臨時報告書

【提出】
2024/09/24 16:30
【資料】
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提出理由

当社は、2024年9月24日開催の当社取締役会において、当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)の併合(以下「本株式併合」といいます。)を目的とする、2024年10月21日開催予定の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本報告書を提出するものであります。

株式の併合を目的とする株主総会の招集の決定

1.株式併合の目的
当社が2024年6月20日に公表した「ENEOSホールディングス株式会社の完全子会社(JX金属株式会社)による当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」(当社が、2024年7月19日付で公表いたしました「(変更)「ENEOSホールディングス株式会社の完全子会社(JX金属株式会社)による当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」の一部訂正について」による訂正及び、当社が2024年7月26日付で公表いたしました「(変更)「ENEOSホールディングス株式会社の完全子会社(JX金属株式会社)による当社株式に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」の一部訂正について」による訂正を含みます。「本意見表明プレスリリース」といいます。)においてお知らせいたしましたとおり、公開買付者であるJX金属株式会社(以下「公開買付者」といいます。)は、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場に上場している当社株式の全てを取得することにより、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的とした取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、2024年6月21日から2024年8月19日までの40営業日を公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)とする当社株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)を実施いたしました。
そして、当社が2024年8月20日に公表した「ENEOSホールディングス株式会社の完全子会社(JX金属株式会社)による当社株式に対する公開買付けの結果並びに親会社及びその他の関係会社の異動に関するお知らせ」に記載のとおり、公開買付者は、本公開買付けの結果、本公開買付けの決済の開始日である2024年8月26日付で、当社株式54,143,858株(所有割合(注):87.64%)を所有するに至りました。
(注)「所有割合」とは、当社が2024年6月21日に提出した当社第100期有価証券報告書に記載された2024年3月31日現在の当社の発行済株式総数(70,156,394株)から、当社2024年3月期決算短信に記載された当社が所有する2024年6月30日現在の自己株式数(8,377,370株)を控除した株式数(61,779,024株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。)をいいます。以下同じです。
本公開買付け及び本株式併合を含む本取引の目的及び背景の詳細は、本意見表明プレスリリースにおいてお知らせしたとおりですが、以下に改めてその概要を申し上げます。なお、以下の記載のうち公開買付者に関する記述は、公開買付者から受けた説明に基づくものです。当社は、2022年9月26日、公開買付者より公開買付けを通した完全子会社化の具体的な提案書を受領しました。当該提案を踏まえ、当社は、本取引に関する当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2022年10月11日、当社の社外取締役である花井健氏、原戸稲男氏(弁護士)及び谷口悦子氏(公認会計士)の3名によって構成される、公開買付者グループ及び当社グループのいずれからも独立した特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置し(本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容については、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)、同日付で、フィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてみずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任しております。また、当社は、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役の承認」に記載のとおり、公開買付者グループ及び当社グループから独立した立場で、本公開買付けに係る検討、交渉及び判断を行う体制(本公開買付けの検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築し、検討を進めてまいりました。
当社は、上記体制を整備した後、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における意見、指示、要請等に基づいた上で、みずほ証券及びTMI総合法律事務所の助言を受けながら、本公開買付けの実行の是非に関して公開買付者との間で複数回に亘る協議・交渉を行いました。
具体的には、当社は、公開買付者から、2022年11月25日に、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)に関する最初の提案(1株当たり610円、当該時点の終値446円に対して36.77%プレミアム)を受けましたが、2022年11月29日に、当社株式の市場株価の過去推移、当社のフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券による株式価値評価の試算、及び東京証券取引所や経済産業省等において議論されているとおり、PBR1倍の水準は当社の株主より広く意識されうる基準の一つであること等を総合的に勘案した結果、公開買付者に対して、妥当な価格に達していないとして、本特別委員会より提案内容の再検討を要請しました。その後、当社は、2022年12月6日に、公開買付者から、本特別委員会からの再検討の要請を踏まえて本公開買付価格に関する2回目の提案(1株当たり680円、提案日である2022年12月6日の終値425円に対して60.00%プレミアム)を受けましたが、2022年12月8日に、上記の考え方に基づき、いまだ妥当な価格に達していないとして、本特別委員会より提案内容の再検討を要請しました。その後、当社は、2022年12月14日に、公開買付者から、本特別委員会からの再検討の要請を踏まえて本公開買付価格に関する4回目の提案(1株当たり720円、提案日である2022年12月14日の終値430円に対して67.44%プレミアム)を受けましたが、2022年12月15日に、いまだ妥当な価格に達していないとして、本特別委員会より提案内容の再検討を要請しました。その後、当社は、公開買付者から、本公開買付価格に関する4回目の提案は公開買付者として想定できるシナジーを含めて当社の価値を最大限反映したものであり、当該価格以上の上乗せは困難であるとして、2022年12月16日に、本公開買付価格に関する5回目の提案(1株当たり720円、提案日である2022年12月16日の終値422円に対して70.62%プレミアム)を受けましたが、2022年12月19日に、いまだ妥当な価格に達していないとして、本特別委員会より提案内容の再検討を要請しました。その後、当社は、公開買付者から、本公開買付価格に関する4回目の提案は公開買付者として想定できるシナジーを含めて当社の価値を最大限反映したものであり、当該価格以上の上乗せは困難であるとの結論に至っていることに加えて、当社株主の皆様に当社の将来的な成長の価値を享受いただける価格であるとして、同日に、本公開買付価格に関する6回目の提案(1株当たり720円、提案日である2022年12月19日の終値424円に対して69.81%プレミアム)を受けました。
その上で、当社は2022年12月21日に、みずほ証券から2022年12月20日付けで取得した株式価値算定書(以下「2022年12月当社株式価値算定書」といいます。)の内容、リーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から受けた本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出を受けた2022年12月20日付答申書の内容を最大限に尊重しながら(2022年12月20日付答申書の概要については、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)、本取引について、企業価値向上を図ることができるか、本取引に関する諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議及び検討を行いました。
その結果、以下の観点から本取引は、当社の企業価値の向上に資するものであると判断しております。
当社は、本意見表明プレスリリースの「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景及び目的」に記載のような市場環境及び経済状況を踏まえ、当社の長期ビジョンの目標・達成時期等の再検証が必要な状況と認識している中で、当社が公開買付者グループに入り、当社の経営の独立性を尊重されつつ、公開買付者グループのリソースを当社が活用できるようになることで、当社の事業を発展させる上で様々な選択肢を当社が得ることができ、さらに積極的な事業運営が可能となると考えております。また、それにより当社の従業員が取り組むことができる業務の領域が広がるため、当社が上場会社でなくなったとしても、当社の従業員のモチベーションの維持及び向上を図ることは可能と考えています。さらに、公開買付者は、当社の商流や取引先については当社の独立性を尊重する方針であり、取引内容への関与は想定していないため、当社の重要な取引先との関係に悪影響は生じないものと考えております。
当社は、本取引を通じて、以下のような効果を期待し得ると考えています。
(a) 両社の経営資源の効率的活用
両社間におけるより活発な人的交流の実施及び財務基盤等、諸機能の相互補完や最適化により、当社の長期ビジョンの達成及び今後の継続的な成長に寄与するものと考えています。具体的には、経営企画・技術戦略や海外拠点、M&Aにおけるネットワーク等の相互補完や最適化を通じて、両社の成長分野におけるグローバルサプライチェーンの進化及びエレクトロニクス市場特有のスピード感への対応が可能となり、加えて、スタートアップ及びM&Aの活用時に必要となる外部の信用を得られる企業規模、リスクに耐えうる資金調達力を強化することが可能となると考えております。
(b) 電子材料分野における事業競争力の更なる強化
機能性フィルム事業や機能性ペースト事業、医療機器部材事業等、開発分野での協業体制の更なる推進や、公開買付者のサプライチェーンにおける情報網の活用による当社電子材料の拡販等を行うことにより、当社事業の更なる成長に寄与するものと考えております。具体的な協業体制としては、公開買付者の有する高性能圧延銅箔技術 、金属薄膜の成膜技術及びシミュレーション技術の活用による新製品開発等を期待できると考えております。
(c) 電線・ケーブル分野の事業基盤の強化
公開買付者/当社双方における電気銅の安定調達/供給体制をさらに強化することが可能となり、また、スクラップ集荷網等の公開買付者グループ及び当社グループの経営資源の利活用・連携を進めることで、銅スクラップの安定確保や、リサイクル促進によるSDGs推進体制の構築にも繋がるものと考えております。特に、両社間で共有する情報の量・質の向上や需要に応じた公開買付者から当社への優先的な銅原料の供給、当社から公開買付者へのスクラップ供給関係がより強固になることにより公開買付者における電気銅リサイクル原料比率の向上が期待できると考えております。また、長期的には、電気銅リサイクル原料比率が向上することで、差別化の難しい電線ケーブル事業製品の付加価値向上、事業機会拡大に繋がる可能性があると考えております。加えて、公開買付者の有する海外拠点・海外ネットワーク等を活用することを通じて、電線・ケーブル分野の海外展開を促進させることができる可能性があると考えております。
(d) 上場維持コスト及び管理部門における業務負担軽減
当社株式の上場を維持するための体制については、近年の新市場区分における上場維持基準への対応やコーポレートガバナンス・コードの改訂等年々強化することが求められています。これらに対応するための上場維持コストは年々増大しており、本取引により公開買付者のみが当社の株主となり完全子会社となることによって、上場維持コスト及び上場維持のための業務負担を軽減できるものと考えております。
