権の状況が大きな影響を持ちます。当社グループでは、商品デリバティブ取引やスワップ取引により、原燃料の価格変動リスクをヘッジしていますが、これらの手法によって原燃料価格の上昇による影響を完全に除去できるわけではありません。これらの調達コストや価格の上昇や変動は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。イラン等の中東情勢が更に悪化又は長期化した場合には、原油価格等が高騰し、それに伴いエネルギーや原燃材料の調達コストや価格が上昇する可能性があります。
当社グループは、原燃材料の調達に関して、仕入先との間で長期間に及ぶ固定価格での購入契約を締結する場合があります。また、当社グループの製品は、当社グループ独自の販売ルートに加え、当社グループ以外の第三者を通じて販売されています。最良の仕入先等の選定、確保に努めていますが、何らかの理由により、主要な仕入先や販売先との関係の終了や重要な変更が生じ、又は主要な仕入先が契約上の義務を履行できなくなった場合には、現在よりも不利な条件での契約の締結が必要となり、又は原燃材料の仕入れや製品の流通に支障が生ずる可能性があり、結果的に当社グループの業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。
(17)品質、リコール、製造物責任その他の民事賠償責任
当社グループの製品の欠陥により第三者に損害が発生した場合、当社グループは製造物責任に基づく賠償請求を受ける可能性があり、また、これにより当社グループの社会的評価に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、このような賠償責任に対して保険に加入していますが、いかなる場合でも当社グループの賠償責任が補償されるわけではなく、当該賠償責任の内容が保険の対象にならない場合や保険の限度額を上回る場合もあり得ます。
また、当社グループでは、「品質に関するグループポリシー」を制定し、安全で高品質な製品とサービスの提供に注力していますが、予期しない品質問題が生じた場合、大規模なリコールが発生する可能性があります。その場合は、当社グループの社会的評価が毀損し、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(18)情報セキュリティ
当社グループでは、事業活動に関して様々な機密情報やデータを保有・使用しており、適切な情報の管理や効率的な業務の遂行のための情報システムのアップデートやコントロールの重要性はますます高まっています。当社グループは、外部専門サービスによるサポートを得たり、従業員に対する教育を行ったりするなど機密情報・データや情報システムの十分な保護に向けた施策に努めていますが、自然災害、通信トラブル、コンピューター・ウイルスの感染、サイバー攻撃等の事象により情報システムや事業活動の中断や機密情報の漏えい等の事態が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。
当社グループのリスクマネジメントは、会社法やコーポレートガバナンス・コードの原則に基づき、取締役会で決議された「内部統制システム等に関する基本方針」に準じています。また、企業活動上発生するリスクへの具体的な対処については社内規程「リスクマネジメントに関するグループポリシー」に定めています。
当社グループのリスクマネジメント体制は、日々の業務のなかに十分に活かされ、「3線モデル」として機能します。第1線は、それぞれの事業部門や間接部門(ファンクション部門)そのものの中に存在し、日々の業務として当社グループの全ての業務内に存在するリスクを識別、評価、管理することで、当該リスクを統制し、軽減します。第2線は、ファンクション部門や経営陣によって担われ、業務やリスクマネジメントの方針や基準を定めるだけでなく、効果的なリスク統制活動をモニターします。第3線は、内部監査部門によって担われ、独立して統制の有効性やリスクマネジメントプロセスを評価します。

全社的リスクマネジメント体制の中心として(主として第2線)、当社グループは、トップダウンアプローチである戦略的リスク委員会(SRC)とボトムアップアプローチである全社的リスクマネジメントチーム(ERMT)を組み合わせたハイブリッド型の二層式リスクマネジメント体制を採用しています。いずれも経営会議の監督の下で運営され、その運営状況は取締役会に報告されます。
SRCストラクチャーとその目的 – トップダウンリスクレビュー
