臨時報告書

【提出】
2022/01/11 16:10
【資料】
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提出理由

当社は、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第179条第1項に規定する特別支配株主であるブラザー工業株式会社(以下「ブラザー工業」といいます。)から、同法第179条の3第1項の規定による株式売渡請求(以下「本株式売渡請求」といいます。)の通知を受け、2022年1月11日開催の当社取締役会において、本株式売渡請求を承認することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の2に基づき、本報告書を提出するものであります。

特別支配株主から株式等売渡請求の通知がされた場合又は当該株式等売渡請求を承認するか否かが決定された場合

1.本株式売渡請求の通知に関する事項
(1)当該通知がされた年月日
2022年1月11日
(2)当該特別支配株主の商号、本店の所在地及び代表者の氏名
商号ブラザー工業株式会社
本店の所在地愛知県名古屋市瑞穂区苗代町15番1号
代表者の氏名代表取締役社長 佐々木 一郎

(3)当該通知の内容
ブラザー工業は、2022年1月11日開催の同社取締役会において、当社の特別支配株主として、当社の株主の全員(但し、当社及びブラザー工業を除きます。以下「本売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社株式の全部(以下「本売渡株式」といいます。)をブラザー工業に売り渡すことを請求することを決議し、当社は、同日、ブラザー工業から以下の内容の通知を受領いたしました。
① 特別支配株主完全子法人に対して株式等売渡請求をしないこととするときは、その旨及び当該特別支配株主完全子法人の名称(会社法第179条の2第1項第1号)
該当事項はありません。
② 本株式売渡請求により本売渡株主に対して本売渡株式の対価として交付する金銭の額及びその割当てに関する事項(会社法第179条の2第1項第2号・第3号)
ブラザー工業は、本売渡株主に対し、本売渡株式の対価(以下「本株式売渡対価」といいます。)として、その所有する本売渡株式1株につき1,500円の金銭を割当交付いたします。
③ 新株予約権売渡請求に関する事項(会社法第179条の2第1項第4号)
該当事項はありません。
④ 特別支配株主が本売渡株式を取得する日(会社法第179条の2第1項第5号)
2022年2月16日(以下「取得日」といいます。)
⑤ 本株式売渡対価の支払のための資金を確保する方法(会社法施行規則第33条の5第1項第1号)
ブラザー工業は、本株式売渡対価の支払を、ブラザー工業が保有する現預金によって行う予定です。ブラザー工業は、ブラザー工業が2021年11月9日から2021年12月21日までを公開買付期間として実施した当社株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)に係る公開買付届出書の添付書類として、2021年11月5日時点のブラザー工業の預金残高に係る同月8日付預金残高証明書を提出しており、また、同月5日以降、本株式売渡対価の支払に影響を及ぼす事象は発生しておらず、今後発生する可能性も現在認識しておりません。
⑥ その他の取引条件(会社法施行規則第33条の5第1項第2号)
本株式売渡対価は、取得日以降合理的な期間内に、取得日の前日の最終の当社の株主名簿に記載又は記録された本売渡株主の住所又は本売渡株主が当社に通知した場所において、当社による配当財産の交付の方法に準じて交付されるものとします。但し、当該方法による交付ができなかった場合には、当社の本店所在地にて当社が指定した方法により(本株式売渡対価の交付についてブラザー工業が指定したその他の場所及び方法があるときは、当該場所及び方法により)、本売渡株主に対する本株式売渡対価を支払うものとします。
2.本株式売渡請求を承認する旨の決定に関する事項
(1)当該通知がされた年月日
2022年1月11日
(2)当該決定がされた年月日
2022年1月11日
(3)当該決定の内容
ブラザー工業からの通知のとおり、同社による本株式売渡請求を承認いたします。
(4)当該決定の理由及び当該決定に至った過程
ブラザー工業が本公開買付けに関して提出した2021年11月9日付意見表明報告書(以下「本意見表明報告書」といいます。)の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本株式売渡請求は、本公開買付けの結果、ブラザー工業が当社の総株主の議決権の90%以上を所有するに至ったことから、当社の株式の全て(但し、ブラザー工業が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社をブラザー工業の完全子会社とすることを目的とする取引(以下「本取引」といいます。)の一環として行われるものであり、本株式売渡対価は、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)と同一の価格に設定されております。