また、当社は、本公開買付価格について、上記の協議・交渉を踏まえ、(ⅰ)下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているみずほ証券による2022年12月当社株式価値算定書における当社株式の株式価値算定結果によれば、市場株価基準法及び類似企業比較法の算定結果の上限を上回っており、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)の算定結果のレンジの範囲内であり、当該レンジの中央値を上回る金額となっていること、(ⅱ)本公開買付価格は、本公開買付けの開始予定についての公表日の前営業日である2022年12月20日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日の終値419円に対して71.84%、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値430円に対して67.44%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値438円に対して64.38%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値451円に対して59.65%のプレミアムが加算されたものであり、かかるプレミアムの水準は、同種他社事例における平均的なプレミアム水準(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表された、親会社が、上場子会社の非公開化を企図して成立したTOB事例50件のプレミアム水準の平均値(公表日の前営業日の株価に対して39.87%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.81%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して43.36%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して44.58%)及び中央値(公表日の前営業日の株価に対して43.42%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して43.18%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して41.02%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して43.56%))と比して相当なプレミアムが付されていると考えられること、(ⅲ)下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役の承認」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られたうえで、本特別委員会の実質的な関与の下、公開買付者との間で十分な交渉を重ね、公開買付者より本公開買付価格の引き上げ余地がこれ以上存在しない旨複数回主張される水準まで引き上げられた経緯の下で決定された価格であること、(ⅳ)本公開買付価格は、当社の2022年9月末時点の連結簿価純資産額を基礎として算出した1株当たり連結簿価純資産額(778.83円)を下回っているものの、当社が保有する資産のうち即時及び一括の売却が困難と考えられる資産として工場施設及び設備等(当社の貸借対照表(2022年9月末)上、資産全体(58,704百万円)に占める工場及び設備等に該当する会計項目(「建物及び構築物(純額)」(8,393百万円)と「機械装置及び運搬具(純額)」(3,085百万円))の割合は19.55%)が相当程度存在すること、また、企業の清算に伴い、弁護士費用等の追加コストの発生が見込まれることに鑑みると、仮に当社が清算する場合であっても、連結簿価純資産額が同額で換価されるわけではなく、現実的には連結簿価純資産額から毀損された金額となることが想定されることから、1株当たり連結簿価純資産額のみをもって本公開買付価格を判断することは妥当ではないと考えられること等を踏まえ、本公開買付価格は妥当性を有し、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
以上より、当社は、2022年12月21日開催の取締役会において、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
また、上記取締役会においては、本公開買付けが開始される際に、当社が設置した本特別委員会に対して、本特別委員会が2022年12月20日付で当社取締役会に対して提出した2022年12月20日付答申書の意見に変更がないか否か検討し、当社取締役会に対し、従前の意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる意見を踏まえて、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しておりました。
その後、2022年12月21日時点以降、当該時点の想定以上に中国競争法の審査が長期化しており、公開買付けの開始予定の公表日から公開買付けが開始されるまでの期間(以下「公開買付予告期間」といいます。)が本邦でも有数の水準で長期となる見込みであること、また、2022年12月21日から2024年3月8日までの東証株価指数(TOPIX)が44.02%上昇しており、公開買付予告期間における東証株価指数(TOPIX)の上昇率が本邦でも有数の水準で高い数値となる可能性があることを踏まえ、本特別委員会は、2024年3月8日以降、本公開買付けの開始時点における本公開買付けへの賛同及び応募推奨の可否等についての検討を再開しました。
具体的には、2024年3月11日に、本特別委員会は公開買付者に対して、公開買付けの開始の遅れに関連して、中国競争法対応の長期化の理由及び本公開買付けの開始時期の後ろ倒しによる影響や、本公開買付価格に関連して、2022年12月21日以降、株式市況全体及び国内電線メーカーの市場株価が上昇基調にあることを踏まえて本公開買付価格の変更に係る検討状況について質問し、2024年3月22日に公開買付者からこれらに対する回答(以下「第1回公開買付者回答」といいます。)を受領しました。当該回答によれば、公開買付者は、公開買付けの開始の遅れに関連する質問に対しては、中国競争法の審査において当社と協力の上で、一貫して早期の中国競争法のクリアランス取得に向けて最大限の努力をしていることに加えて、本公開買付けの開始時期の後ろ倒しの影響について懸念している事項は特段無く、2022年12月21日時点に想定していたシナジーの一部が期待できないといったことはないと考えているとのことでした。また、本公開買付価格に関連する質問に対しては、公開買付者としても、2022年12月21日時点から第1回公開買付者回答時点にかけて株式市況全体は上昇基調にあることは認識しているものの、全ての企業が必ずしも市場株価が上昇しているとは限らず、個別企業の状況に応じて市場株価は推移しているものと理解している中で、公開買付者は、当社の業績が、当社が作成した事業計画対比で未達成の期があること等を総合的に考慮しても、本公開買付価格の変更を検討する必要はないと考えているとのことでした。
その後、本特別委員会は中国競争法の審査における論点が限定されつつある状況や、第1回公開買付者回答を踏まえた上で、2024年5月30日に、本特別委員会は公開買付者に対して、本取引の目的に関連して、本取引の目的の変更の有無及び本公開買付け後の経営方針の変更の有無や、第1回公開買付者回答時点から2か月以上が経過していたことを踏まえた最新の時点における本公開買付価格に関連する公開買付者の見解に加えて、中国競争法対応の長期化に関連して、2022年12月21日時点での長期化の予見可能性に関する公開買付者の見解について質問し、2024年6月6日に公開買付者からこれらに対する回答(以下「第2回公開買付者回答」といいます。)を受領しました。当該回答によれば、公開買付者は、本取引の目的に関連する質問に対しては、2022年12月21日以降に変更が生じたと認識している事由が特段無いことに加えて、本公開買付け後の経営方針についても変更はなく、本公開買付け以降も当社グループの経営の独立性を尊重し、原則として現行の経営方針を維持することを想定しているとのことでした。また、本公開買付価格に関連する質問に対しては、公開買付者としても、2022年12月21日時点から第2回公開買付者回答時点にかけて株式市況全体は上昇基調にあることは認識しているものの、全ての企業が必ずしも市場株価が上昇しているとは限らず、個別企業の状況に応じて市場株価は推移しているものと理解している中で、本公開買付価格の妥当性について検討を行ったところ、当社の業績が、当社が作成した事業計画対比で2024年3月期の業績が未達成であること等により、本公開買付価格よりも高い価格を設定することは難しい一方で、当該価格よりも低い価格を設定するべきではないと考えていることから、本公開買付価格を維持することとしたいとのことでした。なお、中国競争法対応の長期化に関連する質問に対しては、公開買付者は専門家の意見も踏まえて中国における競争当局への対応を都度判断していたものの、2022年12月21日時点に中国競争法対応の長期化を予想することは困難であったと考えているとのことでした。
本特別委員会は第2回公開買付者回答を受けて、2024年6月10日に、公開買付者に対して、本公開買付価格の引き上げを求める一部の当社株主の意見を踏まえた上での本公開買付価格に関する公開買付者の見解や、公開買付者として中国競争法のクリアランス取得に向けて最大限の努力を尽くしたかという点に関する公開買付者の見解について質問し、当該質問に対しては、2024年6月12日に本特別委員会と公開買付者の代表取締役社長が面談を行い、当該面談にて公開買付者より回答を受けました。当該面談での公開買付者からの回答によれば、本公開買付価格に関しては、株式市況全体の上昇は認識しているものの、本公開買付価格から価格を引き上げることは公開買付者の経済合理性の観点から困難であり、当社の市場株価が本公開買付価格を上回って推移している状況を踏まえても本公開買付価格を引き上げることは困難であるとのことでした。これに加えて、中国競争法対応の長期化に関しては、当社及び公開買付者の事業性が毀損されないよう問題解消措置に関する中国競争当局との協議について慎重に対応していたことで時間を要したものの、本公開買付けを早期に開始すべく適切な対応を進めた結果であったと考えているとのことでした。
また、当社は、公開買付者より、中国の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことを受けて、国内外の競争法に基づき必要な手続及び対応を終えることを含む本公開買付けの開始に係る各条件(以下「本公開買付前提条件」といいます。)がいずれも充足されることを前提に、本公開買付けを2024年6月21日より開始することを予定している旨の連絡を2024年6月12日に受けました。当社は、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会に対して、2022年12月20日付答申書の意見の内容に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問しておりました。
そこで、本特別委員会は、当社に対して、2022年12月21日以後、本取引に影響を及ぼし得る重要な状況の変化が発生しているか否かに関する事実関係の確認等を行い、上記諮問事項について検討を行った結果、2022年12月21日以後、2024年6月20日までの事情を勘案しても2022年12月20日付答申書の意見の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2024年6月20日に、委員全員一致の決議により、当社取締役会に対して、2024年6月20日付答申書を提出いたしました。
加えて、当社は2024年6月20日に、みずほ証券から2024年6月19日付で取得した株式価値算定書(以下「2024年6月当社株式価値算定書」といいます。)の内容、リーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から受けた本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点についての法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出を受けた2022年12月20日付答申書の内容を最大限に尊重しながら(2024年6月20日付答申書の概要については、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)、本取引について、企業価値向上を図ることができるか、本取引に関する諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議及び検討を行いました。
その結果、当社は、上記の本特別委員会と公開買付者との質疑の中で、本取引の目的に関して、公開買付者として2022年12月21日時点から変更が生じたと認識している事由が特段無いことや、本公開買付け後の経営方針について、いずれも変更はないことに加えて、本公開買付け後も公開買付者はこれまでと同様に当社グループの経営の独立性を尊重し、原則として現行の経営方針を維持する想定であることを確認いたしました。これを踏まえ、本取引は、2024年6月20日時点においても引き続き当社の企業価値の向上に資するものであると判断しております。
その上で、当社は、本特別委員会から提出された2022年12月20日付答申書及び2024年6月20日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、当社の業況や本取引を取り巻く環境及び上記の公開買付者への確認を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行ってまいりました。その結果、当社は、本公開買付価格について、(ⅰ)下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているみずほ証券による2024年6月当社株式価値算定書における当社株式の株式価値算定結果によれば、市場株価基準法及び類似企業比較法の算定結果の上限を上回っており、DCF法の算定結果のレンジの範囲内であり、当該レンジの中央値を上回る金額となっていること、(ⅱ)本公開買付価格は、本公開買付けの開始予定についての公表日の前営業日である2022年12月20日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日の終値419円に対して71.84%、基準日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値430円に対して67.44%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値438円に対して64.38%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値451円に対して59.65%のプレミアムが加算されたものであり、かかるプレミアムの水準は、同種他社事例における平均的なプレミアム水準(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表された、親会社が、上場子会社の非公開化を企図して成立したTOB事例66件のプレミアム水準の平均値(公表日の前営業日の株価に対して38.72%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.17%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して42.13%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して42.80%)及び中央値(公表日の前営業日の株価に対して40.67%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.68%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して40.23%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して40.88%))と比して相当なプレミアムが付されていると考えられる(なお、本公開買付けの開始予告の公表日の前営業日を基準としたプレミアム率を重視すべきとの判断から本公開買付けの開始についての公表日の前営業日を基準としたプレミアム率・ディスカウント率を踏まえた検討は行っていない)ことに加えて、かかるプレミアムの水準は公開買付予告期間の株式市況全体の上昇率(2022年12月21日から本公開買付けの開始についての公表日の前営業日である2024年6月19日までの東証株価指数(TOPIX)の上昇率は44.12%)を踏まえても一定のプレミアムが付されていると考えられること、(ⅲ)下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役の承認」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られたうえで、本特別委員会の実質的な関与の下、公開買付者との間で本公開買付価格の引き上げに関する検討状況を複数回質問し、書面を通じた質疑を重ねたことに加えて、本特別委員会は公開買付者の代表取締役社長と面談を実施し、公開買付者としては、当社の市場株価が本公開買付価格を上回って推移していることを踏まえても本公開買付価格を引き上げることは困難であることを公開買付者の代表取締役社長より直接確認する等、本公開買付価格の引き上げの余地が存在しない旨を公開買付者に対して複数回確認した価格であること、(ⅳ)公開買付予告期間において、株式市況全体及び国内電線メーカーの市場株価は上昇基調にあるものの、個別企業の状況に応じて市場株価は推移している中で、国内電線メーカー各社は中期経営計画又は業績予想を一定程度達成していることが認められる一方、当社は2025長期ビジョン及び2022年12月当社株式価値算定書において前提としていた当社の事業計画と比較して2023年3月期及び2024年3月期の業績が下振れていること(当社は、2017年5月12日公表の2025長期ビジョンにおいて2023年3月期の目標営業利益70億円を掲げていたのに対して、2023年3月期の実績値は営業利益約17億円であり、公表済みの目標営業利益対比で実績営業利益が75.71%下振れていること。