有価証券報告書-第75期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/24 9:06
【資料】
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【項目】
141項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「信用を重んじ、確実を旨とする」住友の事業精神のもと、次の企業理念に基づき事業活動を進めていきます。そして、ものづくりに携わる企業として、コンプライアンス、品質、安全を最優先に、顧客に満足いただける製品・サービスの提供を行い、唯一無二の精密な技術で社会課題の解決に貢献することで、全てのステークホルダーの期待に応えることを経営の基本方針としております。
『私たちの企業理念「光かがやくその未来(ゆくて)」』
私たちは、独創的な未来技術で発展し続け、豊かな明日を拓きます。
・法令等を遵守し、高い倫理観に基づき事業活動を行います。
・お客さまの満足とニーズを第一とし、魅力ある存在をめざします。
・時代の風を感じとり、世界に目を向け変化に挑戦します。
・人を大切にし、多様な個性の実現と調和をはかります。
・社会に心をひらき、環境、地域との調和、共存に努めます。
(2) 中長期的な経営戦略
① 当社グループは、2021~2023年度の中期経営計画を策定しました。
「持続可能な社会を支える世界一の『精密』を誰よりも先に創る」というスローガンの下、事業ポートフォリオの再構築を進め、メリハリを効かせて経営資源を投下するとともに、新たな成長事業の創出にも取り組みます。また、ガバナンス・内部統制・コンプライアンスの強化も継続して取り組み、事業を通じて社会課題を解決してまいります。
この基本方針・定性目標の骨格をベースに当社の事業ポートフォリオを再構築し、各事業部・ビジネスに期待する役割を以下の通り、明確化しました。
「積極投資」 :将来のさらなる成長のため、会社資源を積極投資する。
「収益基盤強化」 :収益基盤の強化のため、業務の効率化によって収益性をさらに向上させ、獲得キャッシュの最大化を図る。
「市場・製品開発促進」:成長ポテンシャルのある分野で、持てる技術・技能を高め、中期経営計画以降での積極投資分野への移行を狙う。
「合理化推進」 :大胆な経営方針で合理化を推進する。
当社グループの数値目標として、2021年度売上高446億円、営業損益3.6億円、2022年度売上高520億円、営業損益32億円、2023年度売上高545億円、営業損益47億円を設定しております。
② 事業ポートフォリオ再構築から収益基盤4分野へ
中期計画期間中に当社グループの収益基盤を①航空宇宙分野、②熱マネジメント分野、③精密油圧機器分野、④ICT分野(半導体製造装置・MEMS・センサ事業・オゾン事業)へ再編成し、現在の枠組みでは発揮できていないシナジー効果の獲得を考えております。この収益基盤4分野で、将来の市場要求・潮流を掴み、ポスト5G/DXの推進、および、脱炭素社会の実現に向けて、当社グループの精密技術・ものづくりを追求、発展させ新たな成長事業の創出を行います。
<将来の収益基盤4分野>1.航空宇宙分野
★安全・安心な社会を支える精密加工・製造技術
2.熱マネジメント分野
★地球環境に優しい省エネを支える精密な熱設計・解析技術
3.精密油圧機器分野
★世界のものづくりを支える精密油圧技術
4.ICT分野(半導体製造装置・MEMS・センサ事業・オゾン事業)
★スマート社会の5G、人工知能、ビッグデータ、高機能端末を支えるMEMS製造プロセス、デバイス・高精度センサ設計製造技術
③ 経営基盤の継続強化
当社では、コンプライアンス意識の欠如や業務プロセスの不備等による、防衛装備品に係る不正行為、熱交換器に係る不適切行為、退職給付債務の会計上の見積り誤りといった問題が相次いで発覚いたしました。これらの再発防止を含む、経営基盤の強化を行ってきましたが、これを継続強化していきます。現在、諸改革を推し進め、全てのステークホルダーの皆様の信頼回復に取り組んでおりますが、引き続き中期経営計画でも以下のような施策に取り組みます。
A)組織文化/意識変革
自らの原点に立ち還る
・住友事業精神
・当社企業理念及び行動規範
B)ガバナンス・内部統制・コンプライアンス継続強化
・ガバナンス強化諸施策推進
・三線ディフェンスに基づくリスク管理強化
・コンプライアンス・品質・安全最優先
C)基幹システム刷新
・経営と事業を支える次世代ITシステム基盤の構築
