有価証券報告書-第22期(令和3年5月1日-令和4年4月30日)

【提出】
2022/07/28 12:21
【資料】
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【項目】
130項目

事業等のリスク

必ずしもリスク要因とは考えていない事項についても、投資判断上重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。
当社は、これらのリスクを十分に認識した上で、その回避及び損害が発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中における将来に関する記載は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 事業環境について
① 競合について
当社グループが事業を展開しているインターネット広告市場は、競合の多い業界であります。インターネットマーケティング事業及びアドテクノロジー事業における主な競争相手は、国内外において複数社存在しており、今後も競合他社の新規参入、市場環境の変化等により、競争が激化する可能性があります。特に当社グループが自社ブランドで展開するアフィリエイト事業及びDSP事業においては、引き続き、国内にて堅調な拡大が見込まれている一方、海外の既存の事業者の日本国内のマーケットへの参入による競争の激化、及び市場環境の変化に対するコスト負担等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このような環境の下、当社グループは引き続き各インターネット関連事業の拡大及び競争力の維持・強化に努めてまいりますが、優れた競合事業者の登場、競合事業者によるサービス改善や付加価値の高いサイト・ビジネスモデルの出現等により、当社の競争力が低下する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② インターネット広告市場の動向について
近年、インターネット広告市場はインターネットの普及と急激な技術革新により、急速に拡大してまいりました。しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大等の影響により急激に景気が悪化した場合、企業収益の大幅な悪化に伴う広告需要の減退が起こる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ インターネット広告市場の技術革新について
インターネット関連分野における技術革新は速く、現在利用している技術や業界標準が急激に変化することが予想されます。また、技術革新に伴い顧客ニーズが変化する一方、多様なニーズに即したビジネスモデル及びサービスの開発・進化が活発に進んでおります。当社グループでは、そうした事態に対応するため、常に業界動向を注視し、迅速かつ適切な対応をしていく方針でありますが、そのために多額の支出が発生することや、適切な対応がなされなかった場合に当社の競争力が低下することも考えられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ インターネットを巡る法的規制について
現時点では、当社グループの事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、インターネット関連分野においては、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」等が存在しております。また、インターネット上のプライバシー保護の観点からCookieや広告識別子(IDFA/AAID等)に対する規制が強まる等、インターネット利用の普及に伴って法的規制の在り方等については引き続き検討が行われている状況にあります。今後、当分野における新たな法律の制定や既存の法律の改正等によって当社の事業が何らかの制約を受けることとなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業について
① マーケティングソリューション等の運営体制について
インターネットマーケティング事業は、主にソーシャルメディアや検索エンジン等のプラットフォームを活用したマーケティング活動を支援するものであり、プラットフォーム側で行われるアルゴリズムの変更及びシステム変更に迅速に対応していく必要があります。当社では、マーケティングソリューションにおける専門性を有し、勉強会を通じた技術向上により、技術力の強化を図っております。
しかしながら、プラットフォームが独自で設定する基準の変更に必ず対応できる保証はなく、その対応が適切に実施されなかった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 大手プラットフォームへの高い依存度について
当社グループは、取引形態の性格上、Google Inc.、ヤフー株式会社、Facebook Incからの仕入の依存度が高くなってきております。当期において上記企業のサービスに対する売上高の割合は、依然として高い状況にあります。これは、現状の広告市場が上記企業による寡占状態にあることに起因するものであります。上記企業の事業方針の変更等により、係る取引が継続されない場合又は取引条件が変更された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 特定事業への高い依存度について
当社では、インターネットマーケティング事業、アドテクノロジー事業が売上のほとんどを占めております。インターネットマーケティング事業では、ソーシャルメディアマーケティング、リスティング広告等が売上の大部分を占めており、アドテクノロジー事業においては、パフォーマンスマーケティング・プラットフォーム「afb」、広告配信プラットフォーム「ADMATRIX DSP」の売上が大部分を占めております。
したがって、上記事業等に何らかの問題が生じた場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
④ 広告主、広告内容および媒体の審査体制について
当社グループは、反社会勢力、法令及び公序良俗に反する不良事業者とは一切関係を持たない方針であり、自社サイトに広告を掲載する広告主及び広告内容、自社サイトにリンクを設置する他のサイト(以下「リンク先」という。)について、業界団体であるインターネット広告推進協議会が定める基準のほか、独自の選定基準を定め、事前に審査する体制を構築しております。したがって、選定基準に抵触する広告主、広告内容、リンク先との関係が生じる可能性は低く、現状問題は生じておりませんが、今後発生する可能性は皆無とは言えません。万一、そのような事態が発生した場合には、当社グループの社会的信頼性の著しい低下を招く可能性もあり、その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ システムトラブルについて
当社グループは、リスティング広告、アフィリエイト広告、ディスプレイ型広告等の提供をインターネット環境において行っております。そのため、当社はサービスの安定供給を図るためのセキュリティ対策と、コンピュータウィルスやハッカーの侵入等を回避するために必要と思われる対策を講じております。しかしながら、地震などの自然災害、停電など予期せぬ重大な事象の発生、新たなコンピュータウィルスへの感染などにより、当社の設備又はネットワークに障害が生じる可能性があります。そうした事態が発生した場合には、一定期間サービスの停止を余儀なくされる可能性があり、また、サービスの停止等に伴う信用の低下が営業活動に支障を及ぼすことも考えられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 新規事業の収益性について