なお、2025長期ビジョンは2022年12月当社株式価値算定書において前提としていた当社の事業計画とは異なるもの)を踏まえると、本公開買付けが公表されていなかった場合の当社の市場株価が、株式市況全体及び国内電線メーカーの市場株価と同様に上昇していたとは必ずしも言い切れないと考えられること、(ⅴ)2024年6月12日以降、本公開買付けの開始についての公表日の前営業日である2024年6月19日時点までに当社の市場株価は本公開買付価格を上回って推移しているものの、当該市場株価の推移の理由としては、中国における競争法上の届出の承認がなされたのが2024年6月11日であることを踏まえても、主に本公開買付けの開始に伴う市場参加者の期待心理に基づく、当社の一部株主による売買の結果として上昇したものと考えることが合理的であることに加えて、足許の市場株価で売却(株式の現金化)できるのは当社の一部の株主に限定され、当社の全ての株主に本公開買付価格で当社株式を現金化する機会を提供することができる公開買付者の提案は、引き続き当社の株主の利益に資するものと考えられること、(ⅵ)2024年6月20日時点で公開買付予告期間が1年6ヶ月となっていることを踏まえると、公開買付者以外の者にも当社株式の買付け等を行う機会は実質的に確保されていたにもかかわらず、2024年6月20日時点で公開買付者以外の買収提案者(以下「対抗的買収提案者」といいます。)が現れていないこと、(ⅶ)本公開買付価格は、当社の2024年3月末時点の連結簿価純資産額を基礎として算出した1株当たり連結簿価純資産額(828.50円)を下回っているものの、当社が保有する資産のうち即時及び一括の売却が困難と考えられる資産として工場施設及び設備等(当社の貸借対照表(2024年3月末)上、資産全体(61,119百万円)に占める工場及び設備等に該当する会計項目(「建物及び構築物(純額)」(8,112百万円)と「機械装置及び運搬具(純額)」(2,633百万円))の割合は17.58%)が相当程度存在すること、また、企業の清算に伴い、弁護士費用等の追加コストの発生が見込まれることに鑑みると、仮に当社が清算する場合であっても、連結簿価純資産額が同額で換価されるわけではなく、現実的には連結簿価純資産額から毀損された金額となることが想定されることから、1株当たり連結簿価純資産額のみをもって本公開買付価格を判断することは妥当ではないと考えられること等を踏まえ、本公開買付価格は妥当性を有し、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
なお、当社は、2022年12月21日以後、2023年3月31日(2023年3月期末)、2023年9月30日(2024年3月期第2四半期末)及び2024年3月31日(2024年3月期末)を基準日とする剰余金の配当を実施していないところ、当該事情は、上記結論に影響を与えないものと判断いたしました。すなわち、公開買付者のフィナンシャル・アドバイザーである大和証券は、当社株式の1株当たりの株式価値の算定にあたって、市場株価法、類似会社比較法及びDCF法を用いており、当該算定においては、2023年3月31日(2023年3月期末)、2023年9月30日(2024年3月期第2四半期末)及び2024年3月31日(2024年3月期末)を基準日とする剰余金の配当も行われないことを前提としているとのことであるところ、みずほ証券によれば、本公開買付価格が上記の前提の下で決定されている場合において、仮に配当が実施された場合、当社の総資産のうち、株主への配当相当分が減少することに伴い当社株式の1株当たりの株式価値が減少するとのことですので、当社が2022年12月21日以後、2023年3月31日(2023年3月期末)、2023年9月30日(2024年3月期第2四半期末)及び2024年3月31日(2024年3月期末)を基準日とする剰余金の配当を行った場合、公開買付者において、当該配当金額分、本公開買付価格の引下げを行うことについて合理性が認められることとなります。したがって、これらの剰余金の配当が実施されなかったことは、本公開買付価格が妥当であるとする判断に影響を与えないものと判断いたしました。
以上より、当社は、2024年6月20日においても、2022年12月21日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断したことから、当社は、2024年6月20日開催の当社取締役会において、改めて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をしております。
その後、公開買付者は、2024年6月21日から本公開買付けを開始していたところ、2024年7月19日、本公開買付けにおける買付け等の期間を2024年8月2日まで延長し、合計30営業日とすることを決定したとのことです。その後、公開買付者は、2024年7月26日、本公開買付けの成立の確度を高めるため、当社が2024年7月26日付で公表した「2025年3月期 第1四半期決算短信[日本基準](連結)」の内容も考慮し、本公開買付価格を720円から780円に変更し、また、本公開買付けにおける買付け等の期間を2024年8月19日まで延長し、合計40営業日とすることを決定したとのことです(以下「本買付条件等変更」といい、本買付条件等変更後の公開買付価格を「本買付条件等変更後の本公開買付価格」といいます。)。
2024年7月26日、公開買付者が本買付条件等変更を行う方針としたことを受け、当社は、同日開催の取締役会において、引き続き、2022年12月21日及び2024年6月20日において既に公表している意見、すなわち、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見を維持することを決議いたしました。
2022年12月21日開催の取締役会、2024年6月20日開催の取締役会及び2024年7月26日開催の取締役会における各取締役会決議の詳細は、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役の承認」をご参照ください。
その後、上記のとおり、本公開買付けが成立いたしましたが、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の90%以上を保有するにいたらなかったため、本意見表明プレスリリースに記載のとおり、当社は、公開買付者からの要請により、2024年9月24日開催の当社取締役会において、本臨時株主総会において株主の皆様のご承認をいただくことを条件として、当社の株主を公開買付者のみとするために、下記「2.株式併合の割合」に記載のとおり、当社株式7,635,167株を1株に併合する本株式併合を実施することを本臨時株主総会に付議することを決議いたしました。
なお、本株式併合により、公開買付者以外の株主の皆様の所有する株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
2.株式併合の割合
当社株式について、7,635,167株を1株に併合いたします。
3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法
上記「1.株式併合の目的」に記載のとおり、本株式併合により、公開買付者以外の株主の皆様の所有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。本株式併合の結果生じる1株未満の端数については、その合計数(会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第235条第1項の規定により、その合計数に1株に満たない端数がある場合にあっては、当該端数は切り捨てられます。)に相当する数の株式を、会社法第235条その他の関係法令の規定に従って売却し、その売却により得られた代金を、端数が生じた株主の皆様に対して、その端数に応じて交付します。当該売却について、当社は、本株式併合が、当社の株主を公開買付者のみとすることを目的とした本取引の一環として行われるものであること、及び当社株式が2024年11月7日をもって上場廃止となる予定であり、市場価格のない株式となることから、競売によって買受人が現れる可能性は低いと考えられることに鑑み、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所の許可を得て公開買付者(JX金属株式会社)に売却することを予定しております。
この場合の売却額につきましては、必要となる裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、本株式併合の効力発生日の前日である2024年11月10日時点の当社の最終の株主名簿に記載又は記録された株主の皆様が所有する当社株式の数に本買付条件等変更後の本公開買付価格と同額である780円を乗じた金額に相当する金銭が、各株主の皆様に交付されるような価格に設定する予定です。但し、裁判所の許可が得られない場合や計算上の端数調整が必要な場合においては、実際に交付される金額が上記金額と異なる場合もあります。
(2)当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
本株式併合においては、株主の皆様が保有する当社株式の数に、本買付条件等変更後の本公開買付価格と同額である780円を乗じた金額に相当する金銭を、株主の皆様に交付することを予定しております。
当社は、以下の点等を踏まえると、本買付条件等変更後の本公開買付価格である780円は当社の株主の皆様にとって妥当なものであり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な株式売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
① 下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているみずほ証券による2024年6月当社株式価値算定書における当社株式の株式価値算定結果によれば、市場株価基準法及び類似企業比較法の算定結果の上限を上回っており、DCF法の算定結果のレンジの範囲内であり、当該レンジの中央値を上回る金額となっていること
② 本買付条件等変更後の本公開買付価格である780円は、本公開買付けの開始予定についての公表日の前営業日である2022年12月20日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値419円に対して86.16%、2022年12月20日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値430円に対して81.40%、2022年12月20日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値438円に対して78.08%、2022年12月20日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値451円に対して72.95%のプレミアムをそれぞれ加えたものであり、かかるプレミアムの水準は、同種他社事例における平均的なプレミアム水準(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表された、親会社が、上場子会社の非公開化を企図して成立したTOB事例66件のプレミアム水準の平均値(公表日の前営業日の株価に対して38.72%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.17%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して42.13%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して42.80%)及び中央値(公表日の前営業日の株価に対して40.67%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.68%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して40.23%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して40.88%))と比して相当なプレミアムが付されていると考えられる(なお、本公開買付けの開始予告の公表日の前営業日を基準としたプレミアム率を重視すべきとの判断から本公開買付けの開始についての公表日の前営業日を基準としたプレミアム率・ディスカウント率を踏まえた検討は行っていない)ことに加えて、かかるプレミアムの水準は公開買付予告期間の株式市況全体の上昇率(2022年12月21日から本公開買付けの開始についての公表日の前営業日である2024年6月19日までの東証株価指数(TOPIX)の上昇率は44.12%)を踏まえても一定のプレミアムが付されていると考えられること