SRCの議長は、最高リスク責任者(CRO)が務め、SRCは、CEOをはじめとする執行役及び他の関連幹部社員によって構成されます。
SRCは、当社グループ全般にわたるリスク管理ポリシーや枠組みを決定し、その枠組みに従ってグループの戦略的リスクを特定のうえ、各戦略的リスクにつきリスクオーナーを定め、リスク軽減策の進捗等を含めモニターします。
ERMTストラクチャーとその目的 – ボトムアップリスクレビュー
ERMTの議長は、最高財務責任者(CFO)が務め、ERMTは各事業部門や関連ファンクション部門の長やリスクチャンピオン(各部門のリスク担当者)等から構成されます。毎年それぞれの業務の遂行に付随する重要なリスクについて識別、評価、優先順位付けを行い、必要なリスク軽減策を講じることでリスクマネジメントの実効性の向上を図っています。これらのリスクやその軽減策については、状況に応じて都度見直され、とりわけ重要なリスクについては、SRCによってモニターされます。ERMTは、定期的に又は必要に応じて開催され、SRCに報告します。

上記の枠組みにより、当社グループでは、各連結会計年度末時点における事業活動の状況及び財政状態に照らして、主要な財務上及び事業運営上のリスク要因につき、定期的な見直しを行っています。当連結会計年度末時点において、当社グループが認識している主要な財務上及び事業運営上のリスクは、以下に記載の通りです。但し、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見しがたいリスク又は重要とみなされていないリスクが顕在化した場合には、これらの影響を将来的に受ける可能性があります。
なお、文中における将来事項に関する記述は、当連結会計年度末時点における、当社グループの合理的な判断に基づくものです。
外部環境リスク
(1)経済状況、地政学上の影響、事業環境
当社グループは、日本を含むアジア、欧州、米州等、世界各国・地域で事業展開しています。このため、通貨インフレやエネルギー価格の上昇といった世界経済の変化、世界各国における顧客の事業環境の変化、グローバルにつながるサプライチェーンの断絶や米中貿易戦争、米国政府等による関税施策、ロシアによるウクライナ侵攻、イラン等の中東における紛争、台湾を巡る緊張など世界各地における地政学上の問題が、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。 また、南米等の新興市場については長期的には先進国・地域の市場を上回るペースで成長するものと考えていますが、当社グループが事業を展開している先進国・地域の市場に比べてより大きな潜在的リスクがあると考えています。
(2)為替及び金利の変動
当社グループは、世界の多くの国々や地域で事業活動を展開しており、こうした国々や地域において為替レートの変動及び金利の変動のリスクを有しています。また、海外子会社の現地通貨で表示される資産・負債等については、連結財務諸表の作成のために円換算される過程において、為替レートの変動によるリスクも有しています。更に金利の変動は、支払利息や受取利息、あるいは金融資産や金融負債の金額に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは為替予約契約や金利スワップ取引等によりこれらのリスクのヘッジに努めていますが、為替レート及び金利の変動は、当社グループの事業、業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
経営戦略リスク
(3)事業戦略
当社グループの事業戦略は、経済、法制環境、原料価格、為替レート、新技術や新製品の開発や提供、現在締結されている又は将来締結される契約の条件等の様々な要因により影響を受けます。そのため、当社グループの事業戦略が成功し、想定した成果を収めることができるという保証はありません。更に当社グループの事業計画の遂行が想定した効果を生まない、あるいは期待された効果を実現できない可能性があります。
当社グループは、競争優位を維持するため、利益率の低い製品から高付加価値製品へのシフトを目的に新技術や新製品の開発に努め、投資を行っています。しかしながら、当社グループが、競合他社に先駆けてより高度な技術の開発やその事業化に成功し、又は結果的に競合他社よりも高い競争力を維持できるという保証はありません。
