有価証券報告書-第16期(2024/09/01-2025/08/31)
有報資料
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「ARIグループ普遍的価値観」として、「先進性ある技術を通して、顧客の問題解決と社員の幸せを創造し、社会の未来発展に貢献する」を掲げ、DXソリューション事業を営む企業としての経営理念にしております。当社グループの存在意義と精神は、未来へと続く産業と社会の一端を担い、その発展の歴史に貢献し続けていくことにあります。貢献とは、先達の知識の蓄積を真摯に学び、自ら社会的価値あるサービスの創出に知恵を絞り、常にその時代に必要とされる先進性ある技術を提供できる集団となることで、社会が、つまり顧客が抱える悩みを一つ一つ解決するという社会的価値を創出し、顧客とそこに関わる人々の発展に尽くしていくことである、と考えております。
また、社員全員がARIグループという働く場を通して、人生の目標を持ち、出会いを得て、学びを重ね、互いの信頼を積み、心が豊かになり、物質的にも豊かになっていくことで、社員とその家族が幸せだと実感できる環境を作り上げていくことも同時に実現していくことでもあると考えております。
この二軸の貢献が当社グループを取り巻くあらゆるステークホルダーの持続的、継続的な幸せの提供に寄与するものと考えております。これらの在り方は、50年先、100年先も変わらない普遍的な価値観として、当社グループの性質を表す企業文化の礎として浸透していくものであります。そして、このような姿勢のもと、クラウド技術とデータ・AI活用によって、顧客とともに事業変革すなわちビジネストランスフォーメーションを実現していくことが当社グループの使命であると考えております。
(2) 経営環境について
2024年の国内ITサービス市場は、国内企業のデジタルビジネス化に向けた旺盛な需要によって、前年比7.4%増で7兆205億円となりました。2025年以降の同市場は全体として好調を継続し、2024年から2029年の年間平均成長率は6.6%で拡大を続け、2029年には9兆6,225億円になると予測されております。
産業分野別では、官公庁の大型既存システムの刷新や、地方自治体の自治体システム標準化により政府・公共がもっとも高い成長率となったほか、既存システムのクラウド移行/モダナイゼーション、顧客エクスペリエンス(CX)向上やデータ及びAI利活用でのIT支出が拡大し、金融業、製造業、流通業は相対的に高い成長を遂げたと分析しております。
2025年以降の同市場は、全体として好調を継続し、国内企業のデジタルビジネス化に向けた投資が、既存システムのモダナイゼーションへの投資や、新たな価値創造に向けた新システムへの投資の持続的な拡大により、今後も高い成長を遂げるとみています。更にAI利活用においてPOC(Proof of Concept)から実践フェーズへの移行、AIユースケースの発展によりIT投資が更に促進されると予想されております。(※1)
これと連動してデジタル関連のコンサルティングニーズも拡大しております。国内市場ではDXに対する関心が非常に高く、企業の投資意欲は高まっております。2024年のDX関連投資額は5兆2,759億円でしたが、2030年には大幅に増加し9兆2,666億円が見込まれております。(※2)
また、2024年の国内クラウド市場については、クラウドに移行しやすいWebシステム、パッケージアプリケーションソフトウェアを活用したシステム等のクラウドマイグレーションはピークを過ぎたものの、レガシーマイグレーションやスクラッチ開発をしたシステムのクラウドマイグレーションが本格化しています。また、急拡大するAIの需要に対応するために、サービスプロバイダーによる大型投資が見られたことにより、前年比29.2%増の9兆7,084億円となりました。同市場の2024年から2029年の年間平均成長率は14.3%で推移し、2029年の市場規模は2024年比2.0倍の19兆1,965億円になると予測されております。(※3)
加えて、日本のAIシステム市場規模は、2024年に1兆3,412億円(前年比56.5%増)となっており、今後も成長を続け、2029年には4兆1,873億円まで拡大すると予測されております。
AIの社会実装が進んでおり、企業でのプログラミング、文章の要約、マーケティング、コールセンターやカスタマーサポートなど様々な用途で活用が進んでおり、これまでは人手不足対策や業務効率化の目的で利用されることが多かったものの、今後は新たなサービス創出を目指した活用も進むとみられています。また、生成AI技術を活用したAIエージェントやAIとロボットが融合する「フィジカルインテリジェンス」分野の発展も市場拡大を後押しするとみられております。(※4)