③ 下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役の承認」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られたうえで、本特別委員会の実質的な関与の下、公開買付者との間で本公開買付価格の引き上げに関する検討状況を複数回質問し、書面を通じた質疑を重ねたことに加えて、本特別委員会は公開買付者の代表取締役社長と面談を実施し、公開買付者としては、当社の市場株価が本公開買付価格を上回って推移していることを踏まえても本公開買付価格を引き上げることは困難であることを公開買付者の代表取締役社長より直接確認する等、本公開買付価格の引き上げの余地が存在しない旨を公開買付者に対して複数回確認した価格であること
④ 公開買付予告期間において、株式市況全体及び国内電線メーカーの市場株価は上昇基調にあるものの、個別企業の状況に応じて市場株価は推移している中で、国内電線メーカー各社は中期経営計画又は業績予想を一定程度達成していることが認められる一方、当社は2025長期ビジョン及び2022年12月当社株式価値算定書において前提としていた当社の事業計画と比較して2023年3月期及び2024年3月期の業績が下振れていること(当社は、2017年5月12日公表の2025長期ビジョンにおいて2023年3月期の目標営業利益70億円を掲げていたのに対して、2023年3月期の実績値は営業利益約17億円であり、公表済みの目標営業利益対比で実績営業利益が75.71%下振れていること。なお、2025長期ビジョンは2022年12月当社株式価値算定書において前提としていた当社の事業計画とは異なるもの)を踏まえると、本公開買付けが公表されていなかった場合の当社の市場株価が、株式市況全体及び国内電線メーカーの市場株価と同様に上昇していたとは必ずしも言い切れないと考えられること
⑤ 2024年6月12日以降、本公開買付けの開始についての公表日の前営業日である2024年6月19日時点までに当社の市場株価は本公開買付価格を上回って推移しているものの、当該市場株価の推移の理由としては、中国における競争法上の届出の承認がなされたのが2024年6月11日であることを踏まえても、主に本公開買付けの開始に伴う市場参加者の期待心理に基づく、当社の一部株主による売買の結果として上昇したものと考えることが合理的であることに加えて、足許の市場株価で売却(株式の現金化)できるのは当社の一部の株主に限定され、当社の全ての株主に本公開買付価格で当社株式を現金化する機会を提供することができる公開買付者の提案は、引き続き当社の株主の利益に資するものと考えられること
⑥ 2024年6月20日時点で公開買付予告期間が1年6ヶ月となっていることを踏まえると、公開買付者以外の者にも当社株式の買付け等を行う機会は実質的に確保されていたにもかかわらず、2024年6月20日時点で対抗的買収提案者が現れていないこと
⑦ 本公開買付価格は、当社の2024年3月末時点の連結簿価純資産額を基礎として算出した1株当たり連結簿価純資産額(828.50円)を下回っているものの、当社が保有する資産のうち即時及び一括の売却が困難と考えられる資産として工場施設及び設備等(当社の貸借対照表(2024年3月末)上、資産全体(61,119百万円)に占める工場及び設備等に該当する会計項目(「建物及び構築物(純額)」(8,112百万円)と「機械装置及び運搬具(純額)」(2,633百万円))の割合は17.58%)が相当程度存在すること、また、企業の清算に伴い、弁護士費用等の追加コストの発生が見込まれることに鑑みると、仮に当社が清算する場合であっても、連結簿価純資産額が同額で換価されるわけではなく、現実的には連結簿価純資産額から毀損された金額となることが想定されることから、1株当たり連結簿価純資産額のみをもって本公開買付価格を判断することは妥当ではないと考えられること
また、当社は、2024年6月20日及び2024年7月26日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議した後、本臨時株主総会の招集を決定した2024年9月24日開催の取締役会における決議時点に至るまでに、本公開買付価格の算定の基礎となる諸条件に重大な変更が生じていないことを確認しております。
以上のことから、当社は、端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額については、相当であると判断しております。
(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
当社は、本公開買付けの公表日である2022年12月21日時点において、公開買付者の子会社ではなく、本公開買付けは支配株主との取引等には該当いたしません。もっとも、公開買付者は、2022年12月21日時点において、当社株式を22,739,218株(所有割合36.81%)所有する当社の主要株主かつ筆頭株主であり、当社を持分法適用関連会社としていること、公開買付者は当社の完全子会社化を目的としていること、当社の役職員に公開買付者の出身者又は同社からの出向者がいること等から、本公開買付けを含む本取引において、公開買付者及び当社は、本公開買付けの段階から本取引の公正性を担保するとともに、本取引に関する当社の意思決定の恣意性を排除し、意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、また利益相反の疑いを回避する観点から、以下のとおり、本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を講じております。また、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
なお、公開買付者は、上記のとおり、2022年12月21日時点において、当社株式22,739,218株(所有割合36.81%)を所有しているため、本公開買付けにおいていわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する一般株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定していないとのことですが、公開買付者及び当社において以下の①から⑥までの措置が講じられていることから、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えているとのことです。
① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するに当たり、公開買付者及び当社から独立した第三者算定機関として、フィナンシャル・アドバイザーである大和証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼したとのことです。なお、大和証券は公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有していないとのことです。大和証券は、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場していることから市場株価法、当社と比較可能な上場会社が存在し類似会社比較による当社の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を用いて当社株式の株式価値の算定を行い、公開買付者は2022年12月20日付で大和証券から算定書(以下「公開買付者算定書」といいます。)を取得したとのことです。なお、公開買付者は、大和証券から本公開買付価格の妥当性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
大和証券による当社株式の1株当たり株式価値の算定結果は以下のとおりとのことです。
市場株価法 419円~451円
類似会社比較法 452円~524円
DCF法 570円~929円
市場株価法では、2022年12月20日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日終値419円、直近1ヶ月間の終値単純平均値430円、直近3ヶ月間の終値単純平均値438円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値451円を基に、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を419円から451円までと算定しているとのことです。
類似会社比較法では、当社と比較的類似する事業を営む上場企業の市場株価や収益性等を示す財務指標との比較を通じて当社株式の株式価値を計算し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を452円から524円までと算定しているとのことです。
DCF法では、当社が作成した2023年3月期から2026年3月期までの4期分の事業計画を、直近までの業績動向、公開買付者が当社に対して行ったデュー・ディリジェンスの結果、想定されるシナジー、一般に公開された情報等の諸要素を考慮し、公開買付者において調整を行った当社の事業計画に基づき、2023年3月期第3四半期以降に当社が将来創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たり株式価値の範囲を570円から929円と算定しているとのことです。なお、大和証券がDCF法に用いた事業計画は本取引の実行を前提としており、本取引により想定されるシナジー効果を見込んでいるとのことです。
また、大和証券がDCF法に用いた事業計画においては、大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれているとのことです。具体的には、2025年3月期以降において、電線・ケーブル事業で注力分野である産業機器電線の拡販やコスト改善、電子材料事業で中国やマレーシアでの新型コロナウイルス(COVID-19)によるロックダウンや半導体不足等による影響からの回復及び認証取得済みの新製品の拡販、センサー&メディカル(医療)事業での受注拡大及び想定されるシナジー効果の実現に伴い、2025年3月期は前年度比42.8%増、2026年3月期は前年度比39.1%増となることを見込んでいるとのことです。
公開買付者は、大和証券から取得した公開買付者算定書の算定結果に加え、公開買付者において2022年11月上旬から2022年12月上旬まで実施した当社に対するデュー・ディリジェンスの結果、当社の取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、当社株式の市場株価の動向及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、当社との協議・交渉の結果等も踏まえ、最終的に2022年12月21日開催の取締役会の決議によって、本公開買付価格を1株当たり720円と決定したとのことです。なお、類似取引事例におけるプレミアムの実例は考慮していないとのことです。その後、当社が当社2024年3月期決算短信を公表しておりますが、これらを踏まえても、公開買付者として、当社の企業価値に重大な影響を与える事象はないと考え、本公開買付価格を変更せず本公開買付けを開始することとしたとのことです。なお、上記決定に当たっては、2022年12月20日付の公開買付者算定書に加えて、改めて大和証券から算定書を取得することはしていないとのことです。
なお、本公開買付価格である1株当たり720円は、本公開買付けの開始予定についての公表日の前営業日である2022年12月20日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値419円に対して71.84%、2022年12月20日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値430円に対して67.44%、2022年12月20日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値438円に対して64.38%、2022年12月20日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値451円に対して59.65%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であります。また、本公開買付けの開始についての公表日の前営業日である2024年6月19日の終値794円に対して9.32%のディスカウントを行った価格であります。
一方、本買付条件等変更後の本公開買付価格である1株当たり780円は、本公開買付けの開始予定についての公表日の前営業日である2022年12月20日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値419円に対して86.16%、2022年12月20日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値430円に対して81.40%、2022年12月20日までの直近3ヶ月間の終値単純平均値438円に対して78.08%、2022年12月20日までの直近6ヶ月間の終値単純平均値451円に対して72.95%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であります。また、本公開買付けの開始についての公表日の前営業日である2024年6月19日の終値794円に対して1.76%のディスカウントを行った価格であります。なお、公開買付者は、本買付条件等変更後の本公開買付価格の決定に当たっては、2022年12月20日付の公開買付者算定書に加えて、改めて大和証券から算定書を取得することはしていないとのことです。
② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、公開買付者グループ及び当社グループのいずれからも独立した第三者算定機関として、みずほ証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2022年12月20日に、2022年12月当社株式価値算定書を取得し、2022年12月21日から2024年6月19日までの間の当社株式の価値の変動の有無及びその内容を検討し、本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために2024年6月当社株式価値算定書を取得いたしました。
当社がみずほ証券から取得した2022年12月当社株式価値算定書及び2024年6月当社株式価値算定書の詳細については、本意見表明プレスリリースも併せてご参照ください。
③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
(i) 2022年12月20日付答申書の取得
当社は、本取引に関する当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2022年10月11日に、花井健氏(当社社外取締役)、原戸稲男氏(当社社外取締役、弁護士)及び谷口悦子氏(当社社外取締役、公認会計士)の3名から構成される公開買付者グループ及び当社グループのいずれからも独立した本特別委員会を設置いたしました(なお、本特別委員会の委員の報酬については、固定額となっており、成功報酬は採用しておりません。また、当社は、本特別委員会の委員として設置当初からこの3名を選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。)。
