臨時報告書

【提出】
2020/02/17 16:20
【資料】
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提出理由

当社は、令和2年2月17日開催の取締役会において、当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)の併合(以下「本件株式併合」といいます。なお、本件株式併合により当社の株主の数は25名未満となることが見込まれています。)を目的とする臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を令和2年3月7日に招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。

株式の併合を目的とする株主総会の招集の決定

1.本件株式併合の目的
(1)本件完全子会社化(株式併合)を行う目的及び理由
当社は、大正10年4月に、町屋、砂町、落合、代々幡の各斎場を事業所として設立された後、株式会社天親館(現四ツ木斎場)、博善株式会社(現桐ヶ谷斎場)、日進起業株式会社(現堀ノ内斎場)を合併、砂町斎場の閉鎖を経て、東京都内に6ヶ所(町屋、落合、代々幡、四ツ木、桐ヶ谷、堀ノ内)の斎場を有し火葬事業等を展開し、本社に管理本部を置き、各斎場の包括的な管理を行っております。当社は、東京都23区死亡人口の7割強の御火葬を執り行う公共性の高い事業を担う責任を全うするべく、昭和23年5月に制定された墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)(以下「墓地埋葬法」といいます。)の「火葬場の経営の公益性・永続性の確保」を遵守し、継続的で安定した健全経営を目指し、民営火葬場として、公営斎場にはない質の高いサービスを提供することで、御利用者の皆様に常に最適な環境で御利用していただけるよう、設立以来今日に至るまで凡そ1世紀にわたり努めてまいりました。この間、当社は、営利法人である株式会社ではありますが、ただ利益のみを追求するのではなく、斎場火葬場事業に求められる公共性、継続性、安定性を念頭に、これまで堅実な経営を行ってまいりました。
親会社である株式会社廣済堂(以下「廣済堂」といいます。)との関係は、平成6年7月に廣済堂が当社を連結子会社化し、現在に至っております(持株比率約60.9%)。
当社を取り巻く事業環境ですが、現在日本は少子高齢化社会となり、令和22年頃には死亡人口はピークを迎え現在の1.3倍近くに上ると予測されておりますが、核家族化また単独世帯の増加により、葬儀は家族葬が増加し、葬儀市場は簡素化・低廉化の一途を辿っております。死亡人口の増加、葬儀の小規模化・多様化の進展など当社をとりまく環境は大きく変わりつつある中で、このような変化に対応するため、式場や火葬炉等の施設・設備の改修・改善を行いつつ、葬儀文化の継承を図りながらも斎場火葬事業を通じて御利用者が心から望む葬儀の在り方を模索し、時代のニーズや将来の課題にしっかりと対応していく経営体制の整備が必要であると従前から考えておりました。このような状況下、かねてより進めておりました廣済堂との人材交流を通じ、双方の限られた経営資源の有効活用の検討を重ねる中で、令和元年7月下旬に廣済堂から、これまでの資本業務提携の在り方も含めた現状の親子関係の抜本的な改革の検討について打診がありました。そこで当社は、現行の資本業務提携関係の見直しを検討する上で、法的及び財務的見地からの外部助言を求める観点から、当社及び廣済堂と利害関係のない外部アドバイザーとして、長島・大野・常松法律事務所を法務アドバイザーに、株式会社KPMG FAS(以下「KPMG」といいます。)を財務アドバイザーに起用しました。
その後、当社は、令和元年10月上旬に廣済堂から、当社による本件株式併合を用いた廣済堂による当社の完全子会社化(以下「本件完全子会社化」といい、本件株式併合の効力発生日を「本件完全子会社化完了日」といいます。)に関する提案(以下「本件提案」といいます。)を受けました。本件提案は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)や支配株主による従属会社の買収に直接該当するものではないものの、本件完全子会社化という事象から支配株主との取引等に該当すると考えられることから、当社の少数株主その他の様々なステークホルダーの利益を適切に考慮していく必要があるとの判断に基づき、当社は下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、特別委員会を設置した上で、廣済堂からの本件提案を慎重に検討してまいりました。具体的には、当社と廣済堂の二者間で、又は外部アドバイザー若しくは特別委員会のメンバーを交えて、当社を取り巻く事業環境、経営課題、ガバナンス、事業構造等を勘案した本件提案に関する協議を重ねてまいりました。
