有価証券報告書-第46期(2025/04/01-2026/03/31)
有報資料
(1)リスクマネジメント体制
当社グループは、医療機器の安定供給という社会的責任を果たし、持続的な企業価値向上を実現するため、適切なリスク管理体制の構築を推進しています。その中核を担う組織として、取締役会が任命したチーフ・リスクマネジメント・オフィサー(CRO)を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置し、リスク管理の全社的推進とリスク管理に必要な情報共有を図っています。同委員会は、コンプライアンス、サステナビリティ、情報セキュリティ、投融資の各委員会および各部門との連携のもと、リスクの特定・評価・対応方針の決定や対応状況の確認等を行い、これらを取締役会へ適宜報告しています。
また、重大なリスクが顕在化し全社的対応を要する緊急事態が発生した場合は、社長執行役員を本部長とする対策本部を即座に設置し、損失を最小限に抑える体制を整えています。

(2)リスクマネジメントプロセス
当社グループでは、PDCAサイクルにより、リスクマネジメントプロセスの継続的な見直しを実施しています。各部門において、事業活動に影響を及ぼす可能性のあるリスクを洗い出し、影響度、発生可能性および対応状況等を踏まえて評価したうえで、必要な対策を策定・実行しています。また、これらのリスクへの対応状況については、定期的にモニタリングを行い、対策の有効性を評価するとともに、必要に応じて改善を図ることで、リスクの未然防止、影響の低減およびリスクマネジメント体制の実効性向上に努めています。

(3)リスクの評価
当社グループでは、経営に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、それらについて「経営への影響度」と「発生可能性」の二軸による評価を行い、リスクマップを作成して分析しています。リスクマップ上に設定した「リスク許容限度(曲線)」を超える最優先対策領域に位置するリスクについて、リスクマネジメント委員会で審議のうえ、優先的に対応すべき重要なリスクと選定し、取締役会へ報告しています。2026年3月期における評価の結果、リスク許容限度を超え、優先的に対応すべきと判断した主要なリスクの状況は以下の通りです。

(4)主要なリスク
本項に含まれる将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
① 事業戦略に関するリスク
ⅰ 技術革新および競争環境の変化
経営への影響度:大 / 発生可能性:中
リスク:当社グループが販売する医療機器の中には、その独自性や操作性が評価され、高い市場シェアを有する製品があります。しかしながら、医療機器業界では競合企業による研究開発が活発に行われており、当社製品と競合する医療機器が市場に導入された場合や、革新的な医療機器の上市により治療方法が大きく変化した場合、また、PFA(パルス・フィールド・アブレーション)等の新技術の普及が進んだ場合、当社製品の市場シェアが低下し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。とくに、コア製品であるS-ICD(完全皮下植込み型除細動器)や、コア製品である心腔内除細動カテーテル、Frozen Elephant Trunkおよび大腿静脈用止血デバイスの4品目は、2026年3月期の売上高の約5割を占めており、当該リスクが顕在化した場合、一定の影響があると認識しています。
対応策:当社グループでは、コア製品における競合他社の新規参入に対応するため、製品ラインナップの強化・拡充を図るとともに、医療技術の動向を注視し、新規性の高い製品の迅速な導入・開発を推進することで、当該リスクの低減に努めています。
ⅱ 製品の不具合の発生
経営への影響度:大 / 発生可能性:中
リスク:当社グループが取り扱う医療機器において、製品の不具合に起因する健康被害の発生やその懸念が生じた場合、製品の販売停止や回収 (リコール) 等の措置を講じる可能性があります。また、製品の不具合に起因して健康被害が発生した場合には、損害賠償請求等の訴訟を提起されるリスクがあります。これらの事象が顕在化した場合、当社グループの社会的信用の低下、ならびに経営成績および財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
対応策:当社グループでは、医療機器の有効性や安全性を最優先課題とし、関連する規制や品質管理に関する規格に準拠し、厳格な品質管理体制を構築することで、リスクの低減に努めています。
ⅲ 特定の仕入先に対する依存
経営への影響度:大 / 発生可能性:中