当社取締役会は、本特別委員会設置の決定に際し、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的の合理性(本取引が当社企業価値の向上に資するかを含む。)に関する事項、(ⅱ)本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)に関する事項、(ⅲ)本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)に関する事項、(ⅳ)上記(ⅰ)乃至(ⅲ)及びその他の事項を踏まえ、当社取締役会が本取引の実施(本公開買付に関する意見表明を含む。)を決定することが少数株主に不利益か否か (以下「本諮問事項」と総称します。)について諮問いたしました。さらに、当社取締役会は、本取引に関する決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引の条件等について妥当でないと判断した場合には、本取引を実行する旨の意思決定(本公開買付けに対する当社の賛同及び応募推奨を内容とする意見表明を含む。)を行わないことを併せて決議しております。
加えて、当社取締役会は、本特別委員会に対し、(ⅰ)当社の費用負担の下、本取引に係る調査(本取引に関係する当社の役員若しくは従業員又は本取引に係る当社のアドバイザーに対し、本諮問事項の検討に必要な事項について質問を行い、説明又は助言を求めることを含む。)を行うことができる権限、(ⅱ)当社に対し、(a)本特別委員会としての提案その他の意見又は質問を公開買付者に伝達すること、及び (b)本特別委員会自ら公開買付者(本取引に係る公開買付者のアドバイザーを含む。)と協議・交渉する機会の設定を求めることができ、また、本特別委員会が当該機会の設定を求めない場合であっても、当社は、公開買付者と協議・交渉を行った場合にはその内容を速やかに本特別委員会に報告し、本特別委員会は、当該内容を踏まえ、公開買付者との協議・交渉の方針について、当社に対して意見を述べ、また、必要な指示・要請を行うことができる権限、(ⅲ)必要と認めるときは、当社の費用負担の下、本特別委員会独自の弁護士、算定機関、公認会計士その他のアドバイザーを選任することができ、また、本取引に係る当社のアドバイザーに対して必要な指示を行うことができるほか、必要と認めるときはアドバイザーの変更を求めることができる権限を付与いたしました。これを受けて、本特別委員会は、当社の第三者算定機関及びフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券、並びに当社のリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所につき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことから、それぞれ、当社の第三者算定機関及びフィナンシャル・アドバイザー並びにリーガル・アドバイザーとして承認し、また本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認いたしました。
本特別委員会は、2022年10月14日より2022年12月20日までの間に合計12回開催され、本諮問事項についての協議及び検討が慎重に行われました。具体的には、本特別委員会は、(ⅰ)公開買付者に対する、本取引の目的・背景、本取引の条件及び本取引後の当社の経営方針等に関する事項のヒアリング、(ⅱ)当社に対する、みずほ証券による当社株式の株式価値算定の前提とした事業計画の内容及び策定方法、並びに公開買付者の提案内容及び本取引後の当社の経営方針等に関する事項のヒアリング、並びに(ⅲ)みずほ証券に対する、当社株式の株式価値算定に関する事項のヒアリング等を行っております。
本特別委員会は、以上の経緯で本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2022年12月20日、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、本諮問事項につき大要以下を内容とする2022年12月20日付答申書を提出しております。
(a) 答申内容
① 本取引は当社の企業価値向上に資すると認められ、本取引の目的は合理的である。
② 本取引の実施方法や対価の種類を含む本取引の取引条件は妥当である。
③ 本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る手続は公正である。
④ 上記①乃至③を踏まえ、当社の取締役会が、(i)本公開買付けに関して、賛同の意見を表明するとともに、当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨する旨を決定すること、及び(ii)本公開買付け後に本スクイーズアウト手続を実施することを決定することは、当社の少数株主にとって不利益ではない。
(b) 答申理由
Ⅰ.本取引の目的の合理性
本特別委員会は、本取引の目的及び本取引が当社の企業価値に与える影響について、当社 及び公開買付者から説明を受け、質疑を行った。それらの内容をまとめると、概要は以下のとおりである。
・ 当社グループは、経営理念である「①電線・ケーブル事業及び電子材料事業をコア事業とし、次代を担う事業の開発にも継続的かつ積極的に取り組み、活力・スピード感に溢れ、公正かつ透明性の高い連結経営を推進することにより、持続的に成長し、中長期的な企業価値を向上させるとともに、②地球環境問題に配慮しつつ、顧客ニーズにマッチした特長ある商品・サービスを提供することにより、持続的な社会の発展に貢献する」の実現を目指し、電線・ケーブル事業、電子材料事業、センサー&メディカル事業及び環境分析事業を柱に事業活動を展開している。
・ 当社グループでは、2017年5月12日に、経営理念の実現に向けて、「2025長期ビジョン」を策定した。長期ビジョンの実行にあたっては、当社グループの有する各事業の成長段階・競争力等に応じ「利益追求事業」、「成長追求事業」、「中長期育成事業」の3つのグループに分類した上で、第1期(2017~2019年度)、第2期(2020~2022年度)、第3期(2023~2025年度)に区切り、事業展開を進めてきた。
・ 長期ビジョンにおいて、当社グループは、2025年度には売上高1,000億円・営業利益100億円を達成することを目標とし、電線・電子材料関連のフロンティアを開拓して、独創的な先端部品・素材を供給するニッチトップサプライヤーとなることを目指している。そのために、特に市場の拡大が期待される機能性ペースト分野及び医療機器部材分野においては積極的に投資を実行して成長を追求し、その他の既存事業分野においては効率化投資の推進、高機能製品へのシフト等により回収利益の最大化を追求することを基本としている。
・ しかしながら、2025長期ビジョン第2期(2020~2022年度)の最終年度である2022年度では、半導体不足の段階的解消、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題からの経済活動回復等を見込んでいるが、エネルギー・原材料価格の高騰及び成長追求事業の収益貢献の遅れ等を主因に大幅な計画未達となる見込みであり、2025長期ビジョン第3期(2023~2025年度)の目標・達成時期等の再検証が必要な状況と認識している。
・ 当社グループとしては、当社グループの提供する製品・サービスは、IoT(モノのインターネット化)、AI(人工知能)、5G通信の進展、医療の高度化等に伴い必要とされるものであり、需要は拡大するとの中長期的な見方に変更はなく、各種課題に対処するとともに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)問題によって停滞した経済活動の回復に合わせ拡販・製品開発活動に努めているところである。
・ 当社は、上記のような市場環境及び経済状況を踏まえ、当社の長期ビジョンの目標・達成時期等の再検証が必要な状況と認識しているところ、当社が公開買付者グループに入り、当社の経営の独立性を尊重されつつ、公開買付者グループのリソースを当社が活用できるようになることで、当社の事業を発展させる上で様々な選択肢を当社が得ることができ、さらに積極的な事業運営が可能となると考えている。また、それにより当社の従業員が取り組むことができる業務の領域が広がるため、当社が上場会社でなくなったとしても、当社の従業員のモチベーションの維持及び向上を図ることは可能と考えている。さらに、公開買付者は、当社の商流や取引先については当社の独立性を尊重する方針であり、取引内容への関与は想定していないため、当社の重要な取引先との関係に悪影響は生じないものと考えている。
・ 当社は、本取引を通じて、以下のような効果を期待し得ると考えている。
① 両社の経営資源の効率的活用
両社間におけるより活発な人的交流の実施及び財務基盤等、諸機能の相互補完や最適化により、当社の長期ビジョンの達成及び今後の継続的な成長に寄与するものと考えている。具体的には、経営企画・技術戦略や海外拠点、M&Aにおけるネットワーク等の相互補完や最適化を通じて、両社の成長分野におけるグローバルサプライチェーンの進化及びエレクトロニクス市場特有のスピード感への対応が可能となり、加えて、スタートアップ及びM&Aの活用時に必要となる外部の信用を得られる企業規模、リスクに耐えうる資金調達力を強化することが可能となると考えている。
② 電子材料分野における事業競争力の更なる強化
機能性フィルム事業や機能性ペースト事業、医療機器部材事業等、開発分野での協業体制の更なる推進や、公開買付者のサプライチェーンにおける情報網の活用による当社電子材料の拡販等を行うことにより、当社事業の更なる成長に寄与するものと考えている。具体的な協業体制としては、公開買付者の有する高性能圧延銅箔技術 、金属薄膜の成膜技術及びシミュレーション技術の活用による新製品開発等を期待できると考えている。
③ 電線・ケーブル分野の事業基盤の強化
公開買付者/当社双方における電気銅の安定調達/供給体制を更に強化することが可能となり、また、スクラップ集荷網等の公開買付者グループ及び当社グループの経営資源の利活用・連携を進めることで、銅スクラップの安定確保や、リサイクル促進によるSDGs推進体制の構築にも繋がるものと考えている。特に、両社間で共有する情報の量・質の向上や需要に応じた公開買付者から当社への優先的な銅原料の供給、当社から公開買付者へのスクラップ供給関係がより強固になることにより公開買付者における電気銅リサイクル原料比率の向上が期待できると考えている。また、長期的には、電気銅リサイクル原料比率が向上することで、差別化の難しい電線ケーブル事業製品の付加価値向上、事業機会拡大に繋がる可能性があると考えている。加えて、公開買付者の有する海外拠点・海外ネットワーク等を活用することを通じて、電線・ケーブル分野の海外展開を促進させることができる可能性があると考えている。
④ 上場維持コスト及び管理部門における業務負担軽減
当社株式の上場を維持するための体制については、近年の新市場区分における上場維持基準への対応やコーポレートガバナンス・コードの改訂など年々強化することが求められている。これらに対応するための上場維持コストは年々増大しており、本取引により公開買付者のみが当社の株主となり完全子会社となることによって、上場維持コスト及び上場維持のための業務負担を軽減できるものと考えている。
・ 以上を踏まえ、当社は、本取引は当社の企業価値のより一層の向上に資するものである、との結論に至った。
・ 公開買付者としても、以下のようなシナジー効果を見込んでいる。
① 現状では両社それぞれが、情報共有等における一定の制約のもと、自社事業を最適化する観点での交流になるため、効果が限定されているところ、両社間におけるより活発な人的交流の実施及び財務基盤等、諸機能の相互補完や最適化により、当社の長期ビジョン達成並びに今後の継続的な成長に寄与するものと考えている。具体的には、経営企画・技術戦略や海外拠点、基礎技術開発、スタートアップとの協業、M&Aにおけるネットワーク等の相互補完や最適化を通じて、両社の成長分野におけるグローバルサプライチェーンの進化及びエレクトロニクス市場特有のスピード感への対応が可能となり、加えて、スタートアップ及びM&Aの活用時に必要となる外部の信用を得られる企業規模、リスクに耐えうる資金調達力及びこれらの取り組みを担える人材を強化することが可能となる。
② 現状では秘匿性の高い知的財産については両社間で非開示となっているところ、本取引を通じて公開買付者グループ及び当社が独自に有する知見・技術・情報・資材・ノウハウ等が統合され、それらの多様性及び深度が増すことにより、両社において自社の製品を相手方に販売してもらうクロスセルや公開買付者が当社の事業部門や開発部門のために、技術課題の解決に資する技術を探索する活動であるテックスカウティング等を含めて長期的な目線で相互補完の効果が期待できる。また、これらの利用機会を最大化することにより、当社研究開発品の利用価値及び研究開発の成功率向上に寄与する可能性がある。
③ 現状当社が公開買付者の完全子会社でないために両社の経済的メリットの観点から両社の技術系人材の交流や公開買付者の技術開発センターの当社による活用は未実施となっており、また、情報管理の観点から顧客情報や市場情報を公開買付者から当社に共有できていないが、本取引を通じてこれらの制約を排除し、機能性フィルム事業や機能性ペースト事業、医療機器部材事業等、開発分野での協業体制の更なる推進や、公開買付者サプライチェーンにおける情報網の活用による当社電子材料の拡販等を行うことにより、当社事業の更なる成長に寄与するものと考えている。具体的な協業体制としては、公開買付者の有する高性能圧延銅箔技術、金属薄膜の成膜技術及びシミュレーション技術の活用による新製品開発等を期待できる。
④ 本取引を通じて現状電線・ケーブルの原料である電気銅の売買取引を行っている両社の利益相反関係が解消されることにより、公開買付者/当社双方における電気銅の安定調達/供給体制をさらに強化することが可能となり、また、スクラップ集荷網等の公開買付者グループ及び当社グループの経営資源の利活用・連携を進めることで、銅スクラップの安定確保や、リサイクル促進によるSDGs推進体制の構築にも繋がるものと考えている。特に、両社間で共有する情報の量・質の向上や需要に応じた公開買付者から当社への優先的な銅原料の供給、当社から公開買付者へのスクラップ供給関係がより強固になることにより公開買付者における電気銅リサイクル原料比率の向上が期待できる。
本特別委員会は、上記事項の具体的な内容及びこれらを踏まえた当社の企業価値向上の可能性等について、当社及び公開買付者との質疑応答を行い、その合理性を検証した。
その結果、当社及び公開買付者の認識に特に不合理な点は認められない。
また、本特別委員会としても、公開買付者との質疑応答の内容を踏まえると、公開買付者は当社の経営の独立性を尊重する方針であり、以下のシナジー及びメリットが期待できると考えるに至った。