その結果、(ⅰ)当社が行う斎場火葬事業の公共性、継続性、安定性、宗教的奉仕の精神を担保する仕組みを維持しつつ、(ⅱ)事業環境に急激な変化が生じていくことが予見される中で、当社と廣済堂が一体としてグループとしての知恵を結集して当該変化に対して迅速に対応しながら斎場火葬事業以外の新たな事業創造の考案・実施に積極的に取り組むことが、当社の企業価値の向上に資するとの判断に至りました。そこで、当社は、上記(ⅰ)及び(ⅱ)を同時に充足するべく、本件完全子会社化の手続を進める前提として、廣済堂との間で、本件完全子会社化及び本件完全子会社化を実行する前提条件その他の重要事項を規定した協定書(以下「本協定書」といいます。詳細については、下記「(2)本協定書及び本合意書の内容」の「① 当社及び廣済堂の間の本協定書の締結」の「a.本協定書の概要」をご参照ください。)を締結し、また、廣済堂と創業期から今日に至るまで、代々に亘り当社の発展に深く関与してきた当社の現少数株主2名(本件完全子会社化後においては旧少数株主)(以下、総称して「当社少数株主(合意書当事者)」といいます。)と廣済堂との間で、廣済堂が本件完全子会社化完了後の当社の事業運営の核心となる部分についてこれを当社少数株主(合意書当事者)の承諾なく変更しないことに合意する旨及び当社少数株主(合意書当事者)が本臨時株主総会の各議案について賛成の議決権を行使する旨を含む合意書(以下「本合意書」といいます。詳細については、下記「(2)本協定書及び本合意書の内容」の「② 廣済堂と当社少数株主(合意書当事者)との本合意書の締結」をご参照ください。)を締結していただきました。
なお、下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「② 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、当社は本件完全子会社化に関する事項を諮問する機関として特別委員会を組成し、特別委員会から、本件完全子会社化は、①当社の企業価値の維持又は向上に資するものでないと判断すべき特段の事情は認められず、また、②当社の少数株主にとって不利益なものでないと認められる旨の令和2年1月30日付け答申書(以下「本答申書」といいます。)を取得しております。
本件株式併合により、廣済堂以外の株主の皆様の保有する株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
(2)本協定書及び本合意書の内容
① 当社及び廣済堂の間の本協定書の締結
a.本協定書の概要
当社が、本件完全子会社化完了日以降においても、墓地埋葬法第1条に定める目的(すなわち、当社における火葬場の管理及び埋葬等が国民の宗教的感情に適合しかつ公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われること)、及び、当社の定款第2条に定める目的(すなわち、公共的使命と宗教的奉仕の精神をもって斎場火葬事業を営むこと)を引き続き実現していくことを目的として、廣済堂及び当社の間で本協定書を締結しました。
本協定書の内容は大要以下のとおりです。
・当社が、本件完全子会社化を実施するために、本件株式併合及びこれに関連する議案を臨時株主総会に上程すること
・本件完全子会社化の完了を前提に、当社の事業の特殊性を理解する第三者(廣済堂以外の一般株主等を含みますが、これに限られません。)をその構成員とする「東京博善の将来を考える会(仮称)」(以下「考える会」といいます。)を組成すること(詳細については、下記「b.考える会の組成」をご参照ください。)
・廣済堂が、当社の企業価値が収益性だけでなく、事業の公益性、継続性、安定性も考慮して向上させていくべきものであることを認識し、その企業価値を高めるために、当社における経営の自主性、独立性を最大限に尊重し、確保しつつ、当社に対して最大限協力すること
・廣済堂及び当社が、当社の企業価値の向上が、当社を含む廣済堂の連結ベースでの企業価値向上に資する内容である必要があることを理解し、廣済堂の連結ベースでの企業価値向上に向けて最大限の協力を行うこと
・廣済堂が令和2年5月に公表を予定している廣済堂グループの第4次中期経営計画において、当社が営む斎場火葬事業を含むエンディング事業を廣済堂グループのコアビジネスの一つとすること