1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記述の通り、当社グループは、中期経営計画「2030 Vision: Shift the Phase」の下、企業としてのフェーズを変え、持続可能な社会の発展に不可欠な存在を目指していますが、以下記載の背景等から、2026年3月24日に、アポロ・ファンドによる支援を受けながら資本の再構成を通じた持続的な成長の実現に向けた抜本的施策(「本取引といいます。」)の実施を目指すことを公表しました。
当社グループにおいては、長年にわたる高水準の借入れによる金利負担や限定的な流動性、及び欧州景気の減退局面等では英国子会社の借入れにおける配当制限等のコベナンツがグループ内資金活用の制限要因となること等が資金繰りの安定化や十分な成長・維持投資の実施におけるマイナス要因になり得る状況となっており、中長期的な競争力の維持に向けた抜本的施策の実施が喫緊の課題となっています。特に近年において、主力市場である欧州経済の停滞、原材料価格上昇等に伴うコスト増、米国関税等によるサプライチェーンへの影響等により、事業環境はさらに厳しさを増しており、その結果として過去5年間で累積約284億円の最終赤字を計上している他、直近で総額5,000億円を超える負債を背景に、企業価値のうち高い割合をネット有利子負債が占める状況にあります。当社において収益及び財務体質の再構築が長年の課題である中、自助努力の一環としてA種種類株式の発行による資本性資金の調達、人員体制の見直し、欧州のフロート窯閉鎖等様々な施策を実施していますが、残念ながら現状では復配の見通しが立たず、また、自助努力の範疇では収益及び財務体質の再構築には長期間を要するものと考えられ、今後も脆弱な収益・財務体質のまま、より一層厳しく、変化の見通しにくい経営環境に直面することが想定されます。
2025年3月期に大幅な最終赤字を計上したこと、及び2026年3月期においても業績回復が想定より遅れていることから、2026年3月末までに返済期限を迎える1,000億円超の借入金について、本取引を前提としない場合、現状の資本構成下において借り換えを含め返済を行うことが容易ではない状況となっていました。また、本取引を実施せず、自助努力により借入れを継続できた場合でも、引き続き高水準の借入金残高が維持されることとなり、当社の財務体質の再構築には長期間を要するものと考えられました。
そのため、当社としては、上記の状況を改善するために、外部資本の取入れその他の方法を含め、既存の財務構造面の課題を抜本的かつ早急に解決する必要があると考えておりました。
このような状況の下、2026年3月24日付け公表のとおり、当社は、Apollo Global Management, Inc.及びその子会社の関係会社が投資助言を行う投資ファンド(「アポロ・ファンド」といいます。)が保有する特別目的会社であるLumina Japan Acquisition株式会社(「割当予定先」といいます。)を割当先とする払込金額の総額約1,650億円の第三者割当による当社普通株式の発行(「本第三者割当」といいます。)を実施すること、並びにそのための発行可能株式総数増加に係る定款の一部変更に係る議案及び当社の株主を割当予定先のみとするための株式併合に係る議案等を2026年6月下旬開催予定の当社定時株主総会(「本定時株主総会」といいます。)に付議することを、同日付の取締役会において決議しました。
さらに、本株式併合の効力発生日に、株式会社三井住友銀行、株式会社日本政策投資銀行、株式会社みずほ銀行、三井住友信託銀行株式会社(総称して「本主要金融機関」といいます。)が出資先組合及び割当予定先を通じて当社に1,400億円の金銭を払い込み、当社が同日に割当予定先から払込みを受ける当該資金を用いて本主要金融機関からの借入債務のうち当該払込金額に相当する金額を弁済すること(「本擬似DES」といいます。)を予定しています。本擬似DESについては、当社の債務の株式化に伴う資本の再構成を通じて将来の成長に繋げることを意図して行われるものであり、アポロ・ファンド及び本主要金融機関との間で、当該取引に関する契約が締結されたことを確認しています。
2026年3月末を返済期限とする1,000億円超の借入金については、上記施策を前提として本主要金融機関をはじめとする国内の金融機関との間で合意しリファイナンスを実施しています。
なお、本第三者割当の実行に必要となる国内外の競争法、国内外の対内直接投資に係る法令等及びForeign Subsidies Regulationに基づく必要な手続及び対応(「本許認可等」といいます。)に一定期間を要することから、当社及び割当予定先との間で締結した株式引受契約に基づき、上記の定時株主総会付議議案の全てが本定時株主総会において承認可決されることに加え、本許認可等が完了していること等が本第三者割当の実行の条件とされています。