・ 当社が、公開買付者グループとの新たな協働や支援を受けることにより、特に営業マーケティング、新規投資、資金調達及び新規製品開発等の当社が課題としている事項の解決が図られ、当社の更なる飛躍的な成長につながる可能性が高まること。
・ 現在、当社は、人材の登用、教育及び育成について一定の成果を上げている一方で、当社の長期ビジョン等に示された事業展開の実現のためにはグローバルな人材や専門的な人材の活用が必要であるところ、本取引によって公開買付者グループ及び当社間における人材交流の活発化及び強化が期待できること。
・ 本取引によって、当社グループの企業基盤が強化されることにより、当社グループの従業員の雇用条件及び処遇の向上が図られる可能性があること。
さらに、本取引が当社の非公開化を前提とするものであることから、本特別委員会は、当社における非公開化に伴う影響についても検討した。
上場会社が非公開化することによって、一般的には、従業員のモチベーション、事業の商流又は取引先との関係の変化等が懸念されるところ、当社によれば、当社が公開買付者グループに入り、経営の独立性を尊重されつつもそのリソースを当社が活用できるようになることで、当社の事業を発展させる上で様々な選択肢を当社が得ることができ、さらに積極的な事業運営が可能となると考えているとのことである。それにより当社の従業員が取り組むことができる業務の領域が広がるため、非公開化により上場会社でなくなったとしても、当社の従業員のモチベーションの維持及び向上を図ることは可能と考えているとのことである。また、当社が公開買付者の完全子会社となったとしても、公開買付者は、当社の商流や取引先については当社の独立性を尊重する方針であり、取引内容への関与は想定していないため、当社の重要な取引先との関係に悪影響は生じないものと考えているとのことであった。
以上のようなことから、当社における非公開化による懸念は特段ないと考えられる。以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引は、当社の中長期的観点からの企業価値の向上に資するものと認められ、その目的に合理性を有するものであると考えるに至った。
Ⅱ.本取引の取引条件の妥当性
(I) みずほ証券による株式価値算定書
当社がみずほ証券から取得した2022年12月当社株式価値算定書によれば、当社株式の1株当たり株式価値は、市場株価法によると419円から451円、類似企業比較法によると244円から474円、DCF法によると266円から1,044円とされているところ、本公開買付価格は、720円であり、市場株価法及び類似企業比較法による算定結果の上限値を上回っているとともに、DCF法による算定結果のレンジの範囲内であり、当該レンジの中央値を上回る金額に位置する金額である。
なお、本公開買付価格は、当社の2022年9月末時点の連結簿価純資産額を基礎として算出した1株当たり連結簿価純資産額(778.83円)を下回っているものの、当社が保有する資産のうち即時及び一括の売却が困難と考えられる資産として工場施設及び設備等(当社の貸借対照表(2022年9月末)上、資産全体(58,704百万円)に占める工場及び設備等に該当する会計項目(「建物及び構築物(純額)」(8,393百万円)と「機械装置及び運搬具(純額)」(3,085百万円))の割合は19.55%)が相当程度存在すること、また、企業の清算に伴い、弁護士費用等の追加コストの発生が見込まれることに鑑みると、仮に当社が清算する場合であっても、連結簿価純資産額が同額で換価されるわけではなく、現実的には連結簿価純資産額から毀損された金額となることが想定されることから、1株当たり連結簿価純資産額のみをもって本公開買付価格を判断することは妥当ではないと考えられる。
そして、本特別委員会は、みずほ証券から株式価値評価に用いられた算定方法等について詳細な説明を受けるとともに、みずほ証券及び当社に対して評価手法の選択、算定の基礎となる当社の事業計画に基づく財務予測を含む前提条件等に関する質疑応答を行った上で検討した結果、一般的な評価実務に照らして不合理な点は認められなかった。
(II) 本公開買付価格の市場株価に対するプレミアム水準
本公開買付価格は、本公開買付けの開始予定についての公表日の前営業日である2022年12月20日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値419円に対して71.84%、2022年12月20日までの過去1ヶ月間の当社株式の終値単純平均値430円に対して67.44%、2022年12月20日までの過去3ヶ月間の当社株式の終値単純平均値438円に対して64.38%、2022年12月20日までの過去6ヶ月間の当社株式の終値単純平均値451円に対して59.65%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であって、かかるプレミアムの水準は、同種他社事例における平均的なプレミアム水準(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表された、親会社が、上場子会社の非公開化を企図して成立したTOB事例50件のプレミアム水準の平均値(公表日の前営業日の株価に対して39.87%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.81%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して43.36%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して44.58%)及び中央値(公表日の前営業日の株価に対して43.42%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して43.18%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して41.02%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して43.56%))と比して当社株主にとって有利な水準であることを確認した。
(III) 交渉過程の手続の公正性
下記「Ⅲ.本取引の手続の公正性」記載のとおり、本公開買付けを含む本取引に係る交渉過程の手続は公正であると認められるところ、「Ⅲ.本取引の手続の公正性」の(iv)「当社及び本特別委員会による協議・交渉」記載のとおり、かかる交渉により、実際に、公開買付価格の引き上げ余地がこれ以上存在しない旨、公開買付者より複数回主張される水準まで公開買付者が提示した価格を引き上げており、本公開買付価格は、そのような交渉を経て決定されたものであると認められる。
(IV) 対価の種類
本取引の対価は、本公開買付け及びその後に実施される予定の本スクイーズアウト手続を通じて、現金であることが予定されているところ、公開買付者の株式は上場していないため十分な流動性がなく、本取引の対価として妥当ではないことから、本取引の対価の種類は妥当であるといえる。
(V) 本公開買付け実施の前提条件
本公開買付けは、本公開買付前提条件が充足されたとき(又は公開買付者が本公開買付前提条件を放棄した場合)に速やかに実施されるとされているが、本公開買付けにおいて、中国を含む国内外の競争当局における手続等に要する期間を正確に予想することが困難な状況であることを踏まえると、不合理なものではないといえる。
(VI) 小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引の取引条件は妥当であると判断するに至った。
Ⅲ.本取引の手続の公正性
(I) 特別委員会の設置
公開買付者が当社に対して本取引を提案し、当社が公開買付者に対して本取引を本格的に検討する旨を回答した当初から本特別委員会が設置され、アドバイザー等の選任権限が付与された上、当社において、本特別委員会の答申内容について最大限尊重し、本特別委員会が本取引の条件について妥当でないと判断した場合には、本取引を実行する旨の意思決定(本公開買付けに対する当社の賛同及び応募推奨を内容とする意見表明を含む。)を行わないこととする旨決議がされているところ、本特別委員会の独立性、専門性・属性などの構成、アドバイザーなどの検討体制についても特段の問題は認められない。
(II) 当社による検討方法
当社は、本公開買付価格の公正性の担保、本取引の実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本取引について検討するにあたっては、公開買付者、及び当社のいずれからも独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券、並びにリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から助言・意見等を得ながら、当社の企業価値向上ひいては株主共同の利益の観点、並びに、当社株主に対する合理的な条件での売却機会の提供の観点から、本公開買付価格をはじめとする買付条件の妥当性及び本取引の一連の手続の公正性といった点について慎重に検討及び協議を行っている。
また、本特別委員会としても、必要に応じてみずほ証券及びTMI総合法律事務所より専門的助言を受けることができることを確認し、現に助言・意見等を得ている。
(III) 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、本公開買付けに関する意見を決定するにあたり、みずほ証券に対して、当社の株式価値の算定を依頼し、2022年12月20日付で同社から2022年12月当社株式価値算定書を取得した。
(IV) 当社及び本特別委員会による協議・交渉
当社は、本特別委員会から提示された交渉方針及び助言に沿って、本公開買付価格について、少数株主の利益保護の観点からその公正性を確保するための実質的な協議・交渉を公開買付者との間で複数回にわたって行っている。
具体的には、当社はみずほ証券を通じて、当社株式の市場株価の過去推移、当社のフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券による株式価値評価の試算、及び東京証券取引所や経済産業省等において議論されているとおり、PBR1倍の水準は当社の株主より広く意識されうる基準の一つであること等を総合的に勘案した上で、延べ5回にわたり、本特別委員会から提示された交渉方針及び助言に従い、公開買付者に対して本公開買付価格の引上げを求め、最終的に、公開買付者から、これ以上本公開買付価格を引き上げることはできない旨の意向が複数回示されるまで交渉を行った。
そして、かかる交渉により、公開買付者から提示される価格を引き上げた結果として、1株当たり720円という本公開買付価格が決定されている。
(V) 当社における独立した検討体制の構築
当社は、構造的な利益相反の問題を排除する観点から、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築している。
(VI) 本取引の交渉過程及び意思決定過程における特別利害関係人の不関与
当社の立場で本取引を検討・交渉する取締役には、本取引に特別な利害関係を有する者は含まれておらず、その他、本取引に係る協議、検討及び交渉の過程で、公開買付者その他の本取引に特別な利害関係を有する者が当社側に不当な影響を与えたことを推認させる事実は認められない。
なお、利益相反の疑いを回避し、本取引の公正性を担保する観点から、当社の取締役のうち、公開買付者の常務執行役員を兼任している百野修氏並びに公開買付者の出身者である山田宏也氏、今井雅文氏及び堂岡芳隆氏は、当社取締役会における本取引の検討に関する議題の審議には一切参加しておらず、当社の立場において本取引の検討、本取引に係る公開買付者との協議・交渉にも一切参加していない。
(VII) マジョリティ・オブ・マイノリティ条件
本公開買付けにおいていわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の利益に資さない可能性もあるものと考えられることから、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定していないとのことである。もっとも、本公開買付けにおいては、公開買付者及び当社において適切な公正性担保措置が実施されていることから、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する下限が設定されていないことのみをもって、適切な公正性担保措置が講じられていないと評価されるものではないと考えられる。
(VIII) 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触を禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げられていない。
また、公開買付者は、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」という。)について、法令に定められた最短期間の20営業日に設定しているところ、本公開買付けの開始は本取引公表日より一定期間経過後となる見込みであることから、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保しつつ、公開買付者以外にも当社株式の買付け等を行う機会が実質的に確保されるため、適切な公正性担保措置が講じられていないと評価されるものではないと考えられる。
(IX) 適切な情報開示
本取引においては、本公開買付けが成立した場合に、その後に実施される予定の本スクイーズアウト手続について、公開買付者が提出する公開買付届出書、当社が公表するプレスリリース等において、十分な開示がなされることが予定されている。
なお、本公開買付け後に本スクイーズアウト手続を行う場合、本公開買付けに応募しなかった当社の株主に交付される金銭の額が、株式等売渡請求の場合においては、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を交付することを定める予定である旨が、株式併合の場合においては、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう株式併合により生じる端数の合計数の売却代金が算定される予定である旨が、プレスリリース等で明示される予定であると認められ、本公開買付けに応募することの強圧性が低減される適切な措置が採られているといえる。
(X) 小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る手続は公正であると判断するに至った。
Ⅳ.当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明を含む。)を決定することが少数株主に不利益か否かについて
上記を踏まえ慎重に検討した結果、当社取締役会が本取引の実施を決定することは当社の少数株主にとって不利益ではないと判断するに至った。すなわち、当社の取締役会が、(i)本公開買付けに関して、賛同の意見を表明するとともに、当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨する旨を決定すること、(ii)本公開買付け後に本スクイーズアウト手続を実施することを決定することは、当社の少数株主にとって不利益ではないと判断するに至った。