・廣済堂及び当社は、本件完全子会社化完了日以降、協力して、当社における斎場火葬事業以外の新たな事業創造に積極的に取り組むこと
・当社が行う斎場火葬事業の公共性、継続性、安定性を維持する上で必要であると当社が考える設備投資計画(以下「本設備投資計画」といいます。)のうち、本件完全子会社化完了日から10年以内に予定されている設備投資については、原則としてこれを実行すること
・本設備投資計画のうち、本件完全子会社化完了日から10年が経過した日以降に予定されている設備投資については、投資の必要性及び合理性を廣済堂の投資委員会で検討し、必要に応じて考える会に諮問した上でその諮問結果を最大限尊重すること
・本件完全子会社化実行の前提として、下記「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤ マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)の達成を考慮した条件設定等」に記載された内容を設定すること
・廣済堂が、当社からの借入金の全額を令和2年3月31日までに返済すること
・当社がその斎場火葬事業を安定的・継続的に運営するために必要な運転資金額及び設備投資の準備金の合計額に相当する金額を現預金又は直ちに現預金に変換可能な資産として保持すること
・廣済堂が、当社(廣済堂が当社に派遣した取締役を含みます。以下同じです。)をして、当社の本件完全子会社化以前から継続的に行われてきた通常の事業運営方法を尊重し、当社の斎場火葬事業を運営させること(ただし、社会の状況の変化により、当社が行う斎場火葬事業の事業形態又は本件完全子会社化完了日以前から継続的に行われてきた通常の事業運営方法を継続することが当社の企業価値の維持又は向上に資さないと合理的に判断される場合は、廣済堂は、自ら又は当社の取締役をして、あらかじめ考える会に対して諮問し、当該諮問結果を最大限尊重し、事業形態又は事業運営方法を変更することができる。)
・廣済堂が、本件完全子会社化完了日以降、自ら又は当社の取締役をして、本件完全子会社化完了日時点において当社の従業員に適用されていた労働条件と実質的に同等以上の労働条件で当社の従業員の雇用を継続し又は継続させること
・廣済堂は、本件完全子会社化完了日以降10年間、当社の株式を第三者に譲渡、承継その他の処分をしてはならないこと。また、上記禁止期間経過後、廣済堂が、当社の株式を第三者に譲渡、承継その他の処分(担保提供を除きます。)を行う場合、廣済堂は、(ⅰ)廣済堂の本協定書上の地位を当該第三者に対して承継させるか、又は、(ⅱ)当該第三者と当社との間で本協定書第1.1条に掲げる目的に沿った本協定書と同等の内容の合意をさせるよう最大限努力すること
b.考える会の組成
本協定書に基づき、当社は、考える会を、当社から独立した外部団体又は当社の内部組織として組成する予定です。なお、考える会の構成員は廣済堂から独立した者又は当社の事業に精通している者5名以上7名以内とし、少なくとも1名は本協定書締結日の当社の株主から選定することとされています。また、その任期は1年であり、当社の取締役会が、当社の事業の公益性、継続性、安定性を維持するために適切かつ必要と考えられる候補者を指名することとされています。なお、考える会の当初の構成員は5名又は6名を予定しており、3名(中山斉栄氏(宗教法人赤羽山法善寺代表役員)、福田充氏(日本葬送文化学会会長)及び八木澤壯一氏(東京電機大学名誉教授、元一般社団法人火葬研会長))から考える会の構成員への就任についてご了解をいただいております。
考える会は、本件完全子会社化完了日以降、当社の重要事項についての諮問機関として運営されます。具体的には、廣済堂が以下に定める事項を行う場合には、自ら又は当社の取締役をして、あらかじめ考える会に対して書面により諮問し、当該諮問結果を最大限尊重して、経営及び業務執行を行わせることとされています。また、廣済堂は、当社の取締役をして、少なくとも年に1回以上、考える会に対して、当社の経営状況や業務執行の状況について報告を行わせることとされています。
(ⅰ)当社が行う斎場火葬事業の事業形態又は本件完全子会社化完了日以前から継続的に行われてきた通常の事業運営方法の変更
(ⅱ)当社の定款の変更
(ⅲ)本設備投資計画に記載された設備投資の不実行
(ⅳ)本協定書の規定に反する事項
(ⅴ)廣済堂及び当社が考える会へ諮問することに合意した事項
② 廣済堂と当社少数株主(合意書当事者)との本合意書の締結
