有価証券報告書-第7期(2022/01/01-2022/12/31)

【提出】
2023/03/28 15:01
【資料】
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【項目】
130項目

有報資料

文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
ゲノム編集治療薬の研究開発及び製造を営む当社グループは、そのコアとなるプラットフォームである『切らないCRISPR技術(CRISPR-GNDM®技術)』を用いた創薬によって、その多くが希少疾患に属する遺伝子疾患に対して治療薬を次々と生み出し、企業理念である「Every life deserves attention (すべての命に、光を)」のとおりに、病気で希望を失わなくてすむ社会の実現に貢献してまいります。
(2) 経営戦略
当社グループでは、独自の創薬プラットフォームシステムCRISPR-GNDM®技術を活用し、遺伝子治療薬を生み出すことにより、数千あるといわれる遺伝子疾患で苦しむ方々に貢献することを目的とし、新しい創薬技術(モダリティ)である「遺伝子治療」あるいは「ゲノム編集治療」市場の創成に寄与し、世界の医療の進歩に貢献してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
遺伝子治療薬は、世界的にもまだ本格的な普及段階には至っていない最先端のものであり、当社グループを取り巻く環境の今後の動向は不確実性が高くあります。また、医薬品の開発においては、研究開発段階から上市に至るまでの研究期間が長期間にわたるため、一般的なROAやROE等の財務指標を目標とすることは適さないと考えております。
そのため、当社グループは、開発パイプラインの量と質を経営上の目標の達成状況を判断するための指標としております。開発パイプラインの量とは開発パイプラインの本数のことであり、質とは開発パイプラインにおける研究開発や臨床試験等の進捗状況のことであります。開発パイプラインの量と質を充実させていくことが、経営の安定を図りながら企業価値を高めることになると認識しています。
(4) 経営環境
2017年にLuxtrnaが遺伝性疾患に対する最初の遺伝子治療薬として米国で製造販売承認を受けたことを皮切りに、遺伝子治療は世界で3000本のアクティブ治験が行われている状況で、黎明期から成長期に移行してきました。また、ゲノム編集は、2019年以降クリスパーセラピューティックス社、エディタスメディシン社、インテリアセラピューティックス社等により臨床試験が米国にて開始されました。そのうちクリスパーセラピューティックスの血液疾患における臨床試験は、良好な結果を伴って進捗し、ヨーロッパ当局への承認申請が行われ、遠くない未来に最初のゲノム編集薬が上市を迎えることになると予想されております。
アメリカ食品医薬品局(FDA: Food and Drug Administration)は遺伝子治療に対して引き続き前向きな姿勢を維持しており、ガイドラインの制定、治験のための環境整備を通じ、遺伝子治療に係る承認制度の整備や新薬承認のスピードアップが継続に図られていくことが予想されます。一方、日本では2014年11月に施行された「再生医療安全性確保法」及び「薬機法」において、再生医療とともに遺伝子治療も産業促進化が進むなか、2015年9月には、新制度の早期承認制度下で初めてとなる国内の再生医療等製品(遺伝子治療を含む)に対しての条件・期限付き販売の承認がされるなど、遺伝子治療推進への意識は見られています。しかしながら、現実的には欧米や中国に比べても臨床試験の本数は圧倒的に少ない状況となっています。これはカルタヘナ法対応など米国に比べてより重い規制対応があることも原因ですが、根本的には先端医療に対する保守的なパブリック・アクセプタンスや、医療側の経験がまだ十分でないことにより大きな原因があり、ファースト・イン・ヒューマン試験(世界で最初に開発薬を投与する試験)を日本で行うには引き続き障害が大きいと考えています。このままでは日本の遺伝子治療がさらに水をあけられることになると危惧しています。
また、遺伝子治療業界全体としては、その裾野が眼科領域などの局所治療から、筋肉疾患領域などの全身疾患へとターゲットが広がった結果、新しい安全性上の問題が指摘されるに至っています。2020年にFDAはCTGTACミーティングを通じていくつかの安全性上の論点をまとめ、治験入りあるいは製造販売承認までのハードルは科学的な理解の進捗と共に上がっていると言えます。
