有価証券報告書-第82期(2025/01/01-2025/12/31)

【提出】
2026/03/26 15:30
【資料】
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【項目】
178項目
② 戦略
イ リスク・機会の特定
当社グループの事業に影響を及ぼす気候関連リスク・機会の特定にあたり、事業における移行リスク/機会、物理的リスク/機会を抽出し、それらの財務への影響を大~軽微の3段階で評価いたしました。影響度が中以上となったリスク及び機会は以下のとおりであります。
リスク/
機会
領域要因事業影響財務への
影響度
移行
リスク
規制炭素価格導入、GHG排出規制強化炭素価格上昇による原材料価格・上流コスト上昇分の転嫁によるコスト増加
自社ビル、工場などの操業における炭素価格上昇によるコスト増加
規制省エネ法規制の強化再エネ調達コストの増加
設備更新・投資などの対応コストの増加
市場化石資源の価格の変化エネルギー価格・原材料価格上昇による鋼材価格の上昇
物流コストの変化燃料価格上昇による輸送・保管コストの増加中~大
輸送サービスの脱炭素化に伴う価格上昇による物流コストの増加
技術代替品の出現新たな低炭素製品が出現し自社製品の需要が減少
移行・
機会
市場ZEB建築・ネットゼロカーボン建築需要の高まり事業機会の拡大・省力化工法/製品・木造関連製品の販売機会の拡大
規制GHG排出規制の強化脱炭素・低炭素製品の需要の増加
炭素価格導入海洋関連製品の販売機会の拡大
物理的
リスク
慢性気温上昇生産工程における作業効率低下及び対策コストの増加中~大
急性極端気象の増加自社拠点の被災による操業停止、設備の修復コストの増加による収益減少
サプライチェーンの分断
物理的・
機会
慢性国土強靭化政策の強化災害激甚化に備えた設備・インフラの強靭化需要増加/土木工事(法面補強)の需要増加
気温上昇省力化に寄与する工法/製品の販売機会の拡大
急性降雨パターンの変化土木工事(法面補強)の需要拡大
極端気象の増加土砂災害の防止に使用される製品等の販売の増加
災害危険エリアからの移転海抜の低い地域からの移転需要の発生

(注)影響度 大;1億円以上,中;1,000万円以上1億円未満,軽微(小);1,000万円未満
ロ シナリオ分析のテーマ設定
抽出・整理した気候関連リスク及び機会について、事業への影響度、事業戦略との関連性、ステークホルダーの関心度等を勘案し、当社グループとして重要度が高いと評価した次のテーマについてシナリオ分析を実施いたしました。
リスク/機会分析テーマ
移行リスク自社に係る炭素価格の変化による影響
物理的リスク気候変動に伴う気象災害の増加が事業拠点に与える影響について、優先的に調査すべき拠点のスクリーニング
機会気候変動に伴う災害対策工事の増加が事業拠点に与える影響

ハ シナリオ分析結果
a.移行リスク: 自社に係る炭素価格の変化による影響
分析内容炭素価格の変化による将来的な操業コストへの影響を予測するため、当社グループのGHG排出量(Scope1、Scope2)の将来の変化について2℃未満のシナリオを含む複数シナリオで予測し、シナリオ別に想定される炭素価格が導入された場合の財務影響を分析いたしました※。
※OCM Manufacturing LLC社、Water Gremlin Company社、Water Gremlin Aquila Company社、PT. Okabe Hardware Indonesia社を除く
分析の
前提条件
分析にあたり2030年、2050年における当社グループの活動量(GHG排出量、再生可能エネルギー調達量)は事業計画をもとに設定いたしました。GHG排出量1トン当たりに対して、先進国において2030年では18,340円、2050年では32,750円、ネットゼロ宣言(CO2などの温室効果ガスの排出量を将来的にゼロとする宣言)をしている新興市場・途上国において2030年では11,790円、2050年では26,200円の炭素価格が課されると仮定し、その影響を試算いたしました。また、当社グループの事業戦略の強靭性を評価するため、GHG排出量・使用エネルギーの削減に取り組まなかった場合に対して、再生可能エネルギーの調達による削減に取り組むことでどれだけ財務影響を抑えることが可能かについても検証いたしました。
なお、炭素価格や電力の排出係数はIEAによるWorld Energy Outlook 2022(Net Zero Emissions by 2050 Scenario、Stated Policies Scenario)を参考にしました。
分析において参照した外部情報:
0102010_009.png※IEA:International Energy Agency
WEO: World Energy Outlook
NZE: Net Zero Emissions by 2050 Scenario
STEPS: Stated Policies Scenario
分析結果炭素価格が導入された場合の、操業コストへの財務影響を試算いたしました。
2030年時点では、当社グループのGHG排出量が削減されなかった場合、2.6℃シナリオに比べて、1.5℃シナリオの方が財務的な影響額が約1,200万円低いことが判明いたしました。また、再生可能エネルギーの活用等を通したGHG排出量の削減に取り組むことによって、約1,200万円抑えることができるため、その影響の程度は限定的となると考えられます。
2050年時点では、当社グループのGHG排出量が削減されなかった場合、2.6℃シナリオに比べて、1.5℃シナリオの方が財務的な影響額が約3,300万円大きいことが判明いたしました。
0102010_010.png