当社が、本件完全子会社化完了日以降においても、墓地埋葬法第1条に定める目的(すなわち、当社における火葬場の管理及び埋葬等が国民の宗教的感情に適合しかつ公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われること)、及び、当社の定款第2条に定める目的(すなわち、公共的使命と宗教的奉仕の精神をもって斎場火葬事業を営むこと)を引き続き実現していくことを目的として、廣済堂と当社少数株主(合意書当事者)との間で本合意書が締結されました。
本合意書の内容は大要以下のとおりです。
・当社少数株主(合意書当事者)は、本件完全子会社化に関する当社の本臨時株主総会の各議案について賛成の議決権を行使することに同意すること
・廣済堂は、本件完全子会社化完了日以降、当社少数株主(合意書当事者)全員による事前の書面による承諾を得ない限り、自ら又は当社の取締役をして、以下の各号に定める事項を行ってはならず、また行わせてはならないこと
(a)当社の既存斎場の売却その他の処分及び操業の停止並びに廃止
(b)(ⅰ)当社の斎場火葬事業を安定的・継続的に運営するために必要な運転資金額及び設備投資の準備金の合計額に相当する金額を現預金又は直ちに現預金に変換可能な資産として維持できないこととなるような資金の拠出、並びに(ⅱ)当社からの資金の支払いを目的とした第三者からの借入れその他の資金調達
(c)考える会の解散
(d)本協定書の内容の変更、本協定書の解除その他の事由による本協定書の終了
・廣済堂が、本件完全子会社化完了日以降10年間、当社の株式を第三者に譲渡、承継その他の処分をしないこと。また、上記禁止期間経過後、廣済堂が、当社の株式を第三者に譲渡、承継その他の処分(担保提供を除きます。)を行う場合、廣済堂は、(ⅰ)廣済堂の本合意書上の地位を当該第三者に対して承継させるか、又は、(ⅱ)当該第三者と当社少数株主(合意書当事者)との間で本合意書第1条に掲げる目的に沿った本合意書と同等の内容の合意をさせるよう最大限努力すること。
・当社少数株主(合意書当事者)が、上記要承諾事項に関する検討を行うために考える会から情報提供を受けることが可能であること
なお、本合意書上、当社少数株主(合意書当事者)としての地位又は権利義務は、譲渡又は相続の対象とならず、当該地位又は権利義務は、当社少数株主(合意書当事者)が権利能力を失った時点で消滅する旨が規定されています。
2.本件株式併合の割合
当社株式について、1,233,464株を1株に併合いたします。
3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法
本件株式併合により、廣済堂以外の株主の皆様の所有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
本件株式併合の結果生じる1株未満の端数については、その合計数(その合計数に1株に満たない端数がある場合にあっては、当該端数は切り捨てられます。)に相当する数の株式を売却し、その売却により得られた代金を、端数が生じた株主の皆様に対して、その端数に応じて交付します。当該売却について、当社は、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第235条第2項の準用する会社法第234条第2項及び第4項の規定に基づき、裁判所の許可を得た上で当社が買い取ることを予定しています。
この場合の買取価格は、上記裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、本件株式併合の効力発生日の前日である令和2年3月30日の最終の当社の株主名簿に記載又は記録された株主の皆様が所有する当社株式の数に1,600円を乗じた金額に相当する金銭が、各株主の皆様に交付されることとなるような価格に設定する予定です(なお、1,600円を基準とする場合、各株主の皆様に交付される金額の総額は、約126億円になる見込みであり、当社は、その資金を全額、自己資金で賄う予定です。)。ただし、裁判所の許可が得られない場合や計算上の端数調整が必要な場合等においては、実際に交付される金額が上記金額と異なる場合もあります。
(2)当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額は、上記「(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」に記載のとおりです。端数処理における売却価額につきましては、下記「(3)公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のKPMGによる当社株式の株式価値の算定結果のレンジ範囲内であること、下記「(3)公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の本件完全子会社化の公正性を担保するための措置が採られており、少数株主の利益への配慮がなされた上で決定された価格であること等を踏まえると、妥当性を有するものと考えております。