なお、新型コロナウイルス感染症は当社が拠点をおく米国及び日本においては、ほぼ終熄し、影響はなくなったと考えていますが、当局の審査などではコロナ対応にリソースがまだ吸収されており、通常より時間が掛かっている状況です。一方で、円安の進行、景気の改善に伴う米国雇用の逼迫状況は、人件費をはじめとした費用高騰の形で当社の支出サイドにもインパクトを与えております。今後、事業遂行上で様々な制約を受ける可能性が否めず、また受ける制約は広範かつ予測が困難であるために、慎重に注視する必要があります。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループでは、当社が継続企業として成長し続けるために対処しなければならない課題を以下のように考えております。
① 研究開発活動における課題
当社グループは、創薬プラットフォームシステム:CRISPR-GNDM®技術を保有・活用しており、既存のモダリティでは実現しえなかったターゲットに対する創薬を実現できるという大きな技術的優位性があると考えております。また、CRISPR-GNDM®より創出される遺伝子治療の活用はこれまで困難であった希少疾患への医薬品開発への大きな可能性を秘めております。現在、当社ではCRISPR-GNDM®技術の更なる強化とそれを用いた自社・提携プログラムの開発を進めております。当社グループは、自社技術の優位性を確保し続けるため、国内外の製薬企業及び研究機関等との共同研究を推進しつつ、今後も自社内における研究開発、その体制の強化及び知財ポジションの強化を進める所存であります。
② 営業活動における課題
当社グループのCRISPR-GNDM®技術を利用した治療薬をより多くの疾患に対して提供するためには、「幅のある創薬」と「バリューチェーンの補完」を実現しなければなりません。そのためには、パートナーとより多くのターゲットに対する共同研究開発を実現する連携体制を構築し、また成果物のライセンス契約を進めて販売までの道筋をつくって行く必要があります。国内外の製薬企業と現在ある戦略的かつ補完的な互恵関係をさらに広げ、研究開発体制の整備・充実と連動した戦略的な営業活動が重要だと考えております。
③ 内部管理・統制における課題
当社グループの創薬によって患者や医療システムを通じて社会に貢献するため、コーポレート・ガバナンスの強化が重要な課題の一つであると認識しております。研究開発の適正な意思決定と運営管理を行い、経営の健全性、透明性を高め、長期的、安定的かつ継続的に治療薬を生み出すことが、ひいては企業価値を向上させることに繋がると考えております。患者、医療従事者、株主をはじめ、すべてのステークホルダーから信頼をいただけるよう、社会に対して説明可能な意思決定及び事業の遂行をしていくことが重要だと考えております。
④ 資金調達における課題
当社グループは、CRISPR-GNDM®技術による創薬を拡大し、また今後の自社開発を実現するために、資金調達を確実に行っていく必要があります。そのため、資金調達手段の確保・拡充に向けて、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資、補助金等を通して、開発に必要な資金調達の多様化を図ってまいります。
⑤ 人材の獲得における課題
当社グループは、世界中の製薬会社・バイオベンチャーが研究拠点を置く米国マサチューセッツ州ケンブリッジ市を中心とするボストンエリアのウォルサム市に100%出資の研究開発拠点となる現地法人 Modalis Therapeutics Inc.を置き、ハーバード大学出身のPh.D.(博士)を中心に世界中から集まる研究人材へのアクセスを高めております。これによりコア・コンピタンスとなるプラットフォーム技術の強化及び創薬研究を高いレベルで維持し、国際的な競争力を実現しております(2022年12月末時点でPh.D.は12人)。また、治験薬製造などコア以外の機能は外部協力業者を活用し、資本効率を高められるようなリソース配分を行っております。今後、開発の加速、適応疾患の拡大、パイプラインの進捗等に応じて、必要に応じて適切かつ十分な人材確保に努めてまいります。

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