有価証券報告書-第56期(2025/01/01-2025/12/31)
(2)戦略
① 気候変動シナリオ分析の概要
当社グループは、気候変動が事業活動に与える当社への影響を評価するために、TCFDの枠組みに基づいて気候変動に関連する物理リスク、移行リスクの把握及び事業機会を整理いたしました。
2024年度に当社グループのGHG排出量の約7割を占める、国内の「情報サービス事業」を対象にリスク・機会の特定・評価を実施いたしました。今後は、当社グループ全体への気候変動による影響を把握するため、対象範囲を全事業領域に広げ、リスク・機会の特定・評価を実施する予定です。
気候関連のリスク・機会が当社グループの事業、戦略、財務等に及ぼす影響を把握するため、TCFD提言に沿った気候変動シナリオ分析を行いました。国際エネルギー機関(IEA)などが公表するデータを参照し、選択シナリオは「2℃未満シナリオ」と「4℃シナリオ」としております。
<世界平均気温の変化 1850~1900年比の上昇>
参照:国立環境研究所 IPCC報告での『(社会経済)シナリオ』
② 気候関連リスク・機会と重要度、財務インパクトの評価結果
TCFDシナリオ分析に基づき、重要度(発生可能性・事業インパクト)を評価し、気候関連リスク・機会の特定を行いました。当社グループの特定した気候関連リスク・機会及びその重要度、財務インパクトについては以下のとおりです。
※財務インパクトの定義は以下のとおりです。基準:2024年度実績
③ 対応策
各シナリオにおける重要度が中・高のリスク・機会に対して、対応策を定義しました。今後、リスク回避/軽減及び機会創出に向けた施策の検討を継続的に実施し、策定された対応策を実行することによって事業活動のレジリエンス向上を目指してまいります。
① 気候変動シナリオ分析の概要
当社グループは、気候変動が事業活動に与える当社への影響を評価するために、TCFDの枠組みに基づいて気候変動に関連する物理リスク、移行リスクの把握及び事業機会を整理いたしました。
2024年度に当社グループのGHG排出量の約7割を占める、国内の「情報サービス事業」を対象にリスク・機会の特定・評価を実施いたしました。今後は、当社グループ全体への気候変動による影響を把握するため、対象範囲を全事業領域に広げ、リスク・機会の特定・評価を実施する予定です。
| 区分 | 期間 | 目標年 | 背景 |
| 中期 | 〜5年 | 2030年 | 日本は2030年の目標として、2013年を基準として46%のGHG削減を掲げている。各分野における脱炭素化を進めるため、再生可能エネルギーの導入促進、省エネルギー化、脱炭素技術の開発など様々な取組みが進むとともに、大手企業にはサプライチェーン全体での取組みや気候危機への対応についての情報開示が求められるなどの仕組みの構築も進んでおり、主に「移行」についてのリスク・機会がポイントと考えられる。 |
| 長期 | 〜25年 | 2050年 | 日本は2050年のカーボンニュートラル目標を掲げており、取組みを進めていくことになるが、取り組みが順調に進み、カーボンニュートラルが実現した社会となるのか、取組みが頓挫し、GHG排出に歯止めがかからなかった社会となるのかにより、企業が置かれる状況が大きく左右される。また、いずれにしても気候危機による様々な影響が表出するため、「物理的」なリスク・機会がポイントになると考えられる。 |
気候関連のリスク・機会が当社グループの事業、戦略、財務等に及ぼす影響を把握するため、TCFD提言に沿った気候変動シナリオ分析を行いました。国際エネルギー機関(IEA)などが公表するデータを参照し、選択シナリオは「2℃未満シナリオ」と「4℃シナリオ」としております。
| 設定シナリオ | 2℃未満 | 4℃ | |