以上のことから、当社は、端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額については、相当であると判断しております。
(3)公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
本件株式併合により端数処理(上記「(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」をご参照ください。以下同じです。)が行われることになりますが、その際に少数株主に交付することが見込まれる金銭が不公正な価格となり少数株主の利益を害さないよう、当社は、端数株式の売却価額に対する意思決定の過程における公正性を担保するため、当社及び本件株式併合の効力が生じた後に残存する株主である廣済堂から独立した第三者算定機関であるKPMGに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、令和2年1月22日付けで、KPMGから当該算定結果に対する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)を取得いたしました。なお、KPMGは、当社及び廣済堂の関連当事者には該当せず、端数株式の売却価額に関して重要な利害関係を有しておりません。
本株式価値算定書によると、当社は継続企業であるとの前提のもと、当社株式が上場しておらず市場株価がないことから、DCF法を採用し、以下のとおり、当社株式の1株当たり株式価値を算定しております。
DCF法 1株当たり 1,533円~1,674円(代表値:1,595円)
DCF法は、当社が継続企業であるとの前提のもと将来の事業活動の状況に基づく本源的価値評価を反映する手法であります。令和元年9月末日を評価基準日として、当社の令和3年3月期~令和22年3月期の20か年事業計画及び設備投資計画を用いて、当社が令和元年10月1日以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引くことで当社の株式価値が算定されております。
当社と比較的類似する事業を手掛ける上場会社の市場株価や収益等を示す財務指標との比較を通じて株式価値を算定する株価倍率法を採用することも考えられますが、本株式価値算定書によると、当社が営む斎場火葬事業を実施している株式会社が限定的であり、かつ上場会社では存在しないなどの理由により、株価倍率法を採用しておりません。また、企業の静的価値を示すという観点から時価純資産法という手法により株式価値を算定することも考えられますが、本株式価値算定書によると、当社が今後も事業を継続する企業であることが前提であり斎場の建替えによる大規模設備投資や業績変動が見込まれ、一時点の財務状況のみでは当社の株式価値を正確に測定できないことなどの理由により、時価純資産法を採用しておりません。
なお、第三者算定機関であるKPMGは、当社の株式価値の算定に際して、当社から提供を受けた情報、一般に公開された情報等を使用し、それらの資料、情報等が全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、KPMGによる当社の株式価値の算定は、本株式価値算定書提出日現在までの情報及び経済条件を反映したものであり、また、当社の事業計画については、当社の経営陣により当該事業計画の提出日時点で得られる最善の予測及び判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。
② 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得
当社は、令和元年10月23日、当社取締役会において本件完全子会社化の是非及び内容を審議及び決議するに先立って、本件完全子会社化における当社の意思決定の恣意性を排除し、当社取締役会の意思決定過程における公正性、透明性及び客観性を担保することを目的として、当社及び廣済堂から独立した矢吹公敏氏(弁護士、矢吹法律事務所所属)、藤井境氏(当社社外取締役)、丸山恵一郎氏(弁護士、名川・岡村法律事務所所属)、熊谷均氏(公認会計士、トラスティーズFAS株式会社所属)及び横山友之氏(公認会計士、横山経営会計事務所所属)の5名から構成される特別委員会を設置し、当社が本件完全子会社化について検討するにあたって、特別委員会に対し、(ⅰ)本件完全子会社化が当社の企業価値の維持及び向上に資するのか、(ⅱ)本件完全子会社化は少数株主にとって不利益なものではないと言えるのかについて諮問し、これらの点についての答申書を当社に提出することを委嘱しました。