当社グループは、顧客ニーズに則したサービスの提供を行うために、新規に事業を立ち上げることも検討してまいります。新たに手掛けた事業を早期に一定の事業規模にまで成長させ、市場における地位を確立するため、事業を推進する手段として必要に応じて、システム開発への投資や第三者が運営するサイト及び企業の買収、資本業務提携の取組みなどを行う可能性があります。今後も、当社は事業の拡大に積極的に取り組んでまいりますが、システム投資や買収に伴う資金負担、広告宣伝費等の支出が発生し、収益性が向上しない可能性や、事業を推進する過程において予測とは異なる事態が生じ、投資回収が困難になる可能性があります。このように事業展開が計画どおりに進まない場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑦ アジア・ASEAN地域における事業の拡大について
当社グループは、人口の増加や経済発展によりマーケティング分野のニーズが急拡大しているアジア・ASEAN地域における事業拡大を強化してまいります。その一環として、2020年1月にマレーシアに子会社FORIT DIGITAL SDN. BHD.を設立し、事業展開を推進しております。一方で、このような海外での事業展開においては、各国固有の要素が、各国事業に影響を与える場合があり、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑧ 新型コロナウイルス感染症拡大の影響について
新型コロナウイルス感染症の影響による経済動向の見極めは依然として難しい状況が続いており、当社グループにおきましても、今後の情勢次第で事業活動に影響が生じることを懸念しており、市場や顧客動向を注視し、適切に対処してまいります。また、リモートワーク(在宅勤務)の積極的な活用等、従業員の安全と健康を最優先に考えた感染防止を徹底するとともに、企業活動の本格的な再開を両立させていくことに取り組んでおります。
(3) 経営体制について
① 個人情報等の管理について
当社グループは、自社事業において会員等の個人情報(氏名、メールアドレス、住所等)を取得しているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務が課されております。当社グループでは、個人情報及び顧客の企業情報等の管理について、法令を遵守し、アクセス権限設定、従業員の行動管理等、情報の取扱いには細心の注意を払い、最大限の取組みを行っております。しかし、万一、外部からの不正アクセスなどにより情報の外部流出が発生した場合には、当社に対して損害賠償請求がなされ、また訴追等により、社会的信用を失う可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材の確保について
当社グループでは、今後も事業を拡大していく上で、必要な人材を十分に確保していくことが重要な課題であると考え、積極的に人材の採用・育成を行っております。しかし、こうした活動が計画どおりに進まず、また幹部人材及び予想を上回る数の人材の社外流出があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 親会社との関係について
当社グループは、親会社であるフリービット株式会社を中核としたフリービットグループに属しており、同社は当社発行済株式の57.41%を所有しております。フリービットグループは、同社を中核として、「Being The NET Frontier!(インターネットをひろげ、社会に貢献する)」という企業理念のもと、インターネットに関わるコアテクノロジーの開発、大規模システムの運用といった技術力の蓄積を強みとして、法人向け、個人向けにインターネット関連サービスを主に提供しております。
当社グループは、フリービットグループの中で、主には業界でも定評のあるインターネットマーケティングの事業領域における高度なノウハウを活用し、法人顧客を対象に、各種サービスを総合的に提供する会社として位置付けられております。業務提携の詳細につきましては、両社協議の上で決定しておりますが、同社の当社グループに対する基本方針等に変更が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は、2022年4月11日開催の取締役会において、フリービット株式会社による当社の普通株式に対する公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対しては、本公開買付けに応募することを推奨することを決議いたしました。
本公開買付けは、2022年4月12日から2022年5月30日まで実施され、成立しております。
詳細は「重要な後発事象」に記載のとおりであります。
(5) その他
① 知的財産権について
当社グループは、第三者に対する知的財産権を侵害することがないように常に細心の注意を払って事業活動を行っておりますが、現在のインターネット関連分野における技術の進歩の早期化、グローバル化により、当社グループの事業領域における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であります。現在までのところ、当社グループの認識する限り、第三者の知的財産権を侵害したこと及び侵害を理由とした損害賠償等の訴訟が発生している事実はありませんが、今後当社グループの調査・確認漏れ、不測の事態の発生等により、第三者の知的財産権に抵触する等の理由から、損害賠償請求や使用差止請求等を受ける可能性があります。これらの事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 訴訟の可能性について
当社グループはシステムの障害や重大な人為的ミス等の予期せぬトラブルが発生した場合、また、取引先との関係に何らかの問題が生じた場合、これらに起因する損害賠償を請求される、あるいは訴訟を提起される可能性があります。損害賠償の金額、訴訟の内容及びその結果によっては、当社グループの業績及び財政状態や社会的信用に影響を与える恐れがあります。
③ 配当政策について
当社は、株主に対する利益還元は重要な経営課題であると認識しており、内部留保による財務体質の強化を図りつつ、業績及び財政状態の推移を考慮しながら、利益配当を行っていく方針であります。しかしながら、当社グループの事業が計画どおりに進展しない場合、業績が悪化した場合、成長へ向けた投資に備え内部留保を優先する場合など利益配当が行えない可能性があります。
④ 繰延税金資産の回収可能性の評価における影響について
当社グループは、将来の課税所得の見積りに基づいて、繰延税金資産の回収可能性を評価しているため、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来回収できないと判断した場合、あるいは税率変動などを含む各国税制の変更などがあった場合、その判断を行った期間に繰延税金資産を減額し、税金費用を計上することになります。その結果として、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。