当社は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)本公開買付けに関する意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、以下のとおり判断し、2021年11月8日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。なお、当該取締役会決議は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑦ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。
(ⅰ)ブラザー工業からの提案及び検討体制の構築の経緯
当社は、2021年8月4日、ブラザー工業から本取引の実施に向けた検討・協議を開始したい旨の提案を受けたことを契機として、同年8月30日に、本取引に関して、ブラザー工業及び当社から独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関としてSMBC日興証券株式会社(以下「SMBC日興証券」といいます。)を、ブラザー工業及び当社から独立した法務アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業及び弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所(以下、総称して「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」といいます。)をそれぞれ選任し、同年8月30日にブラザー工業からの提案を本格的に検討する旨の返答をいたしました。そして、当社は、当社がブラザー工業の連結子会社であり、本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当することに鑑み、これらの問題に対応し、本取引の公正性を担保するため、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の助言を踏まえ、直ちに、ブラザー工業から独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制の構築を開始いたしました。
具体的には、当社は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、2021年8月下旬から当社の独立社外取締役及び外部有識者から構成される特別委員会の設置に向けた準備を進めました。その上で、同年8月30日開催の取締役会における決議により、高橋源樹氏(当社独立社外取締役)、永田達也氏(当社独立社外取締役)、高橋明人氏(弁護士、高橋・片山法律事務所)及び長谷川臣介氏(公認会計士・税理士、長谷川公認会計士事務所)の4名から構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容等については、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置」をご参照ください。)を設置し、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的は正当性・合理性を有するか(本取引が当社の企業価値向上に資するかを含む。)、(ⅱ)本取引の条件(本公開買付価格を含む。)の公正性・妥当性が確保されているか、(ⅲ)本取引において、公正な手続を通じた当社の株主の利益への十分な配慮がなされているか、(ⅳ)上記(ⅰ)乃至(ⅲ)のほか、本取引は少数株主にとって不利益でないと考えられるか、(ⅴ)当社取締役会が本公開買付けに賛同し、当社の株主に応募を推奨する旨の意見表明を行うことの是非(以下、これらを総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問いたしました。また、当社取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、本特別委員会を当社取締役会から独立した合議体として位置付け、本取引に関する意思決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、特に本特別委員会が本取引に関する取引条件を妥当でないと判断したときには、当社取締役会は当該取引条件による本取引に賛同しないものとすること、本特別委員会に対して、本取引に係る公開買付けにおける買付け等の価格その他の取引条件等についてブラザー工業と交渉を行う権限を付与すること、並びに本諮問事項の検討にあたって、本特別委員会は、当社の株式価値評価その他本特別委員会が必要と判断する事項を第三者機関等に委託することができるものとし、その場合の当該委託に係る合理的な費用は当社が負担すること等を決議しております(当該取締役会における決議の方法については、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑦ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。)。なお、本特別委員会は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、上記の権限に基づき、2021年9月9日、独自の財務アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス」といいます。)を選任しております。