このように当社グループが事業を展開する分野は、中期的には市場拡大の方向にあります。
一方で、国内ITサービス市場の拡大は、事業の鍵となるIT人材の需給逼迫と表裏をなすものであります。経済産業省によれば、中位予測で2025年には36万人、2030年には45万人のIT人材の不足が予測されております(※5)。
また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)における2024年の「DX動向調査」によると、「DX推進人材が大幅に不足している」と回答した企業が62.1%と過半数を超えており、労働市場での優秀なIT人材の獲得競争が激化しております。(※6)
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、前述「(2)経営環境について」に記載のとおり、DXに重心を移しつつ中期的には拡大基調にあるITサービス市場において、中期的な成長即ち継続的な売上高の伸長を実現するために、新たに技術獲得、拡販体制を得たAI駆動開発に代表されるサービスアップデートを続け、引き続き「クラウド技術とデータ・AI活用によるビジネストランスフォーメーションデザイナーとして社会変革をリードする」を継続的ミッションとして、以下の4つの成長戦略を骨子とする中長期経営戦略を継続して掲げております。
① BTCアプローチの強化(DX専門人材の迅速かつ最適なプロジェクト組成の仕組み)
BTCB=Business コンサルタント及び業務知見者集団・T=Technology エンジニアリング集団・C=Creative UI/UXユーザービリティ知見者集団)を三位一体で提供される「DXコンサルティングとAI駆動によるクラウドインテグレーション」を中心にDX化支援を推進してまいります。AIやクラウドのプラットフォームに関しては、AWSやMicrosoft Azureを軸としてAIネイティブ・クラウドネイティブ技術をマルチクラウドかつアジャイルで提供する他、DX化に必要な要素技術を複合的に組み合わせ、顧客のニーズに応える質の高いソリューションを提供すべく注力してまいります。
② ハイブリッドアプローチの強化(ワンストップ営業サイクルによるクロスセル、アップセルの仕組み)
コンサルティングや関連サービス等を起点に、ワンストップでインテグレーションの提案・提供に繋げるというビジネスモデルを推進してまいります。更にインテグレーション提供から得たノウハウを、関連プロダクトを含む各種ソリューションのアップデートに還元させていくという好循環のサイクルを回し、顧客接点機会の創出から、顧客LTVの最大化へ繋げていくという戦略を推進してまいります。
また、クロスセル・アップセルによるインテグレーション遂行においては、ビジネスパートナーの調達は重要な鍵となるため、ビジネスパートナーの調達・管理を推進する専門部署を設置し、250社超のビジネスパートナーと良好なアライアンスを構築しております。万が一、社員に欠員が出た場合でも、ビジネスパートナーとの連携により工数不足を補える体制を整えており、今後もアライアンス強化を図ってまいります。
更に、DX人材サービスを行う当社子会社の株式会社エーティーエスは、当社グループにおけるDX人材のリソースプラットフォームとして位置づけられ、グループ全体にエンジニアを供給するリソースプールの役割を果たしています。当社グループ内においてもこのアプローチ戦略をとることで、相互に人材共有や送客を積極的に行うことで、グループ内においてもクロスセルやアップセルによる案件拡大を実現してまいります。
③ 新規事業開発の強化
当社グループのプロダクトを含む自社ソリューションやサービスは、コンサルティング及びインテグレーションから得たノウハウの標準化や自動化を進め、先進技術の研究開発投資のアウトプットと組み合わせることによることから生まれたものであります。このサイクルを更に強化していくため継続的な研究開発投資を行ってまいります。
この取り組みによりリリースされた「cnaris(クナリス)」「dataris(デタリス)」と称した領域特化型のサービスブランド戦略を更に拡販することで認知度向上を図ってまいります。