そして、当該株式併合の効力発生は、本第三者割当が実行されることが条件となります。
A種種類株式の保有者であったジャパン・インダストリアル・ソリューションズ第弐号投資事業有限責任組合(「JISファンド」といいます。)、UDSコーポレート・メザニン3号投資事業有限責任組合及びUDSコーポレート・メザニン4号投資事業有限責任組合(総称して「UDSファンド」といいます。)は、2026年3月24日付開示のとおり、その保有していたA種種類株式の全てについて普通株式を対価とする取得請求権を行使し、当社との間で、それぞれJISファンド、UDSファンドが本定時株主総会において本第三者割当関連議案及び株式併合議案に賛成の議決権を行使する旨を含む覚書を締結しています。また、同合意に沿ってそれぞれ転換請求がされ、本定時株主総会の基準日(2026年3月31日)において、普通株主として当社の株主名簿に記載・記録されています。さらに、普通株主に対して当社の考え方をご説明する資料を本定時株主総会の招集通知に同封して送付し、同株主総会においても十分な説明を行う予定です。
本許認可等についても、各国当局への申請関連書類の提出を行うなど、クリアランス手続は開始しており、一部の国では既に手続が終了するなど、プロセスも着実に進展しています。
以上を考慮すれば、当社としては、上記施策の実現可能性は高いと判断しております。そして、この施策の実行により、英国子会社における既存借入金の返済を含む財務体質の大幅な改善、及び手元流動性の確保がなされると考えております。
以上より、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断し、それらに関する連結財務諸表等への注記は記載していません。
(4)特定の産業・分野への依存
当社グループの売上高の90%以上が、建築用ガラス事業及び自動車用ガラス事業におけるものであり、当連結会計年度では、それぞれ外部顧客への売上高の43%及び52%を占めています。また、当社グループの外部顧客への売上高は、主に建設、住宅産業及び自動車産業の顧客に対するものです。これらの業界では、これまでも消費者マインドの周期的な動きに連動して需要が変動してきました。需要の変動のみならず、顧客のサプライチェーンが、今後当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、相対的に利益率が高く、将来市場の大きな成長が見込まれる高付加価値製品の売上の増大に努めています。これらの製品は、一般的な製品に比べて価格の変動は通常小さいと考えられ、経済状況が悪化した場合の影響を受けにくいと考えられています。しかしながら、これらの製品が高い利益率を維持し続ける、又はこれらの製品の市場が製品全体の平均を上回るペースで成長し続けるという保証はありません。更に、他のガラスメーカーが技術的な優位を有する製品を市場に投入する結果、当社グループの製品との競合が高まり、高付加価値製品であるにもかかわらず利益率が低下する可能性があります。
また顧客が当社グループに不利な形に戦略を見直す可能性があります。その場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があり、特定の顧客向けの高付加価値製品では影響がより大きい可能性があります。なお、自動車用ガラス事業では、自動車産業における企業間の合従連衡の結果、当社グループの顧客である自動車メーカーの購買力の上昇や販売先上位のメーカーへの顧客ベースの集中が生じる可能性があります。また、自動車産業においては、CASE(コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)の進展など歴史的な産業構造の変化が起こっており、サプライチェーンにも重大な変化をもたらす可能性があります。当社グループは、これらの変化に対応するため、更なる生産性の向上、コスト低減、リソース配分の選択と集中を進めていますが、こうした対応が功を奏さず、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)競争