また、当社は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、本特別委員会において、当社の財務アドバイザー及び第三者算定機関であるSMBC日興証券並びに当社の法務アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所について、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任の承認を受けております。
さらに、当社は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における独立した検討体制の構築」に記載のとおり、ブラザー工業から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築するとともに、かかる検討体制に独立性及び公正性の観点から問題がないことについて本特別委員会の承認を受けております。
(ⅱ)検討・交渉の経緯
当社は、2021年8月4日、ブラザー工業から本取引に関する協議を開始したい旨の意向を受けたことを契機として、同年8月30日に、本取引に関して、ブラザー工業及び当社から独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関としてSMBC日興証券を、ブラザー工業及び当社から独立した法務アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所をそれぞれ選任し、同年8月30日にブラザー工業からの提案を本格的に検討する旨の返答をいたしました。その後、当社は、SMBC日興証券から当社株式の価値算定結果に関する報告、ブラザー工業との交渉方針に関する助言を受けるとともに、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から本取引における手続の公正性を確保するための対応等についての法的助言を受け、これらを踏まえ、本取引の是非及び取引条件の妥当性について慎重に検討を行ってまいりました。
具体的には、ブラザー工業は、直前の当社株式の市場株価水準に対するプレミアムとして、他社事例に比して十分とは言えないものの、当社株式の市場株価の動向、本公開買付けに対する応募の見通し、デュー・ディリジェンスの実施状況及び野村證券株式会社(以下「野村證券」といいます。)による当社株式の初期的な評価分析内容を総合的に考慮し、2021年10月1日に本公開買付価格を1,250円とする最初の提案を行いましたが、同月6日、当社は、本公開買付価格に対して、妥当な価格に達していないとして提案内容の再検討を要請いたしました。その後、ブラザー工業は、当社から提案内容の再検討を要請されたことを踏まえ、同月8日に本公開買付価格を1,350円としたい旨の提案を行いましたが、同月12日、当社は、少数株主に対して応募推奨を決議できる水準には達しないと判断し、提案内容の再検討を改めて要請いたしました。ブラザー工業は、同月15日に本公開買付価格を1,400円としたいとの提案を行いましたが、同月19日、当社は、少数株主の利益を確保し十分な賛同を得ることで本取引実行の安定性を高めるため、提案内容の再提案を要請いたしました。ブラザー工業は、同月25日に、改めて検討の上、本取引実行の安定性の観点を考慮しても、本公開買付価格は1,400円とするのが妥当であると考え、本公開買付価格は前回の提案に引き続き1,400円としたいとの提案を行いましたが、同月26日、当社は、少数株主の利益を確保し十分な賛同を得ることで本取引実行の安定性を高める必要があると考えているため、現在の価格では応募推奨を決議できないとして、同月19日の要望を再度示し、再提案を要請いたしました。ブラザー工業は、改めて当社株式の市場株価の動向、本公開買付けに対する応募の見通し、デュー・ディリジェンスの実施状況及び野村證券による当社株式の初期的な評価分析内容を総合的に考慮し、直前の当社株式市場株価水準に対するプレミアムとしても他社事例に比して十分であると判断し、同月29日に本公開買付価格を1,450円としたいとの提案を行いましたが、同日、当社は、同様の理由から、少数株主に対し応募推奨をすることができないとして、再提案を要請しました。ブラザー工業は、上記経緯を踏まえ、同年11月1日に本公開買付価格を1,500円とする旨の最終提案を行うに至りました。当社は、同月2日、本公開買付価格を1,500円とすることにつき、ステークホルダーに対し、応募推奨を決議する上で一定程度説明可能な水準であると回答をしたものの、本取引実行の安定性を更に高めるため、改めて価格の引き上げを要請いたしました。その後、ブラザー工業は、同月3日、価格の引き上げも含め検討しましたが、本公開買付価格を1,500円とすることで本取引実行の安定性は十分に高めることができていると判断し、加えて、ブラザー工業の経済的合理性も勘案の上、本公開買付価格は、最終提案で提示した1,500円としたいとの提案を行いました。その結果、当社は、同月4日、本公開買付価格を1,500円とすることに同意する旨の回答を行いました。
以上の検討・交渉過程において、本特別委員会は、適宜、当社や当社のアドバイザーから報告を受け、確認及び意見の申述等を行っております。具体的には、当社が作成した2022年3月期から2028年3月期までの事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性について本特別委員会の確認を受け、その承認を受けております。また、当社の財務アドバイザーは、ブラザー工業との交渉にあたっては、本特別委員会において審議の上決定した交渉方針に従って対応を行っており、また、ブラザー工業から本公開買付価格についての提案を受領した際には、その都度、直ちに本特別委員会に対して報告を行い、その指示に従って対応を行っております。
