内部統制報告書-第15期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/06/12 14:49
【資料】
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財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項

代表取締役社長松本壮志は、当社の財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して、財務報告に係る内部統制を整備及び運用しています。
なお、内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものです。このため、財務報告に係る内部統制により、財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があります。

評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項

財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である2019年12月31日を基準日として行われており、評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しました。
本評価においては、財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制(全社的な内部統制)の評価を行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定しています。当該業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行いました。
財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を決定しました。財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的及び質的影響の重要性を考慮して決定しており、全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定しました。
業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、当社において連結対象となる子会社及び持分法適用会社はなく、全体を単一の事業拠点として捉えていることから、重要な事業拠点は当社とし、事業目的に大きく関わる勘定科目として売上高、売掛金及び棚卸資産に至る業務プロセスを評価の対象としました。さらに、虚偽記載リスクが高いプロセス、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセスを財務報告への影響を勘案して個別に評価対象に追加しています。

評価結果に関する事項

下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。従って、当事業年度末時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。

当社は、会計監査人による監査手続において、2019年12月期第4四半期に実施したデータサイエンティスト育成事業に係る一部の取引に関する売上高計上の妥当性(以下、「育成事業案件」といいます。)、及び同四半期の工事進行基準を適用した受託業務に係る一部の取引に関する売上高計上の妥当性(以下、「工事進行基準受託業務案件」といいます。)について実態把握をする必要があると指摘されたことから、社内調査を開始しました。その後、会計監査人からの要請を受け、調査の独立性、客観性、信頼性、透明性を高めるために、社内調査体制を終了させ、2020年2月27日付で3名の外部委員のみから構成される外部調査委員会を設置して調査を行いました。その後、外部調査委員会の調査とは別に、会計監査人による監査手続きにおいて、工事完成基準に係る売上計上の妥当性について慎重に検討を要する取引(以下、「工事完成基準受託業務案件」といいます。)が確認された旨の指摘を受け、外部調査委員会において調査範囲に追加しました。
当社は、2020年5月13日付で外部調査委員会より、調査の結果判明した事実関係、原因分析及び再発防止策の提言を含む調査報告書を受領いたしました。当該調査報告書において、育成事業案件につきましては、収益認識に必要な要件の一つである「役務の提供」の点につき疑義が生じることを指摘されました。工事進行基準受託業務案件につきましては、プロジェクト進捗部分の「成果の確実性」に基づいて収益を認識しますが、2019年12月末までの一部の進捗部分については工事進行基準の適用の前提となる「成果の確実性」が認められないことを指摘されました。工事完成基準受託業務案件につきましては、納品に先立ち検収書が発行され、業務が完了したものとして2019年12月の売上に計上されていたものの、実際には2019年12月末時点では各プロジェクトに係る業務が完了しておらず、売上を計上するための要件を満たしていないことを指摘されました。
以上の外部調査委員会からの指摘について当社で検討した結果、育成事業案件、工事進行基準受託業務案件及び工事完成基準受託業務案件につきまして、当期に売上を計上することは妥当ではなく、全社的な内部統制及び業務処理統制が十分に機能しなかったと判断いたしました。
育成事業案件に関する直接的原因として、従来の取引とは性質が異なる非定型的な取引であり、売上計上のフローが明確ではないことに関し、以下に示す問題があったと認識しております。
(1)当社の一部の執行役員を含む役職員において、非定型的な取引の売上計上に関する慎重な検討や対応が必要であるとの認識が不十分であったこと
(2)非定型的な取引に対応するためのCFO及び財務経理部門によるモニタリング体制が十分に整備されていなかったこと
また、工事進行基準受託業務案件及び工事完成基準受託業務案件は非定型的な取引でないものの、売上計上の妥当性を検討する際の内部統制の整備及び運用に問題があったと認識しております。
上記のような当社の内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼしており、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。上記の開示すべき重要な不備は、当事業年度末日後に発覚したため、当該不備を当事業年度末日までに是正することができませんでした。
なお、上記の開示すべき重要な不備に起因する必要な修正事項は、2020年6月12日に提出した2019年12月期有価証券報告書の財務諸表にすべて反映しています。
当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備を是正するため、以下の改善措置を2020年5月22日開催の取締役会で決議しております。
(1)取締役・取締役会の取り組み
・適切なコーポレートガバナバンスの運用のため、社外取締役である松村 淳を取締役会長とし、取締役の経営と執行の要になる経営会議での議論を充実させます。
・社外取締役である竹田 浩を代表取締役に暫定的に選任します。業務執行取締役が2人以上いることで、各会議体で牽制機能を持たせ、健全な議論ならびに業務執行を担保します。
・CFO を含めた執行役員、各役職の職責・権限についての組織体制の見直し、ならびに社内規程の整備を行います。
・内部統制の運用面での不備への対応を中心に、会計処理やフローを含めた社内規程を追加的に整備し、適切な社内コミュニケーションを担保するための組織設計、内部統制及び内部監査の仕組みの早急な構築を行います。上記の施策に加え、必要があれば外部専門家なども登用し、改善措置の推進の担保ならびに進捗の確認を随時行います。
(2)役職員へのコンプライアンス教育・啓蒙
・業務を推進する上で必要な会計面を中心としたコンプライアンスに対する意識の向上及び不正などの発生を抑止するための体制構築にあたり、コンプライアンスに対する教育研修の強化策を講じます。
今後も、本件改善措置につきましては継続的なモニタリングを行うとともに、着実に実施することで内部統制をより強固なものとし、信頼の回復に努めてまいります。