リスク:当社グループは、一部の商品や自社製品の原材料供給を特定の仕入先に依存しています。災害やその他の要因により商品や原材料の供給が滞った場合や、競合企業による仕入先の買収等に伴い取引が終了した場合には、該当製品の販売継続が困難となり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。とくに、2026年3月期において、仕入先上位5社からの調達商品等が連結売上高の約4割を占めており、これら主要仕入先に係るリスクが顕在化した場合、一定の影響が生じる可能性が高いことを認識しています。
対応策:過去に仕入先の買収に伴う販売契約の終了が複数回発生しており、当該リスクを完全に回避することは困難であると認識しています。そのため、当社グループでは、仕入先との契約期間の長期化や支配権変更 (チェンジ・オブ・コントロール) 時の補償条件の設定を進めるとともに、代替仕入先の確保等を通じて、リスクの低減に努めています。
ⅳ 投融資および債権の回収遅延・不能
経営への影響度:中 / 発生可能性:中
リスク:当社グループの資産には、海外スタートアップを中心とする取引先への投資有価証券および貸付金が含まれています。当社グループは、独自の技術を有し特定のメーカー系列に属さない独立性の高い取引先への投融資を通じて協力関係を強化し、製品開発の支援を通じた将来の商品パイプラインの確保を図っています。
しかしながら、これらの投資有価証券および貸付金は、取引先の経営状況の悪化や事業計画の遅れに伴い、投資有価証券評価損や貸倒引当金の計上が必要となるケースがあり、リスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
対応策:当社グループでは過去に取引先への投融資に関連する損失計上が複数回発生しています。将来のパイプライン確保という戦略上の観点から、当該リスクを完全に回避することは困難であると認識しています。そのため、当社グループでは、リスク低減に向け「投融資委員会」を設置し、新規の投融資案件の慎重な審査を行うとともに、既存の投融資案件についても取引先の経営成績、財政状態および事業計画の進捗状況を定期的にモニタリングし、評価および継続の可否を厳格に審議する体制を整備・運用しています。
②経営基盤に関するリスク
ⅰ 労働環境
経営への影響度:中 / 発生可能性:高
リスク:過重労働による労働災害やハラスメントの発生は、従業員の心身の健康を損なうだけでなく、生産性の低下や損害賠償請求、社会的信用の失墜を招き、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
対応策:当社グループでは、過重労働や心身の不調の早期発見と予防に向け、健康診断およびストレスチェックにおいて、全従業員の受診・受検率100%を徹底するとともに、産業医等によるメンタルヘルス対策を実施しています。また、ハラスメントの発生防止に向け、全従業員を対象とした定期的な研修の実施に加え、ハラスメント事案の早期発見と速やかな是正措置を講じる相談窓口を運用しています。
ⅱ 情報セキュリティおよびシステム障害
経営への影響度:中 / 発生可能性:中
リスク:当社グループは、販売物流、生産管理、経理等の広範な業務においてITシステムを活用しています。そのため、サイバー攻撃やシステム障害等による大規模なシステムトラブルが発生し復旧が長期化した場合や、不正アクセス等により個人情報や製品情報等の機密情報が漏洩した場合、事業活動の停滞、社会的信用の低下、損害賠償請求等の訴訟の提起を招き、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
対応策:当社グループでは、情報セキュリティ関連規程の整備や有事のマネジメント体制の構築に加え、サイバー攻撃に対する防御策を強化しています。具体的には、全従業員を対象とした標的型攻撃メール訓練の継続実施や最新セキュリティシステムの導入により全社的な意識向上を図っています。また、患者さまのプライバシーに関わる重要情報等については、2021年12月にプライバシーマークを取得し、適切な保護措置を講じる体制を整備しています。
ⅲ 人材の確保・育成
経営への影響度:中 / 発生可能性:中
リスク:専門性を有する人材の確保が困難となった場合、製品の上市遅延や中長期的な事業成長の鈍化等を招く可能性があります。また、女性管理職をはじめとする多様な人材の確保が停滞した場合、イノベーションの阻害や人材市場における競争力低下を招くおそれがあります。
対応策:当社グループでは、「多様な人材が活躍できる職場づくり」と「企業競争力を高める人材育成」をマテリアリティに掲げ、施策を推進しています。具体的には、自社や環境の変化を踏まえた人事制度の整備・最適化を進め、多様なライフステージにある従業員が十分に能力を発揮し、働きがいと働きやすさを実現できる環境整備に取り組んでいます。また、会社の持続的な成長やグローバル展開を支えるため、マネジメント人材や若手リーダー、グローバル人材の育成・強化に注力しています。