そして、当社は、2021年11月5日、本特別委員会から、現時点において、当社取締役会が本公開買付けに賛同し、当社の株主に応募を推奨する旨の意見表明に係る決議を行うことは相当(すなわち「是」)であり、当社の少数株主にとって不利益なものではないと考える旨の答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けております(本答申書の概要については、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置」をご参照ください。)。なお、当社は、本答申書と併せて、本特別委員会から、2021年11月5日付で本特別委員会がプルータスから提出を受けた当社株式の価値算定結果に関する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(プルータス)」といいます。)の提出も受けております。本株式価値算定書(プルータス)の概要については、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(3)算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。)。
(ⅲ)当社の意思決定の内容
以上の経緯のもとで、当社は、2021年11月8日開催の当社取締役会において、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から受けた法的助言、SMBC日興証券から受けた助言及び11月5日付で提出を受けた当社株式の価値算定結果に関する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(SMBC日興証券)」といいます。)、並びに本特別委員会を通じて提出を受けた本株式価値算定書(プルータス)の内容を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に検討・協議を行いました。
その結果、当社は、以下のとおり、本取引は当社の企業価値の向上に資するとの結論に至りました。
本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、当社グループが属する業界においては、国内市場の成長が鈍化する反面、中国をはじめとする新興国における産業機械需要の拡大に伴うマーケットの急激な伸長や、中国をはじめとする新興国のメーカーの台頭によるコスト競争の進行、技術の汎用化等、当社グループの経営環境は今後も厳しい状況が継続するものと予想され、Vision2025に掲げた2025年度の数値目標である売上高500億円、営業利益率10%以上、海外売上高比率50%の達成は困難であると判断しており、当社グループの事業及び経営基盤の抜本的な強化が必要となっております。そのための積極的な投資は、中長期的にはメリットが見込まれ、当社の企業価値向上に資すると考えられるものの、短期的には初期費用・投資が先行し、当社の財務状況や業績に影響を与える可能性があるため資本市場から十分な評価が得られない可能性があります。したがって、当社は、当社の一般株主の皆様の利益を図りつつ積極的な投資を実行することについては限界が存在するため、ブラザー工業が本取引の実行により当社をブラザー工業の完全子会社とし、親子上場に係る潜在的な利益相反を排除しつつ、柔軟かつ迅速な意思決定体制を構築することで、急激な環境変化に対応した当社事業及び経営基盤の抜本的な強化を図るために積極的な投資等を実行することが、当社の企業価値向上にとって最善な手法であると2021年11月8日に判断いたしました。
当社が本取引によって実現可能と考える具体的なシナジーは、以下のとおりです。
① グローバルネットワークを活用した海外展開(販売・生産)の更なる強化
ブラザー工業の完全子会社になることは、ブラザー工業と当社の少数株主の間の利益相反や独立性確保のための制約を回避することで、当社において、ブラザー工業の販売・生産拠点をより一層有効に活用することを可能にします。これにより、海外市場における売上拡大をより迅速に行うことができると考えております。
② 新製品開発及び新加工技術・加工機においてのシナジー創出
ブラザー工業のマシナリー事業においては、既に部品の取引関係がありますが、本取引後においてはブラザー工業の完全子会社になることで、ブラザー工業と当社の少数株主の間の利益相反や独立性確保のための制約を回避し、新製品開発及び新加工技術・加工機においてのシナジーを創出することができると考えております。まず、製品の開発構想段階より、ブラザー工業と当社の少数株主の間の利益相反や独立性確保のための制約を回避しつつ、ブラザー工業の新製品開発に協同で取り組むことが可能になります。このことにより、当社の製品及び部品採用の機会が増加することとなり、更なる取引関係の強化を図ることができると考えております。
また、当社は、ブラザー工業の加工機を当社の生産設備として投入することによって、実際の生産工程における効果の測定が可能となることから、これにより新加工技術・加工機に係る開発に関する知見を得ることができると考えており、当該知見に基づいて得られた新加工技術を基に、ブラザー工業及び当社の加工機を開発することにより、ブラザー工業及び当社において、新たなシナジー効果の創出を得ることができると考えております。それとともに、ブラザー工業が保有する開発力(ハードウェア、ソフトウェア)を活用することにより、当社の新製品開発力及び市場投入までのスピードアップに資するものと考えております。