「cnaris(クナリス)」は「クラウドネイティブ領域に特化し、その技術の総合支援内容を総称するサービスブランド」であります。インテグレーションにおいて最も重要なことは、技術テンプレートといった形で可視化され、ビジネス展開の中で蓄積していく、標準化・自動化へと繋がる有形のノウハウであります。これらは再利用が可能であり、再現性をもって水平展開されていくもので、ビジネスの加速度的な発展と品質安定に大きく影響いたします。当社グループは創成期からクラウド技術の造詣を深め、良質なノウハウを豊富に有しております。これらをブランド化し、展開することでコンサルティング及びインテグレーションの競争力を高めてまいります。
「dataris(デタリス)」は「データ・AI活用領域に特化し、その技術の総合支援内容を総称するサービスブランド」であります。cnaris同様に、データ・AI活用を軸としたコンサルティング及びインテグレーションに係る良質かつ豊富なノウハウをブランド化して、差別化を図ってまいります。関連プロダクトである「LOOGUE(ローグ)」「ZiDOMA data(ジドーマ データ)」はこのブランドの嚆矢の一つと位置づけています。
この2つのブランドを育てていくことで、認知度向上を図り、中長期的な成長を加速させてまいります。
加えて近年、研究開発投資を継続してきた「AI駆動開発関連分野」において、有償プロジェクトへの実装が進み、利益率の高いAI開発案件及び高付加価値案件の獲得の成果が出てきております。更に生産性向上による収益向上並びに差別化による高付加価値案件の獲得を推し進めるために、更なる研究開発投資を継続してまいります。
「cnaris(クナリス)」「dataris(デタリス)」と称したブランドは「AI駆動開発」による手法を加えていくことで更にサービスがアップデートされてまいります。
④ M&A・業務提携戦略の推進
当社グループは、中長期的な企業価値向上と持続的成長の実現を目指し、既存ビジネスの着実なオーガニック成長に加え、シナジーあるM&Aや業務提携による非連続成長の取り込みを積極的に推進しております。M&A実施後は、PMI(Post Merger Integration)を通じて経営統合・意識統合・業務統合を着実に推進し、両社の強みを最大限に活かしたシナジー創出の基盤を整えています。また、これらに伴うリスク管理やガバナンス体制の強化にも注力しています。
今後も市場環境や成長機会を的確に捉えながら、当社グループとのシナジー効果が見込まれる企業とのM&Aや業務提携を積極的に推進し、主力事業を補完強化する技術やノウハウの獲得、優秀な人材の確保、ビジネス領域の拡大を目指してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、高い収益性の確保と継続的な売上高の成長を維持することにより、企業価値を継続的に向上させ株主利益を最大化することを経営上の目標としており、そのための指標として、売上高成長率を重視しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
近年、DXへの対応が注目を集めております。DXは単なる“システム化”に留まるものではなく、事業や組織運営の在り方を根底から変えていく、総合的な企業変革へと繋がるダイナミックな動きであり、ITの活用の在り方そのものが大きく変化しつつある環境にあると認識しております。
このようなITに新たな価値を求められる事業環境のもと、経営理念として掲げる「ARIグループ普遍的価値観」の具現化に向けて取り組むべき課題を以下のとおりと認識しております。
① 人材確保と育成
DX市場の拡大に伴い、デジタル化、クラウド化の技術を有する優秀な人材の確保は最重要課題であります。様々な顧客の中長期的な要求に応じて、技術水準の高い人材を確保するための投資を継続し、引き続き優秀な技術者の確保及び育成に努めてまいります。
また、クラウド市場の拡大により多様化する顧客ニーズに対応できるよう、人材育成施策に積極的に取り組んでまいります。具体的には、社員の育成・研修等を推進する専門部署を設置し、コンサル、PM、AI技術、データ技術、クラウド技術を中心とした社内外での育成機会を設けるとともに、当該関連する技術の資格取得支援を積極推進し、技術力の更なる向上に努めてまいります。
② 収益基盤の強化
当社グループのDXソリューション事業は、顧客のDXにおけるあらゆる工程において、DXを先進技術で支援するワンストップサービスの提供を中核として事業展開しております。具体的には、上流工程であるシステム開発の要件定義から、下流工程にあたる保守・運用までを総合的にサービス提供するとともに、顧客に対して状況に応じた最適な契約形態をとっております。請負・準委任に加え人材派遣によるサービス提供も行っております。従って受注案件ごとの利益率に相応の振幅があり、持続的な成長のためには、安定的な収益基盤を強化し続ける必要があります。そのために、クラウド技術を中軸に、より利益率の高い上流工程案件への取り組みの一層の増強を図りつつ、新規事業分野の開拓、関連プロダクトを含む自社ソリューションの強化を進めてまいります。加えて、株式会社エーティーエスを中心とした人材派遣・人材紹介といったDX人材サービスの推進により、グループ全体の安定成長を下支えしてまいります。