当社グループは、日本及び海外のガラスメーカーと競合関係にあります。また、プラスチックや金属をはじめ、建築分野、自動車分野及び情報電子分野等で使用される各種素材メーカーとも競合関係にあります。当社グループでは、独自技術や独自製品の市場への提供により競争力の確保に努めていますが、市場ニーズの変化、製品を低コストで提供するメーカーの台頭、あるいは強固な顧客基盤や高い知名度を有するメーカーの参入等によって、当社グループの競争優位を維持できない場合、又は当社グループが獲得できないような政府による助成制度を競合他社が受けている場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。
(6)製品の開発及び技術革新
当社グループは、既存の事業分野における独自技術や独自製品の開発に注力するとともに、既存分野以外の新しい分野における新製品の開発に注力しています。近年の急速で大きな技術の変化にタイムリーかつ適切に対応することは、製品、サービス、更にはデジタライゼーションやオートメーションといった製造プロセスにおける当社グループの技術優位性を高め、維持するために必要です。そのためには、顧客ニーズを把握するとともに、気候変動等の環境問題対応にかかる技術を含め、関連マーケットや製造業界における技術変化を先読みし、当社グループが強みを持つ技術領域に選択的・重点的にリソースを投入することで、技術開発、商品化、事業化を効果的に実現することが重要となります。しかしながら、新製品や新技術の開発プロセスは相当な時間と支出を要する可能性があり、また新製品の販売による収益や新技術の貢献が得られるまでに、多くの投資が必要となる可能性があります。
また、競合他社が当社グループより先んじて技術開発を行い、特許権等の知的財産を確保し、商品化、事業化を成功させ、早く市場に製品を送り出した場合や、代替技術や代替製品が市場に受け入れられた場合には、当社グループによる製品開発のための投資は、当初想定した利益をもたらさない可能性があります。更に当社グループが技術革新を予測できない場合や、これに迅速に対応できない場合、あるいは顧客のニーズに適応した新製品の開発に成功しなかった場合には、当社グループの事業、業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。
(7)知的財産権
特許権等の知的財産権は、当社グループの事業において競争力をもたらす重要な要素です。当社グループは、「グループ知的財産ポリシー」に基づき、保有する知的財産価値を最大化するため、知的財産権の保護や管理に努めています。しかしながら、当社グループが有する知的財産権を常に保護できるという保証はなく、当該知的財産権の競争優位性が失われる可能性もあります。また、当社グループは世界各国・地域で事業を行っているため、知的財産権に関する第三者との紛争のリスクも高まっています。このような知的財産権に関する侵害や紛争が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。
(8)海外における事業
当社グループは、日本、アジア、欧州、北米、南米等、世界各国・地域に生産設備及び販売拠点を有しています。更に当社グループは、南米、中国等の新興国・地域において、子会社、ジョイント・ベンチャー、出資、提携といった様々な形態により事業運営を行っており、これらは当該国・地域における当社グループの生産、販売能力を維持するうえで重要な役割を担っています。
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、当社グループは、2022年3月以降、ロシア企業とのすべての通商取引を停止し、保有していたロシアの事業会社を既に売却しています。
また、欧州地域のガラス市場の需給状況を勘案し、2025年3月期において、ドイツで建築用ガラスのフロート窯2基の早期生産停止を実施いたしました。当連結会計年度では、ドイツやイタリアを中心に自動車用ガラスの生産体制見直しを行っています。
これらの国・地域の市場環境が更に悪化する場合には、将来において追加の減損損失が発生する可能性もあります。また、ジョイント・ベンチャーのパートナー等との間での事業運営等の方針の相違により、事業の継続が困難になるような場合やその他の要因によっては、投資に対する想定外の損失が発生する可能性があります。
(9)人材の確保