③ 人事交流の活性化による人材育成の強化
当社は、今後の事業成長において海外市場での売上拡大は喫緊の課題であると考えておりますが、その課題に対して海外で事業を展開できる人材の育成が遅れていると考えております。また、上場会社として独立した事業運営を行っている状況において、当社の独立性の維持及び確保の観点から、当社の事業運営をブラザー工業の役職員へ全面的に依存することはできないことから、ブラザー工業との人事交流は主に役員、部長クラスに留めておりました。当社は、完全子会社化により、役員、部長クラスにとどまらず、広範囲な人事交流を実現させるとともに、これまで積極的に海外展開を行い、グローバルに事業展開を行ってきたブラザー工業と当社との間で人事交流を強化することは、当社グループの人材の多様性を促進し、人材育成の強化を可能にすると考えております。
④ 経営資源の最適化及び収益性の強化
当社は、これからの事業環境において、サステナビリティ(SDGs(Sustainable Development Goalsの略称で持続可能な開発目標)など)に代表される外部環境の変化に対応していくことも、大きな課題としてとらえております。当社は、それらの外部環境への対応面においても、ブラザー工業の完全子会社になることにより、ブラザー工業グループが有するサステナビリティへの取り組みに係る環境負荷低減等のノウハウの自由な提供が促進されることにつながると考えております。また、同時に、ブラザー工業グループにおけるSDGsの取り組みを担当する部署等の経営資源を活用することで、それらの課題に対し、当社が単独で取り組んだ場合に比べて、迅速かつ十分な対応が可能になると考えております。そのような活用を通じて、当社の経営資源の最適化を図り、より事業遂行に専念できる環境が整い、更なる収益性の強化を可能にすると考えております。
⑤ 上場維持コスト及び管理部門の業務負担軽減
当社において、上場維持するための体制や業務負担は、近年の新市場区分における上場維持基準への適合対応及び改訂されたコーポレートガバナンス・コードなどに対応するために、年々増大しております。ブラザー工業の完全子会社となり、非公開化することによって、これらのコスト及び業務を軽減できると考えております。
⑥ 親子上場に係る潜在的な利益相反リスクの排除
本取引後においてはブラザー工業の完全子会社になることで、ブラザー工業と当社の少数株主の間の利益相反や独立性確保のための制約を回避することができ、潜在的なリスクの排除ができると考えております。この親子上場関係が解消されることで、当社とブラザー工業とのより一層の連携強化ができると考えております。また、このことは同時に迅速で柔軟な事業運営を可能にするとも考えております。
さらに、当社は、本取引後においては、ブラザー工業の完全子会社になることで、ブラザー工業グループと少数株主の間の利益相反や独立性確保のための制約を回避しつつ、中長期的な成長の観点から必要なブラザー工業グループとの連携及び経営資源の効率的活用を迅速かつ円滑に行いながら、当社を含むブラザー工業グループの中長期的な企業価値向上に資することができると考えております。
また、当社は、以下の点から、本公開買付価格である1株当たり1,500円は当社の一般株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の一般株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
(ⅰ)当該価格が、当社において、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置が十分に講じられた上で、本特別委員会の実質的な関与の下、ブラザー工業との間で十分な交渉を重ねた結果合意された価格であること。
(ⅱ)当該価格が、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(3)算定に関する事項」の「① 当社における独立した財務アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載の本株式価値算定書(SMBC日興証券)におけるSMBC日興証券による当社株式の価値算定結果のうち、市場株価法及び類似上場会社比較法による算定結果を上回っており、また、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による算定結果の範囲内であること。
(ⅲ)当該価格が、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(3)算定に関する事項」の「② 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載の本株式価値算定書(プルータス)におけるプルータスによる当社株式の価値算定結果のうち、市場株価法及び類似会社比較法による算定結果を上回っており、また、DCF法による算定結果の範囲内であること。