③ 内部統制の強化
当社グループは、継続的に事業規模を拡大しており、また新規事業の展開の検討・実施を恒常的に行っていることもあり、内部統制整備に関わる課題が経常的に発生いたします。当社グループにおきましては、監査役による監査や内部監査の過程において、状況変化に応じた内部統制の整備状況に係る変更の必要性を認識するとともに、対応策の早期構築に努めてまいります。
④ 営業力の強化
継続的成長のためには、新規顧客の開拓と既存顧客との関係深化に取り組む必要があります。これまで蓄積してきた技術ノウハウや業務知識、研究開発による先行技術知識を活用し、案件の獲得に向けた提案力の強化に注力し、全社的な営業力の向上を図り受注拡大に努めてまいります。
⑤ 資金繰りの更なる安定化
当社グループは、売掛金回収サイトと買掛金支払サイトの差が常に一定以上あるうえ、銀行からの資金借入もあり、現時点では資金繰りについては充分な余裕があります。しかしながら買掛金支払サイトは僅かではあるものの短縮化の傾向にあるうえ、業容拡大に伴い、今後、売掛金回収サイトの長い大型の請負契約が多く発生した場合には資金繰りに余裕がなくなる可能性も否定できないことから、直接金融も含めた資金調達の更なる多様化を検討してまいります。
(出典)
※1 IDC Japan株式会社「国内ITサービス市場予測」2025年3月
※2 富士キメラ総研「2025 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編」2025年4月
※3 IDC Japan株式会社「国内クラウド市場予測」2025年8月
※4 総務省「情報通信白書令和7年版」2025年7月
※5 経済産業省「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT人材等育成支援のための調査分析事業)」2019年3月
※6 独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2024」2025年7月
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「ARIグループ普遍的価値観」として、「先進性ある技術を通して、顧客の問題解決と社員の幸せを創造し、社会の未来発展に貢献する」を掲げ、DXソリューション事業を営む企業としての経営理念にしております。当社グループの存在意義と精神は、未来へと続く産業と社会の一端を担い、その発展の歴史に貢献し続けていくことにあります。貢献とは、先達の知識の蓄積を真摯に学び、自ら社会的価値あるサービスの創出に知恵を絞り、常にその時代に必要とされる先進性ある技術を提供できる集団となることで、社会が、つまり顧客が抱える悩みを一つ一つ解決するという社会的価値を創出し、顧客とそこに関わる人々の発展に尽くしていくことである、と考えております。
また、社員全員がARIグループという働く場を通して、人生の目標を持ち、出会いを得て、学びを重ね、互いの信頼を積み、心が豊かになり、物質的にも豊かになっていくことで、社員とその家族が幸せだと実感できる環境を作り上げていくことも同時に実現していくことでもあると考えております。
この二軸の貢献が当社グループを取り巻くあらゆるステークホルダーの持続的、継続的な幸せの提供に寄与するものと考えております。これらの在り方は、50年先、100年先も変わらない普遍的な価値観として、当社グループの性質を表す企業文化の礎として浸透していくものであります。そして、このような姿勢のもと、クラウド技術とデータ・AI活用によって、顧客とともに事業変革すなわちビジネストランスフォーメーションを実現していくことが当社グループの使命であると考えております。
(2) 経営環境について
2024年の国内ITサービス市場は、国内企業のデジタルビジネス化に向けた旺盛な需要によって、前年比7.4%増で7兆205億円となりました。2025年以降の同市場は全体として好調を継続し、2024年から2029年の年間平均成長率は6.6%で拡大を続け、2029年には9兆6,225億円になると予測されております。
