訂正内部統制報告書-第157期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/11/12 13:12
【資料】
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財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項

当社代表取締役社長小畑英明及び最高財務責任者植野正は、当社グループ(当社及び連結子会社)の財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して財務報告に係る内部統制を整備及び運用しております。
なお、内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものであります。このため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があります。

評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項

財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である平成27年3月31日を基準日として実施しました。評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しました。
本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価を行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定しております。当該業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行いました。
財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、当社グループについて財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を決定しました。財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的及び質的観点を考慮して決定しており、僅少であると判断した事業拠点を除いた14事業拠点を対象として、全社的な内部統制の評価を実施しました。この評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定しました。
業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、各事業拠点の当連結会計年度の予想売上高(連結会社間取引消去後)の金額が高い拠点から合算していき、当連結会計年度の予想連結売上高の概ね2/3に達している2事業拠点を「重要な事業拠点」としました。選定した重要な事業拠点においては、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目として「売上高」、「売掛金」及び「たな卸資産」に至る業務プロセスを評価の対象としました。さらに、選定した重要な事業拠点にかかわらず、それ以外の事業拠点をも含めた範囲について、重要な虚偽記載の発生可能性が高く、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセスやリスクが大きい取引を行っている業務に係る業務プロセスを財務報告への影響を勘案して重要性の大きい業務プロセスとして評価対象に追加しております。

評価結果に関する事項

下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。したがって、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断しました。

平成28年3月期第2四半期の決算手続きにおいて、一部の仕掛品(前橋製作所の社内製作部品、以下当該仕掛品)につき帳簿残高と実地たな卸残高とに差異が発見されました。このため内部調査委員会を設置し、差異の発生要因や経緯などを精査した結果、当該差異が継続的な要因により累積してきたことが判明し過年度の会計処理等を訂正すべきであると判断いたしました。これに伴い過年度の会計処理等を訂正するとともに平成23年3月期から平成27年3月期までの有価証券報告書及び四半期報告書について訂正報告書を提出しました。
過年度の会計処理等を訂正することとなった要因は、内部統制報告制度導入以前の平成19年3月期に稼働を開始した前橋製作所固有の情報管理システム(以下当該システム)に不具合があったこと及び当該仕掛品の実地棚卸が正しく実施されていなかったことなどの結果、たな卸資産計上金額の一部に誤りがあったことによります。
主な要因となった当該システムにおける不具合の発生に関しては、前橋製作所だけの問題でなくシステムの構築および運用段階において本社部門から前橋製作所への積極的な関与がなされてなかったこと及び関与がなされるような組織的な融合が充分図られていなかったこともその要因となっています。
以上のことから、当社の全社的な内部統制、決算・財務報告プロセスに関連する内部統制及び実地棚卸に係る業務プロセスに関連する内部統制の不備は、当社の財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。
なお、上記の開示すべき重要な不備については、訂正事項の発覚が当事業年度の末日以降であったため、当事業年度の末日までに是正することができませんでした。
当社といたしましては、財務報告に係る内部統制の整備及び運用の重要性を強く認識しており、今回の財務報告に係る内部統制の重要な不備を是正するために、以下のとおり是正措置、再発防止措置を講じ、内部統制の整備・運用を強化し、適切な財務報告の信頼性を確保する方針であります。
(1) 当該システムの是正と継続運用の是非再検討
本調査で判明した差異発生の要因につき、当該システムのプログラムの是正を速やかに実施し再発を防止した上で、全社最適の観点から、機能追加や改良を行って当該システムを継続使用するか、廃止して本社の基幹ITシステムと統合するかを検討します。
(2) 実地棚卸の定期的実施とチェック体制の確立
当該仕掛品について実地棚卸が実施されていなかったことが問題の発見を遅らせた要因であり、今後定期的に実地棚卸を行い、その結果を経理部が確認し適切に決算に反映させる体制を確立させます。そのために「実地棚卸実施要則」に管理責任者を具体的に明記し、経理部による確認義務を盛り込むなど社内規定を改定の上、社内に周知徹底を図ります。
(3) 資産管理の強化
これまでたな卸資産全体の管理が不十分で、保有資産の内容が十分に分析把握されていなかったことが、今回の問題の発見を遅らせた一因となっているため、現物管理の改善とともに、事業部門の業績管理に資産効率に係る指標を取り入れ、資産管理の強化を図ります。
(4) 社員教育の徹底
社員に在庫管理その他資産管理の重要性やそれらと会社決算とのつながりについての理解不足があったことが今回の問題発生とその発見の遅れの一因となっていると考えられるため、全社員を対象に資産管理、会計(特にバランスシート)などに関する教育を徹底します。
(5) 前橋製作所におけるコーポレートスタッフ部門の組織強化
前橋製作所に本社経理部、同情報システム部からの駐在者が置かれていなかったことが当該システムの構築及び運用段階において本社のガバナンスが十分に発揮できなかった一因と考えられるため、両部から新たに駐在者を派遣することなどにより、前橋製作所におけるコーポレートスタッフ部門の体制を充実させ、ガバナンスとスタッフ機能の強化を図ります。
(6) コーポレートスタッフ部門と事業部門との連携強化
コーポレートスタッフ部門と事業部門との連携が不十分であったことが当該システムの不具合を生み、またその解決を長期化させた一因と考えられるため、コーポレートスタッフ部門が従来以上に積極的に事業部門に対する指導、支援を行えるよう社内規定を改めます。
(7) 地区間の組織融合推進と社員の意識改革
本社と前橋製作所間の人的交流をこれまで以上に深めることなどにより組織の融合を図り、全社一丸となって課題に取り組めるよう社員の意識改革を図ります。