(ⅳ)当該価格が、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2021年11月5日の東京証券取引所市場第二部における当社株式の終値1,040円に対して44.23%(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、プレミアム率の計算において同じです。)、2021年11月5日から直近1ヶ月間の終値単純平均値1,049円(小数点以下を四捨五入しております。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して42.99%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値1,054円に対して42.31%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値1,045円に対して43.54%のプレミアムが加算されたものであり、本取引が親会社による上場子会社の完全子会社を目的とした取引であることから、直近約2年間(2019年11月以降)に公表された親会社による上場子会社の完全子会社化を目的とした他の公開買付けの事例におけるプレミアムの水準(公表日前営業日の終値、並びに、直近1ヶ月間、直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値それぞれからのプレミアムの中央値・平均値(約38%程度~43%程度))に照らしても遜色なく、合理的な水準と認められること。
(ⅴ)当該価格は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても、妥当であると認められると判断されていること。
以上より、当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、2021年11月8日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けに応募することを推奨することを決議いたしました。
当該取締役会における決議の方法については、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑦ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
その後、当社は、2021年12月22日、ブラザー工業より、本公開買付けの結果について、当社株式10,134,122株の応募があり、買付予定数の下限(1,801,242株)以上となり、本公開買付けが成立したことから、応募株式の全てを取得することとなった旨の報告を受けました。その結果、2021年12月28日(本公開買付けの決済の開始日)付で、ブラザー工業の所有する当社株式の議決権所有割合(注)は96.72%となり、ブラザー工業は、当社の特別支配株主に該当することとなりました。
(注) 「議決権所有割合」とは、当社が2021年11月12日に提出した第114期第2四半期報告書に記載された2021年9月30日現在の当社の発行済株式総数(29,194,673株)から当社が2021年11月1日に公表した「2022年3月期第2四半期決算短信[日本基準](連結)」に記載された2021年9月30日現在の当社が所有する自己株式数(1,464,487株)を控除した株式数(27,730,184株)に係る議決権の数(277,301個)に占める割合(小数点以下第三位を四捨五入して計算しております。)をいいます。
このような経緯を経て、当社は、ブラザー工業より、2022年1月11日付で、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本取引の一環として、本株式売渡請求をする旨の通知を受けました。そして、当社は、かかる通知を受け、本株式売渡請求を承認するか否かについて、慎重に協議及び検討を行いました。
その結果、当社は、2022年1月11日開催の当社取締役会において、(a)本株式売渡請求は本取引の一環として行われるものであるところ、当社は、上記のとおり、本取引は当社の企業価値の向上に資すると判断しており、当該判断を変更すべき特段の事情が見受けられないこと、(b)本売渡株式1株につき1,500円という本株式売渡対価は、本公開買付価格と同一の価格であること及び本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、本取引の公正性を担保するための措置が講じられていること等から、本売渡株主にとって相当な価格であり、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(c)ブラザー工業は、本株式売渡対価の支払を、ブラザー工業が保有する現預金によって行うことを予定しているところ、本公開買付けに係る公開買付届出書の添付書類として、2021年11月5日時点のブラザー工業の預金残高に係る同月8日付預金残高証明書を提出していること、また、ブラザー工業によれば、同月5日以降、本株式売渡対価の支払に影響を及ぼす事象は発生しておらず、今後発生する可能性も現在認識していないとのことであること等から、ブラザー工業による本株式売渡対価の支払のための資金の準備状況・確保手段は相当であり、本株式売渡対価の交付の見込みがあると考えられること、(d)本株式売渡対価の交付までの期間及び支払方法について不合理な点は認められないことから、本株式売渡請求に係る取引条件は相当であると考えられること、(e)本公開買付けの開始以降2022年1月11日に至るまで当社の企業価値に重大な変更は生じていないこと等を踏まえ、本株式売渡請求は、本売渡株主の利益に配慮したものであり、本株式売渡請求の条件等は適正であると判断し、ブラザー工業からの通知のとおり、本株式売渡請求を承認することを決議いたしました。
以上