(ii) 2024年6月20日付答申書の取得
また、当社は、公開買付者より、国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことを受けて、国内外の競争法に基づき必要な手続及び対応を終えることを含む本公開買付前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2024年6月21日より開始することを予定している旨の連絡を2024年6月12日に受けました。当社は、本特別委員会に対して、2022年12月20日付答申書の意見の内容に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問することとしておりました。
本特別委員会は、下記a.に記載する検討等を重ねた結果、2024年6月20日、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下を内容とする2024年6月20日付答申書を提出しております。
a. 本特別委員会が行った検討等
本特別委員会は、本諮問事項に対する答申を行うにあたり、2022年12月21日以後、本日まで、2022年12月20日付答申書の内容に変更がないかを慎重に協議及び検討した。
具体的には、以下の検討等を行った。
1. 特別委員会の開催等
本特別委員会は、2022年12月21日以後、2024年3月8日から本日に至るまで計7回開催され、当社の業績、市場環境、公開買付者による国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応の状況の進捗等を確認した。さらに期日間においても、詳細な審議及び検討を行った。
2. 関係者からの説明聴取等
(1)当社の役職員に対するヒアリングを通じて、当社に対して、公開買付予告期間の長期化に伴う業況及び本取引を取り巻く環境の重大な変更等の有無、並びに本公開買付けの開始予告の公表時からの、本取引の目的に係る当社の考えの変更の有無等について確認を行った。
(2)当社のフィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券に対して、当社株式の市場株価の動向、東証株価指数(TOPIX)の変動等の株式市場全体の動向その他みずほ証券による当社株式の価値算定上考慮すべき事象の有無等の確認を行った。
(3)当社のリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所より、本取引の手続の公正性、公開買付者による国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応の状況等に関する法的助言を受けた。
(4)2024年3月11日、公開買付者に対して、公開買付予告期間の長期化に伴う本取引への影響並びに中国競争法の必要な手続及び対応の進捗状況について、書面による質問を実施し、2024年3月22日、公開買付者より回答書を受領した。
(5)2024年5月30日、公開買付者に対して、改めて、本取引の目的の合理性及び取引条件の妥当性について重大な変更事由がないかの確認並びに中国競争法の必要な手続及び対応の進捗状況について、書面による質問を実施し、2024年6月6日、回答書を受領した。
(6)2024年6月12日、公開買付者の代表取締役社長に対して、公開買付価格を含む本取引の取引条件の妥当性等について、ヒアリングを実施した。
3. 株式価値算定書の取得
当社は、本公開買付けに関する意見を決定するにあたり、みずほ証券に対して、改めて当社の株式価値の算定を依頼し、2024年6月19日付で同社から2024年6月当社株式価値算定書を取得した。
本特別委員会は、みずほ証券より、2024年6月当社株式価値算定書の前提となった当社の事業計画の内容、及び2024年6月当社株式価値算定書に基づく当社株式の算定結果について説明を受けるとともに、質疑応答を行った。
b. 本諮問事項に対する本特別委員会の意見
本特別委員会は、検討の結果として、特別委員全員の一致により、本諮問事項に関して、以下の意見を答申する(以下「本答申」という。)。
2022年12月20日付答申書における本特別委員会の意見に変更はなく、
① 本取引は当社の企業価値向上に資すると認められ、本取引の目的は合理的である。
② 本取引の実施方法や対価の種類を含む本取引の取引条件は妥当である。
③ 本取引においては適切な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る手続は公正である。
④ 上記①乃至③を踏まえ、当社の取締役会が、(i)本公開買付けに関して、賛同の意見を表明するとともに、当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨する旨を決定すること、及び(ii)本公開買付け後に本スクイーズアウト手続を実施することを決定することは、当社の少数株主にとって不利益ではない。
c. 意見の理由の概要及び検討内容について
1. 本取引の目的の合理性
2022年12月21日以後、本特別委員会において慎重に検討及び協議した結果、(i) 上記「a. 本特別委員会が行った検討等」の「2. 関係者からの説明聴取等」の(4)及び(5)を通じて、公開買付者において、本公開買付けの開始予告の公表時から本取引の目的に係る公開買付者の考え及び本公開買付け後も公開買付者はこれまでと同様に当社グループの経営の独立性を尊重し、原則として現行の経営方針を維持する想定であることについて変更がないことが確認できたこと、並びに(ii) 上記「第2 本特別委員会が行った検討等」の「2. 関係者からの説明聴取等」の(1)を通じて、当社グループにおける足元の経営環境変化や業績推移と、当社グループの属する業界における競争優位性を維持する必要性に鑑みた場合に、本取引を実施するメリットが増しており、本取引により実現することが期待されるシナジー効果が、本公開買付けの開始予告の公表時点よりも高まっているとの当社の考えについて、深く理解ができたことから、2022年12月21日以後、2022年12月20日付答申書の「c. 意見の理由の概要及び検討内容について」の「1. 本取引の目的の合理性」に記載の事項に変更すべき事情はないと判断した。
2. 本取引の取引条件の妥当性
2022年12月21日以後、本特別委員会において慎重に検討及び協議した結果、以下の理由により、本取引の取引条件は妥当であると判断するに至った。
(1) 2024年6月当社株式価値算定書
当社がみずほ証券から取得した2024年6月当社株式価値算定書によれば、当社株式の1株当たり株式価値は、市場株価法によると419円から451円、類似企業比較法によると303円から593円、DCF法によると413円から861円とされているところ、本公開買付価格は、720円であり、市場株価法及び類似企業比較法による算定結果の上限値を上回っているとともに、DCF法による算定結果のレンジの範囲内であり、当該レンジの中央値を上回る金額に位置する金額である。
なお、本公開買付価格は、当社の2024年3月末時点の連結簿価純資産額を基礎として算出した1株当たり連結簿価純資産額(828.50円)を下回っているものの、当社が保有する資産のうち即時及び一括の売却が困難と考えられる資産として工場施設及び設備等(当社の貸借対照表(2024年3月末)上、資産全体(61,119百万円)に占める工場及び設備等に該当する会計項目(「建物及び構築物(純額)」(8,112百万円)と「機械装置及び運搬具(純額)」(2,633百万円))の割合は17.58%)が相当程度存在すること、また、企業の清算に伴い、弁護士費用等の追加コストの発生が見込まれることに鑑みると、仮に当社が清算する場合であっても、連結簿価純資産額が同額で換価されるわけではなく、現実的には連結簿価純資産額から毀損された金額となることが想定されることから、1株当たり連結簿価純資産額のみをもって本公開買付価格を判断することは妥当ではないと考えられる。
そして、本特別委員会は、みずほ証券から株式価値評価に用いられた算定方法等について詳細な説明を受けるとともに、みずほ証券及び当社に対して評価手法の選択、算定の基礎となる当社の事業計画に基づく財務予測を含む前提条件等に関する質疑応答を行った上で検討した結果、一般的な評価実務に照らして不合理な点は認められなかった。
(2) 交渉過程の手続の公正性
ア 本公開買付けの開始予告の公表時の手続
2022年12月20日付答申書の「c. 意見の理由の概要及び検討内容について」の「3. 本取引の手続の公正性」に記載のとおり、本取引に係る取引条件の決定に至るまでの、本公開買付けを含む本取引に係る交渉過程の手続は公正であると認められるところ、「第4 意見の理由の概要及び検討内容について」の「3. 本取引の手続の公正性」の「(4)当社による協議・交渉」に記載のとおり、当社は、公開買付者に対して延べ5回にわたり、本公開買付価格の引き上げを求め、かかる交渉により、実際に公開買付者が提示した価格を引き上げており、最終的には公開買付者から、これ以上価格を引き上げることはできない旨の意向が示されるまで交渉を行い決定されたものであると認められる。
イ 本公開買付けの開始予告の公表後の手続
本特別委員会は、2022年12月21日以後、当該時点の想定以上に中国競争法の審査が長期化しており、公開買付予告期間が本邦でも有数の水準で長期となる見込みであること、また、2022年12月21日から2024年3月8日までの東証株価指数(TOPIX)が44.02%上昇しており、公開買付予告期間における東証株価指数(TOPIX)の上昇率が本邦でも有数の水準で高い数値となる可能性があることを受けて、上記「a. 本特別委員会が行った検討等」の「2. 関係者からの説明聴取等」の(4)乃至(6)に記載のとおり、公開買付者に対して、複数回、公開買付価格の引き上げを含む本取引の取引条件に対する公開買付者側の見解について質疑応答を行った。これに対して、公開買付者より、本公開買付価格に関しては、株式市況全体の上昇は認識しているものの、本公開買付価格から価格を引き上げることは公開買付者の経済合理性の観点から困難であり、当社の市場株価が本公開買付価格を上回って推移している状況を踏まえても本公開買付価格を引き上げることは困難であることから、本公開買付価格は1株あたり720円を維持する意向である旨の回答を受け、本公開買付価格は引上げの余地がないことを確認している。
(3) 対価の種類
本取引の対価は、本公開買付け及びその後に実施される予定の本スクイーズアウト手続を通じて、現金であることが予定されているところ、公開買付者の株式は上場していないため十分な流動性がなく、本取引の対価として妥当ではないことから、本取引の対価の種類は妥当であるといえる。
(4) 東証株価指数(TOPIX)の上昇と本公開買付価格との関係
ア 東証株価指数(TOPIX)の上昇が当社株式の市場株価に与える影響
本公開買付けの開始予告の公表を行った2022年12月21日以後、本公開買付けの開始についての公表日の前営業日である2024年6月19日に至るまで、東証株価指数(TOPIX)の上昇率は44.12%であり、公開買付予告期間において、2022年12月21日以後、株式市況全体及び国内電線メーカーの市場株価も上昇基調にあるものの、個別企業の状況に応じて市場株価は推移している。
もっとも、国内電線メーカー各社は中期経営計画又は業績予想を一定程度達成していることが認められる一方、当社は2025長期ビジョン及び当社が2022年12月20日付でみずほ証券より取得した株式価値算定書において前提としていた当社の事業計画と比較して2023年3月期及び2024年3月期の業績が下振れていることを踏まえると、本公開買付けが公表されていなかった場合の当社の市場株価が、株式市況全体及び国内電線メーカーの市場株価と同様に上昇していたとは必ずしも言い切れないと考えられる。
イ 本公開買付価格の市場株価に対するプレミアム水準
本公開買付価格は、本公開買付けの開始予告の公表日の前営業日である2022年12月20日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値419円に対して71.84%、2022年12月20日までの過去1ヶ月間の当社株式の終値単純平均値430円に対して67.44%、2022年12月20日までの過去3ヶ月間の当社株式の終値単純平均値438円に対して64.38%、2022年12月20日までの過去6ヶ月間の当社株式の終値単純平均値451円に対して59.65%のプレミアムが加算されたものであり、かかるプレミアムの水準は、同種他社事例における平均的なプレミアム水準(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表された、親会社が、上場子会社の非公開化を企図して成立したTOB事例66件のプレミアム水準の平均値(公表日の前営業日の株価に対して38.72%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.17%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して42.13%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して42.80%)及び中央値(公表日の前営業日の株価に対して40.67%、公表日の前営業日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値に対して42.68%、公表日の前営業日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して40.23%、公表日の前営業日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して40.88%))と比して相当なプレミアムが付されていることに加えて、かかるプレミアムの水準は公開買付予告期間の株式市況全体の株価上昇率(2022年12月21日から本公開買付けの開始についての公表日の前営業日である2024年6月19日までの東証株価指数(TOPIX)の上昇率は44.12%)を踏まえても一定のプレミアムが付されていると考えられる。
したがって、上記アも踏まえると、本公開買付価格は妥当であると判断した。
(5) 剰余金配当との関係
なお、当社は、2022年12月21日以後、2023年3月31日(2023年3月期末)、2023年9月30日(2024年3月期第2四半期末)及び2024年3月31日(2024年3月期末)を基準日とする剰余金の配当を実施していないところ、当該事情は、上記結論に影響を与えないものと判断した。