これらの施策により、「法令等を遵守し、高い倫理観に基づき事業活動を行う」、「お客様の満足とニーズを第一とし、魅力ある存在をめざす」といった当社企業理念をさらに根付かせ、ガバナンスの強化や内部統制の充実、社員のコンプライアンス意識の徹底を進めてまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
上記(2)に示す中期経営計画最終年度(2023年度)の収益性目標としてROE 9%、財務規律として連結フリー・キャッシュ・フロー3年累計で黒字、D/Eレシオ 0.8以下を計画します。
(4) 経営環境
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、民間航空機業界は深刻な影響を受けており、当社の航空宇宙事業もマイナス影響が顕在化しています。一方で急速なデジタル化も進んでおり、ICT分野におけるデバイス需要や製造装置への需要は、濃淡はあるものの、データセンターや5G通信関連の市場は堅調と見ています。
また、企業の事業を通じた社会課題の解決に対する要求は、コンプライアンスに対する要求とともに高くなっています。
このような環境の下、当社は事業ポートフォリオの再構築を進め、新たな成長事業の創出にも取り組みます。また、ガバナンス・内部統制・コンプライアンスの強化も継続して取り組み、事業を通じて社会課題を解決してまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
・内部統制及びコンプライアンス問題への取り組み
当社では2019年1月に防衛省への費用過大請求が発覚後、同年12月に実施したコンプライアンス総点検において、高圧ガス保安法適用のプレートフィン型熱交換器の製造・検査工程の一部に不適切な行為があることが発覚し、2020年3月に経済産業省より行政処分を受け、同年7月には欧州圧力機器指令(Pressure Equipment Directive)への適合認証を取消されました。
調査の結果、コンプライアンス意識の欠如、誤った品質意識、法規等に関する知識不足、現場におけるチェック体制の不備等が原因として確認されたため、再発防止策として、コンプライアンスと品質、安全を最優先とする組織風土改革、コンプライアンス・品質・法規等に関する教育の充実等に取り組んでおります。また、現場での作業手順書類の詳細化・簡易化や、作業者自身及び第三者が、作業の適切性をチェックしやすくする現場の見える化にも取り組んでおります。
さらに、2020年5月には過去の退職給付の会計処理に誤謬があることが判明し、過年度の有価証券報告書等を訂正いたしました。これは退職給付会計に使用する退職給付債務を計算する対象を網羅的に特定できていなかったことにより生じたものであり、経理部門の専門知識の強化、退職金制度改定時の社内外関係先との協議手続明確化、年金数理人へ数理計算を依頼する際の業務手順の明確化と承認手続の厳格化などの再発防止策を講じ、決算・財務報告プロセスにかかる内部統制を強化し、財務報告の信頼性確保に取り組んでおります。
当社は、2020年1月24日に公表した防衛省への費用過大請求に関する特別調査委員会の報告書にも提言されているとおり、ガバナンスの強化や内部統制の充実、コンプライアンス意識の徹底、部門間連携の強化といった点が喫緊の課題と認識し、同事案の発覚以来、ガバナンス・内部統制・コンプライアンスに携わる組織や人材の増強、社内ルールの整備、役職員に対する教育・意識向上活動等を通じ、当社の体制・ルール・意識の各面において改革を推し進めております。これらにより、一定の成果が表れつつあり、前述の熱交換器の不適切行為や会計処理の誤謬はこの過程で顕在化したものですが、今後もこれらの取組みを継続し、そのさらなる定着を図ってまいります。
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、航空宇宙事業において民間航空機向け脚部品及び同エンジン用熱交換器等の販売減少による当社フリー・キャッシュ・フローへのマイナス影響が想定されます。これに対し当社は資金の流動性を確保するため、手元資金を例年に比べ手厚くしております。
また、新型コロナウイルス感染拡大防止や感染者発生の影響最小化のため、リモートワーク、時差出勤・通勤手段の見直し、スプリット勤務等により、状況に応じた対応を行っています。
今後、当社業績への直近及び中長期的な影響の見極めとその対策、さらにはこの事態が終息した後の当社事業環境にもたらされる変化に適応していくための準備を行ってまいります。

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