ⅳ 事業継続に係る法的規制および許認可の維持
経営への影響度:大 / 発生可能性:低
リスク:当社グループは、医療機器の製造販売を行うにあたり、医薬品医療機器等法 (薬機法) の規制を受けており、当社は以下のとおり第一種医療機器製造販売業許可を監督官庁より取得しています。現在、当社グループは各規制を遵守し、業許可の基準を満たしていますが、万が一、当該許可が行使できない場合や取消処分等の事態が生じた場合、医療機器の販売継続ができなくなるリスクがあります。また、新たな医療機器の国内販売をするにあたり、仕入先が薬事承認を取得する一部の商品を除き、当社グループが同法の定めに従い、品質、有効性および安全性等に関する審査を受け、監督官庁の承認を取得する必要があります。これらの承認が取得できない場合や、承認取得までの期間が想定を超えて長期化した場合には、販売戦略の変更が余儀なくされ、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
対応策:当社グループでは、薬事・品質保証部門を中心に法令遵守体制の徹底を図るとともに、承認取得プロセスの効率化を図っています。また、監督官庁との適切なコミュニケーションを密に行うことでリスクの低減に努めています。
ⅴ コンプライアンス
経営への影響度:大 / 発生可能性:低
リスク:不適切な会計処理、国内外の公務員等に対する贈収賄、入札談合や販売価格拘束等の独占禁止法違反、およびインサイダー取引等の違法行為が発生した場合、多額の課徴金や刑事罰の科刑、社会的信用の失墜を招き、当社グループの経営成績や事業継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。また、他社の知的財産権侵害に伴う製品の供給停止や損害賠償、内部者による技術情報の漏えいも、経営に甚大な影響を与えるリスクがあると認識しています。
対応策:当社グループでは、職務上の適切な権限分離を進めるとともに、定期的な内部監査の実施や内部通報制度の適切な運用により、不正を誘発しない組織的な抑止力を維持しています。また、継続的な教育研修や法務的審査を通じて、公正な取引慣行の徹底と権利侵害の防止に努めています。
③外部環境に関するリスク
ⅰ 環境規制の強化
経営への影響度:中 / 発生可能性:高
リスク:国内外における脱炭素化の進展に伴い、温室効果ガスの排出規制や炭素税等の新たな公課負担を含めた環境関連の法規制が強化される傾向にあります。特に、クリーンルーム等を擁する製造拠点は電力消費量が多く、エネルギーコストの上昇や法遵守コストの増大が、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
対応策:当社グループは、環境負荷の低減を事業継続上の重要課題と捉え、サステナビリティ推進体制のもとで対策を実行しています。具体的には、自社工場への太陽光発電システムの導入等による二酸化炭素排出量の削減に注力しています。また、将来的な法規制強化を見据え、製造工程における排ガス処理装置の適切な運用・設備更新に加え、滅菌工程における環境配慮型の代替技術の調査・研究を継続的に実施しています。
ⅱ 保険償還価格の改定および医療市場の変化
経営への影響度:大 / 発生可能性:高
リスク:当社グループが販売する医療機器の多くは、特定保険医療材料に指定されており、その価格 (保険償還価格) は政府によって決定されています。医療費抑制策の一環として、保険償還価格は継続的に改定されており、大幅な引下げが行われた場合、当社グループの製品販売価格が下落し、経営成績および財政状態に影響を与えるリスクがあります。2024年6月に実施された改定では、2025年3月期の連結売上高に対して前期比で約2%のマイナス影響がありました。また、少子高齢化に伴う国内市場の構造的縮小や、社会保障財政の悪化に伴う医療保険制度の抜本的な見直しがなされた場合、当社グループの事業モデルや業績に重大な変化をもたらすおそれがあると認識しています。
対応策:当社グループでは医療保険制度や保険償還価格の改定に関する改定動向を常に注視するとともに、改定の影響を受けにくい新規性・独自性の高い製品の導入・開発を推進しています。また、国内の市場構造の変化に対しては、グローバル市場への展開加速、製品ラインナップの拡充、および新たな商材の探索を通じて収益基盤の多様化を進めることで、リスクの低減と中長期的な持続可能性の確保に努めています。
ⅲ 大規模災害および不慮の事故
経営への影響度:大 / 発生可能性:低
リスク:地震、台風、洪水等の自然災害や火災等の不慮の事故により、当社グループまたは取引先の拠点・設備に甚大な被害が発生した場合や、物流インフラの寸断に伴いサプライチェーンの復旧に時間を要する場合、製品の安定供給が困難となり、事業活動が停滞し、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