産業分野別では、官公庁の大型既存システムの刷新や、地方自治体の自治体システム標準化により政府・公共がもっとも高い成長率となったほか、既存システムのクラウド移行/モダナイゼーション、顧客エクスペリエンス(CX)向上やデータ及びAI利活用でのIT支出が拡大し、金融業、製造業、流通業は相対的に高い成長を遂げたと分析しております。
2025年以降の同市場は、全体として好調を継続し、国内企業のデジタルビジネス化に向けた投資が、既存システムのモダナイゼーションへの投資や、新たな価値創造に向けた新システムへの投資の持続的な拡大により、今後も高い成長を遂げるとみています。更にAI利活用においてPOC(Proof of Concept)から実践フェーズへの移行、AIユースケースの発展によりIT投資が更に促進されると予想されております。(※1)
これと連動してデジタル関連のコンサルティングニーズも拡大しております。国内市場ではDXに対する関心が非常に高く、企業の投資意欲は高まっております。2024年のDX関連投資額は5兆2,759億円でしたが、2030年には大幅に増加し9兆2,666億円が見込まれております。(※2)
また、2024年の国内クラウド市場については、クラウドに移行しやすいWebシステム、パッケージアプリケーションソフトウェアを活用したシステム等のクラウドマイグレーションはピークを過ぎたものの、レガシーマイグレーションやスクラッチ開発をしたシステムのクラウドマイグレーションが本格化しています。また、急拡大するAIの需要に対応するために、サービスプロバイダーによる大型投資が見られたことにより、前年比29.2%増の9兆7,084億円となりました。同市場の2024年から2029年の年間平均成長率は14.3%で推移し、2029年の市場規模は2024年比2.0倍の19兆1,965億円になると予測されております。(※3)
加えて、日本のAIシステム市場規模は、2024年に1兆3,412億円(前年比56.5%増)となっており、今後も成長を続け、2029年には4兆1,873億円まで拡大すると予測されております。
AIの社会実装が進んでおり、企業でのプログラミング、文章の要約、マーケティング、コールセンターやカスタマーサポートなど様々な用途で活用が進んでおり、これまでは人手不足対策や業務効率化の目的で利用されることが多かったものの、今後は新たなサービス創出を目指した活用も進むとみられています。また、生成AI技術を活用したAIエージェントやAIとロボットが融合する「フィジカルインテリジェンス」分野の発展も市場拡大を後押しするとみられております。(※4)
このように当社グループが事業を展開する分野は、中期的には市場拡大の方向にあります。
一方で、国内ITサービス市場の拡大は、事業の鍵となるIT人材の需給逼迫と表裏をなすものであります。経済産業省によれば、中位予測で2025年には36万人、2030年には45万人のIT人材の不足が予測されております(※5)。
また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)における2024年の「DX動向調査」によると、「DX推進人材が大幅に不足している」と回答した企業が62.1%と過半数を超えており、労働市場での優秀なIT人材の獲得競争が激化しております。(※6)
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、前述「(2)経営環境について」に記載のとおり、DXに重心を移しつつ中期的には拡大基調にあるITサービス市場において、中期的な成長即ち継続的な売上高の伸長を実現するために、新たに技術獲得、拡販体制を得たAI駆動開発に代表されるサービスアップデートを続け、引き続き「クラウド技術とデータ・AI活用によるビジネストランスフォーメーションデザイナーとして社会変革をリードする」を継続的ミッションとして、以下の4つの成長戦略を骨子とする中長期経営戦略を継続して掲げております。
① BTCアプローチの強化(DX専門人材の迅速かつ最適なプロジェクト組成の仕組み)
BTCB=Business コンサルタント及び業務知見者集団・T=Technology エンジニアリング集団・C=Creative UI/UXユーザービリティ知見者集団)を三位一体で提供される「DXコンサルティングとAI駆動によるクラウドインテグレーション」を中心にDX化支援を推進してまいります。AIやクラウドのプラットフォームに関しては、AWSやMicrosoft Azureを軸としてAIネイティブ・クラウドネイティブ技術をマルチクラウドかつアジャイルで提供する他、DX化に必要な要素技術を複合的に組み合わせ、顧客のニーズに応える質の高いソリューションを提供すべく注力してまいります。
