有価証券報告書-第85期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
有報資料
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。
当社グループは、2017年度から2020年度までの4年間を対象とする第5次中期経営計画を策定しています。当該中期経営計画の最終年度となる2020年度の事業を取り巻く外部環境として、ファスニング事業においては、米中貿易摩擦や欧州の通商リスク、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大による不確実性の高まり、暖冬の継続による衣料品の在庫過多とブルーデニムの需要減退、ファッション業界におけるサステナビリティの浸透、そしてIT技術の進展による顧客バリューチェーンの変化を見込んでいます。AP事業においては、日本国内では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による住宅購入に対する消費マインドの低下や建築現場の遅延・中止により、新設住宅着工戸数は通年で前年割れを予測しております。海外では、同感染症拡大の影響により、早期に事態が収束した中国を除き、インド・シンガポールなどで政府による外出禁止令が出るなど、先行きは不透明と予測しております。
このような激しく変化する事業環境ではありますが、メーカーとしてのものづくりと市場や顧客が求める多様な価値を追究し実現するための最重要ポイントを、「商品力と提案力」、それを支える「技術力と製造力」の4つの力、それらを実現する社員の力を高めるための「人材育成」と位置づけ、当社とYKK AP㈱それぞれで掲げた中期事業方針に基づき、中期経営目標である「売上高営業利益率 8.0%以上」、「ROA 5.0%以上」の達成を引き続き目指してまいります。
①ファスニング事業
ファスニング事業では、第5次中期事業方針として「更なる量的成長を目指して~Standard向けの商品&ものづくりへの挑戦~」を掲げています。カジュアル衣料顧客や欧米量販店向けといったボリュームゾーンである「Standardでの競争力強化」を最重要事業課題とし、「より良いものを、より安く、より速く」顧客に提供することを目指しています。また、Standardを最重要カテゴリと位置付ける一方で、「二兎を追わねば一兎をも得ず」という考えのもと、「Value Conscious」、「Standard」、「BOP」の各カテゴリにおいて、「更なる開発体制の強化」、「バリエーション拡充」、「納期対応」、「コスト競争力強化」を軸に、顧客ニーズに応じた商品とものづくりの取組を進めています。
第5次中期経営計画の最終年度となる2020年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により依然として先行き不透明な状況の中、引き続き顧客毎の「更なるOne to One対応」、「Standard向け商品・ものづくりの強化継続」、「継続的な新商品投入」に取り組むとともに、「アパレル顧客とのバリューチェーン連携」、「省人化設備/連続稼働への挑戦」、「更なるコストダウン」を重点課題として取り組んでまいります。
具体的には、「更なるOne to One対応」では、高級ブランド・高機能スポーツブランド等のお客様に対する「商品開発力」の強化を通じた価値提案へ取り組み、アパレル分野では、ビスロン®ファスナーの「軽さ・耐腐食性」に金属ファスナーの「強さ・高級感」を併せ持つ「METALUXE® Tough」の展開や、開具に取り付けたマグネットの磁力により簡単に閉じられるマグネットファスナー等、魅力ある付加価値商品を継続的に開発・展開します。また、アジア地域の伸び行く市場での開発基盤強化のため、パキスタンに商品開発室を開設し、ファスニング事業全体で拠点数及び人員を更に増強してまいります。
「Standard向け商品・ものづくりの強化継続」では、最大ボリュームゾーンでより多くの顧客要望に応えるべく、アルミ材を使用した金属ファスナーの表面処理バリエーション拡充や、検針対応のステンレス材のスナップ「ステンレスSNAPET®」等を投入し、商品バリエーションとコスト競争力向上を追究してまいります。
「継続的な新商品投入」では、ESG(環境 Environment、社会 Social、ガバナンス Governance)に関する社会・顧客の意識の高まりへの対応として、海洋プラスチックごみを主材料としたファスナーである「NATULON® Ocean SourcedTM」をはじめ、環境配慮型商品の企画・展開や2019年度に開発した「AiryString®」等、縫製合理化を通じた新たなガーメントデザインの提案を進めてまいります。