対応策:当社グループでは、災害防災マニュアルや事業継続基本規程の整備、BCP(事業継続計画)の策定、および社員安否確認システムの導入等の対策を講じています。また、サプライチェーンの寸断リスクに対しては、主要な製品や原材料における仕入先・調達ルートの複線化や適正な在庫水準の維持を進めることで、リスクの低減に努めています。
以下の事項については、現時点で当社グループの経営成績等に与える直接的な影響は一定の範囲内に留まるものと認識しています。しかしながら、将来的な外部環境の不確実性に備え、その動向を継続的に管理・注視しているリスクです。
ⅳ 外国為替相場の変動やインフレーション
リスク:仕入商品および自社製品の部材・原材料については、急激な円安の進行やインフレーションに伴う調達コストの上昇が、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
対応策:現時点において、当社グループの商品仕入高の約70%は円建て取引であり、為替変動の直接的な影響は限定的です。外国通貨建ての一部取引については、一定以上の為替変動が生じた際に価格改定を行う為替条項を契約内に設定する等のリスク低減を図っています。また、一時的なコスト増加が発生した場合でも、売上原価の計算に移動平均法を採用しているため、損益に与える影響は長期にわたって平準化される仕組みとなっています。
ⅴ 医療供給体制のひっ迫
リスク:国内の医療現場において、循環器内科、心臓血管外科、小児循環器科を志望する若手医師が、その業務の厳しさから減少傾向にあり、今後増加が見込まれる診療ニーズとの乖離が懸念されています。国による看護師や臨床工学技士等への業務移管等の対策は進められているものの、医師不足により将来的に症例数の伸び率が鈍化した際、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
対応策:当社グループでは、手技時間の短縮や医療安全の向上、操作の簡素化に寄与する高度医療機器の積極的な開発・上市を推進しています。これにより、医療従事者の負担軽減と、医療現場の効率化を通じた症例数の維持・拡大を図り、リスクの低減に努めています。
当社グループは、医療機器の安定供給という社会的責任を果たし、持続的な企業価値向上を実現するため、適切なリスク管理体制の構築を推進しています。その中核を担う組織として、取締役会が任命したチーフ・リスクマネジメント・オフィサー(CRO)を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置し、リスク管理の全社的推進とリスク管理に必要な情報共有を図っています。同委員会は、コンプライアンス、サステナビリティ、情報セキュリティ、投融資の各委員会および各部門との連携のもと、リスクの特定・評価・対応方針の決定や対応状況の確認等を行い、これらを取締役会へ適宜報告しています。
また、重大なリスクが顕在化し全社的対応を要する緊急事態が発生した場合は、社長執行役員を本部長とする対策本部を即座に設置し、損失を最小限に抑える体制を整えています。

(2)リスクマネジメントプロセス
当社グループでは、PDCAサイクルにより、リスクマネジメントプロセスの継続的な見直しを実施しています。各部門において、事業活動に影響を及ぼす可能性のあるリスクを洗い出し、影響度、発生可能性および対応状況等を踏まえて評価したうえで、必要な対策を策定・実行しています。また、これらのリスクへの対応状況については、定期的にモニタリングを行い、対策の有効性を評価するとともに、必要に応じて改善を図ることで、リスクの未然防止、影響の低減およびリスクマネジメント体制の実効性向上に努めています。

(3)リスクの評価
当社グループでは、経営に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、それらについて「経営への影響度」と「発生可能性」の二軸による評価を行い、リスクマップを作成して分析しています。リスクマップ上に設定した「リスク許容限度(曲線)」を超える最優先対策領域に位置するリスクについて、リスクマネジメント委員会で審議のうえ、優先的に対応すべき重要なリスクと選定し、取締役会へ報告しています。2026年3月期における評価の結果、リスク許容限度を超え、優先的に対応すべきと判断した主要なリスクの状況は以下の通りです。

(4)主要なリスク
本項に含まれる将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
① 事業戦略に関するリスク
ⅰ 技術革新および競争環境の変化
経営への影響度:大 / 発生可能性:中