当社グループの変革と将来の成長は有能な人材の確保と育成に大きく依存します。当社グループでは、人材確保・育成・リテンションのための各種施策に取り組んでいますが、技術者を中心とする人材獲得競争は更に激化しており、適切なタイミングで優秀な人材が計画通り確保できない、確保した人材の育成が計画通り上手くいかない、又は育成した優秀な人材を維持できず社外流出が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響が及ぶ可能性があります。人的資本に関する取り組みについては、[2「サステナビリティに関する考え方及び取組」3.人的資本及び多様性]をご参照ください。
(10)法規制、倫理・コンプライアンス等
当社及びその子会社、並びにジョイント・ベンチャー及び関連会社では、投資や輸出入に関する規制、公正な競争に関する規制、環境保護に関する規制並びにその他商取引、労働、退職年金、知的財産権、租税、通貨管理、支払い、資本、制裁等に関する所在国・地域の各種法令規則及び国際規則・条約の適用を受けています。これらの法令規則又はその運用の変更に伴い、当社グループの事業活動に対する制約の発生、法令遵守対応に関する費用の発生、あるいは法令規則違反による当社グループに対する過料の賦課、又はこれに派生する民事賠償請求等によって、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。
このような状況下において、当社グループは、当社グループの役職員が職務遂行に際し法令及び定款に適合することを確保するため、「NSGグループ倫理規範」を制定し、倫理・コンプライアンス部を設置して、懸念事項報告相談制度の整備、運用を含む倫理・コンプライアンスプログラムを実施し、継続的に倫理・コンプライアンスに関する周知・教育活動を行っています。当連結会計年度においては、AIや人権、DEI(多様性、公平性、包摂性)といった事項等を中心に、本倫理規範を改定しました。また、グループ倫理・コンプライアンス委員会を設置し、当連結会計年度では、同委員会を2回開催しました。倫理規範に基づき、各ファンクション部門は、関連グループポリシー等を制定、運用、管理し、コンプライアンスを推進しています。これらファンクション部門による管理に加え、「グループ関係会社管理ポリシー」等を制定し、関係会社ごとの管理の強化にも取り組んでいます。また、気候変動や法令遵守への対応をはじめとする当社グループのサステナビリティ(持続可能性)目標の達成に向けた行動をサプライヤーの皆様と協力して強化・加速するため、「NSGグループ サステナブル・サプライチェーン憲章」を制定するとともに、当社グループの人権尊重へのコミットメントをより明確化するために、「グループ人権ポリシー」を制定しています。しかしながら、当社グループ会社若しくはそれら役職員又は取引先等の第三者による法令又はグループポリシー等の違反が発生した場合には、当社グループの技術情報等が流出したり、当社グループやステークホルダーに直接的又は間接的な損害が発生したりするなど、当社グループの社会的評価、事業、業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。
財務リスク
(11)資金調達
当社グループは、①新製品の発売、②事業計画や研究開発計画の実行、③生産能力の拡大、④補完的な事業、技術又はサービスの取得、⑤コスト削減策やリストラクチャリング計画の実行、⑥期限を迎えた負債の返済等の目的に充当するため、将来において追加的な資金の調達が必要となる可能性があります。2025年3月期において、当社子会社である NSG UK Enterprises Limited が、米ドル建及びユーロ建普通社債を私募方式により発行いたしました。負債の借入契約に規定される財務制限条項等の条件に抵触することにより想定外のタイミングで当該負債の返済が必要となり、そのために追加の資金調達等が必要になる可能性もあります。当社グループが、借換えのための資金や新たに必要となる資金を想定する条件で調達できない又は全く調達できない場合、既存の製品及びサービスの拡充と改善や新事業開発のための投資を行うことが困難となり、その結果として競合他社よりも高い競争力を確保することが困難となる、又は資金調達コストが増加するなどにより、当社グループの事業活動、業績及び財務状況にも大きな影響が及ぶ可能性があります。
(12)貸借対照表に計上された資産の評価及び減損等
当社グループは、貸借対照表において、減損テストの実施を毎年必要とする多額の資産項目を計上しています。これらの資産には、ピルキントン社買収により発生したのれんや無形資産が含まれますが、これらに限定されるものではなく、各国・地域における税務上の繰越欠損金等に対して認識された繰延税金資産も含まれます。