② ハイブリッドアプローチの強化(ワンストップ営業サイクルによるクロスセル、アップセルの仕組み)
コンサルティングや関連サービス等を起点に、ワンストップでインテグレーションの提案・提供に繋げるというビジネスモデルを推進してまいります。更にインテグレーション提供から得たノウハウを、関連プロダクトを含む各種ソリューションのアップデートに還元させていくという好循環のサイクルを回し、顧客接点機会の創出から、顧客LTVの最大化へ繋げていくという戦略を推進してまいります。
また、クロスセル・アップセルによるインテグレーション遂行においては、ビジネスパートナーの調達は重要な鍵となるため、ビジネスパートナーの調達・管理を推進する専門部署を設置し、250社超のビジネスパートナーと良好なアライアンスを構築しております。万が一、社員に欠員が出た場合でも、ビジネスパートナーとの連携により工数不足を補える体制を整えており、今後もアライアンス強化を図ってまいります。
更に、DX人材サービスを行う当社子会社の株式会社エーティーエスは、当社グループにおけるDX人材のリソースプラットフォームとして位置づけられ、グループ全体にエンジニアを供給するリソースプールの役割を果たしています。当社グループ内においてもこのアプローチ戦略をとることで、相互に人材共有や送客を積極的に行うことで、グループ内においてもクロスセルやアップセルによる案件拡大を実現してまいります。
③ 新規事業開発の強化
当社グループのプロダクトを含む自社ソリューションやサービスは、コンサルティング及びインテグレーションから得たノウハウの標準化や自動化を進め、先進技術の研究開発投資のアウトプットと組み合わせることによることから生まれたものであります。このサイクルを更に強化していくため継続的な研究開発投資を行ってまいります。
この取り組みによりリリースされた「cnaris(クナリス)」「dataris(デタリス)」と称した領域特化型のサービスブランド戦略を更に拡販することで認知度向上を図ってまいります。
「cnaris(クナリス)」は「クラウドネイティブ領域に特化し、その技術の総合支援内容を総称するサービスブランド」であります。インテグレーションにおいて最も重要なことは、技術テンプレートといった形で可視化され、ビジネス展開の中で蓄積していく、標準化・自動化へと繋がる有形のノウハウであります。これらは再利用が可能であり、再現性をもって水平展開されていくもので、ビジネスの加速度的な発展と品質安定に大きく影響いたします。当社グループは創成期からクラウド技術の造詣を深め、良質なノウハウを豊富に有しております。これらをブランド化し、展開することでコンサルティング及びインテグレーションの競争力を高めてまいります。
「dataris(デタリス)」は「データ・AI活用領域に特化し、その技術の総合支援内容を総称するサービスブランド」であります。cnaris同様に、データ・AI活用を軸としたコンサルティング及びインテグレーションに係る良質かつ豊富なノウハウをブランド化して、差別化を図ってまいります。関連プロダクトである「LOOGUE(ローグ)」「ZiDOMA data(ジドーマ データ)」はこのブランドの嚆矢の一つと位置づけています。
この2つのブランドを育てていくことで、認知度向上を図り、中長期的な成長を加速させてまいります。
加えて近年、研究開発投資を継続してきた「AI駆動開発関連分野」において、有償プロジェクトへの実装が進み、利益率の高いAI開発案件及び高付加価値案件の獲得の成果が出てきております。更に生産性向上による収益向上並びに差別化による高付加価値案件の獲得を推し進めるために、更なる研究開発投資を継続してまいります。
「cnaris(クナリス)」「dataris(デタリス)」と称したブランドは「AI駆動開発」による手法を加えていくことで更にサービスがアップデートされてまいります。
④ M&A・業務提携戦略の推進
当社グループは、中長期的な企業価値向上と持続的成長の実現を目指し、既存ビジネスの着実なオーガニック成長に加え、シナジーあるM&Aや業務提携による非連続成長の取り込みを積極的に推進しております。M&A実施後は、PMI(Post Merger Integration)を通じて経営統合・意識統合・業務統合を着実に推進し、両社の強みを最大限に活かしたシナジー創出の基盤を整えています。また、これらに伴うリスク管理やガバナンス体制の強化にも注力しています。