特別委員会は、令和元年10月27日から令和2年1月30日まで合計11回開催され、上記諮問事項に関し、慎重に検討を行いました。具体的には、特別委員会は、(a)当社から、当社事業の沿革、当社株主の状況、現在の経営課題、並びに廣済堂からの提案内容及び交渉経緯等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を行うとともに、(b)廣済堂から、本件完全子会社化の目的・意義、本件完全子会社化完了後の経営方針、当社の従業員の取扱い等の具体的内容について聴取し、これらの点について質疑応答を行いました。
特別委員会は、以上のような経緯の下、上記諮問事項について慎重に検討・協議した結果、本件完全子会社化は、①当社の企業価値の維持又は向上に資するものでないと判断すべき特段の事情は認められず、また、②当社の少数株主にとって不利益なものでないと認められる旨の本答申書を令和2年1月30日付けで当社に対して提出しました。本答申書の内容は大要以下のとおりです。
a.本答申書①(本件完全子会社化が当社の企業価値の維持又は向上に資するものではないと判断すべき特段の事情は認められないという点)について
ア 本件完全子会社化の目的として廣済堂から説明された、上記「1.本件株式併合の目的」の「(1)本件完全子会社化(株式併合)を行う目的及び理由」に記載の内容及び本件完全子会社化の目的に関する特別委員会から廣済堂への質問に対する回答に不合理と認められる特段の事情はない。
イ 上記「1.本件株式併合の目的」の「(2)本協定書及び本合意書の内容」の「① 当社及び廣済堂の間の本協定書の締結」の「a.本協定書の概要」に記載のとおり、本協定書において、(ⅰ)本臨時株主総会の日の前日までに、東京都その他の監督官庁から当社の火葬事業の許可の取消し又は火葬事業の維持が不可能となるような変更に関する予告がされていないことが、本件完全子会社化の前提条件とされていること、(ⅱ)本設備投資計画の実施、並びに(ⅲ)当社の火葬事業に関する運転資金額及び設備投資の準備金の合計額を当社に保持させることについて、廣済堂との間で合意している。また、廣済堂からの説明によれば、ステークホルダーの理解に基づき当社の斎場火葬事業の継続性が合理的な範囲で確保される見込みであり、また、それゆえに、今後の廣済堂の株主構成や財務状況等の事情により当社の斎場火葬事業の継続性に疑義が生じる具体的な懸念は特に見当たらない状況にある。
ウ 上記「1.本件株式併合の目的」の「(1)本件完全子会社化(株式併合)を行う目的及び理由」に記載の当社に存在する課題の対応策として廣済堂から説明された各対応について特段不合理な点は認められない。
エ 上記「1.本件株式併合の目的」の「(2)本協定書及び本合意書の内容」の「① 当社及び廣済堂の間の本協定書の締結」及び「② 廣済堂と当社少数株主(合意書当事者)との本合意書の締結」に記載のとおり、(ⅰ)本協定書において、廣済堂は、本件完全子会社化完了日以降、当社の経営の自主性、独立性を最大限に尊重し、確保する義務を負っており、かつ、本件完全子会社化の完了を前提に、当社の基本的な経営方針等についての諮問機関として考える会を組成する予定であり、また、(ⅱ)本合意書において、廣済堂は、本件完全子会社化完了日以降、当社の斎場火葬事業に関する極めて重要な意思決定を行う場合等には、当社少数株主(合意書当事者)の了解が必要となる。さらに、(ⅲ)本協定書及び本合意書においては、廣済堂との間の資本関係が10年間は維持されることや、新たに当社の株主となる者が現れた場合には廣済堂の本協定書及び本合意書上の地位を承継させ又はこれと同等の合意をさせるよう最大限努力することが規定されており、廣済堂との資本関係の一定期間維持等がなされることとされている。これらを踏まえると、本件完全子会社化完了日以降も、当社の企業価値を維持及び向上させるための体制が一定程度確保されているものと評価できる。