「アパレル顧客とのバリューチェーン連携」では、アパレル業界で進むデザイン企画のデジタル化に対応すべく、ファスナーの3Dデータを顧客へ提供し、サンプル開発スキームの効率化に取り組みます。これにより、デザイン企画のスピードアップや、実物サンプルの介在の省略によるコスト削減が期待でき、プロセス全体を効率化することでサステナビリティへと繋げ、お客様への貢献を図ってまいります。
また、「省人化設備/連続稼働への挑戦」、「更なるコストダウン」に向けて、新規・増産目的の投資を行いつつも、FA(Factory Automation)設備等による合理化目的の投資を中心に進め、市場変化に対応した合理化効果を追求してまいります。
②AP事業
AP事業では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、国内・海外ともに先行きが不透明な事業環境が予測される中、今後の感染症拡大状況を見据えた新たなビジネスモデルの構築を行うとともに、第5次中期事業方針として掲げた「高付加価値化と需要創造によるAP事業の持続的成長」のもと、各事業領域で重点施策に取り組んでまいります。
新たなビジネスモデルの構築として、顧客との直接接点からオンライン(Web)営業ツールによる機会創出に取り組みます。具体的には、有識者の講演を配信する「LIVEフォーラム」や「オンライン新商品展示会」などを活用した集合型イベントへの置き換えや、Webを活用した会議や商品プレゼン等による営業活動に取り組んでまいります。
住宅事業においては、窓の高断熱化に向けた商品力強化では、カラートレンドに対応した「APW 330」内外観ブラック色の追加や「APW 430」防火窓をはじめとする商品アイテムの充実に取り組むとともに、埼玉窓工場の「APW 330」のライン増設による増産対応や、神奈川工場の「防火窓Gシリーズ アルミ樹脂複合NEO」引違窓の完成品供給力強化による、首都圏強化を図ってまいります。また、近年大型化・広域化する台風に備え、充実した耐風シリーズ商品の提案による需要創造と差別化を行い、樹脂窓の更なる強化とトリプルガラス化、及び防災商品による高付加価値化を提案してまいります。
エクステリア事業においては、安心・安全提案では目隠しフェンスの拡充を進めます。2018年に発生した大阪北部地震以降、軽いアルミ製フェンスの需要が拡大しており、防犯効果や、視線を遮り風を通す効果の提案を行います。また、新築時提案では、漏水リスクを低減し、揺れが少なく豊富なデザインを持ち、省施工による建築コスト低減を図ることができる「ルシアスバルコニー」を提案してまいります。
リノベーション事業においては、省エネ・換気・耐震・防災・減災をキーワードに提案を進めます。防災・減災提案による需要創造では、「かんたんマドリモ」耐風シャッターを発売し、防災・減災ニーズに対する後付需要を喚起してまいります。ビル改装では、マンション専有部への対応強化として、省施工、意匠性の向上を図った専用内窓の発売を予定しており、更なる需要を喚起してまいります。
海外においては、北米では、ビル建材の中西部等のエリア営業強化と住宅建材の付加価値商品の提案及び新規顧客への営業強化に取り組むとともに、カーテンウォール事業拡大に向けてエリーAP社とのシナジーの早期創出を行います。中国では、新規販売エリアでのチャネル整備に取り組むとともに、YKK AP中国社の設立に伴う製販一体化による効率化とスピードアップを図ります。台湾では中・南部地域への営業強化と新規分野へのプロモーション強化、インドネシアでは商品力強化による新規顧客開拓、そしてインドでは販売チャネル開拓による受注強化に取り組んでまいります。
③両事業を支える技術力 -工機技術本部-
工機技術本部は、YKKグループの両事業を支える技術開発機能の中核として、2020年度は引き続き中期方針である「基盤となる要素技術の強化と進化」を軸に、『スタンダードへの挑戦~「高機能」「低価格」の追求』を進めると同時に、次期中期を見据えた準備を進めてまいります。
重点取組テーマとして、ファスニング事業におけるStandard向けライン・設備開発、AP事業における樹脂窓・アルミ樹脂複合窓製造ラインの更なる効率化・省人化、技術進化がめざましいロボット活用技術、デジタル化技術、材料開発の推進、さらに、差別化が必要な着色技術を深耕・強化します。また、機械製造における生産管理機能と受注変動対応力を強化することで「リードタイム短縮」と「コストダウン」を進めます。いま、両事業から最も求められているのは「スピード対応」であると認識し、これらの課題に対してスピードを重視して取り組んでまいります。