リスク:当社グループが販売する医療機器の中には、その独自性や操作性が評価され、高い市場シェアを有する製品があります。しかしながら、医療機器業界では競合企業による研究開発が活発に行われており、当社製品と競合する医療機器が市場に導入された場合や、革新的な医療機器の上市により治療方法が大きく変化した場合、また、PFA(パルス・フィールド・アブレーション)等の新技術の普及が進んだ場合、当社製品の市場シェアが低下し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。とくに、コア製品であるS-ICD(完全皮下植込み型除細動器)や、コア製品である心腔内除細動カテーテル、Frozen Elephant Trunkおよび大腿静脈用止血デバイスの4品目は、2026年3月期の売上高の約5割を占めており、当該リスクが顕在化した場合、一定の影響があると認識しています。
対応策:当社グループでは、コア製品における競合他社の新規参入に対応するため、製品ラインナップの強化・拡充を図るとともに、医療技術の動向を注視し、新規性の高い製品の迅速な導入・開発を推進することで、当該リスクの低減に努めています。
ⅱ 製品の不具合の発生
経営への影響度:大 / 発生可能性:中
リスク:当社グループが取り扱う医療機器において、製品の不具合に起因する健康被害の発生やその懸念が生じた場合、製品の販売停止や回収 (リコール) 等の措置を講じる可能性があります。また、製品の不具合に起因して健康被害が発生した場合には、損害賠償請求等の訴訟を提起されるリスクがあります。これらの事象が顕在化した場合、当社グループの社会的信用の低下、ならびに経営成績および財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
対応策:当社グループでは、医療機器の有効性や安全性を最優先課題とし、関連する規制や品質管理に関する規格に準拠し、厳格な品質管理体制を構築することで、リスクの低減に努めています。
ⅲ 特定の仕入先に対する依存
経営への影響度:大 / 発生可能性:中
リスク:当社グループは、一部の商品や自社製品の原材料供給を特定の仕入先に依存しています。災害やその他の要因により商品や原材料の供給が滞った場合や、競合企業による仕入先の買収等に伴い取引が終了した場合には、該当製品の販売継続が困難となり、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。とくに、2026年3月期において、仕入先上位5社からの調達商品等が連結売上高の約4割を占めており、これら主要仕入先に係るリスクが顕在化した場合、一定の影響が生じる可能性が高いことを認識しています。
対応策:過去に仕入先の買収に伴う販売契約の終了が複数回発生しており、当該リスクを完全に回避することは困難であると認識しています。そのため、当社グループでは、仕入先との契約期間の長期化や支配権変更 (チェンジ・オブ・コントロール) 時の補償条件の設定を進めるとともに、代替仕入先の確保等を通じて、リスクの低減に努めています。
ⅳ 投融資および債権の回収遅延・不能
経営への影響度:中 / 発生可能性:中
リスク:当社グループの資産には、海外スタートアップを中心とする取引先への投資有価証券および貸付金が含まれています。当社グループは、独自の技術を有し特定のメーカー系列に属さない独立性の高い取引先への投融資を通じて協力関係を強化し、製品開発の支援を通じた将来の商品パイプラインの確保を図っています。
しかしながら、これらの投資有価証券および貸付金は、取引先の経営状況の悪化や事業計画の遅れに伴い、投資有価証券評価損や貸倒引当金の計上が必要となるケースがあり、リスクが顕在化した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
対応策:当社グループでは過去に取引先への投融資に関連する損失計上が複数回発生しています。将来のパイプライン確保という戦略上の観点から、当該リスクを完全に回避することは困難であると認識しています。そのため、当社グループでは、リスク低減に向け「投融資委員会」を設置し、新規の投融資案件の慎重な審査を行うとともに、既存の投融資案件についても取引先の経営成績、財政状態および事業計画の進捗状況を定期的にモニタリングし、評価および継続の可否を厳格に審議する体制を整備・運用しています。
②経営基盤に関するリスク
ⅰ 労働環境
経営への影響度:中 / 発生可能性:高
リスク:過重労働による労働災害やハラスメントの発生は、従業員の心身の健康を損なうだけでなく、生産性の低下や損害賠償請求、社会的信用の失墜を招き、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
対応策:当社グループでは、過重労働や心身の不調の早期発見と予防に向け、健康診断およびストレスチェックにおいて、全従業員の受診・受検率100%を徹底するとともに、産業医等によるメンタルヘルス対策を実施しています。また、ハラスメントの発生防止に向け、全従業員を対象とした定期的な研修の実施に加え、ハラスメント事案の早期発見と速やかな是正措置を講じる相談窓口を運用しています。