| 世界観 | 野心的な政策・法規制が行われ、抜本的に課題を解決する技術革新が実現した結果、脱炭素社会に移行し、産業革命前比の平均気温上昇が2℃未満に抑えられた社会 | 野心的な政策・法規制が行われず、各国の現行政策が継続された結果、脱炭素社会に移行することなく、気候危機が進行し、産業革命前比の平均気温上昇が4℃となり、自然災害の激甚化する社会 | |
| 参照 シナリオ 参照資料 | 移行 | IEA「World Energy Outlook 2025(WEO)」 ・Announced Pledge Scenario(APS) ・Zero Emission by 2050 Scenario(NZE) | IEA「World Energy Outlook 2025(WEO)」 ・Stated Policies Scenario(STEPS) |
| 物理 | IPCC「Global Warming of 1.5℃」 IPCC「Sixth Assessment Report(AR6 )」 ・SSP1-2.6 | IPCC「Sixth Assessment Report(AR6 )」 ・SSP5-8.5 | |
| 文部科学省/気象庁「日本の気候変動2025」 | |||
| リスク及び機会 | 移行面でリスク・機会が顕在化しやすい | 物理面でリスク・機会が顕在化しやすい | |
<世界平均気温の変化 1850~1900年比の上昇>
参照:国立環境研究所 IPCC報告での『(社会経済)シナリオ』② 気候関連リスク・機会と重要度、財務インパクトの評価結果
TCFDシナリオ分析に基づき、重要度(発生可能性・事業インパクト)を評価し、気候関連リスク・機会の特定を行いました。当社グループの特定した気候関連リスク・機会及びその重要度、財務インパクトについては以下のとおりです。
| 区分 | 項目 | 期間 | 2℃未満シナリオ | 4℃シナリオ | ||||
| 概要 | 重要 度 | 財務 インパクト | 概要 | 重要 度 | 財務 インパクト | |||
| 移 行 リ ス ク | 政策・法規制 | 中期 | 炭素税導入に伴うコスト増加 | 中 | 低 | 現状程度にとどまり、動きは低調 | 低 | 低 |
| 市場 | 中期 | 再エネ・省エネ設備への切り替えやグリーン電力購入などの対応コストの増加 | 中 | 低 | 再エネ・省エネ対応は緩やかに進む | 低 | 低 | |
| 技術 | 中期 | 新たな脱炭素技術の開発が提供できず、自社の需要が減少する | 中 | 中 | 新たな脱炭素技術が競争優位性を発揮する | 低 | 中 | |
| 評判 | 中・長期 | レピュテーションリスクによる売上減、時価総額下落、採用数減 | 中 ・ 低 | 高 | ネットゼロも達成できず、現状程度にとどまり、動きは低調 | 低 | 低 | |
| 物 理 リ ス ク | 慢性 | 長期 | 平均温度が上昇するが、4℃ほどではない。省エネ対応が進みコスト増 | 低 | 低 | ・空調設備などのエネルギーコストの増加 ・高温による社員の健康リスクの増加 | 低 | 中 ・ 低 |
| 急性 | 長期 | 異常気象や自然災害が発生し、まれに激甚化し売上減・コスト増があるものの4℃ほどではない | 中 | 低 | 異常気象や自然災害の頻発による事業拠点の被災に伴う売上減少・事業停止・設備復旧などのコストの増加 | 高 | 高 | |
| 区分 | 項目 | 期間 | 2℃未満シナリオ | 4℃シナリオ | ||||
| 概要 | 重要 度 | 財務 インパクト | 概要 | 重要 度 | 財務 インパクト | |||
| 機 会 | 資源 効率 | 中期 | 開発手法の短縮、業務プロセス効率化・データ分析などを行うITサービス拡大により売上増 | 高 | 中 | 資源効率化の対応は緩やかに進む | 中 | 低 |