当社グループは、2017年度から2020年度までの4年間を対象とする第5次中期経営計画を策定しています。当該中期経営計画の最終年度となる2020年度の事業を取り巻く外部環境として、ファスニング事業においては、米中貿易摩擦や欧州の通商リスク、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大による不確実性の高まり、暖冬の継続による衣料品の在庫過多とブルーデニムの需要減退、ファッション業界におけるサステナビリティの浸透、そしてIT技術の進展による顧客バリューチェーンの変化を見込んでいます。AP事業においては、日本国内では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による住宅購入に対する消費マインドの低下や建築現場の遅延・中止により、新設住宅着工戸数は通年で前年割れを予測しております。海外では、同感染症拡大の影響により、早期に事態が収束した中国を除き、インド・シンガポールなどで政府による外出禁止令が出るなど、先行きは不透明と予測しております。
このような激しく変化する事業環境ではありますが、メーカーとしてのものづくりと市場や顧客が求める多様な価値を追究し実現するための最重要ポイントを、「商品力と提案力」、それを支える「技術力と製造力」の4つの力、それらを実現する社員の力を高めるための「人材育成」と位置づけ、当社とYKK AP㈱それぞれで掲げた中期事業方針に基づき、中期経営目標である「売上高営業利益率 8.0%以上」、「ROA 5.0%以上」の達成を引き続き目指してまいります。
①ファスニング事業
ファスニング事業では、第5次中期事業方針として「更なる量的成長を目指して~Standard向けの商品&ものづくりへの挑戦~」を掲げています。カジュアル衣料顧客や欧米量販店向けといったボリュームゾーンである「Standardでの競争力強化」を最重要事業課題とし、「より良いものを、より安く、より速く」顧客に提供することを目指しています。また、Standardを最重要カテゴリと位置付ける一方で、「二兎を追わねば一兎をも得ず」という考えのもと、「Value Conscious」、「Standard」、「BOP」の各カテゴリにおいて、「更なる開発体制の強化」、「バリエーション拡充」、「納期対応」、「コスト競争力強化」を軸に、顧客ニーズに応じた商品とものづくりの取組を進めています。
第5次中期経営計画の最終年度となる2020年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大により依然として先行き不透明な状況の中、引き続き顧客毎の「更なるOne to One対応」、「Standard向け商品・ものづくりの強化継続」、「継続的な新商品投入」に取り組むとともに、「アパレル顧客とのバリューチェーン連携」、「省人化設備/連続稼働への挑戦」、「更なるコストダウン」を重点課題として取り組んでまいります。
具体的には、「更なるOne to One対応」では、高級ブランド・高機能スポーツブランド等のお客様に対する「商品開発力」の強化を通じた価値提案へ取り組み、アパレル分野では、ビスロン®ファスナーの「軽さ・耐腐食性」に金属ファスナーの「強さ・高級感」を併せ持つ「METALUXE® Tough」の展開や、開具に取り付けたマグネットの磁力により簡単に閉じられるマグネットファスナー等、魅力ある付加価値商品を継続的に開発・展開します。また、アジア地域の伸び行く市場での開発基盤強化のため、パキスタンに商品開発室を開設し、ファスニング事業全体で拠点数及び人員を更に増強してまいります。
「Standard向け商品・ものづくりの強化継続」では、最大ボリュームゾーンでより多くの顧客要望に応えるべく、アルミ材を使用した金属ファスナーの表面処理バリエーション拡充や、検針対応のステンレス材のスナップ「ステンレスSNAPET®」等を投入し、商品バリエーションとコスト競争力向上を追究してまいります。
「継続的な新商品投入」では、ESG(環境 Environment、社会 Social、ガバナンス Governance)に関する社会・顧客の意識の高まりへの対応として、海洋プラスチックごみを主材料としたファスナーである「NATULON® Ocean SourcedTM」をはじめ、環境配慮型商品の企画・展開や2019年度に開発した「AiryString®」等、縫製合理化を通じた新たなガーメントデザインの提案を進めてまいります。