ⅱ 情報セキュリティおよびシステム障害
経営への影響度:中 / 発生可能性:中
リスク:当社グループは、販売物流、生産管理、経理等の広範な業務においてITシステムを活用しています。そのため、サイバー攻撃やシステム障害等による大規模なシステムトラブルが発生し復旧が長期化した場合や、不正アクセス等により個人情報や製品情報等の機密情報が漏洩した場合、事業活動の停滞、社会的信用の低下、損害賠償請求等の訴訟の提起を招き、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
対応策:当社グループでは、情報セキュリティ関連規程の整備や有事のマネジメント体制の構築に加え、サイバー攻撃に対する防御策を強化しています。具体的には、全従業員を対象とした標的型攻撃メール訓練の継続実施や最新セキュリティシステムの導入により全社的な意識向上を図っています。また、患者さまのプライバシーに関わる重要情報等については、2021年12月にプライバシーマークを取得し、適切な保護措置を講じる体制を整備しています。
ⅲ 人材の確保・育成
経営への影響度:中 / 発生可能性:中
リスク:専門性を有する人材の確保が困難となった場合、製品の上市遅延や中長期的な事業成長の鈍化等を招く可能性があります。また、女性管理職をはじめとする多様な人材の確保が停滞した場合、イノベーションの阻害や人材市場における競争力低下を招くおそれがあります。
対応策:当社グループでは、「多様な人材が活躍できる職場づくり」と「企業競争力を高める人材育成」をマテリアリティに掲げ、施策を推進しています。具体的には、自社や環境の変化を踏まえた人事制度の整備・最適化を進め、多様なライフステージにある従業員が十分に能力を発揮し、働きがいと働きやすさを実現できる環境整備に取り組んでいます。また、会社の持続的な成長やグローバル展開を支えるため、マネジメント人材や若手リーダー、グローバル人材の育成・強化に注力しています。
ⅳ 事業継続に係る法的規制および許認可の維持
経営への影響度:大 / 発生可能性:低
リスク:当社グループは、医療機器の製造販売を行うにあたり、医薬品医療機器等法 (薬機法) の規制を受けており、当社は以下のとおり第一種医療機器製造販売業許可を監督官庁より取得しています。現在、当社グループは各規制を遵守し、業許可の基準を満たしていますが、万が一、当該許可が行使できない場合や取消処分等の事態が生じた場合、医療機器の販売継続ができなくなるリスクがあります。また、新たな医療機器の国内販売をするにあたり、仕入先が薬事承認を取得する一部の商品を除き、当社グループが同法の定めに従い、品質、有効性および安全性等に関する審査を受け、監督官庁の承認を取得する必要があります。これらの承認が取得できない場合や、承認取得までの期間が想定を超えて長期化した場合には、販売戦略の変更が余儀なくされ、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
対応策:当社グループでは、薬事・品質保証部門を中心に法令遵守体制の徹底を図るとともに、承認取得プロセスの効率化を図っています。また、監督官庁との適切なコミュニケーションを密に行うことでリスクの低減に努めています。
| 許認可等の名称 | 許認可等の内容 | 有効期限 | 主な許認可取消し事由 |
| 第一種医療機器 製造販売業許可証 | 第一種医療機器製造販売に関する許可 許可番号:13B1X00007 | 2027年6月30日 (5年ごとの更新) | 不正な手段による許可の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は許可の取消し (医薬品医療機器等法第75条) |
ⅴ コンプライアンス
経営への影響度:大 / 発生可能性:低
リスク:不適切な会計処理、国内外の公務員等に対する贈収賄、入札談合や販売価格拘束等の独占禁止法違反、およびインサイダー取引等の違法行為が発生した場合、多額の課徴金や刑事罰の科刑、社会的信用の失墜を招き、当社グループの経営成績や事業継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。また、他社の知的財産権侵害に伴う製品の供給停止や損害賠償、内部者による技術情報の漏えいも、経営に甚大な影響を与えるリスクがあると認識しています。
対応策:当社グループでは、職務上の適切な権限分離を進めるとともに、定期的な内部監査の実施や内部通報制度の適切な運用により、不正を誘発しない組織的な抑止力を維持しています。また、継続的な教育研修や法務的審査を通じて、公正な取引慣行の徹底と権利侵害の防止に努めています。
③外部環境に関するリスク