※1.5℃シナリオにおいては、2050年時点で当社事業拠点の地域で調達する電力の排出係数が0(以下)になると想定し、再生可能エネルギー導入によるGHG排出量削減効果は得られないと想定している。
対応戦略当社グループは、GHG排出量に関する目標を「2030年までにGHG排出量(Scope1+2マーケット基準)を指標とし、2022年比で50%削減する」と定め、再生可能エネルギーの導入促進等の排出削減策を積極的に進めております。1.5℃シナリオにおいて、再生可能エネルギーの導入に係るコストは導入によって削減されるGHG排出量に係る炭素価格よりも小さくなると想定しており、2030年において計画通り再生可能エネルギーが導入された場合は、導入しなかった場合に比べて財務的影響が小さくなると考えられます。

b.物理的リスク:気候変動に伴う気象災害の増加が事業拠点に与える影響について、優先的に調査すべき拠点のスクリーニング
分析内容気候変動に伴う気象災害の増加が当社グループの事業に与える影響を予測するため、当社グループの国内外10拠点(国内:7拠点、海外:3拠点)について、影響の可能性を評価し、物理的リスクの影響について優先的に調査すべき拠点のスクリーニングを行いました。
分析の
前提条件
分析では、公開資料や外部専門家からの提供資料等に基づき、RCP2.6(又はSSP1-2.6)及びRCP8.5(又はSSP5-8.5)の気候変動シナリオ下における、河川氾濫、高潮による浸水ハザード、及び渇水ハザード、熱波ハザードについて、現在から21世紀半ばまでのグレードの変化を評価いたしました。
分析結果国内拠点では、洪水リスクについては、リスクに留意すべき(グレードB以上)と評価された拠点が現在で4拠点あり、うち1拠点がハザード大(グレードA)と評価され、21世紀半ばまでの気候変動による変化は見られませんでした。高潮リスク・渇水リスクについては、リスクに留意すべき(グレードB以上)と評価された拠点はありませんでした。熱波リスクについては、SSP5-8.5下の21世紀半ばにおいて1拠点がグレードBと評価され、他の拠点についてもSSP5-8.5下でリスク増加の傾向が見られました。
海外拠点では、洪水リスクについては、リスクに留意すべき(グレードB以上)と評価された拠点はなく、気候変動による将来変化は見られませんでした。高潮リスクについては、全拠点が高潮による浸水ハザードは極めて低いと考えられる(グレードE)と評価され、気候変動による将来変化は見られませんでした。渇水リスクについては、2015年時点で3拠点中1拠点がリスクに留意すべき(グレードB以上)と評価されましたが、ハザード大(グレードA)と評価された拠点はございませんでした。熱波リスクについては、リスクに留意すべき(グレードB以上)と評価された拠点はございませんでしたが、全拠点に気候変動によるリスク増加の傾向が見られました。
[物理的リスク評価結果(対象:国内外10拠点)]
グレードB以上:リスクに留意する必要があり、より詳細なリスク評価の実施が望まれる
0102010_011.png
0102010_012.png
対応戦略今回のシナリオ分析において浸水リスクに留意すべきと評価された当社グループの拠点については、リスク評価の実施を検討し、その結果に応じて浸水対策やBCPの策定を進めてまいります。

c.機会: 気候変動に伴う災害対策工事の増加が事業活動に与える影響
分析内容気候変動に伴う災害対策工事の増加が当社グループの事業活動に与える影響を予測するため、2℃のシナリオにおける土砂災害の増加の予測をもとに、将来の土砂災害防止工事の増加による製品需要の変化を分析いたしました。
分析の
前提条件
分析においては、まず初めに、日本全国の土砂災害リスクグレード(段階評価)※1を基に、表層崩壊※2の発生リスクが高いエリアを抽出いたしました。
次に、表層崩壊の主な誘因である降雨を対象に、現在気候、2℃シナリオにおける降雨指標(豪雨度※3 )の変化を分析いたしました。この分析には、「地球温暖化に資するアンサンブル気候予測データベース(d4PDF)※4」を用いました。これにより算出された気候変動シナリオ下での土砂災害発生頻度の地域別の予測を用いて、現在気候下での将来の土砂災害防止工事は一定と仮定した上で、2℃シナリオにおける土砂災害防止工事の増加に伴うフリーフレーム、ロックボルトの出荷量の変化を分析いたしました。
※1 東京海上ディーアール㈱
https://www.tokio-dr.jp/news/2023/20230601/pdf/pdf-20230601-01.pdf
※2 表層崩壊とは、厚さ0.5~2.0m程度の表層土が滑落する比較的規模の小さな崩壊を指します。表層崩壊に対しては、ロックボルト、フリーフレームによる緊急対策工事が有効になります。
※3 林拙郎・山田孝 (2017).土砂災害を発生させた豪雨のファクターとスケールの設定法.自然災害科学J. JSNDS 36-3 307-320
※4 地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベース
https://www.miroc-gcm.jp/d4PDF/about.html
分析結果●フリーフレームの出荷量の変化
2℃シナリオにおいて、2050年時点では2022年と比較してフリーフレームの出荷量が国内全体で15.4%増加することが予測されました。
●ロックボルトの出荷量の変化
2℃シナリオにおいて、2050年時点では2022年と比較してロックボルトの出荷量が国内全体で15.1%増加することが予測されました。
[物理的機会評価結果(2022年と比較した地域別の増加率)]
0102010_013.png
対応戦略当社の災害対策工事関連製品の売上増加の機会と捉え、売上の推移を注視しながら、製品供給体制の拡充を適宜図ってまいります。

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