今後も市場環境や成長機会を的確に捉えながら、当社グループとのシナジー効果が見込まれる企業とのM&Aや業務提携を積極的に推進し、主力事業を補完強化する技術やノウハウの獲得、優秀な人材の確保、ビジネス領域の拡大を目指してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、高い収益性の確保と継続的な売上高の成長を維持することにより、企業価値を継続的に向上させ株主利益を最大化することを経営上の目標としており、そのための指標として、売上高成長率を重視しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
近年、DXへの対応が注目を集めております。DXは単なる“システム化”に留まるものではなく、事業や組織運営の在り方を根底から変えていく、総合的な企業変革へと繋がるダイナミックな動きであり、ITの活用の在り方そのものが大きく変化しつつある環境にあると認識しております。
このようなITに新たな価値を求められる事業環境のもと、経営理念として掲げる「ARIグループ普遍的価値観」の具現化に向けて取り組むべき課題を以下のとおりと認識しております。
① 人材確保と育成
DX市場の拡大に伴い、デジタル化、クラウド化の技術を有する優秀な人材の確保は最重要課題であります。様々な顧客の中長期的な要求に応じて、技術水準の高い人材を確保するための投資を継続し、引き続き優秀な技術者の確保及び育成に努めてまいります。
また、クラウド市場の拡大により多様化する顧客ニーズに対応できるよう、人材育成施策に積極的に取り組んでまいります。具体的には、社員の育成・研修等を推進する専門部署を設置し、コンサル、PM、AI技術、データ技術、クラウド技術を中心とした社内外での育成機会を設けるとともに、当該関連する技術の資格取得支援を積極推進し、技術力の更なる向上に努めてまいります。
② 収益基盤の強化
当社グループのDXソリューション事業は、顧客のDXにおけるあらゆる工程において、DXを先進技術で支援するワンストップサービスの提供を中核として事業展開しております。具体的には、上流工程であるシステム開発の要件定義から、下流工程にあたる保守・運用までを総合的にサービス提供するとともに、顧客に対して状況に応じた最適な契約形態をとっております。請負・準委任に加え人材派遣によるサービス提供も行っております。従って受注案件ごとの利益率に相応の振幅があり、持続的な成長のためには、安定的な収益基盤を強化し続ける必要があります。そのために、クラウド技術を中軸に、より利益率の高い上流工程案件への取り組みの一層の増強を図りつつ、新規事業分野の開拓、関連プロダクトを含む自社ソリューションの強化を進めてまいります。加えて、株式会社エーティーエスを中心とした人材派遣・人材紹介といったDX人材サービスの推進により、グループ全体の安定成長を下支えしてまいります。
③ 内部統制の強化
当社グループは、継続的に事業規模を拡大しており、また新規事業の展開の検討・実施を恒常的に行っていることもあり、内部統制整備に関わる課題が経常的に発生いたします。当社グループにおきましては、監査役による監査や内部監査の過程において、状況変化に応じた内部統制の整備状況に係る変更の必要性を認識するとともに、対応策の早期構築に努めてまいります。
④ 営業力の強化
継続的成長のためには、新規顧客の開拓と既存顧客との関係深化に取り組む必要があります。これまで蓄積してきた技術ノウハウや業務知識、研究開発による先行技術知識を活用し、案件の獲得に向けた提案力の強化に注力し、全社的な営業力の向上を図り受注拡大に努めてまいります。
⑤ 資金繰りの更なる安定化
当社グループは、売掛金回収サイトと買掛金支払サイトの差が常に一定以上あるうえ、銀行からの資金借入もあり、現時点では資金繰りについては充分な余裕があります。しかしながら買掛金支払サイトは僅かではあるものの短縮化の傾向にあるうえ、業容拡大に伴い、今後、売掛金回収サイトの長い大型の請負契約が多く発生した場合には資金繰りに余裕がなくなる可能性も否定できないことから、直接金融も含めた資金調達の更なる多様化を検討してまいります。
(出典)
※1 IDC Japan株式会社「国内ITサービス市場予測」2025年3月
※2 富士キメラ総研「2025 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編」2025年4月
※3 IDC Japan株式会社「国内クラウド市場予測」2025年8月
※4 総務省「情報通信白書令和7年版」2025年7月
※5 経済産業省「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT人材等育成支援のための調査分析事業)」2019年3月
※6 独立行政法人情報処理推進機構「DX動向2024」2025年7月