ⅰ 環境規制の強化
経営への影響度:中 / 発生可能性:高
リスク:国内外における脱炭素化の進展に伴い、温室効果ガスの排出規制や炭素税等の新たな公課負担を含めた環境関連の法規制が強化される傾向にあります。特に、クリーンルーム等を擁する製造拠点は電力消費量が多く、エネルギーコストの上昇や法遵守コストの増大が、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
対応策:当社グループは、環境負荷の低減を事業継続上の重要課題と捉え、サステナビリティ推進体制のもとで対策を実行しています。具体的には、自社工場への太陽光発電システムの導入等による二酸化炭素排出量の削減に注力しています。また、将来的な法規制強化を見据え、製造工程における排ガス処理装置の適切な運用・設備更新に加え、滅菌工程における環境配慮型の代替技術の調査・研究を継続的に実施しています。
ⅱ 保険償還価格の改定および医療市場の変化
経営への影響度:大 / 発生可能性:高
リスク:当社グループが販売する医療機器の多くは、特定保険医療材料に指定されており、その価格 (保険償還価格) は政府によって決定されています。医療費抑制策の一環として、保険償還価格は継続的に改定されており、大幅な引下げが行われた場合、当社グループの製品販売価格が下落し、経営成績および財政状態に影響を与えるリスクがあります。2024年6月に実施された改定では、2025年3月期の連結売上高に対して前期比で約2%のマイナス影響がありました。また、少子高齢化に伴う国内市場の構造的縮小や、社会保障財政の悪化に伴う医療保険制度の抜本的な見直しがなされた場合、当社グループの事業モデルや業績に重大な変化をもたらすおそれがあると認識しています。
対応策:当社グループでは医療保険制度や保険償還価格の改定に関する改定動向を常に注視するとともに、改定の影響を受けにくい新規性・独自性の高い製品の導入・開発を推進しています。また、国内の市場構造の変化に対しては、グローバル市場への展開加速、製品ラインナップの拡充、および新たな商材の探索を通じて収益基盤の多様化を進めることで、リスクの低減と中長期的な持続可能性の確保に努めています。
ⅲ 大規模災害および不慮の事故
経営への影響度:大 / 発生可能性:低
リスク:地震、台風、洪水等の自然災害や火災等の不慮の事故により、当社グループまたは取引先の拠点・設備に甚大な被害が発生した場合や、物流インフラの寸断に伴いサプライチェーンの復旧に時間を要する場合、製品の安定供給が困難となり、事業活動が停滞し、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
対応策:当社グループでは、災害防災マニュアルや事業継続基本規程の整備、BCP(事業継続計画)の策定、および社員安否確認システムの導入等の対策を講じています。また、サプライチェーンの寸断リスクに対しては、主要な製品や原材料における仕入先・調達ルートの複線化や適正な在庫水準の維持を進めることで、リスクの低減に努めています。
以下の事項については、現時点で当社グループの経営成績等に与える直接的な影響は一定の範囲内に留まるものと認識しています。しかしながら、将来的な外部環境の不確実性に備え、その動向を継続的に管理・注視しているリスクです。
ⅳ 外国為替相場の変動やインフレーション
リスク:仕入商品および自社製品の部材・原材料については、急激な円安の進行やインフレーションに伴う調達コストの上昇が、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
対応策:現時点において、当社グループの商品仕入高の約70%は円建て取引であり、為替変動の直接的な影響は限定的です。外国通貨建ての一部取引については、一定以上の為替変動が生じた際に価格改定を行う為替条項を契約内に設定する等のリスク低減を図っています。また、一時的なコスト増加が発生した場合でも、売上原価の計算に移動平均法を採用しているため、損益に与える影響は長期にわたって平準化される仕組みとなっています。
ⅴ 医療供給体制のひっ迫
リスク:国内の医療現場において、循環器内科、心臓血管外科、小児循環器科を志望する若手医師が、その業務の厳しさから減少傾向にあり、今後増加が見込まれる診療ニーズとの乖離が懸念されています。国による看護師や臨床工学技士等への業務移管等の対策は進められているものの、医師不足により将来的に症例数の伸び率が鈍化した際、当社グループの経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
対応策:当社グループでは、手技時間の短縮や医療安全の向上、操作の簡素化に寄与する高度医療機器の積極的な開発・上市を推進しています。これにより、医療従事者の負担軽減と、医療現場の効率化を通じた症例数の維持・拡大を図り、リスクの低減に努めています。