オ 本件完全子会社化におけるスキームについて、廣済堂による、当社株式の公開買付けや株式交換による方法は、廣済堂グループ全体としての資金効率の観点、廣済堂の株主構成の維持及び推認される当社株主の意向の観点から廣済堂の経営判断上選択しがたいという説明に、不合理な点は見当たらず、また、上記「2.本件株式併合の割合」、「3.会社法第234条の規定により1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」及び「(2)当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」並びに下記「4.本件株式併合がその効力を生ずる日」に記載の本件株式併合及びその後の端数株式の買い取りを用いたスキームは、当社が資金拠出を行うことになるものの、廣済堂グループ全体としての資金効率を考慮すると不合理とは言いがたく、また、当社が拠出する資金の一部は、廣済堂が外部金融機関からの借入れによって調達する当社への借入金の返済資金によって賄われることが予定されており、廣済堂及び当社が協働して本件株式併合のための資金を調達しているという評価も可能な状況であることも併せ考えれば、当該スキームは不合理なものではない。
b.本答申書②(本件完全子会社化は少数株主にとって不利益なものではないという点)について
ア 本件完全子会社化における端数株式の買い取りの手続において、当社の株主に対して交付される金銭の算定の基礎となる本件株式併合の効力発生前の当社1株当たりの株式価値は、1,600円とされる予定であり、当該株式価値の算定過程(評価手法選択の理由を含む。)に不合理な点は見当たらなかったこと、及び当該金額は、本株式価値算定書の評価金額の範囲内かつ代表値を上回る価格であることに照らすと、特段不合理なものであるとは認められない。
イ 上記「2.本件株式併合の割合」に記載の本件株式併合の併合比率は、その設定される比率によっては廣済堂が保有する当社株式について1株未満の端数となる部分に関する金銭の支払いが多額になるように設定しうるが、本件株式併合においてはそのような併合比率に設定されていない。
ウ 本件完全子会社化に至る当社取締役会の意思決定の手続について、(ⅰ)下記④のとおり、当社取締役のうち、本件完全子会社化に関し当社と利益が相反するおそれがある小林秀昭氏及び野口龍馬氏は、当社取締役会における本件完全子会社化に関する議題の審議及び決議には一切参加しておらず、当社の立場において廣済堂との協議・交渉にも参加していないこと、(ⅱ)体調不良により協議等に参加できなかった監査役1名を除く、当社社外監査役を含む監査役2名から、本件完全子会社化の実施につき、当社取締役の善管注意義務違反等の問題を提起されていないこと、(ⅲ)下記③のとおり、当社及び廣済堂から独立したリーガル・アドバイザーである長島・大野・常松法律事務所を選任し、本件株式併合を含む本件完全子会社化に関する意思決定過程、意思決定方法その他本件完全子会社化に関する意思決定にあたっての留意点について、必要な法的助言を受けていること、(ⅳ)下記⑤のとおり、本件完全子会社化においては、本臨時株主総会の日の前日までに当社の少数株主が保有する議決権の過半数(いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」)に相当する議決権を有する株主が反対した場合には本件株式併合についての議案が本臨時株主総会に上程されない措置を講じており、少数株主の意見を可及的に尊重できるよう配慮していること、(ⅴ)本件株式併合の効力発生前の当社1株当たりの株式価値の算定の基礎となった当社の事業計画の作成プロセス及び当該株式価値の交渉過程において、当社の株式価値が合理的に算出されるよう廣済堂との間で協議がなされていたと認められることから、本件完全子会社化に至る当社取締役会の意思決定の手続が適正でないと判断すべき特段の事情はない。
エ 本協定書において、上記ウ(ⅳ)に記載のいわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」の点に加えて、(ⅰ)本臨時株主総会の日の前日までに東京都その他の監督官庁から当社の火葬事業の許可の取消し又は火葬事業の維持が不可能となるような変更に関する予告がされていないこと、及び(ⅱ)廣済堂が、当社からの借入金の返済を行うことができる合理的な見込みがあることも、本件株式併合についての議案が本臨時株主総会に上程されるための条件とされており、廣済堂との間で適切かつ十分な検討がなされていることが認められる。
オ 当社によるプレスリリース及び廣済堂によるプレスリリースにおいて本件完全子会社化に関して十分な情報開示がなされる予定である。