「アパレル顧客とのバリューチェーン連携」では、アパレル業界で進むデザイン企画のデジタル化に対応すべく、ファスナーの3Dデータを顧客へ提供し、サンプル開発スキームの効率化に取り組みます。これにより、デザイン企画のスピードアップや、実物サンプルの介在の省略によるコスト削減が期待でき、プロセス全体を効率化することでサステナビリティへと繋げ、お客様への貢献を図ってまいります。
また、「省人化設備/連続稼働への挑戦」、「更なるコストダウン」に向けて、新規・増産目的の投資を行いつつも、FA(Factory Automation)設備等による合理化目的の投資を中心に進め、市場変化に対応した合理化効果を追求してまいります。
②AP事業
AP事業では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、国内・海外ともに先行きが不透明な事業環境が予測される中、今後の感染症拡大状況を見据えた新たなビジネスモデルの構築を行うとともに、第5次中期事業方針として掲げた「高付加価値化と需要創造によるAP事業の持続的成長」のもと、各事業領域で重点施策に取り組んでまいります。
新たなビジネスモデルの構築として、顧客との直接接点からオンライン(Web)営業ツールによる機会創出に取り組みます。具体的には、有識者の講演を配信する「LIVEフォーラム」や「オンライン新商品展示会」などを活用した集合型イベントへの置き換えや、Webを活用した会議や商品プレゼン等による営業活動に取り組んでまいります。
住宅事業においては、窓の高断熱化に向けた商品力強化では、カラートレンドに対応した「APW 330」内外観ブラック色の追加や「APW 430」防火窓をはじめとする商品アイテムの充実に取り組むとともに、埼玉窓工場の「APW 330」のライン増設による増産対応や、神奈川工場の「防火窓Gシリーズ アルミ樹脂複合NEO」引違窓の完成品供給力強化による、首都圏強化を図ってまいります。また、近年大型化・広域化する台風に備え、充実した耐風シリーズ商品の提案による需要創造と差別化を行い、樹脂窓の更なる強化とトリプルガラス化、及び防災商品による高付加価値化を提案してまいります。
エクステリア事業においては、安心・安全提案では目隠しフェンスの拡充を進めます。2018年に発生した大阪北部地震以降、軽いアルミ製フェンスの需要が拡大しており、防犯効果や、視線を遮り風を通す効果の提案を行います。また、新築時提案では、漏水リスクを低減し、揺れが少なく豊富なデザインを持ち、省施工による建築コスト低減を図ることができる「ルシアスバルコニー」を提案してまいります。
リノベーション事業においては、省エネ・換気・耐震・防災・減災をキーワードに提案を進めます。防災・減災提案による需要創造では、「かんたんマドリモ」耐風シャッターを発売し、防災・減災ニーズに対する後付需要を喚起してまいります。ビル改装では、マンション専有部への対応強化として、省施工、意匠性の向上を図った専用内窓の発売を予定しており、更なる需要を喚起してまいります。
海外においては、北米では、ビル建材の中西部等のエリア営業強化と住宅建材の付加価値商品の提案及び新規顧客への営業強化に取り組むとともに、カーテンウォール事業拡大に向けてエリーAP社とのシナジーの早期創出を行います。中国では、新規販売エリアでのチャネル整備に取り組むとともに、YKK AP中国社の設立に伴う製販一体化による効率化とスピードアップを図ります。台湾では中・南部地域への営業強化と新規分野へのプロモーション強化、インドネシアでは商品力強化による新規顧客開拓、そしてインドでは販売チャネル開拓による受注強化に取り組んでまいります。
③両事業を支える技術力 -工機技術本部-
工機技術本部は、YKKグループの両事業を支える技術開発機能の中核として、2020年度は引き続き中期方針である「基盤となる要素技術の強化と進化」を軸に、『スタンダードへの挑戦~「高機能」「低価格」の追求』を進めると同時に、次期中期を見据えた準備を進めてまいります。
重点取組テーマとして、ファスニング事業におけるStandard向けライン・設備開発、AP事業における樹脂窓・アルミ樹脂複合窓製造ラインの更なる効率化・省人化、技術進化がめざましいロボット活用技術、デジタル化技術、材料開発の推進、さらに、差別化が必要な着色技術を深耕・強化します。また、機械製造における生産管理機能と受注変動対応力を強化することで「リードタイム短縮」と「コストダウン」を進めます。いま、両事業から最も求められているのは「スピード対応」であると認識し、これらの課題に対してスピードを重視して取り組んでまいります。