すなわち、公開買付者によれば、当社株式の1株当たりの株式価値の算定にあたって、市場株価法、類似会社比較法及びDCF法を用いているが、当該算定においては、2023年3月31日(2023年3月期末)、2023年9月30日(2024年3月期第2四半期末)及び2024年3月31日(2024年3月期末)を基準日とする剰余金の配当も行われないことを前提としているとのことであるところ、みずほ証券によれば、本公開買付価格が上記の前提の下で決定されている場合において、仮に配当が実施された場合、当社の総資産のうち、株主への配当相当分が減少することに伴い当社株式の1株当たりの株式価値が減少するとのことであるから、当社が2022年12月21日以後、2023年3月31日(2023年3月期末)、2023年9月30日(2024年3月期第2四半期末)及び2024年3月31日(2024年3月期末)を基準日とする剰余金の配当を行った場合、公開買付者において、当該配当金額分、公開買付価格の引下げを行うことについて合理性が認められることとなる。
したがって、これらの剰余金の配当が実施されなかったことは、本公開買付価格が妥当であるとする本特別委員会の判断に影響を与えないものと判断した。
(6) 当社株式の市場株価と本公開買付価格との関係
2024年6月12日以降、本公開買付けの開始についての公表日の前営業日である2024年6月19日時点までに当社の市場株価は本公開買付価格である1株720円を上回って推移している。
もっとも、中国における競争法上の届出の承認がなされたのが2024年6月11日であることを踏まえると、当該市場株価の推移の理由としては、主に本公開買付けの開始に伴う市場参加者の期待心理に基づく、当社の一部株主による売買の結果として上昇したものと考えることが妥当であり、当社の全ての少数株主の期待を表しているものではないと考えることが合理的である。
また、足許の市場株価で売却(株式の現金化)できるのは当社の一部の株主に限定されることから、当社の全ての株主に本公開買付価格で当社株式を現金化する機会を提供することができる公開買付者の提案は、引き続き当社の株主の利益に資するものと考えられる。
(7) 小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引の取引条件は妥当であると判断するに至った。
3. 本取引の手続の公正性
(1) 本特別委員会の開催等
本特別委員会は、「a. 本特別委員会が行った検討等」の「1. 特別委員会の開催等」及び「関係者からの説明聴取等」に記載のとおり、本公開買付けの開始予告の公表後の期間においても、詳細な審議及び検討を行った。
(2) 2024年6月当社株式価値算定書
当社は、「a. 本特別委員会が行った検討等」の「3. 株式価値算定書の取得」に記載のとおり、本公開買付けに関する意見を決定するにあたり、当社から独立した第三者算定機関であるみずほ証券に対して、改めて当社の株式価値の算定を依頼し、2024年6月当社株式価値算定書を取得した。
(3) 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
公開買付者及び当社は、2022年12月21日以後においても当社が対抗的買収提案者と接触を禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げられていない。
また、公開買付者は、公開買付期間について、法令に定められた最短期間の20営業日に設定しているところ、本公開買付けはいわゆる事前公表型公開買付けであり、本公開買付価格を含む一連の取引条件は2022年12月21日付で公表されており、2024年6月20日付答申書作成時点で、当該公表から既に約1年6ヶ月が経過していることを踏まえると、当社の株主の本公開買付けに対する応募についての適切な判断機会及び公開買付者以外の者による対抗的な買付け等を行う機会は既に確保されており、公開買付者以外にも当社株式の買付け等を行う機会が実質的に確保されていると考えられる。
(4) その他の事項
上記(1)及び(3)の他、当社は、2022年12月21日以後、2022年12月20日付答申書「c. 意見の理由の概要及び検討内容について」の「3. 本取引の手続の公正性」の(1)乃至(9)に記載の事項に変更すべき事情はないことを確認した。
(5) 小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引に係る手続は公正であると判断するに至った。
4. 本取引(本公開買付けに係る意見表明の内容を含む。)が少数株主に不利益でないことについて
上記1.乃至3.を踏まえて、慎重に検討及び協議した結果、特に、本公開買付けの開始予告時点では想定されていなかった中国競争法対応の長期化(公開買付者及び当社の本公開買付けの開始予告の公表資料等においては2023年6月に本公開買付けを開始することを目指している旨の記載がなされていたことからも、ここまでの長期化が想定されていなかったことは明らかである。)と、当該影響により長期化した公開買付予告期間における東証株価指数(TOPIX)の大幅な上昇に加えて、当社の市場株価が本公開買付けの開始についての公表日の前営業日時点において本公開買付価格を上回って推移していることを考慮すると、本特別委員会として少数株主の立場に立ち、本取引の取引条件が妥当であるか否かについて検討を要する確認事項が多く存在した。そのため、「a. 本特別委員会が行った検討等」に記載のとおり、本特別委員会は、フィナンシャル・アドバイザーであるみずほ証券及びリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から必要な助言を受けながら、公開買付者及び当社からの説明聴取を含め、追加的かつ専門的な検討を行った。その結果、当社にとって本取引を実施するメリットが増していることや、本公開買付価格が本公開買付けの開始予告時点において、公開買付者との度重なる交渉を経て決定されたものであること等も踏まえ、2022年12月21日以後、2022年12月20日付答申書「c. 意見の理由の概要及び検討内容について」の「4. 当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明を含む。)を決定することが少数株主に不利益か否かについて」に記載の事項に変更すべき事情はないことが確認できたことから、当社取締役会が本取引の実施を決定することは当社の少数株主にとって不利益ではないと判断するに至った。
すなわち、当社の取締役会が、(i)本公開買付けに関して、賛同の意見を表明するとともに、当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨する旨を決定すること、(ii)本公開買付け後に本スクイーズアウト手続を実施することを決定することは、当社の少数株主にとって不利益ではないと判断するに至った。
(iii) 2024年7月26日付答申書の取得
その後、本特別委員会は、当社が、公開買付者より、本買付条件等変更を行う旨の意向を示されたことを受けて、2024年7月26日に本特別委員会を開催しました。本特別委員会は、本買付条件等変更の内容を確認の上、慎重に検討をした結果、2024年7月26日、当社取締役会に対して、委員全員の一致で、本買付条件等変更を前提としても、本取引が当社の企業価値向上に資するものであるとの考えに変更はなく、本買付条件等変更後の本公開買付価格は当社の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは合理的な当社株式の売却の機会を提供するものである旨の2024年7月26日付答申書を提出しております。
④ 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するために、公開買付者グループ及び当社グループのいずれからも独立したリーガル・アドバイザーとして、TMI総合法律事務所を選任し、本公開買付けに関する当社取締役会の意思決定の過程、方法その他の本公開買付けに関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。
なお、TMI総合法律事務所は、公開買付者グループ及び当社グループのいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、TMI総合法律事務所に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
⑤ 当社における利害関係を有しない取締役の承認
当社取締役会は、TMI総合法律事務所から受けた法的助言及び2022年12月当社株式価値算定書の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された2022年12月20日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引に関して、当社の企業価値向上、本取引に関する諸条件の妥当性等の観点から慎重に協議及び検討を行いました。
その結果、上記「1.株式併合の目的」に記載のとおり、当社は、本公開買付けを含む本取引は当社グループの企業価値の向上に資するとともに、本公開買付価格は妥当性を有し、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2022年12月21日開催の取締役会において、同日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社株主の皆様に対し公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
また、当社の2022年12月21日開催の取締役会においては、本公開買付けが開始される際に、本特別委員会に対して、2022年12月20日付答申書の意見に変更がないか否か検討し、当社取締役会に対し、従前の意見に変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる意見を踏まえて、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しておりました。
当社は、公開買付者より、国内外の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことを受けて、国内外の競争法に基づき必要な手続及び対応を終えることを含む本公開買付前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2024年6月21日より開始することを予定している旨の連絡を2024年6月12日に受けました。これを受け、当社は、本特別委員会から提出された2022年12月20日付答申書及び2024年6月20日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、当社の業況や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2024年6月20日においても、2022年12月21日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断いたしました。
以上より、当社は、2024年6月20日開催の当社取締役会において、改めて、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。
上記の2022年12月21日付及び2024年6月20日付の各取締役会においては、当社の取締役9名のうち、山田宏也氏、今井雅文氏、百野修氏及び堂岡芳隆氏を除く取締役5名が審議及び決議に出席し、出席した取締役の全員の一致により決議されております。なお、利益相反の疑いを回避し、本取引の公正性を担保する観点から、当社の取締役のうち、公開買付者の常務執行役員を兼任している百野修氏並びに公開買付者の出身者である山田宏也氏、今井雅文氏及び堂岡芳隆氏は、当社取締役会における本取引の検討に関する議題の審議には一切参加しておらず、当社の立場において本取引の検討、本取引に係る公開買付者との協議・交渉にも一切参加しておりません(なお、当社の取締役である前山博氏も公開買付者の出身者ではございますが、公開買付者に在籍していたのが7年以上前である事情に鑑みて、本取引の公正性に影響を与えないと判断されたことから、本取引の検討に関する議題の審議に参加しております。)。
その後、当社は、公開買付者より、本買付条件等変更の意向を受けて、本買付条件等変更を前提としても、本取引が当社の企業価値向上に資するものであるとの考えに変更はなく、本買付条件等変更後の本公開買付価格は当社の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2024年7月26日開催の当社取締役会において、引き続き、2022年12月21日及び2024年6月20日において既に公表している意見、すなわち、本公開買付けに賛同する意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見を維持することを決議いたしました。
2024年7月26日開催の当社取締役会は、当社の取締役9名のうち、山田宏也氏、久甫望氏、百野修氏及び堂岡芳隆氏を除く取締役5名が審議及び決議に出席し、出席した取締役の全員の一致により決議されております。なお、利益相反の疑いを回避し、本取引の公正性を担保する観点から、当社の取締役のうち、公開買付者の常務執行役員を兼任している百野修氏並びに公開買付者の出身者である山田宏也氏、久甫望氏及び堂岡芳隆氏は、当社取締役会における本取引の検討に関する議題の審議には一切参加しておらず、当社の立場において本取引の検討、本取引に係る公開買付者との協議・交渉にも一切参加しておりません(当社の取締役である今井雅文氏も公開買付者の出身者であり、2022年12月21日付及び2024年6月20日付の各取締役会を含む本取引に係る公開買付者との協議・交渉には参加しておりませんでしたが、公開買付者に在籍していたのは3年以上前であり、本取引の公正性に特段影響を与えないと判断されることから、2024年7月26日付の当社取締役会の審議及び決議に出席しております。)。
⑥ 他の買付者からの買付機会を確保するための措置
公開買付者は、当社との間で、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っていないとのことです。
また、公開買付者は、公開買付期間について、法令に定められた最短期間である20営業日としているとのことです。もっとも、本公開買付けはいわゆる事前公表型公開買付けであり、本公開買付価格を含む一連の取引条件は2022年12月21日付で公表されており、2024年6月20日時点で、当該公表から既に1年6ヶ月が経過していることを踏まえると、当社の株主の皆様の本公開買付けに対する応募についての適切な判断機会及び公開買付者以外の者による対抗的な買付け等を行う機会は既に確保されており、もって本公開買付価格の適正性も担保されていると考えているとのことです。なお、公開買付者は、2024年6月21日から本公開買付けを開始しておりますが、2024年7月19日、本公開買付けにおける買付け等の期間を2024年8月2日まで延長し、合計30営業日とすることを決定したとのことです。また、公開買付者は、2024年7月26日、本公開買付けにおける買付け等の期間を2024年8月19日まで延長し、合計40営業日とすることを決定したとのことです。
4.株式併合が効力を生ずる日
2024年11月11日(予定)
以 上