③ 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、本件完全子会社化に係る当社の意思決定に慎重を期し、当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するため、当社及び廣済堂から独立した法務アドバイザーである長島・大野・常松法律事務所を選任し、長島・大野・常松法律事務所から、本件完全子会社化に係る当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の本件完全子会社化に関する意思決定にあたっての留意点等について、法的助言を受けております。
なお、長島・大野・常松法律事務所は、当社及び廣済堂の関連当事者には該当せず、本件完全子会社化に関して、重要な利害関係を有しておりません。
④ 当社における利害関係を有しない取締役全員の決議及び監査役の意見
当社取締役会は、KPMGから令和2年1月22日付けで取得した本株式価値算定書、長島・大野・常松法律事務所から得た法的助言を踏まえつつ、特別委員会から提出を受けた本答申書の内容を最大限尊重しながら、本件完全子会社化に関する諸条件について、慎重に検討、協議を行いました。その結果、上記「1.本件株式併合の目的」の「(1)本件完全子会社化(株式併合)を行う目的及び理由」に記載の理由に基づき、令和2年1月31日開催の取締役会において、当社の取締役7名のうち、廣済堂の取締役を兼務する小林秀昭氏及び廣済堂の経営企画部長を兼務する野口龍馬氏(いずれも非常勤取締役)を除く5名が審議及び決議に参加し、決議に参加した取締役全員の一致により、本件完全子会社化の決議をしました。
また、上記取締役会には、社外監査役を含む監査役2名が審議に参加し、監査役から活発に意見が述べられた上で、慎重に議論がなされました。当社取締役会は、監査役の意見を十分配慮した上で、上記の決議を行っております。
なお、小林秀昭氏及び野口龍馬氏は廣済堂の取締役及び経営企画部長を兼務しており、廣済堂において本件完全子会社化の検討に関与していることから、本件完全子会社化に関し当社と利益が相反するおそれがあるため、当社取締役会における本件完全子会社化に関する議題の審議及び決議には一切参加しておらず、当社の立場において廣済堂との協議・交渉にも参加しておりません。
⑤ マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)の達成を考慮した条件設定等
本協定書において、当社は、以下の事項が充たされていることを前提条件として、本臨時株主総会において本件完全子会社化に関する議案を付議することとし、いずれかの条件が成就しない場合には、上記各議案を撤回することができることとされております。
a.廣済堂を除く当社の株主が保有する議決権の過半数を有する株主が、本臨時株主総会の日の前日までに、本件株式併合に関する議案に反対の議決権を行使することが委任状その他の方法により合理的に明らかになっていないこと。
b.東京都その他の監督官庁から、本件完全子会社化が実施された場合、当社の火葬事業の許可を取り消す又はその内容を当社の不利益に変更する旨の予告がされていないこと。(ただし、変更に関しては、現在の火葬事業の維持が不可能となるような内容への変更に限る。)
c.廣済堂が、当社からの借入金の返済を行うことができる合理的な見込みがあること。(廣済堂が第三者からの資金調達を行う場合には、当該第三者から資金調達が実行される見込みであることが合理的に確認できる書面を当社に対して提出していること。)
上記a.により、当社は、本臨時株主総会の日の前日までに廣済堂を除く当社の株主が保有する議決権の過半数を有する株主が当該議案に反対することが明らかになった場合には本件完全子会社化を実行しないという対応をとる予定であり、これにより、本臨時株主総会において本件株式併合に関する議案が付議される場合に、廣済堂を除く当社の株主が保有する議決権の過半数、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)」に相当する議決権を有する株主にも本件完全子会社化に関する議案に賛成していただける可能性を高める措置を講じております。
4.本件株式併合がその効力を生ずる日
令和2年3月31日(予定)
なお、当社は、本臨時株主総会において、株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款変更に係る決議(当該決議時点で効力発生)を行う予定であり、本件株式併合は、本臨時株主総会において当該議案が原案どおり承認可決されて定款変更の効力が発生することを条件として、上記効力発生日にその効力が生じるものといたします。
以 上