当社グループは、2023年3月期において、2006年のピルキントン社買収に伴って発生した欧州における自動車用ガラス事業ののれん及び無形資産残高488億円全額について減損損失を計上しました。これは、主に減損テストで使用する割引率が大幅に上昇した結果、減損損失を認識したことによるものです。
2025年3月期においては、主に南米で事業を展開する「建築用ガラス事業 その他の地域」の資金生成単位(CGU)に係るのれんの減損損失(14億円)を認識しました。これにより当社グループは、2006年のピルキントン社買収により生じた「建築用ガラス事業 その他の地域」のCGUに係るのれん全額を減損したことになります。さらに当連結会計年度において、2006年6月のピルキントン社買収に伴って発生した北米における自動車用ガラス事業に係るのれんの減損損失(34億円)を認識しています。
当社グループのCGUについて、将来において減損損失が全く発生しないという保証はありません。当社グループの今後の業績が以前に減損テストを実施した際の想定通りに改善しない場合には、将来において減損損失が発生する可能性があります。更に、経済状況に応じて事業の縮小・撤退を決める場合には、上述以外の資産を減損する可能性もあります。
当社グループは、年度末に回収可能性を検討し繰延税金資産を再評価しますが、繰延税金資産の算定に使用される適用税率が低下すれば、将来において繰延税金資産の評価減が発生する可能性があります。貸借対照表上の価値は、利益の減少や為替市場の変動リスクといった要素の影響を受け、連結資産価値の減少や資産の評価減、償却を伴う可能性があります。そのような要素は、更に株主資本を減少させ、資金調達や取引活動、ひいては当社グループの事業、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13)退職給付債務
当社グループでは、多数の企業年金制度や退職者向け医療給付制度を運営しています。年金資産の時価が大きく変動した場合、又は年金債務計算に使用される割引率や死亡率等が大きく変動した場合には、当社グループの退職給付制度に対する追加的な資金拠出や保全措置が必要となる可能性があります。
当社グループでは、従業員に対して適切な退職給付制度を提供する一方で、追加的な資金拠出が必要となるリスクを低減するため、退職給付債務について定期的に見直しを行っています。過去数年間にわたって、当社グループでは、各国の年金制度に応じ、年金資産の運用構成の見直し、年金受給者に関する長寿リスクのヘッジ、及び現役従業員に関する年金給付額算定のベースとなる給与額の上昇に対する上限の設定等の対応を行ってまいりました。しかしながら、こうした対応によって、将来における当社グループの年金制度に対する資金拠出増加のリスクを完全に除去できない可能性があります。
オペレーショナルリスク
(14)事故・自然災害等による生産中断等のリスク
当社グループは、生産活動の中断により生じる潜在的な影響を最小限に抑えるため、設備に対して定期的な防災点検や保守を行っています。それに加え、生産設備に対する自然災害等(地震、台風、洪水、停電及び当社グループ又は顧客の生産を停止させるその他の事象等)の影響を抑えるべく、主要拠点では事業継続計画(BCP)を策定しています。しかしながら、気候変動による自然災害リスクの増加や事故、サプライチェーンの分断、感染症の大流行などによる当社グループの生産設備等の被害や生産活動の中断等の影響を完全に予防又は低減できない可能性があります。また、当社グループの特定の設備で生産される製品を、他の設備で生産できない場合もあります。したがって、地震及びその他の事象により、当社グループのいずれかの設備において生産の中断があった場合には、特定の製品の生産能力が著しく低下する可能性があり、結果的に当社グループの業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。当連結会計年度において、当社グループはチリのコンセプシオンに所在するフロート窯での生産を近傍での山火事発生のため一時停止しました。この予期せぬ生産停止により生産設備が損傷し、原状回復のための支出と、その間の生産停止に関連して約9億円の損失を計上しています。当社グループでは、このような事態を想定して保険に加入していますが、いかなる場合でも当社グループの損害が補償されるわけではなく、保険の対象外である場合又は保険の限度額を上回る損害が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。