| エネルギー源 | 中期 | 省エネ需要の増加・再生可能エネルギーの活用拡大に伴う、新技術を活用したITサービス売上増 | 高 | 中 | 再エネ・省エネ対応は緩やかに進む | 中 | 低 | |
| 製品・サービス | 中・長期 | 環境変化における健康への関心が高まり、自社のIT医療ビジネス拡大 | 高 | 中 | ||||
| 市場 | 中・長期 | ネットゼロの達成による、ステークホルダーからの評価向上、株価向上、自社の需要拡大 | 中 ・ 低 | 中 | ネットゼロも達成できず、現状程度にとどまり、動きは低調 | 中 ・ 低 | 低 | |
| レジリエンス | 中・長期 | ITインフラサービス(データセンター、クラウド移行)の需要拡大 | 中 | 高 | 災害対策として、ITインフラサービス対応の需要拡大 | 高 | 高 | |
※財務インパクトの定義は以下のとおりです。基準:2024年度実績
| 評価内容 | 影響金額 |
| 高 | ・連結売上高に対する比率:10%以上 ・連結純資産に対する比率:3%以上 |
| 中 | ・連結売上高に対する比率:5%以上10%未満 ・連結純資産に対する比率:1.5%以上3%未満 |
| 低 | ・連結売上高に対する比率:5%未満 ・連結純資産に対する比率:1.5%未満 |
③ 対応策
各シナリオにおける重要度が中・高のリスク・機会に対して、対応策を定義しました。今後、リスク回避/軽減及び機会創出に向けた施策の検討を継続的に実施し、策定された対応策を実行することによって事業活動のレジリエンス向上を目指してまいります。
| リスク | 重要度 | 対応策 |
| 炭素税導入に伴うコスト増加 | 中 | ・設備や機器における省エネ・再エネ利用の導入拡大 ・オフィスや社内業務効率化によるGHG排出量の削減 ・オフィス用品におけるグリーン購入の推進、OA用紙・電力使用量の削減 |
| 再エネ・省エネ設備への切り替えやグリーン電力購入などの対応コストの増加 | 中 | |
| 新たな脱炭素技術の開発が提供できず、自社の需要が減少する | 中 | ・脱炭素つながる開発手法、新規技術などの研究開発強化 ・顧客の動向把握、将来を見据えた事業戦略の立案 |
| レピュテーションリスクによる売上減、時価総額下落、採用数減 | 中・低 | ・TCFD開示の推進と投資家との対話促進 ・気候変動を含めサステナビリティ組織の立ち上げと 社内取組みの推進 |
| 異常気象や自然災害の頻発による事業拠点の被災に伴う売上減少・事業停止・設備復旧などのコストの増加 | 高 | ・気候変動リスクも含めたBCP対策の強化、訓練の実施 ・リモートなど多様な就労環境のさらなる整備 |
| 機会 | 重要度 | 対応策 |
| 開発手法の短縮、業務プロセス効率化・データ分析などを行うITサービス拡大により売上増 | 高 | ・顧客の動向把握、将来を見据えた事業戦略の立案 ・脱炭素技術につながるAI、ローコード・ノーコード、データ分析ツールなどの研究開発強化 ・公共事業向けITサービスの強化 |
| 省エネ需要の増加・再生可能エネルギーの活用拡大に伴う、新技術を活用したITサービス売上増 | 高 | ・ライフライン事業(エネルギー業界)の受注拡大、グリーンIT需要拡大を見据えた事業戦略の立案 ・脱炭素につながるサステナビリティ関連プロダクトの開発検討、組織の立ち上げ ・GX(グリーントランスフォーメーション)人材の育成と獲得 |
| 環境変化における健康への関心が高まり、当社のIT医療ビジネス拡大 | 高 | ・今までの実績をもとに医療ビジネス拡大を見据えた事業戦略の立案 ・医療領域の研究開発強化(技術取得、パッケージ開発) |
| ITインフラサービス(データセンター、クラウド移行)の需要拡大 | 高 | ・今までの実績をもとに横展開、受注拡大を見据えた事業戦略の立案 ・ITインフラサービスの品質・セキュリティ強化 |