(15)気候変動や環境に関する法規制その他の要請への対応
上記(10)の記載にもある通り、当社グループは、気候変動対策を始めとする持続可能な社会への取り組みに注力しています。地球環境に与える負荷を低減するため、温室効果ガス排出削減、省エネ・創エネ、廃棄物削減、有害物質の不使用・除去等の環境課題に取り組み、環境に関する様々な法令規則を遵守しています。しかしながら、環境に関する法令規則やその運用に関する変更が行われた場合には、当社グループの事業活動に対する制約の発生、法令遵守対応に関する費用の発生、あるいは法令規則違反による当社グループに対する過料の賦課等によって、当社グループの社会的評価が低下したり、業績及び財務状況に大きな影響が及んだりする可能性があります。また、社会やステークホルダーから企業に対して気候変動や環境への対策及びその開示を求める要請は年々高まっており、それらについての十分な対応又は開示ができないことによって、当社グループの社会的評価が低下したり、業績及び財務状況に大きな影響が及んだりする可能性があります。気候変動に関する取り組みについては、[2「サステナビリティに関する考え方及び取組」2.気候変動]をご参照ください。
(16)原燃材料の調達及び製品供給
ガラスの製造や販売の過程においては、珪砂やソーダ灰等の原材料、重油や天然ガス、電気等のエネルギー、物流や保管、また国や地域によっては温室効果ガス排出権の状況が大きな影響を持ちます。当社グループでは、商品デリバティブ取引やスワップ取引により、原燃料の価格変動リスクをヘッジしていますが、これらの手法によって原燃料価格の上昇による影響を完全に除去できるわけではありません。これらの調達コストや価格の上昇や変動は、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。イラン等の中東情勢が更に悪化又は長期化した場合には、原油価格等が高騰し、それに伴いエネルギーや原燃材料の調達コストや価格が上昇する可能性があります。
当社グループは、原燃材料の調達に関して、仕入先との間で長期間に及ぶ固定価格での購入契約を締結する場合があります。また、当社グループの製品は、当社グループ独自の販売ルートに加え、当社グループ以外の第三者を通じて販売されています。最良の仕入先等の選定、確保に努めていますが、何らかの理由により、主要な仕入先や販売先との関係の終了や重要な変更が生じ、又は主要な仕入先が契約上の義務を履行できなくなった場合には、現在よりも不利な条件での契約の締結が必要となり、又は原燃材料の仕入れや製品の流通に支障が生ずる可能性があり、結果的に当社グループの業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。
(17)品質、リコール、製造物責任その他の民事賠償責任
当社グループの製品の欠陥により第三者に損害が発生した場合、当社グループは製造物責任に基づく賠償請求を受ける可能性があり、また、これにより当社グループの社会的評価に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、このような賠償責任に対して保険に加入していますが、いかなる場合でも当社グループの賠償責任が補償されるわけではなく、当該賠償責任の内容が保険の対象にならない場合や保険の限度額を上回る場合もあり得ます。
また、当社グループでは、「品質に関するグループポリシー」を制定し、安全で高品質な製品とサービスの提供に注力していますが、予期しない品質問題が生じた場合、大規模なリコールが発生する可能性があります。その場合は、当社グループの社会的評価が毀損し、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(18)情報セキュリティ
当社グループでは、事業活動に関して様々な機密情報やデータを保有・使用しており、適切な情報の管理や効率的な業務の遂行のための情報システムのアップデートやコントロールの重要性はますます高まっています。当社グループは、外部専門サービスによるサポートを得たり、従業員に対する教育を行ったりするなど機密情報・データや情報システムの十分な保護に向けた施策に努めていますが、自然災害、通信トラブル、コンピューター・ウイルスの感染、サイバー攻撃等の事象により情報システムや事業活動の中断や機密情報の漏えい等の事態が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。